最所 あさみ(さいしょ あさみ)
大手百貨店入社後、ITベンチャーを経て独立。2017年6月より、八重洲のシェアオフィス「Diagonal Run Tokyo」のコミュニティマネージャーとして場づくりとコミュニティ形成を担当。フリーランスとして、Webメディアの運営やイベント開催を通したコミュニティ支援業務も行う。
このたび私は、5年ちょっとの会社員生活にピリオドを打ち、独立することになりました。特別なスキルをもっているわけでもない、普通の会社員だった私が、独立を決意した経緯や、自分の居場所づくりの過程で感じたことについてお話したいと思います。
自分の「居場所」を探し続けた会社員時代
新卒で入社したのは、都内の大手百貨店です。就活では他の百貨店や商業施設には一切目もくれず、1社だけに絞って受けるほど「私にはここしかない!」という思いで入社しました。
私の社会人としての基礎を作ってくれた1社目の会社には感謝していますし、未だにいい会社だなと思っています。
しかし、自分のやりたいことや目指したい世界が明確にあった私にとって、会社の方針や考え方が合わないと感じることが増えていきました。
そこで次の「居場所」を探して2回転職をするのですが、それぞれ2年ずつ働いてみて感じたのは、自分の芯が明確な人は、居場所を「探す」よりも「作る」べきなのではないかということです。
私はもともと好奇心が強く、自分でイベントを開催したり、社外の人との交流をもったりと、会社の外の世界に積極的に触れてきました。そうすると自分自身の価値観も徐々に変わっていくため、会社とのズレも生じやすくなってきます。
はじめは価値観がぴったり合う会社でも、自分が変化することによって合わなくなってしまうのです。
そこで、自分の変化にあわせて働ける道を選ぶため、居場所を「探す」ではなく「作る」方向にシフトしようと思ったのが、私の独立のきっかけです。
そうは言っても、私はエンジニアやデザイナーなどのスキルがあるわけではありません。それでも独立してやっていこうと思えたのは、約1年前からコツコツ書きためてきたブログのおかげでした。
▲イベント登壇時の様子
たった1年で環境が激変。身を以て感じた情報を発信し続けることの大切さ
私がnoteというアプリ上で文章を書き始めたのは、1年ほど前でした。当時から会社のオウンドメディアを担当していたのですが、会社の記事以外のものを書いてみたいと思ったのが書き始めたきっかけです。
オウンドメディアは会社の名前を冠している以上、確定した情報や事実しか発信することができません。しかし、取材や他のニュースを見る中で今後こうなるかもしれないという予測が自分の中に生まれ、その発信場所として自分の名前で書いてみようと思ったのです。
また、スタートアップのサービスは機能が足りていないことも多いため、初期は個人の信用力で使ってみてもらうことが重要だと感じ、応援してくれる人を増やしたいという目的もありました。
最初は気まぐれに書いていたのですが、書き始めてから2ヶ月ほどでnoteの「おすすめ」にピックアップしてもらったことがきっかけで、フォロワーがつき、「いいね」などのリアクションをもらえるようになってきました。
書けばリアクションがもらえるのが楽しくて、気づけば毎日更新するようになり、今も平日は毎日記事をアップしています。記事数は、約1年で200まで増えました。
書き始めて半年経ったあたりから、イベントで声をかけられることが増えたり、noteの記事きっかけでお仕事の連絡をいただくことも増えてきました。
たった1年でフォロワーも1,000人まで増え、NewsPicksの総合トップに私の記事がでてちょっとした「バズ」を体験するなど、はじめた当初には想像もしていなかったことが次々と起きるようになりました。
それもすべて、毎日コツコツ記事を書きためて資産化していたからこそだと感じています。
▲フォロワー数1,000を超えるnoteのアカウント
情報発信を「続ける」ためには、反応をもらえる場所を探すこと
今でこそ毎日記事をアップしている私ですが、これまで使ってきたブログサービスはどれも1ヶ月と続きませんでした。
ここまで読んでくださった方の中には「よし、自分もnoteを使えばいいんだな!」と思われた方もいるかもしれませんが、どのプラットフォームが合うかは人それぞれだと思っています。
例えば、文章だけではなくInstagramで写真を投稿したり、NewsPicksで自分なりにニュースをキュレーションしつつコメントをつけるスタイルで人気がでる人もいると思います。
だからこそ、何か試してみてやっぱり続かなかったと諦めてしまうのではなく、自分に合う場所を探し続けることが重要だと思います。
