経営者は「6悪」を自分でやめられる人

 ここでいう「6悪」というのは、マンネリ、諦め、怠慢、妥協、おごり、油断のことです。会社がダメになるケースでは、必ずと言ってよいほど、この6悪が原因となっています。

 たとえば、マンネリ。人間というのは、どうしてもマンネリになるようにできています。同じことを繰り返しているにもかかわらず、マンネリにならないという人はいないわけです。どんな人でもマンネリになる。例外はありません。

 では、その他はどうでしょうか。

「疲れたな。もうこんなものでいいんじゃないか」と言って妥協して、諦めたほうが楽に決まっています。誰だって緊張し続けるのはつらいからです。ときには怠けたいと思うのは当然であり、少し成功したからといっておごってしまったり、油断したりするのが人間です。

 この6悪は例外なく、人間に作用するわけですが、経営者というのは、この6悪を自分でやめなければなりません。つまり、自己管理できる人しか経営者になってはいけないということです。

 言い方を変えれば、自分で自分を動機づけられる人が経営者なのです。課員であれば、課長から「がんばれよ!」とか、「こういうふうにしたほうがいいぞ」と言われることで動機づけられるかもしれませんが、経営者は自分で自分を動機づけるしかありません。会社のトップが、誰かから動機づけられないと何もできないというのでは、アウトです。

 そうはいっても、自己管理するのは簡単ではありません。私も過去に何回も6悪に陥っています。「しまった! ちょっとおごっていたな」とか、「油断したな」と思ったことは何度もあります。かなり厳重にチェックしているつもりでも、人間は6悪に陥るものなのですから、常に自己管理を心がけ、気を緩めてはなりません。