渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

キュー先の構造

2022年04月24日 | open
 




この機種のキューの先角の内
部の
構造は、突き通し、所謂
チクワ形状だ。
だが、澄んだ高音を発すると
いう珍しい個体。

先角内部はこうした構造が強度
確保からは望ましい。
シャフト木部が途中までが
ストレートで、半分から先
がネジ切
り構造になってい
る形状。
先端部には逃がしがある。
先角はフタ付の物だ。

構造概略図を私がドローしてみた。
 
うちのクラブで使っていたこの
キューの個体は
新品時から5年間
毎日数時間使われ
続けた。
一般店舗置きではない
ので、全く
壊れていない。
新品の状態に近いが、シャフト
の経年変化は踏んで来て
いる。


この同型
が複数手元にあったので、
一番良い木部
個体をクラブ総意で
私が授受した
際に先角を象牙に
交換した。
その際に特殊な先角固定も試して
みた。
突き通しのパイプ構造
ネジ固定のフタ付き先角の合体
構造。テスト結果は良好だ。

その構造はかなり意味があると
自分なりには推察できる。耐久
性と固定密着度を高める設計だ
からだ。
固定度を高めるためにはネジ切り
による先角固定が優るが、根元の
部分に逃がしをネジ外周よりも
細く設けてしまうと耐久性が一気
に落ちる。
だが、シャフトと先角固定でネジ
切りをするリペア業者は、根元
までネジを切るのはよいのだが、
逃がしをネジ山径よりも細くして
しまい、著しく耐久性を落とし、
また衝撃による先角の首振り現象
を発生させる可能性が大きくなる
構造にしてしまっているのが殆ど
だ。
 
さらに、マルコポーロの特徴とし
てはシャフト材がすこぶる良い事
が挙げられる。ハウスキューの
価格ラインであるのにAAクラス
以上のシャフト材が使われている
のである。
6本あった個体のうち、それぞれ
シャフトの音は異なるが、共通す
るのは自重落下音質確認ではどれ
もが非常に高い音がする事だ。
コーンという木琴音に近いが、
1本のみキーンという超高音の個体
があった。衝くと頗る撞球性能が
高い。
それはスペアリングを作り、先角
は象牙に交換してオリジナル・
カスタムキュー
のスペアシャフト
とした。

異様に詰まった年輪が確認できる。

ただ、フルノーマルであっても、
アダムのマルコポーロはとても
良質なキューだった。
廃番になったのが惜しまれる。
もう、この金額でこの品質の木製
キューは作れないのかも知れない。
20年程前の製品だが、手持ちの
ストックのうち、どのシャフト
も反りは一切生じていない。
大元が現在の海外製廉価キューの
材料とは異なるのかと思われる。

それにしても、先角内部の構造
一つとっても、かなりキュー自
体の性能と耐久性に影響を及ぼ
すものではと思う。
突き通し構造のネックは、接着
剤が殆どシャフトと先角の両面
には着いていない事だ。密着さ
せて押圧入れするので当然そう
なる。
先角はネジ切り式が一番良いだ
ろう。
ただし、完全密着度が高いと
やはり接着はされない道理に
なる。
それは緩みが生じる事だろう。
 

炭素鋼のみの合わせと利器材

2021年12月16日 | open



日本刀はすべて炭素鋼でできている。
広義には心鉄構造の物は中のアンコ
の部分は包丁鉄などとも呼ばれる
が、狭義にはそれも極低炭素鋼だ。

日本の包丁では高炭素鋼(いわゆる
鋼=はがね=刃鉄)を地鉄(じがね)
という低炭素鋼に鍛着させる。
この技法はすでに奈良時代の刃物
には見られた。
高炭素鋼と低炭素鋼を組み合わせる
意味はいろいろあるが、現代におい
て日本刀での高炭素鋼と低炭素
鋼を組み合わせた構造の物を日本
刀の強度を増すため、とか言うの
はすべて間違い。誤認だ。
歴史性を見るとそれは明らかになって
くる。
そもそもが硬軟の炭素量の違いに
よって鋼を予め選り分ける量産性
確保の為に日本刀の組み合わせ
工法は時代的な膨大な軍需情勢
にマッチさせようとした工夫と
して登場した。
それまでの無垢からの途中で工程
をストップできない手間のかかる
工法から、材料を予め炭素量ごと
に平板にしておいて、それを分業
工程で製造できるようにしたのが
日本刀の組み合わせ工法だ。

和式包丁は元来は日本刀と同じよう
な形状だったが、江戸時代に入り、
現在の包丁のようなアゴ部分を
堺の鉄砲鍛冶が刃物鍛冶に転じた
際に発明した。
和式刃物の場合も日本刀の無垢造

と同じく全部高炭素鋼で刀身を造る
本焼きという包丁がある。現代では
超高級包丁としての位置にいる。
高炭素鋼といっても、明治以前は
たたら鋼から作るので、元々が
硬軟入り混じった丈夫な練り鋼だ。
それとは別に、包丁ではカスミと
呼ばれる高炭素鋼に地鉄を鍛着
させた包丁がある。
このカスミが一般的ないわゆる和
包丁では今は多い。
なぜ全鋼にしないのかはいろいろ
な意味がある。
ただし、江戸期には鋼よりも地鉄
のほうが値段がかなり高いという
材料事情があった事は意外と知ら
れていない。
江戸期の実相は「鋼の節約」「増
量材」として戦国時代の大量生産
の図式を説明することはできない。
原初としては地鉄は増量材の意味
もあったが、もっと別な見地から
の採用が存在したと思われる。

ただ、日本の刃物の歴史を見ると、
包丁等の実用刃物でも刀と似た
形状ではあっても、製造の指針の
方向性は戦闘刃物(のちに階級
の象徴や聖的な位置を付与)で
あった日本刀と料理包丁は別な
製法に分岐して来たのが分かる。
正倉院の刀子(とうす)の製法
や古墳時代の鉄刀の製法を即
武士が勃興して以降の湾刀の
構造や製法に直結させる事は
できない。実体からして。
包丁等の刃物は日本刀とは別な
技法的進化をしたとみるのが
妥当だろう。

だが、世の中恐ろしいもので、
日本刀の製造技法は一度江戸中期
に完全失伝した。数十年新作刀の
需要が途絶えた歴史がある事を
学校の教科書には書かれていない
ので、今の日本刀製法があたかも
平安時代から続く製法だと誤認
している人は多く見受けられる。
今の日本刀の作り方は幕末に
一人の刀鍛冶が失伝していた日本
刀の製造方法を復古新刀として
独自研究で開発したその技法の
延長線上にある。
再生復元(かなり怪しい部分も
あるが)技法が現代刀の一般的
な作り方として存在している。

恐ろしいというのは、日本刀鍛冶
以外の刃物鍛冶は古来からの技法
の連綿性を保有していた事だ。
とかく日本刀の刀鍛冶は他の鍛冶
よりも一段どころか遥か上の高位
の存在であると誤認の自認をして
いたのは江戸期も現代も変わらない
ことは現代の状況や江戸期の史料
から伺える。
だが、実態としては、包丁や鎌など
の野鍛冶のほうが古式技法を継承
している部分も多くあった。つい
最近まで。
鎌の泥焼き入れなどはその典型だ
ろう。
また逆にズブなどの焼き入れ法も
部分的熱変態利用として鎌鍛冶等
は行なうが、それも古式古伝の
日本刀製法(山鳥毛など)と共通
している。
卸鉄(おろしがね)の技法で鋼の
炭素量を調節するのも古式刀鍛冶
はこなしていたが、現代刀工では
出来る人は少ない。
だが、野鍛冶たちはつい最近まで
は自在にこなす人も多かった。
高位であると高慢をきめる刀鍛冶
たちよりも、「鍛冶屋の鼻黒」
「鍛冶屋の貧乏」と城下町の子
どもたちに馬鹿にされて吹子祭り
の蜜柑を投げて追い払っていた
鍛冶屋のほうが鍛冶屋として刀
鍛冶たちよりも鍛冶の仕事に精通
していたという事実の連綿性を
最近までの野鍛冶は持っていたの
である。

