気付いてた? 善光寺の「鳩字」は至る所に 道路標識、案内看板、駐車場にも

「鳩字」の道路標識。善光寺の門前にある信号機に付いている

 善光寺と書いた漢字の一部がハトの形をしている「鳩(はと)字」って知っていますか? 本堂の前にある山門の額に書かれている文字で、江戸時代から善光寺の名物です。観光ガイドが額を指さして「ハトが5羽隠れています。探してみて」と話す姿は、長野市民にとって見慣れた光景です。

 さて、この鳩字。善光寺の門前にある信号機の標識にも使われています。七味唐辛子で有名な八幡屋礒五郎本店そばの十字路にある標識です。長野市民を40年近くやっている記者ですが、最近Twitterでこの話題を知るまで、標識が鳩字であると知りませんでした。ちなみに、ほぼ毎朝この十字路を歩いているM部長も気付いていませんでした。

 なぜ、この標識に鳩字が使われているのか? いつからあるのか? 気になったので調べてみました。

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 結論から言うと、鳩字の道路標識は20年近くも前に設置されていました。20年間その下を歩いていたのに気付かなかったM部長…。

 設置者の長野市に問い合わせると、当時の道路課の担当者が経緯を話してくれました。「2003年か2004年ごろに設置した記憶があります。その際、地域の代表者や善光寺でつくる『まちづくり協議会』から鳩字にしたいと提案があり、採用されました。設置当時はけっこう評判になったんですよ」(担当者)。M部長、当時はけっこう評判だったそうですよ…。

 また、長野市によると、市が設置している道路標識のうち、絵がデザインされた文字を採用しているのは、この標識だけだそう。レアな標識と知ったので早速、写真を撮りに行きました。そして、ふと「他にも鳩文字あるかも?」と気になり、カメラを片手に善光寺とその周辺を歩いてみました。

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 鳩字、けっこうたくさんありました。まず、周辺では、善光寺の公式駐車場の看板に使われていました。そして、境内では、お守りや絵馬を販売する「授与品所」の看板、参拝券の案内看板、本堂周辺の案内看板にも鳩字が。さらに、関係者以外立ち入り禁止の看板、ドローン使用禁止の看板にも使われています。ただし、普通の漢字を使った看板もたくさんありました。

 鳩字を使う基準があるのかどうか善光寺事務局に聞きました。事務局によると「特に基準はありません。かつて境内にはハトがたくさんいて、善光寺の象徴のようなものだったので、鳩字を使う場合もあったようです」とのこと。また「善光寺が承認した公式なものにしか鳩字は使われていません」と教えてくれました。ちなみに、境内のハトは山門の改修工事が始まった2004年ごろから減り始め、今はほとんどいません。

 記者は善光寺を何度もお参りしていますが、鳩字を探しながら境内を歩いたのは初めて。「あった!」「ここにも!」と見つけるたびにうれしく、新鮮な気持ちで散策できました。

 善光寺には「鳩字の額」をデザインした絵馬があり、山門の下に絵馬を掛ける専用の場所もあります。鳩字を探しながら参拝し、鳩字の絵馬に願いを託す楽しみ方も乙ではないでしょうか。

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