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冷凍の世界 ~冷凍食品の新常識~ 後編

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冷凍の世界 ~冷凍食品の新常識~ 後編

日常でよく使う冷凍食品。前編に引き続き冷凍の世界を冷凍博士、鈴木徹先生に教えてもらいましょう!

技術・科学的な側面からサポートしてくれる先生

鈴木徹(すずき とおる)教授

鈴木徹(すずき とおる)

農学博士 東京海洋大学大学院 食品生産科学部門 教授。
水産物冷凍、解凍、食品冷凍に関して全般をカバーする研究。食品のガラス物性研究、過冷却や魚卵凍結保存研究、デンプン構造変換研究、フライ調理メカニズム研究など多くの研究を手がけている。現場と基礎をつなぐ研究を心がけている。

先生!後編もよろしくお願いします!

引き続き後編も、一問一答形式で答えていくよ!
冷凍の世界を一緒にみていこうね。

冷凍の世界 え?そうなの?冷凍食品の疑問を科学的に解決!

冷凍食品が腐った?色が変わった、氷がいっぱいついてるは危険なサイン?

先生!!後編最初は僕、冷凍枝豆から質問です!!
僕長い間冷凍庫で出番を待っていたんだけど、いつの間にか白くなっちゃったんです。腐っちゃったのかな?もう食べられないの?

あらあら。確かに色が変わってしまっているね。
そうか、皆さんは、冷凍庫にある食べ物が色が変わったりしていると「腐っている」という認識になってしまうんですね。
色が変わること、氷がいっぱいつくこと、腐ることはそれぞれ違う現象なので、ひとつづつ説明するね!

冷凍食品が腐った?色が変わった、氷がいっぱいついてるは、危険なサイン?開閉ボタン

霜のついた冷凍枝豆。

こんな感じの冷凍食品が腐っているとか、食べられない。といったイメージがあるみたいなんだけど正解は

食べられないこともないんだけど、品質が劣化している可能性があるので正直食べるのはお勧めできません!

この話は誤解されている方が非常に多いので、ちゃんと説明しないとだね!

腐っているってよく言われるんだけど。。。
腐っているんじゃないんですか?

まず、初めに伝えたいのは

冷凍食品は腐らない。

なんと!!しらなんだ!!なぜ腐らないのですか?

食べ物が腐るという現象は、微生物が食べ物を分解して毒素をつくることでおきるんだ。

なるほど!微生物は悪者なんだね!

いや、微生物は悪者という訳じゃないんだよ。
納豆などの発酵食品も、微生物の作用によって生まれているものだからね。
微生物の作用が人間にとって良い働きのときは「発酵」、悪い働きのときは「腐る」という解釈になるんだ。

【コラム】腐るってどういうこと?

物が腐るということはどういうことでしょうか。

腐るというのは大きくは2つの現象をいいます。

1つは細菌、かびなどの微生物が食べ物を分解して毒素をつくることです。
これが腐敗。

よく食べられている「発酵食品」。実はこれも微生物が食べ物を分解して作られます。

では発酵と腐敗の差は何でしょうか?

それは、人間にとって良いことか悪いことかで判断されています。
つまり人間にとって良いものを「発酵」、悪いものを「腐敗」と呼んでいるのです。

そして2つ目は「自己消化」。
この自己消化とは食べ物のなかに元々ある「酵素」が、自分のタンパク質や栄養を分解し軟らかくなる現象を言います。
これもまた、人間にとって良い状態を「熟成」と呼び、熟成が進んで微生物が働きすぎると、食品が食べられなくなる「腐敗」と呼ばれる状態になります。

『腐る』とは、上記の2つの現象における「腐敗」のことを指します。

おおおお。面白い!そういうことなんだー。その微生物と冷凍はどう関係するの?

すごいねー素晴らしい質問だね。 まるで台本の様だね(笑)

この微生物は-12℃以下では「増殖しない」んだよ!

へぇぇー微生物は死んじゃうんだね!

チッチッチ。

微生物は死滅するんじゃなくて、「増殖しない」ということなんだ。
-12℃以下だと微生物が活動しなくなるんだよ。食べ物を長持ちさせるには温度はより低い方が良いんだ。冷凍食品の保存温度は「食品衛生法で定められている-15℃」より低い温度-18℃以下なんだよ!
だから冷凍食品は保存料が必要ない安全な食品なんだよ。

いやー、さすが博士。わかりやすい!冷凍食品は腐らないんだね!