利器材という物がある。
これは現代鋼の製造メーカーが
工場で鋼と地鉄をフラックスを
使って圧延鍛着させた物で、
鍛冶職が手打ちで鍛造した物で
はない。
現代包丁はすべてほぼ100%に近い
製品が利器材を使用している。

この利器材で、最近出てきた新機軸
の鋼材がかなり出回っている。
それはステンレス(鉄にクロムが
13%以上含有された鋼)を地鉄と
して使用して、真ん中に純炭素鋼
や日立の青紙等をサンドイッチした
鋼材だ。
素人向けに「最高級」とか「日本刀
と同じ構造」とかの宣伝文句で販売
されている。日本刀と同じという
のははっきりいって大嘘だ。
また、最高級というのは別物の
質性を具備する構造体かと私的
には思料する。
問題は、この鋼材、実は非常に良く
ないという現実がある事だ。
圧延鍛着の際の鍛着接着剤のフラッ
クスが悪さをするのか、クロムとの
化学変化がもたらす結果なのかは
カラクリがよく分からないが、異様
な錆び方をするのだ。通常の炭素鋼
の包丁の錆び方とは異なる異常な錆
の発生進度の状態を示すのである。
そして、放置すると、どんどん
食い込みが進行し、露出した鋼の
刃部がアバタになり、朽ちていく。
もうまるで酸性の溶液に浸して
空気に触れさせたようにボロボロ
に鋼が崩壊して行くのだ。
工場利器材と同じ構造である鍛冶
職が鎚で鍛造して鋼と地鉄を鍛着
させた物にはこうした朽ち方は
全く見られない。鍛打による何か
の効力が発生しているか、炭素鋼
同士の鍛着とステン+鋼物との何
らかの差異と推察できる。
目に見えない鋼の動きが目に見え
るように急激に異様に変化する。
(鋼は自然界には存在せず無理
して人間が鉄から作り出した人類
が創造した物体であり、鋼自身は
鉄と同じように自然に戻ろう戻ろ
うと人間の目に見えない所で秒
単位で質性が大気中で変化して
いる。鉄は金のように不動の金属
ではない。日本刀も包丁も人の
肉眼では見えない内部で常に質性
が変化して原点回帰しようと動い
ている。鉄は生きている)

工場生産で炭素鋼とステンレス材
を圧延鍛着させた包丁にのみ、その
異様な出錆と朽ちこみ現象が見ら
れる。
理由は分からない。
ただ、現実的に、鋼をステンレス
で挟んだ工場鋼鋼材の利器材は
鋼がどれもが一様にひどい状態に
すぐに進行するのは事実としてある。
鋼と地鉄の境目のカイサキ部分から
まず錆が発生し、やがて鋼の露出
部分をあれよあれよという間に
朽ちさせて行く。
公にはなってはいないが、何か
重大な致命的な欠陥をステンレス
と炭素鋼の圧延利器材は持っている
のではなかろうか。

包丁を選ぶとき、ステンレスの鋼
挟み込みの包丁は選ばないほうが
いいと思います。
オールステンレスもしくは炭素鋼
オンリー(本焼きもしくはカスミ)
の包丁が間違いない。
別な鋼材では、モリブデンバナジウム
鋼の鋼材の包丁は錆にも強く、炭素
鋼並みの切れ味を持つのでおすすめ。


映画ロケ地探訪4『彼のオートバイ.彼女の島』(1986) その4

2021年12月13日 | open



「彼女の島」を二人でオートバイで
出てからツーリングを続ける主人公
コオとミーヨ。
彼らは何度となく分かれては合流する
気まぐれで戯れの走行をして走って
来た。
そして、最後となる「分かれ道」に
到着した。

コオの横を日産ディーゼル(現
UDトラックス)のセミトレーラ
が走り抜けていく。大きな丸太
を満載している。

ミーヨも止まる。


「この先の橋のたもとにドライブイン
がある。
そこで待ってる」

コオはミーヨに言う。


ミーヨは
「私が待ってる」
と言い、アクセルを開いて加速しな
がら旧道を駆け下りて行く。


本線に合流するコオ。3度目の
分離合流走行の合流地点は「橋の
たもとのドライブイン」だ。


トンネルをアクセル全開。
前傾姿勢を取り伏せて加速して行く。


2021年12月現在の同地点。


そして、旧道を疾走するミーヨの
カワサキと上の新国道を行くコオ
が高低の位置で同時に走る。


場所はここ。


だが、これは非現実的だ。
まず、第一に旧国道184号のこの
旧御調郡木ノ庄町字畑から御調町
字諸原の区間は難所であり、旧道
は離合不能の幅員かつ超ヘアピン
があるため、大型セミトレは第五
輪荷重に関係なく全長からして
通行が不能だ。
多分だが、丸太満載のUDセミトレ
はコオを通り過ぎるシーンの後に
ミーヨの顔アップでカットが変
わっているので、コオの横を通り
過ぎた先で止まり、バックで戻し
て新国道に出してセミトレをいな
くさせてからミーヨ(代役は堀
ヒロコさんか)がオートバイで
走らせた撮影方法と推察できる。

2021年現在の旧国道184号。
広島県廿日市市吉和から島根県へ
抜ける離合不能の国道のように
いわゆる酷道だ。
そして、大曲りと極小ヘアピンが
ある。絶対に大型セミトレの走行
は不能だ。




このあたりから二人の上下二連走
が撮影された。


旧国道はあの上から降りてくる。


新国道の畑トンネルは1977に開通。
これは旧国道の標識。
ということは、これは1977年以前
の道路標識が残置されているという
事だ。
峠の坂道の途中では四輪車は普通車
でも離合できないので、この下り切
った地点で離合するための場所。
ここだけ一部幅員が広い。
あるいは、広島県や岡山県と島根
鳥取の県境の道路によくある四輪車
のチェーン脱着場だ。降雪の際には
チェーンがないと全く登れない程

の急こう配の旧国道だ。


現在この旧国道は、このエリアの民家
の人しか使わないだろう。




旧国道と新国道の合流地点。


新国道のトンネルを二つ抜けて、
コオはCB400フォア(ヨンフォア)
で右の新国道の坂を駆け下りて来た。


撮影場所の等高線入り地図。


この付近の詳細レポートは別項で
アップする。

新国道184号線を尾道方面の南から
北へ山を越えて駆け下りるコオ。




だが、この最後の分離走行のシーン
はあくまで映画作品の演出だ。
なぜならば、新道をあのアクセル開度
と速度で畑トンネルから北に走って
いったら、大曲りのコーナーを抜けて
コオのほうが遥かに先に到達する。

従って、どんなにミーヨが快速の
腕だとしても、このように二台が
重なるような時間帯は発生しない。
現実には。旧道はつづら折れで狭く
時間がかかる。
この図は「絵柄としての演出」と
いう映画上の創作である事が撮影
現地に行くとよく判る。


そうした事は映像作品上の表現と
しての演出なので齟齬には該当し
ない。
映画には映像マジックが多くある。
ここは現在の尾道市木ノ庄から
御調町諸原区間の国道184号線だ。
この北の先には現在は道の駅
みつぎがある。

しかし、映画は創作ファンタジー。
現実には「この先の橋」も無ければ、
「ドライブイン」も無い。
そこで映像ロケは一気に群馬県に
飛ぶ。
国道17号線ぞいの新三国大橋と
付近の有名なドライブイン「一美
(かずみ)」が出てくる。
一気にワンシーンで900kmの距離を
飛んだが、それはそれ。突っ込んで
はならない。「映像作品」なのだ。




