2018年9月、当メディア『Fledge』は『株式会社えふなな』から、採用マーケティング事業を展開する『インビジョン株式会社』に事業譲渡されました。最近では雑誌やメディアにも紹介され、20代、30代からの知名度も上々のFledgeを一体なぜこのタイミングで手放すことになったのか?そして、事業を引き継ぐインビジョンとはどんな会社なのか?『Fledge』は今後どうなっていくのか?今回はFledgeの立ち上げたえふななの前代表、新田勢剛氏と新運営会社のインビジョンの代表、吉田誠吾氏を直撃し、本音でぶっちゃけトークをしてもらいました。
吉田 誠吾(よしだ せいご)
インビジョン株式会社のCEO兼カンパニーカルチャークリエイター。人材ビジネス歴18年目・経営歴11年目・2児のパパ。
新田 勢剛(にった せいごう)
「シゴトを楽しむ、人生を楽しむ。」という理念を広めたいとの想いから当メディア「Fledge」を立ち上げる。現在は株式会社ムジントの代表。3児のパパとしても日々奮闘中。
『Fledge』立ち上げメンバー解散!の裏側
では早速、なぜ『Fledge』をインビジョンに譲渡するに至ったのかをお伺いしてもいいですか?
新田:はい!Fledgeを今後もっと大きいメディアにしたいと考えていたんですけど、当時の会社の体力では限界もあって、それならその力のある会社に渡したほうがユーザーにとっても関わる企業にとっても良いと思ったからです。
吉田:っていうのはキレイごとでしょ?(笑)
新田:何がですか!?(笑)まあ、確かに理由は色々ありますけど…。でもそういう想いも含めて、譲渡に踏み切ったのは本当です。
わりとシビアな裏事情があるのですね。
新田:メンバー個々に想いがあってそれをひとつにまとめられなかったという状況は確かにありましたね。想いがひとつにならなければFledgeがうまくいくわけがないし、それならいっそ解散したほうがいいのかなと。だから、Fledgeを閉じようとも考えたんだけど、それよりも、積み上げてきたものを継承してくれて、伸ばしてくれる会社に譲るべきだと思いました。もちろん、何かひとつのことがキッカケというよりは、複合的な要素が絡み合っての経営判断です。実際に、えふなな自体も株式譲渡をしてますし、他の事業は僕が新しく作ったムジントという会社に事業譲渡をしています。総合的にベストな判断をしたつもりです。ただ、この判断に納得できないメンバーもいたとは思います。
それで、吉田さんに譲渡の話しを持ちかけたんですね。
新田:吉田さんは、元々僕が新卒で入った会社の先輩で、長い付き合いだったし、インビジョンは“働くかっこいい大人を増やす”というミッションを掲げていて、“仕事を楽しむ、人生を楽しむ。”を掲げているえふななと、言葉は違えど志は同じ。と思い、吉田さんに相談しました。
相談を受けて、吉田さんはどう感じましたか?
吉田:正直に言って、“仕事を楽しむ”って掲げてるのに、本人が楽しめてないのかなって思ったね(笑)
新田:いやいや楽しんでましたよ!(笑)
吉田:まあ、それはさておき、俺はメディアを運営する上で一番大事だと思っていることは、“そのメディアをどういうものにしていきたいのか"っていうビジョンの共有をメンバー全員ですること。あと予算を共有化して、意識してもらうとか、ここまでいかなかったらやめるっていう数値とかも明確にしておいたほうがいいと思ってる。メディアをつくるって投資案件だからね。
たしかにビジョンの共有がないと、経営者と現場との間にギャップが生まれてしまいそうですね。
吉田:何よりも先に、なんでそれを世に放つのかについての共通の想いがあるといいよね。目的意識とかビジョン、何をやりたいのかで繋がっていれば意見が割れてもチームは壊れないはずだから。
“自分らしく働く人を増やしたい”Fledgeに込めた想い
新田さんは、Fledgeを立ち上げるときはどのような想いがあったのですか?
新田:“自分らしく働くこと”をテーマにメディアを立ち上げたいと思って、2016年の7月に立ち上げました。
自分らしく働く人を増やしたいと思ったのにはどんなきっかけがあったのでしょう?
新田:それにはサラリーマン時代の原体験が大きく影響していて、新卒で入った人材系の広告代理店の会社で営業をしてたんですけど、そのときの上司が吉田さんでした。で、吉田チームは基本ずっと営業目標を達成していて、イケイケのチームだったんですよね。かなり高い目標を連続でずっと達成してましたよね?
吉田:53週連続達成だよ。
おおー、すごいですね!
新田:本当にみんないきいきと仕事をしていて、連携やチームワークも良かった。でも一方で、会社自体は離職率も高くて、他のチームとの温度差を感じていました。吉田チームと他のチームが何が違うのかというと、吉田さんがメンバーひとりひとりの個性や将来の夢を重ね合わせてマネジメントしてくれていたんです。僕の場合は、将来起業したかったので、それであればとにかく経営者に会えと。経営者に会っていろいろと学びながら成長しろと。だから、目先の数字に追われ過ぎず、自分の未来と重ねながら仕事をすることができたのが大きな違いだったと思います。結果的に、達成もしていましたし、キツいことはあっても常にやりがいや成長を感じながら仕事ができていましたね。
吉田さんのマネジメント力を感じますね。
新田:2社目に入った会社ではマネジメント側に回ったので、吉田さんのやっていたように、one to oneの面談をしたり、個々のキャリアに重ね合わせながら話をしていました。そうするとみんなも自然といきいきしていくし、しかも自分でそれを感じ取ることができました。
社員ひとりひとりが仕事を楽しむことができる、と実感できたんですね。
新田:それで、自分の会社をやったときに、“仕事を楽しむ、人生を楽しむ。”をコンセプトに掲げるようになった、これが僕の原点です。もちろんその想いは当然、社外の人に向けても同じなので、会社と同じコンセプトのメディアを立ち上げることになりました。
「お父さんのチーム、超かっこいい!」って思われたい
Fledgeを運営していてどんなことを感じていましたか?
