220901エクシア合同会社第4訴訟
https://youtu.be/xSmKvWZyM3A

令和4年ワ15007 31部 不当利得返還請求事件→ 原状回復請求事件
原告 亀井燃料店(仮名)外 四戸信太(五橋共同法律事務所)
被告 エクシア合同会社
6月16日提訴、8月25日、9月29日13時15分

1600万支払え


第1 請求の趣旨
1 被告は、原告有限会社に対し、金900万円及びこれに対する令和4年5月31日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え
2 被告は、原告亀井に対し、金700万円及びこれに対する令和4年5月31日から支払いまで年3分の割合による金員を支払え
3 訴訟費用は被告の負担とする
との判決並びに仮執行宣言を求める。

第2 請求の原因
1 当事者
(1) 原告有限会社は、〇〇を営む有限会社である。
(2) 原告亀井は、原告会社で取締役を務める者である。
(3) 被告は、投資業を目的とする合同会社である。

2 提訴に至る経緯
 原告らは、被告の投資商品であった社員兼販売に応じ、以下の経緯で社員兼取得契約の締結、入金を行った。
(1) 令和2月4月7日、原告亀井は、被告との間で社員権取得契約(契約1)を締結し、翌日、同契約に基づき300万円を被告指定の口座に入金した。
ア 上記の契約関係書類は、➀社員兼取得契約書、②エクシア合同会社定款、③表明確約書、④社員兼取得確認書、➄重要事項等説明書、⑥社員権の取得に係る取引に関する事項
、➆出資、分配及び払い戻しのスケジュールについて、⑧スキーム図、➈個人情報保護方針と言った書類で構成されており、原告会社も同様の書式、内容で契約をしている(ただし、上記➀社員権取得契約書第3条「収支報告書」の条項は後に削除された)。
イ 同契約は、投資家が被告の有限責任社員としての地位を購入し、被告が被告の定款の目的に定める事業(FX取引、他社への融資)を行って投資家に配当を行うというものであり(上記②エクシア合同会社定款第2条、上記➄重要事項説明書の2頁等)、投資家には被告の議決権はなかった(定款9条)。
 また、上記②エクシア合同会社定款の第15条及び20条において、各投資家の出資金の払い戻しについては、代表社員がその裁量で被告全体の払い戻し金額の総額の制限を設け、払い戻し金の投資家毎の割当を行うこととされ、投資家からの制限を超える払戻の請求受け付けられないとの規定も設けられていた。
 なお、原告被告間の一連のやり取りは甲②のとおり、web上で行われた。
(2) 令和2年7月17日、原告会社は、社員権の取得代金として、被告指定の口座に200万円を入金した。契約書は、同年7月29日に作成された(契約2)。
(3) 令和2年8月26日、原告亀井は、被告との被告との間で社員権取得契約(契約3)を締結し、同日、同契約に基づき200万円を被告指定の口座に入金した。
(4) 令和2年12月1日、原告亀井は、被告との間で社員権取得契約(契約4)を締結し、同日、同契約に基づき300万円を被告指定の口座に入金した。
(5) 令和3年11月9日、原告会社は、被告との間で社員権取得契約(契約5)を締結し、同日、同契約に基づき700万円を被告指定の口座に入金した。
(6) 令和3年12月5日、原告亀井が被告に対し、出金の申請をしたところ、令和4年1月31日、100万円の返金があった。
(7) しかし、令和4年5月10日、原告亀井分の出資合計700万円及び原告会社分の900万円の出金を被告に要請したが、上記②エクシア合同会社定款第15条を理由に、月の経間限度額を超えるため返金できないととして被告は返金に応じなかった。
 ただし、制限額が幾らであるなどといった詳細な説明はなかった。
(8) 令和4年5月27日、原告訴訟代理人より被告に対し、錯誤により本件契約1ないし5を取消し、原告らの出資金全額の返還を求める通知を送付したところ、期限の1週間後の令和4年6月13日、返還に応じないとの回答が届いたが、錯誤による取消に関して全く触れることなく(甲4)、従来通り、上記②エクシア合同会社定款第15条を理由に返還限度を超えるため返還には応じられないとの回答であった。
 なお、甲4と同じ文面の文書は、他の投資家にも同様に送付されているようであり、原告より送付した文書の内容を全く見ずに、用意した文面をコピーして送付しているものと思われる。
(9) 令和4年6月13日、被告より原告亀井に対し、一部の人間が弁護士を使って違法に出資金の返還を求めようとしており、刑事告訴や弁護士に対する懲戒請求等の対処をするなどといったメールが届いた。おそらく、これは各投資家に一律に送信していたものである。
 また、同日、趣旨は不明だが、平成28年の要約した決算書を載せた甲6のメールも届いた。
(10) 少なくとも、現在に至るまで、被告より原告亀井に対し、収支報告はない。あるのは、ネット上で自身の出資金が増加して幾らの金額になっているといった内容だけであり、どのような投資を行い、どのように収益を上げているのかどうかは一切確認的ない。
 このような経緯からすれば、被告において、投資と呼べる事業を行っているとは到底考えられず、また、返還に応じる態度は見受けられないことから、錯誤による取消を理由に出資金の返還を求める次第である。

