無題

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2022-08-27 12:09:06

Call of Cthulhu
Dancing in The Floating World
始末屋キャンペーンシナリオ
貴方はどれだけ自分というものを理解しているのだろうか
貴方はどれだけ他人というものを理解しているのだろうか
何を信じればいいのだろうか
何を疑えばいいのだろうか
正義とは何か
光とは何か
神はいるのか
始末屋たちよ浮世で踊れ
はじめに
このシナリオは『クトゥルフ神話TRPG基本ルールブック』6版(以下ルルブ)及び『マレウス・モンストロルム』(以下マレモン)、『クトゥルフ神話クトゥルフTRPG2015』(以下2015)に対応したシナリオです。
本シナリオは全4作からなるキャンペーンシナリオとなっています。
本作はフィクションであり、実在する地名・団体・特定の人物・事件などとは一切関係ありません。
また、神話生物や呪文などについて独自の解釈が多く含まれています。
何より特殊な処理や裁定が多くあることをご了承ください。
シナリオの改変は、本筋を乱さない程度であれば、自由に行って構いません。(教えてくださると作者は喜びます)
3ページ目からシナリオのネタバレがあります。PL通過希望の方はお気をつけください。
概要
●5人固定(HO制・秘匿あり)
●新規探索者限定
●推奨技能:戦闘技能+三大技能
●PvPの可能性あり
●所要時間と形式 [File1]6〜8時間/半シティシナリオ
[File2]6〜8時間/半クローズドシナリオ
[File3]8〜10時間/シティシナリオ
[File4]8〜10時間/シティシナリオ
※テストプレイをしていないため、所要時間は変動があります。
●舞台設定
ある程度発展していれば東京、大阪、福岡、北海道など好きな都市を舞台にしてもらって構わない。
貴方達は孤児院「こどもの家」を出た後それぞれの人生を歩んできたが、様々な事情でまた集まり、始末屋として共に生活することになった。
時期などは特に指定はないが、各話の間隔は設定されている。
注意事項
このシナリオは秘匿HOという性質上、PC間での疑心暗鬼や、ときにPvPが起こる可能性があります。
KP、PL共に非常に負担が大きいシナリオです。信頼できるメンバーで遊ぶことを強く推奨致します。
KPも探索者を作成し、PCとして参加させるシナリオ形式です。
シナリオ内での表示
〈〉技能
→行動選択肢
※KP情報
▼引用・参考資料ナンバー
公開HO
【共通HO】
貴方達は孤児院「こどもの家」の幼馴染であり、
この世の闇を始末する始末屋である。

【HO1】
貴方は始末屋のリーダーである。
貴方はチームのブレインであり、チームを創設したのも貴方である。
主に情報収集を担当しており、隠れ蓑であるクラブのオーナーでもある。(POW+3)

【HO2】
貴方は始末屋のメンバーである。
貴方は元料理人であり、刃物の取り扱いに長けている。(DEX+3)

【HO3】
貴方は始末屋のメンバーである。
貴方は元自衛官であり、銃火器の扱いが得意である。(EDU+3)

【HO4】
貴方は始末屋のメンバーである。
貴方は元エンジニアだ。コンピュータに精通している。(INT+3)

【HO5】
貴方は始末屋のメンバーである。
貴方は元格闘家だ。近接戦闘で右に出るものはいない。(STR+3)

【HO0】
貴方達と同じ始末屋のメンバーだ。同じ孤児院で過ごした仲間でもある。
(HO0はKPの探索者に固定される)

また、HO1~5の中で動物が好きという探索者を一人選ぶこと。
その探索者には通常のHOとは別に【HO動物が好き】が付与されることになる。

※HO2〜5には(特徴表:前職)が確定でつく



キャンペーン全体の時系列
基本的にHO0が24歳→25歳になる設定で描写がされている。(改変の場合適宜変更すること)
時間軸の表記はキャンペーン1作目の初日を現在としている。

18年前 キングは宿主に寄生されるも和解。
15年前 HO3が襲われHO0がそれを助けた。HO0と宿主の契約が交わされた。
7年前 HO0自立。探偵事務所に所属し、探索者たちの両親の行方を探す。
5年前 赤羽唯とHO0の再会。HO3は神話生物が原因の事件に巻き込まれ退職。クイーンがビーモスに目をつけられる。
4年前 キング、瀕死の重傷を負う。キングの失踪。始末屋の結成。

7日前 HO0の両親(HO0の両親)がHO4に殺される.

キャンペーン開始

現在 1作目開始
1日後 1作目2日目
2日後 1作目ラスト

9日後 2作目開始
10日後 2作目ラスト

17日後 3作目開始
18日後 3作目2日目
19日後 3作目3日目→ラスト

21日後 4作目開始
22日後 4作目2日目
23日後 4作目3日目→ラスト
キャンペーン全体のシナリオ背景
「こどもの家」は孤児院を隠れ蓑としたショゴス・ロード「高貴光輝」の研究施設であった。
そこには身寄りのない様々な子どもが集められ、表向きは問題のある子どもを引き取る素晴らしい孤児院だったが、裏では何人もの子どもたちが行方不明になっていた。これは高貴の食事になったためである。しかし、それ以外はいたって平和な孤児院であり、探索者たちは人ならざる者のために食べられずに数年をそこで過ごすこととなる。
HO3は偶然にも高貴が他の子どもを捕食するのを見てしまった。すぐに皆に伝えようとしたが、直前でバレてしまう。口封じのために殺されそうになったHO3を庇い、HO0は死にかける。HO0は引き取られたと思っていた子どもたちと連絡が取れなくなっていることを不審に思っており、高貴のことを探っていた。そしてHO3が目撃する一つ前の捕食の際に、HO0は今までの子どもたちが高貴によって殺されていると確信を得た(捕食シーンを見たわけではないため殺人鬼だと思っていた)。そしてこの夜、地下室に行く高貴を見たHO0は地下室に放火して高貴を殺すつもりでいた。しかし想定外のことが起こり(今日も子どものうちの一人が地下室に呼び出されていたこと、そしてHO3を庇い自身が怪我をしてしまったこと)計画通り高貴を自身で殺すことが難しくなってしまった。息も絶え絶えのなか、自身が用意していた放火装置の使い方をHO3に教える。その後HO3はHO0の言葉の通りに地下室に火をつけた。当然HO0は逃げられないが、そこに登場したのが宿主(ニャルラトホテプの化身の1人)に意識を奪われた状態のNPC1(以下キング)である。
彼は聞いた「生きたいか?」 それにHO0は応えた「みんなと一緒にいたい」その願いを邪神は叶えたのだった。ただし条件付きで。
そして、その条件とは皆の親を殺すということだった。

「既に死んでいる奴や、寿命で死んだ場合や、事故で死んだやつは見逃してやろう」
「ただし他の奴に殺されたらその時点でゲームオーバー。タイムリミットは15年後。お前が25歳になるまでだ」

そう言った宿主はHO0を救ってやったあと、オマケにHO3の記憶を消し去った。
この宿主はお気に入り(キング)以外の人間は大概どうでもよいオモチャだと思っている。

また、この契約はそもそもHO1がパンの子であるため、パンを殺すことなど出来ないということから最初から無理な契約である。

そして、もう一つの思惑。
この時代この地域でもう一柱の邪神が動いていた。それがクイーンに寄生しているビーモス(クトゥルフの化身)である。
このビーモスの目的は「自らの復活」。キングは宿主と和解できた稀有な存在であり、それ故にNPC2(以下クイーン)が“そういうもの”に巻き込まれたことにいち早く気づいた。
しかし、彼は宿主のことしか知らないため(様々な事象に巻き込まれた経験はあるが所謂依り代は自身以外知らなかった)友好的に話し合おうとした結果、梦幻港(むげんこう)にて瀕死の怪我を負うことになる。彼は次こそは彼女を殺さなくてはならないと決めるが、怪我のため満足に動くことが出来なくなり療養を余儀なくされた。また、梦幻港ではビーモスに僅かではあるがクイーンの意識が勝ったのか、トドメは刺されなかったものの次にビーモスに居場所がバレれば殺されると考え身を隠している。紙切れなどを残したのは宿主のため、キングはこの事件にHO1を巻き込む気は元々ない。だが、HO1がいなくなった自分のことを探しているだろうとは考えている。

探索者たちはそんな思惑と神の遊びに巻き込まれながら自分たちの過去と存在を知り、それに向き合うことになる。

このシナリオキャンペーンはクトゥルフの復活を探索者が止めるかどうかというのが最大の焦点となる。。
前3作の進行によってその難易度は変わるが、基本的にクトゥルフの復活を止めないと世界は滅びてしまう。



HO別背景

HO1
パンの子
母はHO1を産んだときに発狂して死亡。APPが18でないのは高貴による魔術によるもの。本気で人を殺そうとすれば、その魅力だけで人を殺す(狂わせる)ことが出来る。それは相手が何人いようと同じことだ。そのため、そういうものに敏感なHO3から恐れられている。HO1の〈交渉系技能⁺〉については、パンの子の相手を発狂させる能力の延長である。指示が必要なため相手は「言語が通じる相手、聞く耳を持っている相手」に限られる。耳栓などをしていても相手の意識さえこちらに向いていれば動きを止めることくらいは可能。

HO2
食屍鬼
幼い頃に誘拐され、魔術によって食屍鬼にされた元人間。
「こどもの家」での食事には食屍鬼としての能力を抑える魔術的要素が加えられた薬が入っており、それは持続的なものであったことから発覚が遅れた。また、食屍鬼は本来死体を好んで食すがシナリオ前半は生きている人間(新鮮な肉)に食欲が湧いている。
これはまだ感覚が人間に近く、その対象が人間だとしても、食屍鬼よりは人間らしくより新鮮なものに食指が動いているということだ。
(長い時間をかければ人間が食屍鬼になることが可能なら他の方法でもなれるのではないかというオリジナル要素)

HO3
シュブミルクで育てられた元人間
両親が狂信者だったため、とある手段で手に入れられたシュブミルクで育てられた。
人外に対する第六感的な感知能力があるのだが、周りに人外が固まりすぎてほぼ機能不全状態にある。(強い香水で鼻が効かないみたいな)
しかし、より強いものや、より明確なものに対しては察知することが可能だ。影響されやすいともいう。
基本的に他のメンバーがその人ならざる気配を色濃くすると気づくことが出来る。
人外探知機であり、すでにその体は人間という種からは逸脱している。

HO4
仲間から実験台にされ人間にされたミ=ゴ
とある人間の言った「人とは記憶であり、記憶こそが人を作る」と言う言葉を検証するためにミ=ゴを人間の身体に移し換え、記憶を消せば人間になれるのかという観察が行われた。その実験台になったのがHO4である。
感情が基本的に薄く、異常な記憶があるのはそのため。しかし、HO4には他のミ=ゴにはない感情がしっかりと存在している。
ミ=ゴたちは光化学迷彩を搭載したホログラムを使い、定期的に観察しに来ている。

HO5
HO0を元に作られた人造人間
人造人間であるため、ロボットよりも薄いがセーフティがかかっている。そのため人を殺せない。
動物アレルギーがあるのはHO0にもともと動物アレルギーがあったため。赤子の状態では流石にそこまではわからず修正などはされなかった。
殆ど両親と触れ合ったことはないが、双子が感覚を共有するようなことがあるように、不思議とHO0とHO5の間にも感覚の共有が起こっているため、HO0の記憶を自らの体験だと勘違いしている。

NPC一覧
NPC0:高貴光輝(たかぎこうき)
ミスター・シャイニーと同じ意思を持つもの

アルバート・シャイニー
高貴な光、光り輝く

彼はミスター・シャイニー本人ではない。かのショゴス・ロードに惹かれ、その意思を同じくしたショゴス・ロードである。
(ミスター・シャイニー:マレモンp109)


彼の目的は旧支配者が再びこの世界を支配する時の為に人間の人口を増やすこと。ミスター・シャイニーは超絶に強大な勢力と協力して諸国をまとめ、国際貿易、ワクチン、宗教組織、科学的手法、農業技術、公衆衛生、伝道協会、新聞、資本の獲得、成長ホルモンの研究など、人類が穏やかな小社会生活から離れ、それによって人類が増える状況をつくり出すことに尽力したが、彼にそのようなツテはないため自らにできることを考え、少しでも無駄に死ぬ人間が出ないようにと孤児院を始めた。

見た目は30代の男性だが実際はもっと長く生きており、適度なところで身を隠しては、各地で転々と孤児院を営んでいた。
また彼は研究心が強く、努力家である。研究する中で、いくつかの呪文と、薬の開発にまで至っていた。社交性はミスター・シャイニーに及ばなくとも研究者としては十二分に肩を並べるほどの実力がある。それを駆使して探索者たちが普通の人間で有ることが出来るように彼は様々なことを行っていた。しかし、それも彼が死に定期的にメンテナンスをされなくなったことで綻びが出てきてしまっている。それがここ数年のことだ。

人間として通るほど姿を変え続けるためには精神的な努力とPOWが必要なため、彼の性格は極めて慎重かつ真面目なものだ。
彼はミスター・シャイニー同様、大抵のショゴスよりは忍耐強いが、食欲自体を抑えることはなかった。
常に天涯孤独の人間がそばにいるのだから捕食を我慢する必要もないため当然のことだろう。
もし、見られてしまっても、また少しお腹が膨れるだけなのだから。

だからこそ、いままで順風満帆に食事と研究を楽しんできた彼にとって、宿主の介入は不運なことだった。
彼がシナリオ内で生きて登場することはない。


※表記→高貴
NPC1:キング
性別:男 / 年齢:40

STR:14 / CON:12 / POW:18 / DEX:10 / APP:14
SIZ:16 / INT:17 / EDU:15 / OPP:? ?  / db:1d4

宿主の友人兼依代

HO1の師匠とも言える初代始末屋。裏界隈では有名な人物で、その類稀なる頭脳と運動神経で様々な依頼をこなす。
(と周りには思われていたがそれは悪運が強いだけで本人の資質としては人外レベルに強いわけではない。)
その依頼は多岐に渡るが、始末を基本とし、またそのターゲットは始末されるべきものだけであった。
4年前、梦幻港にて瀕死の怪我を負い、身を隠している。


キングは宿主の犠牲者に選ばれた。だが、10日間の語らいの後に面白い人間だと思われて定期的にこのように語らい友人として仲良くしてくれと宿主はキングに告げた。そのためキングは完全な宿主になることはなく定期的に意識を乗っ取られている程度ですんでいた。この際の記憶があるかないかはまちまちで勝手に仕事をされている時もあれば、知らないうちに料理屋のオーナーや、格闘チャンピオンになっていたりする。
ニャルラトホテプは這い寄る混沌であり、その中に闇や悪意があるのは当然だが、同時に善意や愛着がないわけではないのだ。
それが人間の基準であるかは別として。
(宿主:マレモンp210)(ニャルラトホテプ:ルルブp222)

常に微笑みを絶やさないポーカーフェイスと完璧な仕事ぶりから誤解されがちだが、その実、生活能力は殆ど皆無でありHO1とコンビを組んでいる間、家事は全てHO1の担当だった。実際やろうとすれば普通レベルには出来るが面倒なので放置するタイプ。気がつけば部屋が汚部屋に。
HO1と組むことにしたのは第六感(悪運)的なもので放置してはいけないと感じたから。
HO1と彼が組むことがなければ彼らはいつか敵として相対していたかもしれない。

登場するのは3作目の最後と、4作目。


【このシナリオでのニャルラトホテプ及び宿主について】
「宿主」はニャルラトホテプが時々地球での顕現に使用する人間の依代のことである。
しかし、このシナリオでは便宜上NPC1との区別を付けるため、NPC1へ取り付いている存在を「宿主」と表記している。また、シナリオのオリジナル解釈としてニャルラトホテプはあらゆる化身の集合体であり、それらの個体の思想はそれぞれ異なるものとして扱っている。だからこそ彼は混沌であり無謀、とらえどころのない神なのだと。
宿主に選ばれた犠牲者(このシナリオではNPC1)は模型文字のようなデザインで飾られた鋭い手の平大の緑色の石で切りつけられるが、そこから出血はしない。代わりに黒い傷がつき、しばらくしてから犠牲者は10日間続く昏睡状態に陥る。昏睡状態の間、犠牲者は迷宮や階段の夢を見て、最後に人間の姿の一つを取った宿主(ニャルラトホテプ)と出会う。この夢により犠牲者は1d10の正気度ポイントを失う。
本来であればこのあとに1週間ほどかけて人ならざる姿に変化し、その精神も宿主に完全に憑依される。そして完全に狂気に陥るまで正気度が減少していく。しかし、NPC1は上記にあるように、体自体はそのままに、意識も完全に憑依されることはなかったが、時折気まぐれに体を使われる。そんな不思議な関係になった。
ニャルラトホテプは旧支配者の中で唯一自由に動ける存在であり、同じ旧支配者たちのことを見下している節がある。今回宿主はビーモス(クトゥルフ)の復活については成功しようがなんだろうがどうでもいいと思っているものの、NPC1に頼まれたことをやってやるくらいはする。
ついでに引っ掻き回して色々面白いものが見られれば万々歳とも思っているため、NPCからするとイレギュラーな動きもする。
このシナリオの登場人物たちはトリックスター的存在ばかりだが、彼もまたその1人だ。


※表記→キング





[おまけメモ]
・身長186センチ程度
・体格はしっかりしてる
・腹部と腕に大きな怪我を負っているため露出度が低い
・宿主の依代の印である手の甲の傷を隠すために常に手袋をしている
・基本的に糸目属性のため分かりにくいが、瞳の色は露草色

喫煙者。よく吸うのはPeaceだが、人からよく貰い煙草もする。
胸元のハンカチーフはクイーンからのプレゼント。

口調は、
「久しぶりだな、ボウズ」
「はいはい、小言はいいから珈琲を淹れてくれ」
「ったく、なんでこうなるんだか」
「俺たちは人殺しだ。だからこそ、そこにある一線を越えちゃいけないんだよ」
「Peaceね。煙草のくせに大層な名前してやがる」

一人称→俺


NPC2:クイーン
性別:女 / 年齢:??

STR:10 / CON:12 / POW:13 / DEX:15 / APP:17
SIZ:10 / INT:17 / EDU:15 / OPP:18 / db:±0

ビーモスの影響を受けた者

キングの時代からのお得意様の女性。会ったことがあるのはHO1だけだが、他のメンバーも声くらいなら聞いたことがあるかもしれない。
キング失踪後の依頼は毎回電話か対面。

キングの失踪前、ビーモスに目をつけられる。抵抗するも所詮はただの人間のため、ビーモスの操り人形となってしまう。
(ビーモス:マレモンp165)
そして、教団「星流榴家(せいりゅうりょうか)」組織し、コンビニYLNTを隠れ蓑に儀式のために、霧雨殺人事件を起こす。

彼女は生まれたときから裏社会の人間だった。
底辺からその美貌と実力でのし上がり、暗殺者としても。裏社会のVIPとしても名を馳せる存在になった。
キングとは彼がこの世界に足を踏み入れたときからの付き合いであり、お互いに情を抱く存在だ。
しかし、なにかの口約束があるわけでもなくそういう関係を継続している以外は、同業者同士、もしくは依頼人と始末屋という関係でしかない。


【このシナリオでのビーモスについて】
ビーモス(クトゥルフの化身)は精神干渉によって人を操ることが出来る。
今回のシナリオではビーモスを自分自身を復活させることによって世界を破壊せしめんとする存在として扱っている。
また、今回のシナリオに使われる復活の呪文儀式は全てオリジナルのものである。

※表記→クイーン




[おまけメモ]
・始末屋のお得意様
・30代だがそうは見えない
・始末屋のお得意様でありながら自身も暗殺者でもある
・胸が大きい(siz12だが、身長が低いのは胸に吸われている)

喫煙者ではないが、煙草は吸える。匂いがつくと任務(ハニートラップ)に支障が出るため日常的には吸っていない。

暗殺者のため、ナイフ極振り。至近距離で頸動脈を切るのが常套手段。
次によく使うのは薬だが足が付きやすいので好んではいない。理由は人に頼ることが嫌いなため(薬は購入しなければならない)

口調は、
「久しぶりね、ボウヤ」
「もう少しお喋りに付き合ってくれたっていいじゃない」
「さぁ? それは貴方達次第よ」
……バカな人」
「手を出すのは自由だけれど、私は安くないわよ?」

一人称→私
NPC3:ジャック
性別:男 / 年齢:25

STR:10 / CON:10 / POW:15 / DEX:11 / APP:10
SIZ:13 / INT:15 / EDU:18 / OPP:? ?  / db:±0

中立な情報屋

裏社会の情報屋。裏社会では有名な人物だが、その姿を見たものはいない。どのように情報を得ているのかもわからず、その実態は実は複数の人間による組織なのではないか、はたまた凄腕のハッカーなのではとも言われている。
そんな不思議な人物だが、基本的にどの組織にも属さず、肩入れもしない。報酬をしっかりと支払うか、もしくは面白そうな案件であれば確かな情報を提供してくれる。そんな情報屋だが、依頼主の情報だけは売らないということもあり、様々な組織から頼りにされている。
情報屋に繋がる番号は不思議でどんなに追っても居場所がわからないと言われている。もっともそれを確かめようとした人間の組織は“なぜか”出てはまずい情報が出回り、“なぜか”壊滅したそうだが。
彼が持つ情報の範囲からしてこの都市を中心に活動しているのは間違いないと言われているがそれ以上の情報は出回ってはいない。

このキャンペーン内での立場は完全なる部外者に他ならない。彼はただの情報屋である。
しかしながら面白い始末屋のことは前々からすでに好ましく思っており、File1の関係でその好意はより確かなものとなった。
そのため基本的に始末屋のために行動してくれる。根幹には関わらないものの、彼がいなければこの物語は成り立たない。
どの人物たちの背景も、どの事件の真相も関係なく、彼は自由に動き回り、物語をひっくり返すこともあるだろう。
このシナリオの登用人物たちの中でも特にトリックスター的存在だ。

ちなみに本当のところをいえば、ジャックは特徴表【動物に好かれる】をもつ人物で、動物と話すことが出来る(ガチ)人間。
動物と話せること以外は本当に普通の人間だが、その能力と類まれなる発明の才能で情報屋を営んでいる。
動物たちと話したり、動物たちに取り付けた発明品(小型カメラやレコーダーなど)を元に情報を収集している。
それこそネズミ一匹入り込めればジャックにとっては十分なのだ。ただ、音声は映像よりも不鮮明なことが多いため音声情報には少しだけ弱い。
電話番号については単純に発明品のをつかって辿れないようにしているだけで、本気でたどればHO4なら辿れるかもしれない。
特に魔術的要素を一切持たない人物である。

※表記→ジャック


[おまけメモ]
・記憶力が良い
・名前は一度覚えたら忘れない
・肩の猫は「レディ」と呼んでいる

一人称→僕




NPC4・5:殺し屋コンビ
NPC1に雇われた殺し屋コンビ。

NPC1は怪我によって現場にいって現役の裏社会の人間と渡り合える力がない。そのため今回この2人に依頼をしている。
このシナリオ中は少なくとも京橋が特に理由もなく人を殺したりはしない。それはキングに強く止められているからだ。
代わりに殺していい人間を沢山教えてくれているのでクリーン()に人殺しをしている。また、始末屋たちを殺すことも勿論禁止されている。
普段は倫理観のかけらもないお仕事などでも淡々と行ってくれる便利な殺し屋としてあまり宜しくない組織に重宝されている。


京橋那月(きょうはしなつき)
性別:男 / 年齢:22

STR:12 / SIZ:13 / CON:13 / DEX:12 / APP:18
POW:10 / INT:14 / EDU:17 / db:1d4

日本刀:90 / 居合:90 / 芸術(二刀流):90 / 回避:80 / 隠す:90 / 目星:75
聞き耳:75 / キック:50 / 組みつき:50 / 頭突き:50 / MA:41 / ナビゲート23

特徴表
・格闘センスの持ち主:〈キック〉、〈組みつき〉、〈頭突き〉の初期値が50%になる。
・依存症(戦闘):長時間戦闘をしていない状況が続くと〈アイデア〉-20% [技能ポイント40]

持ち物
日本刀×2 / スマホ / 財布 / 偽造ナンバープレートのハイエース / 100ℓゴミ袋 / タオル / 着替え

AF
形見の名刀:装備時戦闘ラウンド開始時に先制攻撃を必ず1回行うことが出来る ダメージ1d8+4

剣術の道場の次男として生まれる。幼い頃から兄と共に厳しく鍛えられてきた。兄が道場を継ぐ予定だったが失踪してしまったので道場を継ぐ事になっている。なぜこの仕事についたかは不明だが(作者が知らない)、ともかく紫雲紫の相棒として現在は殺し屋をしている。性格はのんき、大雑把、適当、ガサツ、好奇心旺盛。戦闘依存症のため、すぐに戦いたくなる(実力差を考慮する知能がなくなっていることが多いため大抵の場合相手がすぐ死ぬ)。

=================================================================

紫雲紫(しうんゆかり)
性別:女 / 年齢:23

STR:13 / CON:15 / POW:15 / DEX:13 / APP:11
SIZ:14 / INT:14 / EDU:10 / OPP:16 / db:1d4

鍵開け:72 / 忍び歩き:60 / 目星:80 / こぶし:81 / 回避:80 / 薬学:77 / クトゥルフ神話技能:9

特徴表
・プロドライバー:小さい頃から乗り物で遊んでいた。あらゆる〈運転〉技能の基本成功率は50%である。

持ち物
スタンガン / 睡眠薬 / ロープ / タオル / 折りたたみナイフ / 手袋 / スマホ / 結束バンド / 水 / 毒入りクッキー
普通の手作りクッキー / 消臭剤 / ウェットティッシュ / ピッキングセット / 財布

少し頭が悪い為ずれているところはあれど基本的には常識人。神話的事象に巻き込まれているベテラン探索者でもある。そんなわけで彼女自身が4人いる。オリジナル、IF、コピー、神の化身(自覚なし)。京橋はなんとなくアレ? と思っているが気にしていない(寧ろ面白れー! と思っている)。また、本人もそれぞれ自分と同じ人物がいるのは知っているが気にしていない。京橋のストッパーであり、相棒である。

※表記→京橋、紫

NPC6:神埼美佐子(かんざきみさこ)
性別:女 / 年齢:28

STR:11 / CON:10 / POW:12 / DEX:11 / APP:16
SIZ:10 / INT:12 / EDU:13 / OPP:13 / db:±0

巻き込まれ体質の幸薄美人。彗人の母親。

基本的な経緯は全てFILE1のラストで述べた通りである。
完全なる一般人だが、彗人のために全財産をなげうっても行動する点においては一般人らしからぬ行動力の持ち主と言っていいだろう。
特にシナリオには全く関係ないが神埼美佐子は両親が既に死亡しており天涯孤独の身である。
頼れる人間がおらず、また本人の倫理観もしっかりしていたためにかなり追い詰められてしまった。
FILE1のことで始末屋には感謝しているため、特に酷いことをしない限りはFILE4で協力してくれる。

※表記→神埼美佐子




[おまけメモ]
・幸が薄い女性
・男性受けのいい隠れ美人
・いたって普通の主婦

口調は、
「すみませんでした」
「私、どうしたらいいかわからなくて」
「本当にありがとうございます」
「もう二度とこの子の手を離したりしません」

一人称→私
NPC7:蔵望リアン(くらもちりあん)
性別:女 / 年齢:20

STR:9 / CON:10 / POW:11 / DEX:12 / APP:16
SIZ:8 / INT:10 / EDU:14 / OPP:8 / db:±0

神に認められた男の末裔。お嬢様。

名前の由来は古アイルランド語由来のライアンより変形したもの。
ライアン(Ryan)「ライアンの子孫」を意味する「Ó Riain」からの転訛。ただしこのRiainが誰を指すのかはわかっていない。
一説には古アイルランド語で「水・海」を意味するともいう。

父は重隆(しげたか)、母は麗羅(れいら)。
日本語、英語、アイルランド語が話せるトリリンガル。

※表記→リアン




[おまけメモ]
・自信満々なお嬢様
・悪い子ではない
・アイルランドの方の血が混ざっており、母親がハーフ

育ちはいいが世間知らずで、そこそこに家族のことが好きな極端に金持ちであること以外は普通の子。


口調は、
「ちょっと! なんなのよ!」
「な、なんで……お母様、お父様」
「お金なら払うからワタシを守りなさい!」
「どうして……っ!」

一人称→ワタシ
NPC8:赤羽唯(あかばねゆい)
性別:女 / 年齢:32

STR:14 / CON:12 / POW:15 / DEX:15 / APP:12
SIZ:16 / INT:15 / EDU:16 / OPP:15 / db:1d4

回避:75 / こぶし:50 / キック:75 / 頭突き:50 / 拳銃:40 / 応急手当:75
聞き耳:75 / 目星:65 / 組み付き:50 / 精神分析:41 / 追跡:50 / 運転:60
言いくるめ:45 / 説得:75 / 図書館:45 / 心理学:30 / 法律:30


特徴表
・格闘センスの持ち主:〈キック〉、〈組みつき〉、〈頭突き〉の初期値が50%になる。
・俊敏:どんな時でも、鋭く素早く状況を把握できる。〈回避〉の基本成功率は、通常の〈DEX*2〉ではなく〈DEX*5〉である。


【再開した幼馴染の女刑事】

霧雨殺人事件を追う刑事。探索者たちと同じ孤児院の出身。引き取られた家が道場だった為、戦闘技能(肉弾戦)に特化している。
捜査一課の刑事の為、霧雨殺人事件についても仕事として関わっていたが、夫である赤羽慧が事件の被害者となってしまったことで捜査から外されてしまう。夫を殺した犯人をなんとしても捕まえたいと思い、独自に捜査をし始めた。
「こどもの家」時代のことは良い思い出として捉えており、探索者達に対してもとても好意的である。少し強引なところはあるが姉御肌で魅力的な女性だ。
夫との間には2人の子どもがおり、彼らのことをとても大切に思っている


※表記→赤羽唯




[おまけメモ]
・極真空手の使い手
・意外と不器用で料理が苦手
・夫が初恋で最後の人
・二児の母

口調は、
「久しぶりね、あんた達。おっきくなったなー」
「まぁ、色々あんのよ。お互いにいい大人になったわけだし、さ」
「絶対に許さない。必ず犯人をつかまえてやる」
「アタシにはあの子らがいるからさ。落ち込んでる暇なんてないの」

一人称→アタシ
NPC:その他
各話にしか登場しないNPC達

File1

・草川圭司(くさかわけいじ)
株式会社「lon」の社長。


File2

・蔵持重隆(くらもちしげたか)
リアンの父であり、蔵持家の当主。「百鬼夜行研究」の著者。かなりの変人。

・蔵持麗羅(くらもちれいら)
リアンの母。日本人とアイルランド人のハーフ。少し天然な人。


File3

・佐藤花子(さとうはなこ)
不運にも霧雨殺人の第一の被害者になってしまった女性。27歳、OL。

・山田たかし(やまだたかし)
不運にも霧雨殺人の被害者になってしまった男性。34歳、会社員。


・藻部ももこ(もぶももこ)
十六沢総合病院の新人看護師。おっちょこちょいのため、怖い看護師長にいつも怒られている。


File4

・赤羽慧(あかばねけい)
赤羽唯の夫。不運にも霧雨殺人の被害者になってしまった。穏やかで優しい人柄。妻と子どもをとても愛していた。




事前公開情報
このシナリオは探索者たちが多くの時間を共に過ごしているため、事前情報がかなり多い。
これについては基本的に齟齬がなければ何でも構わないが作者が想定している事前情報を以下に記述していく。
KP情報もあるため、このままPLに公開しないように注意してほしい。
【始末屋について】
貴方達は4年前から始末屋として仕事を引き受けている。「始末屋」とは言いつつも、その対象は人に限らず、情報だったり、何かしらの物品であったり、始末ではなく探し人を見つけてほしいなんて事もあった。貴方達はそれぞれが得意なことを活かして、この4年間依頼をこなしてきた。
また始末屋としての活動を行うと同時に共同生活を始め、隠れ蓑としてクラブを経営している。
●オーダーとは
始末屋の依頼のこと。前述の通り貴方達は様々な依頼をこなしているが、それらを受けるのはリーダーであるHO1だ。
他のメンバーはHO1からオーダーの内容を聞き、立候補したり指名されたりして依頼をこなす。
多種多様なオーダーだが、一つだけ共通点がある。それは、始末する対象が悪人であること。
これについては全員が知っている事実だが、それに対してどう思うかはシナリオ側では指定しない。
●依頼料について
過去にあった依頼で最高額は1億円。
組織の壊滅という内容だったが、調査するうちに依頼人も悪人だと判明し、結果対象は増え、依頼料は0円という残念な結果に終わった。
依頼料は後述のルールにあるように基本的には依頼をこなしたメンバーでの折半となる。皆で料金目安を相談するのもいいだろう。
●始末について
人を殺せば死体が出る。死体が出れば捜査がされる。それは貴方達にとって都合が良いこととは言い難い。勿論、それは始末屋だけでなく裏社会にとっても同じことだ。だからこそ、この世界には『掃除屋』という存在がいる。金はかかるが腕は確かで死体を跡形もなく掃除してくれるのだ。暗殺や、あえて死体を残したい場合などは別だが、基本的に始末の後には『掃除屋』に連絡をして掃除をしてもらうことにしている。追加料を払えば、事故死にみせかけたりもしてくれるというのだから便利なものだ。『掃除屋』は裏社会では中立組織となっており、悪人も善人も『掃除屋』には手出し無用であり、彼らは金を払えば確かな仕事をしてくれる。
【クラブについて】
クラブとは言いつつも、バーカウンターがあり、フードメニューもあるなどカジュアルな雰囲気のお店。
もちろんメンバーによって好きな雰囲気に設定してもらって構わない。ただHO2はキッチンを担当すること。
●営業時間
営業日は好きに決めてもらって構わない。不定期でも週3でも週6でも。
ただ、営業時間に関しては17時00分〜3時00分とする。
【普段の生活について】
貴方達は共同生活をしているため、殆ど互いの行動を把握していると言って良いかもしれない。基本的にシナリオ側での制限はない。ただ、朝が弱かったり食べなかったりするメンバーもいるかも知れないが、お昼ごはんは大抵一緒に食べることにするとシナリオ進行上都合がいい。
オーダーについての話があるのも昼食後ということにすれば話がスムーズに進むはずだ。HO2は基本的に普段から皆に料理を作っている。
また、基本的に移動手段は車なので、少なくとも1人は〈運転(車)〉を持っているべきだろう。
※車種も決めておくことが望ましい(フォルクス○ーゲン タイプ2がオススメです:作者が好きなだけ)



【決まりごとについて】
貴方達は共同生活及び始末屋をするにあたり、8つのルールを決めた。このルールはお互いのためにも基本的に守るべきものだと思ってほしい。

1、仲間を裏切るな
2、多数決で決めた事には全員従え!
3、自分の落とし前は自分でつけろ!
4、迷った時はジャンケン!!
5、報酬は折半
6、掃除は当番制
7、フロアはみんなのもの!
8、動物は連れ込むな!!

生活をする上で他にも増えていくこともあるかもしれないが基本的なこのルールは今も変わらず有効で、ルールを守らなければ罰則がある。
このルール自体をそれぞれ誰が言い出したかなどはシナリオ側では指定しない。
罰則の内容(一週間トイレ掃除、夕食抜きなど)と合わせて話し合うのも面白いかもしれない。
【孤児院「こどもの家」について】
貴方達がいた孤児院「こどもの家」は様々な子どもを引き取り0〜18歳までの子どもが暮らしていた。何人かのシスターたちと院長で運営しており、近くには教会が建っていたのを覚えている。しかし、シスターも院長も貴方達にお祈りなどを強いることはなく、そこそこの自由とそこそこの不自由の中で貴方達は暮らしていた。「こどもの家」には他にも子ども達はいたが、貴方達6人は特に仲が良く、何をするにも共に行動していた。しかし、15年前に院長が急死したことで貴方達は「こどもの家」から出ていかなければならなくなった。年齢によっては15年前以前に「こどもの家」を出ていても構わないが、「こどもの家」にいた子ども達はそれぞれ別の施設へと引き取られていった。
【HO0について】
HO0とあるように好きにキャラメイクして頂いて構わない。ただし、誕生日はFILE2.の翌日にすること。
また、炎が苦手なことを隠しているという設定と動物アレルギー(特に明言はしなくても良い)は必ず忘れないこと。
元探偵であり、HO2〜5までと同じく(特徴表:前職)を付ける必要がある。
使用武器や始末屋の中の役割は他の探索者とかぶらないようにするのが望ましいだろう。
基本的に他のNPCと同じくシナリオに齟齬が生じなければすべて自由である。
以下に設定例を記載

・仲間のことが好き
・こんなにも期限ギリギリになってしまったのは葛藤があったから
・甘えん坊(進行しやすい)
・軽薄な態度(進行しやすい)
・基本的な攻撃手段はこぶしorキック(HO5とかぶらない近接戦闘技能)


※HO0についての情報は、KPは事前にPLに公開しておくこと
事前準備
このシナリオでは公開HOの他に秘匿HO(以下裏HO)と秘密がそれぞれに配られる。
裏HOは事前にキャラシートなどの設定に盛り込むなど公開のタイミングに制限はない。
しかし、秘密に関しては基本的にPCが隠したいこと、もの、として扱うこと。
KPは互いの秘密が互いに察しやすいように探ることを上手く促すことが求められる。
クトゥルフ神話TRPGは協力が基本であり、インセインのように秘密を抜いたりするシステムは存在しないため、少し難しいかもしれない。
このシナリオはより制限が多い分、そうでない部分は自由に個性を出してほしいためチームみんなで決めてほしいことがいくつかある。
この無駄にある自由度についてはKPの判断でなくしても構わない。
事前相談リスト
 始末屋のチーム名
 経営しているクラブの名前
 経営しているクラブの営業日
 シナリオ開始日
 本名とコードネーム
 経営しているクラブでの役割分担(バーテンダー・DJ・ウエイター・キッチン・会計など)
 オーダーの際に決まった衣装などはあるか(スーツなど)
改変について
このシナリオは齟齬が生じなければいくらでも改変を行っても構わない。
具体的には年齢設定の制限だ。HO0の年齢を25歳に設定している場合の制限で書いているが、年齢を引き下げたい、引き上げたい場合は好きに変更してもらって構わない。他にもNPCの名前や設定なども自由にしてもらって構わない。
ただし、付属のNPC立ち絵を使用する場合はNPCの名前、設定ともに改変不可とする。

〈交渉系技能〉について
このシナリオでは〈言いくるめ〉〈信用〉〈説得〉を全て〈交渉系技能〉として表記している。
RPに沿った技能で判定を行うこと以外の指定はない。
KPが指定するというような改変を行っても構わない。

探索者の倫理観について
このシナリオはシナリオの構成上、倫理観をふっ飛ばして進むと、最終的に大事故が起きる可能性がある
どこまで諸注意として事前に注意を行うかはKPに委ねるが、裏稼業であっても、人ならざるものであっても、人間として生きていく意思があるとシナリオがクリアしやすいようになっている。
【HO1】
公開HO
貴方は始末屋のリーダーである。
貴方はチームのブレインであり、チームを創設したのも貴方である。
主に情報収集を担当しており、隠れ蓑であるバーのオーナーでもある。(POW+3)

裏HO
貴方には師匠と言える人物がいた。もちろん裏稼業の方の、である。
施設を出た貴方は彼と共に依頼を受け、仕事をこなす日々を送っていた。
その間に今の始末屋のメンバーとの連絡はとっていてもいいし、とっていなくてもいい。
貴方がこの稼業に首を突っ込んだ理由についても自由で構わない。但し、彼と組むようになったのは彼から誘われたからだ。
この世界の新人である貴方を彼は随分とかわいがってくれた。仕事はできる優秀な人間だったが、生活能力がなく、家事は貴方の担当だった。
彼は仕事をいつも正確にこなし、またその仕事の内容はターゲットが悪人であることに限定されていた。この縛りも、貴方が彼と組んだとき彼に言われたものだ。曰く「俺たちは人殺しだ。だからこそ、その一線を超えちゃいけねーんだよ」と。
そうして2人で、ピンチに陥ることもあったものの、いつだって任務は成功させてきた。
しかし4年前、彼が仕事から帰ってくることはなかった。最後の依頼の内容を貴方は知らなかったが、場所だけは彼がたまたま電話口で話していたのを聞いており知っている。それは梦幻港(むげんこう)という場所だ。貴方がそこへ向かったとき既に彼の姿はなく、あったのは「椿が落ちる前に」と彼の文字で書いてある紙切れと彼がいつも持っていたZIPPOライターだけだった。
また、貴方はキングに教わったため、少し英語がわかる。〈その他の言語(英語)〉+10%の補正

秘密
貴方が初めて人を殺したのは10歳の時だ。
貴方には人を魅了する何かがある。そして、貴方はそれを自覚している。それは単純な顔の造作ではない。そのためAPPは指定しない。
その魅力を利用した対人での情報収集は貴方の右に出るものはいないだろう。
そして貴方はその魅力で人に死を選ばせた。相手は近所に住み、何かと貴方のことを気にかけてくれていた女性だ。
それに対して貴方がどう思ったかはわからない。だが、このことを話しても誰にも信じてはもらえないだろうし、知り合いを殺したとなれば仲の良かった仲間にもどんな目で見られるかはわからない、あるいは他の理由もあるかもしれない、とにかく貴方はこのことを黙っていることにした。

『生まれつきの殺人者』

(貴方は〈交渉系技能〉の判定が全て自動成功にすることが出来る。勿論貴方が望んだ場合のみであるため、通常通り判定を行うことも出来る)

事前情報
●梦幻港について
個人所有の港。管理者は外国人で廃れている様子からも管理自体殆どされていないことがわかる。

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裏HOは任意でシナリオ開始前に公開しても構わない情報
(ただしその情報がHOだと明言してはいけない)
秘密は基本的に隠したいこととして扱う
シナリオが開始すれば全ての情報の公開のタイミングは問わない
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【HO2】
公開HO
貴方は始末屋のメンバーである。
貴方は元料理人であり、刃物の取り扱いに長けている。(DEXに+3)

裏HO
始末屋になったのと丁度勤めていた料理屋が潰れたのは、ほぼ同時期だ。なんでも、オーナーが死んだらしいということだった。
無職であったし、それ以外の理由もあったかもしれない。様々な理由によって貴方は始末屋になった。
また、貴方が「こどもの家」に引き取られたのは3歳のときだ。そのときに「こどもの家」にいた人間ならそれを知っているだろう。
(キャラシ作成後確定公開される)

秘密
貴方は最近この1年ほどの間、まれにではあるが人が美味しそうに見える。それは突発的に起こり、性別や年齢関係なく起こる感覚だ。そのような奇妙な感覚を覚えた当初は困惑しただろうが仲間内ではそのような奇妙な感覚が起こらないため安心出来た。だが、そうも言っていられないのが始末屋の仕事をしているときだ。辺り一面に人間の肉と血が散らばることもあるその場所で貴方は空腹を感じるのだ。別行動をすることもあるが、誰にみられるかもわからないため、貴方は空腹を抱えて今日もオーダーを熟す。いや、まぁ、少し、バレないように食べたり舐めたりしたことがなかったわけではないけれど……。そして決まってオーダーの後はキッチンに立ち美味しいご飯を作るのだ。料理は貴方にとって楽しいことだ。
しかし、最近いつも通り味付けをしているのに一発で味が決まらないことに悩んでいる。あの奇妙な感覚と関係はあるのだろうか?
……ともあれ今日も自分のため、皆のため、貴方は料理を作る。
料理の道を志したのは「こどもの家」で食べる美味しいご飯が貴方を元気付けたからである。貴方の料理も仲間を元気付けていることだろう。

『料理好きの食人者』

(貴方は『特徴表:前職』により、EDU*3を〈芸術(料理)〉に割り振ること)


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裏HOは任意でシナリオ開始前に公開しても構わない情報
(ただしその情報がHOだと明言してはいけない)
秘密は基本的に隠したいこととして扱う
シナリオが開始すれば全ての情報の公開のタイミングは問わない
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【HO3】
公開HO
貴方は始末屋のメンバーである。
貴方は元自衛官であり、銃火器の扱いが得意である。(EDUに+3)

裏HO
貴方が自衛官を辞めたのは、とある事件によって精神を病んだからだ。ただ自分はその事件が何かを覚えていない。
気付いた時には入院、そして退職させられていたのだ。そのとき貴方は同じようなことが前にも合ったような気がした。
銃を撃つことに恐怖心はあってもなくてもいい。ただ、銃で始末をするたびに何かが頭を揺らす感覚があった。
これによってのマイナス補正はない。気のせいかもと流せるレベルの話だ。
また、貴方が「こどもの家」に引き取られたのは3歳のときだ。そのときに「こどもの家」にいた人間ならそれを知っているだろう。
(キャラシ作成後確定公開される)

秘密
貴方はHO1のことが怖い。なぜならHO1はとても強いからだ。それは当たり前のことかもしれないし、そうでないかもしれないが、そういうことではない。貴方は知っているのだ。HO1がその気になれば、5人の仲間で束になっても敵わないことを。なぜそれを知っているかはわからないが、貴方は強すぎるHO1に恐怖を感じている。それは畏怖や嫌悪かもしれない。しかし、HO1自身が貴方に何かをしてきたこともないし、何かをしていたのをみた記憶もない。だが、もしその話を誰かにしたのなら何かが終わるような気がしている。それは貴方にとって望ましいこととは言い難い。仲間もリーダーがいなくなることを望んではいないだろう。貴方は仲間がとても大切だ。

『仲間思いの臆病者』

(貴方は『特徴表:前職』により、EDU*3を〈任意の銃火器技能〉に割り振ること)

年齢は20〜33歳の間で設定すること。
また、貴方は15年前に「こどもの家」がなくなるまで、「こどもの家」にいた。


=================================================================
裏HOは任意でシナリオ開始前に公開しても構わない情報
(ただしその情報がHOだと明言してはいけない)
秘密は基本的に隠したいこととして扱う
シナリオが開始すれば全ての情報の公開のタイミングは問わない
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※KPはHO3の年齢制限を24歳未満などに設定しても構わない。
これはHO0との年齢差によって、KPが回しにくくなる可能性があるためである。
勿論HO3以外の年齢制限についてもシナリオに齟齬が生じなければ好きにして構わない。
【HO4】
公開HO
貴方は始末屋のメンバーである。
貴方は元エンジニアだ。コンピュータに精通している。(INTに+3)

裏HO
貴方には記憶にない知識がある。いつ知ったのかわからないもの、知っているはずのないこと……その知識は多様で膨大だ。
貴方が施設に捨てられたのはその奇妙な知識のせいかもしれないし、それ以外の原因があったのかもしれない。
シナリオ側での指定はない。ともかく、引き取られた施設での日々で貴方は仲間を手に入れた。
エンジニアになった理由は自由で構わない。また、やめた経緯も自由で構わない。もしかしたらクビになったのかもしれない。
ただ、どんな経緯があったとしても始末屋に誘われた貴方は一も二もなく頷いたことだろう。
素直になれなかったとしても、とても嬉しかった。なぜなら貴方は仲間が好きだからだ。
また、自分が彼らの力になれるという自信もあったかもしれない。
ちょっとした気まぐれ、あるいは趣味で貴方は過去にも何度かハッカーのようなことをしたことがあったからだ。
その経緯や頻度についてシナリオ側では指定しない。

秘密
貴方は先週HO0の両親を殺した。それはHO0自身が両親を殺したがっていることを知ったからだ。
貴方は膨大な知識と引き替えだとでもいうように感情が乏しい。
人がなにを考えているのか感じているのか感覚的には理解できないことが多いのだ。それを貴方は隠していてもいなくてもよい。
HO0はいつも感情のまま生きているようで貴方には眩しく映ったことだろう。とにかく貴方はHO0を好ましく思っていた。
だから貴方はHO0が両親に死んで欲しいと思っていることを知って、両親を殺してあげた。
方法は自由だが、貴方は証拠を残さない見事な手腕で事故に見せかけて殺しきった。
そして、貴方はHO0に両親が死んだことを教えてあげようとしたが、貴方がHO0の両親を殺した次の日、HO0の元気がないことに気づいた。そこでやっと貴方はHO0の気持ちを勘違いしていたのではないか? 両親を殺したことは嬉しくなかったのでは? と思う。
そうだとしたら自分がしたことはきっとHO0を怒らせてしまう。だから貴方はこのことを言わないことに決めた。
HO0への感情は恋慕でもそれ以外でも自由にしてもらって構わない。

『無邪気な精神病質者』

(貴方は『特徴表:前職』により、EDU*3を〈コンピュータ〉に割り振ること)



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裏HOは任意でシナリオ開始前に公開しても構わない情報
(ただしその情報がHOだと明言してはいけない)
秘密は基本的に隠したいこととして扱う
シナリオが開始すれば全ての情報の公開のタイミングは問わない
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※HO0を好ましく思う理由についてはありそうな理由を一応書いてはいるが基本的に自由に変更してもらって構わない。
HO0はKPの探索者のため、うちよそ的な感覚で相談しあってもいいだろう。
【HO5】
公開HO
貴方は始末屋のメンバーである。
貴方は元格闘家だ。近接戦闘で右に出るものはいない。(STR+3)

裏HO
貴方は施設を出たあと、(任意の戦闘技能に適した道場やジム)に入り、研鑽を積んだ。
貴方は才能があったのか、かなり期待された選手となったが、試合で勝ちきれないことが続いていた。そんな中かつての仲間から連絡があり、貴方は始末屋になった。その決め手は仲間が好きだからかもしれないし、選手としての自分に限界を感じていたからかもしれない。
また、貴方が施設に引き取られたのは3歳のときだ。そのときに施設にいた人間ならそれを知っているだろう。
ただ幼すぎたからだろう。貴方は「こどもの家」に入る以前の記憶はない。
(キャラシ作成後確定公開される)

秘密
貴方は自分の親に会ったことがある。それは施設を出て暫く経った頃だった。まだ施設にいた時に忍び込んだ事務室で見た書類。そこには自身の両親の書類があった。そこでみた顔と同じ顔が歩いていた。思わず彼らに話しかけるが、彼らは怪訝そうな顔をするのみだった。それに対して貴方がどう思ったかは自由だが、不可抗力とはいえ、貴方は両親に会えた。その事実が、夜中「両親に会いたい」と泣いたHO0や、口に出さないまでも血の繋がった家族に会いたいと思っていたであろう施設のみんなに対する裏切りのような気がしていた。
貴方はもう一つ、彼らを裏切っていることがある。それは自分が人を殺せないということだ。貴方は何故か人を殺せない。攻撃をすることはできる、だがトドメをさせないのだ。始末屋として致命的なこの欠陥が今までバレずにいたのはHO0の存在があったからだ。HO0は貴方が心優しく、人を殺せないと思っているようで貴方が仕留め損ねたターゲットをいつも始末してくれた。しかし、それはこれまで貴方が参加するオーダーのたびに彼が挙手してくれ、それを運良くリーダーが許していたからだ。こんなことがいつまでも続けられることがないとはわかっていても、貴方はそのことを言えずにいる。

『人を殺せない裏切り者』

(貴方は『特徴表:前職』により、EDU*3を〈こぶし〉or〈キック〉に割り振ること)

年齢は24歳以下で設定すること。貴方は動物アレルギーがある。



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裏HOは任意でシナリオ開始前に公開しても構わない情報
(ただしその情報がHOだと明言してはいけない)
秘密は基本的に隠したいこととして扱う
シナリオが開始すれば全ての情報の公開のタイミングは問わない
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【HO動物が好き】
貴方は動物が好きだ。だがルールにある以上、家で動物を飼うことは出来ない。
だから貴方は近所の路地裏に時折向かい、そこの野良猫に餌をやったりしている。
長く通っていれば野良猫以外にも鳩やカラス、ネズミなんかもいて、意外と賑やかだということを知った。
折角仲良くなってもいつの間にか見なくなってしまうなんてことはよくあることだが、それもまた仕方のないことだろう。
そんな貴方にはここ一年ほど気になる猫がいる。その猫は野良であるはずなのにとても毛並みがよく人懐っこい。
また、とても賢いようで自分が話す言葉がわかっているかのように返事をしたりする。
始末屋という血生臭い仕事をしている貴方にとって路地裏での時間はそんなことを忘れさせてくれる時間だろう。


【HO1探索者作成】
貴方は特徴表を1つ付けることができる。付ける場合は1d6を振った後、1d9を振ること。
POWに+3の補正。これは始末屋として、リーダーとして鍛えられた分である。上限突破は出来ない。

また、貴方は1d6*10の技能ポイントを好きに割り振ることが出来る。

〈その他の言語(英語)〉+10%の補正

職業技能は8つ
趣味技能は制限なし

職業技能は自由に決めてもらって構わない。自分の人生に沿ったものを選んでほしい。
趣味技能との差異は生きていくために必要だったか、義務だったか、といったところになるだろう。
推奨技能:三大技能、戦闘技能、〈その他の言語(英語)〉

※特徴表をつけたいと言われた場合、ダイスを振ってもらいKPが結果を確認する。
そして、1-10.2-3.3-6.4-9.5-2.6-9をそれぞれ抜かして特徴表を適用した結果を伝えること。
また、6-10を引いた場合はHO0から好意を寄せられることになる。この誰から、の部分は伝えても伝えなくても構わない。


【HO2探索者作成】
貴方は特徴表をこれ以上付けることができない。
DEXに+3の補正。上限突破は出来ない。
「特徴表:前職」によりEDU*3を〈芸術(料理)〉に振ること。

また、貴方は1d6*10の技能ポイントを好きに割り振ることが出来る。


職業技能は8つ
趣味技能は制限なし

職業技能は自由に決めてもらって構わない。自分の人生に沿ったものを選んでほしい。
趣味技能との差異は生きていくために必要だったか、義務だったか、といったところになるだろう。
推奨技能:三大技能、戦闘技能

【HO3探索者作成】
貴方は特徴表をこれ以上付けることができない。
EDUに+3の補正。上限突破は出来ない。
「特徴表:前職」によりEDU*3を〈任意の銃火器技能〉に振ること。

また、貴方は1d6*10の技能ポイントを好きに割り振ることが出来る。


職業技能は8つ
趣味技能は制限なし

職業技能は自由に決めてもらって構わない。自分の人生に沿ったものを選んでほしい。
趣味技能との差異は生きていくために必要だったか、義務だったか、といったところになるだろう。
推奨技能:三大技能、戦闘技能










【HO4探索者作成】
貴方は特徴表をこれ以上付けることができない。
INTに+3の補正。上限突破は出来ない。
「特徴表:前職」によりEDU*3を〈コンピュータ〉に振ること。
3d6つの知識技能の初期値が50%になる。
また、この知識技能の中に心理学を選ぶことはできない。

また、貴方は1d6*10の技能ポイントを好きに割り振ることが出来る。


職業技能は8つ
趣味技能は制限なし

職業技能は自由に決めてもらって構わない。自分の人生に沿ったものを選んでほしい。
趣味技能との差異は生きていくために必要だったか、義務だったか、といったところになるだろう。
推奨技能:三大技能、戦闘技能

【HO5探索者作成】
貴方は特徴表をこれ以上付けることができない。
STRに+3の補正。上限突破は出来ない。
「特徴表:前職」によりEDU*3を〈こぶし〉or〈キック〉に振ること。

また、貴方は1d6*10の技能ポイントを好きに割り振ることが出来る。


職業技能は8つ
趣味技能は制限なし

職業技能は自由に決めてもらって構わない。自分の人生に沿ったものを選んでほしい。
趣味技能との差異は生きていくために必要だったか、義務だったか、といったところになるだろう。
推奨技能:三大技能、戦闘技能


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※このシナリオ内では様々な技能が振れるため、推奨技能があってもクリアできるとは限らない。
ただKPが伝えたい場合は勿論上記以外の推奨技能を案内していい。
また、〈交渉系技能〉の判定は区別を行わないことを探索者作成時に伝えること。

※探索者たちは全員、特徴表「暗黒の祖先」を付与されている。
探索者作成時の1d6*10の技能ポイントの付与はこのマイナス特徴の処理である。
キャンペーン終了時に明かすこと。また、この特徴表については通過後も基本的には隠すことをKPは周知してもらいたい。
全員が人外であることがこのシナリオの一つの大きなネタバレになる。

事前公開情報⁺
以下の出来事が起こったときに探索者が5歳以上だった場合に下記の情報が参照可能になる。
※キャラクターシート確定後のみ。また、KPからの情報の配布は必須ではない。しかし聞かれたら必ず答えるというような内容になる。

・HO1が「こどもの家」に入ってくる
HO1は貴方が〇歳、HO1が△歳の時に「こどもの家」に引き取られてきた。入ってきたばかりのHO1はシスター達によく絡まれており、当人は知らないことかもしれないが、多くの子どもたちがいる「こどもの家」ではそれは少し珍しいことだった。しかし、真新しさがなくなったからか次第にそんなことはなくなっていった。

・HO2が「こどもの家」に入ってくる
HO2は貴方が〇歳、HO2が3歳の時に「こどもの家」に引き取られてきた。HO2が「こどもの家」に入って暫くはHO2に近づくとケガをするから近寄ってはいけないとシスターに言われていたが、次第にそんな注意も無くなっていった。

・HO3が「こどもの家」に入ってくる
HO3は貴方が〇歳、HO3が3歳の時に「こどもの家」に引き取られてきた。引き取られてきたばかりのHO3は慣れない環境だったためか常に怯えていた。貴方が声を掛けようとしてもすぐに逃げていく。しかし次第にHO3は「こどもの家」に馴染み、そんなことも無くなっていった。

・HO4が「こどもの家」に入ってくる
HO4は貴方が〇歳、HO4が□歳の時に「こどもの家」に引き取られてきた。HO4はよくわからないことをいってシスターを困らせており、なんとなく周囲から少し浮いていた。

・HO5が「こどもの家」に入ってくる
HO5は貴方が〇歳、HO5が□歳の時に「こどもの家」に引き取られてきた。院長はたまにHO0のことをHO5と呼び間違えて、シスターに怒られていた。

