因縁の相手は階段   作:さくらいJAN

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47話 現世地獄

「覇王抜刀術・奈落の神(タルタロス)

 

引奈落(ラグならく)!!」

 

 

お互いの武器が触れずに黒い稲妻のようなものが走り、

大気が割れる。

 

互いに満身創痍。

赤鞘たちは倒れた。

他の面々もギリギリだ。

そして鬼ヶ島は花の都付近へ。

もう間に合わない。

 

 

「みなさん、もう無理です。

あとは当初の予定通りに」

 

「くそっ倒しきれなかったか」

 

「おいっあと少しだぞ!」

 

「駄目です。

ロー!」

 

「チッ、こき使いやがって。

だが巻き込まれる訳にはいかねーか」

 

 

文句を言うルフィ達をローがシャンブルズで連れてく。

討ち入り前に話していた作戦どおり、敵味方ともに鬼ヶ島から逃がしていたのだ。

敵はボコった後で捕縛。

プレジャーズとウェイターズが消極的ながらも味方なのが大きかった。

簡単に事は進んでいるようだ。

 

下はすでに陸地。

帆を広げながらパラシュートのように落ちれば問題ない。

この世界の人間ってほんとタフ。

 

 

「ウォロロロロ、どうした水雉。

殿(しんがり)のつもりか?」

 

「いえ?

このままあなたを倒すわけにはいかなくなっただけです」

 

「なに?

・・・ああ、花の都か。

あいかわらず、甘いやつだ」

 

 

カイドウは島中の人間を逃がしていることに気づいてないようだ。

まあ、いちいちそんなことを気にするような男ではないよね。

だが、勘違いしてもらっては困る。

私は弱者に甘いだけの人間ではない。

敵にはすっごく厳しい女なのだ。

 

 

「随分余裕ですね。

すでにチェックメイトだというのに」

 

 

私は水晶玉を見るような手つきで慎重に能力を操作する。

これはもしかしたら能力の覚醒と言えるかもしれないな。

普通は仕組みをフワッと知ってるからって再現できるもんじゃない。

だが、実験は成功済み。

 

私の手の中に水色の球体が現れ、揺らぐ。

放電しているかのように黒い雷のようなものがバチバチと覆っている。

 

そうはならんやろ。

漫画的表現だなあ。

だが、それを見たカイドウは何かを察したようだ。

 

 

「ウォロロロロ!

なるほど、それがお前の奥の手か!

面白い!それでおれが殺せるか、試してみろ!!」

 

「・・・ちぇ、少しはビビれよ面白くない。

この死にたがりめ」

 

 

結局、こいつに捕まってからずーっとカイドウをどう倒すかとか、

どうやって追い詰めるかを考え続けた2年だった。

結果、私が選んだのがこのタイミング。

原作を知ってて、百獣海賊団に所属していたからこそ選べた作戦。

 

私一人では、こいつに勝てなかった。

この攻撃で仕留めるほどの消耗をさせられなかった。

 

それに、ルフィたちにこいつを倒させてやることもできなかった。

せっかく色々頑張って強化したのにな。

エースも生きてたのに。

この結果は今後の世界的にどうなのかな?

やばかったりするかな?

 

ま、いっか。

なるようになれ。

私は水色の球体を維持するのをやめた。

 

くらえ、これが人類の英知だ。

 

 

現世地獄(ハイドロジェン・ボム)

 

 

水素の核融合。

仕組みはそんなに詳しくないが、それっぽいことはできることは実験済み。

爆発の威力は本家と比べれば月とすっぽんだが、それでも十分。

 

爆発耐性SSSのボムボムの実の能力者だから出来る自爆特攻。

本家だったらワノ国ごと消し去ってしまうが、今の私では精々鬼ヶ島をふっとばす程度。

だが、この島には大量の爆弾がある。

 

私の劣化水爆とこの島に備蓄された爆弾。

当然、こんな小さな島は木っ端微塵だ。

瓦礫すらも花の都には落ちないだろう、たぶん。

 

というわけでさよならカイドウ。

そんなに嫌いじゃなかったよ。

 

私とカイドウは大きな爆発の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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○月○日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから、

私は生き残ったが、カイドウは消息不明となり、

百獣海賊団は事実上壊滅した。

ルフィたちはワノ国の人達と宴会をするらしいが、元百獣海賊団は流石に肩身が狭い。

新しい支配者が現れた以上、古い支配者は立場が無いのだ。

 

だから私は元百獣海賊団で私に着いてくる選択をした面々を引き連れて、

何も言わずにワノ国を去った。

 

