おみくじには「神さまからのアドバイス」がいっぱい詰まっているそうです。開運につながる引き方や見方、さらに全国の個性的なおみくじを、国文学者で、成蹊大学教授の平野多恵さんに紹介していただきました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)
【出演者】
平野多恵さん(国文学者)
<プロフィール>
1973年、富山県出身。お茶の水女子大学を卒業。東京大学大学院博士課程単位取得。日本中世文学、おみくじや和歌占いの文学史 などを研究。著書多数。
おみくじには「神さまからのアドバイス」がいっぱい詰まっているそうです。開運につながる引き方や見方、さらに全国の個性的なおみくじを、国文学者で、成蹊大学教授の平野多恵さんに紹介していただきました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)
【出演者】
平野多恵さん(国文学者)
<プロフィール>
1973年、富山県出身。お茶の水女子大学を卒業。東京大学大学院博士課程単位取得。日本中世文学、おみくじや和歌占いの文学史 などを研究。著書多数。
――私も今朝、神社でおみくじを引いてきました。いろいろ書いてありますが、どう見たらいいのかしら?
平野: | 私の見る順番は、①和歌、②その訳・解説、③項目、④吉凶です。一番大切なのは、神様のメッセージが書かれている和歌なんです。②は、和歌のメッセージを読み解く手助けみたいな部分です。③は、自分が知りたいことが具体的に書かれています。④の吉凶は、内容のラベルみたいなものなので、あまり気にしなくてもよいでしょう。また、お寺のおみくじは、和歌が漢詩になっていますが見方は同じです。 |
---|
――和歌はどのように解釈したらよいのでしょうか?
平野: | 和歌の部分をじっくり読んで、心に残る文字・フレーズ(キーワード)を見つけます。キーワードを見つけたら、その意味を考えます。イメージが浮かんできたら、それが神様からのアドバイスです。自分自身を導く手がかりが含まれているので、そのイメージを広げて、運気アップのカギをみつけましょう。 |
---|
――どうしておみくじを研究しようと思ったのですか?
平野: | 子どもの頃から占いが大好きでした。大学教授になってからは、学生たちに古典文学に興味をもってもらいたくて、おみくじを研究していたところ“おみくじってスゴイ!”と気付いたんです。 |
---|
――どんなところがスゴイのですか?
平野: | まず神仏のお告げである点。そして、占い師の人に何か言われているのではなく、自分で選んで、自分で解釈している、つまり自分自身が占い師ということです。これは、他の占いにはない点なんです。 |
---|
――平野さんのおすすめの神社はどこですか?
平野: | 和歌のおみくじは、東京都渋谷区の明治神宮です。吉凶はなく、明治天皇・昭憲皇太后(しょうけんこうたいごう)が読んだ和歌のみです。おみくじを入れるフォルダーももらえますよ。また、長野県長野市の戸隠神社のおみくじは、引く作法が独特で、神職が祝詞を唱えた後、おみくじを渡してくれるので、ありがたみが増す感じがよいです。 |
---|
――お寺のおみくじはどうですか?
平野: | お寺だと、東京都台東区の浅草寺と、滋賀県大津市の比叡山延暦山寺ですね。お寺のおみくじは、中国南宋代(800年以上前)に作られたものが日本に伝来し、江戸時代に大流行しました。これが現代まで継承されているんです。また、お寺のおみくじは「凶」が多めで、特に浅草寺はおよそ3割が凶だといわれています。 |
---|
平野: | 厳密には決まっていませんが、おみくじを引く前には参拝してください。 |
---|
――お願いの仕方は?
平野: | 例えば「私は幸せになれますか?」という漠然としたものではなく、「〇〇さんに告白してもいいですか?」「今、転職していいですか?」など具体的に質問のカタチでお願いしましょう。さらに、今の自分の状況、これからの目的・課題、悩みの内容なども加えて、質問するとよりよいでしょう。 |
---|
――結果が良くなくて、もう一度引くのはどうなのですか?
平野: | 神さま、仏さまを信用していないことになるから、基本的にはやめた方が良いでしょう。 |
---|
【学問】
平野: | 有名なのは、菅原道真を祀った太宰府天満宮(福岡県太宰府市)と北野天満宮(京都市上京区)です。また、学問の神様として、二宮金次郎(二宮尊徳)が祀(まつ)られている報徳二宮神社(神奈川県小田原市)もオススメです。ここのおみくじには、金次郎がVサインしたイラストが描かれていて、悪いおみくじを引いた場合は、おみくじに悩み事を書いて神社に納めてお祓(はら)いをしてもらえる、アフターケアもあるんです。 |
---|
【恋愛や良縁】
平野: | 成田山新勝寺(千葉県成田市)の「良縁みくじ」です。ここには縁結びの愛染明王が祀(まつ)られています。また、島根県松江市の八重垣神社の「鏡の池うらない」もおすすめです。 |
---|
【金運・商売繁盛】
平野: | 福岡県福岡市の十日恵比須神社の「めで鯛(たい)みくじ」は、鯛のカタチのおりがみのくじで、和歌は書かれていませんが、項目が博多弁で書かれています。兵庫県西宮市の西宮神社のおみくじは、黄金の紙に書かれた「大福」があって、これは大吉の上でスペシャルなんです。京都市伏見区の伏見稲荷大社には、大吉の上の「大大吉」もあります。他にも「吉凶不分末吉(きっきょうわかたずすえきち)」などがあって、「現時点では分からないが、これから末吉に転じる可能性もある」というアドバイスなんです。 |
---|
【健康】
平野: | 大阪市中央区の少彦名(すくなひこな)神社。この神社の御祭神は、日本医薬の神様・少彦名命(すくなひこなのみこと)と、中国医薬の神様・炎帝神農(えんていしんのう)です。おみくじの結果には、吉と凶の間「平」というのがあって、これは良くも悪くもないということだそうです。 |
---|
【ユニークなおみくじ】
平野: | 東京杉並区の気象神社には、てるてる坊主が付いたおみくじがあります。吉や凶ではなく、雪や雷などの天気で運勢を示しています。てるてる坊主の色で金運や健康運などに分けられています。気象予報士の方たちがよくお参りに行く神社です。 |
---|
――平野さんのこれからの夢はなんですか?
平野: | 和歌占いのおみくじをもっともっと広めていきたいです。それから私は「おみくじ帳」というのを作っているのですが、おみくじを結ばずにノートに貼って、心の対話にすることも広めていきたいと思っています。 |
---|
――私もやってみようかしら。きょうはありがとうございました。
【放送】
2022/09/06 「ごごカフェ」
この記事をシェアする