政治とは、次世代に不安や負担を残すことなど避けなければなりません。その一方で、夢や希望を抱き続けることができる明るい展望を指し示すことも重要です。
本年9月に開催された定例市議会の一般質問で、将来の高齢化や少子化によって「限界集落」などと指摘されている現状について、「市長は平戸市の将来像をどのように描いているのか」という質問が寄せられました。
以下に引用しました文章は、その時の答弁からの抜粋です。
平戸市の将来像についてですが、高齢化・少子化・人口減少を克服するための打開策として、また本市の将来像として、大きく三つに分けて私の思いを述べさせていただきます。
一つに、「これまで各産業で頑張ってきた先輩方の後を受けて、次の波(流行)やトレンド(潮流)を創るような勢いのある世代が中心となる産業クラスターの形成」を図らなければならないと考えております。
具体的には、農業・漁業・商業・観光業において、これまでの価値からステップアップし、次の時代にフィットした新たな産業として相互に連携し、ICTなどを駆使した近代化や省力化、そして躍動感ある活性化を達成する平戸になることを思い描いております。
二つに、「子どもを中心に社会全体が支えあい、高齢者の知恵と経験を頼りに寄り添う世代間交流が実現するまち」の形成を考えております。
例えば「子育てをするなら平戸」を合言葉に全国から集まってくるような笑顔溢れる街として、世代間が知恵と優しさを共有できる地域の連携を目指し、そのための新しい雇用もきめ細やかに創出し、元気一杯の平戸になることを思い描いております。
三つに、「豊かな文化で地域や国境を越えて集う賑わいとエキサイティングな出会い溢れる街」の形成であります。
平戸城やオランダ商館、未来創造館は単なる建物ではなく、出会いの空間であり、そこできっかけとなり思いを同じくする者同士の絆やチャンスを求めて多くの人々が世代や地域・国境を超えて集まる場所になりたい。常に街角から音楽が流れ、笑いがこぼれ、明日に希望がもてる雰囲気に包まれ、若者が住み続けたくなる平戸になることを思い描いております。(平成27年9月10日 本会議一般質問の答弁議事録より)
お気づきのように、私はあえてこの将来像の中に「高齢者福祉」と「医療や防災体制の充実」を表明していません。それは当然備えておくべき行政の必須事業だからです。むしろ、二番目にある「高齢者の知恵と経験を頼りに寄り添う世代間交流」こそが重要であると考えます。もっと簡単に言うと、高齢者の皆さんは独り暮らしの寂しい思いや病気で苦しむ姿から開放され、子どもとともに社会の中心にいてほしいという願いを込めました。
病院に通って呑まされる薬の数や種類に振り回されるのではなく、子育て教育の現役者として若い世代に関わって欲しいと強く願っています。そして、平戸市に受け継がれている重層的な文化の価値を思いっきり表現者としてアピールして欲しいと思います。それこそが生涯学習であり生き甲斐でもあります。
本誌に毎回、原稿を掲載される意欲ある方々を中心に、頭脳と時間を活用し、未来創造館を始めとする公共施設や雄大な自然の恵みを活用して、芸術文化を次代につなぐ伝導者として、ますますご活躍願いたいと強く希望しています。
渋くてなんとなく暗くなるような財政論議よりも、こんな夢のある話題で本会議の一般質問がいつもあればいいのにと思いながら、20年後には、「この通りになっているなぁ」と褒めていただけるよう頑張ってまいります。