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観賞者で干渉者 作者:鷹村柚希

First world パターン:救世主補佐

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第十四話 強くなければ生きてはいけない。優しくなければ生きていく資格がない。そんな私に死角はn嘘です

 


感想をくださった和砂さん、ありがとうございました!

とりあえず、打ち上げられたマグロのごとくのたうち回ります。ビタンビタン。

この小説を読んで、皆様の心が少しでも軽くなるのであれば、それに超したことはございません。



そして地震の当日とその翌日、作者は珍しく体調を崩しました。


鷹村「(冷えピタ貼りながら)いやー、体調崩すなんてここ三年程なかったけど、あれだね、熱出した時の“頭と胴体が別々になる”ような感覚は、いつまでたっても慣れn」


蘇芳「おいやめろ!」


鷹「あ、ああすまん(ま●か☆マギカか……大層トラウマらしいが)」


蘇「お前も見ろよ!この絶望を共有しろ!!」


鷹「ヤダヨ!!」


ちなみに蘇芳はCCレ●ンのペットボトルの上半分がソ●ルジェムに見えてくる程末期です。



 


「何……?」


騎士さんが「何言っちゃてんのコイツ」みたいな視線を私に向けてくる。


よせよ、照れるじゃないか。


「森さんは犯人じゃない。大事なことなので二回言いました。だがあえて言おう、二回も言わせんなと」


「いや、二回言ってやれよ。大事なことなんだから」


ノアの至極もっともなコメントを受け流していると、騎士さんが怪訝そうな顔をしてきた。


「……モリと言うのは、このメイドのことか?」


「そーよー。こっちの世界で有名なメイドさんによく似てんのさ」


嘘は言ってないよ、嘘は。実在はしないけど。


それはそうと、私は二人の騎士さんのうち、レモン色の髪をした知らない顔の方に話を振る。


「ところでそっちの騎士の人」


「……。え、俺ですか?」


「当ったり前だろ、他に誰がおるんよ。……まあ、後ろに十四、五人連れてらっしゃるようだけど」


「何!?誰!?俺の後ろに誰がいんの!?俺一体何連れてんの!?てゆうか多っ!!」


どうやらレモン髪の騎士の人はそうゆうネタに弱いらしい。

めちゃくちゃ怯えてる。


本来なら悪ノリしてとことんそうゆうネタを振るのだが、今は非常事態故お遊びは一切なしで。

いや、やっぱ無理だ(即決)。


「今から厨房に行って、モリさんに砂糖渡した人と魔法具に砂糖入れた人捕まえて来なさい。多分そいつが犯人だから、逃がしたり自殺されたりしないようにね」


私がそう言うと、その場にいた全員がぎょっとした表情になる。


「な……どうゆうことだ?」


「説明は後。ほら騎士の人、さっさと行かないと逃げられるかもよ。……それとも、後ろの人達の中から誰か行くかい?」


驚愕の表情を浮かべるノアを尻目に、半ばマジな顔でそう言うと、レモンの騎士はまるで転げるように部屋から出て行った。


……そんなに怖がらんでもよいではないか。


てゆうか、レモンの騎士って言うとなんかリ●ンの騎士みたく聞こえるよね。


「さて……」


私は粉々なシュガーポットのところまで行くと、パンッと一つ拍手(かしわで)を打つ。


すると、原型を留めていなかったシュガーポット君は、一瞬で元の姿を取り戻した。


それを見て、さらに驚愕の表情を浮かべる皆さん。


忙しいな、おまいら。


「ル、ルリ、今のは……?」


白さんが零れ落ちそうな程目を見開いて訊いてくる。


うん、まあ、魔法圏の人は見たことないかもね。


「練成だよ、練成。錬金術。化学的手段を用いてNot金属!からYes金属!を作り出そうってゆう……」


「なんだその説明。間違ってないけど、なんだその説明」


「まあ、あれだ。広義では、金属に限らず様々な物質や、人間の肉体や魂をも対象として、それらをより完全な存在に錬成する試みを指す。錬金術の試行の過程で、硫酸・硝酸・塩酸など、現在の化学薬品の発見が多くなされており、実験道具が発明された。その成果は現在の化学 (Chemistry) にも引き継がれている。Wikipedia参照」


「Wikipedia参照かよ!ちょっと見直したのに!」


「知識とは、適した場面で使われればそれでいいのだ。どこで得たかなど、どうだっていい」


「いいセリフでそのドヤ顔やめろ!反論できないだけにムカツクなおい!」


相変わらずノアの突っ込みは痛快で楽しい。


ちなみに白さんと騎士さんはとゆうと、私の言った内容の半分も理解できずにポカーン(゜д゜)としている。


まあ、あれだよね。錬金術は私らがいた世界では完璧ファンタジーだったけど、あくまで化学的手段なわけだし、魔法圏の人達にとっては超技術(オーバーテクノロジー)なんだろうね。


