日々様々な企業について調べていると、社長のキャラクターを軸に各社、実に多様なカルチャーが存在していることに気づかされます。
そんな中、Fledge編集部の頭の中には1つの素朴な疑問が浮かんできました。
そこで編集部は(あの手この手を使って)さっそく企画を立案。その名も……
「あなたはどっち派?自社カルチャーバトル!!」
参戦したのは、以前にもFledgeでお話を伺って大反響だった、徹底した合理主義を標榜する株式会社カオナビから柳橋社長!
対する人情派代表として、社内行事、飲みコミュニケーション大好きな株式会社スタートアップテクノロジーから、菊本社長!
さあ、タイプのまったく異なる2人の社長はいったいどんなトークバトルを繰り広げるのか!?戦いの幕が今、切って落とされました!
本日はお忙しい中、両社の方々にお集まりいただきありがとうございます!(カルチャーが真逆な2社を連れてきたので、これはバトること間違いなし…ふふふ)
▲バトルに向けて、気合十分のFledge編集部3名(色が映えるように白い服で統一して参戦)
それではさっそくですが、机の上のサイコロを振っていただいて、出た数字に合わせてお題をお出しします!
カオナビ柳橋 仁機(以下、カオナビ柳橋):え、サイコロでお題?同じ数字が出たらどうすんの?
▲無駄なことが大嫌いな柳橋社長。さっそく運営上の“無駄”に気づく
た、確かにそうですね…。では、はじめの1回だけにしましょうか…!(さ、さすが徹底的合理派、カオナビ柳橋社長!)
スタートアップテクノロジー菊本 久寿(以下、スタテク菊本):あ、じゃあ僕が振っちゃいますね。(ポイッ)
あ、ありがとうございます!(さすが人当たりの良さが売りの菊本社長!助かった…)では「4番」が出たので「リモートワーク」について。両社長がどのような考えをお持ちなのか、教えてください!
お題1:リモートワークについて
スタテク菊本:うちは基本的に会社に来る、来ないは自由です。どこで仕事をしてもいいんですが、特にリモートワークを推奨しているわけではないですね。
カオナビ柳橋:お、そこは同感ですね!うちもリモートワークは推奨はしていません。
スタテク菊本:でも、その上で来るという選択をしてもらえるために、会社を楽しくするよう心がけています。なので、実際に会社に来るのが好きで来ているという社員もいます。
あと、リモートワークしたい人って、実はたださぼりたいだけの人もいるんですよ。そういう人がリモートワークをすると自己管理が上手くできなくて結果潰れちゃうことも結構あります。なので、そういう人には「朝はちゃんと会社来たほうが良いよ」って声をかけることにしています。個人的にはコミュニケーションが薄くなってしまうので、リモートワークはあまり好きではないんです…。
なるほど。カオナビさんはなぜですか?
カオナビ柳橋:議論や意思決定をするには、単純に集まったほうが早いですからね。通える状況にあるなら、来たほうがいい。でも来られないならリモートでいいよっていうくらいのスタンスです。
▲いきなり意見が一致し、どことなく安心した表情を浮かべる両社長
お題2:理想の社員像について
では続いて、我が社にはこんな人に来てほしいという「理想の社員像」はありますか?
カオナビ柳橋:うん。うちは自己管理ができる人ですね。自分の仕事は何で、何がゴールなのかがわかっている人、時間の管理もできるしアウトプットの管理もできる、そういう人が優秀な社員だと思いますね。特にカオナビは「残業をしないこと」を徹底しているので、そうなると自己管理能力はより重要になります。
スタテク菊本:おっしゃる通りですね。自己管理ができることは、うちもすごく重要視しています。
あとは、会社のカルチャーを好きになってくれる人ですかね。うちは飲み会や開発合宿が頻繁にあるので、みんなでワイワイするのが好きだと嬉しいです。個人の志向はありますけど、カルチャーが合ってるっていうのはベースとして大事です。
カオナビ柳橋:会社は組織なので、カルチャーが合わないと難しいですね。面接の段階では、組織の和を乱さないかどうかはチェックしています。
リモートワーク、理想の社員像については意見が一致しましたね。(あ、あれ…あんまりバトルにならないぞ…?)
▲予想外の展開に、少々焦り気味のFledge編集長
お題3:社内コミュニケーションについて
次のお題は「社内コミュニケーション」について。お二人は普段、社員さんとはどのようにコミュニケーションをとられていますか?
