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観賞者で干渉者 作者:鷹村柚希

First world パターン:救世主補佐

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第二十八話 遠くにいると恐怖を感じるが、近くに迫ると、それほどでもな……怖っ!何これ怖い!無理無理無理!怖いって!何これ怖うぎゃああああああああああああああ!!!

 


長らく更新が滞ってしまって申し訳ありません。

激烈なスランプに陥っておりました。

本当にすみません。


そして遅くなりましたが、感想をくださった黒潮さん、舞夜さん、Arashiさん、xブラックx♪さん、やまだろうさん、遠星 啓さん、松澤さん、そしてまたもや感想をくださった地海月さん、ありがとうございました!

これからも、この小説をどうかよろしくお願いします。


※冒頭ちょっとグロ注意です。



 



学校の、知人とゆうか、友人とゆうか。

まあ、あまり話したことはないんで、知人になるんでしょうね。

彼、あんまりお喋りな方じゃなかったんで。



彼がね、喰うのですよ。


バリバリと、私の母親を。



手も口も服も真っ赤にして。

その女の子みたいな華奢な身体のどこに収まっていくのか、ただ無言で、ひたすらに母を喰うのですよ。


猟奇事件でした。

本当に、酷い話です。いえ、酷いなんて言葉じゃ言い切れないですね。



母はいなくなりました。



警察に連れて行かれる時も、法廷に立たされている時も、彼はいつものように表情少なげで、しれっとした顔で。

反省の色など、微塵も感じ取れませんでした。


私は、これは夢だと思いました。

こんな残酷なこと、現実なわけがない。


私は半狂乱になって泣き叫び、やがて泣き疲れたのか、意識を失いました。



目が覚めた時、私は真っ暗な自分の寝床にいました。


ぼんやりと覚醒していく意識の中、私は、ああよかった、と。あれは夢だったのだ、と。


でも、それと同時に、やはりあれは現実ではないかとゆう考えも浮かんできました。

あまりのことに現実を受け入れられず、夢の出来事だと思い込もうとしているのではないかと。


だってそうでしょう。

夢の中なのに現実逃避するなんて、なんとも可笑しな話じゃないですか。


まあ、意識が覚醒するにつれて、あれはちゃんと夢だったと認識がはっきりしてきて、ようやく落ち着いたんですけどね。



でもね、ああよかったとまた眠りについて、次に目覚めた時目の前にあるのは、母がいない現実(・・・・・・・)なんですよ。



やっぱり現実逃避していただけだった、と。

私は泣き喚き続けました。

今まで生きてきて一番、私は悲しみ、憎み、絶望していました。


そんな風に泣き続けて、体が持つわけもなく、私は再び意識を失いました。



目が覚めた時、やはり私は暗い寝床にいました。