冷蔵庫に入れたり、冷凍庫から頻繁に出し入れしたりしないできちんと-18℃以下で保存していれば腐らないんだよ。

次に、色が変わる、ということ。
腐ってないのに、なぜ色が変わるか!ということだね。これは食品が酸化してしまうから起こる現象なんだよ。

酸化しちゃうんですね。それはキンキンに冷えててもだめなんですね?

マグロなんかが良い例だけど、マグロの赤い色素「ミオグロビン」は冷凍されていても電子レベルでの反応があって酸化してくことが分かっているんだ。なので、家庭の冷凍庫ではどうしても冷凍食品は酸化して色が変わってしまうんだよ。

マグロの赤い色素「ミオグロビン」は、冷凍されていても電子レベルの授受により酸化して変色する。

電子レベルで酸化してしまうとなると、防ぎようがないですね・・・。

家庭の冷凍庫では難しいねー。なので早く食べるのが一番だよ。

そして、氷が沢山ついちゃいう。というお話。

霜がついた冷凍食品

この霜が冷凍食品のパッケージについている分にはまだいいんだけど、パッケージを開けて冷凍食品そのものに沢山ついている状態は良くない状態かな。
この霜は一度、冷凍されている食材の温度が上がって再度冷えることを繰り返したり、あるいは再凍結した可能性が高いんだよね。食品内部の水分がパッケージ内に昇華し、周囲の空気が冷えたときに氷になっているんだ。
そうでなくても、冷凍庫の中は乾燥するからね!

再凍結すると食品内部の水分がパッケージ内に昇華。冷凍枝豆くん「え!冷凍庫が乾燥する!?」

え!冷凍庫が乾燥する!?

そうなんだよ。冷凍庫の中って乾燥するんだよ!

冷凍庫が乾燥する現象の一つの事例として、製氷皿に入れた氷をそのままにしておくと、少し小さくなっている現象を見たことない?

製氷皿に入れた氷が小さくなっている様子。

この現象は、冷凍庫の中で氷が昇華して起きているんだよ。

この原理が冷凍食品のパッケージの中でも起こる、ということなんだね。

なので、食べられないという訳ではなくて、食品から水分が抜けているのでパサパサして品質が落ちている可能性が高いんだよね。

乾燥すると酸化が起きやすい上に、硬くなったりと物性が変わってしまうんだ。だから、そうなる前に食べるのが一番!
ただ、もし食べるのであれば、そのままよりも茹でたりしてアレンジするのがいいかもね!

そういうことなんですねぇー。僕が白くなっているのは、乾燥しているからだったんですね!
そしたら茹でたり、スープにしたりして食べてほしいなぁー♪

そうだね!冷凍食品のアレンジレシピは「冷食ONLINE」に沢山あるから見てみるといいよ!

はい。ちゃんと宣伝のお仕事しましたよ。これで良いですよね?笑

冷凍食品が乾燥したり酸化したりすることを「冷凍焼け」と言うんだけど、冷凍食品は冷凍焼けをしてしまう前に早めに食べる!というのが基本だね。

冷凍焼けしたものでも安心して食べられる!とは言い切れないケースもあるのでこちらのページをみて必要に応じてメーカーに問い合わせてみるのが一番よいかも!

【コラム】昇華ってなに?

昇華とは、「固体が液体にならず、直接気体になること。」

これは身近な現象でよく見ることができます。
一番簡単な事例は「ドライアイス」。

ドライアイスは、液体にならずに昇華して気体の二酸化炭素になってしまいます。

冷凍庫の氷が小さくなる現象。これも昇華ですが、なぜ冷凍庫で昇華がおこるのでしょうか。

冷凍庫は早く氷を作るために製氷室に冷気を吹き付けているケースが多く、その冷気は非常に冷たいため、冷凍庫内の空気に含まれている水蒸気は固体に変わって「霜」となって付着します。

霜ができると冷凍庫内の空気の水分が減るため、冷凍庫内が乾燥した状態になります。

冷凍庫内が乾燥すると、今度は貯蔵してある氷から水分が気体である水蒸気になって、空気中に逃げます。

これが昇華現象です。そしてこの昇華現象によって、氷が少しづつ小さくなっていくのです。

冷凍、パーシャル、チルド、フリーズドライ、これって何がちがうの?

