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観賞者で干渉者 作者:鷹村柚希

プロローグ

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第四話 類は友を呼ぶけど、必ずしも類は友になれるとは限らないんだぞ

 


大河内(おおこうち)瑠璃(るり)。年齢、十七歳。性別、女。定時制高校生。死因、自転車でトラックに撥ねられ死亡。俗に言うトリッパーと呼ばれる存在。所持能力と要望能力は下記参照……」


私の目の前では、真っ黒い人影がなんか長ったらしい紙を読み上げていた。



ちなみに今私がいるところは、天井やら壁やら床やらで端が見えないくらい長い紙が滑走したり浮いていたりするところである。


そして目の前には人影。


いや、なんてゆうかこれが本当に人影としか言いようがないんだよね。

人型ではあるけど、人には見えない。

強いて言うなら、朝鮮海苔が人の形にふよふよ浮いてるみたいな感じ?


多分、とゆうかこの人影も神なんだろう。


でなきゃ、あのにーさんが私をここへ送る理由がない。



人影は私に関する情報を読み終えたのか、どこからともなく携帯電話を出現させた。


……何故に神が携帯電話?




「もしもし……ああ、やっぱり今回も駄目だったよ。あいつは人の話を聞かないからな」




ええええええ何某ビニ傘天使みたいなこと言ってんのこの人(影)!?


てゆうかそれがやりたいがためだけに携帯出したろ!?




GJ!!




「……一体何やらかしたって?ほら、二桁レベルで世界渡りしてるトリッパーの()がいたじゃない。その娘を自分のとこに()び出すために、殺しちゃったらしくてね。…………フッヘヘwwまあ、かなりお灸をすえられたようだよ」



その笑い声ヤメロ気持ち悪い(^p^)


あと草生やすな。



そうこうしているうちに人影は話終えたのか、携帯電話を消滅させて私に向き直った。


「さて、瑠璃ちゃんとやら。事情は把握した。あのアホが悪いことをしたね。私は君が要求した能力をちゃんと全部あげられるから、安心して。君のことは全面的に協力するよ」


そう言って、人影はにっこりと笑った。


顔のパーツはないのだが、何故だか表情はわかった。


「ん。ありがとう」


素直にお礼を言う。


なんだかこの人影は先程のにーさんと違って非常に印象がいい。


さっきの電話といい、出会い頭の第一声といい、同類臭を感じる。


神なのに。


「いいってことよ。君はもう充分過ぎる程の数の世界を救ったからね。もういい加減自分の好きなことをやってもいい頃だ。誰も怒らないし、誰も咎めないよ」



こ……これが格の違いというやつか!?



やべぇ、こんな有難いこと言われたの生まれて初めてだ。


今までとにかくこき使われてきたからなぁ。


なんか目から汗が……


「え、泣いてるの?大丈夫!?」


「ううん、なんでもない。ちょっと今までのことを思い出しただけ」


手の甲でやや乱暴に涙を拭う。


ああ、惚れそうだぜ人影さんよ。


「人影さんはさ……」


でも一々人影さんって言うのは面倒だ。


「ジョンはさ……」


「何故にジョン!?」


「昔気に入ってたヒトカゲのニックネーム」


人影とポ●モンのヒトカゲをかけてみたんだ。

そこ、安直とか言わない。


「さんをつけろよデコすk(ry)……まあ、私に名前はあってなきようなもんだし、それでいいよ」


「うん、ありがとう……あのさ、ジョンはなんでそうゆうオタクネタ知ってるの?」


今だってそうやってしっかりネタで返してくるし、私が言ってることにも聞き返してきたりしない。(ヒトカゲとか)


今まで会ってきた神とは明らかに違う。


「ああ、私の管轄の世界に飛んでもらう時、主人公補正として二次元の能力を持たせる場合があるから、自然と知るよ」




…………ダニィイイ!?




この神は私が望んでいたことを可能にできると言うのか!?(言ったじゃん)


私がどうにか使えないかと必死こいて試行錯誤している間に、ジョンの管轄の世界に飛んだ奴らはいとも簡単にその力を手にしていたと言うのか!?


二桁も世界飛ばされて手に入れられなかったのに!?



なんてこったーーーーーーーー!!!



「……どうしたの?大丈夫?」


私がリアルにorzのポーズになっていると、ジョンが心配そうに声をかけてきた。


「ジョン……あなたとは、別の形で会いたかったわ……」


「何、その好敵手みたいなセリフ」





そんなこんなあって、私は送り出されることとなった。


能力は案外あっさりもらえた。


ジョン曰く、あれだけの能力を一気に持たせたら、常人ならば内包した力に耐えられず、風船のように破裂するらしい。


何それ怖っ。


「ああ、そうだ。送る前に一つ」


「何?」


「実はさっきあげた能力の中に、三つ程私からのプレゼントを混ぜておいた」


おおマジか!


ホントにジョン様々だな!

あんたは今まで会った神の中で誰よりもいい奴だ!!


「まず、君は脇役をお望みみたいだから、君が移動する世界は既に主役がいる世界……つまり現役の英雄や異世界トリップした人間がいる世界に行く確立を高くしてみた」


なるほど、それなら思う存分脇役ライフを満喫できる。


「それから、君が世界を移動した時、その世界で一番君の望む脇役(・・・・・・)になれる可能性が高い設定に、自動的になるようにしてみた。要は、別世界に行くと自動的に脇役らしい姿になるようにした」


おお、それは有難い。


異世界に飛んだばっかりじゃ、どんな格好すればいいかわからんしな。


「そして最後。君が何かしらエフェクトの発生しない技を使ったとしても……例えば、君が頼んだ相手の正体を見抜くのとか。君の意思で好きに中二っぽいエフェクトがつけられる」



「おっしゃああああああきたこれええええええええええええ!!!!」



ジョンの有難いプレゼント内容に、私は思わず絶叫した。


端から見れば最後の能力は何がいいのかわからないだろうが、何を隠そう、私は中二っぽいものが大好きなのである。


別に私が中二病というわけではない。

中二的なものをかっこいいと思うわけでもない。


だが、私は『中二』には『中二』の良さがあると思っている。


私の中では、『中二』というのは名称ではなく一つのジャンルなのだ。


「喜んでもらえたようで何より。あ、二つ目のプレゼントだけど、一応最初の世界だけはその姿のままってことになってるから。もちろん、自分の意思で変えられるけどね」


私はジョンの両手を掴むと、ブンブンと激しく上下に振った。


「ありがとうジョン!!私ジョンのこと忘れない!三秒くらい!」


「ちょ、短ぇwwwまあいいや、そろそろ行くかい?」


「うん!!」


「おっけー。そんじゃこのまま行ってらっしゃい」








こうして、私は最初の世界に旅立った。











ようやくプロローグが終了。

そして人影神皆勤賞。


話ごとに主人公の口調というか性格が変わっていますが、一番彼女の素に近いのは、今回の地の文だと思います。



元ネタの紹介

※作中で説明(?)があるものは省きます。


・草

w←これのこと。(笑)と同じ意味。


・さんをつけろよデコ助野郎

「AKIRA」という作品のセリフだとご指摘いただきました。

M郎さん、ありがとうございました。


・ダニィ!?

ベ●ータが「何ぃ!?」と言ってるのがこう聞こえる。




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