因縁の相手は階段   作:さくらいJAN

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35話 始動&お菊視点

○月〇日

 

 

 

工場にテコ入れしてから半年ほど経過。

とうとう団子屋にお菊が現れた。

赤鞘の面々がこの時代に到着したようだ。

 

一応おでん城跡を偶にふらふらしてたが見つける事は出来なかったか。

まあ会った所でルフィを連れてきてもらわなきゃだから無視したけど。

 

さて、どうするか。

 

取り合えず現状を整理しよう。

今の私は百獣海賊団所属だ。

しかし、立場はワノ国九里の大名。

領民から慕われてはいるが、それはあくまでオロチの悪政の反動だ。

別にそこまでの善政は敷いてない。

 

下人は下人のままだし。

理不尽な死が無くなっただけで自由では無いし裕福になるチャンスも無い。

オロチが倒されてモモの助が帰ってきたら排斥されるだろう。

 

 

原作ではそこまで読めなかったが、メタ的にカイドウはルフィに負ける。

もしそうじゃなくても、ワノ国からは消えるはずだ。

 

なので百獣海賊団所属というのも辞めたい立場だ。

ルフィ達が来るのを待って、反旗を翻そうと思っていたが、

果たしてそれでいいのか?

 

いや、どう考えてもそれで良いんだけどね。

2年前ならともかく、今の私はカイドウに敵対しても問題ない。

ルフィに協力すると決めているしね。

 

ただ、余りにも原作通りで面白くないなあって。

せっかく強くなったんだしドレスローザ行って強者ムーブしたい。

藤虎と戦ってみたいし、鳥籠も本気出せばぶった斬れるかどうか試したい。

 

 

でもなあ、航海がなあ。

一人でワノ国から出てドレスローザへってのは難しい。

 

 

私を慕ってくれる人も少なからずいるが、カイドウの命令には絶対逆らわない。

うーむ。

 

 

決めた。

やっぱり大人しくしてよう。

 

 

 

 

 

 

○月〇日

 

 

 

 

シーザーがやられたらしい。

ジャックが怒ってた。

パンクハザードに行こうとしてたけど、流石に遠いから間に合わないでしょ。

 

私が行こうか?って言ったら、

カイドウさんに止められとるでしょ。駄目です。

 

だってさ。

知ってた速報。

 

せめてゾウには行きたいな。

でもカイドウは許さないだろうな。

暇だな。

 

正直、私はカイドウがそんなに嫌いじゃない。

割と融通きくし、その強さも尊敬する。

このままカイドウが世界を取るなら本当に忠誠を誓っても良い。

 

でも負けるんだよなあ。

私が手を貸せば麦わらの一味には勝てるかもしれんが、その先の展開を私は知らない。

一時的に仲間になるビッグマムの目的も分からない。

麦わらの一味が最終的に勝つのはメタ的視点から分かっている。

だったら勝ち馬に乗るのが正解だよなあ。

 

それに、カイドウが嫌いじゃないとはいえ、流石にルフィ達の方が好ましい。

ゾロも居るしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○月〇日

 

 

 

 

 

ドフィもやられた。

ざまあ。

 

 

カイドウは激怒。

ゾウへ行ってたジャックが海軍の護送船を襲ったという情報が入った。

無茶するなあ。

 

一応、私が助けに行こうか?と言ってみる。

駄目らしい。

はいはい。

 

 

さーてこの後はルフィがマムのとこ行って、ゾロたちが先にワノ国に来るんだよね?

地形的に九里の浜辺に漂着するはずだ。

待ち伏せして合流しようかな?

 

 

 

 

 

 

○月○日

 

 

 

 

いつも通りおこぼれ町に行ったらお菊が声をかけてきた。

私の真意を探ろうとしているようだ。

カイドウに従ってるか否かを測りかねているのだろう。

 

他の人の目もあるし適当に話をしつつ、月のマークが入ったハンカチを渡した。

私は然るべき時には加勢しますよ、という意味だ。

伝わったかな?

 

うーん、分からん。

私はそういう人の機微を感じ取るのは苦手だ。

まあいいや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【お菊視点】

 

 

 

 

 

 

トキ様の術で20年後に飛ばされてから一ヵ月。

変わり果てたワノ国を見たわたし達は戦力を集める為に動いていた。

キン様と雷ぞうとカン十郎とモモの助様は海の外へ。

わたしは情報収集へ。

 

そして詳しく情報収集をすると、分かった事があった。

カイドウとオロチに蝕まれたワノ国。

それでも少しだけマシになったらしかった。

 

農園の食べ物の8割はカイドウとオロチへ。

残りの2割と農園の近くに新設された少し質の悪い第二農園の食べ物はワノ国の民へ。

酷い話だと思ったが、2年前は食べ物の配給など無かったらしい。

 

下人などという立場に落とされた人たちは子供や老人、病人を除き全員。

士族という優位な立場の人たちでも、一部の人たちは、

その生活を管理され毎日過酷な労働に従事している。

 

朝も早くから陽が落ちても。

7日に1日しか休まず、毎日12時間労働。

社宅などという集団住居に押し込まれ働く食べる寝るのループ。

男女ともに。

 

死にはしないが、それだけだ。

これではまるで働き蜂。

しかし九里の人たちはそれを喜んでる。

 

この20年、どれだけ酷い目を見たのか、想像を絶する。

 

 

九里の町。

昔、役人の町のおこぼれで生きていたというおこぼれ町の人たちは、

口を揃えてこう言う。

刀神リューマ様の生まれ変わり、霜月水雉様が来てからワノ国は平和になった、と。

 

20年前から来たわたしにはとても平和とは思えないが、

今のワノ国の人たちにとっては水雉とやらは救世主のようだ。

 

霜月家の者だが、海の外で育ったらしい。

怪しいものだ。

 

聞いた話だが、オロチを叩きのめし、カイドウとも引き分けたという。

それが本当だとしたらおでん様並みの強者だ。

仲間になってくれるのであれば心強いが、、、

 

 

今のワノ国の状況を確認するのがわたしの任務。

当然霜月水雉の情報は必要だ。

 

なんとかして接触できないかと思っていたら、彼女から会いに来た。

 

定期的に各所を視察しているというのは本当らしかった。

そして、出会って分かった。

強い。

わたしでは敵わない。

 

それとなくオロチとカイドウをどう思っているか確認してみたが、

当たり障り無い発言しか返ってこなかった。

別れ際に三日月のマークが入ったハンカチを渡してきた。

 

これは謀反を把握しているということなのか?

それとも協力するということなのか。

分からない。

 

しかし、わたしたちは既に放たれた弾丸。

今更止まれないし、止まらない。

敵に回るなら斬るのみだ。

例え力及ばなくとも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




噂に尾ひれがついてカイドウと引き分けたことになってます。
普通に負けたのにね。

怪しすぎてお菊に信用されません。
かっこつけて回りくどいことするから。
まあカイドウにバレるよかマシですね。

メタ知識でルフィが勝つって知らなかったら主人公はカイドウに味方するか、
どさくさに紛れて逃げていたでしょう。
それくらいカイドウは圧倒的です。

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