ミーヨは来ていない。
おれのほうが先に着いたか、と
いう面持ちでコオはドライブイン
に入って行く。
ここからがこの映画のクライマッ
クスだ。




ミーヨが国道で観光バスを追い
抜かしてバスの乗客たちが驚く
シーンは角川春樹の意向により
大幅にカットされた。本作は
とんでもない量がカットされて
いる。
カットの理由は、同時併催の
角川春樹てこ入れ映画『キャ
バレー』の上映時間と合わせる
と予定時間枠をオーバーするから
とのことで、本作
の監督とスタッ
フや出演者を馬鹿にしたプロデュ
ーサーの意向内容
だった。
大林監督は「それならば本作品
で一番苦労したシーンを丸ごと
ごっそりカットしよう」という
事になった。30分ほども各シーン
がカットされては、本来ならば
映画としての体をなさない。
しかし、大林監督は編集効果で
見事に一編の叙事詩に本作品を
まとめた。
だが、役者は新人二人のど素人
が主役。演技は学芸会以下だ。
1983年当時を知る人たちは、
ドラマでの堀ちえみの「ぐずで
ノロマな亀」の演技を思い出して
もらえばいいだろう。
あれ系。
この映画で一番演技が上手かった
のは、何をおいても田村高廣だが、
このドライブイン一美でのトラッ
クの運転手役の泉谷しげるもなか
なか良い味を出している。

ドライブイン一美は国道17号の
峠のオアシスとして運送ドライ
バーや行楽客に人気があった。
現在廃業。
私は一度だけ高校時代に日光の
中禅寺湖行き
の同級生たちとの
二輪一泊ツー
リングの時に、男体
山のほうから
沼田まで下ってから
三国峠方面
に向かい、ドライブイン
一美に仲間と
立ち寄った事がある。
トラック
多し。店内は結構広い。
トイレはあんまし綺麗ではなかった。

なにより、新三国大橋が凄かった。
走っていると落ちそうで怖かった。
片側一車線複線だが道幅も狭く、

欄干も低い。

新があれば旧もある。
旧三国大橋は旧三国峠の谷にかかる
橋で、現在廃道。
この新三国大橋は140mほどで谷を
繋ぐが、廃道の旧道は約1km以上
かけてこの谷を渡るルートだ。

オフロードバイクでも現在は走行
不能。
山が崩れて道が消滅している
ようだ。

現場探検が好きな方は、ぜひとも
オフ車で現地探査を。夏にね(笑

現在の映画撮影地点。
「橋のたもとのドライブイン」


ドライブイン一美は廃業後は長らく
廃墟として朽ちるに
まかせていたが、
群馬県の有志たちが
リフォームと
屋外での飲食店舗、
幼児児童むけ
遊戯施設を設置して
なんとか復興
化をめざして活動して
いる。
この国道は17号だが、中山道では
ない。中山道は東京板橋から北上
して
群馬県高崎で左折して国道18号
して西進し、碓氷峠を登って軽井
沢を抜けて西に向かう。京都まで。
旧街道というのは海沿いは渡河し

ないとならないので、橋の無い明治
時代以前は山間部の街道を通るの
が一般的だった。ゆえに、幕末
の清川浪士隊も中山道で江戸から
京都に向かった。
ここ国道17号のドライブイン一美
跡地は、ズトンと東京からR17を

真北に直進したような位置にある。


栃木県日光から群馬県の新三国大橋
や長野県へは意外と近い。ただし、
ど外れた山の中だ。
広島県や岡山県などの緩やかな山岳
高原地帯とは違う。
もう山、山、山。山の穴、穴。



映画『彼のオートバイ.彼女の島』
(通称「カレカノ」)では、最初に
なだらかな広島県の三原北部の田園
地帯を走っていながら、少し尾道の
険しい山のトンネルのシーンを入れ、
そして群馬の谷深い山中のドライブ
インへのシーンへと上手く違和感
無いように映像を繋いでいる。
大林マジックが生きている。

この映画は俳優の演技を見る(と
いうか観るに堪えない)作品で
はなく、片岡義男の独白小説を
どのように大林宣彦監督が絵と
してまとめ上げたかを観る映画だ。

俳優の演技としては映画史上最低
ランキングに入るだろう作品だが、
映画の視覚効果としては成功作
だと感じる。

誰か、都内のコオのアパートの場所
と「けた下2.2M」のガード横にある
「道草」の場所を特定してくれ~。

S字のガード下と両側のガードレール
歩道があるのが特徴。
「けた下2.2M」
は実物表示かと思わ
れる。東急線独特の書き方。
ガードも
東急線独特の特徴あり。


じげんりゅうの木刀

2021年09月08日 | open

薬丸どんの自顕流の小太刀だ。
野太刀木刀と共に流派の方からの
頂き物。
私は流派が違うので、これで実際に
稽古はしないが、かなり気に入って
いる。木刀の研究にもなる。
野太刀木刀は丸太棒みたいだ。
武蔵の削った櫂の木刀のように。
薬丸どんのとこの普段の稽古では
ユスの木のただの太枝を木刀とし
て、とにかく奇声とともに横に束
にしたユスの枝を連続してぶっ叩
き続ける。
幕末に薩摩の殿様が「きちがい剣
術なのか?」と気分を害して席を
立った程に、常人らしからぬ長く
高い叫び声を発して叩き続ける。
薬丸自顕流では、音曲の笛と琵琶
の稽古も稽古をする若者の素養とし
て必須であり、それにより武技の
拍子(リズム)と長息の呼吸法の要点
を覚える。薩摩琵琶は弾くだけでな
く、声を出してうたう。祇園精舎の
平家物語のような悠長古雅なもので
はなく、まるで津軽三味線のように
激しく、慟哭を響かせるような音調
と勢いがある。現代風に言うならば、
弦調のアタクック感が極めて強い。

一般的な日本剣道形で使う小刀
(しょうとう)木刀との比較。

昔、ある物切り大会に出た。
自由刀法演武の時、ある参加者が、
真剣を蜻蛉(風)に構え(あれは取って
はいない。構えていた)、「チェス
トー」とはっきりした発音でバリト
ンの音階の大声で叫んでドタドタと
走りながら畳表を切った。
会場からは感嘆のどよめきが上がっ
た。

私は思った。
これは自顕流ではなく自己流だ、と。
素人が生半可な知識のコレクション
を貼り合わせてこしらえてやってる、
と。それに対し、会場のこの賛辞の
どよめきとは、みんな腰に刀を差し
ていながら、ど素人大集合なのか?
と。
本物の猿叫は「チェストー」などと
は一切発声しない。「キィーッ!!」
に近い甲高い雄叫びだ。
今目の前で何か大声だしてドタドタ
やってるのは真っ赤なニセモンに
ごわんど、と思った。

そうしたら、その人が大会優勝した。
ああ、物切り大会なんてのはこんな
もんか、と思った。
爾来、そこの大会には出ていない。
今から30年ほど前の話だ。
世の中ナンチャッテは多いし、それ
を見抜けない人も多い。

左:自作木刀。
自分が属する流派の手さばき刀術も
稽古できるように造形に工夫を入れ
た。
中:一般木刀。娘が中学の時に剣道
二段取得の剣道形の稽古で使用。
日本剣道形の稽古は私がつけた。
普段は木刀での稽古だが、一人稽古
では真剣を振らせて刃筋を覚えさせ
た。
右:一般の市販流派木刀。反り強し。


厚みの違い。
左の私の自作木刀は、二天一流の木
刀を参考に新陰流の木刀の工夫点も
採り入れて、土佐英信流の運刀さば
きに適した造形にした。


鋒(きっさき)部分。


土佐いあいの真剣はまっつぐ過ぎる
程にまっつぐだ。長さは定寸で短い。
あれは幕法を守りながらも、土佐の
流儀の抜刀術を駆使できるように設
定しているのだろうと推察する。
これは妄想ではなく、現実的な現象
を見ての推察。

直伝英信流17代宗家大江先生の刀。
現在は高知の英信流後継者の先生が
所持管理している。戊辰戦争での斬
り合いの痕跡がある。
大阪でのフランス兵との揉め事で、
土佐藩士を介錯したのが大江正路
(まさじ)先生だった。切腹の儀は、
次々と潔く果てるあまりに壮絶見事
な土佐藩士たちの割腹ぶりに、これ
では懲罰にはならんとフランス将官
が途中で中止させた。