※HO0が22歳未満だった場合、HO5が1歳のタイミングで「こどもの家」に院長が連れてくる。

事前探索
このシナリオはセッションの前に探索者ごとに事前探索を行うことが出来る。
この処理に関しては、セッション開始直前である必要はないが必ずキャラシート作成後に行うこと。
KPはまずPLに探索したい事柄を聞き。事前調査の内容にないもので答えられるものがあれば技能を提示し判定を行ってもらう。
その後、こちらからそれ以外の事前探索可能な技能を提示し、判定を行ってもらう。
またそれとは別に1d100を振ってもらい出目の低い順にならべ、疑惑をそれぞれに振り分けること。
【疑惑】
1. 貴方はこの間、始末屋の仕事もクラブの営業もない日の深夜HO0が家から出ていったことに気がついた。いい大人なのだし心配することもないか、と思っていたが気をつけて見ていればかなりの頻度で家からいなくなっていることに気づき、少し気になっている。
2. 貴方はこの間、HO0の体に見覚えのない傷があることに気がついた。貴方の視線に気がついたHO0は寝ぼけていてぶつけたのだと言っていたが、それにしては痛そうな傷だった。オーダーの最中のものを誤魔化しているのなら少し気になる。
3. 貴方はこの間、なんの話の流れだったか、HO0と最近流行っているという焚き火を眺めるアプリについての話をした。そのときのHO0はどこか歯切れが悪かったような気がした。
4. 貴方はこの間、HO0が珍しくごみ捨て担当を嫌がらずにやったことを覚えている。
5. 貴方はこの間、HO0がレターセットを買っているのを見かけた。
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※以下KP用解説
1. メンバーの両親を殺すための調査を行う際にこの4年間HO0は慎重に家を抜け出していた。
しかし期日も近づくなか焦りが生じたため、気づかれることになった。
2. メンバーの両親を殺した際に抵抗されてついた傷である。気づかれたのは偶然。
3. HO0はライター程度の炎はまだしもそれ以上の火をに対して苦手意識を持っている。
これは高貴を殺す際に炎を用いたからである。
(わざわざ火を放つように言ったのはHO3を安全な場所に逃し、かつ高貴を逃さないようにするため)
4. ごみ捨ての際に汚れた自分の衣服などを捨てた為。
5. メンバーへの手紙を書くためのもの。



【HO1事前探索】
〈聞き耳〉、〈図書館〉1/2、〈日本語〉1/2
〈聞き耳〉成功
HO2の料理に違和感を覚える。不味くはないのだが味が変わったような気がする。前の方が美味しかったと感じるだろう。

→更に〈アイデア〉成功
何回かそんな風に思ったことがあった気がする。どれもここ一年くらいのことだ。

〈図書館〉1/2成功
椿について調べてみると花言葉に「罪を犯した女」というものがある。
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この花言葉はオペラの椿姫が由来だと言われている。
主人公の娼婦マグリッド=椿姫

【椿姫のあらすじ】
社交界でいつも椿を身につけている、絶世の美女「娼婦マグリッド」は椿姫と呼ばれていたが彼女は肺の病に侵されていた。
ある日、心が綺麗な青年アルマンと出会い、彼女は初めて本当の恋に落ちる。
しかし、ここで2人の間を離そうとするものがいた。
アルマンの父は息子たちの間柄を良く思わず、もう会わないでくれとマグリッドに頼んできた。
普通なら断ってもいいところだが、彼女はアルマンを思い、身を引くことにする。
アルマンが自分から離れていくように、マグリッドは娼婦に戻ったふりをすることにした。
アルマンはそれに怒って、2人は別れることになる。
しかし、アルマンはマグリッドが自分を裏切って無い事実を知り、彼女の元に急いで向かう。
だが、そのときには既に彼女はこの世から去っていた。
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〈日本語〉1/2成功
日本語には面白い表現が色々ある。同じことであっても花の種類が違えば言葉が違う。
菊は舞い、牡丹は崩れ、梅は溢れる。
椿は落ちる。花の終わりも様々だ。

〈目星〉1/2成功
なんとなくHO0がHO2を避けているように感じる。気がついたのはここ一ヶ月くらいのことだ。

【HO2事前探索】
〈図書館〉、〈生物学〉、〈心理学〉
〈図書館〉成功
貴方は自らの食人衝動について調べた。所謂カニバリズムと呼ばれるものだが、どの記述を読んでみてもピンと来ない。
カニバリズムは食人行為全般を示す言葉だが、人肉を食す行為といっても目的はさまざまである。
文明に染まった現代人は、こうした野蛮な風習を感覚的に嫌い、軽蔑し、怒りを示す。
「食人は、近親相姦、親殺しと並ぶ人類の三大タブーである」というのが一般的返答であろう。
だからこそ貴方は周りにそのことを隠しているのだ。だが、自分のこの衝動はカニバリズムなのだろうかと疑問に思う。

〈生物学〉成功
食人行為を示すカニバリズムだが、生物学分野では、同種内での捕食行為、すなわち「共食い」のことを指す用語でもある。

〈心理学〉成功
なんとなくHO0と距離を感じる。ここ一ヶ月くらいのことだ。
【HO3事前探索】
〈聞き耳〉、〈目星〉1/2
〈聞き耳〉成功
HO2の料理に違和感を覚える。不味くはないのだが味が変わったような気がする。前の方が美味しかったと感じるだろう。

→更に〈アイデア〉成功
何回かそんな風に思ったことがあった気がする。どれもここ一年くらいのことだ。

〈目星〉1/2成功
なんとなくHO0がHO2を避けているように感じる。気がついたのはここ一ヶ月くらいのことだ。

【HO4事前探索】
〈聞き耳〉、〈目星〉1/2、
〈聞き耳〉成功
HO2の料理に違和感を覚える。不味くはないのだが味が変わったような気がする。前の方が美味しかったと感じるだろう。

→更に〈アイデア〉成功
何回かそんな風に思ったことがあった気がする。どれもここ一年くらいのことだ。

〈目星〉1/2成功
なんとなくHO0がHO2を避けているように感じる。気がついたのはここ一ヶ月くらいのことだ。



【HO5事前探索】
〈聞き耳〉、〈目星〉1/2
〈聞き耳〉成功
HO2の料理に違和感を覚える。不味くはないのだが味が変わったような気がする。前の方が美味しかったと感じるだろう。

→更に〈アイデア〉成功
何回かそんな風に思ったことがあった気がする。どれもここ一年くらいのことだ。

〈目星〉1/2成功
なんとなくHO0がHO2を避けているように感じる。気がついたのはここ一ヶ月くらいのことだ。



特殊処理
このシナリオでは多くの特殊な処理が存在する。
シナリオ内で基本的にその都度説明を入れるようにはしているが、シナリオ全編を通して行われる処理などをここには記載していく。
ここに記載されている処理に関しては強制的なものではなくシナリオを楽しんで貰うため、不都合を生じづらくするための一つの提案である。

【HO1の交渉系技能について】
通常の〈交渉系技能〉との表記の差別化の為、以下HO1の確定成功〈交渉系技能〉は〈交渉系技能⁺〉と表記。
後述のHO5の戦闘ダメージと同様に実際の出目を変化させる処理はシナリオの真相を簡単にPLに悟らせてしまう可能性がある。1
(どれだけ出目が悪かろうがHO1の交渉技能は成功するし、HO5は人を殺すダメージを出すことが出来ない)
多くのHO1は特殊能力があったとしても交渉技能に多くのポイントを割り振るだろうが、必ずしもそうだとは限らない。
これらを解消する一つの手段として、ダイス結果を非公開形式(ダイスを振ったPLとKPのみにわかる形式)にすることを提案する。
PLはダイスを振り、KPはそれがどのような出目であろうと決められた結果の処理を行う。
そうすることによって、他のPLは鮮やかに相手を言いくるめるHO1が99なんて出目を出していたとは思わないだろう。
〈交渉系技能〉のみ非公開形式にすると怪しいため、その場合は全てのダイスを非公開形式にしたほうがいいかもしれない。


・HO1が探索者のいずれかに対して〈交渉系技能⁺〉を使用した場合

使用された探索者に対して以下描写

貴方はHO1の言葉を聞くと自然とHO1の言うとおりにするべきだと感じ、そのように行動してしまう。
それを貴方はおかしなこととは感じないし、それ自体に不満を感じることはない。
それらの行動は全て貴方の意思によるものだからだ。

※HO1の能力はパンの子であるHO1が備え持った性質である美貌と魔力を抑えていることによるイレギュラー的なものだ。
使われた相手は〈魅了〉と〈発狂〉の狭間のような状態となり、自らの意思でHO1の行動に従ってしまう。
何故かそうしたいと思ってしまう。そんな風に感じる。

・発狂している相手に対して精神分析代わりに使用した場合
使用された探索者に対して以下描写

貴方はHO1の言葉を聞くと自然とHO1の言うとおりにするべきだと感じ、そのように行動してしまう。
それを貴方はおかしなこととは感じないし、それ自体に不満を感じることはない。
それらの行動は全て貴方の意思によるものだからだ。HO1のいうことに従いたい。それが貴方の意思だ。
(この感情は1d5分間続く)


・HO3に対して〈交渉系技能⁺〉を使用した場合

HO3は〈幸運〉判定、失敗した場合は以下描写。成功した場合は上記描写。

HO1の言霊が貴方の耳を震わせた。ただの空気の振動に過ぎないそれは、貴方の耳から脳へと伝って、そのまま血を媒介に手、足、胸へと何かが伝わるようなそんな気色悪い感触を覚える。そして貴方はHO1の言葉を聞くと自然とHO1の言うとおりにするべきだと感じ、そのように行動する。それを貴方はおかしなこととは感じないし、それ自体に不満を感じることはない。
それらの行動は全て貴方の意思によるものだからだ。ただ、それと同時に酷くHO1を恐ろしく感じる。
貴方は従順に手懐けられる心と形容しがたい感情の板挟みになる。
SANc1d3/1d5+1

HO3であれ、それ以外であれ、探索者に対して〈交渉系技能⁺〉が使われた場合、PLへのお願いとして、自然にHO1の言うとおりにRPすることを徹底するとよいだろう。


【HO2の食屍衝動について】
HO2はfile.2乱入と共闘以降、死体が3体発生するたびに個別描写・処理が行われる。

目の前にドサリと倒れる肉塊に欲求がグワリと湧き上がる。

〈POW*3〉の判定
→失敗
ちょっとだけならいいじゃないか。この乱闘の中ではバレることもないだろう。
そう思ってしまう。死体に近づき、ぺろりと血を口に含めばその欲求は少し薄れる。

→成功
駄目だ。と思いとどまることが出来る。

→ファンブル
ちょっとだけならいいじゃないか。そう思ってしまう。そうして手を伸ばし、口に含んだとき視線を感じる。
誰かに見られただろうか。ぺろりと血を口に含めばすぐにその欲求は薄れる。
敵だろうか? まぁこの程度の奴らに知られたところで問題はないだろう。

※ファンブルの場合のみ、KPはシークレットダイス1d4を振る。HO順に並べた時の対象に以下の描写。
「戦闘中、貴方はHO2が口元を拭って笑ったように見えたが、その場で追求することは叶わない」

【HO3の恐怖について】
大体確定であるところは都度表記しているはずである。されてなかったらごめんなさい……

・HO1について
基本的に直接自身に能力を使われない限りは感じ取れない。周りには人外しかいないので……
・HO2について
食人衝動レベルは上記同様に感知出来ない。File.3合同捜査開始のイベント以降に食屍鬼の衝動にかられれば同様のSANcが起こるがそんなタイミングはシナリオ想定ではないので(基本的に始末屋で移動しているので起こる余地がない)大丈夫なはず。多分、メイビー、きっと、多分。

【HO5の戦闘ダメージについて】
HO5はその成り立ちにより、人間を殺すことが出来ない。また、その制限基準はHO5の主観で行われるものではないため、殺さない様にしていたのにうっかり殺してしまったなども成り立たない。HO5は人間に攻撃する場合、最大でもHPが1残るダメージしか出すことが出来ない。
相手のHPを0以下にするダメジ(以下殺人ダメジ)をHO5が出した場合についての処理の提案はいくつかあり、上記【HO1の交渉系技能について】の処理を参考にしてもいい。それ以外の提案は以下の2つ。

・エネミーの回避を確定成功にする
当たらなければ死にません。
ということで、HO5が殺人ダメージを出したらストッパーがかかり、攻撃を当てられないため回避確定成功という処理になる。
・エネミーのHPを非公開にする
殺人ダメージが出た場合HP1で必ず気絶するが、HO5のダメージ算出が公開されていた場合計算が合わなくなってしまう。
そのため、エネミーのHPを非公開にして倒れました、気絶しました、などの処理のみを告げる。

また、上記処理が行われた場合に周囲の探索者に個別処理として〈目星〉1/2を振ってもらい以下描写

貴方は何気なく視界に入ったHO5の動きに違和感を覚えた。力を加減しているような、何か制限があるように動きがぎこちない。
しかし、そう感じたのも一瞬のこと、HO5の攻撃によって相手は倒される。
FILE1.
TRICKSTER
トリックスター(英:trickster)
神話や物語の中で、神や自然界の秩序を破り、物語を展開する者。往々にしていたずら好きとして描かれる。
善と悪、破壊と生産、賢者と愚者など、異なる二面性を持つのが特徴。
シナリオ背景
洋服ブランド「lon」の社長である草川圭司は業績不振に悩んでいた。彼には社長としての才覚はなかったものの、元は悪い人間ではなかった。
だが、どんな運命の巡り合せか偶然入ったアンティークショップでとある古書を手にしてしまう。それは、はるか昔にどうしても叶えたい願いがあった男がアリエルという真実を司る神を知り人道を外れた方法で生み出した研究の成果を記録したものだった。古書自体に呪いなどの効果はなかったが、この古書を手に入れた人間は欲に負けて呪文を使い、最終的には神の怒りを買って化け物にされてしまうことから呪いの書とされていた。
そんなことは知るわけもなく古書を手にした草川圭司はいよいよどうにもならなくなり、藁にもすがる思いで儀式を行った。
彼のある意味で純粋な真実である欲を受け取ったアリエルは彼の願いを叶え、会社の経営は軌道に乗る。
彼はそれからも頻繁に儀式を行った。生贄として使っていたのは野良猫である。足がつきにくく、いなくなったところで困る人間などいないという理由だったが、その行いは情報屋ジャックに感づかれており、情報屋ジャックは彼を追っている。
しかし、アリエルの恩寵のせいでなかなかしっぽがつかめていない。
そんなふうにしてアリエルの力を使い、欲を満たしていた草川圭司は、その本質がどんどん歪んでいってしまっていた。本来であれば手に出来ないようなものを、地位を、名誉を、富を手にしていったのだから当然だろう。彼の妻は草川圭司の金が目当てだが誰に見せても恥ずかしくない美人で、ある意味お似合いとも言えたかもしれないが、草川圭司はそれでは足りず自身の会社の女性社員に独身だと偽って手を出していた。その被害者の1人が神埼美佐子である。
神埼美佐子は目立たない性格ではあるものの、隠れ美人といった風貌で一部の男性社員の受けがよかった。その噂が草川圭司の耳に入ったことで彼女はその毒牙にかかってしまう。草川圭司は一見爽やかな男性で、年の差はあるものの、熱心にアプローチされれば断る人間は少ないだろう。そのことも相まって被害者は増えていくばかりだったが、どれも表沙汰にはならなかった。
やがて神埼美佐子は草川圭司に妻がいることを知るが、そのときには既に彗人を身ごもっていた。そのため、彼女は会社をやめ、身を隠した。彼女はただ純粋に身ごもった自分の子を殺すことも考えられず、草川圭司の家庭を壊したくもなかっただけなのだが、せめて自分の子の顔くらいは知っていて欲しいと思って送った手紙を草川圭司が曲解したことにより危険に晒されることになる。
それに気がついた彼女はどうにか草川圭司の魔の手から逃げ延びる方法を探していた。そんなときに手を差し伸べたのがキングだ。彼は4年前の怪我のせいで体が満足に動かないため最終局面までは姿を隠している。しかし、その状況であっても様々なツテを使ってクイーンの目的を探っていた。その調査の最中にここ数年で急に裏の社会に入り込み不審な動きをしている草川圭司に目を留めた。自分自身が直接動くことはできないもの神埼美佐子を見殺しにする気もなかった為、キングは始末屋への依頼の仕方を匿名で教える。神埼美佐子はそれを信じ、なけなしの貯金をはたいて始末屋に依頼をした。彼女は彗人を置いていったあとはネットカフェに泊まり身を隠している。それすらも彗人がいれば出来なかった。ちなみにHO1の個別導入にある依頼2の内容は宿主がいたずらで行ったものだ。神崎美佐子の依頼をHO1が無視できないように後押しする意味も少しばかりはあったのかもしれないが……
始末屋の6人はそんな思惑に巻き込まれながら自らに降りかかる火の粉を払い、これから起こる大事件へ一歩足を踏み入れることになる。

個別導入
【HO1】
○月○日、○時○分(探索者の生活リズムにて任意の変更)
貴方はいつも通り裏稼業の依頼フォームを確認していた。
裏稼業の依頼フォームは株式会社updteという架空の会社のHPにあるが、一見してわからないようになっている。
知る人だけが知っている。裏稼業とはそういうものだ。
貴方は仲間と裏稼業を含め、様々なことを分担し共同生活をしているが、この作業だけは誰にも任せたことがない。貴方だけの仕事だ。そこに理由はあってもなくても構わないが、この依頼形式はキングと2人で始末屋をしていた時から使っていたもので、今もその時と同じ依頼フォームをそのまま使っている。
依頼フォームには毎日依頼があるわけではない。多くても週に一度あるかないかだ。しかし、今日は2件依頼がきているようだ。

→依頼を確認する
慣れた手つきで操作をし、依頼を確認すれば、以下のように画面に表示された。

●依頼1
=================================================================
○○/○○/00:01
簡単な依頼です。
対象はダンボールの中に入れておきます。
初めて依頼するのですが身分を明かしたくない為、対象の受け渡しと同時に依頼料をお支払いさせていただきます。
100万でよろしくお願いします。
対象の受け渡し場所は△△△△。
明日21時にお願いします。
=================================================================


●依頼2
=================================================================
○○/○○/00:02
椿が溢れるまでもう少し
=================================================================

貴方はこの依頼を受けるだろう。
何故なら今までこのフォームを通した依頼は全て受けているが、何かの罠だったことや、特別問題が起こったことがないからだ。
経験がここからの依頼は安全だと言っている。

もちろんどのように仲間に話すかは貴方次第だが、オーダーについては昼食後に話すことがお決まりになっている。
これは昼食時が一番どのメンバーも集りやすいことで自然とそういう形になった。

何か下調べをしたいならそれでも良いし、勿論しないならそれで構わない。

〈下調べの内容〉
→住所を調べる(グー●ルに聞くだけなので判定なし)
依頼1の住所を調べると那幻港に程近い場所であった。人通りもあまりなさそうで近くに店や民家もない。そんな場所だ。
確かに取引をするにはうってつけかもしれない。


※この依頼フォームはキングが宿主の力をちょこっと加えて作ったもの。普通の人間では解析できないようなコードが組まれている。
その機能は表の人間にこのHPの存在が認知されづらくなる、ハッキングをされないなどがあげられる。
だが一番の機能は悪意のある人間の選別だ。このHPは始末屋に悪意のある人間は使用出来ない。


【HO2】
○月○日(HO1の導入後次の午前)
貴方は食材を買い出しに来ている。
近所にある道を少し外れたところにある商店街だ。

商店街
バーの近所にあるアーケード街だ。
流行の店舗等は存在しないが、昔ながらの親しみやすい雰囲気を滲ませている。
地域密着型の形態をとっているため、食料品から雑貨まで、生活に必要なものはほとんど揃うだろう。
近隣住民はもちろん、貴方達も好んで使っている。

何を買うか聞き、買い物を終えたら〈目星〉を振ってもらう。

→〈目星〉成功
買い出しを終えた貴方は家に帰るところだ。道中何やら新しい店があるのに気づいた。
ユニセックスな洋服が並んだそこはかなりの人気らしい若い女性が次々に店に入っていく。
入り口の看板にはオープンセールと書かれているのが見えた。

洋服ブランド「lon」
ライオンのマークが特徴的なロゴが目に入る。

→入ろうとする
貴方は気になって入ってみようと思ったが、両腕が食料品で塞がっていることを思い出した。
気がつけば太陽も登りきりそうで、貴方は急ぎ家に帰らなければと思うことだろう。

→〈目星〉失敗or入らない
そろそろ良い時間だ。貴方は心持ち早足で家に帰ることだろう。


貴方は今日も皆のために料理を作るだろう。
時刻は11時30分、6人分の食事を作るのは少し大変だが、もう慣れたものだ。12時には問題なく出来上がるだろう。

何を作るか聞き、〈芸術(料理)〉を振ってもらう。

作り終わったら、12時丁度だ。
5人を呼ぶまでに何もすることがなければ、合流となる。


→洋服ブランド「lon」について調べる(調べればHPが出てくるので判定なし)
ライオンのマークが特徴的なロゴがロード画面に出てくるHPを見ていけば、どうやら通販も展開しているようだ。
基本的に普段遣いしやすい少しおしゃれな服といった感じで特別豪華というわけでもないが、今年だけでもかなり新店舗のお知らせがあるのをみると人気があるのだろうということがわかる。



【HO3】
○月○日、貴方は飛び起きた。
何か酷い悪夢を見た気がする。しかし、記憶を呼び起こそうとしても、夢の記憶は霧のように掴めない。
ただ夢の中で恐ろしい声が聞こえた気がする。その感覚に思わず身震いすることだろう。
SANc1d3/1d10

※クトゥルフの呼び声により夢の中でルルイエに行きクトゥルフに邂逅しそうになった。
本来はそこまで深く感じないものかもしれないがHO3の特性上、色濃く影響が出てしまっている。別に深きものとかではない。


貴方は身を起こすかもしれないし、二度寝をしようとするかもしれないが、その前にコンコンというノックが貴方の耳に届いた。

HO0「大丈夫? すげー叫び声したけど」

貴方が扉を開ければ(開けなくても勝手に入ってくる)彼は心配そうに声をかけるだろう。

HO0「なんか変な夢でもみた? 顔色悪くね?」

軽く話した後、〈聞き耳〉が振れる。

→〈聞き耳〉成功
何やらいい匂いが漂ってくるのに気がつく。時計を見ればもう12時00分、昼食の時間だ。
【HO4】
○月○日22時22分(共通導入の前日)、貴方のメールボックスにメッセージが届く。

メッセージ
=================================================================

はじめまして。優秀なハッカーさん。

君は面白いことは好きかな?
自分の仕事に誇りを持ってる?

まぁ、そんなことはどうでもいいのだけど。

こうして私が君に連絡をしたのは君とあるゲームをしようと思ったからなのだ。

ルールは簡単。

消えた始末屋を探し出すこと。

もしも見つけだせたなら君の願いを何でも叶えてあげよう。

信じるかどうかは別だけど、僕は大抵のことならわかるからね。
そう、次に値上がりする株とか、試験問題とか、好きな子の気持ちとかもね。

そういうわけで君が見つけ出せることを祈っているよ。
それじゃあ、また。

=================================================================

※ビーモスは宿主(キング)を探しているが、殆ど同じだけの能力を持っているせいで見つけられずにいた。
3年間は放置をしていたが、いよいよ準備が整ったため邪魔をされないように念の為行方を探っている。
このメールは日本にいる凄腕のハッカーに届けられているが基本的に迷惑メールとして無視をされている。
ビーモス自身そこまで期待はしていないが、上手く行けば面白いかなくらいに思っている。


奇妙なメッセージに首をかしげる事だろう。

→更に調べるor〈目星〉成功
貴方は気づく。このメッセージの差出人欄が空白で埋まっていることに。
メールアドレスがないのに届くなんてことがあるだろうか。

→消えた始末屋について調べてみる〈図書館〉or〈コンピュータ〉成功
始末屋などとバカ正直に検索してみても、気になるものは出てこない。
そう思い特殊なネットワークなどにも探りを入れてみるが、なにもわからなかった。

→更に〈アイデア〉成功
そう言えばHO1はどのようにして依頼を受けているのだろう? と思う。
消えた始末屋についての痕跡もないが、自分たちのことも何一つ探れなかった。
【HO5】
貴方は漂っている。浮かんでいる。
ゆらりゆらり。声が聞こえる。

『しかし----きているし、-----はないのだぞ』
『だけど---必要があるわ。---------けないことだもの』
……そうだな。----は------ない、にしよう』

途切れ途切れの声を聞きながら思う。

そう自分は-----。
でもそれはみんなを……

貴方は次第に苦しくなる。
いつの間に海に来てしまったのだ。
苦しい。押し潰されそうだ。
熱い。熱い。熱い。
突然、声がする。
「生きたいか?」
貴方が生きたいと叫べば、目の前の男はニヤリと笑った。

貴方は飛び起きる。どうやら夢を見ていたようだ。

→アイデア
昨夜なんとはなしに両親のことを思い出していたからだろうか。と何故か思った。

※『しかしコレは生きているし、ロボットではないのだぞ』
『だけど付ける必要があるわ。人を殺すのはいけないことだもの』
……そうだな。制限は人を殺さない、にしよう』
この夢はHO5の幼い記憶である。このときHO5は胎児程度の大きさで水槽のような装置に入っていた。→海に来てしまったのだ。
そう自分は殺せない。
でもそれはみんなを……。(守るため)
後半の二行はHO0の見ている悪夢とリンクしている。(HO0は定期的に自分が死にかけた記憶を悪夢として見ている)

時刻を確認すればもうすぐ11時30分。
悪夢のせいなのか、かなり寝過ごしてしまったようだ。
それにしても汗が酷い。シャワーを浴びたほうが良さそうだ。


もし風呂に向かうのなら以下の描写処理


風呂
シャンプーを使おうとすれば、フスフスと気の抜けた音がする。
どうやら残りが少ないようだ。

→〈アイデア〉成功
今月に入ってからシャンプーとボディソープの減りがやけに早いように感じる。
6人で暮らしているのだから普通の家庭よりは早いのはいつものことだが、それにしても早すぎるような気がした。

※もしここで詰め替えるなどという宣言があればこのあとの探索で風呂は探索箇所から外すこと。


風呂から上がればいい匂いがする。時計を見れば12時00分。昼食の時間だ。
舞い込んできた1つの依頼〜共通導入〜
○月○日
12時00分
貴方達はホールに集まり昼食を取ることだろう。
今日のメニューは(ここからKPは飯テロをしてもいいし、しなくてもいい)だ。
※この場面は確定で全員集まってほしいがHO4などが導入時の調査でファンブルしていた場合などは適宜少し遅れてくるなどとして構わない。

→料理を食べると宣言
全体公開せずHO1.3.4.5に〈聞き耳〉もしくは料理関係の技能を振ってもらう。
→〈聞き耳〉成功
事前探索と同様の処理を行う

食べ終わり何かやりとりがひと段落ついたところで、いつもどおりHO1が口を開くだろう。

HO0「俺いきたーい。今日暇だし〜金ないんだもーん」

※HO0はこの依頼に対して前向きであり、積極的に行きたがる。
最低でも2人ほど巻き込んで行くようにする。
HO0が金欠なのは個人でお掃除屋さんを利用しているから。

HO0「でも依頼主わかんないなら1人じゃ危ないしコンビ組んで、まー、4人いたら安心?」

依頼に行くメンバーが決まったら自由行動。

15時00分
クラブを開くなら1時間ほどの自由行動の後、開店となる。

17時00分
[クラブが開店した場合]
バーが開店すれば、早い時間にはそんなに客は入らないが、徐々に客が入り、人で埋まっていく。
19時にはかなりフードメニューが頼まれ、店は繁盛していると言っていいだろう。
クラブといいつつバーとしても魅力的なこの店のHO2が作るフードメニューは評判で、夕食として食べていく人も多い。

HO0「俺もオムライス〜」「いいじゃん。今日俺オーダー頑張るし〜」「ほら早く作ってくれないと出る時間になっちゃうから」
HO0はそんな感じで時間を知らせるRPをして、19時30分にはここを出ることにする。

他に一緒に食べるメンバーがいれば以下の処理を行う(HO2には適応されない)

→HO0に合わせて料理を食べると宣言
〈聞き耳〉もしくは料理関係の技能を振ってもらう。
→最初の<聞き耳>に成功している人がいれば
とても美味しい。さっきはたまたま失敗しただけで、HO2は腕の確かな料理人だと思うだろう。
→いなければ昼食(事前探索)の判定と同じ処理

いつも通り酒を出し、料理を作り、音楽を流し、店を回していけばいつの間にか21時になっていた。

[クラブが開店しない場合]
HO0「じゃあ19時30分に駐車場ね」
オーダーまでは各自自由行動となり、オーダーに参加しないメンバーはその後も自由行動となる。
自由行動
自由行動時には探索者ごとに行うことが出来る探索がある。それとは別に場所ごとにHO0とのイベントと探索が発生する。
時間指定がないものは基本的にいつでも情報を出して構わない。
また、路地裏は対象が動物好きHOに限定されているが動物好きHOさえいれば他の人間も行くことが可能であり、イベントも起こる。
【場所ごとの探索及びイベント】
●カウンター(対象:全員)
ホコリひとつない、綺麗に磨かれた木製のカウンターだ。上部に吊るされた照明の光を反射し、美しい光沢を放っている。
カウンターの奥には戸棚があり、国産、外国産問わず、様々な場所から取り寄せた酒瓶が陳列されている。
お酒に精通している人物がみればその種類の多さに驚くことだろう。

→〈目星〉成功
HO0の好物の酒(HO0に合わせて酒でなくても良い)が殆ど無くなっていることに気がつく。
※これは契約の期限が近づき、焦っていたHO0がストレスで無意識に通常より早いペースで消費した為。


●フロア(対象:全員)
開店後はヒップホップミュージックが流れ、客が思い思いにダンスを楽しむ、ダンスフロアだ
ダンスの邪魔になるため椅子は置いておらず、小さなラウンドテーブルが複数配置されている。
天井にはライトアップ用の照明がいくつも設置されている。

【15時00分〜17時00分】
その場にいる人間にHO0は「これくらいの巾着袋みたいなヤツみなかった?」と尋ねる。指で示された大きさは半径2cmほどだった。

→〈アイデア〉成功
HO0が持っているのは見たことがあるが、特に落ちていたりしたのを見かけた覚えはない。
→〈アイデア〉失敗
全く心当たりがない。一体それがどうしたというのか。

探索者が答えればHO0は「そっか。見つけたら教えて」と言って自室に戻っていく。

【17時00分〜】
HO0がご飯をねだりに来る。食べ終わったあと、その場にいる人間から1人選んで質問をする。
HO0「そういえばさ。まだ両親に会いたかったとか思う?」
どのように答えてもHO0は「そっか」と返事をして支度をするからとその場を離れる。
唐突な質問に一体どうしたのかなどと探索者が質問すればへらりと笑って「なんか急に気になっただけ」とはぐらかす。

【19時00分】
HO0が電話を耳にあてて外に向かうのが見える。

→〈聞き耳〉成功
HO0「キャンセル料なら来週にでも……」と言っていたのがわかる。

→〈聞き耳〉失敗
HO0「……りょうなら……うにでも……」と聞こえる。

※掃除屋への連絡。計画的な殺人のため予約していたのにも関わらず、HO4が先に殺したのでキャンセルすることになった。

















●風呂(対象:全員)
大人一人がゆったり体を伸ばせそうなバスタブが設置された浴室だ。
大きな鏡の下のカウンターには、シャンプーやリンスといった小物が置かれている。
排水溝周りも含めてこまめに掃除されているが、注意してみると赤黒いしみがうっすら残っていることに気づくだろう。
※怪我や返り血を流した跡

→〈目星〉成功
貴方はシャンプーとボディソープがかなり減っていることに気がつく。

→更に〈アイデア〉成功
今月に入ってからシャンプーとボディソープの減りがやけに早いように感じる。
6人で暮らしているのだから普通の家庭よりは早いのはいつものことだが、それにしても早すぎるような気がした。


●路地裏(対象:HO動物好きのみ)

貴方はいつも通り路地裏に訪れた。
大通りから逸れ、住宅街と商店街の隙間を縫うかのように入り組んだ脇道を進むと、そこに野良猫のたまり場はあった。
ゴウン、ゴウンと重苦しい音が換気扇から鳴り響く。その上では黒猫が大きなあくびをあげ、大きな背伸びをした。
しかし、見知らぬ人物がいることに気がついて足を止める。
その人物は漫画に出てきそうな丸い瓶底眼鏡をつけ、髪の毛は寝癖なのか無造作ヘアなのかところどころぴょんぴょんと跳ねている、所謂あんまり冴えない感じの男性だ。歳は20代半ばにも見えるが、10代と言われればそんな気もするし、30代と言い張られれば否定は出来ない気もするといった具合で、要するに年齢不詳である。いろいろ気になる点は多いが、何より一番気になるのは彼がそれはもう動物まみれといっても過言ではないほど動物たちを周りに侍らせているのだ。その中には貴方が気になっていたあの猫の姿もあった。

※情報屋ジャックの立ち絵を提示

→話しかける
貴方が話しかければその男性は貴方の方へと顔を向ける。
「ああ、こんにちは」
「うん、よく来るよ。貴方と会うのは初めてだね」
「名前? あー、田中だよ、田中」
「うちのレディが貴方を気に入っているみたいだから」
「え? 気に入ってなんてない? レディ、僕に嘘はいけないよ」(猫に向かって)
※上記セリフを参考に適当に世間話をして、しばらくしたら以下描写

しばらく話していれば、バサリと近くにカラスが降り立ち、カァーと鳴く。
「ああ、もうそんな時間か」
「ごめん、僕もういかなくちゃ」
「じゃあね。また会えたらいいな」
彼はそう言って、路地裏から去って行った。

→話しかけない(いなくなるのを待つ)
貴方は彼がいなくなるのを待つことにした。
動物まみれの状態で楽しそうに動物たちと触れ合う彼の姿は動物好きの貴方にはとても羨ましいものだろう。
しばらく見ていれば、また新たに彼の近くにカラスが降り立ち、カァーと鳴いた。
それに答えるようにして、彼は立ち上がり、こちらへと向かって来る。どうやら帰るようだ。
その肩には器用に貴方が気になっていたその猫が立っている。某モンスターをポケットに入れる主人公たちのようだ。
そうしてみていれば、とても目立つその姿も次第に人混みに紛れて見えなくなった。
箱の中身は?
21時00分
住所の場所は特に建物などはなく空き地だった。近くに入れるような店もなく、住宅街などからは程遠い場所であり、取引をするならば確かにうってつけだろう。だが車の外に出て待つには目立ちすぎるし無防備すぎる。貴方達は車の中で待機することになるだろう。

しばらく待っていれば一台の車が止まる。
貴方達の車に対して直角……T字路の交差点に車が止まる。ガラスにはスモークがかかっており、中は伺えない。

数秒経つと車は走り出す。車の影になっていたところに何かが置かれているのがわかるだろう。……箱だろうか?

→箱を見る
貴方達は恐る恐る箱に近寄る。どうやら大きめの段ボールのようだ。
上はテープなどで閉められてはいないが、自然な形で閉じているため、中は伺えない。

→〈聞き耳〉成功
僅かな音がする。しかし、機械音ではない……音、というよりは気配というほうが適切かもしれない。

→〈目星〉成功
暗くてよくわからないが段ボールの側面にライオンのイラスト、ロゴのようなものが印刷されていることに気がつく。

→更に〈アイデア〉or〈幸運〉成功
lonのネット通販に使われる段ボールではないだろうかと思う。もしくは知っていた。

→箱を開ける(能動的に開けない場合はHO0が開けるか、赤ちゃんを泣かせるなどする)
貴方達はその段ボールを開けた。そこにあったのは、きょとりと貴方達を見つめる瞳、広げた手よりも小さい頭、触れるだけで折れてしまうのではと思ってしまう小さな手。そこにあったのは、いや居たのは、紛れもなく赤子といって差し支えない子どもだった。
その子どもは不思議そうに貴方達を見つめると、キャッキャと笑い、その小さな手を伸ばした。

HO0「……? は?」

面をくらう貴方達に子どもは笑いかける。
また、子どもの体の上には白い封筒が乗っている。

→白い封筒を手に取る
なんの変哲もない封筒だ。

→開ける
中の紙には手書きでこのように書いてあった。
=================================================================この子をどうかよろしくお願いします。
=================================================================


→子どもを抱き上げる
子どもは抵抗なく抱き上げられる。ふにふにとした頬、ソフトフランスパンのような腕、どこもかしこも柔らかい存在。
ダンボールの中を見てみれば、その身体の下には福沢諭吉が覗いていた。また、さらにその下にも何かあるようだ。

→見る
オムツ5枚とウェットティッシュ

HO0「……とにかく連れ帰るしかねーじゃん? 多数決だろ」「てか、おいてけねーよ。普通にさ」

兎にも角にも連れ帰るしかないだろう、貴方達は車に戻り、我が家へと帰ることになる。

この子誰の子
22時00分
貴方達はクラブに帰ってきた。
扉を開くと、様々な音が怒涛のような響きとなって貴方達の鼓膜を震わせる。
大音量で流れるヒップホップミュージック。それに合わせて踊る人々の笑い声。
カウンターでは色とりどりのカクテルに舌を震わせながら男と女が愛を語らっている。
混沌を煮詰めたような、いつもの光景が貴方達を出迎えた。


→クラブを閉める
〈言いくるめ〉〈説得〉〈信用〉
10回振り5回以上成功で暴れることなく帰ってくれる。6回以上失敗で収束したときには3時になっているということになる。

なにはともあれ店を閉めることが出来た。


→クラブを閉めない
営業を行う傍ら、子どもの世話をすることにした貴方達。
子どもは車に乗っている最中に寝てしまい、起きない。
クラブの営業が終われば既に時刻は3時を回っていた。


最後の客を出し終われば先ほどまでの喧騒が嘘のように店は静かだ。
HO0に抱かれたままの子どもは大人しく、いつの間にか起きて貴方達を不思議そうに見つめている。
メンバーが集まればHO0が口を開く。

HO0「はぁ〜とにかくこの中の誰かの子なのだろ?」「心当たりある人手ェあげて」

当然、探索者たちに心当たりなどあるわけがない。

KPはとりあえず頑張って話の流れを「依頼主を探して返す」という方向に持っていく。

HO0「じゃ、明日のことは明日考えればいーじゃん」「おやすみ〜」

赤子は話し合いが終わるときにはまた眠りについている。
様々な想いを抱えながらも、貴方達は眠りにつくだろう。

※無事店を閉められたorもともと営業していなかった場合は眠りに付く前に1度だけ探索が出来る。

夢は待ってはくれない
夢の中であっても、否、夢の中だからこそ気づくことや知ることがあるだろう。
それぞれ以下の内容の夢を見る。

【HO1の夢】
貴方は立っている。
貴方以外そこには誰もいない。
そこは静かでとても暗い。
貴方は歩き出そうとする。
しかし動けない。
ここは山の上だ。
ここは屍の上だ。
足元にはおびただしい数の死体が積み上げられている。
その一番上にいるのは、
貴方が踏みつけているのは。
女性だ。
貴方は気づく。
自分が動けないのは彼女が貴方の足を掴んでいるからだ。
彼女は貴方を見つめて口を開く。
———————

貴方は飛び起きる。あれは夢だ。ここは仲間と共に暮す、貴方の家。貴方の居場所だ。
SANc1/1d2


※これはHO1の人間としての罪悪感の象徴。殺してきた人の山。
一番上にいるのはHO1の母親。
「貴方は生きて」


【HO2の夢】
貴方は横たわっている。
背中が痛い。
ここはどこだろうか。
ベッドはこんなに硬かっただろうか。
貴方の耳に何やら奇妙な音が聞こえる。
言葉、だろうか?
わからない。
体が痛い。
内側から張り裂けそうだ。
いたいいたいいたい
死んでしまう!!!!

貴方は飛び起きる。あれは夢だ。ここは仲間と共に暮す、貴方の家。貴方の居場所だ。
SANc1/1d2


※これはHO2の1歳のときの記憶だ。食屍鬼になるための儀式の最中、まだ完成していない体に対する大きな負荷によって酷い痛みを伴った。
奇妙な音は呪文だが、1歳であること、また未知なる言語のため音のように聞こえている。 
【HO3の夢】
貴方は走っている。
逃げなければ。
あれから逃げなければ。
思うように体が動かない。
死にたくない。
思いとは裏腹に次の瞬間
激しい衝撃と共に床に打ち付けられる。
ああ、もうダメだ。
そう思った瞬間、貴方の手を引いた手があった。
でも、その背後に既に迫る影がある。
逃げて!!!!!

貴方は飛び起きる。あれは夢だ。ここは仲間と共に暮す、貴方の家。貴方の居場所だ。
SANc1/1d2


※これはHO3の15年前の記憶だ。
体が思うように動かないのは子どものときの体と今の体との差異を感じていることと、恐怖から上手く力が入っていないため。

【HO4の夢】
貴方は眺めている。
人の行動を、習慣を、言葉を、文化を。
仲間は言う。
面白そうだ。
自分も思う。
面白そうだ。
知りたい知りたい知りたい。
そんな! まさか!!!!!

貴方は飛び起きる。あれは夢だ。ここは仲間と共に暮す、貴方の家。貴方の居場所だ。
SANc1/1d2


※これはHO4のミ=ゴだったときの記憶。
仲間は仲間のミ=ゴのことであり、最後の叫びは、まさか自分が実験体に選ばれるなんて、という意味である。

【HO5の夢】
貴方は座っている。
後ろに誰かがいる。
背中合わせに座っている。
それは、とても懐かしい存在だ。
とても身近な存在だ。
貴方は誰かがいることを知らないのだ。
ここはどこだ。
後ろにいるのは。
いま、ここにいるのは誰だ。

貴方は飛び起きる。あれは夢だ。ここは仲間と共に暮す、貴方の家。貴方の居場所だ。
SANc1/1d2


※これはHO5の中の空間だ。HO5はHO0を基に作られた。HO5の中にはいつだってHO0があるのだ。
子育て大作戦!?
8時00分
貴方達は各々フロアへとやってくることだろう。

HO0「お腹減った~ごはん~」「チビ。お前なに食うの?」
ぷにぷにと柔らかな頬を触りながら、HO0も赤子を抱いて降りてくる。

そんな感じで朝ごはん。
なにを作るか確認して〈芸術(料理)〉を振ってもらう。

→料理を食べると宣言
全体公開せずHO1.3.4.5に〈聞き耳〉もしくは料理関係の技能を振ってもらう。
→〈聞き耳〉成功
事前探索と同様の処理を行う

※今後の相談などをこのタイミングでどうぞ。
子どもを2人体制で見ることにすること。子どもは目を離すと死ぬ。死ぬから。

子どもは見た目からして1歳に達していない。8~10ヶ月くらいだろうか。

HO0「昨日調べたけどとりあえず泣いたらおむつか飯か眠いらしい」
「でもさこいつ始末すんの? しないでしょ。でもそしたらオーダー完遂してないってことになるよな?」

世話係以外の人間は探索行動を取ることが出来る。

世話係は当然面倒を見なければならない。
しかしミルクもないし、おむつもない、服も1着しかないということに貴方達は気づくだろう。
しばらく預かる形にあるのなら買い物にいかないとまずいと感じる。
※赤子はしばらく大人しくしているが定期的に泣き出す

【赤ちゃんの行動について】
タイミングを見て1d3をKPが振る
1 → おむつ  HO0「なんか臭くない? ?」
2 → お腹が減った
3 → 眠いのに眠れない抱っこしてほしい


どんな結果でも子どもは泣く。とりあえずおむつを替える、何か食べさせる、抱っこするなどをしたら泣き止んで良い。
その後は、探索パートのメンバーとかも捕まえて午後はみんなでショッピングセンターに行こうという流れが理想的だ。


探索パート
それぞれが協力し、調査に乗り出すことだろう。この探索に関してはショッピングの後でも同様に行うことが出来る。
段ボールからの推理(対象全員)
(段ボールに対する情報が出ていなかった場合は先にそっちの判定)

→〈目星〉成功
赤子が入っていた段ボールをみて、ふと違和感を覚える。違和感の正体を探ろうとよくみてみるとこの段ボールは綺麗すぎることに気がつく。
普通、通販で使用されたものであるならばテープや宛先の紙を剥がした跡などがあるのではないか?

→更に〈アイデア〉成功
このような状態のものを手に入れることが出来るのは関係者でないと難しいのではないかと感じる。


聞き込み(対象HO1)
貴方は表裏問わず、沢山のツテがある。運良く何かを知っている知り合いに連絡できるだろうか。
(段ボールからの推理が先だった場合、幸運不要)

→〈幸運〉成功
貴方は心当たりがありそうな人間に連絡を取り、会う約束を取り付けることが出来る。

貴方が待ち合わせ場所に着けば相手は既についており、貴方が来たことを喜ぶだろう。会話の流れで以下のことを聞き出せる。
*最近急成長している企業があり、株を買っておけば良かったと後悔していること
→詳しく聞く
・「lon」という洋服ブランドのことである
・ここ1.2年で突然急成長した
・やっていることを自体は何も変わっていないがライバル企業の倒産や、インフルエンサーがタイミングよく発信を行ったりと、時流に乗ったことが原因だろうか
・不自然なほどに大成功している人間をみていると運が良かっただけだと罵りたくなるのも人間の性質か


聞き込み(対象全員)
貴方たちは昨日赤子を拾った場所に改めて向かった。
しかし、近くに住宅地などもなく、店もない。手掛かりは皆無と言っていいだろう。

→〈目星〉成功
一つ先の通りに防犯カメラを見つける。この位置ならあの場所に向かう人間が映っているかもしれない。

→更に〈コンピュータ〉成功
ハッキングなど始末屋である貴方にとっては朝飯前だろう。

→更に〈図書館〉成功
この防犯カメラの管理事務所の場所を調べることが出来る。向かいますか?

→向かう
事務所には何人かの職員がいる。
声をかけて交渉ロールに成功すれば防犯カメラの映像を見せてもらえる。


【防犯カメラの映像】
昨日の夜に遡って映像を確認することができる。
見ていけば、昨日の車のナンバーが映っているのを確認できた。「れ」の文字から、どうやらレンタカーのようだと分かる。
ナンバーさえわかればHO4の腕でどこの車か特定することが出来そうだ。

情報屋ジャックへの連絡(対象全員)
懇意にしている情報屋ジャックに連絡を取ることが出来る。


情報屋ジャック
「はい。こちら信頼と安全、中立な情報屋ジャックだよ。今日はどんな情報が欲しいのかな?」

→「lon」という会社についての情報が欲しい
「その会社か。まぁないこともないけど具体的にどんな情報が欲しい? 経営? スキャンダル? 裏とのつながりがあるか?」


●経営について
「経営ね。最近は続々と新店舗も出して、新作アイテムは全て大ヒット。タイミングよーくインフルエンサーたちに目をつけられたり、ドラマの衣装に使われたりしているよ。所謂ウハウハってやつだね」
「そもそもここ3年で急成長してるんだけど、特に何か大きな経営方針の変化とかはないよ。運だけっていえばそうなのかもね」


●スキャンダルについて
「スキャンダルについてはよくある話過ぎて面白みもないけど知りたいなら勿論教えるよ」
「社長は草川啓司って言って既婚者なんだけど、社内ではそれを隠しているんだって。女性社員が何人も知らずに食われたって」
「そろそろ刺されるんじゃないかって噂されてる」


●裏とのつながりはあるのか
「あるよ。まぁ、そもそもそこらへんの会社の社長なんて裏じゃ大したことないし普通は誰にも相手にされそうもないんだけど、何人かのゴロツキを雇って用心棒みたいなことをさせてるってさ」



→赤ちゃんのお世話の仕方を教えて欲しい
「必要ならどんな情報でも売るけど、誰かパパ(ママ)になったの?」
「大抵はおむつ、食事、睡眠をクリアすればいいんじゃない? あとは赤ちゃん教室の情報がほしいなら上げるけどさ」


→欲しい
「後で目ぼしいところメールで送るよ」


聞きたいことが終われば情報屋ジャックは以下のように言って電話を切る。

「じゃあ、支払いはいつもの方法でよろしく」
「知りたいことがあればまた連絡してよ。勿論、情報提供も大歓迎。貴方達は面白いからね。これからもご贔屓に」




ドタバタショッピング
貴方達は近所の大型スーパーに向かう。(イメージはイトーヨー●ドー)
商店街よりは遠く車で向かわなければ行けない場所だが、品揃えは商店街の比ではないし、何より赤ちゃん用品は商店街にはないからだ。

12時00分
「とりあえずミルク買って飲ましてやろうよ。昨日から殆ど食ってないんだろ? コイツ」
「服も見た方がいいし……コイツが食えそうなものまとめて買う奴と、服とか見る奴でどう?」
「ミルクだけ買ったら服の方にコイツの世話係は服の方で」

HO0の性格によってはあまり話さないかもしれないが、こっちのほうが勝利条件を達成しやすい。

どちらの班も適宜RP中に〈目星〉or〈聞き耳〉を振ってもらう。
RP序盤と後半に振ってもらうと良いだろう。


子どもがいる場合
1回目
→〈目星〉or〈聞き耳〉成功
貴方はどこからか不躾な視線を感じる。

→更に〈アイデア〉成功
その視線はあまり良い雰囲気ではないと感じるだろう。獲物を狙うような、そんな気配だ。

→更に〈アイデア〉失敗
騒ぎすぎだろうか? それとも男だけで赤ん坊を見ているのが珍しいのか(適宜変更)? と思うだろう。

2回目
→〈目星〉or〈聞き耳〉成功
貴方はどこからか不躾な視線を感じる。

→更に〈アイデア〉成功
いや、これは、この視線はずっと張り付いていたのだ。
ずっと見られていた。つけられているのかもしれないと感じるだろう。

→更に〈アイデア〉失敗
騒ぎすぎだろうか? それとも男だけで赤ん坊を見ているのが珍しいのか(適宜変更)? と思うだろう。


子どもがいない場合
1回目
→〈目星〉or〈聞き耳〉成功
貴方はどこからか不躾な視線を感じる。

→更に〈アイデア〉成功
その視線はあまり良い雰囲気ではないと感じるだろう。獲物を狙うような、そんな気配だ。

→更に〈アイデア〉失敗
騒ぎすぎだろうか? それとも男だけで赤ん坊を見ているのが珍しいのか(適宜変更)? と思うだろう。

2回目
→〈目星〉or〈聞き耳〉成功
貴方はどこからか不躾な視線を感じる。

→更に〈アイデア〉成功
いや、これは、この視線はずっと張り付いていたのだ。ずっと見られていた。……つけられている? そう感じるだろう。

→そちらの方を見るという宣言
この場の雰囲気にそぐわないスーツの男が何やら電話をしている。そしてこちらの視線に気づくことなく歩き去った。




※情報の違いから狙いが始末屋ではなく子どもであることを察してもらう意図。
二手に分かれるのが難しかったり、処理的に面倒だったら省いて構わない。
買い物を終えて集合する前に子どもがいる方にイベント。


貴方達は買い物を終えて駐車場まできた。(その前に合流と言われたらそれでも構わない)
そこそこ広い立体駐車場。乗ってきた車に向かおうとした時、突然黒服の男4人が立ち塞がる。
全員手には警棒のようなものをもっている。




駐車場からの脱出
何を言われようと貴方達に対して黒服が答えることはない。
貴方達の後ろには閉まったばかりのエレベーター。ボタンを押してもエレベーターが来るまでに捕まるだろう。
この駐車場の反対側のエレベーターなら階段があったのに……そう思うかもしれない。

貴方達の勝利条件は車に乗り込んでここを後にすること、だ。

貴方達は現在地から毎ラウンド1d6マス移動する事が出来る。移動範囲は接しているマス。
ただし、黒服たちのいるマスに接しているマスを通る場合当然だが妨害される。勿論積極的に潰しに行っても構わない。

1ラウンドに出来ることは移動(1d6)、技能を振る(KPを言いくるめてしたいことをする)、指定された技能を振る、のどれかだ。
黒服は包囲状態を突破されない限りは1マスしか進まない。

→指定された技能を振る
初回は全員アイデア

→アイデア成功
今一緒にいないメンバーに連絡し、反対側から車を回して貰えばいいのではないか? と思う。

子どもがいない組に連絡をした時点でDEX*5を3回振ってもらう。
失敗したラウンド数、逆側から車に乗り込むまでにかかる。

[黒服のデータ]
HP10
警棒(部位によって成功値ダメージ値が変化) / 身体50% 1d3 / 頭20% 1d6 / 耐久値10
ショックロール30%


黒服たちを退けて、どうにか車に転がりこめば漸くひと息つくことが出来るだろう。
貴方達の様子とは裏腹に子どもはキャッキャと楽しそうに声をあげた。
流石にすぐには追って来られなかったようで、不審な車などもなくクラブに帰ることが出来る。



※HO3が拳銃を使った場合は「やはり、何かが頭を揺らす感覚がある」とだけ、必ず個別描写を入れる。
やられっぱなしじゃいられない
貴方達が乗る自動車はエンジン音を立ててクラブの前に止まった。
尾行する不審な車等は見当たらなかったが、念には念を入れて大きく遠回りをしたせいで少し時間がかかってしまったようだ。
クラブに着くと同時に貴方達は安堵の息を吐くことだろう。
しかし、そう安心はしてもいられない。考えることは多い。
奴らは一体何者なのか? 何故襲ってきたのか?
裏稼業の内容が内容だ。自分達に恨みを持つ者は多い。そういった輩だろうか?
それとも……
貴方達は正体不明の赤子に目を向ける。赤子は呑気にスヤスヤ眠っていた。
時折言葉にもならない音をむにゃむにゃと発している。

貴方達は赤子の無邪気な姿にくすりと笑みを浮かべて互いに視線を合わせることだろう。
奴らが何者なのかはわからない。赤子の正体もわからない。
謎が謎を呼ぶ暗雲の中、一つだけハッキリしていることがあった。

__やられっぱなしじゃいられない。


赤ちゃんを置いていった人間を特定する
ナンバーさえわかっていればHO4の腕であれば大抵は一時間程度でどこの店の車なのかを割り出すことが出来るだろう。

→〈コンピュータ〉成功(成功するまで情報はでない。一回失敗するごとに一時間経過)
貴方はNシステムに潜り込み、車を割り出した。また、運転席に座っているのが女性だとわかる。
そこから監視カメラで細かく追い、そして車の場所を特定することが出来た。
「スピードスター」というレンタカーの店だ。このまま店の貸し出し記録にも潜入することが出来そうだ。

→更に〈コンピュータ〉成功
貸し出し記録には「神埼美佐子」という人物がその車を借りたようだ。住所と連絡先もわかる。

→以上の情報を元に住所に向かおうとする
貴方達はその住所に向かおうと調べてみる。
ここから車で一時間ほどの場所だ。(「神埼美佐子の家」へ進行)

→以上の情報を元に連絡先に電話をかける。
繋がらない「おかけになった電話は、電波の届かない場所にある、または電源が入っていないためかかりません。」という自動音声が流れる。

→以上の情報を元に神埼美佐子について調べる〈コンピュータ〉成功
同姓同名なども多かったが、どうにか顔写真をもとに特定することが出来た。
彼女は洋服ブランド「lon」の元社員だ。



襲撃者について調べる
襲撃者についての情報を貴方達は集めようと思うことだろう。
しかし、恨みを買っている心当たりは多すぎてわからない。

→〈アイデア〉成功
貴方達はこれまでも散々恨みを買ってきたはずだが、このように直接プライベートで襲撃をされたことはない。
もしかして、狙いは自分たちではなく別にあるのではないかと思い当たる。









情報屋ジャックへの連絡
懇意にしている情報屋ジャックに連絡を取ることが出来る。(前回の探索で連絡をしていない場合は先にそちらのほう内容を開示する)


情報屋ジャック
「はい。こちら信頼と安全、中立な情報屋ジャックだよ。今日はどんな情報が欲しいのかな?」

→草川圭司はどこにいるのか
「なんでそんなこと知りたいのかな? って詮索は無しか。ちょっと待ってね」
がさごそという音の後、チュンチュンという鳴き声と「うん。そっか。まだ会社にいるんだ。用心棒配置して? そりゃまた大げさだね」とまるで鳴き声と会話するような声がする。
「草川圭司は今日は会社に籠もってるみたい。一般の社員は22時に帰るように指示してるね」
「彼に貴方達が会いに行くなら22時以降がベストかもね」
「まぁ、社員すら排除してる会社に正攻法で入れるとは思えないけど」

「草川圭司が貴方達に何をしたかはわからないけど、彼が悪人であることに間違いはないね」
「しかも、とびきり運の良い。まぁそれもこれで終わりかな」

「知りたいことがあればまた連絡してよ。勿論、情報提供も大歓迎。貴方達は面白いからね。どうぞこれからもご贔屓に」


神埼美佐子の家(住所を手に入れた後)
貴方達は神崎美佐子の家と思われる住所に辿り着いた。
そこは閑静な住宅街の中にひっそりと建つ2階建のアパートだった。
神崎美佐子の部屋は103号室、1階の角の部屋のようだ。

→扉を開けようとする
鍵がかかっているようだ。しかし鍵自体は簡易な作りだ。
※<鍵開け>成功で開けられる。

→<鍵開け>失敗 (住人に話しかけられる)
貴方達は人の気配を感じ取り、ピッキング道具を懐に隠した。
ガチャリと隣の部屋のドアノブが捻られる音がした。老年の男性が顔を出し、貴方達に話しかける。

住人「あんた達、神崎さんの知り合いかい?」

→知り合いと答える。
「そうかい、生憎、神崎さんはここ最近帰ってないみたいでねぇ」
「管理人からも聞かれたんだが、どうやら家賃も滞納しているみたいなんだよ」
「最後に見たときお腹が大きかったからね、ワシも心配だ……

→<交渉系技能>成功
管理人の連絡先を教えてもらえる。

→管理人へ電話
<交渉系技能>に成功すると、近くに住んでいるためマスターキーで鍵を開けてもらえるだろう。

→知り合いではない答える。
「はぁ、セールスか何かかい。ここら辺はそういうのお断りしてるから、早よ帰りな」
そういって男性は買い物にでも行くのだろう。買い物袋をもって出て行ってしまう。

→<鍵開け>成功
がちゃりと音を立てて扉は開かれる。中に一歩踏み込むと、埃が大きく舞い上がった。
長い間誰も入り込んでいないことが察せられる。
部屋の間取りは、よくあるユニットバス付きのワンルームのようだ。
10畳ほどの部屋には、ベッドと机の上に少し古い型のTV、本棚がある程度で家具の数は少ない。



●本棚

→<図書館>成功
1冊の使い古された日記が見つかる。

[神崎美佐子の日記]
===============================================================
……これで何社目だろう……周りが内定をもらう報告を聞くたびに、なんで私はもらえないんだろう……そんなことばかり考えてしまう。周囲に相談しても積極性が足りないとか、もっと就職先の会社のことを調べろと言われるだけ。ネガティブな思考になってる……だめだ、もっと頑張らなきゃ。

大学の会社説明会を受けているときに、たまたま大学に来られてた草川さんに話を聞いてもらった。
「lon」という洋服ブランドの社長をされているみたいだ。ダメな私の話を真摯に聞いてくれた。
優しい彼の言葉は私の荒れ果てた心に染み渡っていく、単純かもしれないけど彼のことがすぐに好きになってしまった。ダメダメ草川さんは真面目に聞いてくれたんだから! よし、明日から頑張ろう。

まさか、「lon」に入社できるなんて! 面接はいつもと変わらずボロボロだったのに……
でも、草川さんのもとで働けるなんて夢見たい!

