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観賞者で干渉者 作者:鷹村柚希

First world パターン:救世主補佐

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第二十話 私の耳は貝の殻から海の響きを懐かしむ。……あれ、でも貝殻から波の音なんで実際聴こえないよね?

 



「シリアスが多過ぎる気がする」



ある日、作者はこう思い立った。


それは作者が手持ちのライトノベル(生●会の一存シリーズ)を読んだあと、某動画サイトで、グラフィックとBGMが良くて気になってプレイ動画を見てみたらストーリーがびっくりする程電波&説教だらけだったゲーム(これは名前を伏せます)のプレイ動画を見た時だった。


元々この小説は前者のライトノベルのようなテンポのいいコメディを書きたくて始めた物のはず。

いくら「中二なことを平然と口にする主人公」だとしても、いささかいらん説教(笑)が多いのではないか。

このままでは読者の方の期待に関係なく話を進めてしまう。これでは作者オ●ニーではないか。



とかなんとか考えて悶々としていたら、タイミング良く(?)あきさんからごもっともなご指摘をいただきました。

あきさん、ご指摘ありがとうございました。


そんなわけでシリアスと説教(笑)を必要最低限目指して今後はカットします。


説教だらけで見ててつらくなる展開は今後は避けたいと思います。



 


目の前の光景に思わず言葉足らずになって、ノアと「ゼ●ダの伝説(ゼルデン)!」を連呼しまくっていると、キンクリがコホンと咳払いをした。


「救世主ノアよ、その(つるぎ)を抜くのだ。精霊と精神(こころ)を交わし、その力を手にすることができるのであれば、そなたはその(つるぎ)を抜くことができるだろう」


精神(こころ)を“(かわ)す”だったりしてな。


精霊の精神(こころ)を某弾幕ゲーのごとく、ひたすら躱し続けるノア。



精霊「どうして避けるんですか!」


ノア「坊やだからさ!」



……なんとゆう言葉のドッジボールwww


ノアはこの光景の神々しさ(まあ、私にとっちゃ大したことないが)に、ゴクリ、と唾を飲み込み、ゆっくりと伝説の剣(マスターソード)に近付いて行った。


そして、慎重に、実にスローモーに(つるぎ)に手を伸ばす。


さすがにこの状況で茶化すのは可哀相だからな。

珍しく黙って見ててやる。



いや、やっぱ茶化そう(1.2秒)



私は気付かれないように、ノアに近付く。


ゆっくりと伸ばされた手が、まさに剣に触れようとした。



「  ドゥン  (エラー音)」



「ギャ―――――――――――――!!!」



ノアが絶叫しながら飛び上がる。


よっぽど集中してたんだな。


「ばばばばば、ばっ、ちょ、おまっ」


「あばばばば?」


「違う!!」


「はいはい、びっくりしたのね。悪かったよ。さっさと抜きな」


「誰のせいだよ……」


ぶつくさ文句を言いながらも、今ので緊張が解けたのか、今度はなんの躊躇いもなく剣の(つか)をむんずと掴む。



「…………!」



その途端、ノアはびくりと身を震わせ、それっきり動かなくなった。


お?



