公立・共学
学科:普通科
Classi利用歴:2019年度より
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神奈川県立山北高等学校は、高齢化・過疎化に悩む地域の課題解決をテーマにした探究活動に取り組んでいます。この取り組みによって同校は、文部科学省「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」において、全国20校のうちの1校に指定されました。
この新たな学びの取り組みを推進するため、2019年度の1年生から導入されたのがClassiです。3か年におよぶ探究活動の記録はClassiポートフォリオに蓄積され、生徒一人ひとりの学びを深めるのと同時に、地域課題の解決に向けた提言へと活かされます。Classiは株式会社ベネッセコーポレーションとも連携しながら、山北高校の新たなチャレンジをICTの面から支援していきます。
山北高校の探究活動は「SDGs(持続可能な開発目標)」 をベースに「未病」「防災」といったテーマを切り口に、保健体育、社会、数学、情報、理科、家庭科などあらゆる教科の要素が関連します。Classiを積極的に活用し、生徒たちをうまくファシリテートしながら「全教科横断型の探究活動」を推進していきたいと考えています。
藤田 正樹 校長先生
学校存続の危機に対して、学校のアイデンティティを再構築する必要があった
山北高校は、1942年(昭和17年)、山北町の町立女学校としてスタートしました。その後、男女共学校となり、現在の神奈川県立山北高等学校へと改称。2020年には開校79年目を迎え、作家・夢枕獏さんやアジア陸上競技大会で優勝(200m、400m、4×100mR、4×400mR)した磯崎公美さん、ものまねタレントの青木隆治さん、サッカー選手の磯崎敬太さん、プロバスケットチームのアルバルク東京に特別指定選手として加入した小酒部泰暉さんなどを輩出した歴史と伝統のある学校です。
特に弓道部を始めとした運動部の中には、全国や神奈川県内で強豪とされる部もあり、山北高校はいつしか「スポーツの山北」として知られるようになります。しかし、山北町も日本の多くの地方自治体と同様に少子高齢化の問題を抱えており、生徒数は年々減少。さらに、神奈川県の県立高校改革の中で、2017年には看板コースであった「スポーツリーダーコース」の募集停止を余儀なくされました。
このままでは、再編統合により学校そのものが無くなってしまう──。危機感を抱いた藤田正樹校長先生は、学校存続と愛する地元のため、新たなアイデンティティの構築に乗り出します。こうしてたどり着いたのが、「山北町・県西地域を活性化できる人材を育成する」というアイデンティティでした。
得意とする「スポーツ」は「健康づくり・身体づくり」(SDGs 3:健康)と捉え直し、神奈川県の重点施策の1つである「未病」と関連づけることで、地域の健康づくりを目指しました。また、山北高校が地域の広域避難場所に指定されていることから、学校を地域の「防災」(SDGs 11:まちづくり)を担う機関として位置付けることにしました。
この動きを地域住民、校外の機関、さらには神奈川県全体に向けて発信しようと考えた藤田校長は各方面へのアピールを開始。その結果同校は、2019年(平成31年)に神奈川県教育委員会の「教育課程研究開発校(SDGsをテーマにした「総合的な探究の時間」に係る研究)」の指定を受け、同じく2019年(平成31年)に文部科学省の「地域との協働による高等学校教育改革推進事業(地域魅力化型)」の指定を受けることとなりました。
地域との連携や、新たな取り組みにともなう業務負担の軽減にICTは不可欠だった
こうして山北高校は、2019年度の1年生から「探究活動を通じてSDGsをベースに地域課題の解決を目指す」という新しい授業の開発に取り組むことになりました。
この動きにあわせて、藤田校長先生は1年生の学習支援ICTツールにClassiを新たに採用しました。そもそも、探究活動にICTを活用しようと考えた理由は何だったのでしょうか。藤田校長先生にうかがいました。
藤田校長先生:
「山北高校の探究活動は、地域課題の解決を目指しています。そのため、町役場や地元企業、大学、小中学校など、地域の方との緊密な連携が不可欠です。横浜市、相模原市に次ぐ広さを持ち、山林部分が大部分を占める山北町でそれを実現するにはICTの力がどうしても必要でした」
「また、前例のない新しい取り組みですから、教員の負担は当然増えます。ICTを活用することで探究活動はもちろん、日々の授業や部活動をサポートしたいという思いもありました」
探究活動をサポートする豊富なコンテンツと、ベネッセの経験・ノウハウを評価