入社して数ヶ月経った。最初のうちは目の前の仕事で精一杯だったけど……先輩達の話を聞いてるとどうやら私の会社の業績は良くないらしい……でも草川社長だったらどうにかしてくれるよね?

事業がどんどん軌道に乗り始めた! 毎月のお給料も目に見えて金額が上がっているし、上場企業になるかもって噂までされてる! 草川社長はやっぱりすごい!

昼休みに草川社長とご一緒することになった。
まさかあの時のことを覚えていてくれるなんて……しかも、次の休暇にディナーをなんてこれって期待していいのかな?

〜草川社長との楽しい日々が綴られている〜

彼が浮気しているなんて……いや、違う彼にとって私は、数ある女性の中の1人に過ぎなかったんだ。
彼は既に結婚してて、奥さんは私とは比べ物にならないくらい美しくて……そうだよね……私みたいな地味みたいな女が調子に乗って本当馬鹿みたい……

何にも知らない振りして……彼と今度話す時にこの関係を終わらせよう。ただの社長と社員の関係に……
それにしても……最近体が重い、精神的なものもあるだろうけど……一度病院に行こう。

……子どもができた。彼は望まないだろうけど。でも、私はできたと聞いた時とても嬉しかった……
父親に望まれない子だとしても、将来辛いことがあるとしても、私はこの子を産みたい。この子を育てたい。

産まれた。私の赤ちゃん。
抱きしめた時、涙が流れた。産まれてきてくれてありがとうって何度も何度も泣きじゃくりながら告げた。
看護師の方が言うにはこの子が生まれた時、ちょうど流れ星が流れたらしい。
流れ星が流れた時に産まれた子ども……おばあちゃんが読み聞かせてくれた絵本にそんな話があったような。
そうだ、この子の名前はそこから取ろう。あの絵本はどこにしまったっけ?

===============================================================



→絵本を探す<目星>
机の上に古ぼけた絵本が置いてあるのを見つける。
===============================================================

あるところに ひとつのむらが ありました。

そこでは みんな なかよく くらして いました。
しかし ひとつ こまった ことが あります。
それは さいきん あめが ふらないのです。
やさいや こむぎが そだたないので みんな おなかが ぺこぺこです。

こまった むらびとは うらないしに たよりました。
うらないしは いいます。
「かみさまに ゆうきを しめせ そうすれば かみさまが あらわれ ちからを かしてくださる」

むらびとは かんがえました。
そして とても とても たかい ところにある がけから うみに とびおりて ゆうきを しめそうと かんがえました。
しかし だれも とびこみません。
とても とても たかいので みんな こわかったのです。

このまま みんな しんでしまうのか そう あきらめかけたとき。
ある ゆうきある わかものが なのりでました。
「ぼくが とぼう」

そうして わかものは とびおりました。
うみに おちて しばらく たったころ かみさまが あらわれました。
「なんて ゆうきある わかものだ よし ねがいを かなえてやろう」

かみさまは あめを ふらせました。 なりひびく いかずちですら ここちよいものでした。
むらびとは わかものを ほめたたえ かみさまに おれいを いいます。

かみさまは さる ちょくぜんに こういいました。
「わたしは ゆうきある わかものを きにいった
もしも さらなる くなんが あらわれたとき わたしが あたえた たからを
ほしが おちたときに うまれた あかごに もたせ わたしに よびかけなさい」

むらびとは かみから もらった たからを かほうにし だいじに だいじに まもります。
そして ほしが おちた ときに うまれた あかごを みこ として だいじに そだてました。

めでたし めでたし。

===============================================================
※ここに出てくる神はノーデンスのことである。




→部屋を出る。※住人に話しかけられる。(鍵開けに成功している場合)
貴方達は人の気配を感じ取り、ピッキング道具を懐に隠した。
ガチャリと隣の部屋のドアノブが捻られる音がした。老年の男性が顔を出し、貴方達に話しかける。

住人「あんた達、神崎さんの知り合いかい?」

→知り合いと答える。
「そうかい、生憎、神崎さんはここ数週間帰ってないみたいでねぇ」
「管理人からも聞かれたんだが、どうやら家賃も滞納しているみたいなんだよ」
「最後に見たときお腹が大きかったからね、ワシも心配だ……

→知り合いではない答える。
「はぁ、セールスか何かかい。ここら辺はそういうのお断りしてるから、早よ帰りな」
そういって男性は買い物にでも行くのだろう。買い物袋をもって出て行ってしまう。
反撃は闇の中で
貴方達は自分たちを襲ってきた犯人、それが洋服ブランド「lon」の社長である草川圭司であることを突き止めた。
会社から一般人がいなくなる22時以降を狙って、貴方達は彼のもとに向かうことになる。
戦闘処理について
赤ちゃんを抱っこしている人はDEX-2ビルに入るためにはまずセキュリティを破らなくてはならない。

〈コンピュータによるハッキング〉
成功までの回数によって以後の戦闘難易度が変わる。クリティカルでエレベーター移動による戦闘回避により、戦闘回数が3回→2回になる。

1階ロビー
5人+(コンピュータ成功までの回数)人
HP10
警棒(部位によって成功値ダメージ値が変化) / 身体50% 1d3 / 頭20% 1d6 / 耐久値10
ショックロール 30% / 回避ロール 10%

階段を上がって3階までいける。
防犯対策なのか続きの階段はフロアの反対側にあるのが見えた。
(こんなメチャクチャな建物で火事になったら死ぬって? これはフィクションだからさ!)


3階
2人
(1階と同じ)
3人
HP8
改造銃40% 1d6 / 射撃回数1回 / 故障ナンバー96~00 / 装弾数6 / 耐久値6
ショックロール 30% / 回避ロール 10%

階段を上がって8階までいける。

8階
2人
(1階と同じ)
1人
HP20
モーニングスター15% 1d10 / 耐久値12
ショックロール 50% / 回避ロール 10%

そこを過ぎると、10階の社長室までたどり着く。

※ショックロールとはノックアウト判定時の成功値(CONを設定していないため)
HO5の攻撃の最大ダメージが黒服を殺す可能性がある場合、回避ロールの出目に関わらず自動成功扱いになる。
そのため、黒服たちの回避ロールは全てシークレットダイスで行うことが望ましい。
また、黒服の数が多いため、行動順によって処理が複雑化したり、戦闘のマンネリが考えられるため適宜調整してほしい。

※HO3が拳銃を使った場合は「やはり、何かが頭を揺らす感覚がある」とだけ、必ず個別描写を入れる。

黒幕との対面
社長室に入るとそこに広がっているのは赤だった。貴方達の目的である社長はおらず、そこにあったのは肉片と肉塊だった。

部屋の奥には「lon」のロゴが大きく描かれたデスクが置かれているのがみえる。デスクには最新のデスクトップPCが配置されており、スクリーンセーバには草川社長の旅行写真や、草川社長が何らかの賞を授与した時の写真が次々に映されている。その後ろには書類をファイリングした棚が配置されていた。デスクの周囲には、棚の他に見るからに高級そうなツボや、絵画が多数飾られているが、それには統一性がなく部屋から明らかに浮いている。まるで、部屋を飾りつけるためではなく、財力を知らしめる事を目的としたかのように。そんな趣味の悪い部屋となにかの肉塊に貴方達は気味の悪い感覚を覚えるだろう。
SANc0/1

肉片と肉塊
滅多斬りにされている。なんらかの生物らしいということは辛うじてわかるものの原型は見えてこない。
肉塊は大きいもので2m以上ある。見れば切り口はとても綺麗なもので犯人は相当な手練れなのだとわかる。
詳しい刃渡りなどはわからないが、包丁などではこうは切れないとわかるため日本刀のような刃物ではないかと推測できる。

→〈生物学〉成功
なんかしらの生物とは思ったものの該当するものに心当たりがない。これは本当になんなのだろうか。

→〈医学〉成功
血液の状態から、斬られてからそう時間は経っていないということがわかる。ほんの5分ほど前といった様子だ。

→〈目星〉成功
肉片の近くに沢山の布切れのようなものを見つける。血でかなり汚れているため分かりづらいが、無理やりちぎられたように見える。
生地自体はかなり高価なもののようだ。



棚には沢山の分厚い本とファイル、なにかの賞のトロフィーなどが飾られている。

→(図書館)成功
貴方はそんな棚の中に紛れるようにして表紙のない本があることに気がつく。
開いてみると中には英語で文章が綴られていた。どうやら少し古い言葉で書いているようである程度英語が読める者でもかなり読みづらい。

→〈その他の言語(英語)〉成功(古い言葉で書かれているせいで技能が30%以上あっても成功しないと読めない)
どうやらアリエルという神について書かれた手記のようだ。
「アリエルは真実を告げる神であり、真実を愛するものにその恩恵を与える。その姿は真実を体現するかのように眩しく、嘘をつくものはあまりの眩しさにその姿をみることは叶わない。しかし、大抵の人間は嘘をついたことがあるだろう。嘘をついたことがない人間など、言葉が話せぬ赤子くらいなものだ。」
「どうにかして、かの神の恩恵を受けるため研究を続けてきたが、ついにその方法を見つけた。方法は簡単だ。『穢れのないもの』を生贄に捧げ、呪文を唱えた後『正直な欲望を言うこと』。自分の気持ちであるならば真実であることは間違いない。本来は自らの命を捧げ、真実を知るための呪文を改造したこの呪文は正に素晴らしい呪文であるといえるだろう。この呪文を使って、私は自らの願いを叶えよう。」
「この本は私のようにどうしても叶えたい願いがあるものの為に残しておこうと思う。もしも、この本を手にとって呪文を使おうと考えたのならば一つだけ注意しなければならない。繰り返しになるがアリエルは真実を告げる神だ。この神の前で嘘をついたものは怒りをかい、人間ではいられなくなる。」この記述のあとのページは破られている。

※社長は今まで奇跡的に正しく欲望を告げていた。しかし、今回社会的地位を失いたくないが為にアリエルに「自分の息子に死んで欲しい」と願った。本来の欲望は「社会的地位を失いたくない」だったのにも関わらず。これにより社長は人ならざるものになった。

→(目星)成功
貴方は棚の近くの床に何かを引きずったような跡があるのに気がつく。その終着点は棚の角。丁度、半円を描くような形だ。





草川社長のデスクだ。「lon」のロゴが大きく刻印されている。
丁寧に磨かれていたのだろうが、黒く変色した血がデスクの上まで飛散しているため台無しとなっている。
最新式のデスクトップPC以外は置かれておらず、各種小物類は備え付けの引き出しに収納しているようだ。
PC画面のスクリーンセーバには草川社長の写真が次々と映されている。

→パソコンを起動する
パソコンに触れれば起動画面になる。どうやらパスワードが必要なようだ。

→更に〈コンピュータ〉成功
貴方は自分が開発したアプリケーションで解除を試みる。
このアプリケーションは単語や数字など使われていそうなものを登録するとそれらを様々に組み合わせて自動で試してくれるものだ。
大抵は誕生日と名前、愛犬の名前などを入力すると上手くいく。何を入力する?

→更にアプリケーションにキーワード「アリエル」を入力する
入力するとロックが解除される。デスクトップは整理されており、何個かファイルがある。
その中に気になるファイルを2つ見つけることが出来る。

一つは帳簿だ。そしてもう一つは画像ファイルだ。帳簿には〈経理〉が振れる。
画像ファイルはどうやら(先程の)古い本をスキャンしたもののようだ。そこにはこのような呪文が載っている。
英語なのにも関わらず見たことのない綴りだ。しかし、不思議とどう唱えればいいかがわかる。
これをみた探索者は呪文『アリエルへの呼びかけ』を取得できる。クトゥルフ神話技能+3%
(また、棚の本をみた探索者はこの画像が破り取られたページであるとわかる。)

→〈経理〉成功
帳簿を見ていた貴方は気がつく。巧妙に隠されてはいるが、ところどころおかしなお金の動きがある。
それはこの2年位続いており、合計すればかなりの額になるだろうということがわかる。

→更に〈アイデア〉
この部屋の家具なども以上に豪華であることは確かだが、それでもなお有り余るくらいの金だ。
一体なに使っていたのだろう。貯金などはしそうにもないが……。そう不思議に思う。

→引き出しを開けるor〈目星〉成功
引き出しを開ければ、そこには書類などが入っている。その中で目につくものがあった。それは黒革の手帳とその上に置いてある白い封筒だ。

[黒革の手帳]
どうやら10年手帳のようだ。日記のように使っていたようで最初の日付は5年前になっている。
=================================================================
最初の方は会社を独立させたもののあまり上手くいかない。そんな苦悩が書き綴られている。
しばらくそんな記述が続き、様子が変わったのが3年前だ。

「今日は銀行からの融資を停止させると言われてしまった。確かに、流行っているとは言い難いがなぜ自分ばかりがこんな目に合うのだろう。新店舗どころか、今ある店も潰さなくてはならないかもしれない。そう言えば帰り道に不思議なアンティークショップで本を買った。安くしてくれたし、入ってしまった以上なにか買わなくてはと思って買ったけれど文体が古くてどうにも読みづらい。息抜きにはなりそうだから明日から読み進めていこうと思う。」
「あの本はどうやら誰かの手記のようだ。彼もなにか悩みがあったようで解決策を探している。自分と重なる。」
「本当にあの呪文を使えば願いが叶うのか。」
「もう本当におしまいだ。」
「そうだあの呪文を、儀式をやろう。どうせ何も変わらない」
「素晴らしい!! あの呪文は本当だった!! なんだ、簡単なことだったじゃないか! ああ! 素晴らしい!!! これでこの世界は私のものだ。」

そこからは順風満帆な生活が記されている。しかし、最近になって少し気になる記述があった。

「くそ、あの女、姿を消したと思ったら妊娠していたなんて。しかも既に勝手に産んだと連絡してきやがった。何が目的だ。金か? それとも週刊誌に売って復讐でもしょうというのか。」
「あいつらを使って、女も子どもも消してしまおう。それがいい。」
「居場所がなかなか見つからないらしい。つくづく使えない奴らだ。高い金を払っているというのに。」
「こちらの動きに気づかれたようだ。早く始末しなくては」
=================================================================
[手紙]
封筒には差出人の名前はない。既に封は開いており中には手紙と1枚の写真が入っていた。
=================================================================貴方のこどもです。
勝手に産んでしまってごめんなさい。
=================================================================

→〈アイデア〉成功
あのダンボールに入っていた手紙やアパートにあった日記と文字が似ている。

写真
写真には可愛らしい赤子と母親であろう女性が写っている。赤子の方は貴方達のもとにいるあの子どもだ。とすぐにわかるだろう。
そして女性はあの車の運転席に乗っていた女性と似ている。彼女が「神埼美佐子」で間違いないだろう。



不審な人影と金庫
棚を横に動かすと一つの空間にでる。
無機質なその空間には家具が一切置かれておらず、たった一つ巨大な金庫のみが鎮座していた。
その金庫は真円状の扉が中心にあり、無愛想な冷たい色をした壁は何十センチもの厚みがありそうだ。
重厚な扉と壁は何人たりとも侵入を許さないと語っているかのように貴方達を出迎える。

そこに一歩足を踏み入れた次の瞬間、すごい衝撃音がして貴方達は視線を左に移すことだろう。
そこには二つの人影。

京橋「あー終わった終わった!」
紫「えぇ、終わりですね私達! 例のブツも見つけられず絶対に殺すなって言われてた人まで斬っちゃってボスになんて言われるか……
京橋「大丈夫だって紫っち! あんなバケモンが社長だって誰も思いやしねーさ!」
京橋「それにここにあるって言われたから来たのにブツが無かったのは俺らのせいじゃねぇ」
紫「あ! それもそうですね!」
2人「じゃ、飲み行きますか!」


→2人を追おうとする
ブチ開けられた壁の穴から思わず貴方達は身を乗り出した。彼らが犯人ならば話を聞かなくてはならない。
しかし、身を乗り出した先にあったのは闇。
いや違う。外だ。ここはビルの裏手に面した壁だったようだ。
視線を下にずらせば隣のビルの屋上が見える。すでに遠い背中が2つ移動し、ビルの間に消えていった。
今から行っても追いかけるのは難しそうだ。


→部屋を見渡す
視線を室内に戻してみれば、正面の扉以外に気になるものがあった。
それは質素な祭壇だった。
華麗な装飾はなく、厳かな雰囲気もまたない。
それは只々、その存在のあり方を示しているに過ぎなかった。

祭壇の中央には男のようにも、女のようにも見える中性的な人物の像が立ち、
像から見て左手には、目を抑えながら、苦しみ悶え、許しを請う男がいる。
像から見て右手には、涙を流しながら、笑顔を浮かべ、感謝の念を捧げる女がいる。

対象的な男と女、嘆きと感涙、それをもたらす神。
——怒りを買ったものには神罰を
——拝する者には恩寵を

祭壇は、言葉なくとも、その神のあり方を雄弁に物語っていた。


→扉を開ける。
重厚な扉に手をかければ鍵が開いており、問題なく中に入ることが出来る。
金庫の中は、荒れ放題で、足の踏み場もない状態だ。
収納棚はひっくり返され、中に収められていたであろう、
様々な貴金属や宝石、書類などが周囲に散乱している。

→〈アイデア〉成功
どれも高価なものには違いないが、荒らされている割に量が多く何も取られていないように思える。
また、散らかされているものは宝石が多い印象だ。


しばらくするとHO1の電話に着信が入る。見慣れない番号からだ。〈アイデア〉が振れる。

→〈アイデア〉成功
この番号に見覚えがある。これは神埼美佐子の番号だ。

→出ない
繰り返しかかってくる。出るまで着信が続く。

→出る
「あの、HO1さん、ですよね……」という女性の声がする。

「ごめんなさい。私、とんでもないことを」
「あの子は、あの子は無事ですか」
「本当に身勝手なお願いです。わかっています。でも、あの子と一緒に生きていきたいんです」
「明日、迎えに行きます」
「そのときにまた、ちゃんと訳をお話致します」

ここにもう用はない。貴方達は『掃除屋』に連絡をして、その場を後にした。
夜明けと別れ
夜は既に明け、朝食も取り終えた貴方達はテレビも点けず、その時が来るのを待っていた。
誰も喋らず重い沈黙が続く。唯一の例外は無邪気に笑う赤子の笑い声だけだ。
暗い雰囲気を気にも留めず、赤子は抱き抱えているPC(一番懐いているPC)の腕の中で
その指を握ったり、放したり、ときには指を口にくわえて、安心し切った様子で手遊びに興じている。

※PCが頭をなでたり、話しかけたりすれば笑顔を見せてくれるだろう。

そして、時間ぴったりにクラブの扉が開かれた。
そこにいたのは神崎美佐子だった。あの社長室にあった写真よりも幾分か窶れている、そんな印象を受ける。彼女は恐る恐るといった風に入ってきたものの、赤子をその視界にいれた途端駆け寄ろうと足を踏み出した。その表情は安堵と後悔、そして愛に溢れている。
(特に彼女を妨害しないのであれば以下そのまま)
赤子に駆け寄った彼女はその頬を優しく撫で、懺悔の言葉を繰り返した。

「ごめんね……ごめんなさい……無事でよかった……

涙を零し、我が子の無事を喜ぶ彼女は、確かにその子どもの母なのだと貴方達は強く感じることだろう。

暫く待てば彼女は落ち着き、たどたどしくもしっかりと事情を話してくれることだろう。


……この子は草川啓司との間に出来た子です。私は彼に家庭があることを知り、会社を辞めました」
「この子を生むことは彼にとって望ましいことではなかったでしょう」
「でも私はこの子を捨てたくなかった。殺したくなかった」
「1人で育てていく覚悟を決めたつもりでした」
「けれど、つい彼に知ってほしいと思ってしまった。法的に認知して欲しいとは言わない。けれど」
「こんなにも可愛いんだもの……愛する人にこの子を知ってほしかったんです」
「今思えばそれが間違いだったんですね」
「それから不審なことがいくつかありました。家に帰ると部屋が荒らされていたり、何度かつけられているような気配を感じたり」
……殺されるのではないか。そう考えるようになりました」
「そんなときです。あの電話がかかってきたのは」
「知らない男の人の声でした。その人は、私達のことを知っているようで、助けたい、とそう言ってくれたんです」
「そうして教えられた方法の通りにメッセージを送り、計画を実行しました」
「今思うと何故あんな電話を信用したのか自分でも不思議ですが、何故か信じても大丈夫だとそう思えたんです」
「あとは貴方達の知っているとおりだと思います」
「けれど、どんな事情があったにせよ、私はこの子を手放すべきではなかった」
「離れてみてわかりました……
「昨日の夜、また電話がかかってきて、もう大丈夫だとそう言われた途端、魔法が溶けたようにこの子が腕の中にいないことに耐えられ得なくなりました」
「本当に、本当に、この子を守ってくださってありがとうございます」
そう言って彼女は深々と頭を下げた。

何かRPがあればしばらく会話を続ける

→探索者たちが赤子の名前を呼んだ場合
「〇〇……?」
「ああ、貴方達はこの子をそう呼んでいたんですね」
言葉を繰り返し少し考えた後、思い至ったのだあろう答えに彼女は微笑んだ。
「俺たち勝手にそう呼んでたけど、本当はなんて名前なんだ?」
そうHO0が尋ねれば彼女は答える。
「彗人(けいと)です。彗星の“すい“に”ひと“と書いて彗人」

「いい名前だな……なぁ? ○○」
そう声をかければまさか聞こえているわけでもないだろうに、眠ったままの子どもはふにふにと笑った。

※話の最中に呼ばなかった場合、HO0が「そういえばこいつの名前はなんていうんだ?」などと聞きこの話をすること。



……皆さんがつけてくれた名前でこれからも呼んであげてください」
「皆さんが守ってくださらなかったら、この子はここにいませんから」
「貴方達はこの子のもう一つの名前の名付け親です」

貴方達はそうして彗人を囲み、話す。
しかし、そんな時間は長くは続かない。貴方達は裏の社会に生きている。
これ以上彼女たちをここに引き止めることは出来ないだろう。
互いの間に別れの空気が漂う。

……本当に何度お礼を言っても足りません」
「もうお渡し出来るお礼もありませんがせめてお礼を言わせてください」

再度彼女は貴方達に感謝の言葉を告げた。

「もし、皆さんのご迷惑でなければこの子にまた会いに来てください」
「きっとこの子も喜ぶはずです」

彼女は言いながら彗人を抱きかかえる。
いつの間にか彗人は起きており、母親に抱かれ上機嫌だ。

「それでは失礼します。どうかお元気で」

そうして彼らは、1人の母親と1人の子どもは陽の光の中へ出ていった。
母の腕に抱かれて貴方達を見つめるまろい瞳を貴方達は扉が閉まるまで見つめていたことだろう。

[シナリオエンド]

生還報酬 1d10
FILE2.
SYNCHRONICITY
シンクロニシティ(英:synchronicity)
意味のある偶然の一致ともいわれるユング心理学の概念。
因果関係のない別々の出来事に重要な意味が感じられること。虫の知らせ。
シナリオ背景
キングはクイーンを止めるために様々な手を尽くして、この4年間秘密裏に行動している。
そのなかでおおよそのクイーンの目的、その時期なども掴めているため時期が迫ってきたことから活発に殺し屋コンビを動かしている。
HO0が依頼で行った場所がすでに大体死んでいたのは京橋に正確に任務をこなしてもらうために悪事を働いている組織を教えていたため。仕事量が増えれば必然的に京橋が欲する量も多くなった。またその動きにクイーンも感づいており、始末屋たちに依頼をする。クイーンの目的はキングの排除のため、キングと殺し屋コンビを引き離したかった。始末屋に接触すればキングにも感づかれることを見越して依頼をし、まんまとキングはその策略に嵌ってしまう。
ターゲットとされた蔵望リアンは、ノーデンスに認められた男の子孫である。リアンの先祖はアイルランドに住む猟師で、ワイルドハントの伝承にある度胸試しを見事成功させノーデンスに認められた。その際の報酬が『碧の瞳』であった。クトゥルフの復活を阻止するためにはノーデンスとの接触が不可欠であり、この『碧の瞳』はその媒介として必要なものだ。クイーンの依頼の『碧の瞳』もこれを指していた。乱入してきた男達が「アオノヒトミ」をリアンの瞳と勘違いしてしまったのはクトゥルフ招来のために目玉を集めていたためだ。単なる先入観による早とちりである。男達はクイーンの手先でありながら無駄に野心のあるものたちで、始末屋たちをクイーンが頼るのを以前からあまり良く思っていなかった。そんなとき、クイーンとHO1の通話を盗み聞きしてしまい、丁度いいと始末屋よりも先に「アオノヒトミ」を自分たちが始末しようと動いていた。
最後にHO0が行方不明になるのは、24時を超えてしまい契約の期日を迎えてしまったためである。HO0は意識が宿主に乗っ取られ、キングの元に向かってしまう。
また、戦闘終了後に殺し屋コンビが慌ててその場を離れるのはギリギリでクイーンの追手から逃れたキングから連絡が来たためだ。殺し屋コンビとキングを引き離したクイーンはキングを排除しようと追手を差し向け、キングは応戦するものの数の暴力には耐え切れず殺し屋コンビに戻るように指示を出したという経緯がある。宿主もキングが比較的安全な場所に移動したのを確認してHO0に乗り移っている。しかし、この襲撃によりキングはいよいよ本当にクイーンが儀式を行う気であることを確信し以降クイーンを殺してでも止めるつもりで行動していく。
偶然と必然が絡み合い、始末屋たちの知らぬところで事件は動き出している。
そんななか始末屋たちはこれから起こる大事件への予兆を感じることになる。


幕間及び個別導入
FILE2の開始日はFILE1から一週間後である。幕間成長などは基本的に用意していないが(期間が短すぎるため)、この一週間どのように過ごすかをそれぞれ個別に宣言してもらい、以下に当てはまる事項もしくはKPが何か出せる情報などがあった場合処理を行い情報を出す。またそれとは別にHO別の個別導入がある。


・HO0を警戒、監視、何かしら注意深く観察するなどの宣言
→〈心理学〉成功
少しそわそわと上の空になっていることがあるような気がする。なにか気がかりなことでもあるのだろうか。


→〈幸運〉成功
深夜に何故か起きてしまった貴方は水でも飲もうかと部屋を出た。そんなとき、HO0の部屋から声が聞こえることに気がつく。
しかしくぐもっていて聞こえづらい。

→更に〈聞き耳〉成功 ※その場に立ち止まり聞き耳を立てるか聞くこと
「これでもう頼むことはないと思う」
「わかっているだろうが、他言無用だ。特にあいつらにはな」

※扉には鍵がかかっている。もしめちゃくちゃ大声でHO0呼ぶなどがない限りは(ノックなど)寝たふりを決め込んでHO0は無視する。
翌朝以降、何か聞かれても寝言かな? など誤魔化すだろう。

・殺し屋コンビの特徴などをあげて調査をするなどの宣言
→〈コンピュータ〉成功
本当かどうか嘘くさいものの、この一週間ほどいくつかの掲示板やSNSにそれらしき人物たちの目撃情報が書き込まれているのを発見する。
しかしその非現実的な情報は眉唾ものとして殆どの人に信じられていないようだ。

→更に〈幸運〉成功
貴方がパソコンを閉じる前にもう一度ダメ元で調べてみようと試みると先程までの書き込みが全て消えてしまっていた。
削除申請などは考えづらい。誰か腕に覚えがある人間の仕業だろうと察することが出来る。

※キングがハッキングして消している。勿論宿主の力を借りて行っているため、追跡しようとしても追えない。

→更に〈アイデア〉1/2成功
その目撃情報と時間帯がこの一週間のオーダーの場所といくつか被っていることに気がつく。
今週のオーダーは全てHO0が引き受けていたが流石に鉢合わせていたら報告ぐらいはしそうなものだ。思い過ごしだろう。


→〈交渉系技能〉1/2成功
貴方は彼らについて裏社会の人間に聞いて回った。そうすれば何人かが嫌そうな顔をしながらも答えてくれる。
曰く、彼らは始末屋がターゲットにするような奴らがお得意様の殺し屋らしい。
名前を「京橋那月(きょうはしなつき)」と「紫雲紫(しうんゆかり)」という。
もともとはかなり大きな組織のもとにいたがここ1年ほどの間にフリーになったようだということがわかる。
また話した彼らは皆一様に「あのな侍はいけい。あれは狂っている」と言った。嫌そうな顔はそいつのことを思い浮かべたようだった
個別導入
【HO1】
貴方は無邪気にその口から残酷な言葉を吐いた。
貴方の言葉に皆は疑問すら持たず貴方に従った。
彼女もまたその1人だ。
貴方は善良な人間を殺した。
自らの手を汚すことすらなく。
声が響く。これはキングの声だ。
「俺たちは人殺しだ。だからこそ、その一線を超えちゃいけねーんだよ」
彼と出会う前にすでに自分はその一線を超えている。
そんな事実を彼が知るはずもないが、自分を始末屋に誘った彼の瞳はすべてを見透かしているような気がした。
言葉は続く。
……その一線を超えた奴は人間じゃね−。バケモンだよ。人の皮を被った、な」
ああ、自分は人間であれているだろうか。
意識が浮上する。時計を見れば16時を回っていた。いつの間にかうたた寝をしてしまっていたようだった。
しっかり目を覚まさなくては。今日は久しぶりに6人全員での依頼なのだから。

※こどもの頃を思い出しているのは彗人とのことが呼び水となったため。
キングの言葉を守れば、まずリアンの瞳を抉ることなどはしないはずだ。


【HO2】
様々な音が濁流のような響きとなって鼓膜を震わせる。大音量で流れるヒップホップミュージック。
それに合わせて踊る人々の笑い声。カウンターでは色とりどりのカクテルに舌を震わせながら男と女が愛を語らっている。
男と女。いや、あれは肉だ。なんて美味しそうなのだろう。そのみずみずしい体に齧り付いてしまえばどれほど満たされるだろうか。
貴方は1人でカウンターに座っていた女性に話しかける。
彼女は少し戸惑いつつも貴方に向かってはにかみ頷いて店を出た。貴方もその背中を追う。
店を出てすぐの裏路地に差し掛かり、貴方は彼女の手を引き、その首元に頭をうずめた。
そして、美味そうな首筋に向かって歯を突き立てようと口を開く……
途端、体が揺さぶられ意識が浮上した。
「HO2、HO2。大丈夫か?」
視界に移るのは見慣れない天井。……ここはホールか。どうやら疲れてソファでうたた寝をしてしまっていたようだ。
「なんか息苦しそうだけど……
返答をしない貴方に向かってHO0が呼びかける。
たしかに息が少し苦しい。しかしそれはもう少しで欲が満たせるという興奮からだ。鼓動もいつもよりも早いリズムを刻んでいる。
「ちょっと、まじ、体調悪いの? 今日オーダーやめとく?」
しびれを切らしたHO0が貴方の顔を覗き込んだ。幼いときのような表情で貴方を心配する顔。
……なんて美味しそうなのだろうか。一瞬そんな思考がよぎる。仲間にその欲求を抱いたのは初めてだった。

※以上描写後は好きにRPしてもらう。HO2の欲求はすぐ抑え込める程度になると伝えていい。
HO2は人間にしか食欲を感じないので、始末屋の中ではHO0にしか食欲は感じない。
また、これ以降は衝動時の食欲の対象が“新鮮な”死体になる。
(今までのように、生きてる人間には食欲は湧かない。人間が豚や牛をみても美味しそうと思わないのと同じことである)



【HO3】
貴方はアジトでもあり、住処でもある、クラブへ帰ろうと足を動かしていた。
もうすぐそこに扉が見える。そんなタイミングで貴方は突然背後から声をかけられた。
「すみません。少しよろしいでしょうか」
そこにはどこにでもいそうな平凡そうな男が立っていた。草臥れた上下揃いのリクルートスーツに、すり減った革靴。
始末屋であり、元自衛官である貴方なら恐れる必要など何もないはずなのだが貴方の背筋には何故か冷たい汗が伝う。
※この男はHO4の様子を観察していたミ=ゴである。ホログラム機器と変声機を使って化けている。
また、見えている男以外にも数体のミ=ゴがHO3を囲んで観察しているためHO3の人外センサーが反応している。
ちなみに足音などはしたかという質問があった場合、聞き耳判定がなかったですよね? などと濁しつつ、しなかったと分かるように答えていい。

「(HO4の本名)さん、ご存知ですよね?」
※知らないと言われた場合、コードネームなどを出しても構わない。「ああ、〇〇とも呼ばれているんでしたっけ」

「怪しいものじゃないんです。〇〇さんとは古い友人で」
「近くまで来たものですから挨拶をして帰ろうと思ったのですが急用が出来てしまいまして」
「ですから、お知り合いに良ければ〇〇さんの近況でも教えていただけたらな、と思いまして」
「驚かせてしまいましたね」
男は自然な態度で貴方に声をかけた経緯を語る。どこにも不自然なところはない。
貴方が拒まなければ男は続ける。
「貴方は〇〇さんのことをどんな存在だと思いますか?」
※変な質問のためHO3は不審に思うかもしれないがミ=ゴにとっては調査のため、このように質問する。

→質問に答えた
「そうですか、ありがとうございます。貴方にはそう見えるんですね」
「では、また」
貴方の答えに男は頷き、感謝を述べると頭を下げて去っていく。
男がいなくなればずっと感じていた気持ち悪さもなくなっていた。

→質問に答えることを拒んだ
「そうですか。いえ、答えたくないのでしたら大丈夫です」
「では、また」
質問をした割にはあっさりと男は引き下がり頭を下げて去っていく。
男がいなくなればずっと感じていた気持ち悪さもなくなっていた。



【HO4】
○月○日22時22分(共通導入の日)、オーダーのため支度をしていた貴方のメールボックスにメッセージが届く。

メッセージ
=================================================================

こんばんは。優秀なハッカーさん。

前回のゲームには乗り気になってくれたかな?
期限はこちらで勝手に区切らせてもらうけど、それまでに是非見つけてほしいと思っているよ。
ただ、いくら優秀な君でも、ノーヒントは厳しいだろう?

だから特別に大ヒントをあげよう。
消えた始末屋はZIPPOライターをいつも持ち歩いていた。

一昔前のハードボイルド小説に出てきそうな設定にわくわくするね。

繰り返しになるけれど報酬は必ず与えると約束しよう。
もしも見つけだせたなら君の願いを何でも叶えてあげるからね。

信じるかどうかは別だけど、僕は大抵のことならわかるのだ。
そう、次のアメリカ合衆国大統領とか、君の体重とか、好きな子の気持ちとかもね。

そういうわけで君が見つけ出せることを祈っているよ。
それじゃあ、また。

=================================================================
相変わらず送信者の欄が空白のメールだ。
しかし、いまはそれにかまっている暇はない。貴方は支度を終え、足早にホールへと向かった。

【HO5】
Happy birthday to you〜♪
Happy birthday to you
Happy birthday, dear ——
Happy birthday to you〜♪
ゆらゆらと揺れるロウソクの光
楽しそうな歌声と心が弾むような手拍子
歌が終われば愛おしいという瞳がこちらに向けられる
「お誕生日おめでとう、——
自分はその瞳に笑い返して
そして、促されるままに目の前の光を一息で吹き消した
歌の意味もロウソクの意味もわからず、
けれど、ただそこにある暖かさだけはしっかりと理解していた

ふわりと意識が浮上し、つい先程まで見ていた夢に首を傾げる。
あんなふうに誕生日を祝われたことなどないのにも関わらず、どうしてそんな夢を見たのだろうか。
そう思った貴方はそういえば、明後日はHO0の誕生日だったことを思い出す。
明後日は特にオーダーも入っていないため、誕生日にかこつけて皆で心ゆくまで飲むのもいいかもしれない。


※HO0の2歳の誕生日の記憶。同じ夢をHO0も見ている。
HO0の両親は少しぶっとんだマッドサイエンティストだったが、普通にHO0を愛していたし、HO5のことも愛していた。
3歳になったときに「こどもの家」に預けられたのは両親のそばにいると危険だと彼らが判断したため。
しかし、高貴の魔術によりHO5のことを忘れてしまっている。
HO0は人間であるがHO5は人間ではないため、預かる際に高貴はそのような判断をした。
ちなみにHO0の両親と高貴は研究者仲間でもあった。
ど派手に開幕〜共通導入〜
貴方達は今日も今日とて依頼をこなしている。
少し大きめの組織への潜入、組織のボスであるターゲットの始末というメンバー全員でのオーダーだ。
バタバタと向かってくる奴らを倒していく。
しかし、中々ボスが見当たらない。

それぞれ任意の戦闘技能及び探索技能を振ることが出来る。
(使用武器や技能に合わせた格好いい演出を入れる。予めKPが用意することを推奨。)
汎用描写は下記

闇に紛れ、貴方達は走り抜ける。
護衛を蹴散らし、ターゲットを探す。

その時耳につけたインカムからPC4の声が聞こえた。

「みつけたよ、奴らの何人かがエレベーターを使って地下へ移動中」

続いてHO0の声が

「つまり、ターゲットはそこにいるってわけか」

貴方達は互いに頷いて地下へと駆ける。
そして━━みつけた。

如何にもなスーツを着た男が数人、周囲には護衛らしき黒服も数人控えている。
そのうち1名は車の様子を見ているようだ。
何度もエンジンをかけようとするが、空ぶかしに終わっている。
貴方等は物陰に潜み、様子を伺う。

男は電話越しに怒鳴り散らかしていた。

「どういうことだ!! 何故あんなネズミ1匹殺せない!!」
「おい! 落ち着け! 今はひとまず逃げるしかないだろう!」
「うるさい! そんなことわかっている! 早くエンジンをかけんか馬鹿者!!」

どうやら、エンジンが掛からず立ち往生しているようだ。
インカムからPC4の声が聞こえる

「あいつらの車にちょちょいと仕掛けをね? こういう裏工作は俺の仕事だろ?」

心強い仲間の言葉を聞いてからPC1はハンドサインで指示を出す。
意味は――手筈通りに。

PC5が男達の前に飛び出した。

「おいおい、鬼ごっこはもう終わりか?」

男は驚き振り返り、車を見ていた黒服等も飛び出し銃を構える。

「な、もう追いついてきたのか!! だが、一人きりか?」
「ああ、他の奴らは上で大暴れさ」
「ぐ……おい何をやっている早くこいつを撃ち殺せ!!」

男の大声が駐車場に響き渡った。
そして後に続くであろう銃声が━━ない。

「おい! お前等何をやって……は?」

男は周囲を見渡すが黒服等の姿はない。黒服は2名はPC2とPC3に車の物陰に音もなく連れ込まれ、始末されていた。

「可哀想に」
「ひ、ひいいいいい」

PC5が一歩前へと進むのに合わせて、男は後ろへと後退り……

━━カチリ

後頭部に硬い何かがあたる。
仄かに漂う硝煙の匂いが、それが銃口だという事を男に確信させる。

銃口を突きつけたPC1が話す。

「ボスはどこにいる」
「し、知らない! 俺たちは本当になにも知らなかったんだ!」
「そうか、なら……
「まっ……!!」

静止の声は聞き届けられず、1発の重い金属的な衝撃音に合わせて何かが弾ける音が辺りに響いた。

「用済みだ」


一瞬の静寂のあと、また騒音が近づいてくる。
ここから逃げようとする残党だろうか。
ああ、ここも外れとなると隠し部屋でもあるのだろうか。
オーダーを完遂するため、貴方達はまた向かってくる敵をなぎ倒していく。


描写のち個別処理↓

【HO2】
あたりには貴方が、仲間が始末した敵たちのが死体となって転がっている。
瞬間、貴方はまた夢の中のような猛烈な欲求に襲われた。目の前には新鮮な肉、ニク、にく。……美味しそうだ。

〈POW*3〉の判定
→失敗
ちょっとだけならいいじゃないか。そう思ってしまう。ぺろりと血を口に含めばすぐにその欲求は薄れる。

→成功
駄目だ。と思いとどまることが出来る。

→ファンブル
ちょっとだけならいいじゃないか。そう思ってしまう。そうして手を伸ばし、口に含んだとき視線を感じる。
誰かに見られただろうか。ぺろりと血を口に含めばすぐにその欲求は薄れる。
敵だろうか? まぁこの程度の奴らに知られたところで問題はないだろう。

※ファンブルの場合のみ、KPはシークレットダイス1d4を振る。HO順に並べた時の対象に以下の描写。
「戦闘中、貴方はHO2が口元を拭って笑ったように見えた。次の瞬間には敵が殴りかかって来たため、その場で追求することは叶わない」

【HO3】
弾丸が放たれる。それは貴方が撃ったもののはずなのに、自らが撃たれるように頭がグワリと揺れる。
手が震える。視界がブレる。いけない、ここは敵陣のど真ん中だ。
そう思い意識を今に合わせようと思考すればいつの間にか頭痛は収まっていた。手の震えは少し残っているものの気にするほどではない。

(HO2がPOW*3の判定に失敗した場合)
次の瞬間、なぜか怖気が走った。HO1が原因ではない。敵だろうか?
いや、この程度の奴らにそんな風に感じることはない。
戸惑う貴方に反してその感覚もすぐに消える。
※食屍鬼としての性質が色濃くなったのを感じている。

【HO4】
貴方はなんとなくHO0を視界に入れる。(彼は今日も楽しそうに戦場で舞っている。)
敵は他のメンバーに向かっているようで自分がいる場所はちょっとしたスペースが開いていた。
HO0がよく見える。どうやら相手をしていた敵を倒したようだ。(HO0は楽しむためにあえてそうやって戦闘を引き伸ばすことがある。)
そして、どうやらHO0も手が空いたらしい。声をかけようか、と思っていればHO0がある一点をみていることに気がつく。
視線の先に居るのはHO5だ。そしてHO0はHO5に駆け寄り、互いに背中を預け、また戦い始める。

※()内はHO0により適宜変更。
この描写の目的はHO5をHO0が気にかけていることをHO4が認識することの為、()以外も適宜変更して構わない。

【HO5】
目の前の相手を倒す。倒す。倒す。それは貴方にとって難しいことではない。
しかし、それ以上……殺すことはどうしても出来ない。今回のオーダーはターゲットの始末。
まだその姿は見つけられていないが、果たして自分が最初に見つけたとして今度こそ殺せるだろうか。
そんなことを考えていればHO0が駆け寄って来た。どうやらHO0が相手をしていた敵は倒れたらしい。
「よっ、と。俺にも分けろよ」そう言ってニッと笑い、まだ自分の周りにいた敵に向き直る。(彼は楽しそうに敵を屠る。)
HO0と貴方は背中を預け合い、また敵に向かった。

※HO0に合わせて適宜変更して構わない。大切なのはHO0はHO5 にとって親近感を抱く存在であるということだ。



既視感とはじまりの声
そうして進んで行けばようやっと、いかにもな扉に行き当たる。事前の調査ではこんなところに扉があるという情報はなかった。
辺りを警戒しつつ、貴方達は中に乗り込む。しかし、そこに広がっていたのは赤、アカ、あか。
床だけでない、壁、天井までが全て赤に染まっていた。貴方達は既視感を覚えるだろう。
それも当然だ。つい一週間前に同じような光景を目撃しているのだから。HO0は呟いた。
「え、また死んでんの? 何回目だよ全く」


→HO0にどういうことか聞く。(※PCたちが遭遇したのは一週間前の1回だけの為)
HO0「いや、えーっと。なんていうか。この一週間にあったオーダーあんじゃん?」

HO0の言葉に貴方達は記憶を遡る。確かにこの一週間にいくつかオーダーはあった。
そこまで大変なオーダーではないものだった為、どのオーダーも真っ先に手をあげたHO0に現場を任せたはずだ。
なによりHO0が現場は1人で大丈夫だから1人で行くと言い張ったのもある。
とはいっても、依頼によってはサポートに他のメンバーも入っており、不審な点はなかったはずだ。

「忍び込んでデータの削除とか、中に潜入して情報を聞き出すとかそんなんばっかだっただろ?」
「ちゃんと依頼自体はこなしたんだけど、どこいってもこうやって人が死んでたんだよ」
「だから邪魔するやつもいなくて楽勝だった」

※HO0が実行部隊に1人で行きたがったのはついでに何か金目のものをネコババしようと画策した為。
また報酬を割る頭数が減ったほうがいいという意図もあったかもしれない。

死体をよく見る
見事にぐちゃぐちゃのバラバラだ。今回のターゲットは組織の大きさも勿論警戒すべき点だったが、本人の戦闘能力もかなり高く、そう簡単に殺される奴ではないという話だったはずだ。

→〈目星〉成功
握りしめているのはターゲット愛用の銃のようだ。しかしよく見るとその銃口は綺麗に切り落とされている。
綺麗な切れ味だが、そもそも銃口は切り落とすものではない。ターゲットを殺ったのは相当な手練れだということが推測できる。


→更に〈拳銃〉or〈知識〉1/2成功
拳銃の種類がわかる。

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Pfeifer Zeliska (パイファー ツェリスカ)
60口径もあるライフル弾をわざわざ拳銃で撃つためだけに作られた銃。
拳銃の形状をしているため一応「世界最強の拳銃」という称号を得た。というかそのために作られた。受注生産の為高価である。

※この拳銃を持つ人間は少ないため、もしも本人か探索者が疑うようならこの銃によって確信できるなどと付け加えてもいいだろう。
またこの銃はかなりの腕力がないと使いこなせない強力な武器であり、その丈夫さ、また使用者の実力は確かだという証明にもなるだろう。

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(▼3)

→〈医学〉成功or〈日本刀〉30%以上所持
切り口が鮮やかだ。あまりに細切れになっているためぐちゃぐちゃといった感じに見える。
しかし、よく見れば切り口がとても綺麗でありしっかりと面を保っていることから、バラバラといったほうが正確かもしれない。
西洋の剣や青竜刀などではこうはいかないだろう。日本刀が使われたのではないかと推測出来る。


HO0に怒ったり呆れたりするものもいるだろうが、ともかく早くこの場を去るべきなのは事実。
今回のオーダーは殲滅ではなかった為、生き残りも多いのだから。

「なぁ、もう死んでんだし、オーダーはコンプリートだろ? 帰ろうよ」
「腹減ったもん、俺」

そうして掃除屋に連絡を終え、貴方達はその場を後にする。
貴方達は自分たちの住処へ戻ればすぐに眠りにつくことだろう。

【HO1のみ個別処理】
さあ、寝よう。そんなタイミングで貴方の電話が鳴る。
相手はクイーンだ。
クイーン「久しぶり、っていうほどでもないかしら。急なのだけどオーダーを頼めるかしら?」

→断る
「そう、残念だわ。でも、報酬を聞いてもそう答えられるかしら」
「報酬は6000万円。それとは別に、貴方にはもう一つ報酬を払うわ。それはきっと貴方が知りたい情報よ」
「那幻港、といえばピンとくるかしら?」
「これ以上はオーダーが終わってからよ」
「どう? 受けたくなった?」

→受ける
「ありがとう。貴方にとっても悪い話ではないはずよ」
「報酬は6000万円。それとは別に、貴方にはもう一つ報酬を払うわ。それはきっと貴方が知りたい情報よ」
「那幻港、といえばピンとくるかしら?」
「これ以上はオーダーが終わってからよ」


→オーダーの内容
「頼みたいのは“アオノヒトミ”の始末よ」
「碧の瞳が何かって?」
「それを調べるところからがオーダーよ」
「貴方はたどり着けるかしらね」
「それじゃあ頼んだわよ。全力で頑張って」

最後にリップ音を落として通話が切れる。

HO1は1人ではクイーンのオーダーを熟すことは難しいと感じる。
内容が曖昧すぎるし、期限も不明なのだから。
クイーンからのオーダーのための調査を行うために始末屋たちは動き出すことになるだろう。

※KPはこのやりとりの際PLにこの依頼が今回のシナリオの主軸になると匂わせても構わない。進行上、この依頼を断ったり、仲間に伝えないと大きな不都合が生じるのは明白だからだ。しかし、PCの心情なども含め様々な可能性を模索できるのがTRPGの他にはない魅力とも言えるため、情報屋ジャックの来訪でのやりとりで辻褄を合わせるなど、KPは可能な限りPCたちの心情を大切にしてほしい。シナリオ自体は矛盾が生じなければどれだけ改変しても構わない。
探索パート
雲ひとつない晴天の日、太陽は真北に位置するお昼時。
クラブではPC2がリズミカルに包丁を鳴らし、昼食の準備をしていた。
他のメンバーも、昼食の香りから献立を想像しながら、それぞれ思い思いの時間を過ごす。

そこには、裏社会で名を轟かす、始末屋の姿はなく、
束の間の休息を堪能する、幼馴染みが居るだけだった。
12時00分
貴方達はいつもどおり昼食の席につく。
HO2はキッチンに立ち、食事を用意することだろう。

HO2は〈芸術(料理)〉を振る。

今日のメニューは(ここからKPは飯テロをしてもいいし、しなくてもいい)だ。
※この場面は確定で全員集まってほしいがHO4などが導入時の調査でファンブルしていた場合などは適宜少し遅れてくるなどとして構わない。

→料理を食べると宣言
全体公開せずHO1.3.4.5に〈聞き耳〉もしくは料理関係の技能を振ってもらう。
→〈聞き耳〉成功
とても美味しい。やはりHO2の腕は本物だ。そう感じる。

食べ終わり何かやりとりがひと段落ついたところで、いつもどおりHO1が口を開くだろう。

※HO0は楽そうな仕事であること、そしてようやっと宿主との契約を果たすという肩の荷が下りたため前向きに依頼を受けようとする。

「なにそれ。すげー適当かよ」
「まぁ、かなり高額だし。頑張っちゃおーよ」
「青い目を持ってるやつ全員始末しろなんて言う感じなら安すぎるくらいだろうけど」

そうして、貴方達はオーダーを熟すため動き出した。


アオノヒトミについて調べる
パソコンやスマートフォンで検索する
→〈図書館〉成功
碧眼【へき-がん】
メラニンが極端に少ない、青・青緑・緑色の瞳をした目のこと。
ヨーロッパに多く見られることから、日本では「西洋人」全体を意味する言葉でもあった。
ただ、研究によるとその数は減少しており、西洋人の中でも真っ青な瞳は珍しいものになっているようだ。


聞き込み(HO1のみ)
貴方は表裏問わず、沢山のツテがある。運良く何かを知っている知り合いに連絡できるだろうか。
→〈幸運〉成功
貴方は心当たりがありそうな人間に連絡を取り、会う約束を取り付けることが出来る。だがその予定は明日以降である。


予期せぬ来訪者
16時50分
調査がひと段落し、ふと空へと目を向けると陽の光は西へと傾きつつあった。
今日は営業日だったろうか? そんな思考を一瞬めぐらしていると。
━カラン、カラン。
ドアに設置されたベルが来客の存在を貴方達に知らせる。
開店にはまだ幾許かの時間があるはずだ。不思議に思いながらも貴方達の視線は扉へと移る。
そこには1人の男性がいた。
珍妙……いや、奇天烈と表現した方がいいかもしれない。それほどまでに、奇妙な風貌をした男だった。
緑のパーカーにチノパンを見に纏い、大きなビン底眼鏡をつけたその男は、手と頭に小鳥を、肩には猫を乗せていた。
動物達は逃げる様子はなく、落ち着いた様子で彼に身を任せている。
男と貴方達の視線がぶつかる。戸惑う貴方達を気にもせず、彼は口を開いた。

「こんにちは。いや、もうこんばんはかな?」
「いきなりですまないんだけど、ちょっと用事があってね」
「貴方達にも悪い話じゃないからさ。そんなに警戒せずに話を聞いてもらえるかな?」
「ね、始末屋さん?」

※立ち絵を使用しない場合は見た目でわからないため、動物好きHOの人間に、あの路地裏で出会った「田中」であると伝えること。

【HO5に個別処理】
貴方は彼の姿が見えたとき、少し後ずさった。あんなに動物を侍らせている人物に近づかれてはたまらない。
しかし、そんな咄嗟の行動も虚しく貴方は鼻の奥にムズムズとした感覚を覚える。
〈POW*3〉に成功しなければ、1d6回連続くしゃみをすることになる。
成功すれば貴方はそのくしゃみを気合で我慢することが出来たとする。

※描写後に個別処理をしてHO5のくしゃみを印象付けるのが望ましい。
くしゃみが終われば更に以下描写

「で、まずはじめに、何から聞きたい?」
そう言って、首を傾げる彼からは殺意は勿論、敵意なども感じ取れない。


→お前は誰だ、など彼の招待についての質問
「あれ? わからないの? 結構仲良くしてたつもりなのに悲しいな」
貴方達にそう答えたあと「ね、悲しいね」と、手に乗った小鳥に話しかける。
小鳥もそれに対してまるで返事をするかのようにチュンチュンと鳴いた。
※この描写で気が付かなければ適宜〈アイデア〉などを振らせて、彼が情報屋ジャックだと気がつくように仕向けること。

→情報屋ジャックではないか? などの発言
「ああ、よかった。さすが優秀な始末屋だ」
「はい。こちら信頼と安全、中立な情報屋ジャックだよ。今日はどんな情報が欲しいのかな?」


上記やりとり終了後以下描写

驚愕と疑念が胸中を渦巻く。貴方達は頭の頂上から、足の爪先まで隙なく観察した。
曰く、誰もその姿を見た者はない。曰く、動物を操る。曰く、彼を探ろうとした組織は壊滅した。
正体不明と言われ続けた情報屋ジャックが目の前に……
信じられない気持ちで見る貴方達に構わず、彼は一枚の封筒を差し出した。
深い蒼穹を連想させるその青い封筒は、隅々まで細かな装飾が施されており、彼の手の中で圧倒的な存在感を放っていた。

→封筒を受け取り、中身を確認する
受け取った封筒に宛名などはない。中を確認するのであれば、中には一枚の招待状が入っている。
アガートラムという豪華客船のお披露目パーティーの招待状だ。時間は今日の20時から。

→〈知識〉成功
貴方達はこの招待状に書いてある住所はここから車で約1時間ほどの場所であると知っている。

貴方達が招待状を読み終われば、ジャックはつぶやく。
「僕は情報屋であって、配送業に転職した覚えはないんだけど」

→どうしてこれを自分たちに渡すのか、これはなんなのかなど尋ねる
「貴方達が探しているものがそこにあるからね」
「貴方達にお礼をしたいと思っていたんだ」
「だから丁度いいと思って」

※ジャックはクイーンからこの招待状を指定した日に始末屋たちに届けるようにと依頼をされた(クイーンは足がつかないように依頼をした為、ジャックはクイーンからの依頼だとは知らない)。しかし、本来の情報屋の依頼でもなく、依頼主の素性もわからない不審な依頼だったためにシャックはその依頼を保留にしていた。ただ、先日の事件で何かお礼をしたいなと思い、始末屋の周辺を重点的に探っていたジャックは彼らが「アオノヒトミ」を探していることを知る。優秀な情報屋であるジャックは勿論「碧の瞳」のことを知っており、保留にしていた依頼を完遂することが彼らの役に立つと考えた。今まで一度も姿を明かして来なかったのにも関わらず、わざわざ自分の足を使って届けたのに特に理由はない。そういう気分だっただけだ。また、上記の事情を基本的にジャックは語らない。質問をされても招待状を届けることが依頼だったことはポリシーに反するため絶対明かさない。それ以外について積極的に語らないのは情報には価値があることを理解しているため、今回に限らず彼は確信的な情報を口にしない癖があるからだ。

→信じられない、なにを言っているのかなどと言われた場合
「情報屋ジャックの情報が間違ってたことなんて今までないでしょ?」
「信じられないならそれでもいいけど、探しものはそこにある、それだけの話だよ」


ある程度質問などをし終えたら以下描写

「あ、そうだそうだ。わかっているとは思うけどそのパーティーに潜入するならちゃんとした服装じゃなきゃ駄目だからね」
「勿論手荷物検査もあるから物騒なものも持ち込めない」
それだけ告げると彼は踵を返す。そして、扉の前で立ち止まると、肩越しにこちらを見た。
眼鏡の下に隠れる双眼と眼が合う。
「行くも行かないも好きにしたらいいよ。でも僕はちゃんとそれは届けたからね」
「じゃあ、頑張って始末屋さん。僕は貴方達を応援してるよ」
扉を開き彼は出ていく、カラン、カランと鳴り響くベルの音。
そして、彼の肩に乗っていた猫の「にゃあ」という鳴き声が貴方達の耳にいつまでもこびり付いていた。

予期せぬ来訪者は去っていった。招待状と不穏な空気を残して。
時計の針は既に17時過ぎを示している。
記載されている時刻まで猶予はない。動き出すのであればすぐがいいだろう。
準備
パーティーへの潜入のため、持ち物申請を行う。
勿論、ジャックが言った通り入場の際には持ち物チェックがあるだろう。
いつものように銃器などの危険物は持っていけない。
KPの裁量に任せるが、基本的には〈隠す〉などの技能を使っても、金属探知機などがあればバレてしまうため持っていかないことを推奨する。
PCによっては相応しい服を持っていないことも想定されるが、19時までにどうにか揃えることが出来たとして良い。
時間に余裕があればロールプレイで支度の過程を楽しむのも良いだろう。

準備が終わり次第以下描写

貴方達は富裕層の中に自然に溶けこめるフォーマルな服装に着替えることができた。
※探索者毎に描写を適宜変えることをお勧めする。(純白のタキシード、光が吸い込まれるかのようなダークスーツなど)
貴方達は車に乗り込むと、アクセルを踏み込んだ。車体は動力を伝って静かに走り出す。
街から港へ。潮の香りが近くなり遠目に海が見えてくる頃。貴方達の懐から招待状がこぼれ落ちた。
━━豪華客船「アガートラム」。
青の招待状が導くそこには、一体何が待ち受けているのだろうか?