その際重要なのは、反応をもらえる場所を探すということです。
「いいね」やコメントなど、自分の作品に対して何かしらのリアクションがつくようになると、義務からやりたいことに自然と変わっていきます。
そうしたリアクションの仕組みがあり、且つおすすめピックアップや公式のSNSで紹介してもらえる、ハッシュタグで検索できるなど、自分の既存チャネルだけではなくプラットフォーム自体のユーザーへリーチできる仕組みがあると続けやすいはずです。
また、情報発信はきまぐれでやってもあまり意味がありません。毎日コツコツと発信することによって資産になるのです。
例えば私の場合、たまたま有名な人に記事をシェアしていただいてPVが伸びた時、フォロワーも大幅に増えます。それは初めて私の記事を読んだ人が、「他にもいろんな記事を書いているんだな」と気づいてくださったからだと思います。
コンスタントに記事を書いていると、どこかのタイミングでインフルエンサーに拾われるタイミングがきます。その時に、一過性のバズではなく自分のファンに転換できるかどうかは、日々積み上げてきた記事という資産の質にかかっています。
だからこそ、毎日無理なく続けられる情報発信の方法を模索することが重要なのです。
会社員だからこそ、個人の名前で情報発信を
こうした情報発信の話をすると、「それはあなたが文章を書けるからできたことでしょ」と言われることもありますが、私はそうは思いません。私はたまたま文章を書くことが難なくできる情報発信でしたが、人によってはそれが写真だったり、Twitterなどの短文投稿だったり、イベント開催だったりすると思います。
重要なのは、自分が続けやすい表現方法を見つけること、そして何より自分の名前を出して活動することです。
私が独立を報告する記事を書いた際、反応してくれるのは周りの友人・知人くらいだろうと思っていました。しかし実際には、予想をはるかに超える反響があり、公開から数日でお仕事のご相談もたくさんいただくことができました。
それはすべて、これまで自分の名前でコツコツ記事を書きためてきたことによる、信用資産のおかげだと思っています。
この記事を読んでくださっている方の中には「でも、私は将来独立したいわけじゃないし…」という方も多いと思います。実は私もはじめから独立するつもりだったわけではありません。しかし、情報発信を続けてきたことで、働き方を選ぶ自由を手に入れることができたと感じています。
今の働き方に何かしら不満があるのであれば、理想の働き方を追求するために、まずは自分で何かを「作ってみる」こと。転職という居場所探しではなく、自分で書いたり作ったりしているうちに声をかけてくれる人や出会ったものこそが、本当に心地よいと思える「居場所づくり」につながるのだと思います。
フリーランスから見れば、会社員というのはとても恵まれている立場です。働かなくても給料が発生する日が、月に8日も約束されているのですから。そうした週末の時間を使えば、最小のリスクで自分の居場所づくりにチャレンジできるはずです。
もはや会社が自分のことを守ってくれる時代は終焉を迎えています。会社員のうちに自分の名前で仕事ができる下地を整えておくことで、どんな環境でも生きていける、「真の安定」を手に入れられます。
さらに、こうした社員個人の社外活動は会社にとっても大きなプラスになります。その効果を理解せず、逆に制限をかけるような会社は、どのみちこの先、生き残っていくのは難しいものです。だからこそ私は、SNS禁止令をだすような会社には就職するなとことあるごとに伝えるようにしています。
就職や転職を考える際には、そうした情報発信や課外活動の自由度も、判断基準のひとつとして加えることをおすすめします。
このように、自分自身がたった1年で環境が激変したからこそ、会社にいるうちからコツコツ自分の信用資産を積み上げることの効果を、よりたくさんの人に感じてほしいと思っています。
ここに書いたことが、1人でも多くの人の居場所づくりへの第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
6月からは、Diagonal Run Tokyoというシェアオフィスのコミュニティマネージャーとして八重洲に常駐しているので、東京駅近辺にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
一緒に面白いことを仕掛けていきましょう!
▼最所あさみさんの最新情報はこちらでチェック!
note:https://note.mu/qzqrnl
Facebook:https://www.facebook.com/asami.saisho
Twitter:https://twitter.com/qzqrnln