先生、次は私、冷凍ギョウザから質問です!
よく聞くパーシャルやチルド、フリーズドライって冷凍と何がちがうんですか?なんか全部一緒のようなイメージがあるんですが。。。

ギョウザちゃん、チルドもあるから気になるのかな?
これもよく質問があるんだよね。
これも全然違うのに誤解されやすいんだ!

冷凍、パーシャル、チルド、フリーズドライ、氷温、これって何がちがうの?開閉ボタン

冷凍、パーシャル、チルド、フリーズドライ、氷温、の違いは何でしょうか?

パーシャル、チルド、フリーズドライ、氷温の違いは温度の違いと加工方法の違いなんだ。

冷凍・パーシャル・チルド・フリーズドライ・氷温の違いは温度帯。

上のイラストのように、まず、温度帯で大きく違う、ということだね。

この前の質問でも答えたように、腐る原因になる微生物が活動できない温度(-18℃以下)を使っているのが冷凍食品なんだよ。

パーシャルは約-3℃と規定されていて、「半凍結・微凍結状態」になるんだよ。一部が凍っている、というイメージだね。

氷温はちょっと難しくて、それぞれ凍らせる食品によって温度が変わってくるんだけど、それぞれの食品が凍る直前の温度を指すんだ。
凍る直前の温度0℃~-1.5℃までの温度帯を氷温と言っているんだ。
パーシャルよりも少し温度が高いんだね。

チルドは、約0℃。凍結寸前の温度になるので、凍ってはいない状態をいうんだ。

わぁ、難しい!なんか温度によって違うのね。
あ、でも!チルドもパーシャルも氷温も完全には凍っていないんですね。

そういうこと!
冷凍食品と違うのは凍っていない、という所なんだね。

そして、フリーズドライ。これは温度の違いではなく製法の名称なんだよ。
これは、一度、食品を凍らせるんだ。
そして凍ったまま、真空にしていくと、昇華という現象になって水分だけがなくなっていくんだね。
お湯をかけると食べられるインスタント食品にも使われている製法がフリーズドライなんだよ。
ということで、冷凍との違いはそれぞれ、温度帯が違うのと製法が違う、ということだね!

おもしろーい!ほんといろいろなものがあるんですねー。

あれ?さっき言ってた氷温って0℃以下にもなるんですよね?
0℃以下って凍るんじゃなかったですか?

そうだね。学校では水が凍るのは0℃以下と習ったかもしれないね。面白いことに、実際は0℃以下でも凍らない現象があるんだよ。

0℃以下でも凍らない?なにそれ!!

これは、「過冷却」という現象なんだ。

過冷却は冷却されても固体にならないで液体の状態のままになっていることをいうんだよ。
チョットやってみようか。

わー。冷凍の世界は本当に不思議な世界ですねー!

家の冷凍庫に自分で冷凍したら冷凍食品でしょ?

先生、次は僕、冷凍焼きおにぎりから質問させてください!
自宅の冷凍庫でまとめて買ったお肉などを冷凍すると思うんですが、これも冷凍食品ですよね?

家の冷凍庫に自分で冷凍したら冷凍食品でしょ?開閉ボタン

これはよくある質問なんだけど大きな誤解なんだ!
食品をムダなくおいしく使い切るために、食品を家の冷凍庫で凍らせ、保存する「ホームフリージング」は便利なんだけれど、「自宅の冷凍庫で冷凍したもの」と「冷凍食品」は大きく違うんだ。そして、ちょっと難しいんだけど、冷凍食品売り場以外で売っている冷凍品も冷凍食品とは異なるケースがあるんだ。

冷凍食品との違い

冷凍食品
  • 食品衛生法の基準を満たしている。
  • また下記の4つの条件をクリアした物のみ冷凍食品と呼ぶ。
  • 認定基準に適合した冷凍食品にのみ付けられるマーク。
    認定証マーク
冷凍食品ではないもの
ホームフリージング

ホームフリージング

  • ご家庭の冷凍庫を使ってご自身で冷凍されたもの (ホームフリージング) は冷凍食品と呼べません。

ホームフリージングについて外部リンク

冷凍食品売り場以外で売っている
冷凍品

  • -18℃以上の温度で売っている。
  • お店でパックし直して売っている。ばら売りしている。
  • 食品衛生法の基準を満たしていない。

冷凍食品『表示』の秘密外部リンク

えええ!?自分で冷凍したら冷凍食品じゃないの??

