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観賞者で干渉者 作者:鷹村柚希

First world パターン:救世主補佐

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第二十六話 去ってく女は追わない主義だ。髪も同じさ。…………チクショウ、笑えよorz

 


ご指摘をくださったkeiyaさん、感想をくださった啄木鳥さん、元ネタのご指摘と感想をくださった悠さん、ありがとうございました!


サブタイトルの長さは賛否両論なようですが、とりあえず今まで通りにサブタイを付けさせていただきます。

正直、作者も自分で長いとは思っているのですが、今まで通りの付け方で短くするにはどうしたらいいのやら^^;

一応善処してはみますが、付け方自体を変えるつもりはありませんので、悪しからず。



 


そして、特に何事もなく最初の街に到着。


レモンの騎士が言った通り、魔物にも盗賊にも特に遭遇することなく、実に順調な道中となりました。はい。


ちぇー、さっさとノアの初戦闘と洒落込みたかったのによー。


模擬戦はやったけど、実践は初めてだからな。

初めての実践って、結構主役にとってキーポインツですかんね。


まあ、それはそうとして。


街の入り口っぽいゲートっぽいところには、甲冑っぽいもんを着た警備兵っぽいのが二名程いるっぽい。

そして『っぽい』ばっかり言ってるっぽい私。


馬車の御者席に座ったレモンの騎士が、懐から直径七~八cm程の鎖に繋がれた金の円盤状の物体を取り出し、警備兵に見えるようにかざす。

円盤には何やら直線やら曲線やらが入り乱れたレリーフが彫られていた。


……ああ、これはあれかな。


「見ての通り王z「この紋所が目に入らぬかぁっ!!」補佐様!?」


横で前触れもなく叫んだ私に、レモンの騎士が突っ込みの代わりだと言わんばかりに声を上げる。


ちなみに、この道中で私は御者をやっているレモンの騎士の隣が定位置となった。

お二人さん(ノアと白さん)の邪魔したくないし、横でイチャつかれんのとかマジたまらんからな!まったく!


「すまん、言いたかっただけだから。続けてくれ」


「あなた本当に奇行のタイミングがわかりませんよね!」


奇行とは失礼な。

ガイアが私に、もっと輝けと囁いているのだよ。

ガイアがそう言うのだもの。仕方ないね。


「あー、もう…………失礼した。見ての通り王族の者だ。話は通っていると思うが、通行の許可を貰いたい」


おお、ちゃんと喋ると騎士って感じするね。


あ、ちなみに言っとくけど、花輪はとうの昔に外させましたよ。

二日も着けっぱなしだとさすがに飽きるし。


その後、なんやかんや簡単な手続きをして、割とすんなり街に入ることができた。


とりあえずちゃんと王族を名乗ったってことは、邪教に対してノアを邪神再封印の責任とゆうか首謀者を押し付けて王族は無関係を装うとか、そうゆうつもりはないらしい。


キンクリを脅したのは取り越し苦労だったかもしれないが、まあ予防線は張っとくに越したことはないな。


「なー、レモンの騎士よ」


「……なんスか」


「そんな嫌そうな顔をしてくれるな。さっき警備兵っぽいのに紋所見せて王族だっての明かしてたけど、今後も王族だってことはオープンにしてくわけ?」


「モンドコロってなんスか……いや、そうゆうつもりはないっス。王族だってことで、いろいろ危険な目に遭う可能性ありますから。今は街に入るのに身分を証明する物が必要だったんで王章出しましたけど、基本的に身分は隠すようにとの国王陛下からの(おお)せですんで」


