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みなし残業の仕組み6選|みなし残業の概要や注意点についても解説

その他 更新日:2022.07.28
エンジニア採用
みなし残業の仕組み6選|みなし残業の概要や注意点についても解説

みなし残業とは

みなし残業とは、賃金や手当ての中にあらかじめ一定時間分の残業代を含ませておく固定残業制度のことです。

みなし残業では毎月あらかじめ指定時間分残業していると定めて、その分の給与が支払われます。外回りの多い営業職など、雇用側で社員の労働時間が把握しにくいケースに適用することができる制度となっています。

みなし残業を採用することにより、企業は従業員の労働時間の管理がシンプルにできるメリットがあります。

法律におけるみなし残業の種類3つ

法律におけるみなし残業の種類をご紹介します。

近年ブラック企業や長時間労働などの話題も聞かれるようになり、みなし残業についても多く取りあげられています。

しかしみなし残業は、法律によって適用できる職種が限られています。ここでは法律におけるみなし残業の種類3つをご紹介しますので、どのような種類があるのか参考にしてみてください。

法律におけるみなし残業の種類1:事業場外労働

事業場外労働とは、労働時間算定が困難な職種にみなし残業を採用できることです。

労働者が業務の一部もしくは全てを事業場外で行っている場合、雇用側での労働時間の算定義務を免除することが法律で認められています。

たとえば、営業職は労働時間の把握が難しいため、みなし残業を採用することができます。適用条件としては、会社の外での労働、会社の指揮監督が及ばない、労働時間の算定が難しいという3点を満たす必要があります。

法律におけるみなし残業の種類2:専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制とは、業務遂行の手段や時間配分などを従業員の裁量に委ねる必要がある場合にみなし残業を採用できることです。

専門業務型裁量労働制では法令で定められている19業務の中から、対象となる業務に従業員を就かせた場合に適用できる点がポイントとなっています。

たとえば、システムコンサルタントは専門業務型裁量労働制の対象業務ですが、従業員がその業務を行っていなければみなし残業の対象になりません。

法律におけるみなし残業の種類3:企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制とは、企業本社などで企画や立案、調査分析などを行う従業員に対してみなし残業を採用できることです。

企画業務型裁量労働制では、企画立案などを行う対象の従業員が事業運営上の重要な決定がなされる本社や本店の事業場で働いていることがポイントとなっています。

そのため、対象業務は明確に定められているわけではありませんが、ホワイトカラーの業務であれば該当するということではありません。

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みなし残業の仕組み6選

みなし残業の仕組みについてご紹介します。

みなし残業は、ここまでご紹介した法律におけるみなし残業の種類に当てはまっていれば問題なく適用できるというわけではありません。

ここではみなし残業の仕組み6選をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

みなし残業の仕組み1:従業員の個別の同意を得る

みなし残業を採用するには、従業員から個別の同意を得るか全体への周知が必要となります。

みなし残業は従業員にとって重要な賃金に関わる規則です。そのため、採用する場合は従業員の個別の採用契約書などにみなし残業の金額や時間を明記する必要があります。

また、従業員全体へ周知する場合でも、単に就業規則に記載しておくだけでなく、すべての従業員がすぐに就業規則を確認できるようになっていることが重要です。

みなし残業の仕組み2:金額と時間を明確に記載

みなし残業を採用するには、みなし残業に金額と時間を明示しておくことが必要となります。

みなし残業が企業のルールとなっている場合、就業規則に従業員が受け取る給与のうちどこまでが基本給でどこからがみなし残業代なのかを明示する必要があります。

また、時間に関しても、時間外労働何時間分なのかを明確に記載しておくことが推奨されています。金額が具体的に記載されていない場合は違法と判断されるケースもあります。

みなし残業の仕組み3:固定給に残業代が加算されている

みなし残業とは残業代があらかじめ固定給に加算されている労働契約のことです。

基本的なことですが、みなし残業とは固定残業代とも呼ばれており、固定給に最初から指定の残業代が含まれています。

しかし従業員にとっては、いくら残業をしても給与が変わらないというイメージもあります。そのため、前述のとおり個別に周知をして事前に同意を得ておくことが重要です。

みなし残業の仕組み4:固定残業代を減らせない

みなし残業で定めている残業時間よりも実労働時間が短い場合でも、固定残業代を減らすことはできません。

実際の残業時間にかかわらず、みなし残業代として定めている金額は全額支払う義務があります。そのため、たとえみなし残業の対象となっている従業員がまったく残業をしていなかったとしても、残業が発生していないからといって残業代を減らすことはできません。

みなし残業の仕組み5:残業代を別途支払う

みなし残業で定めている残業時間よりも実労働での残業時間が長い場合は、追加で残業代を支払う義務があります。

実際の残業時間がみなし残業時間を超えた場合は別途残業代を支払う必要があります。そのため、みなし残業代としてあらかじめ固定給に残業代を足して支払っているからいくらでも残業をさせて良いというわけではないことには注意が必要です。

