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♪~
(矢作)よう。(桃木)矢作さん。お呼び立てして すみません。
はい いらっしゃい。(矢作)どうも。
桃木 あの時は巻き込んで すまなかった。
(桃木)いや。
今 矢作さんは沖縄料理屋で働いてるそうですね。
お互い あのフォンターナで修業した身じゃないですか。
何で 沖縄なんです?
今度 俺 独立するんですよ。
一緒に やりませんか?俺と共同経営。
共同経営?はい。
今の店の常連が大地主で出資してやるから洋風居酒屋をやってみないかって。
条件は?
俺と矢作さん それぞれ50万ずつ都合つければ すぐにでも契約できます。
(歌子)じゃあ その40万円は信用金庫の坂田さんに?
(暢子)うん。 支払いついでに追加融資を もう一度お願いしてみる。
ごめんね。 本当は 歌子にもバイト代を払わないといけないのに。
(歌子)何 言ってるの。 うちは もともとお金をもらうつもりとか。
(戸が開く音)
(矢作)おはよう。(暢子 歌子)おはようございます。
出汁の確認 今日もやるよな?
あっ… 矢作さん。(矢作)ん?
あの…。(和彦)暢子。坂田さんとの約束。あ…。
すいませんうちたち ちょっと出かけるので。
分かった。
じゃあ 行ってきます。うん 行ってらっしゃい。
(戸が開く音)ありがとう。
♪~
♪「陽の光纏う朝」
♪「開く窓 願う姿」
♪「忘れない 机の前 あなたの場所」
♪「また会えたら話をしよう」
♪「あの日の続きを聴かせてよ」
♪「届いて この歌あなたへ」
♪「降り注ぐ順光線」
♪「照らす背には永久の願い」
♪「『大丈夫ほら 見ていて』」
♪~
(歌子)矢作さん。ん?
ちょっと 買い物に。(矢作)はいよ。
行ってきます。(矢作)うん。
(戸の開閉音)
(戸が開く音)(坂田)あっ あっ…あっ… すいません!
お約束の時間を 間違えてました。
(トミ)はい どうぞ。あっ ありがとうございます。
あっ はぁ…。
坂田さん。はい。
あの ご迷惑をおかけして すみません。いえ…。
あの 今日は 直接お会いして返済とあと 改めてお願いもしたいと思いまして。
(坂田)はあ…。あの あっ まず これ…。
あれ?
どうした?忘れてきたかも。
よっ… 40万を!?どこに?
℡
℡(呼び出し音)まだ 出ない?
うん…。℡(呼び出し音)
あっ もしもし 歌子?
うん どうしたわけ?
℡カウンターの上に 封筒があるでしょ?お金が入ってる封筒。
(歌子)えっ ないよ?何で?
うちも 今買い物から帰ったばかりで。
矢作さんは?
矢作さん… は いないみたい。
(和彦)ない?
歌子が 買い物から帰ってきたら封筒がなくなっていて矢作さんも いないみたい。
(智)矢作が盗んだ。
まさかやー。あれには前科があるだろ。
暢子 行こう!
あっ…。早く!すいません!(坂田)えっ…。
(戸が開く音)すいません すぐに戻ってきます。
あの… いや…。
(戸が閉まる音)
♪~
どこに置いたんだ?
あっ… ない。
ない…。
どうしよう…。(和彦)何でないんだ。
あの男さそれしか考えられない。
まさかやー。矢作さんは そんな人じゃ。
じゃあ 何でない?
それは…。(智)暢子は お人よしすぎる。
泥棒が そう簡単に改心するわけ…。
そんな言い方 やめて!(智)暢子このお店が潰れる瀬戸際なんだよ。どうするわけ 分かってるのか!
分かってる!でも それとこれとは別さ!
うちは 矢作さんを信じてる。
お金とか お店とかよりもそっちの方が一番!
どうしたわけ?
(戸が開く音)
矢作さん。
(智)金 返せ!
ああ 現金入りの封筒置きっ放しにしてただろ?
不用心だと思ったからレジの中 入れといたぞ。
…ったく 金を雑に扱う人間は経営者失格。
ありがとうございます。
さっき その…。
全部 聞こえてたけどな。
すいません 正直 俺は…。だって…。
疑って当たり前。別に 謝ることはねえよ。
♪~
ただいま…。
♪~
帰る。 お疲れさん。
矢作さん。
とても 言いにくいことなんですけど…。
今月分のお給料少し待ってもらえませんか?
信用金庫に追加融資をお願いしたけどどうしても…。
約束を破ってしまって ごめんなさい。
来月も ちゃんと払うことができないかもしれません。
うちの甘い見通しのせいで矢作さんを このまま引き止めることはできません。
本当に ごめんなさい。
店が傾いたら人件費を削る。当たり前だ。
店を立て直すのに俺は要るの? 要らねえの?
矢作さんが辞めてしまったらお店を立て直すことも営業することも無理だと思います。
なら 辞めねえ。この店に残る。
でも お給料が…。(矢作)必ず もらう。
遅れた分は 延滞金も上乗せして きっちり払ってもらうから帳面につけとけ。
俺は 明日からも ここで働く。
矢作さん…。
(矢作)ただし一刻も早く店を立て直すこと。
もちろん 俺もできることは何でもやる。
こっちも 生活かかってるからな。
はい ありがとうございます。
お疲れ。
(智)ごめんなさい!
疑って すいませんでした!
(矢作)おい あっ 人が見てるぞ。
(智)すいませんでした!
あっ 顔上げろって なっ。えっ ちょっ… おい。
(智)独立の誘い?
ああ。 ゆうべ しつこく言い寄られたけど今日 断った。
だけど 暢子の店と心中はしないって。
(矢作)もう二度と 恩をあだで返すようなまねはしたくねえ。
一度 乗りかかった船その船が沈まねえようにできることをやる。
それが きっちりできなきゃ自分の船は持てねえと思って。
頼りねえ船長だけどな。
確かに 暢子は無鉄砲で危なっかしいところもあるけど自分より 相手のことを考える人間です。
決して 仲間を海に放り出すようなことはしません。
知ってるよ。言っただろ 全部聞いてたって。
回想 ・(智)泥棒がそう簡単に改心するわけ…。
・そんな言い方 やめて!・(智)暢子このお店が潰れる瀬戸際なんだよ。
・うちは 矢作さんを信じてる。
お金とか お店とかよりもそっちの方が一番!
うれしかったよ。
絶対に辞めねえ。
いつか あの店を必ず はやらせてみせる。
今日は おごらせてください。
駄目だ。 俺は あの店の料理長。
お前は 単なる出入りの業者。俺の方が 立場は上。
親父 いくら?俺が払いますよ。
いいよ 離せよ。離しません。
離せ。あっ あっ ちょっと あっ ちょっと…。矢作さん。やめろ。 親父 いくら?
(智)親父さん いくらですか?
う~ん… 分っかんねえな。
いや これが悪いとかまずいとかじゃねえんだけど…何て言うのかな。
う~ん 分かります。
軸っていうか 目指すところがはっきりしないから…完全に 迷子になっていますね。
(矢作)そうなんだよな…。
フォンターナの会で 何かヒントをつかめた気がしたんですけど…。
暢ネーネー ちょっと休んだら?
だからね。(戸をたたく音)
(歌子)はい。 どうぞ。
ん?
(優子 良子)わっ!(歌子)はっ…。
わっ!えっ!?
お母ちゃん!良子ネーネー!?
(良子)ドッキリ大成功!(優子)来てしまったさぁ。
アキサミヨー。
アイ すごいね。
元気だった?