【カイドウ視点】
「なに?
それは本当か?」
リンリンの奴とやりあって同盟を組むことになった夜。
世界を取ろうってのに、早速悪い情報が入ってきた。
「おれがおまえに嘘なんかつくかい。
おれを利用して監獄に攻めさせたのはおまえのとこの小娘さ」
「そうか、水雉のやつが」
麦わらに負けたと聞いた時は麦わらが想定以上に強いのか、
それとも裏切りかと思ったが、
悪い方の予想が当たったな。
裏切るならウチの海賊団内で仲間を募るかと思ってバオファンに見張らせていたが、
単独で寝返るとは。
心はへし折ってやったはずだが。
思っていたより根性があるらしい。
変に自由を与えすぎたか。
ヤマトの奴もそうだが、おれに餓鬼を育てる才能は無いようだな。
だが、これで麦わらの実力が水雉以上という可能性は消えたな。
負けたという事実も、どうせブラフだろう。
事実、ババヌキから被害は大きかったが囚人の侍たちと麦わらは捕まえたとの連絡があった。
水雉は見かけてないらしい。
麦わらを助ける余裕は無く、単独で逃げたのだろう。
お前が賭けた連中はその程度のようだぞ?水雉。
「麦わらのとこのペットもいたな。
あいつら組んだんじゃないのかい?
あの小娘中々やるだろ?」
「まあな。
だがいまいち分からねえ。
その程度でおれに勝てると思わないはずだが」
水雉はおれが倒した時よりは強くなった。
覇王色を纏うようになり、短時間だがおれとやりあえるほどに成長した。
すでにこの世界でもトップクラスだろう。
だが、おれに勝つほどではねえ。
麦わらの一味と組んだ程度でウチの海賊団は崩せない。
実際、船長は監獄に捕まっているわけだしな。
そんなことは分かっていると思ったが・・・。
ワノ国を任せるに足る人材に育ったと思ったが、反骨心は消せなかったか。
「あー、あとクイーンの奴をぶっ飛ばしてたな。
帰ってきてないなら殺されてるかもしれないねえ」
「なに?
おいっ、クイーンのやつは帰って来てるか?」
「帰ってきてないですね~~。
ページワンさんに探してもらいましょうか~?」
バオファンが答える。
どうしてババヌキはクイーンについて何も言わなかった?
鬼ヶ島に帰還する途中に水雉に襲われたのか?
取り合えず急いで探す必要がある。
ページワンか。問題ないが、念の為海の方も探した方が良いだろう。
目の前のババアみたいに漂流している可能性もある。
「そうしろ。
あと飛べる奴に海や浜も探させろ」
「あいよ~~!」
水雉のことだ。
殺されてる可能性が高い。
クイーンは、強さもそうだが多数の敵を制圧するウイルス兵器が強みだ。
世界を取るのに欠かせない人材だったが、、、痛いな。
「カイドウ様!
オロチ様が殺されました!
犯人は水雉さんです!!」
「なんだと!?」
「ハ~ハハママママ!
随分元気な小娘だねえ!」
オロチの所の忍びが駆け込んできた。
畳み掛けるのが早いな。
オロチなんぞ狩っても大して意味はないが、、、
オロチの部下の侍が向こうにつくのは面倒だ。
水雉はワノ国の国民に慕われているし、寝返る奴も出るだろう。
ワノ国の将軍として君臨するのにちょうどいいと思い、ある程度の善政を認めたが、
それを逆手に取るか。
まるでこういった事態が起こるのを予期していたみたいだ。
リンリンの件もそうだ。
こいつが利用されなければクイーンがやられる前におれが駆け付けられた。
水雉がリンリンを見つけたのは本当に偶然か?
「ロックス船長の船を思い出すぜ。
強くて我が強いやつは駄目だな。
制御できねえ」
おれはため息をついて腰を上げる。
考えても仕方ねえ。
これから古代兵器を手に入れるんだ。
多くを敵に回す。
麦わらの一味にも水雉にも構ってる暇はない。
「いくのかい?」
「ああ、明後日の火祭りまでには戻る。
その時同盟を発表する。準備しておけよ」
「ハ~ハハママママ!
負けたときの為に歴史の本文の場所を聞いといてやろうか?
おれが隠しておいてやるよ」
「強欲ババアめ。
大人しくしてろ」
下らねえことをいうリンリンを置いて、おれはキングを呼び出した。
まずは水雉だ。
強い駒だったが、裏切るなら仕方ねえ。
始末する。
【ページワン視点】
その日、百獣海賊団に激震が走った。
水雉さんが裏切ったとの知らせを受けたからだ。
麦わらの一味に負けたと聞いた時も驚いたが、それ以上の衝撃だ。
姉貴は怒っていたが、おれは納得した。
あれだけ強いんだ。
他人を海賊王にするより、自分が名乗りを上げる。
海に出た自由人なら当然の選択だろう。
裏切りは海賊の花と言うが、ウチにはそんなことをする奴はいない。
カイドウ様に手も足も出ないからだ。
その強さに圧倒され、信じたからこそ、カイドウ様を支えることを選んだ。
飛び六胞はおろか、大看板ですらそうだ。
そんな百獣海賊団の中で、唯一カイドウ様と渡り合えるのが水雉さんだった。
水雉さんを尊敬する奴は多い。
特に弱者に好かれる。
強いのに優しいからだ。
水雉さんは誰に対しても優しかった。
おれ達にも。ワノ国の人間にも。プレジャーズにも。
プレジャーズはウチの海賊団ではお荷物扱いだ。
これは裏切るかもしれないな。
まあ裏切ったところで大したことないが。
だからお荷物扱いなのだし。
おれはカイドウ様からの連絡を受け、クイーンさんの捜索を始めた。
クイーンさんを見つけたら水雉さん討伐に参加しろとのことだ。
カイドウ様も出るんだ。
おれは必要ないと思うがな。
【???視点】
水雉様がカイドウに反旗を翻した。
監獄を攻めて、オロチを殺したようだ。
このままじゃあ水雉様はカイドウに殺されてしまう。
・・・助けなきゃ。
ババヌキは原作どおりお玉の部下になり噓の報告をしました。
クイーンのことは言及しなかったのでカイドウは違和感を覚えますが、
くいながオロチを斬ったのでそれどころじゃ無くなりました。
二日遅れのクリスマス、ですね。
(インディー時代のミスチルの曲名で知識マウントを取るスタイル)