ちなみに、1970年市ヶ谷自衛隊基地
での三島由紀夫氏の介錯刀は警察か
ら遺族に返却され、うちのMCの者が
遺族より委託されて所有者登録
て本刀を管理している。

天神峡

2021年07月28日 | open


天神峡。岡山県井原市芳井町。
















古刀備後三原鍛冶の末裔は備中青江鍛冶
の流れの一つと合流して安土桃山以降の
新刀期の鍛冶流派を形成した。
日本史における歴史区分と日本刀史に
おける区分は合致しておらず、日本史に
おける近世の開始の織豊時代は、日本刀
の世界ではまだ「古刀」という期間に分類
する。
「新刀」の開始は慶長以降というのが
日本刀界での定義となっている。
また、日本刀界の概念的区分では、桃山
文化というのは江戸初期まで流れ込む。
そのため、刀装具などでは製作時代は江戸
時代初期であっても、桃山文化の範疇と
して規定する作品群がある、という事に
なる。
そもそも歴史とは、現代の学校の学年の
年度替わりのようなきっちりした区分な
どは存在しない。連綿とした時間の流れ
があるのみなので、時代区分分けは全て
後世の「定義づけ」でしかない。

古刀三原鍛冶と青江鍛冶が合流して形成
された鍛冶集団に苗字を大月とする一族
がいる。
備中国水田に住した。
そして、鍛冶銘を国重と名乗ってから四代
目の国重から作法をそれまでの備後備中伝
から相州伝に転じた。
新刀水田派の一部は大阪や江戸にも移住
して駐鎚した。それのみか、各地を古代
鍛冶のオロチ=オロチョンよろしく転々
と周遊して鍛刀した。
また、備中本国でも水田鍛冶は幕末まで
存続した。苗字は大月のままだ。
幕末には大月源という記録上史上初の
女性鍛冶が誕生している。
幕末の大阪の水田派の池田鬼神丸国重は、
新選組の斎藤一も愛刀としていたとの説
もある。

今では信じがたい事だが、江戸初期の水田
国重のうち、大月与五郎の国重作は大与五
と呼ばれて、江戸期の古剣書を見ると虎徹
興里よりもずっと高額で売買されている。
それほど、出来栄えの良い利刀を水田派は
作っていたのだろう。
一方、幕末の水心子正秀は、水田国重派
を蛇蝎のように嫌っていたフシがあり、
各地で水田国重が折損したという情報を
集めまくって弟子たちと共に嘲笑し、それ
の侮蔑ぶりを記録(刀剣実用論)に残してい
る。正秀、人的性格がかなり悪い。
高邁ぶっていても、弟子に執拗に金の無心
を繰り返していた人物が水心子なので、
推して知るべし、なのだが。
刀鍛冶の中にも、弟子の妻を寝盗ったり、
弟子に自己が属するカルト宗教への入信
を強要したり、執拗なパワハラをしたり、
他人の作の刀で鉄斬り成功とねつ造したり
等、ろくでもないのはいつの時代でも大勢
る。
一方、馬鹿なの?という位に馬鹿正直な
生真面目な刀鍛冶たちもいる。

水心子正秀の場合は、折損事故のあった
国重が果たして正真かどうかの真贋鑑定
など抜きにして、そうした事をやって喜
んでいた。
薩摩藩などはそれを盲信し、家中に水田
国重の所持を禁じた程だった。
虎徹でさえ、存命中にすでに贋物が出回っ
ていた程である。虎徹よりも高額取引され
ていた水田国重の擬物が大量に存在した事
は類推としてまず確実だろう。

しかし、そうした「水田国重は折れ易い」
とする水心子がねつ造した創作話を打ち
消すように、幕末のある志士は断じた。
「国重は折れ易いというが、それがしの
国重は刃ささらの如くなりしも一向に折
ず」と。
実際の剣戟の斬り合いで散々使ってもその
国重は折れはしなかったという事実を示し
た。多分、正真物なのだろう。
また、新選組の斎藤一が池田鬼神丸を使用
していたというのが事実ならば、やはり、
実戦刀として不足は無かった事にもなる。
ちなみに、我が家の家伝刀には備中水田
の山城大掾大月伝七郎源国重作の水田国重
と個人名不詳の水田国重がある。
その国重は、戦後、私の叔父が玩具にし
て、城下からほど近い野山に行って散々
木の枝を切断する切り遊びをした、とい
う。刀身は何ともなかったとの由。
ナカゴ部の重ねは9ミリ程ある。

「水田国重が折れ易い」というのは一概
には言い切れない。
水心子のフレームアップのねつ造恐るべ
し、という実態が実は歴史の中であっ
のではなかろうか。
もしかすると、あたかも日本全国鍛冶宗匠
のような立場にあり、日本刀の製作方法が
途絶えていた時期に全国鍛冶が正秀に弟子
入りしたが、備中水田一門はなびかなかっ
たので、その腹いせかも知れない。
とにかく、執拗に水田国重のみを狙い撃ち
にして水心子正秀は排撃している。記録を
読むと、その尋常ならざる異様さが浮かび
上がって来る。
まあ、現代でも似たような事はあるんです
けどね(笑

その備中水田国重一門が新刀期に住した
場所(現在の岡山県井原市)から10km程
北に上がった所に小田川上流の天神峡が
ある。
さらに上流には「三原」なる土地があり、
付近には鉱山もある。
ここいらも赤目(あこめ)砂鉄の産地だ。
赤目は出雲の真砂砂鉄よりも刀剣作製に
質性が良いのでは、と私は踏んでいる。
備前、備中、備後の刀剣が中世において
実用的に極めて優れた利刀でならしたの
は、原料にも大きなファクターがあった
のではと私は推察している。

そして、かなり瞠目するのが東北の鐵だ。
質性が全く出雲とは異なる。
現代刀鍛冶たちは、日刀保たたらの商品名
「玉鋼」という砂利のような鋼でよく刀の
形にできるなあと感心する。
実際に切る事を一切想定していない現代
美術刀剣という戦後の新ジャンルに属する
からできるのだろうが。
現実的には包丁の刃先のようになり、簡単
に現代刀は折損する。むしろクズ鋼と見下
されている日刀保B2鋼のほうが斬鉄刀が
出来たりする。
これは、金属的に素晴らしい出雲の鋼の
普及によって日本刀が一気に変容して刀剣
としての実用性を著しく欠いた現象が発生
した新刀初期の再現ともいえる。
今の和包丁の刃先はすぐ欠けるでしょ?
それには意味があるんです。物理的、金属
学的な。
介在物は「不純」ではないのよ。特にα系
介在物は。それに方位性を持たせて連結
させると、コンクリート建築の鉄筋と同じ
になる。アンコで別鋼を中にいくら入れて
も刀は駄目なのよ。鋼その物が純過ぎる
と。
土壁だってシュロを中に入れないと崩れて
しまうんだしね。

斬鉄剣作者刀工小林康宏が作刀に用いる
鐵の一部。自家製鐵。




見抜き

2021年02月28日 | open

私の目が確かであるならば、覆面AV
監督「ワントップ」なる人物は村西
とおる氏
であると推察する。
声、訛り、作品展開、切り出し方、
作り込み。たぶん村西監督だろう。

ネット映画として配信中の『全裸監督』
は、かなりの出来栄えで非常に面白かっ
た。相当リアルな歴史描写なのでは。


ネットで犯罪を続ける氷助なる犯罪者
が毒舌お騒がせ元
小説家Mであると
国内で初めて見抜いたのは私
ではなか
ろうか。
本人である限り、ジェイソン・ボーン
やイーサン・ハントのように中身まで
変容する変装をし抜かない限り、その
露出によって身元や来歴は判明する。
本人の特徴は隠し切れないからだ。
判明させない方法は、完全に地下に
潜るしかない。ネットなどに自己露出
している限り、どんなに隠そうとして
も、自己暴露に自分で手を貸すこと
になる。
特殊訓練を積んだ工作員でない限り、
素人はそれを確実にやらかす。
これは欺罔工作としての意図的な露出
や作為的リークとは別の次元の現象と
して現出することが観察される。
特に、国家レベルの陰謀等に対峙なり
関与なりした事がない人間、完全非合法
地下活動等をした事がない人間に限って、
稚拙な露呈をしていながら偽装できた
と脳内確信を犯す。
頭はよろしくない。
識別と区別と弁別とメルクの接点を
見極められないからだ。
ゆえに「頭隠して尻隠さず」になる。
拙劣で馬鹿馬鹿しすぎて話にならない。