そして、言わずもがな私が行ったのは某鋼のニーサンの練成である。


「まあ、とある物質から同じ質量の全く別の物を生み出す技術と思ってくれれば、間違いではないと思う」


「はあ……ルリ達のいた世界では、そのような技術が復旧していたのですか?」


「うーん、とりあえず、多くの人間が知るポピュラーな技術ではあったよ」


おいノア、そんな物言いたげな面を向けてくんな。

嘘は言ってないぞ、嘘は。


「なるほど……では、何故その技術をシュガーポットに?」


「ああ、一応証拠物品とはいえ、こうも粉々だと扱いが面倒だからな。応急処置として戻させてもらった」


応急処置ってゆうか、これ以上の(ほどこ)しようはないんだけど。


「証拠物品?」


「毒が盛られてたのは、紅茶でもカップでもない。こいつさ」


そう言って、復活したシュガーポット君を持ち上げ、顔の前でカラカラと振って見せる。


皆さんの表情は最早説明不要だ。


「説明を求めてる顔してるから説明する。まず、この状況で毒が盛られたら、真っ先に疑われるのは誰?」


「それは……そこのメイドだろう」


騎士さんが何故そんなことを訊くのか、とでも言いたげな表情で言う。


「その通り。もし本当に森さんが毒を盛ったとして、自分に疑いがかかることを考えないはずがない。よって、こんな風に目の前で堂々と毒を盛ろうってんなら、それなりの覚悟はしてるもんさ。ところが、森さんは騎士さんの言葉に対して首を横に振った。自分に疑いがかかることを知った上で毒を盛ったにしては、おかしな行動だとは思わないかい?命が惜しくなって自分は犯人じゃないと否定したところで、聞いてもらえるわけないのだから」


ついでに言うと、実は森さんに対して某橋の下の銃刀法違反聖職者の人間嘘発見器能力を使ったのだが、そこまで言う気はない。


あくまで確認のためだったし、今言った理由と森さんの表情からほぼ確信してたし。


「さっき砂糖を舐めて、こいつに毒が入ってるのはわかった。なら、あらかじめ普段置いてある場所からシュガーポットを隠し、内容量を残り少なくしたポットを森さんに渡し、砂糖がなくなったところで毒入りの砂糖が入ったポットを送りつけ、あたかも森さんが毒を盛ったかのように偽装した、ってところだろう。……ただ、この状況だと三人のうち誰を狙ったのかはわからないな」


「……何故そのようなことがわかる。救世主を(しの)ぐ程の実力といい、お前は一体何者なんだ?」


騎士さんが信じられないような、不可解なものを見るような目を向けてくる。


まあ、何故わかるかってーとぶっちゃけ経験則なんだけど、それを言う気はない。


「私はしがない救世主補佐さ。別に、私が何者で何を言おうと関係ないだろう?例え私が何者であろうと、真実はいつもひとつ。たったひとつの真実見抜く、見た目は子供、頭脳は大人、その名は名探t」


「さり気なくバーローを混ぜてくるな!一瞬何言ってるのかわからなかっただろ!」


ああ、よかった、突っ込んでくれて。

このセリフを最後まで言ってたら、スベッた感じになってたよ。


やはりノアは期待を裏切らない。


「ノア……私は君を信じてるよ」


「このタイミングでそんなセリフ言われても!」


サムズアップに加えて、キラリを白い歯を光らせてみたが、返ってきたのは突っ込みだった。



むぅ……今回私は割りとまともなことを言ったはずだぞ?


例えそれが突っ込みに関することだったとしても。



ノアは呆れた顔で溜息をつく。


「はあ……まあいいか。瑠璃が何を言いたいかはわかった。それに関して、あまり詮索して欲しくないってことも。ただ、もう一つ訊きたいことがある」


「なんぞや」


「さっきリモーネさんに言った……逃げたり、はわかるけど、自殺されたりしないようにっていうのは、どうゆう意味だ?」



…………。



…………リモーネ。



…………リモーネ?