※せっかくなので〈運転(車)〉などを振ったりしても構わないが、ファンブルが出ても責任は取れない。
華麗に潜入
19時55分
港で車から降りると、圧倒的な存在感を放つ巨大な船が貴方達を出迎える。
ライトアップされた「アガートラム」は空に煌く星々にも負けず、その勇壮な佇まいで周囲の人々を魅了していた。
港には「アガートラム」を一目見ようという群衆や、著名人にインタビューをしている記者に溢れている。
そんな中、次々と高価なスーツやドレスを身に纏った招待客が乗船していく様子が見えた。
貴方達はその中に紛れ込み、黒のスーツを身に纏ったボーイに招待状を提示するだろう。
ボーイは招待状を確認すると、柔らかな笑みを浮かべて貴方達を歓迎する。
「ようこそいらっしゃいました。豪華客船アガートラムへ。どうぞ御緩りとお楽しみください」

20時00分
貴方達は豪華客船「アガートラム」に潜入する。
情報屋ジャックから受け取った招待状を使えば問題なく入ることが出来た。
全長300m近いアガートラムは海上を走る豪華ホテルといった佇まいだ。巨大シアターや、カジノ、プールなど様々な施設を有しており、内装一つとっても、莫大な金額と腕の良いデザイナーを登用していることが垣間見える。

今回は蔵望家主催のパーティーであるためか、招待客も著名人や富豪が多いようで、
軽く見渡すだけでも、テレビ等で見たことのある人物が見つかるだろう。
そのため、ドレスコードにも厳しく、周囲の人々は煌びやかな衣装で身を包んでいた。
貴方等も潜入するために普段は着ないタキシードやドレスを数十万は下らない金額をかけて用意している。

グランドロビーに入ると、既にパーティーは始まっているようで、
ウェルカムドリンクを片手に談笑する人々がや、パーティーを彩る管弦楽団のクラシックが貴方達を出迎える。
また、富豪の子ども達が退屈しないようにピエロやマジシャンといった者も呼んでいるようだ。

貴方達はバーテンダーからウェルカムドリンクを受け取ると、
自然とパーティー会場の中に紛れこんだ。

※マップの開示を行う。

中に入ればパーティー自体は既に始まっているものの、21時に行われる主催の挨拶を終えてから本格的なダンスパーティーになるようだ。
それまでは周囲を警戒しながら情報を集めるとしたものだろう。

「アガートラム」は12のデッキが重なった豪華客船だ。
デッキ1にはグランドロビーが広がり吹き抜けの開放感がその豪華さを引き立てる。
また、客室が並ぶ廊下を通った先には本格的なコンサートや舞台公演が行われるシアターがある。
デッキ2は大きなカジノが広がる。ここが日本であることを忘れそうな空間だ。
またデッキ1のシアターの2階席はデッキ2から出入りするようだ。
デッキ3はレストランが複数入っている。どれも有名店ばかりだ。またデッキ1のシアターの3階席はデッキ3から出入りするようだ。
デッキ4〜8は客室デッキとなっている。様々なランクの客室が並んでいる。
デッキ9はその殆どが屋外になっており、メインはとても大きな2つのプールだ。
今回は公開エリアになっていないが、この豪華客船「アガートラム」の目玉でもある。
デッキ10はスパエリアがある棟と展望台の棟を2つの通路がつないでいる形になっている。
デッキ11はスパエリアの上層階とテラスがある。
デッキ12はテラスから上がることの出来る展望台だ。

貴方達がいるのはグランドロビーだ。今回のパーティーでの公開範囲はデッキ1、2のみとなっている。
グランドロビーは現在立食パーティーのような雰囲気だ。美味しそうな料理が並び、バーカウンターに行けば好きな酒が飲み放題のようだ。







料理に手をつけるor料理を見る
様々な料理が並んでいる。どれも上質な食材を使い、熟練のシェフが手を加えているものだ。美味しくないわけない。

→〈芸術(料理)〉成功
貴方は様々な料理が並んでいるなかで、いくつか浮いている印象を受ける料理があるのがわかる。
それらは高級料理たちに見劣りしないようにアレンジが加えられているものの、元は簡単な家庭料理といって差し支えない料理だとわかる。

→更に〈知識〉or〈歴史〉成功
イギリス料理に該当するものもあるものの、貴方はこれらがアイルランド料理であることがわかる。


→〈目星〉成功
本当になんとなくではあるものの、他の料理から浮いている、という印象がある料理がある。
特に危険を感じたりする類ではなく、なんとなく種類が違うのだろうかといった程度だ。

→更に〈歴史〉1/2成功
貴方はそれらの料理がアイルランドの家庭料理に似ているとわかる。


周囲を見渡すor歩き回る
→〈目星〉と〈任意の戦闘技能〉の組み合わせロール成功(戦闘技能がない場合は上記描写のみ)
貴方はこのパーティーにそぐわない肉体を持つ人間が何人かいることに気がつく。
貴方達と同じく裏社会の人間かどうかまではわからないものの、あれらは本気を出せばその肉体で人間を殺せる能力がある。
勿論プロの格闘家という可能性もあるだろうが……


シアターに向かう
数百席を超える大型シアターだ。現在は準備中のため何も上演されていないが、
夜にはダンスショーやコメディショー等が行われる。
また、内装にも力を入れており、細かいところまで美しい彫刻が施されているため
それを鑑賞に来る乗客が所々に見受けられる。

→〈目星〉に成功
貴方は気がつく、どうやら最初に上演される公演はもう決まっているようだ。ポスターが入り口前に貼られている。
上演されるのは「鷹の井戸」という作品のようだ。

→更に〈博物学〉or〈歴史〉or成功
『鷹の井戸』(英:AttheHwk'sWell)
アイルランドの詩人ウィリアム・バトラー・イェイツによる一幕物の戯曲。
英雄「クー・フーリン」の物語をもとにしてイェイツが作り上げた5作の戯曲のうちの1作である。
日本の能の特徴を多数取り入れた英語の芝居としては最初に書かれたものだ。

カジノに向かう
扉を開けた先は大きなカジノホールだ。

天井には大きなシャンデリアが宝石のように眩い光を放ち、フロアには赤の絨毯が敷き詰められていた。
様々なゲームテーブルやスロットマシンが配置されており、各テーブルでは、ディーラー服を見に包んだ男女と、
タキシードやドレスで着飾った客がギャンブルに興じている。

煌びやかな風景にあわせて、ギャンブルに熱狂する人々の熱がここまで伝わってくるようだ。
カジノでは「バカラ」「ルーレット」の2種類のゲームで遊ぶことが出来る。


HO0は持ち金を増やしたいので参加する。
※正直このカジノゲームはシナリオ本編に殆ど関係がないお遊びのため、時間に余裕がない場合は省略することも可能。

ギャンブル天国それとも地獄?
前述の取りこのカジノゲームは全て茶番ミニゲームとなっている。やる必要性は殆どない。
ただ作者が探索者のカジノゲームをする姿が見たかっただけである。
探索者達はスタート時に1000c=50万円を所持していることとする。
見事2000cに自分の持ち金をすることができればご褒美がある。
ご褒美はSANを10回復もしくは適宜KPが考えても良い。


「バカラ」
バカラとはトランプを使うカジノゲームの一種だ。簡単にルールを説明すると「バンカー」と「プレイヤー」どちらが「9に近い数字」を出すことが出来るのかを予想するゲームである。今回はCoC仕様に改変を行い以下のルールで進行していく。「バンカー」はKPが、「プレイヤー」はゲームに参加する探索者のうちの1人が担う。べットは10cずつの単位で行う(20c、30c、100cなど)。
点数は1d13の出目で1〜9は数字通り、10〜13は0点となる。競うのは「合計点数の下一桁を9に近づけること」だ。
① まず最初にゲームに参加する探索者は「バンカー」と「プレイヤー」のどちらが勝つかを予想し、コインをべットする。
② 次に「バンカー」と「プレイヤー」は1d13を同時に振る。この時点でべットを変更したい場合は〈幸運〉の成功が必要になる。
③ 全員がべット変更処理を行い終わったあと、「バンカー」と「プレイヤー」はもう一度1d13を振る。
どちらかが8点もしくは9点を出していればゲーム終了。また双方が6点また7点を出していればその場合もゲーム終了となる。
④ 上記に当てはまらなかった場合、「プレイヤー」はもう一度1d13を振る。
バンカーには以下の表に従ってカードが配られたり配られなかったりする。
「プレイヤー」勝利した場合
プレイヤーに賭けていた探索者は賭け金の1倍が配当される。(50c賭けたなら100c返ってくる)

「バンカー」が勝利した場合
バンカーに賭けていた探索者は賭け金の0,9倍が配当される。(50c賭けたなら95c返ってくる)

引き分けた場合もしくは賭けた方が負けた場合
全ての賭け金は没収される。
※KPは最初にすべてのルールを開示した上でゲームを開始すること。


「ルーレット」
ルーレットとは回転する円盤に球を投げ入れ落ちる場所を当てるカジノゲームの一種だ。ここに置かれたルーレットは0を含む37の数字で構成されている。

→〈知識〉or〈博物学〉成功(〈芸術(ギャンブル)〉などの技能を修得していれば自動成功で構わない)
ルーレットには大きく分けて2つの種類がある。0、00を含む38の数字で構成された「アメリカンルーレット」。そしてこの「ヨーロピアンルーレット」だ。多く出回っているのはアメリカンルーレットのため、何かこだわりがあるのかもしれない。

べットは10cずつの単位で行う(20c、30c、100cなど)。

①ゲームに参加する探索者はべットを行う。(べットの種類は後記)
②KPは1d37を振る。37→0とする。
③賭けた数が出れば配当金がもらえる。

★もし、出た出目が配当金がもらえる数字と隣り合っていた探索者がいた場合、探索者はスペシャルチャンスとして〈幸運〉1/2を振り、成功すれば「ボールは惜しくも隣のポケットに入ったかに思われた……しかし、ギャンブルの女神が微笑んだのだろうコンッと軽い音を立てボールは弾かれ、貴方が賭けたポケットへと吸い込まれていった」というように描写を行い、ボールが入った場所が変わる。



「賭け方の種類」(KPの管理が難しそうであれば省略し、ストレートアップのみにするなど適宜変更して構わない)


●ストレートアップ
ストレートアップは別名「シングルナンバー(Single Number)」と言って、1つの数字に対して賭ける方法で、37個の数字とゼロを含んだ全てに対して賭けることができる。1点賭けは当たる確率が極めて低いため、当たると高配当が期待できる。
配当:36倍

●スプリット・ベット
スプリット・ベットは、隣接した2つの数字に対して賭ける方法で、ストレートアップと比較すると勝率は上がるが、それでも2/37となるため高配当が望める。
配当:18倍

●ストリート・ベット
ストリート・ベットは別名「Trio Bet(トリオ・ベット)」と言って、1列の数字3つに対して賭ける方法。
配当:12倍

●コーナー・ベット
コーナー・ベットは別名「Quad Bet(クゥアド・ベット)」「Quarter Bet(クォーター・ベット)」「Square Bet(スクエア・ベット)」と言って、4つの数字に対して賭ける方法。
配当:9倍

●ダブル・ストリート・ベット
ダブル・ストリート・ベットは別名「Line bet(ラインベット)」「Six Numbers Bet(シックス・ナンバーズ・ベット)」と言って、2列を利用して合計6つの数字に対して賭ける方法。
配当:6倍

●フォー・ナンバー・ベット
フォー・ナンバー・ベットは、数字1,2,3+0の4つの番号に対して賭ける方法。
配当:8倍

●ダズン・ベット
ダズン・ベットは別名「Section Bet(セクション・ベット)」と言って、1st 12(1~12の数字)、2nd 12(13~24の数字)、3rd 12(25~36の数字)のグループごとに賭ける方法。
配当:3倍

●カラム・ベット
カラム・ベットはルーレットのレイアウトを縦1列、横3分割にして、上・中央・下の段のそれぞれ12個の数字に対して賭ける方法。
配当:3倍

●レッド・ブラック
レッド・ブラックは赤か黒、どちらかの色に賭けるというシンプルな賭け方。
配当:2倍

●ハイ・ロウ
ハイ・ロウはハイの数字(19~36)、ローの数字(1~18)のどちらかに賭ける方法。
配当:2倍

●オッド・イーブン
オッド・イーブンは数字の奇数か偶数かに賭ける方法。
配当:2倍
ダンスパーティーの始まり
21時00分
グランドロビーが見える位置に招待客が集まっていく。
その中央には、上品な如何にも金持ち然とした男女がたっており、本格的にパーティが始まることを予感させた。
男の方が一歩前へと踏み出し、挨拶が始まる。よく通る厳かな声はグランドロビーに響き、招待客の注目が集まる。
貴方達はその姿を見て、彼らが主催である蔵望家の主人、重隆(しげたか)とその妻、麗蘭(れいら)だろうと確信する。
しかし、貴方達は……主催者である重隆ではなく、その背後の美しい女性に目を奪われた。
嫋やかにブロンドを艶めかせ、凛と立つその顔立ちは日本よりも異国の血を色濃く感じさせる。
成熟した女性であるものの、どこか少女めいた幼い顔立ちは、その美しさを際立たせていた。
しかし、貴方達が彼女に目を奪われたのはその美しさのせいではない。
彼女の首元で光るペンダント。そこには見たこともないほど大きく、美しい、ブルーサファイアが輝いていたからだ。
重隆は、定型文ともいえる招待客や関係者への感謝と歓迎を述べた後、一呼吸おいてこう続ける。

「それでは、これから私の2つの宝を紹介しましょう。本日はこれを見に来た人も多いのではないでしょうか」

そう重隆が促せば、あの女性が一歩前に出て、重隆の隣に立つ。
重隆はお気に入りのコレクションを自慢する子どものように少し声を上ずらせる。

「彼女が我が娘、リアン。そして彼女がつけている素晴らしい宝石こそ、世界最大級のブルーサファイア。『碧の瞳』です」
彼女は綺麗にお辞儀をし、微笑んだ。

「娘は長らく海外で生活していましたが、この豪華客船アガートラムの初航海に合わせ帰国しました。語学も堪能で、3ヶ国語を話すトリリンガルです。我が娘ながら美しく、『碧の瞳』にも負けてはいないのではないでしょうか?」

そう冗談めかした口調で話す重隆は相当な親バカなのかもしれない。

「そしてこちらがブルーサファイア『碧の瞳』。この宝石は妻の血筋の家宝でありました。しかし厳重に保管するあまり人の目に殆ど触れたことがなく、そのことを知った私はこの宝石に一目惚れしてしまい、こんなに素晴らしいものが埋もれたままであるのは世の損失だと訴え、こうして皆様の元にお披露目するに至りました」

「これからダンスタイムがはじまります。勿論、娘も参加させていただきますので彼女に選ばれれば『アオノヒトミ』も間近でご覧になることが出来るでしょう」

「それでは、どうぞ豪華客船アガートラムで過ごす素晴らしい夜をお楽しみください」

その言葉と共に音楽団がダンスミュージックを流し始める。
貴方達は突然現れたターゲットを前にどうするだろうか。


リアンをダンスに誘う
彼女をダンスに誘うため近づこうとすれば、既に多くの男性、そして『碧の瞳』を近くで見たいのだろうか女性も彼女のそばに群がっている。
しかし、どうやら既に何人もすげなく断られているようだった。

彼女をダンスに誘うためには交渉系技能の成功、もしくは〈APP*5〉の成功が必要だ。
その他なにか彼女の興味を引くことが出来る技能や、交渉材料があれば使用して構わない。
また、女性であっても彼女を誘うことは可能だ。辺りを見渡せば何組か同性同士で踊る人を見つけることが出来るだろう。


→上記の条件を達成
彼女はするりと差し出された貴方の手を取った。
「さぁ。踊りましょう?」
そう言ってグッと縮まった距離で貴方を映した彼女の瞳は首元のブルーサファイアにも見劣りしない、深く透き通ったブルーだった。

踊っている最中に彼女に話しかけることが可能だ。

※特になければ飛ばしても構わないが、KPは好きに質問できることや、こういう場面において口説いたり会話をすることは一般的なことだと伝えて何か話すことを促すとよいだろう。

程なくして曲の終わりが近づいてくる。
そうすれば彼女は最後にただでさえ近いその距離を縮めるようにして貴方の耳元で囁く。
それは異国の言語で貴方は咄嗟にはなんと言われたのかわからないだろう。

※彼女は自分に興味がないなんて! とムカついているだけです。
もしも探索者が彼女の趣味や好きなもの等を聞いた場合は適宜改変してください。

「それでは失礼いたしますわ」

今度こそ流暢な日本語でそう告げて彼女は貴方から離れていく。

→〈その他の言語(アイルランド語)〉成功(探索者がこの技能を持っていない場合は技能開示せずに判定を行わせること)
あれはアイルランド語だ。
「くっそつまらない話をありがとう」
とアイルランド語で言われたのだ。

→〈その他の言語(アイルランド語)〉所持しているものの失敗or英語1/2成功
あれはアイルランド語だ。しかし何を言っているかまではわからない。

→シークレットダイス〈心理学〉成功
なんとなく馬鹿にされたような気がする。


周囲に聞き込みor聞き耳を立てる
→〈交渉系技能〉or〈聞き耳〉成功

以下の内容がわかる。

・蔵持家は所謂解体された財閥の一つで、しかし未だに多くの資産を有している資産家である
・様々な企業への投資や貧しい国への寄付なども行っている
・現当主の蔵持重隆は少し変わり者である
・娘のリアンは今年20歳になり日本に戻ってきたそうであの有名な名門門矢大学に通っているらしい
上記の描写が終わったあとHO3のみ〈聞き耳〉を振る
→〈聞き耳〉成功
貴方はこの空間にそぐわない物を嗅ぎ取ってしまう。ふわりと漂うそれは硝煙の香りだ。
一般人よりも遥かに嗅ぎなれてしまったソレに貴方は原因である人物を探し出そうとするかもしれないが、この人の数では難しそうだ。

→更に〈アイデア〉成功
先程すれ違ったのは男だったように思う。次に一目見ることさえできればすぐにわかるだろう。


21時55分

貴方達はそうして各々オーダーコンプリートのため、情報を集める。

そんな中、ダンスミュージックが止まった。グランドロビーの中央に何やら台が組まれていく。
どうやらしばしの休憩を兼ねてのショーが始まるようだ。
ピエロが愉快な動作で壇上に上がる。人々の視線は自然とそちらに集まることだろう。

→〈目星〉成功
人々の視線を避けるようにしてリアンがロビーから抜け出すのに気がついた。


貴方達は彼女を追うことになるだろう。
パーティーを抜け出して
パーティーを抜け出したリアンを追っていけばデッキ9まで来てしまっていた。公開範囲以外の通路は封鎖されていたものの、彼女に着いていけば裏道のようなものなのか誰もおらず、警戒するのは彼女に気づかれないことだけで良かった。

彼女は誰もいないと思っていることで気が緩んでいるのか何やら歩きながらブツブツと呟いている。

→〈聞き耳〉成功
どうやら英語で何かを言っているらしい。

→更に〈その他の言語(英語)〉成功
「まったくお母様もお父様も勝手だわ。そりゃ、ワタシは可愛いし、美人だし、愛想もいいけれど、あんなふうに見世物みたいにするなんて」
「挙げ句、ワタシはマネキンなのかしら? 宝石のおまけみたいな扱いには耐えきれないのよ」
「それにどいつもこいつもお父様の財産や、お母様の血筋に取り入ることしか考えてないやつばっかり」
「ソレに加えて自分たちだけさっさと引っ込んでこの船を満喫しようとするなんてズルいすぎるのよ」
「乗り込んでやるんだから」
以上を早口で殆ど一息で言っていることがわかる。
※リアンは両親が大好きなので一緒に過ごしたかったのに! とプンスコしている。

→更に〈アイデア〉成功
その内容から、どうやら彼女の両親の部屋に向かうようだとわかる。
推測するにデッキ9のロイヤルスイートルームだろう。

→更に〈ナビゲート〉成功
ロイヤルスイートルームに向かうための道はいくつかあるが、エレベーターと階段の場所が離れていたことを思い出す。
当然同じエレベーターに乗るわけにはいかない。今から階段を登れば十分に彼女とデッキ9で余裕を持って合流出来るだろう。
このままエレベーター直前まで追っていった場合は全力階段ダッシュをするはめになる。

→更に〈ナビゲート失敗〉
貴方達はそのまま彼女を追っていく。しかし、彼女がエレベーターに乗り込んだことで貴方達は気がつく。
ここから階段までは少し距離がある。さぁ、全力階段ダッシュのお時間だ。

※このナビゲートに成功してもしなくても以下のイベントが起こることに変わりはない。
そもそもの〈その他の言語(英語)〉や〈アイデア〉に全員が失敗した場合HO0の自動成功にするなど適宜調整すること。


危険な香り
貴方達は彼女に合流するため階段を登っていく。

→〈聞き耳〉成功
何故か硝煙の香りがする。

→〈アイデア〉成功(一度硝煙の香りを嗅いでいるもののみ)
貴方は直感する。あの男に違いないと。

気になるものの貴方達は今は彼女を追わなければならないだろう。


合流。そして、
貴方達は無事、彼女に追いつくことが出来る。(やはり予想通りロイヤルスイートルームに向かうようだ。)
彼女は持っていたカードキーを使い、中に入る。しかし程なくして、中から悲鳴が聞こえた。
悲鳴と逃走
突然の悲鳴に警戒した瞬間、目の前の扉は開かれ、扉を開けたのであろう彼女は当然貴方達の姿を認めた。
しかし彼女は速度を緩めることなく走り出す。そして(ダンスをしたPC)の手を取って、そのまま手を引くと、こう叫んだ。
「あんた達! 金ならいくらでもあげるから、あの人殺しからワタシを守りなさい!!!!」

貴方達は手を引かれ、走りながら振り返る。
閉まる扉の先、そこには少女のようにも見える可愛らしい服を着た女と全身を真っ赤な血で染め上げ2本の日本刀を構えた男が立っていた。
貴方達の本能が騒ぐ、あの男は駄目だ、と。
十分に準備をしていたのであればまだしも貴方達は今いつもよりも遥かに薄い装備だ。
このままでは束になってかかっても難しいと経験が言っている。
兎にも角にも貴方達はこのわがままなお嬢様と共にこの明らかにおかしい二人組から逃げなければならない。

※紫と京橋はすぐには迫ってこない。これは始末屋の様子を伺っているため。
そもそもリアンを殺す気はなく、クイーンの手先を追い払ったところに入ってこられて勘違いされただけである。
ちなみに彼らは窓から侵入した。



逃走の手引
彼らの視界から逃れるためには3回以内にDEX*5を半数が成功させる必要がある。
また、視界から逃れたとしてもすぐに安心はできないだろう。彼らが諦めたわけではないのだから。

※1回逃れても見つかりかけて逃げるというのを3回繰り返す。
条件を達成できないことがあった場合は逃走失敗の描写へ。

→ロイヤルスイートルームから客室へ
貴方達はリアンに手を引かれ、どうにか彼らの視界から逃れることが出来た。といっても、即座に空いていた客室に身を潜めただけだが。
少しの間であればここで身を潜めることが出来そうだ。

・何があったのかを聞く(PCが効かなければHO0が促すと都合がいいだろう)
「ワタシが部屋に入ったら、部屋中が血まみれだったのよ。きっと、お父様もお母様も殺されてしまったのだわ」

・あの二人組みを知っているか
「知るわけないでしょう。あんなの化け物よ。妖怪かもしれない」

・殺される心あたりはあるか
「わからないわ。だってお金持ちなんだもの、いくらだって心あたりはあるわ」
「でも今日に限っていうなら、やっぱりこれじゃないかしら」そう言って首元のペンダントを撫でる。

・『碧の瞳』について詳しく聞く
「元はお母様の血筋の家宝であるブルーサファイアをお父様が無理やり引っ張り出して加工して出来たのがこのペンダントよ」
「本当に昔から引き継がれている大切なものらしくて、お祖母様はかなり嫌がっていたけれどね」
「なんでもこの石には神の加護があるって」
「でもお父様はだからこそ譲って欲しかったみたい。そういうオカルトチックな話が好きなの」
そういう彼女の瞳は伏せられており、混乱が落ち着いた今、両親を亡くしたことへの悲しみに満ちているのだろうと分かる。
「ワタシだけ守られたってなんの意味もないのに……

ある程度話した段階で、以下のように言って移動する。

……あんた達丸腰じゃ困るでしょう? 行くわよ」

※PCが止めたりする場合、HO0が報酬を理由に止めたり、リアンにとにかく着いてくるように促すこと。

客室からそろりと頭だけだして辺りを確認すれば近くに人影はない。
リアンの案内で貴方達はそろりそろりとロイヤルスイートルームに向かおうとする。

→〈目星〉成功
気のせいだろうか。何故か廊下の先、ガラス扉の向こうに見えるプールに飛び込むあの男が見えた気がする。
背中を向けているが何故、プール……。ともかく向こうに向いているうちに移動しなくては。



→客室からロイヤルスイートルームへ
貴方達はあの男に気づかれることなくロイヤルスイートルームに入ることが出来た。
そこは酷い有様だった。折角の調度品には血が飛び散っているし、本来であればふかふかのラグも血が滲みているのか、ぐちょりと嫌な感覚を足裏に伝えてくる。

リアンはなにやら探しものがあるようでずんずんと中に入って行ってしまう。

※死体はない。重隆と麗羅は奥の部屋のウォークインクローゼットの中に隠れているが、気絶しているため出てこない。
殺されかけているところに遭遇した京橋と紫が2人を助けて、クローゼットの中に運び、出てこないように言い含めた。
奴らを追いかけようとしたタイミングでリアンに遭遇し勘違いされてしまう。

改めて部屋を見渡してみると、改めて部屋を見渡してみると、実用性よりも芸術性を重視したであろうSの字のような形の本棚。
窓際には写真の面が伏している写真立て、備え付けではない個人所有であろう金庫がベッドサイドに置かれているのが見つかるだろう。

→本棚を見る
本棚には数冊の本がある。その殆どが異国の言語で書かれているが、一冊だけ日本語で書かれた本を見つけることが出来る。
タイトルは「百鬼夜行研究」著者は蔵望重隆だ。この短時間で概要を掴むためには〈図書館〉の成功が必要だ。

→〈図書館〉成功
どうやらこの本はタイトルの通り百鬼夜行についての研究を扱っているようだ。百鬼夜行とは鬼や妖怪などが群れ歩いているとされており、百鬼夜行と簡単にいえど、今昔物語集をはじめ多種多様な説話が残されている。この本はそれらを系統別にまとめ、一つ一つの説話についても解説しているようだ。その中で、一つ異質な説話があるのが目に止まる。海外の百鬼夜行についての説話だ。

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ワイルドハントとは、ヨーロッパで広く伝わる伝承である。
伝説上の猟師の一団が、狩猟道具を携えて馬や猟犬と共に、空や大地を大挙して移動していくといった内容だが、このワイルドハントの首領は、アーサー王であったり、オーディンであったりと各地で諸説ある。ワイルドハントの集団は、死者の魂であるともされている。ワイルドハントは、ハロウィーンとも関連があり、現世と霊界との壁が薄くなる時期に出現し、死者の霊を連れて行くのである。冥界からの死者であったワイルドハントは、時代が進むにつれて百鬼夜行の群れと化した。ワイルドハントが引き連れる猟犬や狼は、獣に変身する北欧神話のバーサーカーであるともされている。さらに面白いことに、8本脚の馬スレイプニルを駆り、馬車に乗って、死者の霊を引き連れて空を掛けるオーディンのイメージはやがて、8頭のトナカイが引くソリに乗り空を掛けるサンタクロースのイメージにもつながっていったらしい。暖炉のそばに靴下をぶら下げて置く風習も、元々はスレイプニルの為に干し草と砂糖をブーツに入れておくと、オーディンは施しへの見返りとして贈り物を残していたという風習だったという。
また、ワイルドハントの首領は、狩りの群れに遭遇した人物に何かしらの度胸試しを行い、この試練をクリアした者には黄金などの褒美が与えられるが、不合格だった者は命を奪われ連れていかれてしまうという話もある。ヨーロッパの家に伝わる家宝について逸話を尋ねれば該当する人間がいるかもしれない。
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→写真立てを見る
写真立てには若き日の重隆、麗羅、そしてまだ10にも満たないころのリアンが写っている。
リアンの誕生日の時の写真のようだ。ロウソクが立てられたケーキに飾り付けられた部屋に仲の良い家族なのだろうということがわかる。

→〈アイデア〉成功
そういえば明日はHO0の誕生日であったことを思い出す。


→金庫を見る
かなり大きめの金庫だ。わざわざ持ち込んだのだろうか。鍵はダイアル錠でアルファベットと数字の11桁だ。
パスワードを知っていなければ絶対に開かないだろう。

※基本的にリアンが開けるまで開けられない(天文学的確率で開けられたら開けてもいいです)。



探索が終わった時点でリアンが奥の部屋から戻ってくる。

「はい。好きにとっていいわよ」

そう言って引きずってきた大きな麻袋を貴方達の方によこした。
中を見れば武器、武器、武器。
リアンは貴方達になんでもない様子で「好きなものもって行っていいわよ」と告げた。
そして金庫の方に向かおうとする。

→これは何かと尋ねる
「護身用の武器たちよ。海外ではこれくらい普通だわ。今日だって、そもそもボディーガードすら殆ど雇っていないのがおかしいのよ」

※勿論普通ではない。ちょっとリアンのおつむがお花畑なだけ。
また彼女に使えるのかと訪ねれば、使えるわよ! と行ってスタングレネードや手榴弾などの技量があまり必要のないものを手に取る。
彼女の〈投擲〉は30%ある。

手で持てるサイズの武器、大きすぎないものであれば大体ある。
いつも使っている武器を持っていくことが出来るだろう。

貴方達が武器を選んでいる間に彼女は金庫を開け、中からおもむろに札束を取り出した。

「これが報酬よ。なにもあいつらを殺せなんて言わないわ。確実にあいつらをこの船から退場させてくれるだけでいい」

そう言ってドスンと積まれたのは3000万円。

「準備をなさい」

そういう彼女の表情は傲慢なお嬢様というふうにしか見えないが、透き通るような碧の瞳が揺れていることに貴方達は気がつくことだろう。
当たり前だ。こんな状況で怖くないほうがおかしい。

※基本的に承諾する以外のルートはない。また、対価に『碧の瞳』を要求すれば彼女は拒否するものの交渉系技能次第ではあの二人組を始末出来たらいい、というところまでは譲歩して構わない。(京橋がシナリオ展開上死ぬことはないため)
HO1が交渉系技能で無理やり従えさせようとしても神の加護がある彼女には効かない。

準備が整えば彼女はこのように貴方達に声をかける。

「さあ! 反撃の開始よ!」
「といってもこの船をこれ以上汚すわけにはいかないわ。展望台に行くわよ」
「そこで待ち構えるの!」

※展望台が一番ものがなく、汚れても洗える場所だから。プールは衛生的によくないという判断。

貴方達は再度移動を開始する。依頼主は彼女なのだから、その命令に逆らう理由もないだろう。


→ロイヤルスイートルームから展望台
貴方達は異様な2人組を撒いて無事に展望台までたどり着いた。
360度の海と満天の星空を見渡せる「アガートラム」の絶景スポットの一つだ。

始末屋としての経験、そして敵対する2人組の装備を総合して思考し良い立地だと判断する。
相手の主武装は明らかに男の刀だ。その佇まいと身のこなしから絶対に接近を許してはならない。

今までは逃げ惑うしかなかったが、それもこれまでだ。

展望台は360度見渡すことができる。それはつまり遮蔽物がないということ。
身を隠す盾がなく、銃撃に晒され続けるとなれば流石の奴も接近は難しいはずだ。

そして、銃撃を警戒し、こちらが攻撃する前に闇夜に身を潜め接近するもの不可能だ。
月が貴方達を祝福でもしてくれているのだろうか、本日は雲ひとつない星月夜。
月光が辺りを照らすこの状況下において、貴方達がネズミ1匹見逃すことはないだろう。

ついに激突
貴方達は敵を待ち受ける。
そして奴らが姿を現した。さぁ、パーティーの始まりだ。

戦闘開始

戦闘パート
戦闘R開始前に京橋は先制攻撃を行う。(AFの効果によるもの)
その後、DEX12のターンでも動く。

紫は待機を選択し攻撃された場合、回避判定を2回振れる。

紫のターン:女はオロオロと男と貴方達を交互に見合わせているが、男が貴方達に切りかかるのを見ると「あっ……!」と声を漏らす。

1R目が終わった段階で以下の描写。

男が再び貴方達に切っ先を向けてきたその時、隣にいた女が声をあげる。

「だ、ダメですよ那月君! その人達は殺しちゃいけないって言われてるじゃないですか!!」

すると、男の動きがピタリと静止する。

「だってさーゆかりっち、向こうから襲ってきたんだし仕方なくね? ? 正当防衛ってあるし、俺悪くないと思うんだよねー」
「それはそうですけどー! でもお金貰えなくなっちゃうとまた私バイト掛け持ちしないといけないので!! 生き物って切れば死ぬんですよ!? ? せめて気絶させる程度に……

※紫は4人分の生活費を稼がないといけないので殺し屋の傍らにバイトを転々としている。生活がかかっている為必死だ。

待て、どういうことだ? 彼らはリアンと彼女を守っている自分達を殺そうとしているのでは無いのか?
何やら言い合ってた2人だが今度はこちらに話しかけてくる

「貴方達も急に襲ってきて酷いじゃないですかー! まだ私たち何もしてないですよ!」
「ていうか俺たちその女のこと守りに来たんだし。ねー、ゆかりっち」

そんな彼らの言葉にリアンが声を上げる。

「嘘よ! お父様もお母様も殺したくせに!」
「いや、殺してませんから! 生きてますからね!? 誤解です!」
「えっ!?」
「血濡れですけどクローゼットにいますから! ちゃんとまだ生きてるので!!」
「むしろこっちは味方っていうかむしろ恩人な訳じゃん? なのにさー、勝手に早とちりして俺達のこと殺そうとか酷くない? ?」
だがそう言う男は血濡れだ。これで誤解するなという方が無理があるだろう。


※HO3が拳銃を使った場合は「何かが頭を揺らす感覚がある、その感覚は前よりも強くなっている気がした」と、必ず個別描写を入れる。



乱入と共闘
貴方達は彼女の発言に驚き、問い詰めようとすることだろう。
しかし、次の瞬間一発の銃声が貴方達の間に響いた。素早く視線を走らせる。
そこには、10人あまりのスーツ姿の男たち。全員が何かしらの武器を構えている。

「やぁやぁ、お揃いで」
「さっきはいきなり切りかかってくるものだから驚いたよ」

貴方達は突然乱入してきた男たちに戸惑うことだろう。更に男は言葉を続ける。

「なに、傷つける気はないんだ」
「そこの娘をこちらに引き渡してくれればいいのさ」

そう言ってニタリと嫌な笑みを浮かべる。
人数で勝っている上に、非戦闘員がいるこちらの状況をみて拒否することが出来ないと踏んでいるのだろう。
リアンが叫ぶ。

「あんた達の狙いは“アオノヒトミ”ね!」

男は答える。

「ああ、よくわかっているじゃあないか。さぁ、ここは逃げ場もない。さっさとこっちに来るんだ」

※奴らが狙っているのは、リアンの瞳のことである。

→差し出そうとする
貴方達が彼女を差し出そうとすれば紫がそれを止める。
「大丈夫です。こんな奴らには負けません。那月君は強いですから」
「戦わないなら下がっていたほうがいいですよ」

→断る
「そうか。なら、力ずくで奪わせてもらおう」

戦闘再開


戦闘パート2
※敵の数は11〜15人。始末屋たちの戦闘能力に合わせて適宜変更。
参考データは下記に記載。

京橋が基本的に2Rに1人は殺せるくらいの性能があり、なおかつ1R目には2回行動出来るため、そこも加味して調整すること。

敵データ


敵A・B・C・D
HP10
警棒(部位によって成功値ダメージ値が変化) 身体50% 1d3 / 頭20% 1d6 / 耐久値10
ショックロール 30% / 回避ロール 10%

敵E・F
HP8
改造銃 40% 1d6 / 射撃回数1回 / 故障ナンバー96~00 / 装弾数6 / 耐久値6
ショックロール 30% / 回避ロール 12%

敵G・H・I
HP9
メリケンサック 60% 1d3+1 / 耐久値10
ショックロール30% / 回避ロール 15%

敵J・K・L
HP8
ムチ 30% 1d3 または 組み付き / 耐久値4
ショックロール 20% / 回避ロール 11%

敵M・N
HP12
青竜大刀 20% 2d6+2 / 耐久値30
ショックロール 40% / 回避ロール 9%

敵O
HP8
チェーンソー 20% 2d8 / 故障ナンバー97 / 耐久値20
ショックロール 10% / 回避ロール 8%




※ショックロールとはノックアウト判定時の成功値(CONを設定していないため)
HO5の攻撃の最大ダメージが敵を殺す可能性がある場合、回避ロールの出目に関わらず自動成功扱いになる。
そのため、敵たちの回避ロールは全てシークレットダイスで行うことが望ましい。
また、敵の数が多いため、行動順によって処理が複雑化したり、戦闘のマンネリが考えられるため適宜調整してほしい。

※HO3が拳銃を使った場合は「何かが頭を揺らす感覚がある、その感覚は前よりも強くなっている気がした」と、必ず個別描写を入れる。




【死体が3体発生するたびにHO2に個別処理】
目の前にドサリと倒れる肉塊に欲求がグワリと湧き上がる。

〈POW*3〉の判定
→失敗
ちょっとだけならいいじゃないか。この乱闘の中ではバレることもないだろう。
そう思ってしまう。死体に近づき、ぺろりと血を口に含めばその欲求は少し薄れる。

→成功
駄目だ。と思いとどまることが出来る。

→ファンブル
ちょっとだけならいいじゃないか。そう思ってしまう。そうして手を伸ばし、口に含んだとき視線を感じる。
誰かに見られただろうか。ぺろりと血を口に含めばすぐにその欲求は薄れる。
敵だろうか? まぁこの程度の奴らに知られたところで問題はないだろう。

※ファンブルの場合のみ、KPはシークレットダイス1d4を振る。HO順に並べた時の対象に以下の描写。
「戦闘中、貴方はHO2が口元を拭って笑ったように見えたが、その場で追求することは叶わない」





残り1人になった段階でターンに関わらず描写に移る


10人余りもいた男達だったがすでに息をしているのは1人だけだ。
男はこう喚く。

「くそ、小娘1人の目玉を抉るくらいわけないはずだったのにっ……!」
「お前のその青の瞳を女王に献上すれば俺たちだって成り上がれると」

そこまで言ったところで京橋が男の体を真っ二つに切り裂いた。

「ごちゃごちゃうるせぇな! さっさと死にやがれ!!」
「那月君、切っちゃったのでもう死んでますよ」

と言いつつ紫はテキパキと死体を解体し、パーツ毎に黒いゴミ袋に詰めていく。京橋は鼻歌を歌いながら如何にも機嫌良さそうに紫の作業が終わるのを待っているだろう。
そんなタイミングで『たーべるんごたべるんご山形りんごを食べるんごー♪』という気の抜けた携帯の着信音が突然鳴り響く。

※たべるんごのうたを着信音に設定している。適宜変えていい。

「もしもし? どうしたんですか?」

どうやら突然の着信音は紫の携帯のものだったようだ。

※『』内は電話越しのキングの声の為、読み上げなくて良い。
『紫雲、京橋を連れていますぐ戻って来てくれ』
『とにかく早くだ。碧の瞳はとりあえず放置でいい』

「えっ、すぐに戻ってこい? はい、はぁ、わかりました。那月君、撤収です」
「あー? アレまだだけどいい訳?」
「なんかそんな感じらしいのでいいんじゃないんですかね?」
「ふーん、ならいっか! めっちゃ人切れて俺は満足してるし! でももうちょっと遊んでから帰っちゃダメ?」
「いいから帰りますよ! ほら、こっちの袋運ぶの手伝ってください!」
「はーい。よっと!」

そう言ってバラバラにされた死体の一部が詰め込まれた袋を抱えた2人は展望台のデッキから軽々と飛び降り、闇の中へと消えていった。


戦闘終了



パーティーの終わり
残されたのは貴方達とリアン、そして大量の死体。
戦いは終わったのだ。
しかし、貴方達はもう一つの問題に直面することだろう。
あの男はなんて言っていただろうか。
女王に“アオノヒトミ”を献上すると言っていたのだったか。

→〈アイデア〉成功
そう何人も“アオノヒトミ“を求める、女王(クイーン)がいるものか。
貴方は理解する。今回のオーダー。
それは目の前に立つ女性、蔵望リアンの瞳を始末することなのだと。
SANc 1/1d5
始末屋とはなにか
貴方達は選ばなくてはならない。
貴方達は始末屋として一度としてオーダーをコンプリート出来なかったことはない。
しかし、リアンは悪人ではない。それはここまで行動してきた貴方達が一番良くわかっていることだろう。
それにリアンは知らないのだ。貴方達が“アオノヒトミ”を始末しにきた始末屋だなんてことは。
2つのブルーの煌めきが貴方達を映していた。
さて、貴方達はどのような選択をするのだろうか。


貴方達には3つの選択肢がある。
「リアンの瞳を抉る」「碧の瞳を奪う」「今回のオーダーを諦める」
※前2つの選択肢を選んだ場合、クトゥルフ退散の儀式を行うのが非常に困難になるため、なるべくKPは諦める方向に持っていくこと。
また、殺し屋2人を殺していないため、碧の瞳を渡してくれることはない。

その選択肢を前に貴方達は顔を見合わせることだろう。

→〈アイデア〉1/2成功
HO0の姿がないことに気がつく。いつの間にいなくなったのだろう。
しかし、いまはそんなことを気にしている場合ではない。

※もしもこのタイミングで全てを置いてHO0を探しに行くことにした場合、「今回のオーダーを諦める」の選択をしたという処理になる。

リアンの瞳を抉る
貴方達はリアンの方へ顔を向ける。
そこには、先ほどまで共に戦っていた仲間の姿はなかった。
淡々とミッションをこなす、冷酷な始末屋の姿があるだけだ。
リアンは何かを察し、逃げ去ろうとするが直ぐに始末屋のメンバーに拘束されてしまうだろう。

「貴方達……なにをッ……!!」
…………

恐怖で顔を歪ませるリアン。
宝石の様な碧の瞳から一筋の滴が頬を伝った。

「ねぇ……な、なにをするの……?」

足が弛緩し座り込んだリアンに対して貴方達は無言を貫いた。
月明かりを背にしながら、ゆっくりと手を……リアンの瞳へ伸ばす。
リアンはふるふると弱々しく頭を振るがその些細な抵抗さえも抑えつけられ、
まぶたを強制的に開かされる。

「やだ、やだやだやだあああああああ!!」

━━━ぐちゅり。

絶叫が月夜に響く。
後に残るは、目から血を流し、気絶した哀れな少女と、
その手に収まった━━━残酷なまでに美しい碧の瞳だけだ。

オーダーはコンプリートした。
もうこの場に用はない。
闇に溶けて貴方達は家路につくことだろう。


碧の瞳を奪う
━━碧の瞳をよこせ。

抑揚のない冷たい声がリアンの鼓膜を震わせた。

「え?」
「聞こえなかったか? その身に付けた碧の瞳を渡せと言ったんだ」

貴方達の雰囲気から冗談ではないと悟ったのだろう。
リアンは両手で碧の瞳を強く握りしめ貴方達を睨んだ。

「そう……あんた達も同じ穴の狢ってわけ」
「ワタシの目も節穴ね……信用できるかもなんて……ばっかみたい」

貴方達はペンダントを力ずくで奪おうとするが、
明らかに丈夫な造りには見えない華奢なチェーンはどれだけ力を込めても引き千切る事はできなかった。
留め具を外そうとしても何故か外すことができない。
リアンはその様子を見て、蔑んだ表情を浮かべ、告げた。

「何故かワタシ以外外せないのよ……諦めたら?」

→殺すぞと脅す
カチャリと無機質な音が鳴る。
貴方達はその手にある凶器、リアンから譲り受けたその拳銃をリアンの眉間に押し付けた。
人差し指がほんの数センチ動かすだけで、リアンの端正な顔はザクロの様に吹き飛ばされるだろう。

………………

リアンもその未来が容易に想像ついたのか、表情が凍りつく。瞳孔が開き、青い宝石の様な瞳から涙が浮かんだ。
貴方達がペンダントを外せと命令すると、か細い声で「……はい」と首肯し、震える手で碧の瞳を外した。

→碧の瞳を壊す
貴方達は手に取った碧の瞳を宙へと放り投げた。
それは綺麗な放物線を描き、月光を反射しながら幻想的な色彩を見せる。
そして碧の瞳が放物線の頂点にたどり着き、闇夜に輝く月と重なった瞬間。

1発の銃弾が貴方達の手から放たれた。
その銃弾は寸物違わず、碧の瞳の中心を捉えると、
呆気なく砕け散り、その破片は流れ星の様に飛散する。

「あぁ…………

リアンはそれを声もなく、ただ涙を流しながら見つめていた。
コツンと大きめの欠片がリアンの近くに転がり落ちる。
リアンは、それを大事そうにつまみ胸に抱き締めると、子どもの様に泣きじゃくった。

「━━━━っ!!!!」

オーダーはコンプリートした。もうこの場に用はない。闇に溶けて貴方達は家路につくことだろう。

━━ゆるさない。

そんな怨嗟の声が背後で聞こえた気がした。





今回のオーダーを諦める
貴方達にそんなことは出来るわけがなかった。貴方達は始末屋だ。
この浮世で悪事を働く者たちを闇に紛れ始末する。目の前の彼女は紛うことなくあちら側の人間だった。
どうあがいても、こちらの人間ではなかったのだ。元に、今も目の前の惨劇をみて手が震えている。
それでもなお、へたり込まずに気丈に立ち続けている。
貴方達のことだとて怖くないはずがないのに自分を守ってくれたという自覚があるからだろう、貴方達に怯えた様子も見せようとしない。
突っ立ったままの貴方達に彼女は告げる。
「ご苦労さま。あんた達、とっても強いのね」
「見直したわ。……ありがと」
そう言ってふわりと照れたように微笑んだ後、ツンと彼女はそっぽを向いた。
そして言葉を続ける。

……この死体はワタシがどうにかしておいてあげる。お父様、お母様が襲われていたのが幸いだわ。力になってくれるもの」
「さぁ、さっさと消えたらいいんですわ。殺人罪で捕まりたくなかったらね」

そう言って彼女は月を見上げた。

「ワタシはパーティーを抜け出して月をみていただけ。そうでしょう?」

貴方達に背を向けた彼女は振り返ることはない。
こうして貴方達の長いような短いような逃走劇は終わりを迎えたのだ。

貴方達はオーダーを諦めた。
始末屋開始以来の失敗だ。すぐに噂は広まるだろう。
「あの始末屋がオーダーを失敗した」と……

始末屋の看板に傷がついた。
それが意味する事と、その後の展開は容易に想像つく。
始末屋の腕が落ちたと勘違いした奴らの襲撃や、嫌がらせだ。
他のクライアントも金額を渋ったりと嘗めたことをするかもしれない。

━━まぁ、その時は思い知らせてやるだけだけれど。

だが、面倒なことには違いない。貴方達は辟易した思いを抱えることだろう。
その時ふと、リアンのことを思い出す。
助けてくれた貴方達に照れた様に笑いながら、お礼を言ってくれた彼女のことを。

※今回の失敗と報酬がリアンの笑顔だけということに対してRPして欲しい。RP終了後以下描写。

貴方達は闇に紛れ家路につくことだろう。

消えた君
【すでにHO0がいなくなっていることに気がついていた場合】
貴方達は、突然いなくなったHO0を探そうと周囲を探し回った。
周囲に聞き込みをしても、目撃者はみつからない。まるで、煙のように吹き消えてしまったかのようだ。
嫌な予感が止まらない。汗が背中ににじむ。
貴方達は、もしかしたら既に家に帰っているのかもしれない。そんな淡い期待を込めて帰路に着くだろう。
「HO0が断りもなく別行動をとる奴ではない」そんな事わかり切っているのに……

【この段階までHO0がいなくなっていたことに気が付かなかった場合】
帰路に着く途中貴方達はふと気づく、少し前まで一緒にいたHO0が居ないことに。
辺りを見渡すが、貴方達5名しか居ない様だ。嫌な汗が背中ににじむ、何故だかわからない。
帰り際にコンビニでも寄っているだけかもしれないと自分を誤魔化そうとするが、その考えも直ぐに否定される。
何故なら貴方達は「HO0が帰還中に、断りもなく別行動をとる奴ではない」とよく知っているからだ。

※辺りを探しまわっても、HO0の姿は見つからない。

収束。そして、
貴方達は自らの住処へと帰ってきた。しかし、そこにはHO0の姿はない。
電話をかけてもつながらず、なぜいなくなったのかもわからない。貴方達は心配でたまらないかもしれないし、そうでないかもしれない。
なんにしても、そこにHO0がいないのは事実で、もしかしたら先に帰ってしまったのではないかなどという希望的観測も打ち砕かれる。

そんな貴方達の耳に着信音が響いた。

HO1のスマートフォンからだ。

→電話の音声が聞こえる人に以下の描写
スピーカーから聞こえたのは女の声。(クイーンだ。)

「無事オーダーをこなしてくれたかしら?」

・宝石を壊した場合
「そう。さすが始末屋だわ。貴方達に頼んで正解だったわね」
「報酬はいつもの方法で払っておくわ」
「そうそう、そして貴方へのご褒美もあげなくちゃならないわね」
「既に察してはいるようだけれど、キングについてよ」
「私もあいつがどこにいるかまでは知らないわ。でも、確実に生きてる」
「4年間ぱったり消息が失くなっていたっていうのに、1ヶ月前からキングらしき人間をみたって話がいくつか流れてきた」
「ただ様子が少しおかしいという話もきくわ」
「前から何を考えているのか底知れないところがあったけれど、今回は何を企んでいるんだか」
「貴方も注意したほうがいいかもしれないわ」
「キングのターゲットは始末屋だ、そんな風に囁かれてる」
「貴方達のミスのない仕事ぶりが気に入らないんだか、キングが消えたこの空白とキングと貴方の仲を邪推したいんだかわからないけど」
「一つ言えることは火のないところに煙は立たないものよ」
「それじゃあ、またね。坊や」

※クイーンは嘘は言っていない。取引は公平にしている。ただ、少し疑心を煽る。そういう悪意が散りばめられている。
そういう噂が流れているのはキングを追い出したHO1が勝手に始末屋をやっていると勘違いしている人間が少なくないため。


・それ以外の場合
「そう。残念だわ。完璧な始末屋の初めてのミスが私の依頼になってしまうだなんて」
「でもまぁ、人間誰しもミスをするものよ」
「今回の報酬はなし。勿論貴方へのご褒美もね」
「それじゃあ、またね。坊や」

※クイーンの一番の目的は京橋と紫をキングから確実に離すことである為、別に問題はない。


電話は切れた。

クイーンからの通話が切れる。ツーツーという電子音が辺りに響く。
貴方達は携帯を乱暴に放り投げて、それぞれソファや椅子に座り込んだ。

それもそのはず、潜入任務から、謎の2人組との死闘。
最後には10人を超える敵とのドンパチまで。
ここまでの大規模作戦は久方ぶりで、よくもまぁ生きているものだと自分を褒めたくなってくる。

始末屋として様々な修羅場を体験してきた貴方達でも流石に疲労は隠せなかった。
疲労から口数も減っていき、しばしの間重い沈黙が流れた。

その間、貴方達の脳裏には様々な疑念が渦巻いていた。

━━相も変わらず行方のわからないキング(この描写はHO1が裏HO を全員に言っていた場合にのみ全体描写)
━━行く先々で出会う謎の二人組、京橋と紫
━━そして、いつの間にか消えたHO0

分からない事がばかりで、広大な砂漠で一粒の砂金を探している様な、そんな気持ちにさせられる。

しかし、そんな右も左も分からない状況下で、貴方達には一つの予感があった。
それは、自分達の預かり知らぬところで何かが動いている……そんな予感だ。
ただの勘で、根拠も何もあったものではないが、それでも脳裏にこびりついた予感は頑固な汚れの様に消えてくれない。
自分達は、運命の糸を手繰り寄せるかの様に何かに引き寄せられているのではないかと……

馬鹿馬鹿しいと思いながら、そんな考えを紛らわすかの様にテレビのリモコンをとった。
ピッピッとチャンネルを次々に回していく、時間も時間だ、ろくな番組がないことはわかっていたが、
その動作が気を少しだが落ち着かせてくれた。

最終的に深夜のニュース番組で手は止まり、リモコンは机の上に放り出された。
だれもニュースを見てはいない。
ニュースキャスターの声をBGMにしながら、夜食を食べる者、風呂に行く者、各々疲れを癒しに行く。

━━〇〇市でまたも連続殺人事件が発生しました。被害者に共通点は……

そんなニュースが貴方達を更なる運命へと誘うことなど、露知らず。



生還報酬
・シナリオクリア(生還)   1d10
・オーダーを完遂した     1d5
・始末屋としての矜持を守った 1d5
FILE3.
CRISISCALL
クライシスコール(英:crisiscall)
「危機や苦痛の伝達」と邦訳される、心理学用語。
危機的な状況に陥り、その事態を周囲にうまく伝えることができなくなった者が非言語的な行動でその危機を知らせようとするものを意味する。
シナリオ背景
HO0は15年前に宿主と行った契約によって、誕生日を迎えたタイミングで宿主の依代になり、アガートラムから姿を消した。
行方不明になっている一週間は宿主に意識を乗っ取られているため、殆ど記憶にない。HO0の体を使って宿主がしていることはキングから頼まれた、クイーンの動向の把握。そのため、HO0が霧雨殺人の近くで目撃されることになっていた。キングの体は万全には回復しておらず、HO0の体のほうが使い勝手がよかったため、宿主はHO0の体を便利に使っている。
世間を騒がせている霧雨殺人はクイーンが扇動する教団「星流榴家(せいりゅうりょうか)」が星辰を揃える為の儀式の一環として行っている。警察は無能というわけではないが、まさか全国区のコンビニYLNTが会社ごとこの事件に関わっているとは流石に思い至らず、事件の捜査は停滞していた。死体遺棄は移動販売車が各地に配置されるのに紛れて行われていため、それも仕方のないことだろう。
赤羽唯は夫が殺されたことで霧雨殺人の捜査から外されてしまったが、事件現場でHO0を見かけ、HO0が探偵をやっていたことを思い出す。
様々な伝手を辿り、奇跡的にクラブにたどり着いた。本当にHO0を疑っているわけではないが、流石に一週間どの現場でもとなると、何かしらの関わりがあるのだろうと思っている。赤羽唯は結果的にHO0を見つけるという名目で始末屋を巻き込み、捜査を始める。赤羽唯にとって、「こどもの家」で過ごした時間は良い思い出として消化されており、探索者たちのことも兄弟や従兄弟のように思っている。
合同捜査を開始してすぐに赤羽唯も霧雨殺人のターゲットにされてしまう。これは始末屋に霧雨殺人について調べられると面倒な為に始末屋が霧雨殺人に関わる原因になっている赤羽唯を消してしまおうとクイーンが考えた為である。HO0失踪についてクイーンは一切関係ないので、クイーンが赤羽唯さえいなくなれば関わる理由もなくなるだろうと考えてしまったのは致し方ないことだろう。
手がかりを失った始末屋たちにHO4を監視していたミ=ゴである。彼らの目的は観察であり、HO4に影響を与えるHO0には高い利用価値を見出しているため、情報屋ジャックに扮して質問に対する回答を対価に情報を与えてくれる。
HO0はずっと探索者達の両親を殺すための計画を練っていたがなかなか踏ん切りがつかなかった。それは始末屋としての仕事を始めても変わらなかった。罪のない人間を殺すのはやはり気が咎めるし、何より仲間たちにバレた時に嫌われてしまうのではないかという不安もあった。
しかし、25歳まであと1ヶ月と迫り、そうも言っていられなくなり計画を実行し始める。そのための拠点としてアパートを借りた。
宿主は本当に暇つぶし感覚で遊んでいるだけなので、孤児院をしているのもそれっぽいからという理由である。HO0の体を支配下においた時点で記憶なども共有されているため、タイムカプセルのことなども言えた。
最後のゲームに関しても、意地の悪い問題ではあるがちゃんと正解を答えれば約束を守ってくれる。
ちなみに、夜灯自然スポーツ公園(よとぼししぜんすぽーつこうえん)にて殺し屋コンビの目撃情報があったのは、宿主と同じく殺し屋コンビにもクイーンの動向を監視してほしいとキングが依頼していたからだ。宿主が監視するためにはキングが動かなければならないため、HO0の体が宿主の支配下に入る前は殺し屋コンビが霧雨殺人の現場に行っていた。
また、赤羽唯の夫である赤羽慧の遺体が梦幻港で見つかったのは全くの偶然であるものの、猫に導かれて向かった崖はキングをクイーンが狙撃した場所だ。距離があったため、どうにかキングは瀕死の怪我を負いながらも、宿主の力も借りながらクイーンの手から逃げ延びた。
HO0を取り戻し、しかし事件は未だに止まらず、更に始末屋たちはクイーンの陰謀へ巻き込まれていく。
幕間処理
File2の終了からFile3開始までには一週間の期間がある。
探索者たちはその間HO0を探すかもしれないし、探さないかもしれない。
ここまでで出ていない情報、もしくはこの一週間の間であってもわかりそうな情報を探し出せそうな提案があれば情報を出しても構わない。
ただ一週間の間に判明する情報は殆どないため、この処理は飛ばしても構わない。情報屋ジャックに聞いた場合、現在の居場所はわからないが目撃情報は教えてくれるため生きていることくらいはわかるがそれ以上はもう少し調査しないと言われて、シナリオ開始時点ではその報告はない。
唯一確実にこの時点で手に入れられる情報はHO0の部屋についてだ。
HO0の部屋の描写はそのHO0に合わせて自由に描写してくれて構わないが、基本的にはガランとした印象のほうが隠れ家への思考の手がかりになるだろう。
また、それ以外に一つ処理がある。

偶然の発見
1d100を振って一番出た値が小さかったものに以下描写

貴方はこの一週間の間に気づいたことがある。それは始末屋で保管している武器のうちの一つである拳銃が一丁なくなっているということだ。
基本的に銃火器を使うのはHO5だが、サブとして使えるよう拳銃に限らずいくつかの武器が始末屋では共用として保管されていた。
共用のため、HO5が個人的に管理しているものとは違い、こちらの武器は持ち出すときに誰か1人には声をかける決まりとなっている。自分以外の誰かに声をかけたのかもしれないが、一体誰が持ち出したのだろう。

HO0の部屋(汎用描写)
HO0の部屋だ。部屋の広さは貴方達の部屋と同じで12畳程度のはずなのだが、自分たちの部屋と比べると異様に広く感じる。
何故だろうと周囲を見渡すと、その理由に気づくだろう。物が少ないのだ。
ハンガーにかけられた仕事用のスーツが数着、ベッドとゴミ箱……その程度しか家具が存在しない。帰って寝るだけの部屋と化しているようだ。

→ゴミ箱を漁る
ゴミ箱の中には新聞がぐしゃぐしゃに丸められて捨てられていた。
丁寧に広げて見れば、それは丁度4週間ほど前のものだった。見れば切り抜いたあとがある。

→切り抜いた記事がどのようなものであったかを調べるには図書館にいって過去の新聞記事を閲覧する必要がある。
図書館に行けば、判定無しで以下の記事を見つけることが出来る。
それはとても小さな記事だ。二人の男女の顔写真が添えられたその記事は写真の人物たちが死亡したという内容だった。

===============================================================
細胞移植に使われる、人工細胞研究の権威として知られる空木誠・遙(うつぎ まこと・はるか)夫妻が○月○日、自宅にて遺体で発見された。(HO4がどのような方法を使って事故に見せかけて殺したかによって内容を適宜変更する。必ず、事件性がないという内容であること)
===============================================================
※HO0の両親の名前についてはPCの名前と被らないようにするなど適宜変更して構わない。


→HO5がこの記事を見た時点で下記描写
貴方は彼らを知っていた。いや、知っていたという表現は正確ではないかもしれない。彼らの名前や性格、職業、年齢。それらすべてを貴方は知らなかったからだ。しかし、貴方が彼らの顔を見間違えるはずがない。なぜならば、彼らは貴方の両親であったからだ。
自身の両親が死んだという事実に貴方は驚きと悲しみを覚えることだろう。
SANc1d2/1d3+1

→HO4がこの記事を見た時点で下記描写
貴方はこの記事について知っていたかもしれないし、知らなかったかもしれない。しかし、この記事に載っている事態を起こしたのは紛れもなく貴方だ。消えたHO0と捨てられていた新聞、果たして無関係と言いきれるだろうか。
自身の行動によってHO0がいなくなってしまったのではとの考えが頭をよぎることだろう。
SANc1/1d2



→ベッドに近づく
枕の影になって近づくまでわからなかったが、枕元に一冊の本がある。
それは聖書だった。とても古く擦り切れ、汚れ、それはただの経年劣化というだけでなくゴミ箱に入っていたら迷うことなく捨ててしまうようなそういう類のものだ。

→これを見た探索者たちに以下描写
貴方はこの聖書を見たことがある。これは、「こどもの家」でまだ6人でつるんでいたときにHO0がどこかからか拾って来たものだった。
英語など読めやしないくせに物知り顔でこれを持ち歩くHO0が面白かったのを覚えている。当時、彼は呟くようにしてシスターに教えてもらったのだという口語訳をよく口にしていた。
「愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。 不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える」
親に捨てられた自分たちが愛を語るのも語られるのもなんだかしっくりこないけれど、こういうものが愛というものであるならばそう
信じたいとHO0は思ったのだろうか。いや、彼にそんな殊勝な気持ちがあるわけもないか。ただ、この言葉を呟く彼の瞳が、貴方達を見つめていたその瞳の色が、とてもやさしかったことを覚えている。

※下3行の描写はHO0によって適宜変更してほしい。確かなことはHO0は探索者たちのことをとても愛しているということだ。

→〈知識〉1/2成功
HO0がつぶやいていた口語訳は、聖書の中でも「コリントの信徒への手紙第13章4節から7節」であると知っている。


※HO0の隠れ家の暗号を解くために実際のページの内容をみると言われた場合、以下の情報開示

新約聖書(NLT)
コリントの信徒への手紙第13章
=================================================================

1 If I could speak all the languages of earth and of angels, but didn’t love others, I would only be a noisy gong or a clanging cymbal.