新田:2年間Fledgeを運営してきて感じるのは、「仕事=お金を稼ぐ場所」というのが当たり前だったのが「仕事=人生の生きがい」という目的を持った人が増えているということですね。
なぜそう感じたのでしょうか?
新田:『えふなな』の採用応募にも毎月コンスタントに20人以上のエントリーがあって、中には大手企業に務めている人もいたんですけど、多くの人が「やりがいのある会社で働きたい」と言っていました。つまり、キャリアを捨ててまでも、自分のやりがいを優先したい人が増えてきているなって、応募者を通じて感じることができて。企業からの取材のオファーも多いのですが、オファーがくる企業の共通項として、社員を駒のように使うのではなく、社員の幸せを考える。社員ファーストのところが多くなってきたということを会社の規模を問わず感じますね。
ユーザーも企業も、働き方に対する考えが少しずつ変化してきているんですね。
新田:労働人口の減少や知的労働の増加によって、採用難易度が上がったりとか、いろんな背景はあるにせよそれはすごく良いことだなって思います。僕自身のことを言えば、起業と結婚が同じタイミングだったので、自分の子どもと重ねて考えることも多くて。自分の子どもに仕事の楽しさを伝えたいと思うようになりましたね。
吉田:その想いは同じだね。お父さんのチーム、超かっこいい!って子どもに思われたいね。インビジョンは、『働くかっこいい大人を増やす』をミッションに掲げているけど、"かっこいい”ってそれぞれ定義は違うから、社員のそのひとつひとつを聞いていくようにしてるよ。
吉田さんがそう思うようになったのはどんなきっかけがあったのですか?
吉田:小学校のときから、父親に、仕事はおもしろいぞって刷り込まれてたからね。でも、実際に社会人になって「ノリ悪!」って思った。言われたことをこなすだけで、仕事の捉え方がダサいなって。営業のリストとか渡されても俺は社長に会いたかったから、自分のリストを作ってたりとか。そんな感じだったから何回もクビになりかけた(笑)今でも遊んでる感覚で仕事をしているからストレス溜まったことがないんだよね。そんな感じで、言うなれば働くをエンタメ化していきたいなと思ってる。
それぞれのビジョンをアウトプットできる場に
吉田さんは、Fledgeをどんなメディアにしていきたいですか?
吉田:働くかっこいい大人を増やすメディアにしたい。具体的には、本当に心からビジョンが大事って思う大人が増えるといいなと思ってる。建前だけでビジョンが必要だと思っていても絶対うまくいかない。だから、一般ユーザーに対しても働き方の表面的なことではなくて、なぜその働き方をしたいのか、っていうビジョンにフォーカスしていきたいね。
新田:働くことは手段ですもんね。
吉田:うん、例えばパラレルワークをしていると、なんでこの働き方をしてるんだろう?って思うとする、そこが大事。何をしたいか、誰と、どこへ向かっていきたいか。自分らしく生きたいってだけじゃなく、何かを成し遂げたいって思う人を増やしたい。
Fledgeがそのきっかけになるといいですよね。
吉田:あとは、色んな個人やチームのそのビジョンをFledgeで取り上げて、こういうコミュニティに参加してみようかなってきっかけになるような、そういう媒体になっていくといいなと思う。今は、個人の時代って言われてるけど、個人でできることって限界があると思っていて。人間って結局は寂しがりやでしょ?だから、いい感じのコミュニティに入ってる人って幸せだと思う。
本当にそうですね。複数のコミュニティに属したりすることもできる時代になっていますしね。
吉田:だから、そのいい感じのコミュニティをいっぱい作ってあげたいんだよね。「学校とか会社を辞めてどっか飛んでいきたい」と思っている人がいるとして、べつに飛んでいったっていいわけじゃん。だから、そういう人に対して、「ここに良い感じのコミュニティあるよ」って言ってあげられるような。
新田:職場なのか、コミュニティなのか、それを発見できるといいですね。これからの会社のあり方って会社ではなくて、チームとかコミュニティっていうイメージがありますね。
吉田:個人のチームやコミュニティにもビジョンはすごく大事。20代だったら、自分のやりたいことが漠然としているけど、それをやってどうなりたいのかが大事で。だから、Fledgeがみんなのビジョンをアウトプットできるような場所になればいいなと思ってる。
吉田さん、新田さん、ありがとうございました!
編集後記
会社経営(メディア運営)って思っていた以上に大変そうです。でもなんだか、それ以上に楽しそうだなとも感じました。働き方が大きく変わり始めた今、Fledgeもまた、時代の変化に合わせて次なるミッションを果たしていくのだと思います。Fledgeは、インビジョンへの事業譲渡を経てさらに大きく成長していく予定です。読者の皆さん、今後とも応援よろしくお願いいたします!