自宅で冷凍保存は冷凍食品では無い。

家庭用の冷凍庫は通常-18℃で設定されているので、急速凍結はできないんだよ。ホームフリージングした食品はどうしても「緩慢凍結」となってしまうので、「冷凍食品」とは呼べないんだ。

冷凍食品の定義はこちらの4つの条件を満たしていないと冷凍食品と呼ぶことはできないんだ。

おおお!なるほどー!
凍っていれば全部冷凍食品と思っていました。というより冷凍食品に定義があることを知らなかったです!!

そうだよね。
あまり冷凍食品ってどういうものか、を意識して生活している人は少ないのかも知れないね。

ホームフリージングは冷凍食品じゃない、というのは理解したのですが
ホームフリージングはダメっていうこと???

緩慢凍結したホームフリージングがダメ、ということではないんだ。食品ロスを削減するためにもホームフリージングは有効なんだけど、もしホームフリージングするなら次のことに注意してね。

ホームフリージングの注意点
なるべく早く凍らせ、冷凍庫の開閉は素早く!
熱いものは冷ましてから金属の容器に入れ、食材を平らに入れ冷凍されるスピードをアップさせるなどの工夫を!
しっかり包む
ラップ、ホイル、密閉容器などを使って、できるだけ空気を遮断する。
衛生的に取り扱う
手や道具を事前によく洗う。顔や髪の毛を触らないこと!
早めに使い切る(凍らせた日付の記入)
2~3週間を目安に。

凍らせるものはなるべく鮮度や品質の良いものを凍らせておくのが良いんだよ!食べ残しではなく、つくりたてを凍らせようね。

なるほど!これを注意すれば大丈夫なんですね!
便利だから全部冷凍しちゃおう!!

先生が三角マーク出している姿

全部凍らせたい気持ちは分かるけれど
ホームフリージングに向いている食品と向いていない食品があるんだよ。

え??冷凍に向き不向きがあるんですか??

そうなんだ。さっき言ったように、ホームフリージングでは緩慢凍結になってしまうんだ。
緩慢凍結は、食品の組織が壊れ、解凍した時に元の品質に戻らならなくなってしまうことがあるんだ。
そして、ここも大きく誤解されているんだけど、冷凍庫の多くは元々「食品を凍結させるためにつくられたのではなく、基本的には保存がメインのものなんだよ」。なので、冷凍庫にたくさん常温の物を入れてると、入っていた物まで温度が上がってダメになってしまうこともある。

なるほど!じゃあ、どんな食品が向かないのですか?
もしかして、、、、僕??

ホームフリージングに向くもの、向かないものは次のとおりだよ。

ホームフリージングに向くもの

納豆
スープ
ごはん
  • 乾燥品や加熱処理をしたもの
  • タレ、塩に漬けたものなど
  • スープやソース類
  • パン、ご飯、もち、納豆など

ホームフリージングに向かないもの

卵
豆腐
こんにゃく
  • 生野菜(水分の多い葉物)
  • 組織がやわらかい魚介類など
  • 生卵やゆで卵
  • 豆腐やこんにゃく
  • 寒天

など

一般に水分の多いもので糖分の入っていない、豆腐や寒天のようなゲル状のもの。

なるほど!わかりやすい!

ホームフリージングは便利だけど、これらのことにを気を付けて、早めに食べてくださいね!

いかがでしたか?

冷凍の世界はどうだった?
もやもやしていたことが少しすっきりできたかな?

博士、とても勉強になりました!ありがとうございました!
冷凍の世界は分かっているようで意外と分かっていなかったのでスッキリ!

それならよかった!
冷凍の世界が分かったところで、逆に質問!
ズバリ、冷凍食品とは何か!説明できるかな?

れ、冷凍食品??
ちゃんとした説明ですか。。。定義って、さっき出てきましたよね?

忘れちゃったかな? 冷凍食品の定義として4つの条件があるんだったね!