私は覚醒し切っていない体を無理矢理起こして、母親のところまで行きました。


母は寝ていました。


もちろん四肢が欠損していることもなく、五体満足で、すぅすぅと寝息を立てて眠っておりました。


私は今度こそ心から安堵して、寝床に戻りました。


こうも連続して怖い夢を見ると、どうにも恐ろしくて眠れなくなるものかとは思いますが、体は正直なものですから。

私は昼間の疲労と、夜中に二度も目が覚めた寝足りなさから、あっさりと眠ってしまいました。



でも、次に目が覚めると、やっぱり母がいない(・・・・・)んですよ。



もうね、どっちが現実なんでしょうね。


絶望して、安堵して、そこから絶望に叩き落とされて、また安堵して。


どっちが現実なんでしょうね。


今も私は、夢を見てるんですかね。


ねぇ、どうなんでしょうね。


これは現実なんですか。


それとも、夢なんですか。



ねぇ、どうなんでしょうね――――
















「怖い!!何これ怖い!!ストップ!瑠璃ストップ!!怖いからもうやめて!!」



突然上がった悲痛な叫び声に従い、大人しく口を(つぐ)む。

しかしそれも長く続ける気はなく、私はものの数秒もしないうちに、不満に口を尖らせた。


「なんだよー。白さんが俗世の遊びを楽しみたいとおっさるから、わざわざ『ドキッ☆お泊り先での怪談大会~ポロリもあるよ!主に首が』を開催してやってるとゆうのに」


「ネーミング!!てゆうか例によってネタかと思ってたのに、なんで今回はガチなんだよ!しかも幽霊とか呪い系じゃなくてサイコホラーなのかよ!グロいし怖いわ!!」


「なんで私がネタを話すことが前提になってるんだよ……私はいつだって大真面目じゃないか」


「そうでしたね!!すみませんねぇ!!」


逆ギレ気味のノアをどうどうと鎮めつつ、雰囲気出しのために蝋燭一本しかない部屋の中を見回す。


白さんはノアにしがみ付いて小動物のようにぷるぷると震えているし、レモンの騎士は自分の分の枕を抱き締めてガタガタと震えている。


なまじ中途半端に明かりがあるため、いつまで経っても暗闇に目が慣れず、いい具合に恐怖を掻き立てられる仕組みになっているわけだが、そんなもん私には関係ない。暗闇だろうが目が慣れなかろうが、部屋の隅々までよく見える。



さて、何をしているのかはもうおわかりだとは思うが、一応なんだってこんなことをしているのか説明しておこう。



あの『ア●レちゃん事件』の後、とりあえず当初の予定通り街を練り歩き、時にノアにちゃちゃを入れ、必要なものを買い揃え、時にレモンの騎士をからかい、宿に戻って荷物の整理をし、時に白さんを愛で、なんやかんやで一日の活動時間を終えてしまった。


私はともかく、電気のないこの世界で夜行動するわけにもいかず、二日ぶりのベットだしもう寝ようとゆうことになったわけなのだが、そこで白さんの「私、誰かと同じ部屋でこうやって寝泊りするの初めてなんです」の一言により、私の行動は確定してしまった。