「ノアの中で何かが弾けた……」



耳元で囁いてみたが、結果は反応なし。


どうやら精霊の精神世界みたいなところに行ったようだ。


うむ。よろしいよろしい。


……だが、そうなるとちとつまらんなぁ。


別にやろうと思えば相手の精神世界に入り込むことなんて造作もないことだが、ノアにも多少は『異世界の救世主』を楽しませてやらねば。


ただちょっと待ち時間が退屈でなのある。


精霊との対談がどれぐらいかかるのかわからないし。

魔法具の精霊一人(?)説き伏せるのに、丸三日かかった経験もあるしなぁ……。


キンクリと話す気は毛等もないし。


ノアは重要な突っ込み要因であった。



そんなわけで暇潰し開始。


ショートコント、『こんな精霊は嫌だ』。






精「……誰だお前は!」


ノ「私は野生の少女の見方、スパイd(ry……あれ、このネタすでにやった気がする」


精「ネタ被りは駄目だぞ。で、なんの用?」


ノ「君が……伝説の剣に宿る精霊か?」


精「伝説?何それ、今時伝説はなくね?wwwテラワロスwwww」


ノ「俗っぽ!何この精霊超俗っぽ!」


精「精霊が俗っぽくて何が悪い!俺は他人のイメージになんか惑わされねぇ!」


ノ「一見いいこと言ってるように聞えるけど!」


精「で、あんたもここに来たってことは、どうせ俺の力が必要になったんだろ?」


ノ「あ、ああ。力を貸してくれるか?」


精「どちかというと大反対だな」


ノ「なんでだよ!世界の危機なんだぞ!?」


精「働いたら負けかなと思っている」


ノ「お前はニートか!!」


精「俺は……二度と外には出ない……!あの苦しみと屈辱にまみれた日々に戻るくらいなら、ここで錆び果ててやる……!」


ノ「な……ここまで言うこいつの過去に一体何が……」


精「『教師「はい、二人一組になってー」』」


ノ「ボッチか!!てゆうか鉤括弧(かぎかっこ)被せ過ぎだろ!」


精「俺は……もう二度と戻りたくない!一人寂しく便所で飯を食う……あの日々には! ……どうせ……俺の周りには、いつも誰もいない……!」


ノ「……いるだろ」


精「いるわけないだろ!どこにいるってんだよ!」


ノ「俺がいる」


精「!」


ノ「俺が側にいる。二人組み組めって言われたら、俺がお前と組んでやる。それなら、もうお前は一人じゃないだろ?」


精「お前……」


ノ「だから行こう。俺の周りの人達は、誰もお前を仲間はずれにしないさ」


精「…………べっ、別にあんたを信用したわけじゃないんだからねっ!」


ノ「それでもいいさ。お前が救われるんならな」


精「…………」


ノ「ほら……来いよ」


精「……うっ……うわあああああああん!!寂しかった!寂しかったよぉ!」


ノ「よしよし、もう大丈夫だ……お前は俺が守ってやる」


精「……うぅ……グスッ……約束、だよ?破っちゃ、やだよ……?」


ノ「わかってるさ。だから、安心しろ」


精「……うん……ありがとう」


ノ「You're welcome」






「……ええ話や……」



「俺は瑠璃の感動のツボが全くわからないよ!!」


「あたし、そんなんじゃないもん!!」


私が感動に打ち震えていると、いつの間にか精霊との交信を終えたらしいノアの突っ込みと、可愛らしいソプラノボイスに抗議を喰らった。


むぅ、感動の余韻をブチ壊しやがって。


「なんだよー、人の感動にケチつけおってからに」


「なんで今の話を感動って言えるんだよ!なんだこの話!すでにショートコントですらないし!」


「違うもん!あたしそんなんじゃないもん!ずっと眠ってただけで、べっ別に友達いないわけじゃ……」


図星かよ。てゆうか、この()が剣の精霊か。


ノアの横には、フリフリヒラヒラな白いワンピースを着た、十二歳ぐらいの青いロングヘアーの少女が浮いていた。

ちなみに、体の向こう側が透けて見える。


私は浮いてる娘っ子から、ノアへと視線を移す。


「で?ノアよ。言葉のモッヂボールは終わったのか?」


「ドッジボールですらないとか!ちゃんと会話したよ!?言葉のキャッチボールしたよ!?」


「……見たところ、ちゃんと剣は抜けてるな。成功したのか、何よりだ」


「あ、ああ。正直途中で瑠璃に対する突っ込みで、それどころじゃなくなったんだけど……」


「で、この娘が吾郎か」


「モッヂボールから離れろ!!マリンをあんな禍々しい物と一緒にすんな!見てわかるだろ、精霊だ精霊!!」


突っ込みお疲れ様なノアの横で、精霊の娘っ子が実に複雑な表情で「ゴロウって何……」と呟いている。


とゆうか、この娘っ子はマリンと言うのか。

髪青いしな。マリンブルーってか?


「とりあえず、その精霊の娘っ子はノアに力を貸してくれるってことでいいんだよな?」


「娘っ子じゃないもん!マリンだもん!」


むー、と、頬を膨らませる娘っ子。


なんか可愛い。頬っぺた両手で挟んで「ぷしゅー」ってやりたい。


「わかったよ、海の子」


「漁村の子供みたいなあだ名だな……」


「で?力を貸してくれんのか、否か」


ノアを無視して再度そう尋ねる。


あだ名の捻りがなくなってきた?気のせいだ。


「当たり前じゃん!あたしはノアとケーヤクしたんだもん。ずっとノアと一緒にいるの!」


海の子は両手を腰に当て、得意気にない胸を張る。


お姉さんは……貧乳もちゃんと需要はあると思うよ?


