説明

新規な文字配列方法及びそれを含む携帯電話

【課題】アルファベット文字が探しやすく、入力が容易な携帯電話におけるアルファベット文字の配列方法の提供。
【解決手段】 携帯電話の複数個のボタンへのアルファベット文字の配置において、母音+yとy以外の子音とを分けて配置したことを特徴とするアルファベット文字の配列方法;下記を特徴とする配列方法:(1)母音+yとy以外の子音とを分けてボタンに配置する;及び(2)子音については、音性上近い文字を一つのボタンに配置する;並びにこれらの配列方法で配置されたアルファベット文字を含む携帯電話。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話のボタンに割り当てられたアルファベット文字の新規な配列方法、及びそれを含む携帯電話に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話におけるアルファベットはABC順にボタン配列されている。具体的には、数字の2のボタンに”ABC”の文字;3のボタンに”DEF”の文字;4のボタンに”GHI”の文字;5のボタンに”JKL”の文字;6のボタンに”MNO”の文字;7のボタンに“PQRS”の文字;8のボタンに“TUV”の文字;9のボタンに“WXYZ”の文字が配置されている。
【0003】
単純にa〜zまでを順に配置しており、文字の音性の特徴、子音、母音の区別を無視して配置されている。そのため、通常入力及びT9入力のいずれでも、文字を打ち込むのが不便であった。
【0004】
なお、T9入力とは、入力したい単語をその構成される最初の文字から順番に、その文字が載っているボタンを一回ずつ打っていく方法である。例えば、YOKOと打つ時に、1番目に、Yの載っている9(WXYZ)ボタンを一回押し、2番目にOの載っている6(MNO)ボタンを1回押し、3番目にKの載っている5(JKL)ボタンを1回押し、4番目にOの載っている6(MNO)ボタンを1回押して、全部で4回押して、いくつかの表示された単語の中からYOKOを選択していく方法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のボタン配列における通常入力においては、日本語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語等の一単語内における隣同士になる文字が、同一ボタンになる頻度が高く、一単語内で一ボタンを一回打ったあと、カーソルを移動して、もう一度同じボタンを打たなければならない。また文字の音性の特徴・子音・母音を無視して配置されていることから、文字が捜しにくく、T9入力でも、暗記しないと見つけにくい、等の問題があった。
従って、本発明の目的は、アルファベット文字が探しやすく、入力時間が容易な携帯電話におけるアルファベット文字の配列方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、携帯電話の複数個のボタンへのアルファベット文字の配置において、母音+yとy以外の子音とを分けて配置したことを特徴とするアルファベット文字の配列方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、携帯電話の複数個のボタンへのアルファベット文字の配置において、下記を特徴とする配列方法を提供する:
(1)母音+yとy以外の子音とを分けてボタンに配置する;及び
(2)子音については、音性上近い文字を一つのボタンに配置する。
【0008】
更に本発明は、複数個のアルファベット文字用ボタンを有する携帯電話において、複数個の該ボタンに母音+yとy以外の子音とを分けて配置したことを特徴とする携帯電話を提供する。
【0009】
更にまた、本発明は、複数個のアルファベット文字用ボタンを有する携帯電話において、下記に従ってアルファベット文字を配置したことを特徴とする携帯電話を提供する:
(1)母音+yとy以外の子音とを分けてボタンに配置する;及び
(2)子音については、音性上近い文字を一つのボタンに配置する。
【発明の効果】
【0010】
