毎年多くの人が受験する「通関士試験」ですが、実際のところ難易度はどのくらいなのでしょうか。
本コラムでは、さまざまな資格試験の合格率や合格に必要な勉強時間を整理し、通関士の難易度について解説します。
通関士試験の難易度を理解するための参考にしてくださいね。
合格率でみる通関士試験の難易度ランキング
資格の難易度を把握するうえでのひとつの指標となるため、合格率の傾向を把握することはとても大切です。
最初に、通関士試験の合格率の推移を確認しましょう。
■通関士試験の年度別合格率
年度 | 合格率 |
2021年度 | 15.8% |
2020年度 | 16.9% |
2019年度 | 13.7% |
2018年度 | 14.6% |
参考:日本関税協会
多少の上振れは見て取れますが、通関士試験の合格率は「10~15%」前後で近年推移していると考えられます。
それでは続いて、他の資格試験の合格率とあわせてチェックしましょう。
■資格の合格率ランキング
資格名 | 合格率(例年) |
司法書士 | 3~4% |
社労士 | 6~7% |
行政書士 | 11~15% |
通関士 | 10~15% |
宅建士 | 15~17% |
簿記2級 | 15~25% |
税理士 | 18~20% |
FP2級 | 20~60% |
貿易実務検定B級 | 50%程度 |
貿易実務検定C級 | 65%前後 |
通関士試験の合格率はだいたい行政書士試験と同程度です。
司法書士や社労士といった国家資格の試験と比較すると、通関士の方が合格率が高い傾向ですが、通関士の合格率は全体の中では低めといえるでしょう。
また、通関士と比較・検討されやすい同じ貿易系資格である貿易実務検定(民間資格)は、B級、C級ともに合格率が約50%以上で推移しているので、通関士はそれよりも合格率が低いことがわかります。
通関士試験の合格率は10〜15%前後なので、合格できる受験者は5名に1名以下という傾向。
難易度は高めといえるでしょう。
貿易関連の業務でステップアップしたい方などの中には通関士試験を受験する前にまずは貿易実務検定にチャレンジするというステップを踏む人もいるようです。
しかし一方で、資格試験の難易度は合格率だけでは測れないことも事実です。
それぞれの試験における受験要件や試験制度などにより、難易度は大きく左右されます。
「合格率の傾向」を参考にしながら、合格に向けて試験の傾向を把握し、対策をしっかり行う必要があることに留意してください。
関連コラム:通関士試験とは?試験日・申し込み方法・科目など制度を詳しく解説
勉強時間で見る難易度ランキング
続いては、前章でチェックした資格試験に合格するために必要とされる勉強時間をまとめました。
あくまで目安ではありますが、他の資格試験の合格に求められる勉強時間と比較し、通関士試験の難易度を考えていきましょう。
■試験合格に必要な勉強時間ランキング
資格名 | 必要とされる勉強時間 |
貿易実務検定C級 | 100~150時間程度 |
貿易実務検定B級 | 150~250時間程度 |
FP2級 | 150~300時間程度 |
簿記2級 | 200~350時間程度 |
宅建士 | 300~400時間程度 |
通関士 | 500時間程度 |
行政書士 | 600~1,000時間程度 |
社労士 | 1,000時間程度 |
司法書士 | 3,000時間程度 |
税理士 | 3,000時間程度 |
社労士、司法書士、税理士といった、1,000時間以上の勉強時間を費やす必要があると言われている国家資格もあります。
通関士試験の合格に必要と言われている勉強時間は500時間程度なので、これらの資格より必要な勉強時間は少ないといえるでしょう。
同程度の合格率である行政書士と比較しても、通関士試験合格に求められる勉強時間は行政書士試験の合格に必要な時間の約60%程度といわれています。
一方で、通関士試験の合格に必要とされる「500時間」という勉強時間は、同じ貿易系資格で比較対象となりやすい貿易実務検定C級やB級よりは100〜300時間多く勉強時間を確保する必要があります。
まとめ
本コラムでは、通関士試験の難易度を合格率や勉強時間から考察してきました。
通関試験は他の資格と比べて合格率はそれほど高くないものの、合格に必要な勉強時間を踏まえて1年以内などの短期でも十分に合格を目指せることが理解できました。
通関士試験の難易度を理解できたら、いよいよ合格に向けた実践に入るタイミングです。
自分に合ったスケジュールと勉強方法を検討し、通関士試験の合格に向けた第一歩を踏み出しましょう。