あんまりソワソワしないで♪あなたはいつでもキョロキョロ♪

よそ見をするのはやめてよ♪私が誰よりいちばん♪


好きよ (好きよ) 好きよ♪ (うっふん)←合いの手

好きよ (好きよ) 好きよ♪ (うっふん)←合いの手

好きよ (好きよ) 好きよ♪ (はーどっこい)←合いの手

好きy




「……リモーネさんて誰」


「さっき瑠璃が厨房に行くように言った、騎士団の人」


「へぇ……」


レモンの騎士はリモーネさんというのか。


いつの間に名前聞いたんよ、ノア。


「自殺されないようにってのの意味?森さんの話によると、最初のシュガーポットを渡したのは他のメイド(・・・)なんだろ?なら、そいつが主犯だってことは考えにくい。そのメイドが脅されていたにしろ、自ら進んで毒を盛ったにしろ、メイドに扮した部外者にしろ、な。その場合、上部っつーか依頼主の情報を守るために、服毒でもなんでもして自殺する可能性がある」


今まで何度もそうゆう奴には遭遇してるけど、あれホント面倒臭い。


死なれると主犯誰かわかんなくなるし。


ああウザイウザイ、と苦い顔をしていると、ノアは絶句の表情を浮かべていた。


「そんな……」


「え、何、どした?」


「そんな理由で自殺……?」


ノアの呟きの意味がいまいち理解できず、首を傾げる。


「私、何かおかしなことでも言った?」


「おかしなことって……おかしいだろ。なんで瑠璃はそんな平然としていられるんだよ」


「なんでって」


私はノアの問いを理解できず、柄にもなく困惑する。


「王族に対して毒殺なんぞ企めば、確実に反逆罪で死刑っしょ。それなら主犯の情報を吐かせるために拷問受けるより、潔く自殺した方が遥かに楽だろうに。実に合理的だと思うぞ?あくまで向こうの都合だろうけど……」


「そうじゃなくて!人が死ぬかもしれないんだぞ!?いくら俺達を殺そうとしたって言っても……なんでそんな平然としていられるんだよ!」


大事なことなので二回言いmいや、さすがに不謹慎か。

一回使ったネタだし。


しかし……こうゆうところが複数トリップの弊害なのである。

私は自分を殺そうとしたかもしれない人間が死のうと生きようと、最早どうでもいいんだがね。

どうにも、ノアはそうは思わないらしい。


それにしても、ノアは相変わらずの真っ直ぐ人間である。



甘い(優しい)な」



無意識に、普段より低い声色で呟く。


完璧に一人言だったのだが、静かな部屋にはよく響き、ノアと白さんがビクリを肩を揺らす。


白さんはともかく、ノアと騎士さんは私の言わんとしたことを察しただろう。


私は何でもない風を装って、ややわざとらしく肩をすくめる。


「ま、ノアが危ない目に遭っても、私が守ればいい話だ。何度も言うけど、私をまともな人間と思うなかれ。ノアは間違ってないよ。私がおかしいんだ」



周りの言うまともな人間(・・・・・・)であろうとするのは、とうにやめた。


人間性を保つ(人間でいる)ことは、とっくに諦めた。


開き直って、仕方ないのだと、丸ごと飲み込んだ。



平凡な日常よりも生き伸びることに執着した。



世界を飛ぶ度自分が作り変えられていくことに、(あらが)うのをやめた。




「君が言った通り、おかしいのは私だよ」






狂っている(おかしい)のは、私だよ。









……なんかこれ、ノア君視点で書いてもそれはそれで面白いんじゃないかと思えてきた。

彼の性格とシチュエーションは丸っきりテンプレなのに、明らかにおかしい異分子がいるってゆう(笑)


そして今回はちょっぴり瑠璃ちゃんの心情が。

なるべく軽い方へ、コメディへと持って行きたいのに、どうにもシリアス風味になるのが僕の悪い癖(右●さんボイス)。


リモーネ=イタリア語でレモンのこと。

よって、レモンの騎士さんの名前はリモーネさん。



元ネタの紹介

※作中で説明(?)があるものは省きます。


・ま●か☆マギカ

某魔法少女アニメ。

僕と契約して魔法少女になってよ!


・大事なことなので二回言いました

●フデントのCMのみ●もんたのセリフが元ネタというのが、有力らしいです。


・リ●ンの騎士

手●治虫の作品の一つ。


・真実はいつもひとつ!

・たったひとつの真実見抜く、見た目は子供、頭脳は大人、その名は名探偵(略)

おっちゃんを眠らせたり、蹴り破れるんじゃないかってレベルでサッカーボールを蹴ったりする、某小学生探偵です。

バーローです。


・あんまりソワソワ(以下略)

ラ●のラブソングの歌詞。

リ●トンのリモーネのCMで流れてたので。

合いの手は適当に入れました。



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