各国語の言葉の単語の構成は、子音・母音・子音・母音(それぞれ一つの固まり)の順序で成り立っている。従って、母音+yとy以外の子音とを分けてボタンに配置し、子音は同じ発音の仲間でまとめて、かつ、それが一単語内で隣り同士になる頻度が低いもの同士を1つのボタンにすれば、文字を捜しやすいし、打ちやすい、そして入力速度があがる;ボタンの入力回数が減る;一単語内で隣り同士になる文字の頻度が少なければ、カーソルを動かさずにすむ;直感的に文字を捜せる;結果的に入力が速くなる;単語の構成を論理的に理解していく学習能力がつく;子音と母音を分けることにより、T9入が打ちやすくなる;この配置により英語、及び、特殊文字を無視したスペイン語、フランス語に使用するのに便利である;また日本語をローマ字表記する際にも打ちやすい、などの効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の文字の配置方法は、好ましくは下記の特徴を有する。
(1)母音+yとy以外の子音とを分けてボタンに配置する。
(2)子音については、アルファベットの文字の音性の特徴を活かして、音性上近い文字を一つのボタンに配置する。
(3)子音・母音とも、一単語内で隣り同士になる頻度の低い文字同士を一つのボタンに割り当る。
上記(2)及び(3)は、不思議なことに相関関係がある(即ち、(2)及び(3)の一方を満たせば他方も同時に満たされる)ことが見出された。
【0012】
以上(1)〜(3)を考慮した上で、ボタンの数の制限により、音性上近い文字を一つ以上のボタンに分けたり、音声の似ないものを1つのボタンに含めて配置することもある。
【0013】
アルファベット文字を、その音性の特徴から、以下のように分けることができる。
母音+y
(第1グループ)
a;アの音
e;エの音
i、y;イの音
u:ウの音
o;オの音
子音
(第2グループ)
b、d、p;ブ、デュ、プの音
(第3グループ)
c、k、q;クの音
(第4グループ)
f、h;フの音
(第5グループ)
g、j;ジの音
(第6グループ)
l、r;ルの音
(第7グループ)
m、n;ム又はヌの音
(第8グループ)
s;スの音
(第9グループ)
t;テの音
(第10グループ)
v、w;ヴェ、又はドブレヴェの音
(第11グループ)
x、z;それ以外の音
【0014】
携帯電話のアルファベット文字は通常、数字2〜9のボタン8個に分けて配置されている(以下、8ボタンタイプと云う)が、場合によっては8個以上、15個までのボタンに配置することもできる。1ボタンには1〜4個の文字を割り当てるのが好ましい。
【0015】
母音+yから成る第1グループは6個の文字(a、i、u、e、o、y)からなるので、これを好ましくは1〜4個、更に好ましくは2個のボタンに振り分ける。例えば、a、e、oを1つのボタンに、そしてi、u、yを別の1つのボタンに割り当てることができる。
【0016】
y以外の子音は、上記第2〜11グループの各グループを1つのボタンに割り当てるのが好ましいが、10個のグループからなるので、ボタン数の都合上、2個以下の文字から成る上記第4〜11グループの文字を、他のグループのボタンに振り分けてもよい。
【0017】
日本語、欧米語のいずれの単語も子音・母音・子音・母音の順になっていることが多いので、子音を携帯電話の下段に配列し、母音を上段に配置すれば打ちやすい。
【0018】
アルファベット文字をボタンに振り分ける場合の具体例を以下の表1〜2に示す。I〜XV(グループI〜XV)は1つのボタンに配置されるアルファベット文字の群を示す。各群を任意のボタン位置に配置することができるが、子音を携帯電話の下段のボタンに配列し、母音を上段のボタンに配置するのが好ましい。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
表1及び2はアルファベット文字の具体的な分割の態様を示すもので、ボタンの位置を示すものではない。携帯電話の所定のボタン位置にアルファベット文字を配列した具体例を図1〜9に示す。
【実施例】
【0022】
実施例1
「arigatou」のアルファベット文字をabc順に8個のボタンに配置した現行の携帯電話を用いて通常入力した場合と、本発明の図1(a)に示す8ボタン、タイプ1の携帯電話を用いて通常入力した場合とを比較した。
A.現行通常入力の場合
数字2のボタンを一回押し、aを表記;そのまま、カーソルを動かさずに、数字7のボタンを三回押し、rを表記;そのままカーソルを動かさずに、数字4のボタンを三回押し、iを表記;一回カーソルを動かして、数字4のボタンを一回押し、gを表記;そのまま、カーソルを動かさずに、数字2のボタンを一回押し、aを表記;そのまま、カーソルを動かさずに、数字8のボタンを一回押し、tを表記;そのまま、カーソルを動かさずに、数字6のボタンを三回押し、oを表記;そのまま、カーソルを動かさずに、数字の8ボタンを二回押し、uを表記して、arigatouと表記した。ボタンを押した回数は15回、カーソルを動かした回数は1回であった。