その後、私は寝間着のまま右手に枕、左手に同じく寝間着姿の白さんを引きずって、ノアとレモンの騎士のいる部屋に突撃した。


そして、『ドキッ☆お泊り先での怪談大会~ポロリもあるよ!主に首が』を開催し、今にいたる。


ちなみになんで自分の枕を持ってったかというと、なんとゆうか、これはお約束みたいなもんだ。


三人の惨状に、これ以上怪談を続けるのは無理だと悟り、『二次元力』からライトマを発動させて部屋の中を明るくする。


「ちなみに、この話はほぼ実話だぞ。語り口調にしたのと、最後の方は私の方でアレンジしたけど、私の知り合いの実体験で……」


「しかも実話かよ!怖ぇよ!!てゆうか泊まり先でのイベントなら無難にガールズトークでよかっただろ!無難に!」


「だから私に『女の子』を要求するのはどうかと思うぞと言っただろう」


「ノア!私もう嫌です!今晩一緒に寝てください!怖くて眠れません!」


「なっ……!?いやいやいや、駄目だって!俺男だし!女の子同士で寝なって!」


「無理です!それにルリは女性扱いして欲しくないと言っています!むしろ性別以前の問題ですよ!なんかもう別の何かですよ!」


「おい」


「それにルリと寝ると、夜中にルリの腹部が縦に裂け、底知れぬ闇の中から無数の手が溢れ出して襲ってくるような気がするんですよ!!」


「怖っ!!何それ怖っ!ホワイトさんの想像が怖い!!」


「何故バレたし」


事実(リアル)かよぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!」


「……あの、すみません、俺も一緒に寝ていいっスか」


ノアは頭を抱えて()け反るし、白さんは泣き叫ばんばかりだし、レモンの騎士は相変わらず枕抱えてるし。


ははっ、愉快愉快。


てゆうかあれだね、レモンの騎士。

お前さん、この手の話が苦手だったね。忘れてたよ。

どうりでさっきから喋らないわけだ。


そして、白さんの想像も凄まじいね。

そんな想像ができる()だったなんて、お姉さんびっくりだよ。


ちなみに、何故バレたし、と言っても、私が寝ると毎回そうなるわけではもちろんない。

お約束の返事みたいなもんだ。

無論、白さんが言った通りの内容は完璧なまでに実行可能だが。


「皆しょーがねーなー。今日はこっちの部屋で雑魚寝すっか」


「誰のせいだと思ってんだ!てゆうか男女一緒の部屋で寝るのはマズイだろ!?」


「ノア!私を見捨てないでください!私はまだ死にたくない!ルリに喰われて死に(おわり)たくなんかありません!!」


「おい」


「大丈夫だから落ち着いて!瑠璃だって仲間に手を出すような真似はしないって!……多分」


「多分ゆうな」


「嫌です!きっと裂けた胴体の内部は地獄(ピッチ・ダーク)よりも深く、這い擦る手腕の隙間からは無数の赤く光る目が覗き、鋭く尖った爪が宿主を掻き毟って血肉を散らしながら、私の視界を塞ぐように覆い被さるのです!!」


「どんだけ想像が発展してんの!!?」


「(ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ)」


突っ込みで死ねそうなノア。


恥も外聞もなく発狂する白さん。


マナーモードレモンの騎士。




「人は、これを地獄絵図という」




「何しみじみとしてるんだよ!!もうこれ一緒に寝ざるを得なくなっただろ!怖ぇよ!俺も怖くて寝れねぇよ!!」


「ぅわあぁぁん、よかったですぅぅぅぅぅぅ!!(泣)」


「もう……ヤだこれ。絶っっっっ対夢に出るわ……確定っスわ……」


「おいおい、何言ってんのさ。夢なだけマシじゃんか。そして、夢だけだと思うたか」


「(無言で乃明の背後に移動)」


「ちょ、おい、その反応は地味に傷付くぞ、おい。冗談に決まってるだろ」


「聞こえない。瑠璃の場合冗談に聞こえない。てゆうかこっちくんな」


「なにそれひどい」


「ホワイトさんとリモーネさんは一緒でいいとして、瑠璃は隣で寝ろよ。割とガチで」


「本当にガチだな。ガチトーンだ。そして私ぼっち宣言」


「来ないでください、ルリ。私達のために犠牲になってください」


「王女のセリフとは思えねぇ」


「大丈夫っス。俺達、補佐様のこと忘れません」


「勝手に殺すな」


自分で蒔いた種とはいえ、普通にハブやらぼっちやらは哀しい。悲しいじゃなくて哀しい。


そんなわけで、私は彼らに同衾(ちゃうわ)を認めさせるセリフを放つことにする。






「えー、お前ら、私以外が理由の怪異的な何かが起こったらどうすんだよ」



















その晩、私は三人が身を寄せ合って震える部屋で、毛布でぐるぐる巻きにされた上にロープで縛られ、隅の方に転がされていた。



解せぬ。







冒頭の部分、長くなってすみません。纏め切れなかったんですorz

ちなみに、作中で瑠璃ちゃんが言ってる通り、ほぼ実話です。

作者の実体験なんです。アレ。

まあ、ちゃんと夢でしたけどね。えらい怖い夢でしたよ。ええ。


せっかく更新したのに、話進んでなくてすみません。


ピッチ・ダーク=真っ暗闇。

pitch dark color(暗黒色)から、この世界では地獄をそう呼びます。



元ネタの紹介


・ライトマ

メ●テンシリーズの周囲を明るくする魔法。

実際は部屋が薄暗くなる程度にしか明るくならない。


・ガタガタガタガタガ(ry

某有名フリーホラーゲームから。

マナーモードた●し。



12/10変更点 リアルホラー → サイコホラー



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