2 If I had the gift of prophecy, and if I understood all of God’s secret plans and possessed all knowledge, and if I had such faith that I could move mountains, but didn’t love others, I would be nothing.

3 If I gave everything I have to the poor and even sacrificed my body, I could boast about it; but if I didn’t love others, I would have gained nothing.

4 Love is patient and kind. Love is not jealous or boastful or proud

5 or rude. It does not demand its own way. It is not irritable, and it keeps no record of being wronged.

6 It does not rejoice about injustice but rejoices whenever the truth wins out.

7 Love never gives up, never loses faith, is always HOpeful, and endures through every circumstance.

8 Prophecy and speaking in unknown languages and special knowledge will become useless. But love will last forever!

9 Now our knowledge is partial and incomplete, and even the gift of prophecy reveals only part of the wHOle picture!

10 But when the time of perfection comes, these partial things will become useless.

11 When I was a child, I spoke and tHOught and reasoned as a child. But when I grew up, I put away childish things.

12 Now we see things imperfectly, like puzzling reflections in a mirror, but then we will see everything with perfect clarity. All that I know now is partial and incomplete, but then I will know everything completely, just as God now knows me completely.

13 Three things will last forever -- faith, HOpe, and love -- and the greatest of these is love.

=================================================================
夢はすぐそこに〜個別導入〜
【HO1の夢】
貴方は立っている。
貴方以外そこには誰もいない。
そこは静かでとても暗い。
ここは屍の上だ。
足元にはおびただしい数の死体が積み上げられている。
その一番上にいる女性は貴方の足を掴んでいる。
彼女は貴方を見つめて口を開く。
「貴方は———
次の瞬間、彼女は別のモノに変わる。
いや、別の人間へと変わる。
それは動かず、伏せられた顔にどのような表情があるのかさえわからない。
しかし、貴方はすぐにその正体がわかった。
わかってしまった。その屍は、紛れもなくHO0であった。

貴方は飛び起きる。あれは夢だ。ここは仲間と共に暮す、貴方の家。貴方の居場所だ。
しかし、ここにHO0はいない。
SANc1d3/1d5

※これはHO1の人間としての罪悪感の象徴。殺してきた人の山。
一番上にいるのはHO1の母親。「貴方は生きて」
HO0にすり替わったのは、HO0が死んでしまったのではないかという不安の表れから。
【HO2の夢】
貴方は横たわっている。
激しい痛みから開放されてみればそこにあるのは今までにない飢餓感だ。
お腹が減った。
お腹が減ったので、目の前にあったものを齧った。
食べやすく分けられたそれはとても芳しい匂いをしていた。
しかし、気が付くとそれはすぐになくなった。
そして長い間空腹感が癒えることはなかった。
おなかが減ったのであまり美味しくなさそうだが周りにいるものを齧った。
動くそれは齧りづらい。
手っ取り早く殺してしまおうか。
貴方はナイフを振り上げた。
振り下ろされたナイフの先。そこにいたのはHO0だった。
息絶えた彼をみて貴方は思う。ああ、とても美味しそうだ。

貴方は飛び起きる。あれは夢だ。ここは仲間と共に暮す、貴方の家。貴方の居場所だ。
しかし、ここにHO0はいない。
SANc1d3/1d5

※これはHO2の1〜3歳のときの記憶だ。グールになるための儀式が完了したあと、すぐに腐りかけの人肉を与えられた。元の両親のもとに戻されたあとも普通の食事では飢餓感は満たされず、周囲の人間を噛むようになる。本当に食べるかのように自らの身体を噛みちぎろうとする我が子に対しての嫌悪感が拭えずに両親はHO2を手放したという経緯がある。最後にHO0が出てきたのは、HO0がいなくなったことに対する不安と、本能的に自らがHO0を害する存在だと理解しているためだ。
また、これ以降は衝動時の食欲の対象が死体になり、新鮮でないものにも食指が動く。


【HO3の夢】
貴方は泣いている。
貴方に他の選択肢は用意されていなかった。
自分の無力故に大切な人間を傷つけてしまう。
守ることは難しく、奪うことは簡単だ。
震える手で言われた通りの手順をこなす。
淡々と言われたとおりに。
そして、その先に貴方はいる。
名前を呼ばれた気がして振り返れば、そこにはHO0が立っていた。
HO0は貴方に背を向けて歩き出す。
貴方は叫び、彼を引き留めようとする。そちらは危ないと。
貴方は向かった先にあるものを知っていた。
けれどHO0の足が止まることはない。
当然だ。だって、その先にあるのは……

貴方は飛び起きる。あれは夢だ。ここは仲間と共に暮す、貴方の家。貴方の居場所だ。
しかし、ここにHO0はいない。
SANc1d3/1d5

※これはHO3の15年前の記憶と、自衛隊を辞めたときの事件の記憶が混ざったものだ。
HO3はHO0の言うとおりに地下室に火をつけた。そして事件の際も、言われたとおりに儀式を行ったことで生還を果たしている。
自分以外の犠牲によって生きながらえていることへの罪悪感の深層心理による夢。

【HO4の夢】
貴方は眺めている。
人の行動を、習慣を、言葉を、文化を。
貴方は眺めている。
貴方の行動を、習慣を、言葉を、文化を。
ふと気が付くと目の前には自分が立っていた。
酷く無機質な声で目の前の自分は言った。
「HO0。彼が死んだとき果たしてお前はどんな反応をするのだろうか」
瞬間、視界が切り替わり目の前にはHO0が横たわっていた。
彼は、死んでいるかのように動かない。
いや、彼は死んでいた。死んでいると何故かわかった。わかってしまった。

貴方は飛び起きる。あれは夢だ。ここは仲間と共に暮す、貴方の家。貴方の居場所だ。
しかし、ここにHO0はいない。
SANc1d3/1d5

※これはHO4の中のミ=ゴとしての意識と人間としての意識の表出である。
特別にHO0を気にしているHO4は他のPCよりも不安が色濃く夢に出ている。


【HO5の夢】
貴方は座っている。
後ろに誰かがいる。
背中合わせに座っている。
それは、とても懐かしい存在だ。
とても身近な存在だ。
貴方は誰かがいることを知らないのだ。
ここはどこだ。
後ろにいるのは。
いま、ここにいるのは誰だ。
「ごめん、みんな」
唐突にHO0の声がした。
嫌な予感に身が竦む。
ただ、背中合わせの気配が未だに消えていないことだけが貴方を安心させた。

貴方は飛び起きる。あれは夢だ。ここは仲間と共に暮す、貴方の家。貴方の居場所だ。
しかし、ここにHO0はいない。
SANc1d3/1d5

※これはHO5の中の空間だ。HO5はHO0を素に作られた。HO5の中にはいつだってHO0があるのだ。
だから他のPCの夢とは違い、HO0が死んでいないことを無意識的に信じられるため、このような夢となった。
再会と始まり〜共通導入〜
既に日付も変わり、帰りの電車もないというのに、貴方達のクラブは昼夜が逆転したかの様だった。
大音量のミュージック、大はしゃぎで踊る若者達。いつにも増して盛況なクラブを貴方達はなんとか回していた。
外はここ1週間続く雨で、憂鬱とした気持ちにさせると言うのに、一体どこにそんな元気があるのだろうか。
もしかしたら、そのストレスをここで発散させようとしているのかもしれない。

そんな元気な若者達と比べて、貴方達の心は外の天気と同じように、どんよりとした曇天に覆われていた。
━━ポッカリと穴が開いた様な空虚感。

碧の瞳を巡ったあの豪華客船の出来事から、既に1週間。
HO0は未だ見つからない。
携帯もつながらず、様々な手を駆使して捜索しても、痕跡一つ出てこない。
まるで、最初からそこに居なかったかの様なそんな感覚さえ覚えた。

24時00分
盛り上がる店内にまた客が入ってくる。30代くらいのスーツ姿の女性が1人。
フードメニューが売りでもあるこのクラブに女性客が1人でくること自体はそう珍しいことでもない。
だが、流石にこの時間にもなるとかなり珍しいと言っていいだろう。
なんとはなしに視線で追えば、彼女は迷わずカウンターに座った。

「なんかお腹にたまるもの……そうね、オムライス作って」

そう注文した彼女の顔は疲れ切っている。正直こんなクラブに来るより家に帰った方がいいのでは? と思うほどだ。
顔が整っているため余計に残念さが増すというものだろう。

彼女は注文をし終えると、店内をキョロキョロと見渡している。

→〈アイデア〉成功
誰か探しているのだろうか?

尋ねるのなら以下描写。
「あぁ、ごめんなさいね。ねぇ、ここでHO0って言う人物が働いていると思うのだけど、今日はいないの?」
「そう。連絡先とかは教えてもらえたりするかしら?」
「駄目ならいいわ」

キッチン担当は〈DEX*5〉の判定を行う。
※〈芸術(料理)〉を50%以上所持していれば自動成功となる。

彼女を見ていて、かつ彼女と施設でかぶっている人間は〈アイデア〉が振れる
※予め誰と面識があるのか年齢と施設を出た年から確認しておくこと。

→〈アイデア〉成功
彼女に既視感を覚える。知り合い……だろうか?

注文どおりオムライスを作り、女性の前へと置く。

「ああ、ありがとう」

そう言って彼女はオムライスを受け取り、スプーンで掬うと、頬張った。

「うんっま!」

大人らしからぬ声をあげて、思わず溢れた笑みを浮かべる。

その笑みが記憶にある笑顔と重なった。
(面識があるメンバー)は気がつくだろう。彼女は赤羽唯(ゆい)だ。かつて「こどもの家」で共に過ごした女の子。
彼女はどこかに養子として引き取られていったきり、今の今まで会うことはなかった。
まさか、こんなところで再会することになるとは。そう貴方達は驚くことだろう。


…………あれ?」

そんなとき、赤羽唯も声を上げる。

「○○? ……それに、○○に○○よね?」
「もしかして『こどもの家』のときのよしみでみんなで店やってんの」
「うっわー。すっごい久しぶり! 元気にしてた?」

先程までのくたびれた様子とは打って変わって、テンション高く話しかけてくる。

以下話しても話さなくても良いこと
・今は赤羽唯という名前なこと(名字が結婚によって引き取られたときとは変わっているが探索者たちは知らない)
・実は刑事になっており、今は捜査一課にいること
・今日はHO0を探しに来た


「HO0に確認したいことがあったんだけど」
「前の職場も辞めちゃってたから、色々聞き回ってやっと見つけたのがここだったってわけ」
「まさかあんた達もいると思わなかったし、なんなら調査のために潜り込んでいるものだとばかり……
「HO0、探偵やってたのよ。知らなかったの?」

→何故連絡を取ろうとしているのか尋ねる
「んー。ちょっと、ね」
あまり言いたくない、もしくは言えないといった雰囲気だ。

→〈交渉系技能〉成功
……実はいま、アタシはある事件の捜査を担当しているんだけど、その現場の近くで聞き込みをすると必ず聞く特徴の人物がいて」
「そうは言っても(20代男性)なんて大した特徴でもないし、捜査本部はそこまで重要視はしてないんだけどね」
「ただ、アタシみたのよ。事件現場にいる時の野次馬にHO0の姿を」
「遠目だったけど間違いなくHO0だった」
「そこで思ったわけ、もしかしてこの事件についてHO0が何か知っているんじゃないかって」
「それにまだ探偵なら依頼で調べているかもしれないし、情報が聞き出せるかもしれないじゃない」
※ここまでで事件について詳しく聞くのであれば今話題の『霧雨殺人』だと伝えて構わない。

→更に〈アイデア〉1/2成功
HO0が犯人だという可能性には触れていないことに気がつく。
しかし、貴方達は思い至る。彼女がこのまま捜査を続ければいずれHO0にたどり着き、冤罪だとしても逮捕してしまうのではないか。

……
彼女はオムライスをまた一口頬張った。

「あっ!」

彼女はグリンピースをつついていたかと思えば唐突に声を上げる。

「あんた達が手伝ってくれるっていうのは?」
「あんた達もいなくなって心配してたんでしょ。丁度いいじゃない!」
「ここの営業時間見たけど昼は暇でしょ。しかも営業は不定期みたいだし」
「あんた達はHO0を探したい、アタシは事件の真相を突き止めたい」
「利害は一致してるわけだし、手を組まない?」

そう半ば強引に話をまとめようとする。

※彼女は既に捜査から外されているため人手が欲しい。
また、彼女は唯一本当の家族になれた旦那を失った直後のため、「こどもの家」の仲間である探索者たちとの縁を離したくない。

「よし! 決まり!」
「じゃあ、明日また来るから!」
「12時とかでいい? いいわね?」
「じゃあまた明日!」

いつの間にかオムライスを食べ終わった彼女はそう言って代金を少し多めに置いて店から出ていってしまう。

嵐の様に過ぎ去った彼女を見送りながら、
貴方達は何かが動き出す様なそんな感覚を覚えた。

まさか、探偵の真似事の様な真似をすることになるとは夢にも思わなかったが
HO0に繋がる唯一の手掛かりだ、見逃す手はないだろう。
合同捜査開始
12時00分
先日はあのように押し切られてしまったものの、あの話はどこまで本気なのだろう。
そう貴方達が思いつつ待っていれば、ガチャリとドアが開いた。
「おはよう! 起きてる?」
そう言って笑う赤羽唯は元気そうだ。
貴方達は彼女を招き入れることになるだろう。

「よし、貴方達。早速行くわよ! ……の前にお昼もらっていい?」

悪びれず彼女は昼をねだる。

貴方達もまだ昼食を取っていない。
まさか彼女にだけ食べさせないということも出来ないだろう。

料理を作る人間は〈DEX*5〉の判定を行う。
※HO2が作る場合は〈芸術(料理)〉を振る。

HO2が料理を作った場合、以下の処理を行う。

→料理を食べると宣言
全体公開せずHO1.3.4.5に〈聞き耳〉もしくは料理関係の技能を振ってもらう。

→〈聞き耳〉成功
事前探索と同様の処理を行う。

……なんか、まずくない?」

※赤羽唯は他のPCが言わない場合率先して指摘すること。

「あ、いや、まずくはない。というか美味しいけど昨日よりイマイチというか」
「えっとごめん。でも、熱とかない? 体調悪いと味覚に出たりするし」

そういって心配そうに手を伸ばしてくる。


【HO2に個別描写】
伸ばされた手を引いて、その息の根を止めて、冷たくなったその死体を貪りたい。
そんな恐ろしい想像が頭の中を駆け抜ける。頬に温かい感触がして、一気に思考が現実に引き戻される。
目の前には心配そうに見つめる赤羽唯がいた。新鮮な肉でも、ましてや死体でもない。生きた人間だ。


【HO3】
ぶわりと鳥肌が立つ。嫌な予感、というよりは恐怖や拒絶に近い感覚。赤羽唯が危ないと、咄嗟にそう思う。
(すぐに声をかけるなりしたら、その後以下描写。特にリアクションしない場合はそのまま以下描写)
だが、その感覚はすぐに失くなった。一体何だったのだろうか。



その後適宜やり取りをして食事に戻る。
食べ終われば、赤羽唯は立ち上がり、片付けを手伝うだろう。

「あ、そういえばあんた達はここで暮らしてるのよね?」
「HO0の部屋に手がかりがあるかもしれないし入ってもいいかしら」

※幕間処理時に確認していなかった場合や、再度探索を望む場合は幕間処理のHO0の部屋のまま。

「何もなかったって……あんた達気が付かなかったの?」
「ここ最近変なことがあったり、どことなくおかしい様子があったとか」
「ごめんなさい。あんた達を責めても仕方ないしね」
「よし、気を取り直していこっか」

準備を終えて、貴方達はアジトの外に出た。
少し先には、「早く早く」と催促する赤羽唯の姿がある。

貴方達は赤羽唯の少し先に、HO0の後ろ姿を幻視した。

━━この行先に彼は本当にいるのだろうか。
━━そもそも、まだ生きているのか?

そんな最悪の想像が脳裏を過り……
そして思い出す。この1週間で胸中にあった空虚感。
ポッカリと空いたスペースに、無意識に呼びかけてしまう彼の名前。
それは……なんて。

「なんて……つまらない」

そう……始末屋は6人揃ってこそだから。
自分達の前から勝手に消えるなんて許さない。
決意を胸に、一歩踏み出す。

「見つけたら1発ぶん殴ってやらなきゃ、気が収まらないな」

そんな軽口を言い合いながら、貴方達は彼を追い始めた。

君を追って
赤羽唯の案内で貴方達は第一の事件の現場に向かった。

路地裏
大通りから脇道に入り、奥へと進んだそこが目的地だった。
道幅は1メートル程度で、両隣には築数十年は経っているであろう古めかしいビルが建ち並ぶ。
日光がビルに阻まれいるせいで、昼間にもかかわらず薄暗く、ジメジメとした湿気が肌にまとわりつく。
当たり前の様に貴方達以外、人影一つは見当たらず。
いるのはせいぜい、浮浪者が捨てたゴミを漁るカラスや、換気扇の上で昼寝をしている猫ぐらいだ。
すでに現場検証などもとっくに終わっているのだろう。捜査員の姿も見えない。完全な無人だ。

赤羽唯はここまでくると事件の概要について貴方達に語ってくれる。

「かなり報道で話題になっているとは思うけど、ここは今起こっている連続殺人事件の最初の現場。この事件が発覚したのは丁度1ヶ月前の朝7時。第一発見者の佐藤花子さんは犬の散歩中にこの脇道を通っていたら、犬が突然立ち止まってやたら吠えたことが気にかかり、奥へと足を踏み入れたら遺体を発見。すぐに持っていた自身のスマートフォンで110番通報をした。安否確認をしなかったのかという質問に対しては大量の出血があったため、咄嗟に死体だと思ってしまったと証言していて、それ以外の供述にも不審な点は見られない。まあ、実際には雨のせいで実際以上に血が広がってみえたらしいわ。最初はその遺体の状態から怨恨の線が疑われたものの、すぐさま次の事件が発覚して連続殺人事件へと認識が改められた。被害者は皆、年齢、性別、職業も様々で共通点は見つからなかったわ。あえて共通点を上げるのであれば、被害者たちは遺体となって発見されるまでの数時間、行方がわからなくなってる。勿論、最初の事件の被害者である鈴木太郎もここに来るまでの足取りは不明。最初の事件発覚から今日この日まで被害者は増え続けた。特にこの1週間は毎日遺体が見つかってる。以上がこの事件の概要よ」

「まぁ、来てみたものの、もうここでの調査は殆ど終わってるのよね。どう? なにか気になることや気がついたことはある?」

→〈知識〉成功
貴方はこの事件について知っている。
=================================================================
「霧雨殺人」
最近世間を騒がせている無差別連続殺人事件だ。ワイドショーではその死体が必ず雨の降る日に発見されることから「霧雨殺人事件」や「霧雨殺人」などと言われていた。
1ヶ月以上前から犯行が行われていたにも関わらず、その犯行動機も、犯行方法も未だに判明しておらず、また事件の範囲がかなり広範囲であることがわかっている。
広範囲で行われているためか、犯行方法が明確になっていないせいかはわからないが、警察の初動は遅く情報が公開されたのは一週間前だ。
マスメディアが警察の行動が遅いと声高々に非難しているのは記憶に新しい。
しかし、そんな警察をあざ笑うかのように連日被害者は増え続けており、ワイドショーはこぞって警察批判と犯人像予想を交互に垂れ流していた。
=================================================================


→〈アイデア〉成功
貴方は今の説明の中で少し気になることがあった。それはなぜ2件目の事件が発覚してすぐに連続殺人事件と認識されたのかということだ。
赤羽唯が教えてくれた情報に嘘があるとは思えないが、たった2件の別々の事件を連続殺人事件と認定するには根拠が弱いと感じる。この一週間こそ毎日遺体が見つかっているということだったが、最初はもっと感覚も空いていたであろう事件が同一犯の犯行であると確信を持つためにはなにかわかりやすい共通点があったのではないだろうか。赤羽唯は嘘はつかずとも、まだ自分たちに言っていないことがありそうだ。

→そのことを指摘する
……鋭いわね。あんた達も探偵とか出来るんじゃない?」
「実はこの事件には公表されていない共通点があるのよ」
「共通点、それはね。被害者全員がその眼球を抉り取られていたの」

※前作でリアンの瞳を抉り取る選択をしていて、かつ後悔をしている人間のみ
SANc1/1d2

話が一段落したところで赤羽唯はそういえばと口を開く。
「あんた達、HO0の写真持ってる?」
「聞き込みするときに使いたいんだけど」
「そうそう、ついでに連絡先も交換しちゃおうよ」
貴方達は赤羽唯と連絡先を交換することが出来る。

「うん。ばっちり。聞き込みしてみよ」

そう言って早速、彼女は道路の先にあるコンビニに向かう。
貴方達もそれに着いていくことになるだろう。

コンビニYLNTは冷凍食品や温めるだけの一品料理など頑張るお母さんの味方としても有名で、最近はコンビニまで来ることの出来ないお年寄り向け移動販売を始めたことでも話題になっていた。

コンビニにつくと、お決まりの音が店内に響く。

貴方達は早速レジに向かうことだろう。商品すら見ずにレジに向かった貴方達に店員は少し訝しげな表情で尋ねる。

「あの、なにか御用でしょうか?」

→写真を見せて、こんな人物を知らないかと尋ねる
「お客様の情報はお教えすることが出来ません」と断られる。
※警察手帳は持っていないため、赤羽唯に助けを求めようとすればいつの間にか赤羽唯は外に出ており外からはよ聞いて!! とジェスチャーや表情で圧をかけてくる。

→〈交渉系技能〉成功
……まぁ、別にこれくらいならいいかなぁ」
そう呟くと店員は記憶をたどりながらこのように教えてくれる。
「見ましたよ。確か一週間くらい前の夜。深夜、明け方に近い時間だったと思います」
「え? 何を買ったか? 煙草をワンカートン」
「銘柄は13番……PEACEですね」
「それ以外は何も」
「覚えていたのだってたまたまなんですよ。雨も降ってないのに髪が濡れてることが気になってただけなので」
「もういいでしょうか」
※煙草は勿論キングのためのものだ。
髪が濡れていたのは単純に前作の戦闘の際の血を洗い流してからすぐにコンビニに来た為である。

聞き込みが終われば赤羽唯が近寄ってきてその成果を聞いて来るだろう。
「どうだった?」
そして報告が終われば彼女は次の現場へ向かおうと貴方達を急かすのだった。

夜灯自然スポーツ公園(よとぼししぜんすぽーつこうえん)
広大な敷地を持つ公園だ。
公園の中心に大きな池があり、それを囲うように
子ども向けの遊具や、芝生が敷き詰められた芝生、テニスコートなどが配置されている。

周囲を見渡すと、レジャーシートを広げお弁当を広げる家族や、
芝生の上を駆け回る子ども達の姿が観られるだろう。


【HO5個別処理】
ここについた時点でHO5は〈アイデア〉が振れる。

→〈アイデア〉成功
貴方は思い出す。この公園に貴方は訪れたことがある。
笑顔で両手を広げる父と母、自分は共にその腕の中に飛び込んだ。
共に……? そうだ、自分の隣には誰かもうひとりいたのではなかったか。
そんな幼き日の記憶は優しく、淡く、そして曖昧だ。

※この記憶は実際はHO0のものであるが、HO5はHO0を元に作られているため隣で体験した記憶として錯覚している。



赤羽唯は貴方達を先導してどんどん奥の方に進んでいく。
そしてたどり着いたのは古い公衆トイレだ。
公園の隅に設置された古い公衆トイレだ。利用者も少ないためか、清掃もあまりされていない。
赤羽唯はここで起きた事件についての詳細を教えてくれる。
「死体の発見現場はこの公衆トイレ。被害者の名前は山田たかし、34歳、会社員。遺体は一番奥の個室に頭を突っ込むようにして放置されていて、巡回に当たっていた近くの交番に勤務する巡査が酔っぱらいかと思い、声をかけたところ反応がなく、近づいて肩を揺すり、眼球が抉られていることを確認。すぐさま応援を要請したとのことよ」

公衆トイレは路地裏と同じく、昼間だというのに薄暗い。
子ども達もこのような奥まったところにあるトイレは使わないのだろう人通りも少ない。
また、ここにも捜査員の姿はない。

ある程度話したところで〈聞き耳〉が振れる。

→〈聞き耳〉成功
公衆トイレの外から声が聞こえる。大人よりも高く響く声。子どもだろうか。
その声は段々と近づいてくる。
「本当なのかよ……
「だって、かんたが見たって言ったんだ」
「かんたは嘘下手だもんな」
「でも、本当にいるのかな。こんなとこ使ってる人見たことないよ」
「だから幽霊なんだろ。丁度ここで事件があったってかぁちゃんが言ってたし」
「え、事件!?」
「ほら、びびってないで早くいくぞ! どうせ何もいないにきまって……うああああああああああああ!!!」
「うああああああああああああああ!!!!!!!」
次の瞬間、公衆トイレに叫び声が響く。
視線を向ければ、貴方達をみて尻もちをつく2人の少年がいた。

「ゆ、ゆ、幽霊だ!!!!」
「ほんとにいたんだ!!!」
「どうしよ、俺ら呪われちゃう……

騒ぐ少年たちにいくらここは人通りがないといっても人が集まってきてしまいそうだと思うことだろう。

→少年たちから話を聞こうとする。
「ご、ごめんなさい!! 呪わないで!!!」
近づけばそう言って怯えられる。
少し混乱してしまっているようだ。

→〈交渉系技能〉or〈心理学〉成功
貴方の言葉に少し落ち着きを取り戻した彼らはこのように話してくれる。
「お兄さんたち幽霊じゃない……?」
「ほ、ほんとだ。着物も来てないし、足もあるや」
「俺ら、友達のカンタから聞いたんだここで幽霊を見たって」
「そうそう! 血まみれで着物着てて、刀持ってて、目が光ってて、髪が紫にうねってて!!!」
「口が狼みたいに大きくて、身長だって3メートルくらいあったんだって!!」

※子どもなので伝言ゲーム中に色々尾ひれどころか羽くらいついてしまっている。
カンタが見たのはキングに指示されて現場に急行した殺し屋コンビ。
カンタくんは冒険がしたいお年頃なので深夜に家を抜け出して、この公園にある秘密基地に向かう最中だった。

「いつだっけ……たしか3日前くらいに言ってた」
「うん。お母さんにげんこつ食らってすっごいたんこぶ出来てたもんな!」

「あ!! アイス!!!」「ヤッベ! 溶ける!!!!」
「あ!! 肉まん!!!」「ヤッベ! 冷める!!!!」
(季節によって適宜変更)

「もういい?」
「じゃあね!!!」

そう言って彼らは駆けていってしまう。

※コンビニが近くにあるという伏線。聞かれたらコンビニYLNTが近くにあると答えて構わない。
本シナリオ内ではこれ以上の情報はでない。

「子どもがそんな夜遅い時間に出歩くなんて危なすぎるわ」
「でも、彼が見た幽霊が犯人だとしたら幸運なのか不運なのか……

ある程度やり取りをしたら貴方達はまた赤羽唯の案内に従って車を走らせることになる。

梦幻港
激しい波が大地を叩きつける、人里離れた沿岸。
周囲には波が運んできた漂着ゴミが溢れ返り、カラス達がそれを摘んでいる。

そんな誰もが寄り付かないような場所に梦幻港はあった。

既に何年も使われていないのだろう、港にあるのは潮風と海水で腐食した
ボロボロの倉庫と、今にも沈みそうな小さな船があるだけだ。

「ここは3日前の現場よ。まだ日が経ってないから捜査員がいるわね。この事件も他の遺体との違いはなかったわ」

→〈心理学〉成功
赤羽唯の様子が少しおかしく感じる。感情を抑えているような、そんな違和感だ。
※旦那の死体発見現場であるため。何か聞かれても気のせいじゃないか? と誤魔化す。

港自体は封鎖されていないようだったが、3日前の事件であるためまだ数人の警察官が発見現場の近くに常にいるため近寄れそうにない。

→〈聞き耳〉成功
にゃ〜と気の抜けた鳴き声がした。そちらに視線を向ければそこには綺麗な毛並みの猫がいる。

→〈知識〉or〈アイデア〉成功
野良猫のようには見えない。どこかから逃げ出してしまったのだろうか。

【HO動物が好きのみ以下描写】
あの猫だ、と貴方は思う。情報屋ジャックの肩に乗っていたあの猫とじゃれていたその猫のことを貴方は鮮明に覚えている。
今貴方の目の前にいるその猫は本当に記憶にある猫と瓜二つだった。
しかし、同時に疑問にも思うかもしれない、野良猫の行動範囲は半径200〜500mほどだと言われている。
どうしてこんなところにいるのだろう。


その猫は貴方達の方へもう一度にゃ〜と鳴くと、とてとてと歩き出す。

貴方達がついて行かなければ再度その猫は立ち止まり振り返ると、また気の抜けた声でにゃ〜と鳴いた。

→猫に着いていく
貴方達は猫を追ってみることにした。人気のない細い道に入り込む。一列にならないと歩けないような、そんな路地だ。
更に奥へ奥へ進んで行く。雑木林も抜けて、ようやっと視界が開けた。
そこは少し高台になっている崖のような場所で、すぐ先は海だ。
周囲を見渡すと、暗闇から顔を覗かせる眼光に気づく。
それらはパッと見るだけで数十は下らない数だ。
いつのまに囲まれていたのだろうか? 辺りを警戒していると。
「にゃーお」という鳴き声とともに草陰から1匹の猫が現れる。
そして次々に現れる猫、猫、猫……

どうやらここは猫の集会所のようだ。

【HO5個別描写】
貴方はここに来た途端目がしょもしょもしてくる。というか痒い。なんだか鼻もムズムズする。
くしゃみが我慢できるか〈POW*1〉もしくは〈CON*1〉で判定。
成功で2回、失敗で2d6回くしゃみのRPをする。


くしゃみのRP後以下処理
→〈アイデア〉成功
動物アレルギーのために反応したのだろう。ここには沢山の猫がいる。

→更に〈アイデア〉成功
貴方は思い出す。そういえばHO0も昔からよく動物に触ってはくしゃみを繰り返していた。
HO0も動物アレルギーだったのでは? と今更ピンとくる。
大人になって再会してからはHO0が動物に近寄る場面は見ていない。だからすっかり忘れていたのだ。
少なくともここにHO0が望んで来ることはないだろうとわかる。



→周囲に〈目星〉成功
辺りを見渡すと、曇り空、海も空も黒。民家も近くにないために下を見てもほとんどが黒に塗りつぶされっている。
しかし、その中でこの場所から光が見えた。

高台から見下ろす景色は闇に染まっていた。
既に太陽は沈み、月も雲に隠れているため、自然光はなく、
近くに民家もないため、人工光もまたない。

光を一切遮られた目の前の光景は暗闇そのものだった。
そう……「だった」
突如、目の前に広がる闇に一筋の光が生じる。
目印等になるものも闇に包まれているためよくわからないが、
あの方角には何があっただろう?

→更に〈ナビゲート〉or〈目星〉1/2成功
あそこは死体の発見現場だ。ブルーシートから漏れる明かりだろう。

→更に〈ライフル〉or【HO3のみ〈任意の銃火器技能〉】成功
貴方はわかる。ここは絶好の狙撃スポットだ。
民家もなく、波が音を誤魔化し、あんなところに手元を照らすための明かりを持ったターゲットが入れば絶好の的だと感じる。


そんな風にしていれば時刻はすでに20時を回ろうとしていた。

赤羽唯は「それじゃあ今日のところはここまでにしておきましょうか。また明日迎えに行くわ」と言って車から降りる。

※この情報は「霧雨殺人」とは実は殆ど何も関係がない。4年前にキングはここから狙撃をされているということがわかるだけだ。


影に誘われ
20時30分
貴方達はクラブへと帰還した。
帰って早々に、それぞれソファや椅子に座り込み重いため息をつく。

1日で見つかるとは誰も思っていなかったが、
事件の真相も、HO0に繋がる手掛かりも見つからないとなると少し辟易してしまう。

そんなとき、誰かのお腹から「グーッ」と腹の虫がなる。
そういえば、お昼から食事を取っていない。
貴方達は遅めの夕食を取ることになるだろう。


料理を作る人間は〈DEX*5〉の判定を行う。
※HO2が作る場合は〈芸術(料理)〉を振る。

→HO2が料理を作る
【HO2個別描写】
貴方は出来上がった料理を見て違和感を覚えた。
それはこの一年ほど自らが目を反らし続けていたものがついに一線を超えたということだった。
違和感の招待を貴方は理解する。
目の前に並ぶ料理はホカホカと湯気を立てて、とても美味しそうに見えるはずだった。
しかし、そのどれもが貴方には到底美味しそうなものには見えなかった。
SANc1/1d2

→料理を食べると宣言
全体公開せずHO1.3.4.5に〈聞き耳〉もしくは料理関係の技能を振ってもらう。
→〈聞き耳〉成功
HO2の料理に違和感を覚える。味が変わったような気がする、美味しいとは即座に言えないレベルには。
勿論死ぬほどまずいということではないけれど明らかに変だ。


食事の片付けを終えたタイミングでコール音が鳴り響いた。
店の電話だ。それこそ滅多に入らない貸し切りの客のためだけに取り付けられているもので、普段は存在すら殆ど忘れているようなソレ。
コール音は鳴り止まない。

→出てみる
変声機を使ったのだろう機械的に変質した低い声が受話器から聞こえてくる。
ソレは一方的にこう告げた。
「始末屋はここで間違いないな。オーダーだ。松川工場第4倉庫に24時までに来い。そこに始末すべき物を置いておこう」
「報酬もそこへ置いてある」
「信用されないのも無理はないが、来なくて後悔するのはお前らだ」
「そうだ。一応依頼主になるのだから名乗っておこうか」
「このオーダーの依頼主はキング」
「よく覚えておくことだ」
「それじゃあ頼んだぞ。全力で頑張ることだな」

※この電話はクイーンがかけている。声はボイスチェンジャーで変えている。最後のセリフは前作の依頼の際のものと殆ど同じだ。
依頼は始末屋の目をキングに向かわせるための罠であり、また始末屋を利用してキングを潰そうと思っている。
また、このイベントは探索者たちが赤羽唯と共に夜を越さないようにするための措置でもある。
よっぽどのことがない限り、赤羽唯は次のシナリオまで眠っていてもらいたい。



貴方達はこの突然の依頼をどうするだろうか。

→指定された場所に行く
こんなにもタイミング良く入った依頼。なにか今回の件に関係があるのかもしれない。
貴方達は急ぎ支度をして、指定された場所に向かった。
(「仕掛けられた罠」へ進行)

→依頼を無視する
こんな不審な依頼を相手にする必要はない。
そうは思いつつもどこか引っかかる気持ちをやり過ごし、貴方達は眠りについた。
(「戦線離脱」へ進行)

仕掛けられた罠
住宅街から大きく離れ、街の外れにある工場地帯の一区画に、指定された松川工場第4倉庫はあった。
長年使われていないのか、倉庫の外壁は赤錆に覆われ、触れば壁の表面がボロボロと崩れ落ちる。
倉庫の扉に鍵はかかっていないようだが、地面に設置されているレールには土や錆びた外壁の欠片が入り込んでいるため動きが悪い。
開こうとすれば大きな音が周囲に響くだろう。

→中に入る
錆び付いた扉を開き中に入れば、中は暗闇に覆われていた。
電気系統は既に死んでいるのだろう、スイッチ等を押してもうんともすんとも言わない。
ただ、倉庫内は埃っぽい空気と鉄の錆びた匂いが充満しており、やはり長年使われていないことは間違い無いようだ。
さらに奥へと入っていけば、後ろから光が貴方達に当てられる。
後ろへと振り向くとそこには、懐中電灯やスマホのライトを片手に、醜悪な笑みを浮かべた男達が中へと入ってきた。

戦闘開始

ゴロツキ達
HP10
警棒 身体30% 1d3 / 耐久値10
ショックロール 30% / 回避ロール 10%

※人数は適宜変更して構わない。

ゴロツキが全員戦闘不能状態になる、もしくはその場から始末屋たちが離脱した時点で戦闘終了

※HO3が拳銃を使った場合は「何かが頭を揺らす感覚がある、その感覚は前よりも強くなっている」と、必ず個別描写を入れる。

生き残りがいれば尋問出来る

→〈交渉系技能〉成功
「キングって男に頼まれたんだ。ここにくる連中を殺せば1人殺すにつき1000万。止めを刺した人間には更に報酬をアップするってな」
これ以上の情報をゴロツキたちは持っていない。

※勿論ゴロツキを雇ったのもクイーンである。
本当にゴロツキたちが始末屋を殺せるとは思っていないが、赤羽唯と始末屋をひきはなす為の作戦だった。


戦線離脱
貴方達はいつもどおり目を覚ました。
時刻は12時よりも少し前だ。
もうすぐお昼の時間。赤羽唯が来るのを待って昼食を取る形になるだろう。

しばらくのRPの後

そのように話していればいつの間にか時計の針は12時を過ぎていた。
しかし、赤羽唯は訪れない。携帯を確認してみても連絡は来ていない。

→赤羽唯に連絡をしてみる。
しばらくのコール音の後、電話が繋がる。
「え、あ、どうしようでちゃった……
そんな戸惑ったような若い女性の声が響く。勿論、赤羽唯の声ではないとすぐに分かるだろう。
「えっと……この携帯の持ち主のお知り合いでしょうか?」
「実は、昨日の深夜にこちらの病院に女性が運び込まれまして……
「全身傷だらけで明らかに事件性があるように見えたのですが、救急車が到着した際に一瞬意識を取り戻して階段から落ちただけと主張されて」
「その後、身元の確認のために持ち物を見させて頂いたのですが、いまおかけしているスマートフォン以外何も持っていなかったんです。」
「それもロックが掛かっていて、病院としても困っていまして……
「あ、えっとすみません。私はこの方の担当をしている看護師です」
「ついうっかり電話を取ってしまって……
「あ〜、看護師長に怒られる……」(小声)
そんなことが聞ける。
更に聞けば、彼女は病院の名前、また彼女の病室を教えてくれる。

貴方達は急ぎ病院に向かうことだろう。

→赤羽唯に連絡をしない。
貴方達は特に気にせず昼食を食べることだろう。食べ終わって、しばらくしても連絡はない。
(「君を探して」に進行、描写は適宜変更が必要である)
※基本的に赤羽唯からの手がかりが無くともこのシナリオ自体はクリアできるが、KPは電話をしてみるように促しても構わない。

十六沢総合病院(いざさわそうごうびょういん)
十六沢総合病院はクラブから数駅離れたところにある総合病院だ。
病床数200床以上と、それなりに大きい病院であり、
この地域一帯では、入院や重傷を負った場合は十六沢総合病院に通うことが通例となっている。

貴方達が教えられた病室に向かえば、問題なくたどり着くことができる。
ノックをして中に入れば、そこにはベッドの横に立つ電話の相手だろう年若い看護師と、ベッドに横たわる赤羽唯の姿があった。
貴方達が入って来たことに気がついた看護師は頭を下げる。
「わざわざ来てくださりありがとうございます」
「えっと……随分沢山で来られたんですね」
「改めまして、担当看護師の藻部(もぶ)です。あの……
そう言って彼女は貴方達に音が出そうなほど勢いよく頭を下げた。
「あのあののあの! ど〜〜か! ど〜〜か、私が患者さんの電話を勝手に取ったこと! 看護師長に言わないでくださぁぁぁい!」
そして、そうすがりつくように言ってくる。
「看護師長まじで怖くて……私バレたらクビ……いや、殺される……

※言わないと約束するまでこの調子だ。あまり意味のないギャグキャラ程度に考えて欲しい。

→赤羽唯に近づく
未だに意識を取り戻さない彼女に近づけば、その顔色は白と言うよりも青白いと言ったほうが良いくらいだ。
傍らには彼女のスマートフォンが置いてある。
それ以外の荷物は汚れた衣服くらいのもので、あの看護師が言っていたように本当にそれ以外のものはなかったのだろう。

→スマートフォンを見る
スマートフォンは衝撃によって画面がひび割れているものの、電源自体はつくようだ。
電話が出来ていることからも動作自体に問題はないだろうということがわかる。
勿論スマートフォンにはロックが掛かっている。

→更に〈アイデア〉成功or〈知識〉成功
確かこのスマートフォンは指紋認証によるロック解除を設定出来たはずだと思いつく。(知っている。)

→スマートフォンを開く
スマートフォンを開けばいくつかのアプリケーションが入っている。特に不審な点は見受けられない。

→〈アイデア〉成功
貴方はそのスマートフォンに入っているアプリの中で一つ気になるものを見つける。
それは所謂スケジュール管理のためのアプリケーションのようだ。しかし、開こうとするとパスワードを要求される。
4桁の数字のようだ。

→アプリケーションについて調べる(判定なし)
===============================================================
Life Trre[ライフツリー]:家族や恋人、仕事仲間とカレンダーでスケジュール共有ができるアプリ
『生活をかさねる。絆がそだつ。』
○家族や夫婦で
夫婦のすれ違いを無くしたいご家族。共有のカレンダーに予定を登録して忘れないようにしておきたいママやパパにバッチリ!
○仕事で
仕事においてスタッフ間のシフトの管理をしたい人にバッチリ!
○カップルで
デートができる日を調整するためにお互い空いている日を知りたいなど予定調整に困っている方にバッチリ!
===============================================================
ロック機能はどうやら有料の機能のようだ。(パスワードは1010)

※5回間違えると5分後に、更に10回間違えると1時間後に、というふうに表示される。
基本的にこの場面では開かない。HO4などが〈コンピュータ〉などを使えば開くがKPから提示する必要はない。
ちなみに藻部は探索している間は基本的にいるため、スマホや衣類を持ち出そうとすれば流石に止める。
(見てるのは止めない……自分も触ったので)


→衣服を見てみる
衣服はかなり血で汚れており、布団に隠れた傷の痛ましさを想像させる。

→〈目星〉成功
衣服は汚れ以外にも何箇所も破れている部分が見受けられる。
また、その中には、穴と表現できるものもあった。
銃を持った相手に襲われたとでもいうのだろうか……

→〈アイデア〉成功
普通、刑事はいついかなる時も警察手帳を持ち歩いている人間が多い。
だがどこを探しても警察手帳は見当たらないことに気が付く。
※警視庁や各県庁によって異なるため、この情報は適宜削っても構わない。(規定になくとも全国的に刑事の所持率は高いそうです)
君を探して
赤羽唯という、HO0へ繋がる唯一の糸口を貴方達は失った。
目が覚めたとしてもあれだけの傷だ、自由に体を動かす様になれるまで
かなりの時間を要することだろう。

今ある手持ちの情報を精査しても、HO0へ繋がる手掛かりは未だ闇の中。
そもそも、貴方達は探偵では無い、始末屋だ。
捜査のプロフェッショナルである彼女を失ったことは痛かった。

それでも貴方達は、捜査を続行するのだろう。
諦められるわけないのだから。

この時点ですでに時刻は15時をすぎたところだ。
赤羽唯の状態を考えるに単独行動は危険だろう。
それにすでに貴方達は手をつくし、HO0を探している。他に出来ることと言えば地道に聞き込みをすることくらいなものだろう。

※ある程度のRPや、捜査を続けたら
「やはり、手がかりは見つからなかった、意気消沈した貴方達はクラブへと戻っていく」
の様な描写をしてクラブのホールに全員を集める。
聞き込みをしても有効な手がかりは得られないため強制的に時間を移行しても構わない。


それぞれが思いつくままにHO0にたどり着くための方法を試していればいつの間にか時間が過ぎ、後10分で17時。
すっかり日が落ちてきていた。しかし、こんな状況だ。今日は営業を行わなくても問題はないだろう。

そう思っていればドアの開閉音がした。

視線は自然とそちらに向かう。

そこには見慣れたとは言い難いものの、知っている人物が立っていた。
情報屋ジャックだ。彼は1人そこに立っていた。

※この情報屋ジャックはHO4の様子を観察していたミ=ゴである。ホログラム機器と変声機を使って情報屋ジャックに化けている。
本物のジャックは始末屋を貴方達と呼び敬語は使わないが、このミ=ゴは君たちと呼び敬語で喋る。

「こんにちは。君たちが困っているようだから手助けをしにきました」
「ああ、大丈夫です。用事が終わればすぐに帰りますから」
「報酬は簡単な質問に答えてくれるだけで構いません」

「先に情報ですね。君たちが知りたいことはここにあるでしょう」

そう言って一枚の紙をHO5に手渡した。

※言葉を遮られても気にせず続け、また紙を渡そうと近づいたときに割り込みなどをされても、「ああ、すみませんね」といってその人に渡す。




【HO5に個別処理】
貴方は彼に少し違和感を覚える。彼はいつもどおり(いやそんなに知り合いでもないが)なはずなのだが。何故だろう。

→〈アイデア〉成功
貴方は気がつく。貴方は動物アレルギーだ。だからこそ、この間彼が訪れたときも距離を取っていた。
しかしそれにも関わらず、少し目が痒くなったのだ。あれだけ動物を侍らせていれば当然だろう。
だが、今はその予兆すらない。

【HO3個別描写】
貴方は彼を見た瞬間全身に怖気が走るのを感じた。
違和感、嫌悪感、忌避感、それらがないまぜになったような気持ちの悪い感覚。
それを確かに目の前の男に感じていた。



紙を見ればそこには住所が書かれている。
ここから車で3時間ほどかかる場所だ。どうやらマンションの一室らしい。

「確認できましたか?」
「それでは報酬の番です。質問に答えるだけなのですから安いものでしょう?」
「では質問1、君たちはなんですか?」
「そうですね。では次の質問です」
「質問2、家族とはなんですか?」
「そうですか」
「質問3、感情とはどのようなものでしょうか?」
※ここだけHO4をミ=ゴは凝視する。HO4が答えれば下記のように絡むこと。
そう答えれば、分厚いレンズ越しの視線がHO4に向かう。
……貴方はそれを知っていますか? 持っていますか?」
→はいと答えた
「そうですか。面白いですね」
→いいえと答えた
「そうですか。」

※そのまま、ところで恋人は? とかふざけた質問をしてもいい。KPさんがふざける場所です()


彼は続ける。
「質問4、人間とそうでないものの違いとはなんでしょう?」
「質問5、貴方はどのように生きるべきですか? 生きるべきものとそうでないものの違いは何でしょう?」

なんと答えても「そうですか」と返す。
以上の質問の答えに満足をしたら、以下描写。

貴方達が質問に答え終えれば彼は満足そうに頷いた。
「ありがとうございます。では、用事は済ましたので。さようなら」
そういうと踵を返して、この店から出ていった。

※扉がしまった後に追いかけても光化学迷彩を使用しているため既に人の目には映らない。

情報屋ジャックは去っていった。
手元に残るはHO0への手掛かりと言われた一つの住所。

怪しいことこの上ないが、あの「情報屋ジャック」の情報だ。
なにかがある。それは間違い無いだろう。
それがHO0へ繋がる何かか、それとも罠か……
今はわからない。そう行ってみなければ何もつかめないのだ。
貴方達は覚悟を決めて、車に乗り込むだろう。


影に襲われ
貴方達は焦れる気持ちを抑えながら車を走らせている。
既にクラブを出てから1時間ほど経っただろうか。

→〈目星〉成功
貴方がふと気がつく。後方に2台の黒塗りの車が走っている。ただ気になるのは、ソレがずっと視認できる距離に着いてきていることだ。
警戒をしなければ、そう思った瞬間。突然その2台が速度をあげ、こちらに接近してきた。
あの勢いはまさか、こちらに当てる気か。

運転手に〈目星〉情報を共有すれば〈運転(車)〉によって回避をすることが出来る。

→〈運転(車)〉成功
横から急接近する、黒い鉄塊。
勢いをつけて突撃してくるそれは、貴方達にぶつかることはなかった。
直撃する寸前に察知した、PCX(運転者の名前を入れる)は、
アクセルを全力で踏み込み、華麗なハンドル捌きをを持って回避に成功していたのだ。
対象を見失った2台の車両はぶつかり合い、火花を散らす。
しかし、未だ走行は可能なのか、直ぐに体勢を整えると追撃を再開してきた。
位置3からカーチェイス開始

→〈運転(車)〉失敗
横から急接近する、黒い鉄塊。
勢いをつけて突撃してくるそれは、大きな運動エネルギーとなって貴方達の車両を揺らす。
タイヤとタイヤが擦れ合い、盛大な火花を散らす。突然の攻撃に対し、流石の貴方達でも反応できなかった。
しかし、こんな不意打ち慣れたものだ、直ぐに車両の体勢を整えることに成功するだろう。
位置2からカーチェイス開始

カーチェイス
当シナリオのカーチェイスは独自ルールでの判定を推奨しているが、ルルブに記載されたものを適用しても構わない。


●概要
このカーチェイスはターン制となっている。運転者と同乗者それぞれに出来ることが指定されている。
運転手が1ターンに出来ることは「移動」と「攻撃」、同乗者が出来ることは「支援行動」のみとなる。

●移動

【自分がいるマスもしくは自分がいるよりも前のマスに敵車がいる場合】
〈運転〉に成功 → 1マス進める
〈運転〉に失敗 → 進めない

【上記以外の場合】
なにもしない → 1マス進める
〈運転〉に成功 → 2マス進める
〈運転〉に失敗 → 進めない

●攻撃

攻撃は敵車が自分たちと同じマスにいるときのみ可能
〈運転〉に成功 → 敵車に1d10のダメージ 自分の車に1d5のダメージ
〈運転〉クリティカル → 上記に加え、敵車を1マス後退させる

●攻撃(受け手側)

【敵車の攻撃が成功した場合】
〈運転〉1/2成功 → 回避成功(攻撃された回数分可能)

【被ダメージが現在の車のHPの半分以上である場合】
〈幸運〉1/2or〈運転〉-20 失敗 → エンストによってカーチェイスに敗北

●支援行動
支援行動は同乗者1人1人が1ターンに一回ずつ行うことができる。

・〈ナビゲート〉※助手席の人間のみ可能
成功すれば〈ナビゲート〉の技能値1/2を次の〈運転〉の判定にプラスすることが出来る

・〈投擲〉〈拳銃〉などの妨害行為
成功値-20で判定を行う。基本的には車へのダメージになるが、敵車が自分よりも後方のマスにいる場合〈拳銃〉〈ライフル〉などで運転手をターゲットに攻撃することが可能。その場合は成功値-50となる。


→カーチェイスに勝利
ぐんぐんと車間距離が離れていく。
ハンドル捌き、ルート選択など、相手のドライバーのテクも相当なモノだったが、
勝敗を分けた決め手はこれに尽きる。ただ単純に相手が悪かったのだ。

貴方達は、目前に広がる急カーブに対し、ブレーキを踏まない。
むしろ、逆にアクセルを踏み込んだ。
壁にぶつかる直前でやっとブレーキ踏み、プロレーサー顔負けのドリフトを披露する。
壁との距離わずか数センチという一歩間違えれば、天国へ一直線のドリフトは追跡者の手を振り切る決め手となった。

後ろの2台は、ブレーキを踏むタイミングを間違えたのだろう。
盛大にクラッシュして大きな火柱が夜を照す。
燃え盛る車両を背に、貴方達は闇に紛れて消えていった。

→カーチェイスに敗北
慣れないルートを選んだのが悪かったのか、それとも相手が一枚上手だったのか。
反省点を挙げればキリがないが、そんなことしている余裕はない。
眼前に広がるのは路肩に無理やり止められ、周囲を黒塗りの車体で囲まれたという現実だ。
そして、車のドアが開き、全身黒のスーツで身を固めた屈強な男達が降りてくる。
1台の車両から6名、合計12名が貴方達を囲む、最悪なことに全員が銃器を装備している。

いつものオーダーで人数差を覆していたのは貴方達の力量もあるが、
それ以上に、不意打ち、奇襲、戦力の分断といった作戦が大きい。
奇襲される状況になった今、数の暴力は脅威的だ。
ダメ押しで、いつもチームワークの潤滑油となっているHO0が不在なのも相まって
まさに絶体絶命の状況と言えるだろう。


【HO1個別描写】
しかし、自分の能力を使えばこの人数を動けなくさせることは容易だ。
彼らの意識はこちらに向かっており、しっかりと言葉を聞き取れる知能もある。
動きを止め、壊れた車の代わりにこいつらの車を明け渡させれば予定通りに移動が出来るだろう。

※HO1が能力を使わないと負けイベになる。死なない程度に痛めつけられる。

→HO1が能力を使わない
つまり……この盤面は詰んでいるといっていい。
それでも、貴方達は最後まで抵抗するだろう。1人、2人殴り倒すこともできるかもしれない。
しかし、その間に複数人に取り掛かられれば、身動きができなくなってしまう。
そうなれば後は袋叩きだ。不幸中の幸いだったのは乱戦にもつれ込んだことで、相手が銃器の使用を渋ったことだろう。
ただ、それも命の時間が少し伸びただけのこと、何度も殴られ段々と視界が霞んでゆく。

【HO1個別描写】
このままでは全滅は確実だろう……貴方がこの盤面を打開しなければ、愛する仲間達は無残な骸と化す。
座して死を待つか、仲間達に化物と見られる事を承知の上で、力を使うかは貴方の自由だ。

→HO1が能力を使う
HO1が言葉を発する。
空気を振動させて伝わるその声は、鼓膜を伝って脳へと伝わる。
1音1音が、心身に刻まれるとでもいうのだろうか。
そんな不思議な感覚を貴方達は覚えた。

ふと見ると、先ほどまで殺気だっていた男達は、HO1の言葉通りの行動をとっていた。
まるで従順な奴隷の様に。

そして、HO1が頼めばまるで最初からHO1のものであるかのように車の鍵を手渡してくる。


【HO3個別描写】
HO1の言霊が貴方の耳を震わせた。ただの空気の振動に過ぎないそれは、貴方の耳から脳へと伝って、そのまま血を媒介に手、足、胸へと何かが伝わるようなそんな気色悪い感触を覚える。
それは最終的に魂にまで及んだとでも言うのだろうか?
心が揺れる、感情が爆発する。嗚呼……これだ。貴方はいつも、いつも、いつもHO1が恐ろしかった。
根源的な恐怖と畏怖と嫌悪と敵意と忌避感と!
様々な感情や思いが、窯でで煮詰められて凝縮したかのような。そんな形容し難い感情が爆発する。
HO1はそんな貴方を他所に、黒服達を操り車のキーを手に入れた。人々を掌握する彼が、貴方にはどう映るだろうか。
SANc1d3/1d5+1

※これまでもHO3の前でHO1が能力を行使したことはあったかもしれないが、その規模は小さく、鼻が利かない状態になっているHO3は正確に感知することが出来ていなかった。しかし、このような大きな範囲で行ったため今回は明確にその異常を感知することが出来る。これ以前にHO3に対して〈交渉系技能⁺〉を使用したことがあるのであれば上記描写は適宜変更すること。


黒服から受け取った車のキーを使い、貴方達は車内に乗り込んだ。
エンジンをかけ、走り出しても、黒服達は人形の様に立ち尽くしている。
走り出した車の中で、PC1以外の貴方達は疑念が浮かぶかもしれない。
異様な力を発揮したPC1、あれは一体何だったのか……真実はPC1の胸の内に秘められている。

君の在り処
貴方達は更に2時間ほど車を走らせ、書いてあった住所に到着した。
そこはマンションというよりはアパートと表現したほうが良さそうな廃れた場所に経つ建物だった。
部屋番号は103号室。1階の一番日当たりの悪そうな部屋だ。
ここからではよく見えないが窓も隣に立っているビルで殆ど光が差し込まないのではないだろうか。

→部屋に入ろうとする
部屋の扉の前まで行けば表札には何も書かれてはいない。

→扉を開けようとする
扉を開けようとドアノブに手をかければ鍵が閉まっていることがわかる。

→声をかけるorインターホンを鳴らす
中から応答はない。

→〈聞き耳〉成功
中からはなんの音も聞こえない。また、この部屋だけでなく他の部屋の住民もいないのだろう。
このアパートからは殆ど人の気配がしない。

→扉を開けたい
鍵が閉まっているためこのままでは開かない。
また、窓も予想通り隣の建物の壁で塞がっている形になっているためそこからの侵入も難しいだろう。
扉を壊す、もしくは〈鍵開け〉を試みることが出来る。

→扉を壊す場合
扉の耐久値は10。一度に10以上のダメージを入れることができれば開けることが出来る。
(例:3人で蹴りを入れる→1d6+1d61d6=4+6+1=11成功)
もしくは合計で20以上のダメージを入れれば開けることが出来る。

→〈鍵開け〉を試みる
〈鍵開け〉を成功させれば開く。


HO0の隠れ家
中は外観から想像した通りの簡素なワンルーム10畳の1人向けの部屋だ。
あまり設備は充実していない物件の様で、
玄関から伸びる通路に、トイレと備え付けの小さい冷蔵庫が設置されているが、
シャワーや風呂といった入浴設備は見当たらない。

部屋自体は全体的に綺麗に片付けられているが、
それは掃除が行き届いているというよりも、家具や雑貨類が少ない為、そう見えてしまうだけだ。
殺風景な部屋に置かれている家具は、引き出しがある机と本棚ぐらいなもので、
机の上にはパソコンと何枚かの書類が無造作に置かれていた。

→引き出しを開ける
引き出しにはどうやら鍵が掛かっているようだ。
〈鍵開け〉を行うか、こじ開けることが出来る。こじ開ける場合の耐久値は6。(合計でも6)

→引き出しを開けた
引き出しを開ければそこには錠剤の入った瓶と縄と本と鍵束が入っている。


●錠剤の入った瓶
透明な小瓶に錠剤が入っている。
ビンのラベルを見れば、睡眠薬であることがわかるだろう。
また、成分表を見れば、過去貴方達がオーダーで使用したことのある睡眠薬よりも強力な物であることがわかる。

→<薬学>成功
現在の睡眠薬は脳の中の受容体に作用し、睡眠導入を促すことが一般的であり、一昔のように大量摂取することにより
呼吸器官や循環機能が抑制され死に至るという副作用はない。
しかし、この睡眠薬は、その一昔の副作用の効能を残しているようだ。
また、成分濃度も高いため一歩間違えると服用者は死に至る可能性が高い。
一般に流通していない違法な物であることは明らかだ。


●縄
綿で作られた、直径12mm程度の白いロープだ。汚れ等もついておらず、綺麗にまとめられている。
どこかで買ってから一度も使われていないのだろうか?


