デジタル化が進んだ現代において、使われないまま放置されるオンラインアカウントが増えてしまうのは日常茶飯事だろう。無料期間にちょっと試しただけのサーヴィスや、使わないまま放置したストリーミングサーヴィス、イメージとは違っていた衣服の詰め合わせボックス、といったものだ。
こうしたアカウントはヴァーチャルな“ごみの山”になったり、不定期にメールを送り続けてきたりする以外には、特に害があるわけではない。だが、あまりに多くの休眠アカウントをもっていると、セキュリティー面での問題が生じる可能性がある。アプリのデヴェロッパーが突如として不正を働いたり、サーヴィスのデータベースがハッキングされたりしたらどうなるだろうか。
メールアドレスや自宅の住所といった個人情報が流出する恐れがあるだけではない。悪意ある者がアカウントを手に入れれば、さらに規模の大きいサーヴィスの、もっと重要で機密性の高いアカウントにアクセスされてしまう危険性もあるのだ。
これは比較的小規模なサーヴィスを利用する際に、大手サーヴィスのアカウントを使ってログインしている場合や、複数のアカウントに同じユーザー名やパスワードを使っている場合に起きる問題である。だからこそ、使わないアカウントは放置しておくべきではないのだ。
使用せず放置したままの不要なアカウントが増えれば増えるほど、ハッカーに標的として狙われる危険性も高まる。それだけに、インターネット上に残っている自分の痕跡を整理し、日常的に利用しなくなったアカウントを削除する習慣づけをしておくことが好ましい。それらを一括して処理できる便利なボタンは存在しないが、ちょっとした探偵的な調査と数分の空き時間さえあれば、痕跡を効果的に消していくことは可能だ。
1: 「ゾンビ化」したアカウントの洗い出し
まずは、記憶に残っているアカウントやアプリを拾い上げることから始めよう。例えば、まだスマートフォンのホーム画面にアイコンが残っているものや、サーヴィスを再び利用するように催促するメールを定期的に送ってくるものなどだ。
記憶にあるものが出尽くしたら、今度はメールを検索して、記憶から消えてしまったゾンビのような古いアカウントを探してみるといいだろう。アカウント開設時に必ず送られてくるメールの件名を思い出して検索するのだ。「メールアドレスの確認」「新しいアカウント」、あるいは「メールアドレスの承認」といったキーワードで検索をかければ、さらにいくつかのアカウントが発掘できるはずだ。
次に、長年のうちに増えたアプリがぎっしりと並ぶスマートフォンのホーム画面に、くまなく目を通してみるのも有効だろう。インストールした理由やその機能すら思い出せないアプリが見つかることもありうる。アプリをすべて見直して、使わないものを見極めるといい。iOSの場合、アップル経由で利用しているサーヴィスのサブスクリプションなら、すべてこのリンク先から確認して解約できる。
ほかにも、自分のFacebookやTwitter、Googleのアカウントから、連携しているアプリやサーヴィスを確認してみるのもひとつの方法だ。「Facebookでログインする」といったボタンからログインしているものがこれに当てはまる。Facebookの場合はここから、Twitterはここ、Googleはここから確認するといい。いずれも利用する際は、自分のアカウントへのログインが必要になる。