まあ、悪魔に魂を売ってはいないの
だろう。ルビコンさえ渡っていない。
単なる馬鹿というだけの存在。
しかし、馬鹿がやろうが誰がやろうが、
ネット上であっても犯罪は犯罪だ。
その犯罪認識性が欠如しているのは、
これは失見当識なのだろう。


心構え

2020年09月10日 | open


自然界を甘く見たヒャッハーネット人の
不幸な事故の報に同世代の若者は言う。
山、川、海でふざけたこと出来るのが
信じられません」

彼は、完全装備で、山海河川に親しむ。




ただ、時々やらかすこともあるようだ。
「ガス缶忘れた!」とのこと(笑)。


「薪拾え」と言っておいた(笑)。

エスビットのこのポケットストーブは
非常に燃焼効率が良く、丼物の湯などは
すぐに沸く。飯盒で飯を炊いても、蒲鉾板
1枚半で炊き上がる。
多分、サイドパネルがリフレクターの役目
を果たし、燃焼効率がアップしているのだ
と推察できる。また、囲い込みによる煙突
効果と、酸素流入の隙間も絶妙なのだと
思われる。
固形燃料もよく燃えるが、エスビットの
ポッケストーブは小さな薪でも最大の効果
を発揮する。小型ストーブとしては世界一
の機能性を持つ超絶設計物といえる。

ナチスドイツ軍にも採用されたこの世界初
のエスビットの固形燃料とポケットストー
ブは、現代においても、その機能性は比類
なきものとなっており、今も各国軍隊で
使用されている。





エスビットが無くなったら、そこらの
木の枝を燃料として使える。


非常にコンパクト。
これは野外活動のパッキングに1個は入れて
おきたいスグレモノだ。


コストパフォーマンス最強ナイフ

2020年08月20日 | open


中国製リアルスチールブッシュクラ
フトプラスよりもコストパフォー
マンスが良いナイフを紹介する。
それがアルティマ ファルコンワンだ。

はっきり言うと、バークリバーのコピー
品だ。
しかしコピーと侮るなかれ。
その完成度はリアルスチール製品にも
匹敵するほどなのだ。
税込み5000円以内。
現在は2000円で購入できる大型シース
ナイフが出回っている程なので、5000円
ちょい安のナイフは高いように感じるが、
とんでもない。
このファルコン1の品質は40000円近い
バークリバーに匹敵する。

厚みは5ミリ、フルタング、ハマグリ刃。
シースは本革で厚みあるしっかりした物。
どこから見ても本格派だ。






高級化粧箱入り。まるでピストルの
箱のような化粧箱に入っている。


究極を意味するアルティメイテッドの
略のアルティマナイブズがブランド名の
ようだ。


製作者は「ブラック・スミス・アウト
ドアーズ・LLC」とあるが詳細不明。

ただし、この連絡先の福岡県飯塚市東徳前
21-6には1970年代には「飛翔塾」という
進学塾があった。現在は市内の別場所に
ある。飛翔塾は進学校の福岡県立嘉穂
高校の元教師など
が講師を務めていて、
昼間部と夜間部が
ある予備校だった。
嘉穂高校は五木寛之
の小説『青春の門』
の主人公しんすけ
しゃんが出た高校だ。
彼は嘉穂高校から早稲田に進学した。
現在、この住所地建物にナイフ製造販売

を為す様子は外観上は見られない。
あくまで製造販売元を秘匿している
ような空気が漂う。

このバーコードラベルを見て読み取る
人は読み取るだろう。いや、バーコード
ではなく。
これは中国製のラベルだ。


姿形、仕上げ等一切問題は無い。


全長220ミリ、刃長110ミリ。
使いやすい長さ=イレブンだ。
バークリバーブラボーワンとほぼ同寸。


ただし、ブラボーワンよりハンドルが
ちょうど10ミリほど短い。これは
ホールドしていても短いと感じる。




取り回し、使い勝手は申し分ない。
バトニングも楔作用を遺憾なく発揮
し、パッと左右に分かれるように
薪が割れる。
また、フェザースティックもかなり
作りやすいし切れ味も良い。
初期出荷状態の刃先の切れ味は、
コピー用紙がスーッと切れていく。


大きすぎず、小さすぎず、手の中に
収まる。すばらしい造作のナイフだ。


日本刀のような分厚さ。


鋼材は440Cとのことだ。
鋼材性能が実践の中で確認されてきた
タイムプルーフされた良い鋼材だ。
ロックウェルは59前後
だろう。




これも気づく人は気づくだろう。
中国製ナイフに多くハメられる切先
カバーが装着されている。


このナイフは「買い」だと思います。
特にナイフマニアではなく、アウトドア
でブッシュクラフトをしたり、キャンプ
をしたり、キャンツー走りをするライダー
たちにはもってこいなのではなかろうか。
コストパフォーマンスに秀でた超安価な
リアルスチールのブッシュクラフトプラス
の金額(約1万円)さえも、このファルコン
ワンならば2本買えてしまう

どないなっとんねん。銃器用みたいな
ベルベットのような内張りで埋め込み式
高級化粧箱まで付いて来て。
この箱にこのナイフを納めて店舗でショー
ウインド
展示ができますよ、いや本当に。
このナイフ、4000円台。さあ、どうだ!


私のこのファルコンワンと同じナイフに
ついてレビューが最近動画で上がった
ようなので紹介しておきます。

【ALTEMA Knives】ぱーくりばーと言う言葉を必死に我慢する

【ALTEMA Knives】ぱーくりばーは実戦に耐えうるのか


文言検索されないように「ばーく

りばー」でさえなく「ぱーくりばー」
としている(笑)。炎上防止対策で
しょうね(笑)。あるいは人喰い。


ただ、謎のナイフというのだけど、この
ナイフリリース者の連絡先ドメイン
登録
者はJR大阪駅前のグランフロント大阪

タワーAの35階の賃貸物件に入っている
人なんだよね。ムラモトシノブさんと
いう。
そして、その35階の850坪にも及ぶ広い
賃貸フロアには、現在はさくらインター
ネットというIT企業が入っている。
ただし、この35F物件は2019年6月14日
時点で入居者募集になっていたので、
さくらインターネットがそこに入ったの
はそれ以降ということになる。
そして、blacksmith.comのドメインは
2019年7月16日の午前3時50分26秒に
取得されている。
ということは、さくらインターネット
さんはドメイン管理会社であり、その
大阪タワーの物件入居後に事業展開で
ドメイン管理代行受諾をしたのだろう。
真のドメイン取得者の個人情報が漏れ

ないために管理会社への委託だろう。
このナイフの真の製造リリース者である
ブラックスミス・アウトドアーズ・
LLCについては不明のままだ。
なぜ秘匿する必要があるのか。
それは、いくら別法人であっても、詳細
に調査すれば足がつくからだろう。
私の推測では、どこかの大手有名メー
カーのOEMを手掛けている企業が、極秘
にそのノウハウを使って製造した製品
なのではなかろうか。
あくまでも販売と購入においては合法
なのだが、製造販売者がどこの誰である
のか特定させないということは、特定
されると困る事情が背景にあるからだ。
表向き店を構えて堂々と製造販売して
いるのではないからだ。
それはスンナリとした背景構造について
の推測だが、さらに深く推察すると、
そうした「謎」に包むことは、もし
かすると販売の意図的なレジェンド
作りの販売戦略なのかも知れない。
ただ、総合的に概括的に検察するに、
前者の理由が本当のところなのでは
なかろうか。

