昼の騒音が
夜の睡眠を阻害する

「騒音ストレス」で心筋梗塞に…心疾患とのただならぬ関係が明らかに池谷敏郎(いけたに・としろう)  医学博士。池谷医院院長。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。1997年に池谷医院理事長兼院長に就任。現在も臨床現場に立ちながら、血管、心臓など循環器系のエキスパートとしてメディアで活躍。『図解「血管を鍛える」と超健康になる!』、『末梢血管を鍛えると、血圧がみるみる下がる!』(ともに三笠書房)など著書多数。

 騒音がストレスになっている人は、睡眠の質も低下している可能性があるという。

「騒音をはじめとした強いストレスにさらされると、自律神経のバランスが乱れ、体内時計も狂いやすくなってしまいます。昼間の興奮状態が夜になっても収まらず『イライラして眠れない』という負のスパイラルに陥ります。昼の騒音ストレスで自律神経が乱れてしまい、音が聞こえない夜でも眠れなくなってしまうのです」

 また、自分の寝室が道路に面した位置にあったり、近隣住民の生活音が気になったりして眠れない人は睡眠不足と騒音ストレスのダブルパンチ。健康を害するリスキーな睡眠環境といえる。

「騒音の定義は難しいですが、不快に感じた音は騒音と判断していいでしょう。音そのものは聞こえなくても、重低音の振動が体に響いてストレスになっているケースもあります。『自分は騒音に悩んでいない』と思っていても、気づかないうちに蓄積されるのも騒音ストレスの特徴ですね」

 とくに、高血圧などの生活習慣病がある人は、自分を取りまく音に耳を傾けてみよう。命にかかわる血管トラブルを避けるためにも、ストレスの元はひとつでも取り除く必要がありそうだ。