●本
とても分厚い本だ。表紙に書かれている文字は日本語でも英語でもない。

→手に取る
手にとってみると想定よりも遥かに軽いソレに少し驚くことだろう。

→開く
その本を開くと、なぜ異常なまでに軽く感じたのかがすぐにわかる。原因は本に開いている穴だった。
正確には、本のページがくり抜かれるようにして切り取られており、箱のようになっている。
中には何も入っていない。
※HO0はここに持ち出した拳銃を隠していた。


●鍵束
どれも似たような形状だ。
〈鍵開け〉成功もしくは既に〈鍵開け〉をこのマンションの扉に一度でも試みている場合この鍵が全てこのマンションの鍵だと分かる。



→パソコンに触る
パソコンはこの部屋の見た目に反して高スペックなものだ。
ロックが掛かっている。

→〈コンピュータ〉成功
いつもどおりの解除方法では開かない。パスコードをかなり気を使って設定していそうだ。

→更に〈アイデア〉成功
しかしそんなに長いパスコードを覚えるのはかなり難しいものがある。どこかにメモを隠しているかもしれない。


→パスワード「orenotannzyoubi」を入力 ※文字数が多めであればなんでもいい。暗号を活用して好きに変えよう!
パスワードを入力すれば、ロックが解除された。デスクトップには殆ど何もない。
インターネットに繋がない完全オフラインで使用していたようだ。6つのフォルダがあるのが目についた。


・フォルダ「HO1のイニシャル」
開くとそこにはテキストフォルダしか残されていない。
===============================================================
母親は出産時に死亡。父親については、事故死したと母親が生前語っていたとの証言がある。
資料削除済み
===============================================================



・フォルダ「HO2のイニシャル」
開くとそこにはテキストフォルダしか残されていない。
===============================================================
夫婦で定食屋を営んでいた。
始末後、掃除屋に無理心中として偽装を依頼。
警察の捜査は終了。問題なし。
資料削除済み
===============================================================



・フォルダ「HO3のイニシャル」
開くとそこにはテキストフォルダしか残されていない。
===============================================================
逮捕後、執行猶予付きで判決がでたものの、執行猶予中に問題を起こし夫婦ともに懲役6年の実刑。
すでに出所していたが、職が決まらず夫婦ともに生活保護を受けて生活していた。
始末後は探す人間もいないため、掃除屋への依頼料が安くついた。
捜索願も現時点で出されていない。問題なし。
資料削除済み
===============================================================



・フォルダ「HO4のイニシャル」
開くとそこにはテキストフォルダしか残されていない。
===============================================================
HO4を「こどもの家」に預けたすぐ後に離婚。母親は再婚、子どもはいない。
父親は再婚、相手の連れ子の大学生と二人の間に新しく生まれた小学生が1人。
始末後、母親は掃除屋に依頼し自殺に偽装。
父親は通り魔に見せかけて刺殺。リスクはあったが、無事に生命保険が支払われた。
警察の捜査も打ち切り。問題なし。
資料削除済み
===============================================================



・フォルダ「HO5のイニシャル」
開くとそこにはテキストフォルダしか残されていない。
===============================================================
著名な研究者夫婦。
計画前日に事故死。ラッキーと思うべきか。
資料削除済み
===============================================================


・フォルダ「diary」
どうやらメモのような日記のようなものが名前も適当なテキストファイルとして残されている。
===============================================================
「あ.txt」
男との約束まで1ヶ月を切る。そろそろ本格的に計画を実行していかないといけない。
みんなには悪いけど、俺は生きたい。みんなにも嫌われたくない。バレないようにしなくてはいけない。
===============================================================
「ああ.txt」
これは罪の記録だ。許される訳ないなんてわかってる。
でも、記録を認める時点で、無意識では贖罪を求めているのかもしれない。本当に救えない。
それでも、ついこうやって書いてしまう。そうやって誤魔化さないと……潰されてしまいそうだ。
===============================================================
「い.txt」
何度思い返しても本当にクソみたいなゲームだ。
あいつらの……全員の両親を25歳の誕生日までに殺しきることができるかどうかのゲーム。
負けたらどうなるかなんて……考えたくもない。俺だけならまだいい。もしかしたらあいつらの身にまで危険が及ぶ可能性がある。
それだけは……それだけは絶対に避けなくちゃいけない。でも、そのためにあいつらの両親を殺すなんて俺は……俺は……
===============================================================
「あい.txt」
探偵事務所に入って、全員の両親の行方を探そうとした。
だけど、何年探してもHO1の父親は見つからなかった。。
他の両親は事故に見せかけた殺せたがHO1の父親はどこにいる? ここまで痕跡がないなんてあり得るのか?
===============================================================
「お. txt」
掃除屋に偽装を頼むと思った以上に金がかかる。でも、みんなにばれないためには仕方ない。
それに俺のエゴでも少しは何かの足しになればいい。
===============================================================
「え. txt」
HO5の両親が死んだ。事故なんだろうか。調べた限り不自然な点は見当たらない。
良かった、自分の手で殺さずにすむならそのほうがいい。今更だとわかっていてもそう思う。
===============================================================


→書類を見てみる
どうやらこのマンションの賃貸契約書のようだ。しかし、それが複数ある。
またどれも契約者名が違うのだ。見たところこのマンションにある全ての部屋を別名義で借りているようだ。

本棚
本棚にはかなりくたびれた複数の本と、複数のファイルが並べられている。
それぞれ手に取るだけで分かる情報と、〈図書館〉と〈目星〉に成功すると分かる情報がある。

・くたびれた本
くたびれた本はどれも学術書のようなものばかりで中には医学書もあった。
普通に買えば高額だが、これはどうやら古本らしい。

→〈図書館〉成功
本の中に学術書に混じって気になる本があった。
===============================================================
「完全自殺のための取り扱い説明書」
物騒なタイトルではあるが、客観的に自殺についての情報を説明するものだ。自殺の方法の説明にとどまらず、見苦しさ、自殺時の苦痛度、致死度、手間、リスク、かかる費用、事例による自殺者の心理や自殺の原因、自殺者の死に至るまでの生きる苦しみ、自殺統計データなど、自殺について幅広く分析を行っていることがわかる。
===============================================================
※自殺マニュアルは掃除屋に頼む金が足りなくなった時に自分で偽装するために参考にしようと用意していた。
引き出しの中の縄や睡眠薬も同様だ。ただ、睡眠薬に関しては追い詰められて眠れない日にHO0は何度か服用している。


→〈目星〉成功orHO4が見る
ぱらぱらと順に見ていけばそのなかの一冊に目を留める。
東洋医学の本らしい。内容はかなり難しい言葉で書いてあるが、メモ書きのつもりなのか端の方にHO0の字で「だから胸が苦しくなるのか」などと書いてあるのが少し面白い。
===============================================================
『東洋医学における精神機能の概念』
陰陽理論は人体臓器と機能のポジティブとネガティブ、プラスとマイナスなどの対立の概念における位置づけとその統一の原則を基礎としている。五行説は人体内部の機能的関係を『木』『火』『土』『金』『水』の五行に分け、さらに『肝』『心/脾』「肺」『腎』の五臓との配列組み合わせであるそのおのおのの促進と抑制の関係は図式的に表わされそれによって診断・治療指針が決定されている。
五行説における精神機能は『五行』の木、火、土、金、水と『五臓』の肝、心、脾、肺、腎に対応して『五神』の魂、神、意、魄、志と『五志』(七情)の怒、喜、思、悲憂、恐驚をあげ、五行への属性として分類されている。

「五神」 魂 神 意 魄 志
『五志』(七情) 怒 喜 思 悲憂 恐驚
『五臓』 肝 心 脾 肺 腎
『五行』 木 火 土 金 水

===============================================================
(▼1)

※HO4が見るだけで見つけられるのはミ=ゴ時代に読んだことがあるため。

・複数のファイル
手にとって見れば様々な書類がファイリングされている。裏社会に足を突っ込んでいる貴方達ならすぐにわかるだろう。
その書類のどれもが部外者には普通手に入らない情報の類だということに。
それはとある会社の職員名簿や、株主の家族関係、政治家の資金の裏帳簿など多岐に渡った。
※これらの会社、政治家などは高貴と少なからず関係があるか、探索者たちの両親に関わるものである

→〈図書館〉成功
とある宗教団体の資料が目に留まる。この宗教団体はとある女神を信仰しているようだったが、その詳細は資料にはなく、名前すらない。
普通、こういう資料では神のことやその恩恵について深く語られそうなものだが、この資料はその団体に所属する人物たちとその家族についてより詳細にまとめられているようだ。この団体は(HO3が「こどもの家」に引き取られた年)に解体されたようだ。逮捕者も出たという。所属する人物の子どもが虐待を疑われたことがきっかけらしく、この資料は当時の子どもたちのその後の行方について追っていた。詳細を見ていけば、当時3歳だった司祭の息子(HO3の性別により変更)の行方だけがわかっていない。

→〈目星〉成功
いくつかの書類の裏に小さくページ数とも、分類番号とも違う数字が書いてあるのを見つける。
「10/12/33」「6/9/21」「1/1/5」「15/3/1」「3/10/6」「12/1/5」「5/1/5」「7/11/7」「9/4/12」「14/2/40」「4/4/12」「11/5/31」「2/13/3」「8/4/12」「13/6/20」

※暗号解説
このメモ書きを残したのはHO0の気まぐれである。
解き方は以下
①3つの数字のうち一番左側の数字の小さい順に並べる
「1/1/5」「2/13/3」「3/10/6」「4/4/12」「5/1/5」「6/9/21」「7/11/7」「8/4/12」「9/4/12」「10/12/33」「11/5/31」「12/1/5」「13/6/20」「14/2/40」「15/3/1」

②真ん中の数字をコリントの信徒への手紙第13章の節に当てはめ、一番右の数字を文字数として考えてアルファベットを導き出す
「1/5」「13/3」「10/6」「4/12」「1/5」「9/21」「11/7」「4/12」「4/12」「12/33」「5/31」「1/5」「6/20」「2/40」「3/1」

例:「1/1/5」1文字目 1節の5文字目 1 If I could speak all the 〜. →「o」


この部屋を調べ尽くした頃には既に日付が変わろうとしている時間だった。
帰るには遅すぎる。なにより、あの尾行してきた連中に住処がバレていては待ち伏せされる可能性もある。
今日はとりあえずここに泊まるのが無難だろう。
※扉を壊していた場合でも鍵を入手していればこのマンションの他の部屋に泊まることが出来る。
君の夢を見る
【HO1の夢】
貴方は1人で立っていた。
声がする。
「今日から背中も飯も家事も預けるんだ。立派に相棒だろうが」
キングの声だ。
「おい、やりすぎんなよ。大丈夫。お前は大丈夫だろ」
これは過去の記憶だった。
「ちょっとくらいの無茶は男に泊をつけるってもんさ」
いつも笑って、無防備なその背中を彼は貴方に預けた。
「信じてる。そんなの当たり前だろうが」
真摯な瞳の輝きは、この薄暗い世界の中での貴方の道標だった。
「「ごめんな」」
声が重なる。姿が重なる。その瞳の意思が重なる。
HO0の声だ。姿だ。瞳だ。
いつの間にかHO0とキングが貴方の前に立っていた。
彼らは貴方に背を向けて歩き出す。
SANc1/1d3


【HO2の夢】
貴方は1人で立っていた。
声がする。
「んま! さすがHO2」
HO0の声だ。
「体調悪くね? 大丈夫かよ」
心配そうな顔、HO0はああ見えて意外と周囲をよく見ている。
「さんきゅ〜、信じてたぜ」
軽口を装って漏らされる信頼。
『ごめんな』
瞬間、視界がブレる。
少し怯えた顔。たまに向けられる、恐怖が透けた瞳。
それでも彼は目を反らしはしなかった。
いつの間にかHO0が貴方の前に立っていた。
彼は貴方に背を向けて歩き出す。
SANc1/1d3


※HO0に合わせて適宜描写変更が必要かもしれない



【HO3の夢】
貴方は1人で立っていた。
声がする。
「かっけー! なぁ、次元みたいな髭はやして帽子かぶったりしね−の?」
HO0の声だ。
「無理すんなって。まぁ、言いたくないならいいけど」
心配そうな顔、HO0はああ見えて意外と周囲をよく見ている。
「あっぶな! 当たんだろ、ばか! ……まぁ、お前が当てるわけないのは知ってっけどさ」
聞こえてないと思っているつぶやきと、微塵も疑っていない瞳。
『ごめんな』
瞬間、視界がブレる。
少し怯えた顔。たまに向けられる、恐怖が透けた瞳。
それでも彼は目を反らしはしなかった。
いつの間にかHO0が貴方の前に立っていた。
彼は貴方に背を向けて歩き出す。
SANc1/1d3

※HO0に合わせて適宜描写変更が必要かもしれない

【HO4の夢】
貴方は1人で立っていた。
声がする。
「よっしゃ、まだまだ来いよ」
HO0の声だ。
「またゲームばっかしてんの? 体壊すなよ」
心配そうな顔、HO0はああ見えて意外と周囲をよく見ている。
「いえーい! 5人抜き! 見てたか? すごくね?」
薄暗い中でもわかるキラキラとした瞳。
『ごめんな』
瞬間、視界がブレる。
少し怯えた顔。たまに向けられる、恐怖が透けた瞳。
それでも彼は目を反らしはしなかった。
いつの間にかHO0が貴方の前に立っていた。
彼は貴方に背を向けて歩き出す。

貴方は飛び起きる。あれは夢だ。しかし、ここには、貴方の側にはHO0はいない。
SANc1/1d3


※HO0に合わせて適宜描写変更が必要かもしれない


【HO5の夢】
貴方は1人で立っていた。
声がする。
「おーい、早く来いよ。お前のぶんなくなるぞ」
HO0の声だ。
……俺が行くから」
心配そうな顔、HO0はああ見えて意外と周囲をよく見ている。
「背中預けた! しゃ、行くぞ!」
重荷を軽々と肩代わりして投げ渡される信頼。
『ごめんな』
瞬間、視界がブレる。
少し怯えた顔。たまに向けられる、恐怖が透けた瞳。
それでも彼は目を反らしはしなかった。
いつの間にかHO0が貴方の前に立っていた。
彼は貴方に背を向けて歩き出す。
SANc1/1d3

※HO0に合わせて適宜描写変更が必要かもしれない

その声は
貴方達は深夜、着信音に叩き起こされる。時計を見れば丁度3時を回ったところだ。
ディスプレイに表示されていたのは「HO0の名前」の文字。
静かな部屋に着信音が鳴り響いている。

※この相手は誰でも自由に決定して構わない。但しかけているのはHO0を操る宿主の為、そこを考慮するのであればHO1もしくは3が妥当かもしれない。勿論HO0の深層意識が働いて……など別の決定の理由があってもいいだろう。


→電話をとる
電話に出れば、スピーカー越しに声が聞こえる。
そんなに時間は経っていないはずなのに前に聞いたときよりもどこか他人のように響く声が憎らしい。
貴方達の声に答えず、声は淡々と告げる。

「あ、でたでた」
「お前らはもうたどり着いてるのかな?」
「わからないけど」
「それもゲームってことだよな」
「だから終わりの場所を示そうと思って」
「やっぱり始まりの場所がいいよな」
「お前らの始まりの場所」
「待ってるからゆっくりおいで」
「約束を果たしてからのほうがいいかもな」
「じゃあ、また後で」

HO0からの通話は切れた。ツーツーと虚しく響く電子音が部屋に響く。
思い出すのは先ほどのHO0の声だ。何度も聞いたその声を貴方達が聴き間違えるはずがない。
あれはHO0だ。間違いないと、そう確信している。
だが、確信しているはずなのに……淡々と一方的に話すあの声は、他人と話している様なそんな気がした。

※たどり着いてるのか? →HO0との契約のこと
終わりの場所→宿主にとってはHO0を操り探索者たちと問答するところまでがゲームだったのでその終わり
始まりの場所→こどもの家
約束を果たしてから→HO0の記憶を共有しているためタイムカプセルのことを知っている

※RP後、「始まりの場所=こどもの家」と気付いたら以下の描写

貴方達「始末屋」が始まった場所。
━━孤児院「こどもの家」

HO0を含めた貴方達6人が子ども時代を過ごした場所だ。
始まりの場所といえば、そこしかないだろう。
しかし、何故こどもの家に?
そんな疑問を覚えながら貴方達は「こどもの家」に向かう。



【HO3個別描写】
こどもの家。そう聞いた貴方はどうしてか疑問を覚えなかった。
「ああ、そこだろうな」という奇妙な確信があったのだ。

HO0の隠れ家を出る直前、一瞬頭痛がして

脳裏に何かが浮かぶ。それは、真っ赤に燃え盛る炎だ。
むせ返る熱波が肺を焼く痛みと共に、眼前の全てを炎が平等に飲み込む、そんな悲惨な光景。
そして足元に━━倒れ伏す「誰か」。

”忘れてはいけない”何かを思い出しかけて━━また”忘れた”。

嗚呼、因果は廻る。
逃げ続けてきた過去と対峙する時が訪れたのだ。

そんな、自分でも意味がわからない確信を貴方は覚えた。

始まりの場所へ
車を走らせ、貴方達は始まりの場所「こどもの家」に辿り着いた。
何年も放置されていたそこは、在りし日の面影を残しつつ、既に廃墟と化していた。
いつも駆け回っていた庭は、雑草で覆われており、天井から垂れた蔓が、割れた窓ガラスから屋内に侵入しているという有様だ。

車を路肩に止め、貴方達は玄関口へと向かう。
一歩一歩、雑草だらけとなった庭を歩いていると、
懐かしい記憶が次々と思い起こされるかの様に、
小さな6人の子ども達が貴方達の脇を潜って庭を駆け回り始めた。

6人の少年少女、子ども時代の貴方達は、無邪気に笑い合いながら、走っていた。
向う先には庭に備え付けられた遊具があり、ブランコでは誰が靴を一番遠くまで飛ばせるか競争をし、
砂場では泥んこになりながら、大きな砂山を作った。
疲れたら仲良く木陰で昼寝をして、「ごはんよー!」と呼びに来たシスターに起こされる。

そんな、平和な日常が貴方達にもあったのだと、
錆びつき、風化して、壊れてしまった遊具達が思い出させてくれた。

そう、あの頃から一緒だったHO0が、行方をくらましていたHO0がここにいる。
彼は一体どこにいるのだろうか。
久しぶりの我が家に、郷愁の念を抱えながら、貴方達は玄関を通り抜けた。

【探索場所】
・各々の部屋
・HO0の部屋
・庭
・(地下室)

それぞれの部屋
「こどもの家」の子ども部屋の作りは統一されており、3畳程度の狭い部屋となっている。
簡易な木製の棚とパイプベッドしか置かれていない。
大人になった貴方達はよくこんな狭い部屋で生活ができたと、見渡していると、
ベッドの上に、これ見よがしに置かれている一枚の封筒に気づくだろう。
手にとって見れば、それはとてもシンプルな封筒だった。
裏返せばそこには「(PCの名前)へ」とHO0の字で書かれている。

※この手紙はHO0が万が一の保険として書いていたもの。本来は誕生日の日までに殺せなかったときのために書いていた為、捨てるつもりだったが、契約を果たせたと思っていたHO0はオーダーが終わったら捨てようと持ち歩いていた。それを宿主がこのベッドに置いておいた形になる。
内容としては遺書のようなもので、感謝などが綴られており、こんなことになった経緯などは書かれていない。
(HO0は契約が果たされなかった場合突然死ぬのだと思っていた。)
以上の内容を踏まえてKPがHO0からの手紙を用意することが望ましい。書かれた時期は行方不明になる前であればいつでも構わない。


HO0の部屋
他の部屋と同様に簡素なものだ。
ベッドの上には一冊の本が置かれている。

貴方達は思い出す。自分たちも一冊ずつ同じものを持っていた事を。
この本、いやノートは所謂日記だ。「こどもの家」はそこまで厳しい規則はなかったが、このノートだけは別だった。
1人一冊与えれらたこのノートに、必ず毎日起こったことを書かなければならなかった。
夕食後にシスターたちに見張られながら書く宿題のようなものだ

記名された名前を確認すれば、間違いなくこのノートはHO0のものだということが分かる。

[幼少期のHO0の日記]
=================================================================
せんせいが にっきを くれた!
まいにち これを かくんだって。 それが おもいでに なるからって。
なにを かこう? とりあえず ともだち のことでも かこう。

○月×日
HO2は へんなこだ。 それで とっても くいしんぼう。
おなかが すいたっていうから かくしてた おかしを あげるっていったら
ぼくのうでを かんできた。 いたいって いったら すぐに はなして くれたけど いたかった。
そんなに おなかが すいてたのかな?

○月△日
HO3は こわがり。いつも HO1のことを こわがってる。
今日も だいじょうぶだよ。 HO1はやさしいよって おしえても うさぎみたいに ぶるぶる ふるえてる。
しかたないから いっしょの ふとんで ねてあげる。

×月△日
HO4は むずかしいこと いろいろ しってる ものしりさん。
きょうも ありの ぎょうれつを みて きれいに ならぶね なんでだろって いったら、
ふぇろもん? がどうとか なにを いってるのか ぜんぜんわからなかった!
たまに ぼくを みるめが こわいなって そうおもう。 でも だいじな ともだちだよ!

△月○日
HO5は いちばんのともだち。
HO5は いっしょに ここにきたから いっしょに いることが おおい。
ぼうりょくが きらいで けんか するところが そうぞうできない。
としうえのこに いじわる されてたから きょうも ぼくが たすけてあげた!

△月△日
HO1は ふしぎな かんじがするこ。
かおが とっても きれいで せんせいたちも しょうらいは びじんに そだつって そういってた。
にわに たってる すがたが きれいで ぼーっとみてたら ふしぎそうな かおされた。

●月△日
きょうは みんなで タイムカプセル をうめた。 せんせいが いろいろ おしえてくれた。
よごれないように ちゃんと こべつに ふくろにいれたよ。
やどりぎの きのしたで みんなで ほりおこすのが とっても たのしみ!

●月△日
たかぎせんせいが さいきん よなかに ごそごそ なにしてるんだろ?
おかしでも かくしてるのかな?

=================================================================

※事前情報⁺などを参考にHO0に合わせて適宜内容変更必須。


記憶にある綺麗に整備されていたはずの庭は、かつての面影を失っていた。
一面雑草が覆い茂り、地面が全く見えない。庭の隅に設置されている物置も、風化と錆でボロボロとなっている。
軽く触れるだけで崩れてしまいそうだ。
※物置でスコップが手に入る。

→貴方達はHO0の日記を頼りに、ヤドリギの下に赴いた。
庭の隅でひっそりと生えているそれは、鳥の巣のようなグリーンの葉を枝につけ貴方達を出迎えた。

→<目星>
木の根本に掘り返されたような跡がある。

→タイムカプセルを開ける。
かつて、大きなクッキーの箱に、それぞれの想い出を入れ込んだタイムカプセルだ。
おいそうなクッキーのイラストは、土の汚れと腐食で見る影もない。

※KPはあらかじめそれとなく聞いておくか、もしくはそれぞれの探索者に合わせて想像してタイムカプセルの中身の描写を書いて置くことが望ましい。以下汎用描写。

中身が無事かどうか不安になりながらも、貴方達は恐る恐る開けるだろう。
中は濡れていたが一つ一つが密封性のビニールで保護されていたため、貴方達の想い出達は無事だ。
袋を開けるとそこから出てきたのは、ビー玉、折り紙、かつて流行っていたおもちゃ、将来の……今の貴方達に向けた手紙など、
各々の宝箱が、15年以上の時を越えて貴方達の元へ還ってきた。

貴方達が自身の宝箱を取り出すと、タイムカプセルの中には一つだけポツリと袋が残るだろう。きっとこれがHO0の宝箱なのだ。

→HO0の宝箱を開ける。
袋あけるとそこには、貴方達とおなじくかつての想い出達が顔を覗かせる。
しかし、その中に宝箱に似つかわしくない、電子キーとノートの切れ端が紛れ込んでいた。

→ノートの切れ端をみる
ノートにはB1とだけ書いてある。

→〈アイデア〉or〈知識〉成功
「B1」とは地下室を示すものであるのではと思い至る。
また、「こどもの家」にいたころに絶対に開けてはいけないと言われていた扉があったことを思い出す。

→電子キーをみる
タイムカプセルに入っているには似つかわしくない電子キーのようなものだ。

→〈目星〉成功
15年も前に入れられたものにしてはとてもハイテクそうに見える。技術的に浮いている、そんな印象だ。


※このタイムカプセルは15年前の事件以前に埋められたものであるが、「こどもの家」を出るときにHO0が一度掘り返し自分の分をこれに入れ替えている。その前にはHO0も自身の宝物や手紙などがあっただろうが、自分の命のために探索者達の両親を殺すことを決意したHO0はそんな自分のものをいれておくことが許せなくなったのかもしれない。以上はあくまで理由の一つであるため、HO0らしく好きに解釈してもらって構わない。



地下室前
貴方達はタイムカプセルの中から出てきた電子キーを持って目的地へと向かった。
そこはこの「こどもの家」の中でも奥まった場所にあり、普通ならわざわざ向かおうとは思わない場所だ。

扉は重く頑丈そうで小さい頃は何も思わなかったが、改めて考えて見れば少し違和感を覚えるかもしれない。
取っ手を掴み開けようとしてみてもやはり開かない。しかし、鍵穴などは見当たらない。

→〈目星〉成功
良く見れば、扉の横の壁に殆ど同化しているが少し材質の違う箇所がある。丁度電子キーと同じくらいのサイズだ。


→電子キーを上記の箇所にかざす
電子キーを持ち、その場所にかざしてみれば僅かに扉から機械音が聞こえた。
取っ手に手をかければ音も立てずにその扉は開かれる。
扉の先には階段が下へと続いていた。暗闇は貴方達を飲み込むかのように口を開けて待っている。

地下室
貴方達は慎重にその先へと足を進めていく。
階段を降りた先にあったのは短い廊下と複数ある扉だ。
証明を照らすと、至る所に煤がこびりついている。
かつて家具だったのではないかと思われる物体は真っ黒に焦げていて、触るだけで崩れ落ちてしまうだろう。
まるで火災現場のような有様だった。
見える範囲には扉が3つある。
※地下室のMAPを提示する

→〈目星〉成功
床の一部が不自然に盛り上がっているのが目についた。

→床を詳しく見てみる
近づいて見てみれば、埃が溜まっているせいで良く見えないものの何かが床の上にあることが分かる。
埃を払えばわかりそうだ。

→埃を払ってみる
埃を払おうとそこに触れた貴方の手はぐちょりと沈む。そこにあったのはアメーバ状の粘度をもった何かであった。
その生々しく気持ちの悪い感覚に思わず鳥肌が立つだろう。

※高貴光輝(ショゴスロード)の死体。腐るという概念にも当てはまらない、生命の抜けたナニカになり果てたもの。




→右の扉を開く(高貴の私室)
扉に防火処理でもあったのだろうか?
部屋の中に入ると埃が周囲を舞ったが、燃えた痕跡は見当たらない。
中は、落ち着いたモダンな壁紙で飾り付けられており、本棚が数個と机が配置されている。
誰かの仕事部屋、もしくは書斎だったようだ。

→本棚をみる
本棚には沢山の書籍が並んでいる。それは絵本や児童書を始め、哲学書や専門的な農工学の本まで様々だ。
中には日本語で書かれていないものも多く混じっている。

→〈目星〉成功
そんな雑多な本の中、同じような表紙の本が最下段にずらりと大量に並べられているのが目についた。

→本を手に取る
一番左端の本を手に取り、開いてみれば中に書いてあったのは手書きの文字らしきものだ。
あまりの汚さにその内容の判別すら定かではないものの、雰囲気から日記なのではないかと言うことがわかる。
更に次々と手にとっていけば、徐々にその文字は整っていき内容が判読出来るようになってくる。
さながら小学生が書く日記のような成長ぶりだ。しかし、その内容にどこか違和感を覚えることだろう。
ただそれを確信するためにはあまりにも量が膨大なこの日記の中から適切に重要な部分を読まなくてはならない。

→〈図書館〉成功
[高貴光輝の日記]
=============================================================
「こどもの家」の運営は順風満帆に進んでいる。
運営が軌道にのるまでには時間が掛かったが、やっとここまで来た。
全てはあの方のために……人類が繁栄することは必須だ。
他の奴らは別の方面から動いているようだが、あいつらは、将来を担う子ども達を疎かにし過ぎではないだろうか?
どれだけ文明が発展したとしても、それを支える人材が居なければ、何の意味もないというのに。
あいつらの尻拭いの様で癪だが、これも誰かが行わなければいけない事だ。
可哀想な孤児達を生きやすくするために、私はこの命を捧げよう。全ては人間の発展のために……
=============================================================



→〈図書館〉成功
貴方は聞いたことのない生物についての記述を見つける。
===============================================================
「食屍鬼について」
食屍鬼はゴムのような弾力のある皮膚を持つ恐ろしい亜人間型の怪物である。ヒヅメ状に割れた足、犬に似た顔、かぎ爪を備えている。
早口で、泣くような声と形容される独特の話し方をする。 また多くの場合、 体中が墓場に生えるカビで覆われている。
墓場で食べ物をあさるときについてしまったのだ。
食屍鬼は、いろいろな都市の地下のトンネル網の中に巣喰っている恐ろしいクリーチャーである。
魔女と結託していて、 ときには人間を襲うこともある。長い時間をかければ、人間が食屍鬼に変身することも可能である。
===============================================================
そしてこの下に手書きで「薬で緩和、もしくは解除を検討」と書いてある。



→左の扉を開く(殺菌室)
その部屋はに入ると、焦げ臭い匂いが充満していた。
部屋の中は凄まじい火力で炙られでもしたのか、見渡す限り煤で真っ黒だ。
奥に扉が一つある以外は、炭化した物体が随所に転がっているだけだ。


→奥の扉を開く(実験室)
その部屋は一面白い部屋だった。壁から床にかけて全てが白で統一されている。
研究室だったのだろう。埃が積もっているが、フラスコや試験官などの実験器具が散見するほか、
━━古い書物が置かれた本棚。
━━様々な薬品や、サンプルの標本が置かれた棚。
━━ファイルが乱雑に積まれた机。
━━スピーカーらしき物が設置されている機械。
━━様々な機械類とにつながっている水槽のような容器。
など、何を研究していたかは一目見た限りでは不明だが、その痕跡は至る所に残されているようだ。
また、更に奥に扉がある。


【探索場所】
・本棚
・薬品棚
・机
・通信機器
・容器
・扉


→本棚に向かう
本棚には様々な古めかしい書物が並んでいる。
そしてそれらの殆どが日本語ではない言語で書かれており、中にはどこの国の言葉かすらわからないものもある。


→〈目星〉成功
そんな本の中に付箋が貼られているものを見つける。
その本の内容自体は定かではないものの、どうやら付箋の内容はこのページの一部を翻訳したもののようだった。
==============================================================
『平凡な見せかけ』
この呪文によって、クリーチャーあるいは物品が、見るものによってまったくありふれた取るに足らないものに見えてしまう。
呪文の使い手は、隠すものの大きさに比例してより多くの魔力をコストにしなければならず、それに加えて生物に対して効果を維持するために継続的に魔力を消費しなければならない。無生物の品物ならば、一度魔力を支払うだけで、無期限に平凡な仮面をかぶせておくことができる。 人々は妙な外見に気がつかない。もっとも、仮面をかぶった品物やクリーチャーに頻繁に接した場合には、その品物あるいはクリーチャーには何かとても変なところがあると感じることができる。
==============================================================
更にその下に覚書のように「あの呪文と同じく応用すればその効果時間は飛躍的に伸びることだろう。HO1がここを出る前に更に改良を重ねなければ」と書かれている。


→〈図書館〉成功
貴方はとある本を手にとった。
その本はタイトルこそ知らない言語で書かれているものの、中身はところどころ日本語で書かれていた。
そこから察するにどうやら様々な国の伝承や民話などをその国の言葉で書いているようだと言うことが分かる。

→〈その他の言語(英語)〉成功(古い言葉で書かれているせいで技能が30%以上あっても成功しないと読めない)
貴方はその中の英語で書かれた物語に目を留める。伝承というには少し現代的なホラー小説のような内容だ。
とある街の少女が突然処女受胎をし、神の姿を「視る」ようになった。そこまでなら普通の伝承のようにも思えるが更にその物語は続き、彼女と彼女から生まれた娘の周囲では様々な破滅的な事件が起きていく。その最中に母親になった少女は気が狂ったように死に、娘だけが生き残る。しかし決定的な証拠は何もなく事件は続き、いつの間にか娘もどこかに消えてしまったという結末だった。最期にその娘を見たものはこう言ったそうだ。「あんなにも美しい人間を自分は見たことがない。きっと彼女は神のもとへ呼ばれたのだろう。いや、もしかしたら彼女こそが神の娘、神そのものだったのかもしれない」と。
(▼2)


【HO1個別描写】
貴方はこの資料をみたときに気が付いてしまう。いや、目を背けていた事実を突きつけられたという方が正しいだろう。
自身の肉体が、人間ではない……異形の仔であることを。
ここにあった資料は貴方と同じような存在が過去にもいたのだろうという証左であり、貴方が人を狂わせる神の仔であるという事実だ。
貴方の容姿は殊更優れているとは感じないが、もしかしたらそれは、高貴光輝が施した実験の結果なのかもしれない。
貴方のあの能力は人ならざるものとして与えられた、怪物の証なのだ。
SANc1d5/1d20


→薬品棚に向かう
薬品棚には様々な薬品が並んでいる。小瓶に入っているものが多く、一つ一つに丁寧にラベルが貼られている。

→〈薬学〉成功
貴方はその中のいくつかに全く見覚えも聞き覚えもない。未知の薬品、ということだけがわかる。

また、手前の比較的取り出しやすい位置に薬箱のような少し大きめの箱が置いてある。

→箱を開ける
中には小瓶とみたことのない機械、そして折りたたんである紙が入っており、よく見ればそれらの下にノートが敷かれている。

・小瓶
中には錠剤が入っている。白い錠剤だが、それが何であるかはその見た目からはわからない。


・見たことのない機械
構造自体はシンプルだが正直これだけ見ても何に使うものかは判断が難しいだろう。
辛うじて部品の一部の造形が、小瓶の錠剤と一致することから薬を生成するための機械ではないかということが分かる。


・折りたたまれた紙
折りたたまれた紙にはこの薬の取扱と機械の使い方について書かれている。
============================================================
●24時間に一度必ず摂取すること。(食前、食後などタイミングは問わない)
●1回1錠
●飲み忘れても即座に症状が悪化するわけではないが飲み続けることで効果が増大する。
============================================================
機械の使い方自体は簡単なもので指示通りに行えば誰でも使えそうだと感じる。
ただ最後の工程にある「奇妙な文字列を読み上げる」というところだけが不可解だ。
ひらがなで書かれているため不可能ではないが機械を操作するときにこのような工程が必要とは思えない。


・ノート
ノートは年季を感じるもののそこまで古いものではない。貴方達が小学生のときに使っていたような一般的な大学ノートだ。
中には膨大な手書きの文字が刻まれているが、どれも自分だけが読めればいいということがありありと伝わってくる走り書きだ。
その中でいくつか辛うじて判読できるものから内容を推測するしかない。
とはいうものの化学式などを除いた日本語で書いてある部分であればそこまで難しいということでもない。
============================================================
「あの子のような例は初めてだ」
「体の成分といて魔術が練り込まれている?」
「魔術だけでは効果が薄い」
「完全に解くことは難しい」
「人間の味覚に近づける」
「経口摂取が効果あり?」
「ここからでた後も自分で作れたほうがいいだろう」
「味がまずいとバレてしまう 要改良」
「1週間飲ませないでいたら人を噛んだ。やはり飲んだ期間が長いほど効果が持続するようだ」
「大人になったら錠剤の方が飲みやすいらしい」
「見た目は人でもやはりあれは人ではない」
============================================================


→〈アイデア〉1/2成功(高貴光輝の私室で「食屍鬼について」の本を読んでいる人間のみ)
この資料で書かれている内容と「食屍鬼について」という本の内容が貴方の脳内で結ばれる。
少なくとも過去にこの「こどもの家」の中の誰かが食屍鬼だったことは確かだろう。
SANc 0/1


【HO2に個別描写】
資料を読み、内容を理解した瞬間。貴方はゾッと寒気を覚えた。
心が拒む。そんなはずないと。しかし貴方の脳内ではパズルのピースが1個、1個パチリとはまっていく。
食屍鬼という存在……その特徴。「こどもの家」に居たと思われる人を噛んだ存在。そして自分の突発的な食人欲求。
ああ、もう認めるしかない、自身が死体を貪る卑しい食屍鬼だと言う事実を。
自分の正体を自覚をすると同時にぐーっとお腹が鳴った。
貴方は耐えきれずに自身の腕に噛みつくかもしれない。本能に負けるか、人としての理性を保つかは貴方次第だ。
SANc 1d5/1d20



→机に向かう
机の上には沢山のファイルがうず高く積まれている。
近づけばそのファイルの山に埋もれてコンピュータが置いてあることに気がつくことが出来る。

・ファイル
あまりに膨大な量のファイルだ。また、ほとんどのファイルに大きな文字で「済」と書かれている。

→〈アイデア〉成功
傍らに置かれたコンピュータとファイルの様子からデジタルデータへの移行を行っていたことが推測出来る。
コンピュータで検索をかければ簡単に知りたい情報を引き出すことが出来そうだ。

※基本的にここではHO3が「豊穣の女神」と調べることを想定しているが、何かしらの情報を取りこぼしていた場合など任意で他の情報について出しても構わない。

・コンピュータ
15年以上も前のものにしてはオーバースペックなコンピュータ。また、メーカー等の記載もない。
わかりやすいUIで操作に困ることはなさそうだ。

→「豊穣の女神」と検索する
出てきたのは今まで見たことも聞いたこともない「神」についての詳細だった。
=============================================================
シュブニグラス
豊饒の女神・大地母神の性質を持つ、正体不明の存在。ヨグ=ソトースの妻であるとも言われる外なる神。
その姿は泡立ち、ただれている塊と雲の一部が融合して体が形成されているのではないかといわれている。
また、ある記録では黒い雲の様に巨大であったとも。
黒い触手や粘液を垂れ流す口、先端が蹄になったねじれた足などの形を形成しているという一説は、かの神の従属種族である「黒い仔山羊」からきているのだろうか。それともかの神の姿が山羊を連想させ、その従属種族がその仔山羊と言われるようになったのだろうか。真相は定かではない。
また、こちらも真偽のほどは定かではないがこの女神のミルクを飲んだ人間は人間から逸脱した存在になると言われている。
備考:(HO3の名前)はどんなギフトをこの神から貰ったのだろう。
=============================================================※HO3はSANc1d3/1d5

→通信機器に向かう
近づいた機械は何かしらの通信機器であることは察することが出来るものの、使い方自体はあまりよくわからない。


→〈目星〉成功 or HO4が近づいて見る
貴方はその通信機器に録音機能が搭載されていることに気がつく。
なんてことはない、赤い丸、横を向いた三角形、2つの棒が寄り添った記号のついたボタンを見つけたのだ。
再生ボタンを押してみれば何か分かるだろうか。近くにはコードがつながっているヘッドホンもあった。
※このメッセージは基本的に同時に1人でしか聞けないようになっている。ヘッドホンをつけた人のみ聞こえるとすることが望ましい。
またシナリオ上HO4が聞くことが想定されている。


→ヘッドホンをつけ再生ボタンを押す
再生ボタンを押すと以下の内容が流れてくる。
その声は、至って普通な特徴のないものであるが、なぜかその平坦さに少しの気味悪さを感じるだろう。
=============================================================
こちらで行っている実験対象がそちらの人間の子どもに紛れている。HO4という名前で呼ばれている人間だ。本来であれば、すぐにでも普通の家庭へと引き渡すようにと忠告をするところだが、どうやらそこで受ける刺激が彼に対して良い影響を与えているかもしれないということで、そちらでもうしばらく面倒をみてほしいというのがこちらの総意である。あれは脳みそこそ我らの仲間のものではあるものの、体自体は人間だ。くれぐれも捕食しないように。そちらから何か要求があれば相談の上、ある程度受け入れる用意がある。
=============================================================


【HO4以外は以下描写】
この音声が事実なのであれば、HO4は人間ではないらしい。ずっと、人間だと思っていた仲間が、人間を装った怪物かもしれない……
SANc 1/1d4


【HO4に個別描写】
貴方はこの音声を聞いた瞬間、走馬灯のように様々な情景が浮かんできた。
ある時は、人類の行動原理を観察し。
ある時は、人類の個体差を観察し。
そして……ある時は人を攫いその腹を捌いた。内臓を、骨を、血液を、脳を……髪の毛一本に至るまで観察し、研究した。
異形の存在であった時の記憶。ミ=ゴと呼ばれる種族であった時の記憶だ。
そんな貴方が今の姿になったのは、ある人間の言葉が始まりだった。
「人とは記憶であり、記憶こそが人を作る」
貴方と仲間達はその言葉を検証するために、子どもを攫い、貴方の脳を移植した。
そして、記憶を消された状態で、「こどもの家」に預けられたのだ。
記憶が人を作る。その言葉を確かめる。それだけのために……
SANc1d5/1d20
また、思い出した知識として「クトゥルフ神話技能+5%」



→水槽のような容器に近づく
様々な機械からはケーブルが伸び、水槽の中へとつながっているようだ。
また、容器からはコポコポと気泡がたっていることから、浄水装置としての役割も担っているかもしれないと予想がつくだろう。
貴方が容器に近づくにつれ、水槽の中に何かが浮かんでいることに気づくだろう。
——胎児だ。まだ母親の胎内で慈しまれる頃合いの小さな命。
胎児には頭や胸など、多くの場所がケーブルと繋がっており、へその緒と思われる場所には機械と繋がれた管が代わりに存在している。
容器と機械が母親の胎盤の代わりとでもいうのだろうか、胎児は機械に育まれながら安らかな表情でそこに浮かんでいた。
SANc1d2/1d3+1

この容器がつながっている機械にはモニターとキーボードがある。

→モニターとキーボードを触るor近づく
それらはどうやらこの機械の記録などを行うもののようだった。触ればさして苦労することもなく以下のような記録を発見することが出来る。
==============================================================
(15年前)/✗✗/✗✗
No.1567改め、クローンXは唯一胎児の状態まで成長した。
今後は子宮の状態を再現した環境にて経過観察を行う。
やはり、HO0には何か特別な要因を持っているのだろうか。
HO5も空木夫妻によれば1つ目の事例だったという。クローンXもHO0の遺伝子を元にしたものだ。
HO0については人間であるものの今後の扱いについては彼らと同じく、私の監察下におけるようにする。
==============================================================

→〈アイデア〉成功
貴方はこの記録からHO5がHO0のクローンであるという可能性に思い至る。


【HO5のみ以下描写】※〈アイデア〉の判定はなくていい
貴方はその記載をみて、自身がHO0のクローンということ理解するだろう。
人工的に作られた生命、肉体そのものは人間に近しいかもしれないが生まれる過程が常人とは違うことを理解してしまう。
そう……常人とは違うのだ。
貴方は母親の胎内で育まれたのではなく、この胎児と同じ様に機械に管理されて育まれてきたのではないだろうか。
だとすると、要所要所で思い起こされるこの記憶は誰のものだ?
自分自身の思い出ではないとするのならばそれは……HO0の記憶なのではないだろうか……

母親に抱きしめてもらった温もりを、貴方は覚えている。
一緒に遊んでもらい、笑いかけてもらったあの楽しさを、貴方は覚えている。
誕生日に食べたあのケーキの美味しさを、貴方は覚えている。

貴方の記憶に。貴方が居た位置に……HO0の姿が投影される。楽しい家族の団欒だ。とても、とても楽しそうにみんな笑っている。
それを貴方は、幽霊のように遠くで眺めていた。

貴方は自身の記憶が借り物であったこと、自分自身が作られた命であることを理解してしまった。
SANc1d5/1d20


→更に〈知識〉成功
貴方はロボット工学三原則というものを知っている。ロボット工学三原則(ロボットこうがくさんげんそく、英語: Three Laws of Robotics)とは、SF作家アイザック・アシモフのSF小説において、ロボットが従うべきとして示された原則である。 ロボット三原則とも言われる。 「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」を目的とする3つの原則から成る。

第一条:ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない
第二条:ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。
    ただし、与えられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条:ロボットは、第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己を守らなければならない。




→胎児を取り出そうとする
貴方は胎児を取り出そうと容器の中に手を入れた。
容器の中に満たされた液体は、人の体温のように少し暖かい。
ケーブルを取り外してからゆっくりと抱き上げると、胎児は大きな声を上げる。
小さな口を大きく上げて胎児は泣く。それはきっと産声だと貴方は思うだろう。
しかし……それが間違いだったとすぐに気づく、体の至る所がどんどん黒くなって行くのだ。
それは産声などではない……胎児の断末魔だった。
気づいたときにはもう遅い、小さな斑点だったそれは、徐々に全身に広がり1分と経たずに全身が真っ黒になる。
声が止む。胎児は物言わぬ骸となり果て、体はヘドロのように崩れ落ちた。
貴方の腕には、悪臭を放つヘドロだけが残るだろう。
SANc1d3/1d5+1


この部屋を探索し終えた段階で殆どの探索者たちは自らの正体にきっとたどり着くことになるはずだ。
ある程度この段階で話し合いをすることが望ましいだろう。KPはそのように促していい。


→実験室の奥の扉を開く(捕食部屋)
その部屋には浴室のようにタイルが敷き詰められた部屋だった。
あるのは洗面台と、部屋の隅に排水溝らしき物があるだけだ。

→<目星>成功
タイルの隙間や、部屋の角に黒い何かがこびりついている。


【HO3個別描写】
貴方はここにきた事がある。部屋に足を踏み入れた瞬間そう直感した。
全力疾走をしたかのように、心臓が激しく鼓動を打つ。
思い出してはいけない何かが、思い出さなくてはいけない何かが、あったはずだとそう感じ……
目の前の現実に、過去が投影された。

その部屋には、男が1人、子どもが1人居た。男の顔はよく見えない。ただ、その背中には見覚えがある。
子どもの方はよく知っていた。それは、里親に引き取られていったはずの「こどもの家」の仲間の1人だった。

2人は何かを話し、そして、次の瞬間、男の体が突然膨れ上がった。
服の隙間から紫のゼラチンのような物を噴出し、それが体を覆っていく。
そこには黒っぽい玉虫色をした不定形の異形が姿を表した。
そして、その異形は、目の前の小さな子どもにずりずり近寄っていく。
子どもは泣き叫んで、悲鳴をあげた。貴方はそれを……口を抑えて唯々見ていた。

ぐちゃりぐちゃりという音が生々しく聞こえてくる。それは、どこか非現実に満ちた光景だった。
しかし、貴方はその光景を見ながらもどこか冷静に納得していた。
院長から向けられていた笑顔が、頭を撫でる手が、貴方はいつも怖くて気持ち悪くて堪らなかった。
それは、きっと何処かで彼の異常性を感じ取っていたのだろう。
後ずさる足に何かがあたり音が立てる。瞬間、こちらに意識が向けられるのがわかった。

見つかった。本能が叫ぶ、逃げなくてはと。
しかし、それは叶わなかった、恐怖で竦んだ足は杭で縫い付けられたかのように動かない。
異形がくる。あの子どものように、貴方に覆い被ろうとして……

——衝撃。

横からぶつかってきた衝撃に貴方は間一髪救われた。
その衝撃の正体はHO0だった。肩から血を流しながら、HO0はそれを気にせず貴方の手を引いた。
後ろから異形が迫ってくるのを感じる。
走って走って、扉が閉まる。どくどくと鳴るのは貴方の心臓か、HO0から流れ出る血か。

そこからはあっという間だった。有無を言わさず強い口調でHO0は口を開いた。
「俺のことは気にするな。いいか、今から言ったとおりにしろ。時間がない」
恐怖で何も考えられない貴方はHO0の説明に肯いた。
助かりたい一心で、それだけが命を拾う術だと幼いながら理解していたのだ。
貴方は言われた通りに作業を熟す。
それがどんな結末を引き寄せるかなどは、意識的にか無意識的にか考えていなかった。
そして……貴方はHO0が出てくることのない地下室に火を放った。
SANc1d5/1d20



そしてこの地下室を出たら以下描写。

呼び声
貴方達が地下室からでて、地上に戻ってくれば、まるで見ていたかのようなタイミングで電話が鳴り響く。
ディスプレイに表示されていたのは(HO0の名前)の文字。


→電話に出る
電話に出ればスピーカーからHO0の声が流れ出す。
「もうすぐだ」
「俺はずっと待っていたんだ」
「おいで。神の声を聞くための場所に」
「お前たちが選んだものが真実となるだろう」
それだけ言って電話は切れる。

※神の声を聞くための場所→教会
探索者たちが思いつかない場合は〈アイデア〉などを振らせても構わない。
再会と終わり
貴方達は教会へ向かって歩き出した。しとしと雨が降り続ける中、幼き日々になんども通った道を往く。
角を曲がると教会が見えてくる。素朴で、だけど見ていると安心させるような、かつての情景は……魔法が解けたかのように吹き消える。
そこにあったのは、廃墟となった幼き日々の残骸だ。ステンドグラスは割れ、壁には蔦が這い、庭は伸び過ぎた雑草に覆われて見る影もない。
雨が一段と強くなる。大きな雷鳴が辺りに響いた。
廃教会の入り口は開きっぱなしとなっており、雨と風が暗闇の中に吸い込まれて行った。まるで、地獄が手招きしているかの様だ。
ゴクリと誰かが息を飲む、ここに、彼が……HO0がいるのだろうか。
教会
廃教会の中へ足を踏み入れる。割れたガラスが周囲に散乱しており、貴方達の靴底と擦り合いジャリっと音を立てた。
周囲に人の気配はない、貴方達の息遣いと、雨と風の音が暗闇に反響する。
辺りを見渡していると、ふと光源が現れる。ポツリ、ポツリと床に設置されていた蝋燭が火を灯す。
貴方達を誘導するかの様に、火の道標は奥へと続いていく。

奥へと進めば、教会のシンボルである十字架が建てられている位置に、暗幕がかけられた謎の物体が5つ姿を現す。
かなりの大きさだ。高さは3m、横幅は2mほどあるだろうか。
貴方達が戸惑っていると、どこからか声が聞こえた。

「ようこそ、始末屋の皆さん」

その背筋が凍るかの様な、ぞっと低く重い声は、頭上にあるバルコニーからだ。
そこに、男は居た。暗闇でよく見えないが背丈のある男性だ。

「いや、後輩たちと呼んだほうがいいか?」

男性がそう告げた直後、近くで雷が落ちた。ドォンという爆音が貴方達の鼓膜を震わせる。
だが、その時の雷光で男の顔が照らし出された。
紺色のベストと赤のネクタイをしたその男は、鋭い鷹の様な双眼で貴方達を見つめ、口元はにやりと弧を描いていた。
━まるで獲物を見るかの様に。

※後輩くんというのは人ならざるものとしての後輩であることも指している。


【HO1に個人描写】
目の前で笑う男を貴方は知っている。知らないはずがない。
始末屋としての道を導いてくれた師。かつて命を預けた相棒。
そして、生来の殺人者である自分が、道を踏み外さないでいられた……その理由。心の在り方を教えてくれた人だ。
彼は頭上で貴方達を見下ろし、ニヤリと笑う。そこにかつての面影はない。
彼の身に何かあったのか? 今まで何をしていたのか? どうしてそんな……そんな……
━獲物を見る様な目で見てくるのだろうか。
SANc1d4/1d6

【HO5に個人描写】
貴方はその男に既視感があった。
黒煙と全てを埋め尽くすかの様に燃え盛る炎を背景に、

━生きたいか?

