トピックス

卒業生

人の手のぬくもりを大切に

株式会社東條會館専務取締役
家政学部児童学科卒業
深尾啓子さん

学園ニュース VOL.250

「東條で撮ると、幸せが訪れる」と称され百年以上の歴史を持つ伝統の写真館を守り、さらに「ONE FOUR TWO by Tojo」として発展させている深尾啓子さんを訪ねました。インタビューを通して深尾さんが大切にしている「人の手の温かさ」の意義を再認識しました。

直接ふれあうことで学びを深めた学生時代

附属豊明幼稚園から日本女子大学で学びました。高校時代には西生田でたくさんの自然とふれあいました。心を豊かにしてくれる自然が今でも大好きです。子どもと関わることも大好きでしたので、大学では児童学科を選びました。中でも絵本についてとても興味を持ちました。今でも機会があれば読み聞かせをしています。幼稚園教諭の教育実習では面白い紙芝居になるように子どもたちの目線から創意工夫して、子どもたちが「楽しかった!」とあふれんばかりの笑顔で言ってくれたことが印象に残っています。

  • 緑がしたたる皇居を望む Tojo photo studio のエントラン ス。歴史的な写真も飾られ、訪れる人の心を和ませる
    緑がしたたる皇居を望む Tojo photo studio のエントランス。歴史的な写真も飾られ、訪れる人の心を和ませる
  • フレンチレストラン ARGO(アルゴ)には、洋書を手にく つろげる居心地の良いスペースも
    フレンチレストラン ARGO(アルゴ)には、洋書を手にくつろげる居心地の良いスペースも

素晴らしい仕事を与えてくれた、祖父に感謝

今の仕事は大学時代に学んでいた分野とは違うため、最初は戸惑いました。しかし続けているうちに、赤ちゃんのお宮参りから始まって、七五三、成人式、就職活動の証明写真、家族写真と、その方の人生の節目にずっと関わっていけるこの仕事の素晴らしさを感じました。祖父が創業した写真館から始まり、お客さまの声を直接お聞きしながら、美容室、フレンチレストランと経営が広がっていき、お客さまの笑顔や「ありがとう」というお言葉をいただいた時は、直接ふれあうことを大切にしてきた学生時代の私とつながっていると思いました。
このような仕事を与えてくれた、創業者の祖父に感謝しております。

今だからわかる、「三綱領」の意義

胸の奥のどこかで生き続けていたのか、最近になって創立者成瀬先生の「三綱領」がふと腑に落ちるようになりました。人が人として生きていく上で必要なことがここに凝縮されていると思います。成瀬先生のことばが少しでも多くの人の心に入っていって、戦争のない明るい未来を築き上げていくことを期待しています。

プロフィール

深尾 啓子(ふかお けいこ)さん
附属豊明幼稚園より本学に学び、1973(昭和48)年3月家政学部児童学科を卒業。幼児教育の職を経て結婚、夫の赴任に伴い海外生活を送る。1999(平成11)年より父の仕事を受け継ぎ、株式会社東條會館専務取締役に就任。皇居を望む複合施設「ONE FOUR TWO by Tojo」には、1912(明治45)年に祖父が創業し百余年の伝統を守るTojo photo studio(東條写真館)のほか、フレンチレストランARGO、トータルビューティサロンMaison de Beautéを備え、訪れる人の晴れの時を彩る「心の場所」となっている。
ONE FOUR TWO by Tojoホームページ:http://www.tojo.co.jp/

インタビューを終えて

Tojo photo studioの写真はフィルムカメラで撮り、完成まで1枚1枚手作りの工程を経て私たちの元に届くそうです。祖父からの志を受け継ぎ、人の手ならではのぬくもりに溢れる写真館を大切にしている深尾さんご自身もとても温かな方でした。私自身も深尾さんのように、ふれあいを大切にして、豊かな人になれたらと思います。

●取材・文・学生記者 
文学部日本文学科4年 細尾まどか