多分中国大陸の業者なのではなかろう
か。この金額で製造販売して利益を
出せるルートとなると、中国かタイ
しかなくなる。ベトナム、フィリピン等
では品質が確保できない。韓国は品質
は向上したが人件費が日本と同じく
高騰したため海外企業は韓国から手を
引いている。
中国以外の企業や人間が中国で製品
製造させても、それは原価コスト低減
による通常価格販売での利益確保の
ためだ。
このナイフのように超絶安値で販売
していては中国人以外の海外企業では
間尺に合わない利益となってしまう。
つまり海外企業がいくら原価が安い
中国で製品を作ろうとも、その安い
原価を反映させた低価格で販売して
しまっていては資本主義的過当競争
には勝てないのである。
中国の強みは、自国の経済的格差
や内実的な未発達性をバックとして
徹底的な「格差社会」をよりどころ
にして大儲けができるところにある。
中国は社会主義でも共産主義でも
無い疑似社会主義的エセ共産主義
国家体制である。格差や差別のある
社会主義や共産主義などはこの世に
存在しない。中国北朝鮮と旧ソ連は
根本的に社会主義でも共産主義でも
ない。マルクスはそんな差別社会は
望んではいなかった。女にすぐ手を
出して腹がコレなのでをやらかす女性
差別者だったが。

このナイフの製造は中国、企画業者
も多分中国系だろう。華僑もしくは
在地大陸中国人。
日本の一大旧炭鉱町である飯塚に
なにかしらの縁がある人物がこの
ナイフプロデュースを手掛けたの
かも知れない。縁があるから飯塚に
連絡先を置いているが実体は無い
ようだ。

いずれにしても「謎のナイフ」だ。
連絡先の飯塚市の当該住所には元塾
の建物しかない。
ナイフの送り元は千葉県市川市の
アマゾンとだけなっており、発送
依頼人の住所も氏名も伏せている。
う~ん、マンダム。じゃなかった、
う~ん、謎ナイフ。
ちょいとそういう謎めいたところが
面白くも感じる。
いいじゃん。
かつて傭兵部隊が持った、シリアル
ナンバーを削り取られたCIAが極秘
で手配して傭兵に支給したFAL小銃
のようで(笑)。
(実際にはもっとえげつない事を
やっていた。実はシリアル削り落と
しではなく、米国内で製造して最初
からナンバリングなど無い自動小銃
をCIAは傭兵に闇で支給していた。
米国はそういうことは何でもやる。
そもそも、ムスリムゲリラのアルカイ
ダに武器供給をしたり訓練して育てた
のは米国なのである。ソ連のアフガン
侵行の際に)

このファルコンワンは、その個体名称
からして極めて軍事色が強く、謎の
傭兵ナイフのようでもあり、かなり
私は個人的には面白く感じている。
実力は、とてつもない。なんだこれ?
リアルスチールガルダリクやブッシュ
クラフトプラスよりも遥かに実用能力
が優れている。
わるいけれど、バックやガーバー等は
とうに性能実力は抜かれてしまっている。
これはすごいナイフだ。
4000円台?
これでは工場製でも1丁3万円ほどする
日本製ナイフなどは廃れてしまう筈だ。
日本人製カスタムナイフなどは、10万円
位は軽くする。
実用ナイフとしては、一切売れないこと
でしょうね。
落としどころの価格帯を狙い定めた
姫路山下の若とキクさんは、アウトドア
ナイフの価格を8万円ほどにしてきた。
狙いどこの金額だろう。
しかし、キクナイフ1本でこのファルコン
ワンが16本買えてしまう。
キクナイフ1人に対して16人がナイフで
楽しめてしまう。
なんだかなぁ。難しいすね、世の中は。

それにしても、このファルコンワン、
かなり面白いナイフだ。ツッコミどころ
はある事はある。
それはフクラの刃道の研ぎに段がついて
いるのだ。フクラの刃道が日本刀の
よう奇麗なRでは
ないのだ。
(日本刀の造形はフクラにこそ物凄い

気を遣う)
これは、ナルメ技法を知らないナイフ
研ぎ屋が動力研ぎしたからだと思う。
仕上げにおける欠点はそれくらいしか
ない。
倉庫なのか何なのか不明である、飯塚

というのも欠点になるのかな。
飯塚ねぇ・・・。いろいろある土地だ
よな。

この「ぱーくりばー」ならぬアルティマ
のファルコンワン(なんだか戦闘機の
コードみたいだ。「ファルコンワンから
ブラボーリーダーへ。右に旋回する」
みたいな)のリリース者のドメインは、
契約満期が2021年7月16日午前3時50分
26秒までとなっている。
もしかすると、短期ドメイン取得で
業者根拠づけして単発で製品をバッ
と売り抜いてパッと消える作戦かも
知れない。
もし、このファルコンワンを買い求める
としたら早期瞬息購入実行が良いかと
思われる。
この手の製品は、出たら押さえておか
ないと単発ロット製造販売で即生産
終了となるからだ。
それは米国で流行の「ショートターム」
というマーケティングであり、日本で
もぼちぼち出始めている。
あくまでも単発売り抜き商法であり、
息の長いロングランのラインナップ
製品とは根本的に異なる製品だ。
これの販売戦略の優位性は在庫を
長く抱えない事(たぶん棚卸さえ
無い)だ。
欠点は、フラッグシップモデルとして
の長期販売品目には該当しないので、
それが企業の顔となる基幹モデル
とはならないことだ。
ファンユーザーの存在さえも無視
するのがショートターム方式の
商法なのだ。短期的品質の満足を
果実とする価格勝負の商品となる。

バークリバーのコピーモデルとも
いえるファルコンワン、買うなら
今だ。
もし売り切れたならば、本家バーク
リバーを買えばよい。
あくまで私の個人的な推測だが、この
アルティマ・ファルコンワンはバーク
リバー・ブラボーワンを手掛けている
中国企業体が極秘に製造販売している
ものだと踏んでいる。
本家バークリバーのナイフ製品が
米国で製造されていると思い込んで
いる人間がいるとしたら、それは
あまりにも世界情勢と現行の資本主義
国の経済構造と現実に無知すぎる。
米国内での製造したナイフを200ドル
程度で販売して人件費を含む利益が
出る訳がない。
かといって、日本の刃物メーカーの
ように、どんどん販売金額を釣り上げ
て収益をしのごうとするのは、確実に
企業体としては生き残れない。
良い悪いの問題ではないのだ。
米軍の被服、軍服でさえ中国製繊維を
使用しているし、日本の自衛隊物品で
さえ原料は中国製なのだ。物によって
は国防物資の製品そのものが中国製
だったりする。
現代はそういう地球構造になって
しまっているのだ。
脱中国、反中国などはもうできない
世の中になっているのである。
レイシスティックに反中国を叫ぶ者が
いるとしたら、自分が履いているパンツ
を見ろ。その綿はどこの綿糸なのか。
そのシルクはどこ生産のシルクなのか。
反中叫ぶならパンツ脱いでフルチンで
物を言え、ということになってしまう。
じゃあ日本人ならば褌だ、としても
大抵の綿糸は中国製だし、絹に至って
はほぼ100%中国産なのだ。
日本で食されるうどんもほぼ100%に
近い量が中国産の原料を使用している
し、大豆もそうなので醤油も元を辿れ
ば中国抜きには存在できない時代だ。
現代は、地球規模でそうなっているの
である。
そして、地球人の7人に一人は中国人
なのである。

2020年時点で、日本製と北欧製ナイフ
以外の洋式ナイフは、地球規模でほぼ
すべて中華人民共和国で製造されている。
日本製ファクトリーナイフは、高額ゆえ
価格面では中国製品に全く太刀打ちでき
ない。
かつてアメリカンナイフメーカーの多く
は品質が優れた日本のメーカーにOEM
を委託していた。バックやガーバーのみ
ならず、ほぼ全米のメーカーが日本の
岐阜県の刃物製造業者に製造を委託し、
メーカーとブランドは米国物として販売
していた。
日本に製造を依頼して品質が向上したの
はハーレーなどの車両メーカーもそう
だった。それによりハーレーは「世界の
ハーレー」となることができた。
だが、ナイフだけに限らず、現在も今後
も、中国が地球規模の産業生産物の主
たる担い手になることだろう。
ナイフのように仮に中国の生産物が
日本やドイツやスイスなみの高品質
となったら・・・。
もはや、地球を実行支配するのは中国と
いうことになる。
そして、米国は決して中国を手放さない。
潜在的な「市場」が物量ベースとして
存在するからだ。
オイルマネーのために米国が中東に戦争
をしかけて権益を奪取することは今後
もあるだろうが、中国に戦争をしかける
ことはこの先もあり得ない。
世界の仕組みはそういう構造になって
いる。
そして、米国は日本に「前線基地」と
しての利用価値があるうちは日本を
切り捨てることはしない。
日米安保というのはまやかしでしかなく、
米国は日本を同盟国として守るのでは
なく、米軍基地を守るために存在する
条約が日米安保だ。
日本の安全とは、米国にとっては米軍
基地の安全と軍事戦略上の防波堤と
しての意味しかない。