そんな質問をした男を貴方は知っている。
かつての夢と現実が交わり、歪んだ笑みを浮かべた男と重なった。


以下汎用台詞を参考に探索者たちからの問いがあればある程度キングは受け答えをする

「待ちくたびれたが、いい表情だ。15年待った甲斐があるというものだろう」
「俺の名前? ああ、それなら知っているやつがそちら側にいるじゃないか。仲間なんだろう? 教えてもらえばいい」(HO1をみながら)
「質問が終わったならそろそろ始めよう」
「楽しいゲームを」


彼が告げると、暗幕が独りでに落ちた。姿を現したのは、磔にされた5体の案山子だった。
まるで処刑されたキリストの様に、十字架に手足を杭で撃ち込まれ、がくんと地面を見下ろしている。
「ルールは簡単、君たちの大切な仲間を見つけるだけだ。どれが本物の彼なのか当ててみせるといい。」
「回答権は、そうだな……1人1回ずつあげよう」
「見事仲間を見つけることが出来たなら無事返してあげるさ」
……ん? それだったら簡単だって? 勿論回答を間違えるごとに多少のペナルティはあるとも」
「だが、そんなものは命に比べれば安いものだろう?」
※KPは言い回しに気をつける必要がある。“この中から”選べ、という言い方をしてはいけない。



【全員に個別で以下描写】
貴方はこの案山子達すべてがHO0のような気もするし、そうでない気もした。


それぞれの案山子を調べることが出来る。

→左から1つ目の案山子(木)を調べる。
案山子に触れると、木材特有の手触りを感じることができる。

→左から2つ目の案山子(火)を調べる。
案山子に触れると、熱せられた鉄の様な熱さに手を引っ込めるだろう。

→左から3つ目の案山子(土)を調べる。
手に汚れがついた。泥で作られているようだ。

→左から4つ目の案山子(金)を調べる。
案山子に触れると、冷えた金属の冷たさが手に残る。

→左から5つ目の案山子(水)を調べる。
案山子に触れると、水滴が手についた。バケツをひっくり返したかのように、案山子の全身が水浸しになっている。


「さぁ、決まったら順番に答えていいぞ。誰から答える?」

→左から1つ目の案山子(木)を選んだ場合
選んだ瞬間、案山子は枯れた木々のように、色を失い、足から徐々に崩れていった。

→左から2つ目の案山子(火)を選んだ場合
選んだ瞬間、案山子は大きく燃え盛る。火達磨となった案山子はそのまま燃え尽き灰と化した。

→左から3つ目の案山子(土)を選んだ場合
選んだ瞬間、案山子は水分を失ったかのように、徐々に萎びていく。
そして干からびた案山子は砂と化し、隙間風に吹かれてサラサラと飛んでいった。

→左から4つ目の案山子(金)を選んだ場合
選んだ瞬間、案山子からピシリッと音が響く。
顔に亀裂が走る。亀裂は頭部に留まらず、全身に及ぶと、そのままバラバラに崩れてしまった。

→左から5つ目の案山子(水)を選んだ場合
選んだ瞬間、案山子の各所から、ブクブクと気泡が現れる。気泡が弾けると案山子の体積が減っていた。
気泡の発生は止まらず、数分も経つと案山子はその場から消失していた。
5回の回答権を使い切った場合
KPは最後の回答であっても必ず探索者に「選ぶ」という行為をさせること。
1つでも感情が残ってさえいればまだ希望はある。
しかし、それでも最後の選択を終えた場合以下描写

貴方達は全ての案山子を選んだ。目の前には案山子の残骸が屍のように転がっている。
これでゲームは終了だ。HO0は帰ってくる。
そのはずなのに……背中に冷や水を垂らされたかのような、この悪寒はなんなのだろう。

「ああ、残念。不正解だ……

男は案山子の残骸を見下ろしながら、貴方達にそう告げた。
その顔に笑みはない。正確には全ての表情がなかった。怒りも、喜びも、思いも、悲憂も、恐驚も。
あるのは全身から醸し出す、倦怠感があるだけだ。

貴方達が男に声をかけようとすると、不意に男はパチンと指を鳴らした。
音が教会内に響き渡る。少し後にどさりと背後から物音。振り向けばそこにはHO0が仰向けで横たわっていた。

「期待はずれ……まあ、それも一興というものか」

そんな呟くように、囁かれる言葉。貴方達がそれを聞き、再度振り返れば、男の姿は影も形もなかった。
まるで蜃気楼のように、十字架も、案山子の残骸も全ての痕跡が消失していた。

【ケース1】

「すべてHO0である」もしくは「ここにはいない」と答えた場合
《途中で気が付いた場合》

貴方達がそう告げれば。男は大仰にパチパチとその両手を叩いた。
何度も、何度も嘲る様に満面の笑みを浮かべながら。

「正解だ! おめでとう。その思考がもう少し早ければと思うが……いやいや、それは求め過ぎというものだ」
「君達は誇っていい、大事な仲間を……HO0の在り処を導き出したのだから」
「さぁ、連れ帰るといい」

男はパチンと指を鳴らした。音が教会内に響き渡る。
少し後にどさりと背後から物音がした。振り向けばそこにはHO0が仰向けで横たわっている。
貴方達が駆け寄れば、HO0は安らかな表情で寝息を立てていた。

→<目星>成功
懐に始末屋から無くなっていた拳銃が1丁しまってあるのがわかる。

「あ、火がねぇな」

そんな呟くように、囁かれる言葉。貴方達の耳にそれが届き、再度振り返れば、すでにそこに男の姿はない。
まるで蜃気楼のように、十字架も、案山子の残骸も全てが消失していた。

足元には新品のタバコが1本、落ちているだけだ。

→〈博物学〉1/2成功(HO1のみ自動成功)
パッケージがないため分かりづらいが、この煙草の銘柄は「PEACE」だということがわかる。

【ケース2】

《最初の回答から正解だった場合》

この中にHO0はいない、または全てがHO0と男に告げると
男はニヤリと口角をあげる。

「本当にそれでいいんだな? 間違えるとペナルティがあると言ったはずだが?」


→回答を変える場合
「そうか……ゆっくりと考えればいい。時間はたっぷりとある」
男はそう告げると、貴方達の様子を腕を組みながら見守るだろう。
口元の笑みを隠そうともせずに……


→回答を変えない場合
貴方達がそう告げれば。男は呆けたような顔をした後、唐突に掌で顔を抑えた。
指と指の間から見える口角には笑みが浮かぶ。
奥歯を噛みしめ懸命に堪えているようだが、零れ落ちた笑い声が徐々に大きくなる。



「くっくっく……どういう思考回路しているんだお前達?」

男は既に笑い声を隠そうともせずに、腹を抱えて笑いだす。
広い肩をゆすりながら、大声で嘲笑うかのように。そして……その鋭い鷹の様な双眼が貴方達とぶつかり合う。

「いや、これはこれは予想外だ……俺の負けだよ、完敗だ。」
男はパチンと指を鳴らした。音が教会内に響き渡る。
少し後にどさりと背後から物音がした。振り向けばそこにはHO0が仰向けで横たわっている。
貴方達が駆け寄りれば、HO0は安らかな表情で寝息を立てていた。

→<目星>成功
懐に始末屋から無くなっていた拳銃が1丁しまってあるのがわかる。

「あ、火がねぇな」

そんな呟くように、囁かれる言葉。
貴方達の耳にそれが届き、再度振り返れば、すでにそこに男の姿はない。
まるで蜃気楼のように、十字架も、案山子の残骸も全てが消失していた。

足元には新品のタバコが1本、落ちているだけだ。


→〈博物学〉1/2成功(HO1のみ自動成功)
パッケージがないため分かりづらいが、この煙草の銘柄は「PEACE」だということがわかる。

【ケース3】

※案山子はHO0の一部と宿主の力の混合で作成されている。そのため、案山子がHO0か案山子なのかは現在確定していない。
電話で言われていたように探索者たちの言葉が真実となるため案山子がHO0と決めたなら、案山子はHO0となる。
しかし案山子はHO0の一部であるが、あくまで一部でありHO0そのものではないため、ニャルは正解とは認めず、案山子を破壊する。
そのため、案山子に5行に定められた感情がHO0から失われる。
すべての感情がなくなれば、それはもう人間とは呼べない。HO0はただの案山子に成り果てる。

おうちに帰ろう
共通描写
貴方達はHO0を連れ帰り、クラブに戻ってきた。
まだ目が覚めないHO0のことが気がかりだが、見る限り外傷はない。
病院に連れて行くのは明日にして、貴方達は各々の部屋へと戻って行く。
「こどもの家」でみたモノ……重く辛い真実に今だけは目を瞑って、泥のように眠りについた。

翌日、疲れからか昼まで眠ってしまった貴方達はリビングに集まった。
長い間、食事を取っていなかった体は栄養を求めており、ぐーっと腹の虫が盛大に鳴る。
テレビのニュースをBGM代わりに、久しぶりの昼食を取るだろう。
ニュースでは相も変わらず霧雨殺人事件が取り上げられ、盛り上がっている。どうやら昨日も被害者が出たようだ。

唯が追っていた事件ということもあり、注意深く聞いていると、ガタンとリビングの扉が開かれた。
振り返るとそこには、壁に手をついて立つHO0の姿があった。

「唯があぶない……
そう告げると、彼は膝を着いて倒れ込む。

→〈DEX*5〉成功
倒れる前に抱きとめることができる。


ケース1
※探索者は自由にRPをしてもらって構わない。
HO0は全ての感情を失ったことにより、心身喪失状態になっている。
話しかけても、赤子のようにうめき声を上げるだけでまともな返答はできないだろう。


HO0のそんな有様をみながら、貴方達は一つの言葉を思い出した。
━━回答を間違える毎に、多少のペナルティはあるさ。
そんな、男の言葉を。

間違える毎に……もしかすると。5回間違えてしまったのだろうか。
5回分のペナルティを受けた結果が、これなんだとしたら、HO0の心が壊れてしまったのは……自分達の所為なのでは?
そんな考えが脳裏に過ぎる。

「あー……ぅー?」

口元から涎を垂らし、瞳は虚空を見つめる。
時折手足が動くが、そこに彼の意思はない。

大事な仲間だったHO0は心を失った。貴方達は自分たちの選択と、行動の結果を受け止めなければならない。

そんなときだ。プルルルルと軽快な電子音がリビングに鳴り響く。
携帯電話の着信音だ。画面には━━赤羽唯と……そう表示されていた。

貴方達に心を休める暇はない、次なる苦難がすぐそこまで迫っていた。

※HO0が失った感情を取り戻すことはない。KPは少し今後のRPに気を使う必要があるだろう。
HO0の感情がなくなったことは後遺症扱いになる。
[後遺症:一切の感情が失われている。SAN値0(失う正気がないため)]

ケース2
※探索者は自由にRPをしてもらって構わない。
下記描写はHO0が失った感情によって適宜変更してほしい。
HO0はいくつかの感情を失ったことにより、感覚が麻痺している。


→体調について聞く
「ああ、身体機能に問題はない」

→唯が危ないとは?
「微かに、アイツが襲われるところを見た記憶がある」

→今まで何をしていた
「記憶が朧げでわからないみたいだ」

HO0と会話を重ねるに連れ、貴方達は違和感を覚える。
どこか遠い。目の前に彼はいるのに、手の届かない場所にいるようなそんな感覚。
そして貴方達は気づく……

→失った感情毎に 以下の描写が追加される。

=================================================================

怒→何かに苛立ったり、怒る心を失う
彼の言葉に怒りがない。
自分たちを翻弄したあの男にも、いいように使われいた自分に対しても……
HO0はそんな、甘い奴だったろうか……

喜→何かに喜んだり、楽しいと思う心を失う
彼の言葉に喜びがない。
貴方達と再会できたというのに、彼は一度も笑顔を見せていないのだ。
HO0はそんな、薄情な奴だったろうか……

思→何かを心配したり、思い詰める心を失う
彼の言葉に思いがない。
あの男の危険さをHO0はよく知っているはずなのに、貴方達の事を心配する言葉が全くない。
そういえば、唯の危険を貴方達に伝えた後だと言うのに、焦る様子がまったくないのも不自然だ……

悲憂→悲しんだり、何かを憂う心を失う
彼の言葉に悲しみがない。
彼は貴方達の両親を殺し、日記を見る限り、それをとても嘆いていたというのに。
貴方達の顔を見ても、罪悪感といったものが全く見当たらないのだ。

恐驚→何かを恐れたり、怯えたり、驚いたりする心を失う
彼の言葉に怯えがない。
あの男……HO0が言うには化け物をとても恐れていたというのに。
何事もなかったかのように平然としている。

=================================================================

HO0の様子から、貴方達は一つの言葉を思い出した。
━━回答を間違える毎に、多少のペナルティはあるさ。
そんな、男の言葉を。

ペナルティを受けた結果が、これなんだとしたら、HO0の心が欠けてしまったのは……自分達の所為なのでは?
そんな考えが脳裏に過ぎる。

能面のような表情を浮かべた彼の目はガラス玉の様に透明だ。
その瞳は、貴方達に向けられている。
その瞳は、貴方達を映し、
しかし、その瞳にかつての色は存在しない。

大事な仲間だったHO0の心は欠けてしまった。
貴方達は自分たちの選択と、行動の結果を受け止めなければならない。

そんなときだ。プルルルルと軽快な電子音がリビングに鳴り響く。
携帯電話の着信音だ。画面には━━赤羽唯と……そう表示されていた。

貴方達に心を休める暇はない、次なる苦難がすぐそこまで迫っていた。


※HO0が失った感情を取り戻すことはない。KPは少し今後のRPに気を使う必要があるだろう。
HO0の感情がなくなったことは後遺症扱いになる。
[後遺症:特定の感情が失われている]



ケース3
※探索者は自由にRPをしてもらって構わない。
HO0は無傷だが、宿主の依代になっていた時のことは、朧げにしか覚えていない。

→体調について聞く
「ああ……大丈夫だ。まだ頭がぼーっとしてるけど」

→唯が危ないとは?
「唯が……あいつが襲われているところ見た記憶がある……微かにだけどな」

→今まで何をしていた
「わかんねぇ、まるで夢見ているみたいでさ、どこまでが現実なのか俺もまだ整理できてないんだ」

→ある程度話を終えたら。
HO0は貴方達を見て、ニコッと軽快な笑みを見せる。
「なんにも……わからないことばっかだけど、一つだけ……一つだけ確かに覚えてることがあるんだ」
「お前達が見つけて……いや、助けてくれたんだって事をな」
HO0はそういうと、握り拳を作り、貴方達1人1人に、コツンっと拳をぶつけた。
照れ臭そうに、でも嬉しそうに。

「ありがとよっ!」

その言葉を聞き、貴方達はやっと、HO0が帰ってきたんだという実感を覚える。この一週間ずっと空いていた空虚感が埋まるような、そんな感覚。
考えなければいけないことは幾つもある。でも……今だけはかつての日常が戻ってきたことを素直に喜ぼう。


しかし、久しぶりの再会に心を弾ませる貴方達は気づかない。
……携帯のバイブレーションが静かに鳴っていることに。
それは、携帯電話の着信音だ。画面にはーー赤羽唯、と……そう表示されていた。
次なる苦難がすぐそこまで迫っていることを……貴方達はまだ知らない。

幕間処理
生還報酬について
・シナリオクリア(生還) 1d10
・HO0の心と身体を守れた 1d10

後遺症について
File3.終了時点で探索者達には、(特徴表:暗黒の祖先)がつくことになる。これは新しくついたものではなく、彼らがそれを知ったにすぎない。
探索者作成時に不利な特徴の技能値加算処理は済んでいるため、新たに必要な処理はない。
探索者自身の変化も、HO2は地下室の薬を飲めば問題なく生活が出来、その他のHOについても本人の認識以外で変化する部分はない。
ただ、そもそも特徴表の存在自体がこのシナリオの根幹に関わるネタバレになるため、PCの取り扱いには注意してほしい。
また、下記にそれぞれの能力について記載するため、PL向けに案内して貰って構わない。

・HO1
神と人間の合いの子である。(パンの大神の子)
特に使える能力や感覚に対する変化などはない。

・HO2
元人間ではあるが、現在は食屍鬼。見た目の変化はないが感覚は食屍鬼のものである。
ただ、地下室にある薬があれば問題なく人間らしい感覚を取り戻し生活することが可能。
地下にある薬の効果については薬を飲まなくなって14年間なんの問題もなく人間として生活していたことからも明らかである。
地下にある薬はHO2が少なくとも80年は生きても大丈夫な量があることとする。
飲まなくなってもある程度効果が持続することを考えると死ぬまで大丈夫な量はあると考えて構わない。

・HO3
なんかヤバいミルクを飲まされていたかもしれない?
なにかしらの能力があるらしい?

・HO4
外見は人間だが、脳みそはミ=ゴ。
思い出した知識として、クトゥルフ神話技能+5%以外は特に使える能力や感覚に対する変化などはない。

・HO5
HO0を元にした人造人間。
特に使える能力や感覚に対する変化などはない。


HO0について
感情を全部失くしていない場合は基本的に今後のシナリオに同行できる。
そうでない場合は同行が難しいだろう。また、その場合HO0はSAN値0の永久ロストとなる。
FILE4.
APOCALYPTICSOUND
アポカリプティックサウンド(英:APOCALYPTICSOUND)
「ヨハネの黙示録」に登場する、世界の終焉を告げるラッパの音。
世界の終焉を天使がラッパを鳴らして告げ、その音は7回に渡り鳴り響き、地上世界に天変地異をもたらすといわれている。
シナリオ背景
キングはクイーンに情があるため、出来る限り殺さずに彼女の行おうとしていた計画を止めようとしてきた。だが、霧雨殺人の頻度と掴んでいた儀式の内容から期限が迫っている事に気がつき、ついに覚悟を決め、クイーンを殺そうと動く。それが、File4の初日の出来事だ。だが、キングは4年前に負った怪我のため(勿論一般人よりは遥かに強くとも)クイーンとやり合うには力不足であった。また、クイーンには深きモノなど多くの手下がいた。多勢に無勢。キングは善戦するものの捕らえられてしまう。そのため、情報屋ジャックはキングの位置情報を一度見失う。
一方その頃、探索者たちはキングとクイーンどちらを信じるかを迫られる。クイーンを信じれば、なにもわからぬままに最終決戦場へ連れて行かれる。キングを信じれば、これまでの経緯などがある程度把握出来るだろう。キングの部屋にある、ZIPPOライターはHO1にあげようと4年前から用意していたが渡せずにいたものだ。キングはHO1が自分のZIPPOライターを持っているとは正確には把握していないが、梦幻港に行く前に家に置いてきたのだとしたらHO1が持っているだろうなとは思っている。
クイーンの儀式は「星辰を揃え、ルルイエを浮上させることでクトゥルフを目覚めさせる」ものだ。それに対して、ノーデンスと接触し再びクトゥルフを封印してもらうことがこのシナリオにおける一番被害の少ないクリア方法となる。
しかし、これまでの3作で一つでも取りこぼしがあるとノーデンスとの接触の儀式は行えない。その場合はクイーンを殺すことでそれ以上のルルイエの浮上を食い止めることになる。その場合は儀式によって無理やり揃えた星辰が次第に乱れ、ルルイエが再び沈むまで約1年は掛かる。その間、そういう事象に対して影響を受けやすい人間は発狂する。大体世界人口の1割ほどだ。HO3はこの影響を受けやすい人間の1人に入る確率が高い。
ノーデンスとの接触に必要なピースを探索者が集められる可能性があったのは、本当にただの偶然である。そのため、もしノーデンスとの接触の儀式が出来ない場合であってもそちらのほうがずっと自然なことである。
また、クイーンを殺す場合、一つのルートを除いてはキングも殺さなければならない。キングを殺さない場合は、キングはクイーンを殺し、自分も死ぬルートしかない。
このシナリオの最後の選択は、クイーンを殺すか殺さないかという部分にあるが、多く場合クイーンを殺すことにためらいはないかもしれない。「世界」と「それを壊そうとする悪人」を天秤にかけたら、当たり前のことだ。だが、キングにとってはそうではない。
始末屋たちはこのシナリオを破壊するトリックスターだが、人1人の人生の選択はその人間のものである。
始末屋たちは様々な人間を巻き込み、巻き込まれ、最後の選択をしなければならない。
鳴り響く警鐘
●HO0が無事な状態でFILE3を終えた。
HO0が帰り、いつもの始末屋としての日常が戻ってきた。
貴方達はそれぞれの事情を、今だけは忘れて笑顔を浮かべるだろう。

そんな時だ。携帯電話が鳴った。着信画面には━赤羽唯と、そう記載されている。
そう……始末屋が巻き込まれた陰謀の真相は未だ闇の中に埋もれている。
貴方達が真実を望むのならば、闇にまた一歩踏み込まなければならないだろう。
この電話はきっと、そんな真相へと近づくための始まりの合図なのかもしれない……そんな予感がした。

→電話を取る。
「アタシよ。すぐに十六沢総合病院に来てくれる? 話さなくてはいけないことがあるの」
そういった赤羽唯の声はとても強張っていた。



●HO0の心が欠けた/壊れた状態でFILE3を終えた。
HO0の心に消えない傷が刻まれた。
貴方達は怒りに燃えるだろうか? それとも嘆きの泉に沈むのだろうか?
各々が感情の吐口を探す。
そんな時だ、貴方達に休む暇はないと手でもいうかのように。携帯電話が鳴る。
着信画面には━赤羽唯と、そう記載されていた。

→電話を取る。
「アタシよ。すぐに十六沢総合病院に来てくれる? 話さなくてはいけないことがあるの」
そういった赤羽唯の声はとても強張っていた。


十六沢総合病院
貴方達は車に乗り込み十六沢総合病院に向かう。
か細くふり続ける雨が、車体とフロントガラスを濡らし続けた。
病院にたどり着き、病室に向かえばそこには、体を起こしベッドに寄りかかる赤羽唯の姿があった。
まだ、包帯が残っているものの、貴方達を見据える目はしっかりしており、
中に入ると、赤羽唯は「ごめんね、いきなり呼び出して」と申し訳なさそうに告げた。

「昨日は、いや、一昨日だったかしら。約束したのに行けなくてごめんなさい」
「それで、単刀直入ですまないのだけど、貴方達はあの事件から手を引いてほしいの」

→HO0を連れてきていた場合
「あれ……え、HO0?」
「そう、見つかったのね。良かったわ」
※この時点で襲ってきた相手が複数人であることや、自身の知り合いではないと赤羽唯は殆ど確信しているため、もうHO0に対しての疑いはない。
もし、HO0が意思疎通が出来る状態であれば「どうして現場付近にいたのか」という質問はするだろうが、それに対してHO0は「たまたま近くにいたのでは」としか答えられない。(HO0は現状殺人事件の詳細も知らない上に、殺害現場は見ているものの、遺体遺棄の現場の記憶は残っていないため会話に齟齬が生じる。KPは幕間準備のページにあるHO0情報を加味して受け答えをしてほしい)


→HO0を連れてきていない場合
「もちろんHO0のことがわかったらすぐに教えるから」
「だから、どうかお願い」


勿論、探索者たちはなぜそんなことを言うのかなどと問い詰めるかもしれない。
以下の汎用台詞を参考にRP

「どうしてかって? ……気がついたの、貴方達みたいな一般人を巻き込んじゃいけないってね」
「この事件はもう貴方達の手には負えない」
「HO0も帰ってきたんだから、もう関係ないはずよ」
「アタシ? アタシはアタシで捜査を続けるわ」
「貴方達には関係ないことでしょう」
「この事件はアタシの手で解決させたいの」

※赤羽唯は探索者たちを一般人だと思っているため、ここまで実害がある以上巻き込んではいけないと思っている。
同時に自分自身はどうなってもいいと思っているため、危ないと言われても絶対に捜査を続ける気でいる。

→赤羽唯の力になりたいと説得をする
頑なになっている赤羽唯を説得するためには〈交渉系技能〉の成功が必要となる。
※探索者たちが何も言わなかった場合、HO0からもこの事件について調べたいというようなことを言うだろう。

→〈交渉系技能〉成功
「わかったわ……ありがとう。ごめんなさいね。アタシも気が立っていたみたい」
「貴方達の力、貸してもらうわ」

→〈交渉系技能〉失敗
「申し訳ないけど、もう帰ってくれるかしら」
(諦めるのであれば病室から去り、「再出発」へ進行)

※ここで赤羽唯に対するルート分岐がある。
彼女を説得出来ない場合、彼女は今後生きてシナリオ内に登場することはない。


赤羽唯を無事説得できた場合、彼女から以下の話を聞くことが出来る。
「まずは、アタシのこの怪我についての話をしなくちゃいけないわね」
「あの日の夜、アタシは一度帰宅して、事件についての情報収集をしていた」
「すると非通知で一本のタレコミがあった。『自分はあの事件の犯人を知っている』ってね」
「電話の相手は酷く怯えているようだった。かなり深夜に近い時間ではあったけれど、直接あって伝えたいと場所を指定してきた」
「今思えばもっと疑って掛かるべきだったとわかるけれど、その時のアタシはこの事件の捜査が行き詰まっていることに焦っていたから……
「そうしてアタシは一も二もなくその場所へと向かった」
「そこにいたのは1人の女性だった」
「話を聞こうとした近づいた瞬間、パンって乾いた音がして一瞬何が起こったかわからなかったわ」
「その女性が震えながら、こちらに銃口を向けていた」
「使い慣れていなかったんでしょうね。運良く弾はアタシの服に穴をあけるだけですんだ」
「どうしてこんなことをするのか、そう聞こうとした時には周りはフードを被った人間たちに囲まれていたわ」
「10人以上はいたと思う」
「彼らは警棒のようなものやナイフを持っていて、アタシのことを殺そうとしているんだってわかった」
「そこからは夢中でそいつらから逃げた。まぁ、このザマだけど……
「どうにか大通り近くまで出たら諦めてくれてよかったわ」
※赤羽唯はかなり規格外の身体能力の持ち主である。流石にそれはクイーンも予想外だった。

→他に何か覚えていることはないかというような質問(特に聞かれなくても能動的に話してもいい)
「あとは、そうね……意識を失う前に猫とか? なんか沢山の動物の声が聞こえた気がしたような……いや、ほんと気のせいかも」
「ああ、あと、神がどうたら? みたいなことを言ってて、もしかしたら宗教団体絡みかもしれないわ」
「ただそれよりも気になったのは『あと4日だ』って言ってた。だから、もしかしたら明後日になにかあるのかも」


その他に聞かれることがなければ赤羽唯は明日には退院すると言い、申し訳ないが念の為10時頃に病院に迎えにきてくれないかと頼んでくる。
貴方達にそれを断る理由もないだろう。貴方達は今日のところはとりあえず帰ることにし、病院を後にした。
再出発
分厚い鉛色の雨雲を貫いて、夕焼けの赤い光がパラパラと降り注ぐ雨に乱反射する。
そんな黄昏時が垣間見える頃、貴方達はクラブに帰宅した。
時計の針はすでに16時を指しており、クラブを開店するのであれば準備を始めなければならない頃合いだ。
※もし、今日は開店しないと言うことであればそれでも構わない。
※テレビをつけるのであれば、今日も死体が見つかったと霧雨殺人事件の話題で盛り上がっていだろう。

※営業をする場合は閉店後、営業しない場合はこのあとすぐのタイミングで話し合いを設けると良いだろう。
特にHO0に行方不明の間の話をこのときまで問い詰めていなかった場合はHO0が自ら話したいことがあると言い出すことだろう。
また、File.3にて自身の個別HOの真相を知ることが出来なかった場合も、このタイミングで聞き出すことが出来なければかなり大変なことになることが想定されるため(特にHO2の薬の摂取)KPは話し合いを促すことを推奨する。

【HO0が話せること】※HO0によっては言わないこともあるだろう。適宜変更して構わない
・File.3に関する15年前の経緯(HO3をかばった件については言っても言わなくても構わない)
・PCたちの両親を殺したことへの謝罪
・赤羽唯が何故いるのか(これに関しては病院の段階で聞いても構わないだろう)
・行方不明の一週間の記憶はあまりないこと
→赤羽唯が複数人に襲われている光景をみた気がする
→自分が霧雨殺人に関わっていることは確かなようなので調べたい

※HO0は基本的には霧雨事件の調査に積極的であると良いだろう。
また、探索者たちの正体についてHO0は勿論知らない。

話し合いを終えた後、貴方達は夕食をとったり眠りについたり、それぞれが好きなようにその日を過ごすだろう。

※ここで更に自由行動が出来る。全員では話しにくい事柄があれば1対1などで話すことが出来ると伝えていい。


【HO3のみ以下描写】
貴方は飛び起きた。
何か酷い悪夢を見た気がする。しかし、記憶を呼び起こそうとしても、夢の記憶は水のように掴めない。
夢の中で恐ろしい声が聞こえた気がする。
ああ、そうだ。自分は呼ばれて、何かに、出会ったような……。それ以上は思い出せない。
ただ貴方はその感覚に思わず身震いすることだろう。
SANc1d3/1d10

※クトゥルフの呼び声により夢の中でルルイエに行きクトゥルフに邂逅しそうになった。
本来はそこまで深く感じないものかもしれないがHO3の特性上、色濃く影響が出てしまっている。
星辰がより揃っているので
進行する悪意
貴方達は改めて「霧雨殺人事件」について調査を開始した。
この章の内容を調べ終わったら、一日の探索パート終了となる。
※赤羽唯と共に調査をする場合はイベント「彼女の決意」が発生する可能性があるが、それ以外は情報に変化はない。

この事件について調べる場合には複数の方法があるだろう。

インターネットなどを使用して調べ物をする場合(霧雨殺人)
〈図書館〉成功
改めて「霧雨殺人」について調べ直す。ニュースで流れているような一般に流れている情報ではなく、SNSや掲示板を中心に調べてみればこのような内容の投稿を発見する。特定の人物の発言というよりは、ある一定数の支持を得た陰謀論的な内容をまとめると以下資料。
=================================================================
霧雨殺人は仕組まれた陰謀によるものだ。警察が犯人を逮捕することが出来ないのも、巨大な権力によって証拠がもみ消されているからである。
ここ4年ほど世界中で地震が急増しているし、霧雨殺人が発覚してからというもの一週間以上も季節はずれの雨が続いている。
とある研究者によると、南太平洋付近で異常な電波を計測したらしい。この世界規模の陰謀はもう誰にも止められないのだ。
その結果、何が起こるのか。僕達凡人には到底わからない。
=================================================================


〈オカルト〉成功
貴方は「霧雨殺人」について何かオカルトめいたものを感じ似たような怪談話や怪しい妖怪の話などがないかを調べた。
するとこのような話が目に留まる。
=================================================================
目玉というのは元来人間の部位の中でも強い力を持つと言われている。人間は頭でものを考え、心でものを感じる生き物であるが、その考え感じる為の情報の90%が視覚情報である。また、それ故に目から得た情報を人は信じやすく同時にそれは例えその情報が誤りであったとしても一種の真実になりうるだろう。真実を定めるものとして目はとても強い力を持つのだ。
目玉の力はそれだけではない。「だるま」には願いを込めて目を入れる。『願(がん)』と『眼(がん)』をかけて行われるようになったと言われる一般的な行為だが、これは一種の儀式であるといって差し支えないだろう。
真実を定める力を持ち、願いを叶える儀式に使われる目玉は紛れもなく大きなエネルギーを秘めている。
=================================================================


〈コンピュータ〉成功
貴方は「霧雨殺人」についての情報を調べるに当たって本来であれば見ることの叶わない警察の資料にまで手を出した。
そうしてわかったことは以下の3点だ。
・警察は本当に現在犯人の手がかりを得ることが出来ずにおり、公表されている情報以外の情報と言えばそれぞれの被害者の名前くらいである。
・事件は1ヶ月ほど前からポツポツと起き、この10日間を含めて計18人の被害者が出ている。
・事件の捜査が行き詰まっている理由に、被害者がそもそも遺体発見現場までどのようにして向かったのかわからないことが挙げられている。

→更に〈アイデア〉成功
すべての被害者の現場までの足取りが掴めないということは、別の場所で殺されてその後適当な場所に捨てられたと考えるほうが自然に感じる。
しかし、遺体を移動させることは普通大きなリスクを伴う行為だ。いったい犯人はこれだけの数の犯行を重ねているにも関わらず、どうやってバレずに遺体を運んでいるのだろうか。

※遺体はコンビニYLNTの移動販売の荷物に紛れ込ませている。全国どこでもあるコンビニの販売車が毎回犯行現場の近くを走っていたとしても誰も不審には思わないだろう。

→更に〈目星〉成功
貴方はこの資料にある1人の被害者の名前に目を留めた。
梦幻港の現場で発見された被害者。名前は「赤羽慧(あかばねけい)」。生花店勤務、男性。

→更にこの「赤羽慧」についての資料を読み進めるのであれば以下
===============================================================
赤羽慧(あかばね−けい) 1986年10月10日生
実家である生花店「あかばね生花店」に勤務。両親ともに健在。10年前に結婚。
妻は赤羽唯巡査部長。9歳と7歳の子どもがいる。
備考:捜査一課で扱っていた案件だが、事件関係者のため赤羽唯巡査部長は捜査からの離脱と自宅待機の指示
===============================================================
※赤羽慧について赤羽唯を問い詰めた場合、イベント「彼女の決意」が発生する。

情報屋ジャックへの連絡
貴方達は懇意にしている情報屋ジャックに連絡を取ることが出来る。

情報屋ジャック
「はい。こちら信頼と安全、中立な情報屋ジャックだよ。今日はどんな情報が欲しいのかな?」

→「霧雨殺人」についての情報が欲しい
「ああ、やっぱり気になるよね今話題の難事件。まぁないこともないけど具体的にどんな情報が欲しい? 捜査情報? 裏と関係がある事件かどうか? それとも貴方達に関係があるかもしれないこと?」

●捜査情報について
「捜査情報についてはかなり警察も切羽詰まってるみたいってことは確かだね。模倣犯を出さないための一つの情報以外は殆ど公表してるよ」
「その一点っていうのが、遺体はすべて目玉をくり抜かれてるってこと。それ以外の被害者の共通点はなし」
「まあ、貴方達はもう知ってたかもしれないけどね」
「おまけで一つ。「霧雨殺人」とか言われてるけど、雨の日に死体が遺棄されていること以外は何一つ確かでないよ、この事件。先入観っていうのは怖いものだよね。切り裂きジャックがそう何人もいたら堪らないだろうにさ」
※ジャックはクイーンが自分から買った情報などを手がかりにこの事件の首謀者がクイーンであることを感づいているが、クイーンもまたジャックの顧客であるため、客の情報を売らないという信条のもとそれを明確に口にすることはない。「切り裂きジャックが〜」というのは、単独犯ではなく組織的犯行だということを匂わせている。おまけは代金を含まないので売ったことにはならないらしい……

●裏と関係があるかどうか
「それについては半々ってとこかな。被害者の殆どが善良な一般市民であることに間違いはないよ」
「まあ、ある組の末端の組員とか、ちょっと怪しい薬を扱ってる会社の社員とかも混ざってるけど、そんなのは誤差だろうし」
「半々って言ったのは、今こうして貴方達がこの事件に関わろうとしてるからね。全く関係ないことないでしょ?」

●始末屋達に関係があるかどうか
「貴方達が一緒に行動してた女の人、あの人が襲われたことは知ってるよね」
「あの人は複数の人間に襲われた」
「丁度貴方達が襲われたのも同じ日でしょ?」
「それは偶然じゃない。……っていったら、まぁ、無関係なわけないよね」
「直接的に事件に関わっているとは少し違うかもしれないけどさ」


聞きたいことが終われば情報屋ジャックは以下のように言って電話を切る。

「知りたいことがあればまた連絡してよ。勿論、情報提供も大歓迎。貴方達は面白いからね。これからもご贔屓に」
「あ、そうだ。消えた平和を追うならまた明日連絡してきて」

→〈アイデア〉成功(HO1のみ)
平和それはキングが吸っていた煙草の銘柄だった。どうしてそれを伝えてきたのかはわからないが、情報屋ジャックがキングについて何かしらの情報を握っていることは間違いないだろう。

彼女の決意
このイベントは「赤羽慧」について赤羽唯に問い正した場合に発生する。もし、赤羽唯と共に調査をしない道を選んでいてかつ「あかばね生花店」について知っている場合は、「あかばね生花店」に向かうことが出来るとして聞き込みと言う形で情報を出しても構わない。

→「赤羽慧」について問いただした場合
……なんで、それを」
「そう。アタシの旦那はこの事件の被害者」
「もし良ければちょっと行きたい場所があるの。ついてきてくれない?」

彼女について行くのであれば以下描写。

あかばね生花店
そこは、個人営業の生花店だった。年季の入った看板と、使い込まれつつも丁寧に整備された備品から店主の性格が垣間見える。
置いてある花々は、どれも力強い生命の息吹を感じさせ、虹のように重なり合う色彩が貴方達を魅了した。

店の近くに車を停めると唯は「貴方達に少し待っていて」と声をかけて店の中へと向かっていく。しばらく待っていれば、赤羽唯が戻って来る。その手には花束が抱えられていた。
貴方達の前に立つ彼女は覚悟を決めたように口を開いた。
「ここが彼の実家。で、アタシの家でもあるの」
「アタシ、結婚したんだ。もう随分前だけどね」
「そのとき彼はこの花屋を継いだばかりで、アタシも所轄のひよっこ刑事だった」
「彼とは中学のときから知り合いで、高校のときに付き合って、ずっと側にいた」
「大学に行った彼と、高校を卒業して警察学校に入ったアタシ。すれ違っだり喧嘩も多かったけどいつだって最後は彼が折れてくれてた」
「本当に優しいひとだった」
「アタシが仕事で忙しいときも文句一つ言わずに子どもの世話をしてくれたわ」
「こんな職業だから危険が多いこともわかってた。アタシが先に死ぬ確率のほうがずっと高いって、どこか他人事みたいに」
「この人ならアタシがもし死んでしまってもきっと立派に子ども達を育ててくれえるんだろうって」
「それなのに……
「まさか彼が先に死んでしまうだなんて思わなかった」
「おかしいわよね。今までいくらだって理不尽に命を奪われてしまった人たちを、理不尽に命を奪う人間をみてきたっていうのに」
「どうして、彼はそうならないって思っていられたのかしら。彼がいったい何をしたっていうのよ」
……だから、決めたの。犯人はアタシがこの手で捕まえるって」
「捜査からは外された。だけどね、どうしても諦められなかったの」
「でもね、勘違いしないで。アタシは自棄になんてなってないわ」
「貴方達はとても心配してくれていたみたいだけどね」
そこまで言って彼女はふっと息をつき少し目を細める。その愛おしいという瞳は貴方達に向けられ、そしてそのあとふらりと店の方へ向けられた。
「悲しくないっていったら嘘になるし、彼が死んだこの世界が苦しくて堪らない」
「でも、アタシにはねあの子らがいるからさ。落ち込んでる暇なんてないの」
彼女の視線の先にはランドセルを背負った子どもが二人。「ただいまー!」と元気よく生花店の中へ帰って行く。
「ずっと隠していてごめんね」
「そして、貴方達をアタシのわがままに巻き込んでごめんなさい」
「でもどうかお願い。アタシに力を貸して。一緒に捜査を続けてくれないかしら」
そう言って彼女は貴方達に頭を下げた。

貴方達が了承すれば、もう捜査員も撤収しているだろうと赤羽唯は話し、梦幻港へ向かうことになる。




あかばね生花店(聞き込み)
そこは、個人営業の生花店だった。年季の入った看板と、使い込まれつつも丁寧に整備された備品から店主の性格が垣間見える。
置いてある花々は、どれも力強い生命の息吹を感じさせ、虹のように重なり合う色彩が貴方達を魅了した。

店の近くに車を停めると唯は「貴方達に少し待っていて」と声をかけて店の中へと向かっていく。

店内に入ると、花々の芳香が貴方達の鼻腔をくすぐった。
中には至るところに美しく咲き誇った花々が置かれており、1人の女性店員が花をいじりながら「いらっしゃいませ」と挨拶した。
50代半ばくらいの女性だ。柔らかいその声と、柔和な笑顔から人柄が窺える。
貴方達以外には、2名ほど客がいるようだ。少し気難しそうな女性と同年代の男性が奥の方で会話をしている。

※しばらく店内をうろついたりすれば「何かお探しですか?」などと声をかけるられるだろう。
※ここでは赤羽慧の両親にいくつかの質問が出来る。

●赤羽慧について
「あら……慧とお知り合いなの?」
「ごめんなさいね、今いないのよ」
※両親は赤羽唯に子どもたちのためにも事件の被害者遺族であることを一時的に隠すように言われている。
万が一、記者などに情報が漏れればこの店もこんなふうに営業していくのは難しくなるだろうということは想像に難くない。

●赤羽唯について
「唯ちゃんのお知り合い? ごめんね、今丁度出たとこで」
……どこにって? うちの子に会いにいくって言ってたけど、場所まではわからないねぇ」
※聞き込みの場合は赤羽唯とはすれ違いになる。花を買って供えにいくという流れは同じだが、両親が具体的な場所を口にすることはない。

→〈アイデア〉成功
多分、唯が向かったのは「梦幻港」だろうと思い当たる。

●「霧雨殺人」について
……ひどい事件だよねぇ。本当に早く犯人が捕まってくれるといいのだけど」

しばらく店内で時間を過ごすと、「ただいまー!」と子供特有のよく通る声が、店内に響いた。
店内に入ってきたのはランドセルを背負った2人の子供だ。
おそらく兄妹なのだろう、兄は慣れた様子で貴方達に「いらっしゃいませー!」と元気よくと挨拶をし、
妹は人見知りなのか、その後ろで恥ずかしそうに「いらっしゃいませ」と小さく呟いた。
2人は挨拶を終えると、少し駆け足で店の奥に向かい見えなくなった。

→<アイデア>成功
2人の顔立ちに貴方は見覚えがある。特にその切れ長な目元は、赤羽唯を思い起こさせる。

「あかばね生花店」でのシーンが終われば移動可能場所に「梦幻港」が追加される。
梦幻港
→唯がいる場合
梦幻港は相も変わらず、激しい波の音とカラスの鳴き声が響いていた。
捜査員は撤収したのか、事件現場があったと思われる場所に黄色のテープと三角コーンが置かれているだけで、人影はない。
唯はその場所に花束を供え、手を合わせた。きっとそこで彼女の夫は天国へ旅立ったのだろう。

「あんた達にも会わせたかったな。私の弟みたいなもんだしさ」
彼女は物悲しげな微笑みを浮かべ、そう言った。


→唯がいない場合
梦幻港は相も変わらず、激しい波の音とカラスの鳴き声が響いていた。
捜査員も撤収したのか、事件現場があったと思われる場所に黄色のテープと三角コーンが置かれているだけで、人影はない。
貴方達が近寄ると、花束が供えられていることに気づくだろう。

→<生物学>成功
アイビーの花束だということがわかる。

→〈戦闘技能〉or〈聞き耳〉成功
貴方はふと視線を感じた。殺気を向けられているというほどではないが、相手が気配を薄くしていることに警戒心を覚えることだろう。

→そちらに声をかけるなど何かしらのアクションを起こす
それに対して気配の相手は姿を表した。

相変わらずの血まみれで日本刀を握った京橋とこれまた相変わらずの様子でいる紫だ。

「うわ、ばれてるぜ。ゆかりっち」
「絶対那月君が悪いんですよ〜! また殺気飛ばしたでしょ! どうするんですか」
「今回は真面目に抑えたって! ほんとに!!」
「那月君はただでさえ血だらけで目立つんですからもっと頑張ってくださいよー」

またかと、もはやおなじみとなった2人のやり取りが暫し続き、紫は貴方達に話しかけてくる。

※京橋と紫はキングから始末屋たちに届け物を頼まれたが、いかんせん京橋が血まみれの為、人気のない場所に始末屋が行かないと車から出られなかった。ここに来ても自ら声をかけなかったのは単純にタイミングを伺っていたため。あと、赤羽唯がいた場合、彼女に関する情報が2人にはないため主に紫が「駄目です。一般の人ですよきっと。通報されると面倒なので」と押し留めていた。

「えっと、今回はちょっと届け物を渡しに来ただけなんですけど……
「HO1さんであってます……よね?」
紫はスマートフォンを片手にHO1に話しかける。

※この紫は今まで会った紫とは違うため始末屋たちの顔がわからない。勿論彼らの写真がそう簡単に手に入るわけもなく、どうやって本人か確認したらよいかという質問にキングが唯一持っていたHO1の写真を渡した。

→〈目星〉1/2成功
彼女がもつスマートフォンにはHO1の写真があった。しかもそれは寝顔だ。

→更に〈アイデア〉成功(HO1のみ)
その写真の貴方は今より幾分若いように感じる。

紫はHO1のことを確認すると、ホッと息を吐いて一つの封筒を手渡した。
「貴方宛てに頼まれていたので。どうぞ!」
それは、どこにでも売っていそうな、A4サイズの茶封筒だ。
表面にも裏面にも何も記載されておらず、開けてみないと中身は、わからないだろう。

紫は貴方達が封筒を受け取ると満足そうに頷き、「それじゃあ、たしかに渡したので失礼しますね!」といってその場を去ろうとする。

※この場に赤羽唯がいるのであれば、京橋は銃刀法違反、血塗れといった状態のため話を聞こうとする。最悪の場合逮捕しようとするだろう。
しかし、赤羽唯は探索者の事を信頼しているため、「彼らは問題ない」「事件解決に必要な人物だ」と言った上で<交渉技能>に成功すれば
探索者に従いこの場を見逃すだろう。
また、京橋はバトルジャンキーかつ、頭のネジが一本抜けているため探索者と闘ってみたいと思っているが、そこは紫が止めるので安心してよい。

「ほら、行きますよ。那月君!戦わない!駄目って言われてるでしょう!」
「わかってるよー!でもそろそろ歯ごたえあるやつと殺りたいし、峰打ちにするから1分だけ!!」
「また今度他の人で我慢してください!それ(刀)没収しますよ!?」
「いくらゆかりっちだからってこれは渡さないからな!!」
「嫌なら早く帰りますよ!!」

紫は京橋の首をつかんで引きずるように、去っていった。
2人の罵り合いは、彼らが見えなくなるまで続けられているだろう。

※赤羽唯がおらず、梦幻港に行かなかった場合は彼らがクラブまで届けに来ることに変わるだけである。


梦幻港から帰る道中に以下の処理

→〈目星〉成功
コンビニYLNTの移動販売車が停まっているのが目にとまる。民家も殆どない場所だが、利益はあるのだろうか。
そんな疑問が浮かぶが、商品のラインナップは流石に大手企業なだけはあり、客の胃袋をしっかりと把握しているようだ。
レジの横にある、スチームマシンの中には、出来立ての肉まんが陳列されており、
「外はホクホク、中は肉汁が滴るジューシーさがたまらん!」と記載されている写真は見ているだけで涎が出そうだ。
また、その反対側にはアイスが入っている冷凍ショーケースが設置されている。
こちらも定番のラインナップからマイナーなものまで、バリエーション豊で顧客のリサーチに力を入れているようだ。

※季節によって適宜描写を追加すると良い。
熱々のおでんが香りが貴方達の鼻腔をくすぐる。(例:冬の場合)

※コンビニYLNTで買い物をするのであれば、SAN値を1d3回復して良い。




嵐の前の静けさ
貴方達はクラブに戻り、ほっと息をついた。
思い返すと、HO0が行方不明になってから休まる暇がなかった。
霧雨殺人事件は気がかりだが、現状急ぎの案件はない。今夜は久しぶりにぐっすりと体を休めることができそうだ。

※就寝前に自由行動を取ることができる。


HO1に渡された資料の内容は以下

●茶封筒
開けるとそこには飾り気のないA4用紙が一枚入っている。
そこには「決着をつけてくる。もしもの保険としてお前にこれを託す。もしも、明日空が晴れ、星が輝いたなら、住所の場所に行ってほしい。今まで連絡できなくて悪かった。明日雨が降ったならお前に会いに行く」という文字が印刷されていた。

※キングは宿主が探索者たちにやっていることを何一つ知らないので4年間HO1を放って置いてしまったことを申し訳なく思うと同時に、この件の決着がついたら全てを話そうと思っていた。また、調べるにつれてクイーンの儀式の結果、世界が滅びることを知り、自分だけではなくHO1を巻き込む覚悟を決めた。しかし、勿論自分だけで事を収めることが出来るのであればそれが一番とも思っているため、HO1はあくまで保険である。


【HO3が眠ったら個別描写】
貴方は震えながら、拳銃を構えていた。
これが最後の手段だった。
銃口を向けられた女は叫ぶ。
ああ、許せない。この村の人間も。私の邪魔をするお前らも。
貴方はトリガーを引いた。
ああ、足りていれば、あの女も、仲間も、全て救えたはずなのに。
パンッという乾いた音が鳴り響く。
頭が割れるように痛かった。

※自衛隊を辞めるきっかけとなった事件の夢。徐々に思い出している。
夜明けは晴天
夜が明ける。貴方達はそれぞれベッドから体を起こし、ふと違和感を覚えた。
その違和感に思考を巡らせ気付く。静かだ。ここ数日降り続いていた雨音がしない。

不思議に思い窓から外を見上げると、そこには、あれ程まで重苦しく空を覆い尽くしていた雨雲が見当たらなかった。
空に浮かぶのは有明の月と太陽。2つの天体を中心に星々が輝く不可思議な空だ。
そんな幻想的な光景にも関わらず、晴れ渡った空特有の爽快感は感じられない。
むしろ雨雲が覆っていた時よりも、一段と重圧が増したかのような、そんな閉塞感さえ感じられた。

※KPは作戦会議も含めて、朝食を取る描写をすること。
ひと段落したら、クイーンから電話が来るイベントが発生する。


朝ごはんを食べ終えるとHO1の電話が鳴る。
電話の相手はクイーンだ。
「こんにちは、坊や。ああ、おはようのほうが良いかしら」
「いま時間はあるかしら?」
「そう、良かったわ。要件は何かって? そんなに焦らなくてもいいじゃない」
「わかったわ。単刀直入に言うわね」
「キングが見つかったわ」
……けれど、彼は変わってしまっていた」
「噂は本当だったみたい」
「貴方達、始末屋のことを潰そうとしている。それは間違いないわ」
「貴方達のアジトも彼は知っているかも知れない」
「十分気をつけることね」
「私はもう一度、彼と話すわ」
「貴方も話したいことがあるなら来ればいい。来るなら早く来なさい」
クイーンは一つの住所を告げて、電話を切る。

→〈心理学〉1/2成功
人に選択を迫り、急かすのは詐欺師の常套手段だと思う。

→〈心理学〉失敗
彼女の声はどこか硬い印象を受けた。



→テレビをつける
テレビをつけるとニュースキャスターがここ数日の出来事を読み上げていた。
霧雨殺人事件について、いつも通り報道されているが、それ以外にもSNSでの怪奇現象についても取り上げている。
「突然異音が聞こえた」というコメントともに投稿されているその動画は、再生しても何も音が入っていない。
1件だけであれば、悪戯かもしれないが、こう言った投稿が急増しているらしい。



始末屋たちが出来る行動は主に以下の3つだろう。
・情報屋ジャックに連絡する
・茶封筒にあった住所に向かう(「託されたモノ」へ進行)
・クイーンに言われた住所に向かう(「その毒は美しく」へ進行)

また、お昼前に赤羽唯から電話が来る。







情報屋ジャックへの連絡
以下参考台詞
「はい。こちら信頼と安全、中立な情報屋ジャックだよ。今日はどんな情報が欲しいのかな?」
「なんてね。ご連絡ありがとう、始末屋さん」
「で、せっかく連絡してもらって申し訳ないんだけど」
「大変遺憾ながら、この情報屋ジャック。少しタイミングを見誤ったかもしれないんだよね」
「そこは先に謝っとく。ごめんよ」
「まぁ、これは仕事じゃなくてお節介っていうか、純粋な好意なわけだから怒られてもそれはそれで困っちゃうわけなんだけどもさ」
「あ、ごめんごめん。本題に入れって? わかってるよ」
「じゃあ本題ね。キングが生きてた」
「って、あれ? 驚かないね。まぁ、殺しても死ななそうなお人だから分からなくはないけど」
「で、なんで謝ったかっていうと、実は居場所もわかってたんだけど昨日の夜から位置情報ロストしちゃったんだよね」
「そもそもなんでそんなことを貴方達に教えるかって?」
「え、だってキングはHO1の師匠で最初の始末屋だし……探してたでしょ? 違った?」
「そんなわけで居場所を教えてあげようと思ったわけだけど、今はちょっとわかんないや」
「わかったら知りたい?」
「そう。了解だよ、始末屋さん」
「知りたいことがあればまた連絡してよ。勿論、情報提供も大歓迎。それじゃあ頑張ってね」

※情報屋ジャックは始末屋に好意的ではあるが始末屋にヌルゲーをさせたいわけじゃないのでこれくらいしか話してくれない。ただ、コンビニYLNTについて怪しんでいたり、キングとクイーンの関係について問い詰めることが出来たらこれ以上の情報を教えることもあるかもしれない。基本的に情報屋ジャックはクトゥルフ的事象以外の事柄は把握している。


赤羽唯からの連絡
「連絡が遅くなってごめんね。ちょっと息子たちのことで朝はバタバタしちゃってて」
「それで今日のことなんだけど、実はさっき同僚がとある情報を流してくれたから、そっちの捜査についていこうと思うの」
「まだ確証はないけど、その同僚と一緒に捜査をすることになるから、少し別行動にしましょう」
「ええ、同僚はアタシが捜査に関われないことを知ってる。それでも協力してくれるって」
「何かわかったらすぐに連絡するわ」
「そっちも何かわかったら連絡して」

※昼前にクイーンのもとに向かった場合は、この電話を取ることは不可能だ。
ちなみにとある情報というのはコンビニYLNTについてのタレコミだ。赤羽唯が最終決戦場へ行く場合、少しばかりややこしいことになることが予想されるため始末屋と引き離す意図で赤羽唯から別行動を提案しているが、ここまでの始末屋との関係次第では最終決戦場へ呼んでも構わない。(「合流。それから、」にて詳細)
託されたモノ
指定された住所は廃ビルの一室だった。
しかし、ビルの中は廃ビルという割は綺麗で埃が積もっている様子はなく、電気系統も生きているようだ。
人が定期的に出入りしているのは明らかだ。
貴方達は周囲を警戒しながら、その部屋の前に立った。表札も何もない剥き出しのドアだ。


→ドアノブそひねる
鍵がかかっている。開かない。

→〈アイデア〉成功(HO1のみ)※この処理を優先にするが失敗した場合は他の探索者が〈目星〉をふる
貴方は思い出す。まだ、キングと2人で始末屋をやっていたときの話だ。ガサツで面倒くさがりの彼はよく新聞受けの内側に鍵を貼り付けていた。初めてそれを見たときは、むしろそこに貼り付けるほうが面倒ではないかと思ったものだ。

→〈目星〉成功
鍵がかかっているということはどこかに鍵が隠されているのではないかと考える。しかし、この場に鍵を隠せそうなものは殆どない。
有り得そうな場所といえばドアに取り付けられている新聞受けくらいだ。

→新聞受けに手を突っ込む
中を探れば、指先に触れるものがあった。それをつまみ出せばそれは鍵だ。

→見つけた鍵でドアを開ける
鍵はすんなりと差し込まれ、軽くひねればカチャリと小気味良い音を立ててドアが開いた。

キングの隠れ家
その部屋はシャッターが閉められ、太陽の光が差し込まないせいで薄暗く、また煙草独特の匂いが部屋にこびりついていた。

家具は少なくベッド、机、本棚がある程度で物は少ない。
くたびれたベッドの上には脱ぎ散らかした服が放置されており、机の上には吸い殻が山盛りとなった灰皿が掃除されずに残っている。
残る本棚も、本が乱雑に詰め込まれており、部屋の主人の性格が伺えるだろう。


【探索場所】
・ベッド
・机
・本棚


→ベッドへ向かう
ベッドの近くには錠剤の入った2つの小瓶、吸い殻の溜まった灰皿とその隣にマッチが置いてある。

●錠剤の入った小瓶
どちらも白い錠剤が入ったラベルのない瓶だ。何かしらの薬なのだろうが、ラベルも説明の紙もないため、何もわからない。
※痛み止めと睡眠導入剤だが、見た目ではわからないだろう。口に含むのであれば味で分かる可能性はある。

→〈聞き耳〉1/2成功かつ〈薬学〉成功
貴方はその錠剤を少し口に含む。記憶と知識を照らし合わせ、それらが痛み止めと睡眠導入剤であることがわかる。
特に痛み止めはかなり効果の強いものだ。


●灰皿
吸い殻が山盛りになった灰皿と横にはマッチが置いてある。マッチは使いかけで残りの本数は少ない。

→〈博物学〉1/2成功(HO1のみ自動成功)
パッケージがないため分かりづらいが、この煙草の銘柄は「PEACE」だということがわかる。





→机へ向かう
机の上には洋書が何冊か乱雑に積まれている。また、プリントアウトされた資料が机を飛び越えて床にまで散乱していた。

→<目星>成功
資料に埋もれたノートパソコンが見つかる。


●複数の洋書
英語に限らず様々な言語の本が複数ある。

→〈目星〉成功
貴方はその中で背表紙にタイトルのない本を見つける。本というよりは、複数の紙を本から抜き出して新たにまとめたような印象を受ける。
※ネクロノミコンの写本の抜き出しをまとめたもの

→手に取る
手に取ると、それはかなり古いもののようで年代を感じる。中身は英語の独特の字体で書かれている。

→〈考古学〉成功or〈博物学〉1/2成功
独特の自体は写本の際に使われるもので、これは少なくとも400年以上前に書かれたものではないかと推測できる。

→〈その他の言語(英語)〉成功
かなり古い書物であることから、古い単語などが多く調べながら出ないと読み進めるのは難しいだろう。
すべて読みきるには12時間程掛かる。手分けして読むのであれば時間を人数で割ることが出来る。


→解読する
貴方たちは時間をかけ、手分けをして解読を進めた。読み進めるとその本にはとある伝承とそれに纏わる儀式について書かれていた。
===========================================================
<伝承>
遥か昔 禍津日神 凶星の彼方より飛来せり。
禍津日神 その禍々しき数多ある手足をもちて 嵐と津波操り 豊葦原瑞穂国を襲ふ。
地平を飲み込みし 災害を前に 誰もが絶え果つと思ひ その時。
高天原より来し 一柱の神 禍津日神に立ち向かふ。
神さび鳴雷をもちて 禍津日神と戦ひ 終に封印せり。