B.本発明の携帯電話を使用して入力した場合
数字2のボタンを一回押し、aを表記;そのまま、カーソルを動かさずに、数字7のボタンを三回押し、rを表記;そのまま、カーソルを動かさずに、数字3のボタンを一回押し、iを表記;そのまま、カーソルを動かさずに、数字6のボタンを二回押し、gを表記;そのまま、カーソルを動かさずに、数字2のボタンを一回押し、aを表記;そのまま、カーソルを動かさずに、数字の8ボタンを一回押し、tを表記;そのまま、カーソルを動かさずに、数字2のボタン(母音キー)を三回押し、oを表記;そのまま、カーソルを動かさずに、数字3のボタンを二回押し、uを表記して、arigatouと表記した。ボタンを押した回数は14回、カーソルは動かした回数は0回であった。
本発明の携帯電話による入力方法では、現行入力法と比べて、カーソルを動かす回数が1回少なく、ボタンを押す回数も1回少なかった。また、音性上近い文字が一つのボタンに配置されているため、文字を探すのが容易であり、入力時間が短縮された。
【0023】
実施例2
「I think so」を現行の携帯電話を用いて通常入力した場合と、本発明の図1(a)に示す8ボタン、タイプ1の携帯電話を用いて通常入力した場合とを比較した。
A.現行入力の場合
実施例1のAと同様に入力した。ボタンを押した回数は20回、カーソルを動かした回数は5回であった。
B.本発明の携帯電話を用いて入力した場合
実施例1のBと同様に入力した。ボタンを押した回数は16回、カーソルを動かした回数は2回であった。
本発明の携帯電話による入力方法では、現行入力法と比べて、ボタンを押した回数は4回少なく、カーソルを動かした回数は3回少なかった。また、本発明によると、文字を探すのが容易であり、入力時間が短縮された。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】8ボタンタイプの携帯電話にアルファベット文字を配置した概略図である。
【図2】9ボタンタイプの携帯電話にアルファベット文字を配置した概略図である。
【図3】10ボタンタイプの携帯電話にアルファベット文字を配置した概略図である。
【図4】10ボタンタイプの携帯電話にアルファベット文字を配置した概略図である。
【図5】11ボタンタイプの携帯電話にアルファベット文字を配置した概略図である。
【図6】12ボタンタイプの携帯電話にアルファベット文字を配置した概略図である。
【図7】13ボタンタイプの携帯電話にアルファベット文字を配置した概略図である。
【図8】14ボタンタイプの携帯電話にアルファベット文字を配置した概略図である。
【図9】15ボタンタイプの携帯電話にアルファベット文字を配置した概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のアルファベット文字用ボタンを有する携帯電話において、複数個の該ボタンに母音+yとy以外の子音とを分けて配置したことを特徴とする携帯電話。
【請求項2】
複数個のアルファベット文字用ボタンを有する携帯電話において、下記に従ってアルファベット文字を配置したことを特徴とする携帯電話:
(1)母音+yとy以外の子音とを分けてボタンに配置する;及び
(2)子音については、音性上近い文字を一つのボタンに配置する。
【請求項3】
更に、子音・母音とも、一単語内で隣り同士になる頻度の低い文字同士を一つのボタンに割り当ることを特徴とする、請求項2記載の携帯電話。
【請求項4】
携帯電話の複数個のボタンへのアルファベット文字の配置において、母音+yとy以外の子音とを分けて配置したことを特徴とするアルファベット文字の配列方法。
【請求項5】
携帯電話の複数個のボタンへのアルファベット文字の配列において、下記を特徴とする配列方法:
(1)母音+yとy以外の子音とを分けてボタンに配置する;及び
(2)子音については、音性上近い文字を一つのボタンに配置する。
【請求項6】
更に、子音・母音とも、一単語内で隣り同士になる頻度の低い文字同士を一つのボタンに割り当ることを特徴とする、請求項5記載の配列方法。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】


【公開番号】特開2009−20851(P2009−20851A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208586(P2007−208586)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(507269854)
【Fターム(参考)】