3 請求の原因 
(1) 上記のとおり、原告亀井及び原告会社は、令和4年5月27日付けの通知書により、錯誤を理由に本件契約1ないし5を全て取り消した。
 なお、原告亀井らは、甲1の5の重要事項説明書等の内容から、自身の出資した金銭をもとに被告が運用する投資商品であると誤信して契約を締結したものであり、動機は表示されているというべきである。原告亀井らは、被告が投資事業を行うものではないと分かっていれば、契約を締結することはなかった。
(2) また、上記の取消により、本件契約1ないし5は無効であるから、被告らが保有する1600万円(原告亀井分700万円及び原告会社分900万円)は法律上の原因無くして利得したものであり、原告らは同金額相当の損失を被っている。
(3) よって、原告亀井及び原告会社は、被告に対し、不当利得に基づく返還請求として、原告亀井に対し、金700万円及びこれに対する返還請求の到達日の翌日である令和4年5月31日から支払いまで年3分の割合による遅延損害金の支払を、原告有限会社に対し、金900万円及びこれに対する返還請求の到達日の翌日である令和4年5月31日から支払済みまで年3分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
                     以上

錯誤取消の要件(民法95条)
➀動機の錯誤の場合、動機が表示されていること。
②錯誤が社会通念に照らして重要であること。
③重過失がないこと。


8月24日付答弁書

本人訴訟
第1、第2 略


第3 被告の主張
1 被告が事業としての投資を行っていること
(1) 被告は、社員からの払い込み資本(自己資本)を主たる原資とし、外国為替証拠金取引等のCFD事業(自己資産用)、貸金業(東京都知事1第31796号)、プライベートエクイティ投資事業を行うほか、被告が買収又は設立した各グループ会社を通じて、第二種金融商品取引業(関東財務局長(金商)第2501号)、暗号資産交換業(関東財務局長第00018号)、保険代理業を営む総合金融サービス業であり、本年7月20日時点の役職員数は2157名(有期雇用従業員を含む。ぐるーぷ合計値)である。
(2) この点、原告らは、被告が原告に対して収支報告をしていないことや、どのような投資を行い、どのように収益を挙げているのかを確認できないことを理由に、「被告において、投資と呼べる事業を行っているとは到底考えられない」旨の主張をする(訴状5頁)。
 しかし、収支報告をしないことは、前述のとおり、原告と被告らの間て新たに締結した社員権取得契約書で合意したとおりの内容であるし、さらに、どのような投資を行い、どのように収益をあげているのかについては、少なくとも、原告らが被告の出資した令和2年4月以降に限ってみても、被告は十分な開示を行ってきており、原告がおよそ認識しえないはずはないものである。すなわち、被告は、同年10月、暗号資産交換業を営むエクシア・デジタル・アセット株式会社(買収当時の名称は株式会社last roots)を買収したこと、令和3年7月に保険代理業を営むエクシア・フィナンシャル株式会社を設立したこと等について、被告のホームページで随時プレスリリースを出しているほか、その後も投資先子会社の事業状況等を逐一報告しており、被告の投資先事業やその状況について随時開示している(特に、エクシア・デジタル・アセット株式会社は、会計監査人設置会社であり、事業報告書を開示している。)。
(3) 以上の事実からみても、被告が事業として投資を行っていることは、一見明白であり、原告らの主張は、かかる客観的事実を殊更に無視した虚言に他ならない。