冷凍食品4つの条件

<条件1>
前処理をしている

条件1 前処理をしている

原料をキレイに洗浄したり、お魚だったら頭・内臓・骨・ひれなどの不可食部分を取り除いたり、三枚おろしや切身にしたり、その切身にパン粉をつけて油で揚げるだけで魚フライができるように調理するなどをして予め処理をしていること。

 
 

これは、「冷凍野菜は解凍してから使う!?」で説明したブランチングもその一つだね!

<条件2>
急速凍結をしていること

条件2 急速凍結をしていること

凍結するときに、食品の組織が壊れて品質が変わってしまわないように、できるだけ短時間(30分以内)で凍結させること

 
 

食品の組織が壊れて品質が変わる?
なんで変わっちゃうのかな?

これはね、大きく言うと2つの側面があるんだよ。

1つ目はね、食品の中の水分が凍結する時の速度。
急いで凍らせると、氷の結晶は小さいまま。 だけどゆっくり凍らせると大きな結晶になるんだ。

下の写真を見てごらん。
大きな結晶になってしまうと食べ物の細胞膜が破れちゃって、解凍した時に水分が流れだしちゃう。
つまり食べ物がグチャグチャになって、おいしさや栄養の成分が全部流れだしてしまうんだよ。ただし、お魚の細胞の場合は解けると復元するので、こうならないこともあるんだよ。

1. 冷凍前の細胞

冷凍前のマグロの細胞

2. 急速凍結した細胞

急速凍結したマグロの細胞。氷の結晶は小さいまま。

3. 緩慢凍結した細胞

緩慢凍結したマグロの細胞。大きな結晶になる。

わー。ほんとだ!急速凍結すると細胞の中の氷の粒が小さいね!

そしてもう一つは、デンプンの老化現象!
そうだな。身近な例でいったら「おにぎり」を冷蔵庫にいれておくとボソボソだったりカチカチになったりしないかい?
あれはデンプンの老化によって起きるんだ。
これを解消するには-20℃くらいで一気に冷やすと老化はしなくなるんだよ。

冷蔵庫のおにぎり 冷凍したおにぎり

あー!あるある!
冷凍おにぎり君が言ってたよ。僕は平気だけど冷蔵庫のおにぎりさんがすぐに歳とったーって。

あー。コロッケ君と話をしてたんだった(笑)
そうなんだよね。

<条件3>
適切に包装していること

条件3 適切に包装していること

冷凍食品が利用者の手元に届くまでの間に、汚れたり、形くずれしたりするのを防ぐため、包装しています。包装には、取扱方法、調理方法等のほか法律で決められている項目も含めて、利用する人に必要な様々な情報が表示されています。

 
 

酸化を防いだり、乾燥を防いだり、異物混入を防いだりと、包装も冷凍食品の条件としては重要な要素だね。よく見ると、賞味期限や調理方法、保存方法、解凍方法などもしっかりと明記されているんだよ。
あとは、ちゃんと条件を満たしてる商品には認定証マークがついているから、今度冷凍食品を食べる時は見てみてね!

おいしく食べるためにも説明はしっかり見ないといけないんですね!

<条件4>
品温をマイナス-18℃以下で保管していること

条件4 品温をマイナス-18℃以下で保管していること

食品の温度(品温)を生産、貯蔵、輸送、配送、販売の各段階を通じ一貫して常に-18℃以下に保つように管理していること

 
 

これも「冷凍食品が腐った?色が変わった、氷がいっぱいついてるは、危険なサイン?」や「冷凍、パーシャル、チルド、フリーズドライ、氷温これって何がちがうの?」でも沢山お話しましたが、微生物が活動できない-18℃以下で保存する、ということが非常に大切なんだよ。

-18℃以下で保存する!これはしっかり覚えました!
めちゃくちゃ重要でしたね!

ということで、これらの4つの条件すべてがそろって初めて冷凍食品といえるんだよ。

ボクたち冷凍食品には意外と厳しいルールがあるんですね!
先生、ありがとうございました!

未来の小ばなし 鈴木先生の研究をご紹介!

先生!突然のコラムコーナーです!
先生の研究の中で未来につながる冷凍技術も研究されていると伺いましたが、一体どんな研究をされているんでしょうか!

本当に突然だね(笑)

僕が研究しているのは様々あるのだけれども、少しだけ紹介するね。

その中の1つは冷凍のお寿司。

お寿司を持つ先生

お寿司?魚も冷凍、ご飯も冷凍?
これは難しいテーマな感じがするけれど?どんな研究なんですか?

