First world パターン:救世主補佐
第二十ニ話 力を伴わない文化は、明日にも死滅する文化となるであろう。オタク文化の『萌え力』は53万です
再び感想をくださった地海月さん、感想とご指摘をくださったささきさん、tyuioさん、ゆっくりできないよ!さん、ありがとうございました!
この小説を読んでくださっている皆々様、いつも本当にありがとうございます。
作者は幸せ者です。
「誰がドライアイじゃぁ――――――――――!!!」
「何が!!?」
絶叫しながら飛び起きると、すぐ横で素っ頓狂な声が上がった。
うん?と思って視線を向けると、そこには見慣れた救世主殿の姿があった。
「…………なんでいんの?」
ここは私の(あてがわれた)部屋のはずなんだが。
起こしにきてくれたメイドさん、とかならともかく、何故目が覚めて真っ先に言葉を交わす相手がノアなんだろう。
……ハッ!?Σ(゜д゜;)こいつ、まさか……!?
「ノアに限っては……そんなことしないと思ってたのに……!」
「なんの話だよ!何考えたのかは知らないけど、確実に濡れ衣だと思う!」
「あの誠実なノアが……まさかこんなことをするなんて……!信じられない!」
「だから濡れ衣だって!何もしてないから!誤解だから!」
「そうね……ノアも男の子だもんね……お母さん、どうして気付いてあげられなかったのかしら」
「誰が息子だよ!!だから何もしてないって言ってるだろ!」
「……ごめんなさい、ノア。お母さん、あなたを甘く見ていたみたいね。まさか、あなたが寝込みを襲うなんて……自分より強い相手を
「どうしてそうなった!!?」
***************
「……で、起床時間になっても一行に起きる気配がない私を、救世主サマが直々に起こしにきてクダサッタってわけ?へー、ほー、ふーん」
「なんでそんなに棘のある言い方なんだよ……まあいいか。瑠璃って、朝弱い方なのか?」
声かけても揺すっても起きなかったんだけど、とノアが続ける。
…………うーむ?
以前言ったと思うが、私は携帯のバイブレーションでも起きられる人間である。
それが、呼びかけで目が覚めないとはどういったことだろうか。
ましてや、揺すられても起きないなど……戦場では命取りにも程がある。ガッデム。
別段、揺すられても起きない程疲労することはしてないしな。
思い当たることと言えば、ジョンのところへ行ってたことぐらいだが……時間とゆう概念がないと言ってたが、そうゆうことか。そうゆうことなのか、ジョンよ。
どうせ時間の流れがズレまくるなら、早朝に起こしてくれた方がまだよかった。
「……神とは、常に理不尽であるものなのだな」
「いきなり意味深だな!結局質問に答えてないし!」
突っ込むノアを例によって無視しつつ、ベッドから起き上がる。
思いっ切り背筋を伸ばし、片手で肩をほぐしながらバキバキと首を回す。
ちなみに、バキバキ音は鳴っているが、別段肩が凝っているわけではない。
『エフェクト能力』で音を付けているだけである。
「……女の子の仕草としてはどうかと思うぞ」
ノアが呆れたように言うが、呆れたのはこっちの方だ。
こいつはまだ私にそんなもんを要求していたのか。
「私に『女の子』を要求するのはどうかと思うぞ」
「いや、瑠璃は見た目可愛いんだから、もっと振る舞いをなんとか……って、何首振ってんの。回すどことかもう激しくヘドバンしてるよ?なんか怖いくらいの速さで首バキバキ言ってるんだけど!?」
「眠ぃんだよ……
「それで目ぇ覚ましてるのか!?……って、今度は首が有り得ない動きしてるんだけど!?明らかにネジのようにキリキリ首が回ってるんだけど!?」
「関節外してるからな。首くらい回るさ」
「いやいやいや、関節ってか背骨イってるよな!?てゆうか首捻じれてグロイことになってるから!直せよ!」
「(ギュルルルルルルルルルルルルン)」
「チョ●Qか!?お前の首はチョ●Qなのか!?とゆうか何故首回した!?」
首が止まって視界が元に戻り、ゴキンと骨をはめる。
ふー、やれやれ。
ノアとのやり取りでいくらか目が覚めた。
「……この一連の行動が瑠璃の照れ隠しに過ぎないことを、この時のノアはまだ知らなかった」
「なんだそのナレーション……照れ隠しなのか?」
「まあ、嘘だけど」
「だよなー」
「当たり前だ。でも『可愛い』はやめて欲しいというのが本音。あんま気分いくない」
可愛いだの美人だのその他美辞麗句を下心見え見えの顔で並べ立て、自分の物にすることしか考えていないような奴らせいで、容姿に関しての褒め言葉は、私にとってほとんど褒め言葉としての役割を担わなくなった。
「え、そうなのか?」
「うん、そー。正直どんな反応すりゃいいかわかんないし」
普通の婦女子であれば、容姿を褒められれば喜ぶなり恥らうなりの反応を見せるのだろうが、生憎容姿を褒められても嬉しくもなんともない私としては、「で?」としか返事のしようがない。
純粋に、悪意なく言ってくれる人には悪いんだけどなー。
まあ、この話はさておきに。
「今、何時?」
「もうすぐ五の
もうすぐ五の彩と言うと……えーと、元の世界で大体朝の九時ぐらいか?