映画 「釣りバカ日誌」のみち子さん

2020年07月26日 | open



映画「釣りバカ日誌」の全22作品を観た。
全編を通して観て、一つ分かった事が
あった。
それは、これまでは「釣りバカ」シリーズ
では、浜ちゃんの奥さんのみち子さんは
絶対に石田えりさんに限る、と思っていた
のだ。
その見方が変わった。
変わったというか、分かった。
これは別キャラなのだ、と。

石田えりさんのみち子さんは、まるで恋人
にしたい、奥さんになってほしいような
女性を石田えりさんは演じ切っているの
だ。映画の中でのみち子さんが物凄く
魅力的だ。女神のように。


一方、浅田美代子さんのみち子さんも
かなり可愛らしいし、魅力ある。
ところが、浅田みち子さんは、恋人や
お嫁さんになってほしい感じではなく、
良いお母さんになって欲しいような
みち子さんを演じているのだ。
これはハマちゃんとの掛け合いでも
色濃く出ている。「女」を感じさせない
そういう優しさ。石田みち子さんのよう
なドキッとさせたり、ハッとさせる
ナチュラルな色気は無い。


しかし、素晴らしかった石田えりさん
のみち子さんは、あることにより降板
となった。
それは、すーさん役の三國連太郎さん
が石田えりさんに惚れてしまったのだ。
役ではなく個人的にプライベートに。
で、かなりアタックしたのだが、石田
えりさんは振り向かない。
どうなったかというと、三國さんは
強権発動で石田さんを降板させてしま
ったのだ。
三國さんのその変化は演技にも出て
いた。
1994年夏公開のスペシャル版では
三國連太郎のすーさんは全編でその
作品のみ髪を黒く染めて若作りして
いるのだ。
これは役柄の演出ではなく、プライ
ベートでの何かの心境の変化だったと
今になると推察できる。
だが、同年1994年12月公開の95年正月
映画の『釣りバカ日誌 7』では、石田
さんはいなくなり、浅田美代子さんが
みち子さんになっていた。
スーさん三國はまた髪が白く戻って
いた。

人気ほのぼの映画作品に、現実世界では
ドロドロした恋愛裏話があったのは多少
作品世界を壊すのだが、映画に限らず、
ドラマでも殆ど共演者同士が恋仲になる
のはこれは人の常だ。社内恋愛のような
もの。一番近場にいる人間に一番目が
行くというのは人のサガだ。
特に俳優は男優も女優も表現者である
ので、その演技での仕事ぶりや、スタッ
フへの気遣いや素の人柄にほだされて
相手を好きになってしまうケースが
ゴマンとある。
ある女優は言った。
共演者のことは必ず大好きになる。
本気の恋愛をしないと本気の演技など
できない、と。
そして、撮影が終わったらその恋も
ピタリと終わるのだという。
そういうものかな、とも思う。

今回、全編を通して『釣りバカ日誌』を
鑑賞して、石田みち子と浅田みち子は
別な魅力があるのだと気づいた。
では、君が結婚したいとしたらどちら?
と問われると・・・
う~ん・・・両方(笑)。
あ、うちにはもうみち子さんがいたの

だった(笑)。



炭素鋼でのストック&リムーバル工法 ~ナイフメイキング~

2020年06月02日 | open

Making a Knife: The Bushcraft Woodlore Clone


外国人による炭素鋼の削り出し工法
でのナイフメイキング動画だ。
ステンレスの特殊鋼ではなく、炭素鋼
ならば
簡易炉での熱処理も可能だ。



ちなみに、鍛造工法の場合は、焼き純しと
焼き
均しは絶対に必要だ。焼鈍(しょうどん)
しないと内部残留エフェクトの影響で、その
まま作業を進めると鋼がとんでもないことに
なる。

また、熱処理におけるコーナーエフェクトの
影響を最小限
にするために、角部はすべて
丸くさせて
から焼き入れしたほうがよい。
特に刃先。

油冷ではなく水冷での冷却の場合は尚更
それをやったほうが安全だ。
焼刃土(炭粉+土+大村砥+α)を用いる場合
は、刃先の厚みは10円玉ほど残しておけば
焼き割れの可能性も低くなる。
他にも熱源により脱炭の問題も出てくるの
だが、それは割愛。

きちんとした工程を経れば、松炭+七輪で
あろうと炭素鋼の焼き入れは可能である。
楢炭の場合は、あまり芳しい結果は得られ
ない。強くもほんわりとしたクロマツの炭
が炭素鋼の焼き入れには最適だ。
私の場合、ナイフ大の小物の場合は、かなり
小さ目の炭に炭切りして、消し炭を作って
から田楽(おんぼう)で焼く。

ちなみに、古典落語の「目黒の秋刀魚」は、
おんぼう焼きをした目黒の民家の秋刀魚が
ことのほか美味であったというものだ。
炭火に完全に埋める焼き方は隠亡とも御坊、
煙亡とも記すもので「忌むべき下賤なる者
たちの魚の焼き方」として殿に食されるな
と家老が進言するくだりがあるが、現代
ではそのあたりは差別性を伴うのでカット
されて「目黒の秋刀魚」は演じられている。
しかし、現代においても、魚の内臓と血あい
を取り出してたっぷりと塩を振り、さらに
塩の中に埋めるようにしてホイルで包んだ
ものを焚火の下の土中に埋める焼き方は
極上の魚の味を出す。御坊だからどうだと
かいうのは関係がない。
それでも、日本刀界において刀身を完全
に炭の中に埋めて微弱風を送るだけの
田楽焼きが忌避されてきたのは、一つには
刀剣界に存在する差別観というか睥睨観が
あったのではなかろうかと推測できる。
ところが、佐賀県士族出身の今泉刀匠は
田楽炉で焼き入れをしていた。
これは長船刀剣博物館敷地内にある今泉
記念館にその現物が展示されている。
オープン炉で刀身をグリグリやって酸素
に触れまくらせるよりも、良い結果が出る
こともあるだろう。

刀工初代小林康宏はオバQのような形の
雪国のカマクラのような形状の炉を使っ
ていた。
送風管は左右二箇所から送風できる仕組み
になっていた。
一般的な日本刀を観賞すると、差し表と
差し裏で働きが大きく異なる作品を時々
見かけるが、それはオープン炉を使用して
刃を上にして焼き入れ加熱している際に
左側からの送風により炉内の部分的な
エリアの温度が上がるために刀身の
差し裏のみが激しい熱変化をみせる
現象の現出と私は推察している。
幕末の源清麿(すがまろ/誤読により
「きよまろ」が慣例化している)の
正真作を手に取って観賞すると、差し
裏が激しい働きの作となっていることが
観察できる。
たぶん、清麿はオープン炉を使い、左側
の片方送風の現代と同じような炉の形式
で刀を焼き入れしていたと推測できる。

炭素鋼は奥が深いが、焼き入れ焼き戻し
自体はさほど難しい作業ではない。
しかし、適切な熱処理の「温度読み」が
できないと成功は難しい。
オーステナイト化により非磁性となる
ので、刀身に磁石をくっつけるのは一つ
の手であるが、そんなことをする鍛冶は
ほぼいない。刀身の温度を目で見て感知
する。
その際、炉を見続けると、目は低い温度と
勘違いするので、炎を見続けないほうが
よい。変態開始温度は存外赤い。醤油の
キャップよりも少しだけオレンジがかる
程度の赤味だ。
みかん色やレモン色まで焼いてしまっては
デッドスティール寸前になってしまう。
そうなると馬鹿鉄となり、それで刃物の
形に作ってもポロポロとビスケットのよう
に刃こぼれする。内部の粒子が肥大化して、
なんといったらよいか、鋼内部の組織の
互いの結合力が減少するような状態に
なるからだ。
この問題は鉈などの鍛冶職は実用刃物鍛冶
であるので現代刀鍛冶よりもそのあたり
のキモは心得ていて、決して高温鍛錬と
高温で焼くようなことはしない。実用性を
重んじる鍛冶は、確実に変態点を上回った
あたりを外さずに焼いて急冷させる。
冷却においても、水温・湯温が一定である
よりも、最初と中程と最後の冷却速度を
変えるという焼き入れのほうが冶金的には
適しているが、ただの真水の清水だと
これは難しい。