2018年度まで山北高校は全学年に他社の学習支援ICTツールを利用していましたが、2019年度の1年生から新たにClassiを採用することにしました。ICTツールの比較検討チームの1人だった山本 和貴先生に、Classiの評価ポイントをうかがいました。
Classiの利活用を推進する小関 秀寿 先生(右)と山本 和貴 先生(左)
山本先生:
「まずClassiは非常にわかりやすかった。メニュー画面をはじめインターフェースがよくできているので、自分がしたいこと、使いたいメニューにすぐたどり着くことができました。生徒や教員が日常的に使うツールとして、この点は大きかったです」
「また、Classiは『探究ナビ』をはじめ、探究活動をサポートするコンテンツが豊富でした。ベネッセの担当の方が“探究活動とは何か”“どのように推進すべきか”など、様々な情報やノウハウを提供してくれる点も心強かったです。私たち教員もベネッセのレクチャーによって、探究活動のイメージを明確に持つことができました」
Classiは探究活動のほかに、教科や部活動のシーンでも利用されています。Classiは日々の学校生活にどんなメリットをもたらしているのでしょうか。統括教諭の小関 秀寿先生にうかがいました。
小関先生:
「Classiの学習動画は、細かいテーマごとに5分程度の長さにまとまっているので、生徒の集中力が持続しやすく、教員も使いやすいです。ベネッセが長年取り組んできた教育事業の資産が活かされていると感じます」
「Classiの校内グループ機能は、主に部活動で生徒への連絡を行う時に重宝しています。神奈川県教育委員会は教員と生徒が連絡を取る手段として、LINEの利用を禁止していますが、Classiは内容を教員全員が閲覧できるので安全性も高いです」
山本先生が顧問を務める弓道部は、全国大会への出場も果たした強豪です。山本先生は遠征等で校外にいる時、Classiの校内グループ機能を通じて部活動の指導を行うこともあるそうです。
山本先生:
「生徒が自分のフォームをスマートフォンで動画に撮り、それを弓道部のトークルームにアップすることもあります。私がその場にいなくても動画を見れば的確にアドバイスできるのでとても便利です。他社ツールの場合、動画のアップロードができなかったので、これもClassiの良い点だと思います」
フィールドワークで地域を知り、3か年で課題解決方法の立案・実践まで行う
2019年度の1年生からはじまった新たな探究活動は、以下の通り3か年の計画にのっとり行われる予定です。
1年生は、「SDGs」「未病」「防災」についてのグループワークのほか、山北町をよく知るために地場産業である林業の体験活動や歴史散策、商店街散策などのフィールドワークを行います。2年生からは、生徒一人ひとりが、山北町の抱える課題を解決に導く方法の探究に入り、3年生ではその解決方法を地域で実践し、校内で結果発表をして総括します。
この探究活動の過程で行われる、事前調査、グループワーク、課題設定、発表の内容はClassiポートフォリオに随時蓄積されていきます。紙の書類とは違い、課題の配布・回収がしやすく、検索性・一覧性のある形で記録が保存されるため、「探究活動がやりっぱなしで終わらず、振り返りが習慣として身に付きつつある」と山本先生はClassiの導入効果を評価しています。
その他、1年生を担当する先生たちは、以下の通り、新しい探究活動の成果を感じ始めています。
Classiのアンケート機能を利用して行われた、生徒向けアンケート「1学期の振り返り」においても、「一番頑張ったと思うこと」の設問に対して、中学校の時よりも「勉強」を頑張ったという生徒が14%増加するなど、生徒の側も変化を感じ取っているようです。
学校が地域に貢献するモデルを山北町で確立し、神奈川県全体に広めていきたい
最後に、探究活動の今後の展望を藤田校長先生にうかがいました。
藤田校長先生:
「山北高校は町立高校としてスタートしました。山北町に作ってもらい、様々な連携をしてきた学校なので、探究活動を通じて高齢化、過疎化に悩む町に恩返しをしたいという気持ちが強くあります。生徒たちも町をよく知ることで愛着を深め、一度は町を出たとしてもまた帰ってきてくれたらいい。教育機関が地域に貢献するモデルを山北町で確立し、これを神奈川県全体に広めていきたいと思っています」
全国の学校・自治体が注目する山北高校の挑戦は、今始まったばかり。Classiは今後も山北高校の新たなチャレンジをサポートしていきます。
※2019年12月取材
学校情報
神奈川県立山北高等学校
(神奈川県)
学科 | 普通科 |
---|---|
規模 | 1学年 約200名 |
URL | https://www.pen-kanagawa.ed.jp/yamakita-h/ |
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