「それを聞いて安心した。身分オープンにして王族特権で好き勝手やれとか言われてたら私ゃ……まあ、別にどうもしないが」


「どうもしないんスか」


「とりあえず身分を隠すようには言っただろうが、馬車二日分の距離すっ飛んでってわざわざキンクリ殴りにいくのも面倒だし」


「……突っ込むところが三つくらいあるような気がするんですけど、とりあえずキンクリって陛下のことっスか」


「そうだお。(キング)・クリムゾンの略な」


「あれ、意外とまともな呼び方なんスね」


……いや、本当は全然まともなってゆうか、真面目な呼び方じゃないんだけど。


「で。とりあえず、まずは宿屋へGOってことでおk?」


横目でそれとなく街並みを眺めながら問う。


さすがに王都に近いってだけあって、かなり活気に溢れてんのな。


「そうですね。確か馬車を預けられる宿がありましたから、そこへ行きましょう」


「おう。この街来たことあるんだ?」


「ええ、以前この街で無差別殺人が起きまして。中々犯人が捕まらなかったので、俺達騎士団が呼び出されたんですよ」


「ふーん」


その後、特に迷うこともなくあっさり宿屋に着くことができた。


無差別殺人とやらは割りと最近の出来事だったんかな?

レモンの騎士の手綱捌きに躊躇いはなかったようだし。


(くだん)の宿屋は、小奇麗な外装の店だった。

裏には馬車を駐車するスペースがあり、馬を預けておくための馬舎も完備している。


「おー、中々いいところでない。旅の商人やらお偉いのご用達かい?」


「そっスねー……ちょっと待っててください」


レモンの騎士は馬車を邪魔にならないところに止めると、御者席から降りて店内に入って行った。


まあ、いきなり断りもなしに駐車スペースに止めるわけにもいかんわな。

大人しく待つかね。


「瑠璃」


名前を呼ばれて振り向くと、ノアが馬車の荷台(でいいのか?)から御者席へ顔を覗かせていた。


ちなみにノアだけだ。白さんは見えない。


「壁|ω・) チラッ」


「何が言いたいのかはわかったから、そのジェスチャーをやめろ。……リモーネさん、店の中入っていったのか?」


「うん。お店の人と話つけてくるって」


「……いや、間違ってないんだろうけど、なんかそれだとクレームつけに行ってるみたいだな」


「細かいこと気にしてっとハゲんぞ」


「ハゲないから!まだ十代!俺まだ十代!!」


「……一つ話をしよう。あるところに、それはそれは美しい髪を持った青年がいたんだ。青年は、その髪が大層自慢だった。いつもその美しい髪のお陰で、周囲から持てはやされていた」


「出だしからしてフラグだろその話!その人確実にハゲるだろ!それで周囲に相手にされなくなって落ち込むんだろ!」


「青年は、自分の髪の毛達にもっと輝けと口やかましく言うんだ。髪の毛達は頑張って輝いたんだが、いくら綺麗になっても褒められるのは青年ばかり。しかも青年はいくら褒められても満足しないで、もっと輝けと髪の毛達に言うんだ」


「まさかのファンタジー展開!?てゆうかそれ確実に髪の毛達に愛想つかされるだろ!それでハゲるのかよ!」


「そんな青年に髪の毛達は言うんだ。『ナヌィ!?わしらの輝きが足りんじゃとおぅ!?この美の女神ヴィーナスでさえ嫉妬した我が実力!見くびってもらっては困るのぅ、若造よ!』と」


「髪の毛まさかのキャラ!!?」


「一斉に不平を唱えだす髪の毛達に、青年は唇を噛み締めた。『……わかってる。わかってるさ、お前達の実力の凄さは!でも駄目なんだ、このままじゃ……このままじゃ、両親の仇である悪の組織≪奪猛罪(だつもうざい)≫には勝てないんだ!!』」


「そして瑠璃お約束の超展開!!てか組織名!両親ハゲで死んだの!?」


「『おヌシ、まだあの事件のことを……いや、すまんかった……わしらの力が足りんのは、百も承知なんじゃ。だが、わしらも一度は華々しく活躍し、かつて≪戦天使の兜パワード・キューティクル≫の名を欲しいままにした存在。己のプライドが……歳による力の減退を認められなかったのじゃ……』」