スタテク菊本:僕自身がお酒を飲むのが好きなので、うちは「飲みニケーション」と、「タバコミュニケーション」が多いです。特にエンジニアは、どうしてもチャットのコミュニケーションに寄ってしまうので、オフのタイミングでしっかりとコミュニケーションをとるのが大事になってきます。飲みの場で上司と部下が言いづらいことを言い合ったりしていますね。
▲お酒の話になった途端、一気に表情が緩んだ菊本社長
カオナビさんは、飲みニケーションのイメージがあまりないですが、いかがですか?
カオナビ柳橋:社員同士が飲み会をするのは良いことだと思っています。ただ、僕自身は飲み会にはほとんど参加しません。
そうなんですね!なぜ参加しないのでしょう?
カオナビ柳橋:仕事関係の飲み会が嫌い、そういう性格なんです。僕はお酒を“尊敬”しているので、飲みながら仕事の話は絶対したくないんです。酒を飲むときは楽しく飲むって決めているんで。
社員にお酒を注がれた時点で、「ああ今日は社長として飲まないといけないんだ」って思っちゃうと、もうつまらないですね。ありきたりなことしか言えないし。基本的には僕が参加するのは忘年会だけです。
なるほど。じゃあ、社員さんとのコミュニケーションはどこで?
カオナビ柳橋:エレベーターとかですね。
エレベーター?(笑)それで十分なんですか!?
カオナビ柳橋:十分ですよ。あれちょっと待って、なんかすごい変なやつみたいになってない?
いやいや!そんなことは…ないですよ!
▲自身の感覚が周囲とは異なることに気づいた瞬間の柳橋社長
(やっと意見が割れた…ホッ。)
はしやすめ:それぞれの社長の魅力は?
さて。話が盛り上がってきたところで、ここで少しブレイクを挟みたいと思います。ここでは、お隣にいらっしゃる社員さんに伺いたいと思います。率直に、社長の魅力ってどんなところですか?カオナビの藤田さん、いかがでしょう?
カオナビ藤田:そうですね…。柳橋はご覧の通り、論理的な物言いをするので、若手社員からすると怖いと感じるときがあると思います。仕事は基本合理主義、一見するととっつきにく印象があるかもしれないですね。でもプライベートでは全然違っていて、人間味が見えるところが魅力ですね。感情で物事は言わないし、こちらもちゃんと筋道を立てて話せば絶対にわかってくれます。
▲思ってもみなかったコメントが飛び出し、ちょっと照れる柳橋社長
カオナビ柳橋:自分でいうのも何ですけど、プライベートは本当にだらしないですからね。ソファで寝っ転がって酒飲んで野球観ています。でも月曜から金曜までの9時半〜18時半までの時間、つまり仕事の時間は「みんなで論理的に成果を出すゲームをしている」そんな感覚です。
スイッチが完全に切り替わるんですね。
カオナビ柳橋:そうなっちゃうんですよね。一旦仕事が終わったら、もう仕事のことなんか1ミリも考えないけど。
カオナビ宮地:あと意外な一面というと、コーラとジャンクフードが大好きですよね(笑)たぶんこれも外から見たイメージとは違うのかなと。柳橋がコーラを好きすぎて、もともと会社に無かったコーラの入った自販機がいつの間にか設置されたんですよ!
カオナビ柳橋:あれはタイミングがちょうど重なっただけで、違うだろ!(笑)それじゃあ俺が仕向けたみたいじゃん!
▲意外なところから素性をばらされて慌てる柳橋社長と、それを横目にみる藤田さん、宮地さん
真相は闇のまま…ということで(笑)一方でスタテクの菊本社長の魅力はどんなところにありますか?荒木さん、いかがですか?
スタテク荒木:やっぱり親しみやすいところですね。菊本は社長なんですが、現役のエンジニアでもあって、「あの人はヤバイ!」って社員みんなが言うくらいコードを書くスキルが高いんです。でもTwitterでは議論が加熱して炎上することもあったり、エンジニアとしての顔と普段とのギャップが大きいです。うちのオフィスはめちゃくちゃ静かなんですが、そんな中で菊本が真剣に仕事をしていると、威厳とオーラがすごいんですよ。
▲荒木さんが語っている最中も、隣で優しい笑みを浮かべながら話を聞く菊本社長
スタテク荒木:でも長く関わっていくと、寂しがりやだったりコミュニケーション下手だったりする一面も見えてきて、そうすると今度は「お茶目だなこの人」って思えてきて。なんか愛らしいキャラクターみたいに見えてきたりします。
▲褒められて全力で照れる菊本社長(人の良さがにじみ出ちゃってますよ!)