退職金代わりに軍艦も頂いたからナンバーズだって乗せれる。

その方が好感度上がるだろうという腹積もりもあった。

今後の作戦にも生きるだろう。

 

途中、世界政府の軍隊が居たから蹴散らした。

5本の指から獄炎嵐を放つ五指爆炎弾(フィンガーフレアボムズ)もどきで、

一度で多数の軍艦を沈められる今の私は海上戦にて敵なしだ。

でもグラグラの実は勘弁な。

 

 

さて、数人の幹部の勧誘にも成功した私は実質百獣海賊団の跡継ぎみたいなもんだ。

私の懸賞金は上がってるだろうし、動向も注視されるだろう。

さっき世界政府の船を蹴散らしたしね。

 

 

「この後はどうされるんですか?」

 

 

と、部下に問われた。

そういえば言ってなかったかな。

 

 

「適当に人が多そうな国を目指して、そこで悪行を行う海賊や政府の人間から略奪します。

半分くらい国の人達に分ければ歓迎されるでしょう」

 

「なるほど、七武海みたいな感じですね。

加入が目標ですか?」

 

「あの制度は廃止されました」

 

「そうなんですか!?」

 

 

へー、知らんのか。

まあワノ国には新聞来ないから仕方ないかな。

 

 

「それに、私って世界貴族が嫌いなんですよね」

 

 

あいつらすっげえ処したい。

大した努力もしてない神を自称するゴミ。

要らないよね。

 

 

「だから、いくつかの国で好感度を稼いでから革命軍に加入します。

今の政府を打倒して、私が世界の頂点に立ちます。

そして平和な世界を作るのです」

 

「おおっ!!」

 

 

航海士(元ウェイターズ)が嬉しそうに声を上げる。

そうなのだ。

私は新世界の神になる!

 

 

「だけど革命軍に入ったらドラゴンの部下になるんじゃないか?」

 

 

勧誘の結果、幹部になってくれたページワン君が首をかしげる。

まあ普通はそう思うよね。

だが、それも交渉次第。

 

 

「加入に条件を付けるのです。

世界政府を打倒したら、世襲による権力者を頂点とした君主制を廃止して、

民主主義に移行する、と。

民衆の味方を唄う組織なら拒否はしづらいでしょう」

 

「みんしゅしゅぎ、ですか?」

 

 

そうそう。

やっぱり私は法に縛られない権力者とか嫌いだわ。

生まれた時から王ってのも好きじゃない。

いくら善良な王だったとしても、後継者もそうだとは限らない。

ドラム王国の例もあるしね。

それに、なにより私がトップに立てない。

 

色々問題は起こるだろうし、不幸になる人も出るだろうが、

結局思いつく限りでは民主主義が一番マシってことで。

 

 

「ええ、多くの人に支持されている人間がその国のトップになるという制度です。

各国は民主主義による投票で首長を決めて、その首長の推薦で世界の代表候補を選出し、最終的に世界投票で代表を決める。

その代表が海軍に対する命令権を有して、治安維持に励む。

どうですか?今よりはマシになりそうでしょ?」

 

「はい!

意味はよく分かりませんが水雉様が言うなら間違いないです!」

 

「・・・まあ、今はそれでもいいでしょう」

 

 

馬鹿には分からんか。

別にいいけど。

そういう奴らでも法さえ守って努力すれば幸せに暮らせる。

そんな世界を私が作ってやろう。

 

その為には票集め。

今でも世界では民衆のヒーロー扱いだが、まだ足りない。

グランドライン以外でも支持を得なきゃ。

 

幸い海楼石は一杯あるし、少数だが侍も刀鍛冶として着いてきてくれている。

おかげでカームベルトも通れる。

魚人も居るから魚人島を通る航海も安全だ。

頑張るぞ。

 

あ、あと世界一の大剣豪も目指さなきゃ。

ゾロとの約束だしね。

せっかく仲間もできたことだし、こいつらを鍛えつつ強くなろう。

 

 

 

というわけで、

新しい冒険の始まりだ!

 

 

 

 

 




私たちの冒険はこれからだ!

というわけで第一部完です。
第二部は原作がもうちょっと進んだら再開します。
ご祝儀高評価頂けると嬉しいです。
評価赤色になりたいです。
→わーい赤くなった!ありがとうございます!

原作知識的にモモの助の件は知らないので鬼ヶ島ごと木端微塵にしました。
カイドウは生死不明です。

水爆ってこうだっけ?
実際主人公が使ったのは水爆とは別の何かです。
核融合のエネルギーを爆発の威力に充てた、的な。
ファンタジー大爆発です。

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