「お前……今すごく失礼なこと考えなかったか?」


「ソンナコトナイヨ」


「何そのめっちゃ不自然な返答」


「そんなことより、私は他に言いたいことがある」


「え?何だ?」


私の言葉が予想外だったのか、ノアは目を瞬たせて首を傾げる。



「……仲間が増えたな」



肩の力を抜いた、極自然体な笑みを浮かべてそう口にする。


ノアはそんな私を見て驚いた顔をしたが、やがて、私と同じように笑みを浮かべた。


「そうだな……」


「やったねノアちゃん!」


「やめろよ!!お前それが言いたかっただけだろ!!」






***************






そんなこんなあって、海の子は剣の中に戻って行った。


なんでも、外界に体現化するのは大層疲れるらしい。


だろうなー。でなきゃわざわざ精神世界的なところに招く必要ないし。


消え際に、ノアにわからないように牽制するような視線(のつもりなんだろうな……全く迫力なかったけど)で睨まれたのだが、これは早くもフラグが立ったと考えていいんだろうな?


「……無事(つるぎ)を抜く事ができたようだな。では、地上に戻るとしよう」


そう言って、キンクリは踵を返す。


こいつはもう私達のやり取りに対して、完璧スルーする方針で決定したらしい。


それにはあえて反応せず、私は堂々と、ノアはなんとも微妙な顔で、封印の間(仮)を後にする。


私達が地下の石の床を踏みしめると、封印の間(仮)は再び石の壁の中に閉ざされた。


やれやれ、これで今日のイベントは全部終了だな。


「時にノアよ」


「今度は何……」


ややうんざりした声で振り返るノア。


……うん。これだけのことをされながら、ちゃんと返事をしてくれる君は偉いよ。


だが容赦しないぞ。私は言いたい事は全部言うからな!



「そんな装備で大丈夫か?」



元ネタとはかけ離れた、ニヤニヤとえげつない笑みを浮かべて言ってみた。


ノアはそんな私を見て、( ゜ Д゜) とゆう表情でしばらく固まった。


まあ、何を言ってんだとは思っただろうな。


現段階じゃ、海の子が宿ったその剣が“一番いい装備”なわけで。



「…………一番いいのを頼む」



ノアはたっぷりの沈黙を挟んだ末、死亡フラグだけは回避したいと思ったのか、溜息混じりにそんな言葉を吐き出した。


「…………と、言えとでも……」


「おっしゃ任せろ」


「え、ちょ、マジでできるのか!?いや、待て、今のはただの振りに対する返答とゆうか……うわあマジだ!『一番いい装備』だこれ!じゃなくて!いいのかよこれ!この世界の伝説の装備の面目丸潰れだろ!可哀相なことしてやるなよ!」


「ちなみに、ちゃんと脱衣プレイ仕様だ」



「いらねぇ――――――――――――――!!!」







今回はちょっとネタを詰め込み過ぎたような。


精霊の娘さんの名前は、まんまマリンブルーからです。



元ネタの紹介


・坊やだからさ

ガ●ダムの赤い彗星の人のセリフ。


・言葉のドッジボール

「言葉のキャッチボール」の派生語。


・あばばばばばば

芥川龍之介の短編「あばばばば」に登場するセリフ。

雑貨屋の女主人が赤さんをあやしている時のセリフです。

これだけ見るとなんてホラーなセリフ……^^;


・○○の中で何かが弾けた…

ペ●ソナ3で、コミュが発生するかコミュレベルが上がった時に、主人公の頭の中に流れるセリフ(?)

○○には主人公の名前が入ります。


・どちらかと言うと大反対だな

ブロント語のひとつ。

ブロント語とは、2ちゃんねるのネトゲ実況板等に現れた名無し、通称「ブロント(ブロントさん)」が使用したと言われる、独特の文章構成で会話するネットスラングの一種である。

(『ニ●ニコ大百科』参照)


・働いたら負けかなと思っている

某ニュース番組で24歳ニートの男性の発言より。


・モッヂボール

某日和なギャグマンガに出てくるスポーツ(?)。

ここでは説明しきれないので、知りたい人は各自で調べることをおすすめする。


・吾郎

モッヂボールで使用するボール(?)の一種。

人面球で全く弾まない。


・やったねたえちゃん!

「コ●ちゃん」という漫画に出てくるセリフ。

みんなのトラウマ。


・そんな装備で大丈夫か?

・一番いいのを頼む。

某ビニ傘天使と某書記官のやり取り。

有名ですよね。



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