ふむふむ。両社の社長はともに、威厳があるのに実はお茶目!そのギャップが魅力なのかもしれませんね!
お題4:業務時間外のメールについて
それでは再び、両社長への質問に戻りたいと思います。何かと物議を醸しやすい、顧客からの「業務時間外のメール」について、お二人はどう考えていますか?
スタテク菊本:そもそもうちには、定時っていう定時がないんですよ。コアタイムなしのフレックスみたいな感じです。お客さんとのやりとりは、素早くレスポンスするために、メールではなくてチャットを使うことが多いです。インフラのシステムを扱っている場合もあるので、やはりシステムが落ちたりなど、緊急でやらないといけないときはあります。お客さんが困っていたら助けるっていう、ただその精神で動いていますね。
▲「困っている人がいたら助けたい」と目を細めながら語る菊本社長
カオナビ柳橋:カオナビでは、メールが使われている時点で緊急の案件ではないと判断しています。メールは見たときに対応すればいいんです。そもそも時間外にはメール見ないですから。
▲清々しいほどきっぱりと、強い目力で答える柳橋社長
カオナビ柳橋:情報漏洩などの重大事故が起きたら対応するようマニュアルで決まっていますが、基本的に業務時間外は会社が管理する時間ではないという考えなので。
なるほど!このお題に対する回答には、両社の考え方が明確に反映されていて面白いですね!
お題5:仕事とプライベートの分け方について
それではこちらが最後のお題になります。先ほどの「業務時間外のメール」とも関わってきますが、仕事とプライベートの分け方については両者どのように考えていますか?
スタテク菊本:考え方としては分けていないですね。趣味が仕事だし、仕事を趣味として楽しんでいますから。私は仕事と遊びは同じレイヤーで考えていて、仕事は遊びで遊びは仕事なので。だから飲みに行っても、共通の話題は仕事のことが多いです。
そういう考え方で技術を勉強しようとすると、これは趣味なのか仕事なのか区別がつかなくなるんです。だから、仕事の中で遊べるような環境を目指しているのがうちの会社ですね。
▲「仕事は趣味のようなもの、遊ぶように仕事をしています」スタテク菊本社長
カオナビ柳橋:このお題については完全に意見が分かれますね!僕は仕事とプライベートは完全に分けていて、絶対に混ぜたくない派です。家でも仕事の話は一切しないし、何ならパソコンも家にない。仕事以外の時間のほうが人って成長するので、人生において仕事ってあんまり大事じゃないと思っています。
カオナビ藤田:ちょっとだけ補足すると、仕事で成長するのは決められた労働時間内、つまり8時間内でやってもらい、それ以外の時間は、仕事がうまくいくための環境づくりや習い事、副業をするなどに充ててもらう。仕事以外の成長時間を提供しているというのが基本的な考え方です。
▲「仕事とプライベートは1ミリも混ぜたくない!」カオナビ柳橋社長&藤田さん
スタテク菊本:うちのエンジニアやデザイナーはその仕事を好きでしている人たちが多いので、仕事が終わっても、プログラミングをしていたり、デザインをしていたりします。そういう人たちが、夜遅くまで会社にいたりして、定時がなく出社も自由という環境をうまく使っていると思います。
このお題については、両社キレイに意見が分かれましたね!面白い!さて、お時間もちょうど来たところですので、ディスカッションは以上にしたいと思います。みなさま、ありがとうございました!!
自社カルチャーバトルを終えて
▲菊本社長、柳橋社長、ありがとうございました!!
一見真逆のタイプのおふたりですが、経営者としての考え方には共通点があり、しかも実はお茶目という意外な一面まで持ち合わせていました。
自分に合った働き方を見つけるためには、社長の考えや社内カルチャーを理解するのも大事なポイントとなってきます。みなさんは、どちらの社長の意見に納得しましたか?
それにしても、世の中には本当にいろんな社長さんがいますね。というわけで、我こそは個性的な社長だ!という方、もしくはそんな社長を知っているという方、ぜひご一報ください。Fledgeが勝手にバトルを企画するかもしれません!
執筆:Rina Kawanishi
企画・編集:たくみこうたろう(@kotaro53)