「ネーミングセンス!そして髪の毛パネェ!!」


「『いいんだ……ごめん、俺ばっかりつらいみたいな言い方して。お前達だってつらいのに、俺は……』

 『気にすんな若造!おヌシの親仇は、必ずやわしらの力で打ちのめしてみせようぞ!』

 『そうだそうだー!』『元気だせ大将ー!』『皆あんたの味方だぞー!』」


「増えた!?いや、髪の毛()だから元からか!」


「『皆……ありがとう!俺、諦めない……絶対に、絶対に仇を取る!だから皆、俺に力を貸してくれ!』

 『当たり前じゃろがい!わしらはおヌシと一心同体!運命共同体じゃ!』

 『ははは、そうだったな……行くぞ、皆!』『(一斉に)おう!』」


「無駄に感動的だなチクショぉー!!」


「こうして、青年は髪の毛達に支えられ、周りからは変な人だと思われつつ、悪の組織≪奪猛罪≫のアジトを目指した」


「そりゃそうだろうな!端から見りゃ独り言だよ!」


「そして、なんやかんやで≪奪猛罪≫の幹部へ」


「面倒臭くなったのか!そうなんだろ!」


「『ついに辿り着いた……両親の仇……!』

 『フフフ、よくぞここまで辿り着いたな……えーと……名前わかんね!若者でいいや!』」


「ブチ壊しだぁ――――!!確かに名前出てきてなかったけど!」


「『覚悟しろ≪奪猛罪≫の幹部!俺はお前に容赦はしない!』

 『フン……愚かだな。私の顔に見覚えはないか?』

 『な……どうゆうことだ……!?』」


「そしてフラグ――――!!どうせ死んだはずの父親かなんかだろ!」


「『あなたは…………ウォン老師!!?』」


「誰ぇ――――――――――――!!?」


「『ウォン老師……あなたは確か、増えるわかめちゃんが腹の中で十倍に膨れて死んだはずじゃ……!?』」


「ウォン老師どんな死に方してんの!?」


「『あれは私がでっち上げた嘘だ、名も覚えていない弟子の一人よ』」


「弟子の名前ぐらい覚えといてやれよ!」


「『尊敬に値する人物だったあなたが、何故≪奪猛罪≫に……!?』

 『尊敬に値する……か。私はそのような人間ではないのだよ。欲にまみれ……金に溺れ……ただ力で他者を蹂躙することだけを考えて生きていた……』」


「な、なんかいきなりマジな展開に……」


「『そんな時だった!≪奪猛罪≫はそんな私の目の前に現れ、全てを奪い、私を地に捻じ伏せた!……私は思った。これこそが、真の力なのだと!私のこの力など、技術など!ゴミ同然に過ぎなかったのだと!!』」


「…………(ドキドキ)」


「『ウォン老師……あなたは変わってしまった。俺があなたに教わったことは、そんなことじゃなかった!』

 『甘いな、若者よ……私は変わったのだ。≪奪猛罪≫によって与えられた真の力よって!!見よ我が力!【超絶後k――』」




「宿屋の主人に話つけてきましたよー」




「「タイミング悪っ!!」」






ちなみにこの騒ぎの中、白さんは馬車の中で熟睡してたそうな。


どうりで出てこないと思った……




……え、ハゲ?なんの話?







今回は短めです。


本当はちゃんと宿屋に入るつもりだったんですが、脱線し過ぎました……orz



元ネタの紹介

※作中で説明(?)があるものは省きます。


・この紋所が目に入らぬか

有名どころです。

水戸の将軍様のお付きの人のセリフです。


・ガイアが俺に、もっと輝けと囁いている

某メンズ雑誌のキャッチコピーの一つ。


・ウォン老師

某助っ人団で話にだけ出てくる人物。

変なゲームのレパートリーがパない。



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