お寿司を食べる先生

まだまだどれも研究段階なんだけれど
お寿司は冷凍そのものの技術というより、解凍の技術が難しいんだ。
そもそも、お寿司をおいしく感じる要素の一つに、シャリが人肌ほどの温度なのにネタが冷たいという温度差にあるんだ。
この温度差によって、どうやらおいしさを感じるみたいなんだね。

凍った状態のお寿司をそれぞれ違う温度で解凍するにはどうしたらよいのか、日々研究しているんだよ。

今の所、電子レンジでチンをして30秒おいてから食べるとちょうどいい感じになるんだけど、1つずつしかできないのが最大のネック(笑)

みんなで寿司パーティーしたら朝になっちゃうね(笑)

そうなんだよね(笑)この方法をいろいろな側面から研究しているんだ!
将来、お寿司は家庭でチン!なんてことも実現できたら!と思っています。

それは楽しみですね!でき上がったら祝賀会は寿司パーティーしましょう!

コロッケじゃないんだね(笑)

そして2つ目は「冷凍野菜は解凍してから使うの?」でお話したブランチング。
ブランチングは酵素の働きを抑えるために70~80%ほど加熱する、
というお話だったけど

ブランチングをするときに、どうしても色素や香りが少し抜けてしまうんだ。
ほら、ほうれん草を茹でたときに、ゆで汁が青くなるでしょ?
あれの状態になってしまうんだ。

なので、そのまま冷凍して、変色しないで解凍できたら生冷凍食品ができ上がるかも!と思っているんだよ!

野菜を食べる先生

生のままの冷凍食品!それはとっても面白いですね!

ただ、冷凍の技術もだけど、解凍が難しいんだ。
酵素が働きだすとすぐに変色してしまうんだ。
これを解消するにはどうしたらよいか、日夜研究しているんだよ。

ブランチングをしないから賞味期限も短くなるし、しっかりと冷凍状態を維持していかないとすぐに酵素が働き始めてしまう、すごくデリケートな冷凍食品になるんだ。

だけど生のまま、栄養価も高くて、香りも豊か。そんな冷凍食品がいつの日か届けられるかもしれないよ。

これも本当にたのしみですね!でき上がったら祝賀会は野菜パーティーしましょう!

やっぱりコロッケはいらないんだね?(笑)

汗をぬぐう先生

ふう、ここまで理解できたかな?
なんとかコロッケ君などのキャラクターの力を借りて分かりやすくお伝えしたつもりでしたが、冷凍食品を知るためには様々な情報を知っていただかないと、なかなか説明が難しい所がありますね(汗)

語る先生

年々、冷凍食品がおいしくなっていると僕は実感しています。
この冷凍食品がおいしくなっているワケを技術的・科学的側面からお伝えするとすれば、様々な技術の発展があると思っています。

それは、これまでお話してきた、急速に冷凍させるといった「冷凍する」技術の発展。如何においしい状態で冷凍させるか、という原材料の収穫技術や農業の科学的アプローチ、そして、プロの料理人が調理したかのような調理の技術など、冷凍する前段階の処理。

更にいかにおいしい状態で解凍できるか、という解凍の技術。
これは、冷凍食品メーカーの努力によるところが大きいですが、解凍した時に一番おいしい状態を作ること。このような冷凍食品の商品設計と僕は呼んでいますが、この技術発展。

そして、そもそも「冷凍食品」そのものが世の中に出初めて需要が高まってきたからこそ、食品を大量に凍結する必要があり、この「大量冷凍の技術」が発展、そして大量に冷凍するためには大量に食品を調理をする必要がでてくるので、「大量調理の技術」が発展してきました。

さらには、工場から家庭に届くまで-18℃以下をキープし続ける輸送技術の発展、倉庫や店舗での保管技術の発展など一つの技術だけではなく、様々な技術が発展してきました。

したがって、「冷凍」、「保管」、「解凍」この3つの点の技術向上が今日の冷凍食品のおいしさに繋がっている、と確信しています。

それら技術に関わる人たちの気持ち、すなわち安全でおいしく食べてもらおうとする気持ちが、その技術向上を支えているんだと思ってます。

鈴木 徹

「冷凍の世界 ~冷凍食品の新常識~ 前編」はこちら!

次回は様々なメーカーの冷凍食品の技術を
特集します!おたのしみに!

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