みなし残業の仕組み6:固定残業時間の枠

みなし残業での固定残業時間には特に上限は設けられていません。

固定残業時間に対して固定残業代が最低賃金を上回っていれば、その月の残業時間は問題ありません。

しかし「労働者に残業をさせる場合にはあらかじめ労働組合と協定を結ばなくてはいけない」という「36協定」で規定された内容から、1年間で見た場合に上限45時間までに設定されていなければ、労働基準法違反になる可能性があります。

みなし残業の注意点5選

みなし残業の採用には注意点もあります。

みなし残業は定額残業となる便利な仕組みですが、正しいルールを守って適用しなければ違法になるケースがあります。そのため、みなし残業を採用する場合は事前にいくつかの注意点を押さえておきましょう。

ここではみなし残業の注意点5選をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

みなし残業の注意点1:みなし残業分と実労働時間の差

残業時間がみなし残業時間と比較して明らかに多い場合、未払い残業代が発生していることになります。

みなし残業は想定している残業代をあらかじめ固定給に含めて支払う制度となっているため、残業時間は支払われている時間内で行うことが前提です。

そのため、実際の残業時間がみなし残業分とかけ離れて多いと未払い残業代が発生していることになり、違法と判断されるケースがあるため、追加の残業代を支払う必要があります。

みなし残業の注意点2:給与明細に金額と残業時間数が未記載

給与明細にみなし残業代の金額と残業時間が未記載になっていると違法と判断されるケースがあります。

前述の就業規則の項目でも解説したとおり、みなし残業代と残業時間は明記されている必要があります。

そのため、従業員へ渡す給与明細にみなし残業代の金額および残業時間数が明確に区別されて記載されていない場合、違法となり残業代の支払い命令が下される可能性があります。

みなし残業の注意点3:みなし残業代を基本給に含めて考えている

給与明細にみなし残業代を基本給に含めて記載していると、違法と判断されるケースがあります。

前述のとおり、給与明細にはみなし残業代と時間を明記する必要があります。しかし実際には、給与明細や求人情報などに記載する基本給にみなし残業代を含めて表記している企業もあります。

みなし残業を採用する企業は賃金表記を行う場合は基本給とみなし残業代を分けて記載することが求められています。

みなし残業の注意点4:割増賃金の明記がない

みなし残業を採用する場合、就業規則にみなし段業代がどの割増賃金に該当するのか明記する必要があります。

就業規則にみなし残業代がどの割増賃金にあてはまるか明記していない場合、裁判所では違法と判断される可能性が高いです。口頭のみで伝えてみなし残業を導入することはできない点には注意が必要です。

みなし残業の注意点5:基本給の減額は同意書が必要

みなし残業を採用するにあたって基本給を減額する場合は、従業員の同意書が必要になります。

基本給を減らしてみなし残業を導入するケースもありますが、その場合は、従業員全員から同意を得る必要があります。仮に同意を得ずに基本給を減らした場合、違法になる可能性があります。

みなし残業代を決めるための3つのポイント

みなし残業代を決めるためのポイントをご紹介します。

みなし残業は運用方法によっては違法になりやすい制度です。そのため、みなし残業を採用する場合は違法にならないようにポイントを押さえてみなし残業代を決める必要があります。

ここでは最後に、みなし残業代を決めるための3つのポイントをご紹介します。

みなし残業代を決めるためのポイント1:月45時間以内

みなし残業は月45時間以内に設定するようにしましょう。

前述の労働基準法第36条にもとづいた「36協定」では、残業時間数は月45時間以内と定められています。そのため、月45時間を超えてみなし残業時間を設定し、みなし残業代を支払ったとしても、裁判所によって無効と判断されてしまうでしょう。

みなし残業代を決めるためのポイント2:最低賃金に気をつける

みなし残業代の採用にあたり基本給を減額する場合は、最低賃金を下回らないよう気をつけましょう。

みなし残業を採用する場合は、労働基準法で定められた最低賃金をクリアする必要があります。そのことを踏まえて、基本給を減額する必要がある場合でも労働基準法で定められた最低賃金を下回らないようにしましょう。

みなし残業代を決めるためのポイント3:金額と残業時間数を記載する

給与明細にはみなし残業代の金額と残業時間数をしっかりと明記しましょう。

前述のとおり、みなし残業代の金額と残業時間は区別して記載する必要があります。そのため、たとえみなし残業代を支払っていても、給与明細に区別して記載していなければ、残業代未払いとして裁判所から残業代の支払い命令が下される可能性があります。

みなし残業の内容を理解しよう

みなし残業は企業にとって従業員の労働時間の管理をわかりやすくできる労働制度です。

しかし適切なみなし残業の運用を行わなければ、残業代の未払いや違法であると裁判所に判断される可能性もあります。

ぜひこの記事でご紹介した法律におけるみなし残業の種類やみなし残業の仕組み、みなし残業の注意点、みなし残業代を決めるためのポイントなどを参考に、みなし残業という制度について理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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