2 錯誤取消の対象とならないこと。
(1) 原告らは、「自身の出資した金銭をもとに被告が運用する投資商品であると誤信して契約を締結した」との理由で本件契約1ないし5を取り消したと主張する。
(2) しかし、株式会社であれ、合同会社であれは、会社とは、出資者(株主、社員など)から払い込まれた出資金を、原材料の取得、研究開発、広告宣伝、企業買収、金融投資、人材採その他の様様な用途・方法で運用し、そのれによって利益を追及する主体である。
 そして、被告においても、前記1(1)2で詳述したとおり、新たに加入した社員から払い込まれた出資金を事業のために運用している(被告のあらゆる事業用途に供する)のであるから、原告らが「自身の出資した金銭をもとに被告が運用する」と考えていた以上、原告らにそもそも何ら錯誤は存在しない。
(3) 他方で本件契約1ないし5の内容について、原告らが「被告が社員から預託された金銭全額を投資の方法で運用する(被告からの投資資金の用途以外に一切使用しない)もの」と認識していたと仮定した場合、原告らは錯誤に陥っていたことになる。
 しかし、原告がこのような内容の錯誤に陥っていたことも到底ありえない。すなわち、社員権取得契約書の第2条において、出資金は「すべて資本剰余金に計上される」と明記されているのをはじめ、同第5条において出資金を通じて社員があらゆる事業用途の経費ょ負担する旨の条項があるほか、同内容の記載については他にも重ねて記載があるのであり、原告らの錯誤を招く要素は微塵もないから、本件契約1ないし5の内容について、原告らが錯誤に陥るはずがない。
(4) また、百歩譲って、原告らが錯誤に陥っていたと仮定しても、原告らが被告に対し、上記のような錯誤が本件契約1ないし5を締結る基礎となっている旨を表示した事実は一切ないため、取消の対象とはならない(民法95条2項)。
 また、被告はは、原告らに対して、前述のとおり、本件契約1乃至5の内容を十分に説明している上、重要事項説明書などの書面にも契約内容は明記(特に投機的リスクや資金使途については重ねて明記)しており、仮に原告らが錯誤に陥っていたとしても、それは、容易に認識しうる一見明白な記載を何ら注意することなく読み飛ばした結果にすぎず、重大な過失による錯誤であるため、取消の対象となるものではない(民法95条3項)。

3 結論
 以上のとおり、原告らの錯誤取消の主張は、通常人なら容易に認識可能な客観的事実を殊更に無視した上での虚言であって、およそ成り立つ余地のない、事実上及び法律上の根拠を欠く暴論であることは明らかである。
 本件訴訟は、事実上及び法律上の根拠を欠くにもかかわず、原告らがそのことを知りながら又は容易にそのことを知り得たのに敢えて提起されたものというほかなく、不法行為に問疑すべき不当訴訟というべきものである(最高裁昭和63年1月26日民集42巻1号1頁)。
 よって、直ちに原告らの請求を棄却するように求める。

4 その他
  第1回口頭弁論期日は出席できないため、本答弁書の擬制陳述とされたい。

出資金の返還<錯誤取消<詐欺