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佐世保基地の目と鼻の先「ハウステンボス」は、中国共産党幹部の子弟が買収

CHINA’S SPY PARK?

2022年9月6日(火)11時51分
練乙錚(リアン・イーゼン、経済学者)

だが「1キロ」という制限は、高度な侵入型監視技術への対策として十分ではない。さらに、同法の対象は陸地に限られるため、ハウステンボスの場合は意味がない。

同テーマパークの敷地内にはマリーナがあり、小型でも装備の整ったボートなら佐世保基地へ簡単に到達可能だ。つまり、基地の軍事活動を海上から至近距離で偵察できる。

中国が極めて得意とする潜入・情報収集手法、すなわち個人レベルでの関係構築に対しても同法は効果がない。ハウステンボスや中国が容易に買収・ネットワーク化できる近隣の商店が、米軍や自衛隊の関係者を対象とした割引制度を設定したら?  彼らが提示する身分証明書はその場でスキャンして保存し、分析することができる。

標的として選ばれた人物は何げない世間話を皮切りに、次第に「友情」関係に引き込まれる。利用価値がより高い相手なら、弱点や個人的欲望の対象(金銭、名誉、セックス、恋愛、友情、愛国心......)を注意深く見極める。時間をかけて信頼を築き上げたら、いよいよ「収穫」の時だ。罠にはまった標的は「友人」に抵抗できない。

1946~49年の国共内戦中、中国共産党が常套手段としたこの戦略は現在も世界各地で実行されている。豊かな収穫が見込める作戦現場として、ハウステンボスはうってつけではないか。


PSC_Yizheng_Lian_profi.jpg練乙錚(リアン・イーゼン)
YIZHENG LIAN
香港生まれ。米ミネソタ大学経済学博士。香港科学技術大学などで教え、1998年香港特別行政区政府の政策顧問に就任するが、民主化運動の支持を理由に解雇。経済紙「信報」編集長を経て2010年から日本に住む。

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