First world パターン:救世主補佐
第五話 笑う門には変質者を見るような目で見られたんだけど、どうしてくれる
2/20のユニーク数が351だと……!?
こんな素人の文章を読んでくださった皆様、ありがとうございました!
これからも日々精進して行きたいと思います。
目の前が白く塗りつぶされた。
そして、短い浮遊感。
「うわっ!?」
「おっと」
ちょっとした高さから落とされたのか、気が付けば冷たい床に尻餅をついていた。
おー、着いたのかな?
辺りを見回してみると、どうやら結構広い部屋のようだった。
この部屋にいる人間の結構な人数、この部屋の内装、そして尻に敷いている巨大な魔方陣からして、おそらく召喚の間といったところだろう。
そして、部屋の内装や周りでざわめいている人達の服装からして、舞台は異世界トリップにお約束な中世風の世界と見た。
私はその場に立ち上がる。
本来ならば、不愉快以外の何者でもないこの瞬間は、今はとても私の心を弾ませた。
そして、私はゆっくりと視線をすぐ横に移す。
私のすぐ横では、同い年くらいの少年が床に座ったまま呆然としている。
あ、目が合った。
おそらく、彼がにーさんが新しく
そう、彼が救世主。
彼が、主役。
「…………フッ」
思わず、笑みが零れる。
彼が主役なら、私は?
「フ……フフフ……」
私は救世主じゃない。
私は主役じゃない!
「フフ、フ、ハハハ、ハハハハハハ」
やべぇー、笑いが止まんねぇ。
多分今の私、人生で一番輝いてる。
それはもう死兆星のごとく輝いてるね!
「ハハハ、ハハハハハハハ、ハハハハハ、ハハハハハハハハハ」
高い天井に、私の笑い声が反響する。
いきなり笑い出した私に周りの人達がぎょっと目を向けるが、知ったこっちゃねえ。
アイアムノット主役!!脱トリッパー人生!!
私は、今までで一番最高な気分で、空を抱くように宙に両手を広げた。
「自由だぁ―――――――――――――――――――!!!!」
私は脇役だ!!!
***************
「……で、では、あなた方が救世主様なのですね?」
おそらく召喚の中心人物と思われる女の子が、ビクつきながらそう言ってきた。
まあ、怯えるのも無理はない。
あのあと、私は周りの目など欠片も気にせず笑い続けた。
さらに言うと、それに驚いた騎士らしき人達に一斉に得物を向けられたが、それでも私は狂ったように笑い続けた。
いつになくテンションが上がった私は、痺れを切らした騎士の一人に肩を掴まれるも、笑ったままなんなく受け流して床に放り出した。
それに驚いた他の騎士さん方が次々と掴みかかってきたけど、私はそれをちぎっては投げちぎっては投げ。
腕一本でブン投げてみたり、フェイントかけてみたり、音速の壁が発生する速度で反復横飛びしてみたりした。
特に急所を狙うでもなくノックダウンさせるでもなく、ひらすら受け流したり投げたりしていると、とうとう一人の騎士に剣を向けられた。
しかし私はそれに怯みもせず、軟体動物のような身のこなし(端から見るときっとキモイ)で斬撃を全て避けまくり、その騎士さんの剣をチョップで粉砕し、最終的にアッパーで沈めた。
この間、ずっと私はずっと笑い続けていたんだから、呆れた話である。
(「ハハハハハ」だけじゃなく「うっひゃっひゃっひゃ」とか「だっはっはっはっは」とか言った覚えがある)
どう見てもキ●ガイです。本当にありがとうございました。
しかし、私の今までのトリップライフを知る者であれば、この時の私をどう責められようか。
とにかく、今まで望んでも得られなかった状況に、私はありえない程テンションが上がっていたのである。
そしてようやく私が落ち着いた頃、周りは静まり返っていた。
私が沈めた人以外の騎士達や、その他召喚に携わったであろう人達は、ギリギリまで壁際に寄り、化け物でも見るような目付きで私を見ていた。
さすがに破目を外し過ぎたと思い、一応敵意や害意などがないことを伝えたが、向こうさんが持ち直すのに少々時間がかかった。
そりゃ救世主を召喚したはずが、こんな突然タミフルじみた笑い声を上げながらこれだけの人数相手に無双するような奴が出てきたら、気味が悪い以外の何者でもない。
そこで、この世界の神さんに世界を救ってくれ的なことを言われた旨を伝えると、ようやくこの
「いや、ちゃうよ。救世主はこの人だけ」
私はそう言って、少し離れたところで相も変わらずへたり込んでいる少年を、親指で指し示す。
指された少年がビクッとなったけど、そんなん知らん。
「で……では、あなたは一体……?」
怖々と、女の子が上目遣いに訊いてくる。
怯えることはない。こいつは元から死んでい(ry)
しかし関係ないが、中々可愛いなこの娘。
ま、二桁もの異世界を飛び回って、美人や美形慣れした私は大した感銘は受けないけどね!
……嘘です。イケメンや可愛い
さて、訊かれたからには答えないとね。
よくぞ訊いてくれました!私の正体は……
「教えてあげないよ☆じゃん☆」
…………再び場が静まり返った。
皆(゜Д゜)ポカーンって顔してるけど、知ったことか。
異世界トリップで培われた私の強靭な精神には、そんな視線なんて下敷きを倒した時のそよ風程の効果もないのだ!
嘘だけど!めっちゃ視線痛いけど!
「貴様!王女殿下になんたる態度を!」
とか思ってると、比較的女の子の近くにいた騎士さんが私に剣を向けてきた。
いや、私さっき目の前で剣折って見せたよね?
学習能力ないの?
とゆうかそこの女の子は王女サマか。そーかそーか。
「……ッまさか……!貴様が邪神か!?」
ハッとなったように騎士さんが叫んだ。
……いや、邪神って何よ。さっき神さんに頼まれて来たって言ったじゃん。
今回はこれといったオチがなかった……
そしてただヘタレな姿を見せつけただけの哀れな救世主君。
※3/19 王女陛下→王女殿下 に修正。
元ネタの紹介
・怯えることはない。こいつは元から死んでいる
某天空の城の大佐のセリフ
・教えてあげないよ。じゃん
ポ●ンキーというスナック菓子のCM。懐かしい。