この世界は一日十時間カウントで、単位は『彩』と呼ぶらしい。
ついでに言うとここの時計は針時計ではなく、時間によって色が変わる円盤状の魔法具である。
色によって時間を見るらしく、例えば五の彩は緑。
ちなみに一の彩は赤。そして零の彩という表記は存在しない。
別の世界に飛ばされる度に、その世界の一般常識を覚え直さなければならないわけだが、本音を言わせてもらえば面倒意外の何者でもない。
ノアはあっさり順応してるな。
ホント、こいつの人としての適応能力はすげぇよ。
「メイドさん困ってたぞ、起こそうと声かけても『お前らにトリッパーの悲しみの何がわかるってんだよ !』とか『封印がとけられた!』とかわけのわからないこと言って、全然起きてくれないって」
……寝言で何言ってんだ、私。
いや、まてよ?むしろ……。
「……ノアよ。私には、長年頭を悩ませていたわけでもない謎があったわけなんだが」
「そうか。長年頭を悩ませていたわけでもない謎か」
……なんかこいつ、順応してきたな。つまらん。
「そいつが今解けた。人間をやめた私は、一体何になったのかと。人でも何者でもない私は、一体何者なのかと」
「え?なんだ、意外と真面目な……」
「なんと!私はブロントさんだったのだ!!」
「と思った結果がこれだよ!!誰ブロントさんって!」
「ブロントさんとは
・謙虚なナイトで大人気
・メイン盾で不意だまが得意
・光属性のリアルモンク(不良界の伝説)
・忍者と侍とカイが嫌い
・ズタズタにするのが好き
・モテる
・想像を絶する悲しみに襲わている
『ブロントさん名言集』より抜粋」
「マジで誰ぇ――――――――――――!!?」
意外にも、ノアはブロントさんを知らなかった。
今まで結構私の振ったネタに食い付いてこれてたから、知っててもおかしくはないと思ったんだけどなぁ……。
「まあ、嘘だけど」
「でしょうねぇ!!」
「……さて。私はそろそろ」
「あ、着替えるのか?なら俺は部屋の外に……」
「いや、ジャ●プ読む」
「なんでだよ!!今読むなよ!……いや、なんであるんだよジャン●!」
「いーやーだ――――!読むのー!S●ET DANCEと銀●とONE PI●CEとバク●ン読むのぉー! 」
「駄々こねるなよ!今日出発だっていうのに寝坊したのはそっちが悪いんだろ!あと、だからなんであるんだよ!!」
「発売前に死んだから読むの諦めてたんだよ!この幸せを噛み締めさせろYO!」
「瑠璃が噛み締めるのはあたりめだけで充分だ!いいから早く仕度しろ!」
「くそぅ、ノアのくせに上手いことを!お断りだ!」
「なんだよノアのくせにって!襟から物理的に有り得ないサイズの雑誌を出すな!」
「●ャンプ読み終わったらW●opieでも漁ってSK●T DANCEと●魂とB●EACH見るんだよ!そのあと2●hで保守してたスレ覗いて、そのあとニ●動行って見溜めてた実況とボ●ラン見に行くんだああああああ!! 」
「落ち着け――――!!どうしたんだ一体!今までこんなことなかっただろ!」
「だって……だって……!異世界でオタクライフとか、神展開にも程があるよ!?」
「安っ!神展開安っ!」
「私は
「決めんな!!いいから仕度しろよ!時間なくなるだろ!」
「ノア、君はことの優先順位とゆうものがわかってるのか!この場で優先すべきなのは邪神再封印なんかじゃない……一刻も早く
「甘えんなぁ――――――――――――!!!」
私とノアの応酬は、騒ぎを不安に思ったメイドさんが様子を見に来るまで続きましたとさ。
結局ジャ●プは読めませんでした。ぐっすし。
特に展開も何もないターン。
こうゆうのって、閑話扱いにした方がいいのでしょうか?
そして、珍しく一般常識の設定をちゃんと考えた気がする。
とゆうか、First worldに来てから十八話も投稿してるってのに、未だに旅に出てませんorz
元ネタの紹介
・お前らにブロントの悲しみの何がわかるってんだよ
・ 封印がとけられた!
ブロント語。
・ゆっくりした結果がこれだよ!!!
ゆっくりしていってね!!!の派生語。
某動画サイトで、ゆっくりしていってね!!!関連の動画でゆっくり出来ないときに使う。
・ブロントさん
その昔2chネトゲ実況板(通称FF11板)に降臨した現人神。
その類まれなる言語センスと常識を超越した思考回路で一躍人気者に。
(「ブロントさん名言集」より)