聴覚過敏かな?と思ったら

生活を見直す・ふりかえる

原因、メカニズムの章でお伝えしたような、ストレスやプレッシャーがかかる場面に長くさらされ続けていないかをふりかえり、聴覚過敏に至るまでの経緯と背景を見直すことが大事です。現在の日々のスケジュールや、身を置いている環境を今一度ふりかえってみましょう。「しなければならない」作業や、過剰な心配ごとに押しつぶされてはいないでしょうか。

専門家に相談する

もうひとつ、改善のために考えられるのは専門家に見てもらうという方法です。聴覚過敏の場合には精神科・心療内科もしくは耳鼻科に行くとよいでしょう。

改善方法と気をつけたいこと

聴覚過敏については、耳鳴りに比べると情報が少なく、医師の間でもその治療方法はさまざまで手探りな状態です。なのでこちらの章では、少しでも聴覚過敏の症状を和らげるための具体的な手立てについてご紹介したいと思います。

病院での治療

疾病を伴う聴覚過敏の場合には、その疾病の治療に取り組みます。しかし、聴覚過敏そのものについての根本的な治療の手立ては確立されていないのが現状です。病院や医師によってその方針は様々です。

精神科・心療内科では、お薬を出してもらえるほか、カウンセリングなどの心理療法を受けられることがあります。耳鼻科では、その症状に至るまでの経緯や、睡眠時間や職場の環境、家での過ごし方など生活について医師から訊ねられます。原因について解明したあと、お薬を出してもらったり、生活指導を受けたりすることになります。また、耳鳴りの症状に対して施される「TRT(Tnnitus Retraining Therapy)」という治療をしてもらえる病院もあります。
TRT(tinnitus retraining therapy)療法, 旭川医科大学 耳鼻咽喉科学講座
https://www.asahikawa-med.ac.jp/hospital/oto/mame/mame5-2.html

リラックスを心がける

聴覚過敏の症状は、心因性である場合が多いです。症状の根っことなっている原因に光を当て、その生活習慣を改善するという方法がもっとも有効でしょう。

感覚過敏は精神状態の影響を受けます。精神状態が悪く不安が強いと重くなる傾向があります。積み重なっている仕事や心配事を一度わきに置いて、リラックスを心がけ余裕をもちましょう。

治療・薬を「加える」ことだけでなく、聴覚過敏を引き起こしている原因となる物事(ストレスやプレッシャー、心配事など)を「減らす」という視点も持っておくのがよいでしょう。

環境を調節する

負荷のかかる音声が少なくなるように、環境を調節することも大事です。可能であれば大きな音のある場所には行くことを避けましょう。例えば、スーパーのがやがやした音が苦手であれば、人の少ない夜の時間や朝に行くことができます。しかし、このように都合よく音響に関する環境を整えることができない場合もあるでしょう。

そのように周囲の環境を調節できず、聴覚過敏の症状が強く、またそのような環境下に長くいなければならないときには、耳栓やイヤーマフを着用して音を塞いでしまうのもひとつの方法です。耳栓をすることによって、自分の耳に入る音をコントロールすることができます。

耳栓もイーマフも製品によって、遮音を得意とする音域が変わってきます。製品を選ぶときには、「自身の耳(あるいは耳の穴)の大きさにあったもの」、「使用していて痛くないもの」、「自身の苦手とする音をカバーしてくれる遮音性能のあるもの」という3つの観点をもつとよいでしょう。

聴覚過敏の症状を訴える子どもが周りにいる場合には、周囲の大人が環境に配慮する必要があります。例えば、ドアの開け閉めをそっと静かにする、大きな音を出すことを避けられないときには、子どもを別の部屋に移動させるなどです。このように少し気遣うだけでも子どもの症状は軽減されます。
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聴覚過敏に対処するためのイヤーマフの選び方とイヤーマフのオススメ4選をご紹介【専門家監修】

一方、耳栓の着用に関しては専門家の間でも賛否両論の声があるので、注意が必要です。聴覚過敏がきつくて、どうしても騒音の環境に身を置かなければならないときではない場合以外にも常に耳栓の着用をしていると、聴覚過敏が慢性化することがあるようです。

というのも、「音を聞くため」にある耳を常に塞ぎ、その機能を抑制してしまうと、音を伝えるシステムに摩擦を生むと言われているからです。その摩擦が体内で大きな抵抗を生み、自律神経の偏りに拍車がかかります。その結果、耳が詰まったり、本当に聞こえにくくなってしまうという反応が現れることがある、という説もあります。

耳栓やイヤーマフを着用する際には、主治医など専門家の意見も聞きながら、必要な場面で必要な頻度にとどめて使用すると良いでしょう。

聴覚過敏の体験談

聴覚過敏に関する体験談や意見を紹介します。
小2の息子は、自閉症で感覚過敏は聴覚が特に酷いです。
お子さんの ”ザワザワした感じ”が辛い、というのは息子とも傾向が似ています。
就学前に苦手な音域を調べたのですが、教室内のようなスピーチノイズ(広帯域雑音)が最も不快だったようです。

お子さんも不快さだけでなく、雑音の中から先生の声を拾いにくいことはないでしょうか..?
聴覚過敏だと本来はフォルターでカットされるべき雑音が、拾うべき音と同じ大きさに聞こえてしまうので、息子には一斉指示が通りにくく30名が同じ空間で過ごす普通級はとても無理でした。
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/114598
聴覚過敏のひとつの選択的注意が困難となっている場合です。すべての音が刺激となって脳に入ってくるときには、集中できるひとつの音を用意することで、それ以外の音を刺激として取り入れずに済みます。

また、子どもが聴覚過敏をもっているかそうでないかは外見からは判断できません。「聴覚過敏がないかもしれないけれど、もしかしたらあるかもしれない」とその可能性について配慮するだけでも救われる子どもがいます。
次ページ「まとめ 」


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このコラムを書いた人

ライター:発達障害のキホン
発達障害や二次障害、子育ての困りごとや支援機関・制度の基礎知識を発信します。記事は、各分野の専門家の監修のもと、発達ナビ編集部が執筆しています。
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