そのあたりは各鍛冶職が独自の工夫を
してノウハウを蓄積している。
この冷却のノウハウは非常に重要な情報
となる。
日本刀寓話では、弟子が親方の焼き入れ
の湯温を探ろうとしたらその手を切り落と
したなどという創作譚もあるほどだが、
それほど重要なものとなっている。

17℃のぬるま湯に変態点以上に加熱した
炭素鋼を一気に投入すれば、誰でも焼き
入れはできる。
焼き戻しは180℃あたりにする。300℃は
脆性が増すので避ける。
これらはすべてテンパーカラーを見て
判断するが、そのテンパーカラーも
加熱保持時間によって変動するので、
経験を積まないと「なにがどうなって
いるのか」が把握できないことになる。
さらに、真水は30℃以上の温度となると
焼き入れは不能となる。これは物理的に。
そして、刀身に「映り」を出すには、
熱処理のみで出すことができる。
地錵(ぢにえ)の場合も熱処理によって
発生するが、意図的に地錵を出すことは
できない。こちらは主として鍛造過程の
如何にかかってくる。

炭素鋼は奥が深い。
簡単に焼き入れができるが、高度な表現
も可能になるほど複雑な素質も鋼自体が
持ち備えている。
炭素鋼は面白い。
できることなら、炭素鋼は鍛造での製作
による刃物が望ましい。
その頂点は日本刀だろう。
ただ、日本刀の場合、刃物という概念は
とうに大昔のこととなり、「鉄の芸術」と
まで呼べる領域に昇華している。
日本刀と向かい合うと、鋼と真剣に取り
組んだ刀鍛冶の努力が見えてくるので、
そこがまた観賞の楽しみの一つともなって
いる。




コールドスチール

2020年05月30日 | open


コールドスチールのナイフの品質はいい
なあ、なんて思っていたが、製造は日本
と台湾だ。
実は台湾製品は刃物もそうだが、良い物
がかなりあったりする。
トイガンの世界でもそうで、大陸本チャイ
ナよりも台湾製品のほうが比べ物になら
ない程良かったりすることも多い。
香港も良い製品を作る。
台湾と香港の共通点。
それは資本主義体制ということだ。
香港は中国に返還された後は中華人民
共和国となったが、特別経済特区として
資本主義的な体制のままとなっている。
資本主義はいろいろ根源的な問題が多い
体制だが、素晴らしい面がある。
それは、競争原理を導入しているので、
医療分野や産業面でノラリクラリとは
しない事だ。もっと良いものを、より
良いものをと人が努力する。
これが、社会的な全補償状態になると、
人は怠けてしまう。
また、一見社会主義のような疑似体制に
したとしても、その根本を間違っている
一部の党幹部のみが利益を独占する
う資本主義よりも始末の悪い腐敗体制
なる。
当然にして、思想信条の自由も基本的人権
の尊重も存在させなくする。
そして、国家が平気な顔してバンバン同
国民を虐殺し始める。
それが疑似のエセ社会主義国。

人が作った製品で、良い物は良い。
これに国は関係ない。
でもってだ。
ナイフ好きな人たちの良いとこ。
それはナイフ単位で考えるんだよね。
国とかではなく。
フィンランドだろうとノルウェーだろうと
北米だろうと台湾だろうと中国だろうと。
日本製が品質的には頭抜けているのは確か
であるのだけど、ナイフ本体でナイフファ
ンは選ぶ。
それって、案外いい文化だと思う。

ところで、中国製でもブローニングナイフ
のOEM担当の製造所は、なんであんなに
ビシッとした品質で作れるのでしょうね。
なんかカラクリがあるのだろうけど、
ブローニング以外でも、「ああ、これは
同じ製造所で作られたなあ」と推察でき
る無名ブランドの中国ナイフも最近では
多く出て来ている。
え?その値段で?と、ぶったまげるような
価格で。ニッカトなどもそれだ。
ここ数年で中国製ナイフの品質はかなり
向上している。
「高い物=高品質」ではないのだが、
「高品質=高い物」でもないことは昔から
の定理であった。それをよく理解していな
い資本主義国家の国民は簡単に売り手に
乗せられていたが。
しかし、ここに来て、「破格の超低価格
ながら高品質」というありえない図式を
中国が実現し始めている。
IT業界ではもうかなり進んでいるが、
原始的道具である刃物の中で洋式ナイフ
については、廉価ながら上等な品質、と
いう物が登場し始めている。

これなどはその典型のモデルだ。


多分だが、NCマシンを駆使しているの
ではなかろうか。極めてクオリティが
高い。このブローニング277で外れ個体
を見たことは無い。
ガチンコ中華パワー、恐るべし。 

刀装具の画題

2018年04月01日 | open





大学生になって刀術を始めるお子さんのために模擬刀をリサーチ
しているお父さんから、ある模擬刀の標準仕様について「龍図の
金具と菖蒲の鍔というのは何だろう」という話題が出た。
私はこれは「五瑞の合わせでは」と即答したが、果たして合っている
かどうかは分からない(笑)。

画題では、文人画などでは五瑞という概念がある。
ちょっと調べてみた。

これは中国の天子が公・侯・伯・子・男の五等の諸侯に賜ったとされる
瑞玉に始まり、瑞相としての画題では文人画に五瑞が多用された。
植物おいては、葵(あおい)、菖蒲(しょうぶ)、蓮(はす)、柘榴(ざくろ)
および枇杷(びわ)を五瑞とした。
これとは別に、漢代に黄龍、白虎、喜楽、甘露、木連理を五瑞とした
ことも、画題設定の際には関連して来るだろう。
その五瑞については、以下だ。
黄龍・・・こうりゅう。五行思想に現れる黄色の竜。黄金に輝く竜との
異説あり。
白虎・・・びゃっこ。中国の伝説上の神獣である四神の一。五行説では
白は西方の色とされ、白虎は西方を守る。
喜楽・・・きらく。中国の戦国から漢代に発生した黄老思想の中の一。
甘露・・・かんろ。古代中国で天子が仁政を行なった治世に天が降らせた
という甘いツユ。
木連理・・・もくれんり。中国における祥瑞(しようずい)の一。根や幹は
別々だが、枝がひとつに合わさっている樹木。『白虎通』封禅篇では、
王者の徳のめぐみが草木にまで及ぶ時、朱草や連理の木が生ずると
してある。別意は男女の契が深い仲の喩え。日本では『続日本記』の
大同年間の出典が初見。

まあ、武士は中国故事の瑞相をつとめて好んだ。
龍図と菖蒲は、黄龍(おうりゅう、とも)と菖蒲=勝負の掛け合わせ、
「五瑞の合わせ」であろうと私は推察している。
あながち、外れていないと思うが、詳しいことは美術史の学識経験者
に尋ねたほうが正確かも~(^^;

まあ、なんといっても、中国は今はあんな国になってしまったけど、
古代中国は世界大文明の一であるので、理知的な思想等も世界
トップクラスの叡智を備えていた。「中華=世界の文化は我らから
始まる」とする思想の通り、その学問や哲学的深さは地球の中で
突き抜けていた。西方なら古代ギリシアのように。

龍と菖蒲の合わせ画題は、哲学思想からすると違和感は無いと
私は思います。
ただ、龍は龍で、いろんな龍があって、これまた意味が深い。
絵描きさんというのは、特に日本画や南画を描く人たちは、こうした
中国故事にも精通していたのだろうなぁ。
ということは、日本刀の刀装具の職方たちも、絵師と同じく一般的な
常識的学識としていろいろ知っていたということだよね。
絶対に現代社会のあたしたちのほうがバッカ~ンのような気がする。