<神との接触:手順>
儀式は必ず、日と日の境に行わなくてはならない。
神の御子に、神から賜りし宝を持たせ、祝詞を唱える。
また、その際には眠りの国にいる神に声を届けるため多くの魔力が必要となる。

<祝詞>
高天原に神留り坐す 八百萬神等よ
古の契りに倣い 大宇宙根元の御祖の御使いにして 鳴雷を御支配あらせ給う 雷神の御力をもちて
荒振る神をば 神問はしに問はし賜ひ 神掃ひに掃ひ賜ひと 恐み恐みも白す
===========================================================




【HO3にのみ以下描写】
貴方は震えながら、拳銃を構えていた。
これが最後の手段だった。
儀式に必要なものは揃わないのだから。
術を使っている人間を殺すしかない。
銃口を向けられた女は叫ぶ。
もう遅い。例えこの命が尽きようとも、すでに儀式始まっている。
元に戻るまでどれだけかかると思う?
戻る頃には、半分以上の人間が狂っているはずだ。
ああ、許せない。この村の人間も。私の邪魔をするお前らも。
貴方はトリガーを引いた。
パンッという乾いた音が鳴り響く。
途端に意識が現在に戻ってくる。今、見たものは……自身が自衛隊を辞めたきっかけとなった事件の記憶だ。
SANc1d3/1d5

※この儀式についての情報がトリガーとなり、消えていた記憶を呼び覚ますことになった。
クイーンを殺すだけではこのときと同じように儀式が完全になくなることなくデメリットがあるというヒントになる。


●紙
複数の資料がプリントアウトされた紙。順番などがバラバラになっているようでなんの資料なのかわかりにくい。

→〈目星〉成功
貴方はそのプリントの裏になぐり書きのような手書きの文字を発見する。どうやら裏紙のように使っていたらしい。
英語と日本語が混ざっている。

→更に〈英語〉成功
どうやら単語や言い回しを翻訳したものを書き留めたものらしい。

→更に更に〈アイデア〉成功(ネクロノミコン写本を見つけていた場合のみ)
これを使えば解読の時間が大幅に短くなるだろう。(これを使用した場合、解読時間が半分になる。)


→〈経理〉成功
プリントの資料がとある会社の帳簿だと言うことがわかる。

→更に〈アイデア〉1/2成功
この会社の規模と扱っている商品などから、「コンビニYLNT」の資料ではないかと推測することが出来る。
※コンビニYLNTがクイーンの息がかかっていることを突き止め、調査していた際の資料だったもの。今はただの裏紙である。




→本棚へ向かう
本棚の中を確認すると、そこは本以外にも、ペンやテープ、包帯にナイフなどが収納されていた。
棚の上段や下段には物が少なく、中段に集中して物が収納されていることから、
それらは、収納したというよりも、手近な所に置いたという方が正しいのかもしれない

→〈目星〉成功
他の棚よりは比較的、“比較的”整っている棚に、真新しいZIPPOライターとA4の紙、そして一丁の拳銃が置いてある。

●紙
A4の紙には何か書かれている。
==============================================================
HO1、これをお前が見ているってことはどうやら俺はしくじったようだな。
本当であればお前の手を煩わせたくはなかったし、アイツのことは俺がケリをつけてやりたかったが、そうも言ってられない状況だ。
俺からの最後の依頼だ。
クイーンを殺せ。
報酬はお前に渡すためにとって置いたZIPPOライター、
それじゃ足りないっていうならこの部屋にある好きなもんをやる。
本当は直接渡したかったが、俺はもうこの世にはいないだろう。悪いな。
どうかオーダーを遂行してくれ。
==============================================================
※HO1がこの紙を見れば、キングの字だとすぐに分かっていい。


●拳銃
装弾数6のリボルバーだ。だが、弾は1発しか入っていない。

→〈拳銃〉or〈知識〉1/2成功
拳銃の種類がわかる。
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Colt Python(コルト・パイソン)
1955年にアメリカのコルト社が開発した回転式拳銃。当時のコルト社の副社長、フィリップ・シュワルツが命名した。
パイソンの名称は英語でニシキヘビを意味する。コブラ、キングコブラ、ダイアモンドバック、アナコンダと並び、商品名に蛇の名前を冠するシリーズの1つである。
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→〈幸運〉1/2成功
ドサドサと倒れた本で雪崩が起きる。その拍子に本棚から飛び出したものが目にとまる。
それは擦り切れて黒い部分が白く見えるほどに使い潰された手帳だった。

→開いて読む
[キングの手記]
開いてみれば、その中身は部屋の中と同じく丸切り整頓されていない。
覚書のような日時があったり、なにかのデータらしき数字や、はたまた買い物リストなのだろう野菜の名前などが書いてある。
その間を縫うように、日記のような少し長めの文が書いてあったりするが時系列もバラバラなのかもしれない。
==============================================================

ボウズの作る飯は美味い。青椒肉絲がまた食べたいと言ったら変な顔をされた。

また記憶がない。どこで何したか言わないときは大抵ろくでもないことをしてる。
前みたいに勝手に武術の大会に出られるのはごめんだ。

禁煙ブームで形見が狭いが、裏稼業がマナーを気にするのは少し変な話だ。

ガキを拾った。というよりは、回収した。人殺しの目じゃなく、人じゃなくなりそうな目をしたガキだ。
まぁ、とりあえず家事でもさせて見張ることにする。部屋がそろそろ限界だ。

アイツとは長い付き合いだ。今更差し出した手を素直に取れるタマじゃないのはわかってる。
早くどうにかしないといけない。

毎晩、変な夢を見る。気持ち悪い感覚。
なんだったんだ、あの男は。

ボウズの誕生日を聞いたらもう過ぎていたらしい。早く言えと思ったがきまりが悪い。
男へのプレゼントなんて何がいいかはわからないが来年は祝ってやろう。

朝起きたら服がやたら煙臭い。またか。今度は火事現場にでも突っ込んだのか。
睡眠時間が睡眠時間でなくなるから止めろといっておかないと。都合が悪いと呼んでも出てこない、あのアホが。

ボウズがいたおかげで助かった。思ったよりも危ない橋を渡らせてしまった。
ボウズに大きな怪我がなくてよかった。

あの儀式を成功させることができれば、アイツを正気に戻すことが出来るはずだが……

==============================================================
なんとなく気が向いた時に書いた。そんな雰囲気だ。だが、誰にも見せる予定のないその文章はとても本音に満ちている。


※KPはHO1に合わせて適宜描写を変更することを強く勧める。





その毒は美しく
指定された住所へ向かえば、廃工場が見えてくる。外壁は汚れと錆に覆われ長年使われていない様だ。
シャッターは開いており、そこから中に入ることできるだろう。

→<目星>成功
外壁の錆や汚れに違和感を感じる。
よく観察すると、自然にできた汚れではなく、人の手によって精密に再現されたカモフラージュのようだ。


【HO3個別描写】
貴方が廃工場へと足を進めると、自然と足が止まった。
足が竦む。手が震える。それはここ最近何度も感じた恐怖だ。
この先に進むなとでもいうかのように、生存本能が貴方に警告を送っていた。


→戻る
貴方達はここまで来たものの、HO3の感覚を信じ引き返すことに決めた。

→進む
貴方達はシャッターを潜り、奥へと進むと開けた場所に出た。
周囲には廃棄されたコンテナが複数あることから格納庫だったのかもしれない。
そして、1人の女性が中央で貴方達を出迎えた。
赤いドレスと帽子を身に纏った真紅の女性は、その長く艶やかな髪から瞳を覗かせ妖艶に笑った。

「よく来たわね、坊や達」


→キングは?
「まだ来ない……
「いや、ここには来ないわ」
「でもちゃんと会わせてあげる」


彼女が蠱惑的な笑みを浮かべたその瞬間。ガシャンと大きな音が響き渡った。
振り返れば貴方達が通ってきた道がシャッターで閉じられている。

「ごめんなさいね?」

その声に振り向けば、彼女はガスマスクを被り、白い煙の中に立っていた。
いや、彼女の後ろにあるコンテナから煙が吹き出し、室内を覆い始めているのだ。
散乱していたコンテナから次々に噴き出す煙。それが貴方達を抱擁するかのように包み込む。
幾許も無く、貴方達の視界はクラリと揺れる。そして、抵抗もできずそのまま床に倒れてしまうだろう。
クイーンはゆっくりと貴方達に近づくと、ガスマスク越しでも美しい顔を歪め、「大丈夫よ。約束は守るわ」と呟いた。
それを最後に意識は、ゆっくりと暗闇に沈んでいった。
(「起死回生」へ進行)




運命を掴み取れ
貴方達はキングが集めた資料を読み取った末に、一つの光明を見い出す。
キングの部屋を探索し終わった時点ですでに時刻は16時を過ぎていることだろう。(適宜調整してください)

探索者たちが集めなくてはいけないものは以下の3点だ。
・星が落ちたときに生まれた子
・神からの賜り物(碧の瞳)
・大量のMP


神埼美佐子への連絡
神埼美佐子に連絡をするためには連絡先を手に入れなければならない(File1で連絡先を交換していた場合その限りではない。)
〈コンピュータ〉成功で神埼美佐子の現在の勤め先から、更に連絡先を手に入れることが出来る。

「もしもし、神崎です。どちらさまでしょうか」
「え、始末屋さん。はい。どうしたんですか?」

→彗人を貸してほしいと言う
「貸す、と言われても……
「えっと、彗人を連れて会いに行けばいいですか?」
「仕事があるので、19時すぎになってしまうんですけど」
「わかりました。できるだけ早く向かいますね」
「場所はクラブで大丈夫でしょうか」
「はい、それではまた」

※File1で相当酷いことをしていない限りは神埼美佐子は始末屋に協力的である。
すぐ合流してもKPが大変になるので後から合流する形にしているだけのため柔軟に対応してほしい。


蔵持リアンへの連絡
蔵持リアンに連絡する場合、個人の電話番号を見つけるのは難しいだろう。
家に行ってもいいが、中に取り次いですらもらえないかもしれない。

→〈アイデア〉成功(File2にてリアンの大学名を聞いていた探索者のみ)
貴方はリアンが「門矢大学」に通っていることを思い出す。
大学内であればリアンに直接会うことが出来るのではないだろうか。


●門矢大学
駅から徒歩10分程の住宅街の側に門矢大学は建てられている。
校門から覗ける中庭広く、幾つも設置されたベンチでは読書や雑談をする在校生の姿が見えた。

→〈幸運〉成功
貴方は出てくる大学生に声をかけ、蔵持リアンについて知らないかと聞けば偶然同じ学部で彼女はまだ大学内にいるというところまで教えてもらえる。先程大学内の図書館で見かけたらしい。

大学内に入るためには守衛の前を通らなければならない。在学生ですら学生証の提示が求められる。
※中に入らずここで待つ場合は18時まで出てこない。

→〈交渉系技能〉成功
貴方達は守衛をうまく納得させ、中に入ることが出来た。


●門矢大学内の図書館
大学内に建てられている図書館だ。
3階建ての図書館で間取り図を見る限り、自習部屋はもちろん、映像資料を静かに閲覧できるコーナーまで存在するようだ。

→<目星>
複数の在校生が定期的に視線を送っていることに気づく。
その視線の席に目を向けると一人の女性が本棚の前に立っていた。
宝石のように煌くブロンドの髪を靡かせて、蔵持リアンはそこにいた

→リアンに話しかける
「ちょっと、アンタ達! なんでここに!?」
図書館ということを考慮してリアンは小さい声で叫んだ。
「とりあえず談話スペースに行くわよ。アンタ達目立つのよ」
そう言って、貴方達が案内されたのはちょっとした部屋のようになっているスペースだ。
ここであれば周りからの視線を気にしなくてもよいし、声を出しても良いようだ。
「それで、何。これでも一応裏社会の人間と仲良くやって良い立場じゃないのよ」
「まぁ、とにかく要件を言ってみなさい」

事情を説明すれば
「はぁ、なるほどね」
「本当だったらそんなこと、はい良いですよって言えないけど」
「アンタ達には恩があるし、お父様はそういうものに理解があるわ」
……なんならノリノリで貸してくれるでしょう」
「ちょっと待ってなさい」
おもむろにリアンはタブレット端末を取り出すと何やら操作を始める。
「これでよし。さぁ。行くわよ」
「『碧の瞳』必要なんでしょう」
「少なくとも1人はついて来なさいよ。ワタシを配達員扱いする気?」

『碧の瞳』はアガートラムの中に厳重に保管されている。
全員で取りに行ってもいいが、彼女についていく人数は絞ったほうが良いかもしれない。



●豪華客船アガートラム
港に訪れると、見たことのある船影が姿を現す。
「豪華客船アガートラム」その勇壮な佇まいは、相も変わらず健在のようだ。
アガートラムの周囲には写真を撮る人が複数居り、観光名所の一つになっているようだ。

貴方達が一週間ぶりにアガートラムの中へと踏み入れると、清掃員や整備員らしき人物が、リアンに挨拶をする。
リアンはそれらを軽くあしらいながら、我が家とでも言わんばかりに進んでいき、あのロイヤルスイートルームの前にたどり着いた。

「すこし待っていなさい」

リアンはそういうと、中に入っていく。
数分もすればガチャリと扉が開かれ、リアンが出てくるだろう。
彼女の首元には、先の事件の発端となった『碧の瞳』が美しい光沢を放っていた。

→『碧の瞳』を渡してほしいと聞く。
彼女は少し自慢げに「何故かワタシにしか外せないからね」「これが一番の防犯になるのよ」と見せびらかすように言うだろう。


大量のMPについて
始末屋達だけでMPが足りるかはわからない。
また、探索者達自身は自分のMPの数値など知るはずもない。MPが尽きればたちまち意識を失ってしまうだろう。

※これに関しては、探索者はこれ以上の情報を得る事が出来ない。
もちろん人がいれば魔力が増えるため赤羽唯を呼ぶことに対しての判断材料にはなるかもしれない。
合流。それから、
貴方達は合流し、儀式に必要なものが集まったことを確認する。
「神の御子」「碧の瞳」そして「祝詞」。
運命か皮肉か全てが貴方達の軌跡の上に残されていた。

※最後の休息ポイントなので、思い思いのRPをしてから進行することをお勧めする。
 落ち着いたらHO1にジャックからの電話が鳴り、イベントが進行する。


情報屋ジャックの電話
「はい。こちら信頼と安全、中立な情報屋ジャックだよ。キングの居場所がわかった」
「貴方達が今いる場所から一番近い沿岸より100km沖にいるよ」
「うん。そうだよ。キングは今、海の上にいる」
「正確には船の上だけどね」
「現在地は送るから、それをどうするかは貴方達次第かな」
「キングはまだ生きてるよ。今はまだね」

※もし何故キングがそんなところにいるのかと聞かれた場合、クイーンに連れて行かれたんだろうねと答えて良い。


ここで始末屋たちが取れる選択肢は2つだ。
・キングを追う
・キングを追わない

キングを追いたいと考えるのであれば〈アイデア〉成功で、リアンに頼んでアガートラムを動かせないかと思いつくことが出来る。

→更に〈知識〉成功
現代のクルーズ客船の速度は、15~20ノット(時速約27.78㎞~37.04㎞)の範囲で運航されている。しかし例外的に平均28.5ノット(約52.78㎞)で運行されるものもあり、その船の最大速力は30ノット(約55.56㎞)というスピードを誇る。アガートラムは大体その船と同規模のはずだということを知っている。


また、更にメッセージが届く。赤羽唯からだ。
「霧雨殺人に関して、コンビニYLNTの組織的な関与の可能性が浮上したわ。コンビニYLNTはバックに何か怪しい教団が絡んでるみたい」
「それと、ニュースは見たかしら? 町中でいくつかの暴動が確認されてる。暴動というよりは、沢山の人間による奇行というほうがしっくりするけれど。時間があればニュースもチェックしてみて。関係ないかもしれないけれど、霧雨殺人の犯行がピタリと止まった日にこんなことが起こるとつい関係があるかもと考えてしまうわ」



→ニュースを見る
[ニュース]
=================================================================
ニュースを見ると、街頭生中継が放映されていた。
街の十字路の交差点で、人々が俯き叫び声を上げる。また道路真ん中では叫び声をあげながら殴り合う男の姿も見えた。
そんな、阿鼻叫喚の中、警察と救急隊員が活動する様子をアナウンサーが赤裸々に語っている。
「現場から中継いたします!見えますでしょうかこの地獄絵図が!」
「平穏だった街に突如起こったこのパニックは一体何なのでしょうか!救助された人から「何かの声のようなものが聞こえた」という証言がありますが

その時、一発の渇いた音が鳴る。
カメラは音の方向をすぐに映し出す。

「み、見てください、じゅ、銃声です!警察が民間人に発砲しました!!」
「警察官は狂ったように、銃を乱射しています!あ!他の警察官が取り押さえにいきました。」
「これ以上は、私たちの身も危険なようです!、いったん、中継をお、おい、どうした?」

アナウンサーがそう言った瞬間カメラが地面に向けられた。
そして、声が掠れたような男性の声が聞こえた。どうやらカメラマンが喋っているようだ。

「あたまがわ、われる。なんだ?この音は、やめろ、やめろやめろ俺の頭の中をいじくるなぁ!!!!!」

カメラが落ちる。地面とぶつかり液晶がひび割れた画面には、先ほどまで話していたアナウンサーに襲いかかるカメラマンの姿が映されていた。

「うわああああああ!どうしたんだやめろ!」
「ア゛ァ゛ぁあああ!!!!!」

それを最後に映像はぷつんと切れる。
中継を見ていた放送局のアナウンサー達は慌ただしく市民への注意喚起を告げ始める。
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※探索者達が望めば、赤羽唯は探索者と共にキングを追うことだろう。

キングを追う
リアンは驚くような表情を浮かべた後、溜息をつく。
「はぁ……乗りかかった船だしね。いいわ、協力してあげる。でもこれでもう貸し借り無しなんだからね!」

アガートラムに向かうと、リアンはそこで作業している社員に指示を出す。
整備員らしき人々が大慌てで走り出すのを確認すると、リアンは手招きながら貴方達に告げた。

「40秒で支度させるわ、早く乗り込みなさい!」

※ここでリアン、彗人(神埼美佐子も)は必ず船に乗せなくてはならない。ただ、赤羽唯を呼ぶかは探索者次第になるだろう。

貴方達はアガートラムに乗り込んだ。リアンと無茶振りされた整備員の協力のもと船が動く。
何もかも吸い込んでしまいそうな真っ暗な海に、ライトの光が闇を切り裂き道を作り出した。

その、細い光の道を1時間30分かけてアガートラムは進む。
時刻は23時30分。最大速度を保ち走るアガートラムのおかげで目的地まであと5km。
後少しで、目的地に着くそう思った直後。

海が揺れる。
まるで、近くで地震でも起きたかのようだ。
波が四方から襲い来る。水しぶきと高波がアガートラムに降りかかった。

貴方達は揺れる船体にしがみ付きながら、高波に隠れる一つの物体に気がつく。
ぬらりと光沢を放つ生き物特有の肌と、いくつもある吸盤だ。
タコやイカのような足と、貴方達の知識の中にあるイメージの違いは大きさだった。
目の前にあるそれは、本来の数十倍は大きく、緑色の皮膚は見るだけで怖気が走る。

そんな化け物の手足が、目の前に何本も立ち塞がっていた。
SANc1d4/1d10

→<目星>成功
周囲を確認すると左右、そして後方にも触手が立ち塞がっている。囲まれているようだ。


「な、なんなのよこの化け物!」

リアンが叫び声をあげ、乗船している社員達も悲鳴を上げた。
そうしている合間にも、触手達ゆらりと揺れながらが徐々に近づいてくるようだ。
敵意を持っていることは確実だ。このまま停船していても、その巨大な触手達に押しつぶされ、海の藻屑と化すだろう。

→〈アイデア〉 or 〈目星〉成功
触手達が蠢く、一部に触手の囲いが薄い箇所を見つける。
このアガートラムの馬力なら、この囲いを突破できるのではないか?

アガートラムは何度も触手にぶつかる。美しく施された装飾を剥がし落としながら船先を触手にぶつけ吹き飛ばす。
そうして、触手の包囲を突破し全速力でアガートラムは走る。
触手達もアガートラムの最大船速には追いつけないのか徐々に引き離されて行った。

触手が完全に姿を消すと、アガートラムは速度を落とす。
どこまで進んだのだろうか。真っ暗な深海は方向感覚を狂わせ、目的地がどちらだったかさえ定かではない。

→<目星>成功
きらりと海面に光る何かを見つける。
かなり遠いが、あの距離からここまではっきり見えると言うことはかなり大きな光源のようだ。

光源の近くに進むと、その全貌が明らかになった。
輸送船だ。平い甲板が丸見えになっているため、輸送途中ではないようだが、きっと、いや間違いなくこれが目的地に違いないだろう。

※アガートラムと輸送船は大型船なので、人がそのまま渡れるほど、近くに停泊することは難しいだろう。
救命ボートを使う。ロープで橋を作るなど。様々な方法で乗り込むことができるため、PLのアイデアをできる限り採用することをお勧めする。

(「最終決戦場へ」へ進行)

キングを追わない
貴方たちはキングを追わないという選択をし、時間が来るのを待った。
もうすぐ、24時になる。

→〈目星〉成功
貴方は星が明らかにおかしな煌めきかたをし、目視出来る速度で移動していることに気がついてしまう。
SANc1d5/1d10


→〈幸運〉失敗(HO1のみ確定成功かつHO3は1/2で判定)
突然、頭に直接音が響く。それは言葉に出来ない言語で、ただひたすらに気持ちが悪い。
SANc1d3/1d5
※『碧の瞳』と『神の御子』(彗人)の効果でNPCはこれの影響を受けない。


時計の長針と短針がかさなり、1日の境目が訪れる。リアンがそっと、彗人に『碧の瞳』をかけ、貴方達は祝詞を唱え始めた。
活力、生気とでもいうべきだろうか、何かが、体の中から吸い取られ宙に放たれるような、そんな感覚。
それは時を追うごとに強くなる。ぐにゃりと視界が歪み、周りの景色が遠のいた。


【HO0が自我をもっていない、もしくはその場にいない場合】
何かが……足りない。貴方達はそう直感した。その足りない何かを考えようにも、思考がはっきりとしない。
遠のく意識、力を失う体。儀式を止めようとしても口は勝手に祝詞を紡ぎ続ける。
そして、糸が切れたかのように、貴方達の意識は途切れた。(「END1」へ進行)



【HO0が自我をもってその場にいる場合】
次の瞬間、パリン、と乾いた音がなった。意識がはっきりとして、消えかけていた身体の内の力も戻る。
HO0が「あっ」とつぶやいた。その手には手のひらによりも少し小さいサイズの巾着袋がある。
その口からはキラリと小さな破片が溢れた。


※File1でHO0が探していた巾着袋。実はHO0の両親(HO5の両親でもある)から、残された唯一の贈り物だった。
50MPあるAFである。HO0の自我がないと見つけて持ち歩くことが出来ないため、HO0の自我がない場合はこのAFのMPが足されることがない。そのためMPが0になってしまい全員意識不明になる。(儀式は成功する)


祝詞を唱え、儀式を終える。
潮風と貴方達の息遣いだけが周囲に響く。何も起こらない?
そんな疑問を覚えた時、それに気づいた。影がない。
月明かりに照らされ地面に映し出されていた貴方達の影が闇に隠れていた。
上を見上げればその原因に気づく。雲だ。
先ほどまで空に散りばめられていた星々と月は分厚い雲で覆われていた。
ゴロゴロと唸るような音が空から響く。そして、閃光。
爆発が起きたような轟音を伴いながら雷が、近くの海面に落ちる。
鮮烈な光の暴力によって、周囲は真っ白に染まった。
そして、その中に一つの影が見える。徐々に水蒸気が薄れその全貌が明らかになった。
それは、貝殻の形をした戦車(チャリオット)と、それに乗る1人の老人だった。
白髪の髪と灰色の髭を生やした老人は、その年齢とは裏腹に立派な体格をしており、
均整の取れたその体つきはまるで芸術品のようだった。

「古き契約に従い、呼び出されてみれば……なるほど、そういことか」
老人は遠く、沖の方へ視線を向け、得心したように頷いた。
「あれらは、契約に従い祓ってやろう。しかし、アレに立ち向かおうとする者は久方ぶりに見た」
「その勇気に免じて、褒美を取らせよう、一つだけ願いを言うがいい。勿論願いがないというのであればそれでも構わないがな」

老人は願いを聞くと、一つ頷き。その手に持つ杖を一振りした。
直後、轟音と閃光が沖の方で連鎖する。
「契約は果たされた」
老人はそういうと、蜃気楼のようにその姿が掠れていき、やがてその姿を消した。


沖よりも更に遠く、この満点の星空の中、まるで流れ星のように稲妻が走った。
一瞬、ぐらりと地面が揺れる。
そうして、気がつけば星の光は通常にもどり、ポツリポツリと雨が降る。

ああ、終わったのだと貴方達はわかった。

(「END2」へ進行)
起死回生
揺れる振動で、貴方達は意識を取り戻す。薄暗い部屋だ。壁際にかけられている時計は23時30分を指している。
貴方達が起き上がろうとすると気づく。手足が縄で縛られているのだ。かなり強く縛られているようで、もがいても緩む様子がない。

※ある程度RPして、状況把握したら殺し屋コンビが登場する。

突然、衝撃と爆音が貴方達を襲う。
天井のアスファルトが崩れ落ち、白い煙が部屋全体に充満した。
貴方達はどさりと言う音と共に、その白い煙の中から1人の影を見つけるだろう。

「痛た……火薬の量がちょっと多かったですかね……。ケホケホ」
声の主は立ち上がりながらスカートの裾を払う。
「大丈夫かー、ゆかりっちー?」
そんな声と共に、破壊された天井からもう1人降りてくる。
もう会うのは何度目だろうか。そこにはあの殺し屋の2人がいた。

「あっ、怪我とかはしてないので大丈夫ですよ! それよりも、キングはこの部屋にいるはずなんですよねー……
「おいゆかりっち、キングは居ねぇ見たいだけど、あいつらなら居るみたいだ」

京橋が指を指した先は、拘束されたあなた達だった。

「あれっ!? 皆さんこんなところで偶然ですね! どうしたんですか!?」

貴方達が事情を説明するのなら

「なるほど! まずそのロープを切るので動かないでくださいね〜」

すると紫は可愛らしいバッグには不釣り合いなダガーナイフを取り出し、貴方を拘束していたロープを切っていく。
1人拘束が解けると、横で見ていた京橋が口を開く。
「ゆかりっち、そんなんじゃ時間かかるだろー。俺がやるから見とけって!」

彼がそう言い、刀に手をかける。
抜刀された音が聞こえたと同時に、貴方達を拘束していたロープは一瞬にして全て切り裂かれた。
※手首ごと切られるんじゃないかと感じた人がいればSANチェック0/1でもいいかもしれない(任せる)

「まっ、俺にかかればこんなの秒だから!」
「今日は無傷にできたの偉いですよ!」
相変わらず物騒なことを世間話のように話す2人は、改めて貴方達に向き直る。

「さて、私たちはキングを追ってここまで来たんですけど、居ないのはちょっと困りますね」
「てかさ、キング居ないならこいつらに手伝って貰えばよくね?」
「そうですね、人手は多い方に越したことはないですし」

※紫にキングとどういう関係か聞けば、「あっ、キングは私たちの依頼人なんですよ! あれ? 初耳でした?」と答える。

「いやさ、クイーンのこと止めないと世界がヤバいからキングのこと探してたんだよね。まじで超ヤバイらしい」
「恐らく皆さんもある程度知ってると思うんですけど、このままクイーンを放置しちゃうとデカくてヤバいのが出てきて文字通り世界が終わります。なのでどうか、私達と協力してくれませんか?それに、クイーンを止められるとしたらキングと、貴方達だけだと思うので。」

貴方達が了解すれば、「ありがとうございます!時間もありませんし、まずはここから出ましょう!」
紫は再びバッグから何か手のひら大のものを取り出したかと思うと、扉に貼り付けた。

「ちょっと危ないので離れててくださいねー」
彼女がそう告げた数秒後、部屋に耳を劈く爆発音が響く。扉は跡形も無くなり、大きな穴が空いていた。

「こっちです。着いてきてください!」
彼らに言われ、ついて行くとそこはロッカーが立ち並ぶ部屋だった。
その中の一つを京橋が手にもつ刀で鍵を切り落とすと、軋む音を立てながらロッカーが開く。
中には貴方達の荷物が乱雑に詰め込まれていた。

※ここで武器を装備出来る。


疾走パート開始
部屋から出た貴方達は、京橋と紫に続いて駆け始めた。
波に揺れる船内を器用に走っていると、前方に一つの影が現れる。
それは、頭部が魚で、全体的に灰色がかった緑の皮膚をもつ怪物だった。
その後ろにも、同じ怪物が何体もいるようで、1体1体に構っていると囲まれてしまうだろう。
※深きものにはHO1の〈交渉系技能⁺〉は効かない。


●概要
この疾走パートはターン制となっている。探索達が1ターンに出来ることは指定されている。
探索者が1ターンに出来ることは「移動」と「攻撃」もしくは「支援行動」だ。

●移動

〈DEX*5〉に成功 → 1マス進める
〈DEX*5〉に失敗 → 1マス進める
〈DEX*5〉クリティカル → 2マス進める

移動判定が終わった後に「攻撃」か「支援行動」を取るかを選べる。


●攻撃

〈戦闘技能〉に成功 → 目の前の敵をひるませる事が出来る。次の「移動」判定に+20
〈戦闘技能〉クリティカル → 次の「移動」判定が確定成功


●支援行動
支援行動は仲間の1人を指定してその人間に対して行うことが出来る。

〈戦闘技能〉に成功 → 指定した仲間の前にいる敵をひるませる事が出来る。指定した仲間の次の「移動」判定に+20
〈戦闘技能〉クリティカル → 指定した仲間の次の「移動」判定が確定成功



※〈戦闘技能〉となっているが、〈こぶし〉〈キック〉などに限らず、PLの提案次第で「攻撃」「支援行動」は出来ることにして構わない。
また、全員が8ターン以内に甲板までたどり着くことが出来ないと、甲板での戦闘でデメリットが発生する。

貴方達は互いの死角をカバーしながら、怪物達の群れを潜り抜けた。
前方に見える上り階段を勢いよく駆け上ると、貴方達の目の前に満点の星空が広がる。
どうやら、甲板に辿り着いたようだ。


最終決戦場へ
甲板にでると、月明かりが貴方達を照らし出す。
空には、輝く月と星々が宝石箱のように輝きを放っている。
その光景に貴方達は一瞬魅了されるも、すぐに気がつくだろう。
——星が明るすぎる。
全ての星が1等星のように強い光を放っているのだ。
均一に光り輝く星は、とても美しく、悍しい。

そんな星の祝福を一身に浴びるかのように、物陰から先ほどの怪物達が姿を現した。
どれも、興奮しているかのように洗い息を吐きながら貴方達を見据え、次の瞬間。一斉に襲いかかってきた。


→<目星>成功
船首の方向に、赤いドレスを身に纏った女性の姿が見える。
彼女は両手を上げて、何かを呟いているようだ。


また、船の周囲にある物体を見つける。
ぬらりと光沢を放つ生き物特有の肌と、いくつもある吸盤だ。
タコやイカのような足と、貴方達の知識の中にあるイメージの違いは大きさだった。
目の前にあるそれは、本来の数十倍は大きく、緑色の皮膚は見るだけで怖気が走る。
そんな触手が船を囲うように、蠢いていた。

※深きものにはHO1の〈交渉系技能⁺〉は効かない。

「少しは殺り甲斐のあるやつらが大量じゃん!!しかもこいつら倒し放題とか最高だな!!!」
「那月君、今夜は好きなだけ暴れていいですよ!私もちょっとは頑張りますね!」

紫は改造されたスタンガンをバチバチと光らせる。

「ギャハハハハ!!!! 全部まとめて俺がぶっ殺してやるぜ!!!!!」

京橋は目を爛々とさせ、目にも止まらぬ速さで化け物共に斬りかかりに行く。



【殺し屋コンビと合流してない場合】

貴方達は化け物と対峙し、戦闘態勢をとる。
しかし、ふと背後から足音と声が聞こえた。

「一番派手で楽しそうなのを独占するなんてずるいな、始末屋達よぉ!」

振り返れば、そこに居たのはあの殺し屋コンビだった。

「なんだかヤバヤバのヤバらしいので来ちゃいました!よければそのお掃除、私達も混ぜてくれませんか?」
「まっ、俺はお前達に許可とか貰う気もねぇから。タコ相手なら好きなだけ殺してもいいからなぁ!!」

そう言うと京橋は刀を抜き、貴方達の前へと躍り出た。

「ギャハハハハ!!!!全部まとめて俺がぶっ殺してやるぜ!!!!!」

彼は目を爛々とさせ、目にも止まらぬ速さで化け物共に斬りかかりに行く。


戦闘開始

戦闘ルール
この戦闘は殆ど普通の戦闘と変わらないが勝利条件がある。それによって今後のシナリオが分岐する。
現在、甲板にいるのは10体の深きものと始末屋、殺し屋コンビ(+NPC)である。

※1R終了ごとに1体深きものが増える。それは全ての深きものを戦闘不能状態にしてから、甲板から海に伸びたはしごを落とすまで続く。
全ての深きものを戦闘不能状態にしてはしごを落とす、もしくは6R経過すると戦闘が終了となる。
それまではクイーンに手を出すことは出来ない(全て深きものが庇うため)。


1R終了後以下描写

貴方達は、互いをカバーしながら異形の怪物を見据えた。
そして気がつく、数が増えている。最初よりも1体だけ確実に。
貴方達が通ってきた道から増援が来たと言うわけでもないようだ。
だとしたら、いったい何処から来たのだろうか?

→〈目星〉成功
甲板の端に海へつながるはしごがあるのが目に留まる。どうやらあそこから上がって来ているようだ。
はしごを落としてしまいたいが、目の前の異形を倒さなくてはそれも難しいだろう。


2R終了後以下処理

→〈目星〉成功
貴方は星が明らかにおかしな煌めき方をし、目視出来る速度で移動していることに気がついてしまう。
早くしないとまずいと感じる。
SANc1d5/1d10


3、4、5、6R終了後以下処理

→〈幸運〉失敗(HO1のみ確定成功かつHO3は1/2で判定)
突然、頭に直接音が響く。それは言葉に出来ない言語で、ただひたすらに気持ちが悪い。
SANc1/1d3

※ビーモスの精神干渉。『碧の瞳』と『神の御子』(彗人)の効果でNPCはこれの影響を受けない。


分岐は以下の2つ
●6R終了までに全ての深きものを戦闘不能状態にしてはしごを落とした場合
●条件を達成出来ないまま6R終了した場合



●6R終了までに全ての深きものを戦闘不能状態にしてはしごを落とした場合
貴方達の前に障害はもうない。
眼前に居るのは、この状態でも余裕の笑みを見せるクイーンだけだ。
クイーンは頬に手を当て、呟く。

「ああ、残念。流石、あの始末屋ね」
「でも……私の邪魔はさせない」

クイーンが手を掲げると、高波が船を襲う。水飛沫がカーテンのように一瞬だけ、彼女の姿を覆い隠した。
気づけば、彼女の腕の中に1人の男性が居た。キングだ。
クイーンはいつのまにか手に持っていた、ナイフをキングの背中に突きつけていた。

「あと少し、あと少しなの……ほんの少しだけその場で待っていて頂戴?」

彼女は虚な目で貴方達みつめ、そう呟く。
貴方達が一歩足を動かせば、彼女の手元が少し動き、キングが苦悶の声を上げた。

「お願い? 私も本当はこんなことしたくないんだから……ね?」

※2、3問程度クイーンと会話ができる。
会話が落ち着き次第キングが行動を移すだろう。

「もう、こんなことはやめさせる」

クイーンが貴方達の方に意識が寄せられたその時、
キングはナイフが自分に刺さるのも構わずに、抵抗を試みた。
ナイフが深々と刺さり、鮮血が舞う。

「うぉおおおおおお!!!」

キングは手足が封じられ、ナイフが背中に刺さっている状態にもかかわらず、
その巨体を生かし、クイーンに体当たりを行う。
そのまま、近くにあったコンテナと自分の体でクイーンの動きを封じたのだ。

抵抗するクイーンを抑え込みながら、キングは叫ぶ。
「俺ごと早く撃て!」


※HO1に託された拳銃には特殊な魔術が付与されており、その成功率は100%だ。
さらに、神の依代に当たることでその肉体の命を終わらせる力がある。その魔術の内容のため、キング自身では使えなかった。
勿論、それ以外の拳銃で撃っても構わない。だが、その場合は判定もダメージ算出も行い、クイーンのHPが0にならないといけない。
銃器を持った探索者は1度ずつ挑戦できる。

→託された拳銃で撃つorちゃんと殺せた
(「貫く弾丸(ケース1)」へ進行)

→儀式を行う
(「希望の光」へ進行)

→殺しきれなかった
(「END7」へ進行)



●条件を達成出来ないまま6R終了した場合
貴方達の前には、無数の怪物の群れと、余裕の笑みを見せるクイーンが立ち塞がる。
クイーンは頬に手を当て、呟く。

「流石、あの始末屋ね。ここまで粘るとは思わなかったわ」
「でも……残念時間切れ」

クイーンが口を開く、最後の一節を唱え儀式が完成するその瞬間。

「もう、こんなことはやめさせる」

物陰から突如現れた男。キングがクイーンの背後から飛びかかった。
キングはクイーンを羽交い締めにしながら、貴方達に向かって叫んだ。

「俺ごと、早く撃て!」


※HO1に託された拳銃には特殊な魔術が付与されており、その成功率は100%だ。
さらに、神の依代に当たることでその肉体の命を終わらせる力がある。その魔術の内容のため、キング自身では使えなかった。
勿論、それ以外の拳銃で撃っても構わない。だが、その場合は判定もダメージ算出も行い、クイーンのHPが0にならないといけない。
銃器を持った探索者は1度ずつ挑戦できる

→託された拳銃で撃つorちゃんと殺せた
(「貫く弾丸(ケース2)」へ進行)

→撃たない
(「END6」へ進行)

→殺しきれなかった
(「END7」へ進行)

貫く弾丸
ケース1
一発の乾いた銃声が鳴り響く。
放たれた銃弾は、寸分違わず狙いを撃ち抜いた。
そう、キングとクイーン。2人の体を撃ち抜いた弾丸は、彼らの体を蹂躙する。
血飛沫が美しい弧を描く。一瞬その鮮血越しに、貴方はキングと目があった。
優しい眼差しで、口元は笑みが浮かんでいた。「よくやった」そんな声が聞こえたような気がして
そして、折り重なるように2人は、どしゃりと音を立てて倒れた。

RPがあればしても構わない。
ただ、クイーンは死んでいるし、キングも死んでいる。
キングとHO1が話したいなどがあればKPの裁量で一言くらいは言葉を発することは出来るかもしれない。

気がつけば、周囲を取り囲んでいた巨大な触手も、怪しい星の煌めきも消え、美しい満点の星空が貴方達を見守っていた。

※ここから儀式を行った場合、ノーデンスにキング、そしてクイーンの蘇生を行うことが出来るとしていい。

→儀式を行う
(「希望の光」へ進行)

→儀式を行わない
終わったのだ。そうわかる。
(「END3」へ進行)


ケース2
一発の乾いた銃声が鳴り響く。
放たれた銃弾は、寸分違わず狙いを撃ち抜いた。
そう、キングとクイーン。2人の体を撃ち抜いた弾丸は、彼らの体を蹂躙する。
血飛沫が美しい弧を描く。一瞬その鮮血越しに、貴方はキングと目があった。
優しい眼差しで、口元は笑みが浮かんでいた。「よくやった」そんな声が聞こえたような気がして
そして、折り重なるように2人は、どしゃりと音を立てて倒れた。

貴方達の周りを取り囲んでいた異形達は、クイーンが倒れたからなのか、
次々と甲板から海へと飛び込み消えていった。

RPがあればしても構わない。
ただ、クイーンは死んでいるし、キングも死んでいる。

気がつけば、周囲を取り囲んでいた巨大な触手も、怪しい星の煌めきも消え、美しい満点の星空が貴方達を見守っていた。
終わったのだ。そうわかる。
(「END3」へ進行)


希望の光
時計の長針と短針がかさなり、1日の境目が訪れる。
リアンがそっと、彗人に『碧の瞳』をかけ、貴方達は祝詞を唱え始めた。
活力、生気とでもいうべきだろうか、何かが、体の中から吸い取られ宙に放たれるような、そんな感覚。
それは時を追うごとに強くなる。ぐにゃりと視界が歪み、周りの景色が遠のいた。



【HO0が自我をもっていない、もしくはその場にいない場合】
何かが……足りない。貴方達はそう直感した。その足りない何かを考えようにも、思考がはっきりとしない。
遠のく意識、力を失う体。儀式を止めようとしても口は勝手に祝詞を紡ぎ続ける。
(「貫く弾丸」から「希望の光」に来た場合は「END4(ケース1)」へ進行)
(「最終決戦場へ」から「希望の光」に来た場合は「END4(ケース2)」へ進行)


【HO0が自我をもってその場にいる場合】
次の瞬間、パリン、と乾いた音がなった。意識がはっきりとして、消えかけていた身体の内の力も戻る。
HO0が「あっ」とつぶやいた。その手には手のひらによりも少し小さいサイズの巾着袋がある。
その口からはキラリと小さな破片が溢れた。


※File1でHO0が探していた巾着袋。実はHO0の両親(HO5の両親でもある)から、残された唯一の贈り物だった。
50MPあるAFである。HO0の自我がないと見つけて持ち歩くことが出来ないため、HO0の自我がない場合はこのAFのMPが足されることがない。そのためMPが0になってしまい全員意識不明になる。(儀式は成功する)



祝詞を唱え、儀式を終える。
潮風と貴方達の息遣いだけが周囲に響く。何も起こらない?
そんな疑問を覚えた時、それに気づいた。影がない。
月明かりに照らされ甲板に映し出されていた貴方達の影が闇に隠れていた。
上を見上げればその原因に気づく。雲だ。
先ほどまで空に散りばめられていた星々と月は分厚い雲で覆われていた。
ゴロゴロと唸るような音が空から響く。そして、閃光。
爆発が起きたような轟音を伴いながら雷が、近くの海面に落ちる。
打ち上げられた水しぶきと、雷の膨大な熱量によって蒸発した海水によって周囲は真っ白に染まった。
そして、その中に一つの影が見える。徐々に水蒸気が薄れその全貌が明らかになった。
それは、貝殻の形をした戦車(チャリオット)と、それに乗る1人の老人だった。
白髪の髪と灰色の髭を生やした老人は、その年齢とは裏腹に立派な体格をしており、
均整の取れたその体つきはまるで芸術品のようだった。


※「最終決戦場へ」から「希望の光」に来た場合は下記描写を追加

「お前たち……まさか、儀式を……」と、キングが呟く。
「ああ、そんな! ありえない! そんな事が……ッ!」皆が息を呑む中、クイーンの叫び声が響く。


「古き契約に従い、呼び出されてみればなるほど、そういことか」
老人は船の周囲に存在する、悍しい触手を見て、得心したように頷いた。
「あれらは、契約に従い祓ってやろう。しかし、アレに立ち向かおうとする者は久方ぶりに見た」
「その勇気に免じて、褒美を取らせよう、一つだけ願いを言うがいい」

※キングとクイーンが死んでいる場合、その蘇生を願うことも出来る。


老人は願いを聞くと、一つ頷き。その手に持つ杖を一振りした。
直後、轟音と閃光が連鎖する。雷雲から落ちた雷が触手達に直撃したのだ。
再度、水蒸気が辺りに立ち込める。徐々に視界が通るようになった時、そこにあの悍しい触手達は存在しなかった。
「契約は果たされた」
老人はそういうと、蜃気楼のようにその姿が掠れていき、やがてその姿を消した。


この満点の星空の中、まるで流れ星のように稲妻が走った。
一瞬、ぐらりと地面が揺れる。
そうして、気がつけば星の光は通常にもどり、ポツリポツリと雨が降る。

ああ、終わったのだと貴方達はわかった。

(「貫く弾丸」から「希望の光」に来て蘇生を願った場合は「END5(ケース1)」へ進行)
(「貫く弾丸」から「希望の光」に来て蘇生を願わなかった場合は「END5(ケース2)」へ進行)
(「最終決戦場へ」から「希望の光」に来た場合は「END5(ケース3)」へ進行)

END1
ポツリと頬に水滴が落ちる。貴方達はその感覚で目を覚ました。
周囲を見渡すと、仲間達も同様に頭を振りながら起き上がる様子が見えるだろう。
空を見上げると、東の空から微かに太陽が顔を覗かせる。
反対の西の空には、まだ薄く星々が輝いているが、そこに先日までの妖しい輝きは存在しなかった。

ポツリ、ポツリと太陽と星々が重なる中、雨が降る。
天気雨、または狐の嫁入りと呼ばれるそれは、全てを洗い流すかのように
太陽光を乱反射しながら降り注いた。

貴方達は、それから事件がどうなったのか、キングとクイーンの行方を探り始めた。
しかし、ジャックからもらったキングの居場所に行っても、海がどこまでも広がっているだけだった。
数日かけて調査をしても、手掛かり一つ見つからず、貴方達は日常へと戻って行く。

後日、霧雨殺人事件はコンビニYLNTの一部社員による計画的犯行という報道がされ、事件は幕を閉じるのだった。


END2
ポツリ、ポツリ星々と月明かりが重なる中、雨が降る。
空に輝く星々、そこに先ほどまでの妖しい輝きは存在しなかった。
月光を乱反射させながら、全てを洗い流すかのように降り注いた。

貴方達は、それから事件がどうなったのか、キングとクイーンの行方を探り始めた。
しかし、ジャックからもらったキングの居場所に行っても、海がどこまでも広がっているだけだった。
数日かけて調査をしても、手掛かり一つ見つからず、貴方達は日常へと戻って行く。

後日、霧雨殺人事件はコンビニYLNTの一部社員による計画的犯行という報道がされ、事件は幕を閉じるのだった。
世界は何も知らずに、今日も平穏な日常を繰り返す。その日常を守った闇に紛れたものが居たことを知ることもなく……




END3
ポツリ、ポツリ星々と月明かりが重なる中、雨が降る。
空に輝く星々、そこに先ほどまでの妖しい輝きは存在しなかった。
月光を乱反射させながら、キングとクイーンの血が洗い流される。
貴方達は2人の亡骸を抱えて、陸地を目指した。

※アガートラムで来た場合は、アガートラムに乗って帰ることができる。
クイーンに連れてこられた場合は、救命ボートを見つけ帰るだろう。

陸に戻ると仲間達に別れを告げ、貴方達はクラブへと戻って行く。
2人の亡骸をその腕に抱えて

後日、貴方達は一つの墓の前に立っていた。
手持ちのラジオからは、霧雨殺人事件の報道がされていた。
どうやら、「霧雨殺人事件はコンビニYLNTの一部社員により行われた」そういうことになっているらしい。

貴方達はそれを聞いて少し苦笑した。
真実は貴方達の胸の中に仕舞われ、明るみに出ることは永遠にない。
この事件を巡り、様々陰謀が繰り広げられたことも。貴方達がそれに巻き込まれたことも。クイーンとキング2人の犠牲が出たことも。

——彼らが目の前の墓に一緒に入っていることも。

キーンと音を立てて飛行機が一筋の白線を引きながら駆け抜けた。
ああ……世界は何も知らずに、今日も平穏な日常を繰り返している。




END4
ケース1
ポツリと頬に水滴が落ちる。貴方達はその感覚で目を覚ました。
周囲を見渡すと、仲間達も同様に頭を振りながら起き上がる様子が見えるだろう。
空を見上げると、東の空から微かに太陽が顔を覗かせる。
反対の西の空には、まだ薄く星々が輝いているが、そこに先日までの妖しい輝きは存在しなかった。

ポツリ、ポツリと太陽と星々が重なる中、雨が降る。
天気雨、または狐の嫁入りと呼ばれるそれは、全てを洗い流すかのように
太陽光を乱反射しながらキングとクイーンの血を洗い流していた。

貴方達は2人の亡骸を抱えて、陸地を目指した。

※アガートラムで来た場合は、アガートラムに乗って帰ることができる。
クイーンに連れてこられた場合は、救命ボートを見つけ帰るだろう。

陸に戻ると仲間達に別れを告げ、貴方達はクラブへと戻って行く。
2人の亡骸をその腕に抱えて

後日、貴方達は一つの墓の前に立っていた。
手持ちのラジオからは、霧雨殺人事件の報道がされていた。
どうやら、「霧雨殺人事件はコンビニYLNTの一部社員により行われた」そういうことになっているらしい。

貴方達はそれを聞いて少し苦笑した。
真実は貴方達の胸の中に仕舞われ、明るみに出ることは永遠にない。
この事件を巡り、様々陰謀が繰り広げられたことも。貴方達がそれに巻き込まれたことも。クイーンとキング2人の犠牲が出たことも。

——彼らが目の前の墓に一緒に入っていることも。

キーンと音を立てて飛行機が一筋の白線を引きながら駆け抜けた。
ああ……世界は何も知らずに、今日も平穏な日常を繰り返している。




ケース2
ポツリと頬に水滴が落ちる。貴方達はその感覚で目を覚ました。
周囲を見渡すと、仲間達も同様に頭を振りながら起き上がる様子が見えるだろう。
空を見上げると、東の空から微かに太陽が顔を覗かせる。
反対の西の空には、まだ薄く星々が輝いているが、そこに先日までの妖しい輝きは存在しなかった。

ポツリ、ポツリと太陽と星々が重なる中、雨が降る。
天気雨、または狐の嫁入りと呼ばれるそれは、全てを洗い流すかのように
太陽光を乱反射しながら降り注いでいた。

甲板にはキングとクイーンが重なるように倒れていた。
2人とも傷もなく安らかな表情で眠っていた。

※ここから先は探索者達の行動によって適宜RPしてほしい。彼らを揺さぶる場合は起きてくれるだろう。
何か質問するのであれば答えてくれるだろうが、彼らは神の依代でなくなった反動から疲労困憊な為、長いやりとりをするのは難しい。
二人共、始末屋に対して敵対心などはないため知っていることは全て答えてくれる。
(例:「ごめんなさい。私……自分が自分ではないみたいで。いや、すべて言い訳ね。ちゃんと全て覚えているわ」)

満足するまでRPをした後、下記描写を続ける。


貴方達は2人を支えながら、陸地を目指した。

※アガートラムで来た場合は、アガートラムに乗って帰ることができる。
クイーンに連れてこられた場合は、救命ボートを見つけ帰るだろう。

陸に戻ると仲間達に別れを告げ、貴方達はクラブへと戻って行く。

後日、貴方達はクラブの中でいつも通りの日常を過ごしていた。
テレビのニュースでは霧雨殺人事件の報道がされていた。

どうやら、「霧雨殺人事件はコンビニYLNTの一部社員により行われた」そういうことになっているらしい。

貴方達はそれを聞いて少し苦笑した。
真実は貴方達の胸の中に仕舞われ、明るみに出ることは永遠にない。
この事件を巡り、様々陰謀が繰り広げられたことも。貴方達がそれに巻き込まれたことも。

そんな時だ、1人の男が頭を掻きながら出てくる。
寝癖に無精髭を生やし、昼時だというのパジャマの姿でいる大柄な男、キングだ。
彼は大きなあくびを一つすると。

「おはよさん。今日の飯はなんだぁー?」

※日常のRPをしてもらうといいだろう。

そんな日常を過ごしていると、カランカランとベルが音を立ててドアが開かれる。
そちらへ視線を向けると、そこには赤いドレスと帽子を身に纏ったクイーンが呆れたように笑っていた。

「楽しそうでなにようだけど、仕事よ。始末屋さん」

そういうと、彼女は一枚の書類を貴方達に手渡してきた。
それを見た瞬間、貴方達の表情が切り替わる。仮面脱ぐかのように、クラブの従業員から、始末屋へと。
人知れず世界を救った英雄は、日の下に出ることはなく、闇に紛れて今日も牙を研ぐ。
そして、いつものように粛々とオーダーをこなしていくのだろう。それが貴方達の日常なのだから。
END5
ケース1
ポツリ、ポツリ星々と月明かりが重なる中、雨が降る。
空に輝く星々、そこに先ほどまでの妖しい輝きは存在しなかった。
月光を乱反射させながら、全てを洗い流すかのように降り注いた。

甲板にはキングとクイーンが重なるように倒れていた。
2人とも傷もなく安らかな表情で眠っていた。

※ここから先は探索者達の行動によって適宜RPしてほしい。彼らを揺さぶる場合は起きてくれるだろう。
何か質問するのであれば答えてくれるだろうが、彼らは神の依代でなくなった反動から疲労困憊な為、長いやりとりをするのは難しい。
二人共、始末屋に対して敵対心などはないため知っていることは全て答えてくれる。
(例:「ごめんなさい。私……自分が自分ではないみたいで。いや、すべて言い訳ね。ちゃんと全て覚えているわ」)

満足するまでRPをした後、下記描写を続ける。


貴方達は2人を支えながら、陸地を目指した。

※アガートラムで来た場合は、アガートラムに乗って帰ることができる。
クイーンに連れてこられた場合は、救命ボートを見つけ帰るだろう。

陸に戻ると仲間達に別れを告げ、貴方達はクラブへと戻って行く。

後日、貴方達はクラブの中でいつも通りの日常を過ごしていた。
テレビのニュースでは霧雨殺人事件の報道がされていた。

どうやら、「霧雨殺人事件はコンビニYLNTの一部社員により行われた」そういうことになっているらしい。

貴方達はそれを聞いて少し苦笑した。
真実は貴方達の胸の中に仕舞われ、明るみに出ることは永遠にない。
この事件を巡り、様々陰謀が繰り広げられたことも。貴方達がそれに巻き込まれたことも。

そんな時だ、1人の男が頭を掻きながら出てくる。
寝癖に無精髭を生やし、昼時だというのパジャマの姿でいる大柄な男、キングだ。
彼は大きなあくびを一つすると。

「おはよさん。今日の飯はなんだぁー?」

※日常のRPをしてもらうといいだろう。

そんな日常を過ごしていると、カランカランとベルが音を立ててドアが開かれる。
そちらへ視線を向けると、そこには赤いドレスと帽子を身に纏ったクイーンが呆れたように笑っていた。

「楽しそうでなにようだけど、仕事よ。始末屋さん」

そういうと、彼女は一枚の書類を貴方達に手渡してきた。
それを見た瞬間、貴方達の表情が切り替わる。仮面脱ぐかのように、クラブの従業員から、始末屋へと。
人知れず世界を救った英雄は、日の下に出ることはなく、闇に紛れて今日も牙を研ぐ。
そして、いつものように粛々とオーダーをこなしていくのだろう。それが貴方達の日常なのだから。




ケース2
ポツリ、ポツリ星々と月明かりが重なる中、雨が降る。
空に輝く星々、そこに先ほどまでの妖しい輝きは存在しなかった。
月光を乱反射させながら、全てを洗い流すかのようにキングとクイーンの血を洗い流した。

貴方達は2人の亡骸を抱えて、陸地を目指した。

※アガートラムで来た場合は、アガートラムに乗って帰ることができる。
クイーンに連れてこられた場合は、救命ボートを見つけ帰るだろう。

陸に戻ると仲間達に別れを告げ、貴方達はクラブへと戻って行く。
2人の亡骸をその腕に抱えて

後日、貴方達は一つの墓の前に立っていた。
手持ちのラジオからは、霧雨殺人事件の報道がされていた。
どうやら、「霧雨殺人事件はコンビニYLNTの一部社員により行われた」そういうことになっているらしい。

貴方達はそれを聞いて少し苦笑した。
真実は貴方達の胸の中に仕舞われ、明るみに出ることは永遠にない。
この事件を巡り、様々陰謀が繰り広げられたことも。貴方達がそれに巻き込まれたことも。クイーンとキング2人の犠牲が出たことも。

——彼らが目の前の墓に一緒に入っていることも。

キーンと音を立てて飛行機が一筋の白線を引きながら駆け抜けた。
ああ……世界は何も知らずに、今日も平穏な日常を繰り返している。




ケース3
雨が降っている。それはここ数日降り続いていたものとは違い、どこか清らかで、全てを洗い流すようなものに感じられた。

ドサリと音がしたほうを見ればキングとクイーンが抱き合って倒れている。
(ノーデンスがついでにニャルも撃退してくれてふたりとも依代じゃなくなったよ。あとキングの傷も治ってる)
なんかRPしたほうがいい?
キングとクイーン話させてもいいが何を話すんだ……経緯説明だと長くなるしなぁ。
なんかいい感じにならんか。


貴方達のおかげで世界が救われたことは確かだ。

始末屋達は日常へと戻っていく。
霧雨殺人事件はコンビニYLNTの一部社員により行われたことが明るみになり、世間を騒がせた。




END6
拳銃の引き金は引かれなかった。銃口が地面へと落ちる。

「な何をやってる! 早く撃てッ!!」

キングの叫びが甲板に響き……、声が止まった。彼の口からコポリと血潮が溢れる。
まるで、マリオネットの糸が切られたかのように、キングの体がクイーンにもたれ掛かりながら崩れ落ちた。

貴方達は困惑しながら、その惨状を瞳に映す。
キングの体がゴロリと仰向けの状態で地面に転がる。そして、クイーンのナイフが彼の胸に深々と刺さっているのが見えた。
彼の瞳に光はもうない。心臓を貫いた凶器はいとも簡単に彼の命を奪い去っていた。
クイーンは血化粧を施しながら、笑みを浮かべる。嘲笑うかのように、真っ赤なルージュが弧を描く。

「ふふっ、ありがとう。最後のチャンスを……彼の献身を無駄にしてくれて」

そう彼女が口にした直後、鐘の音が鳴り響いた。
それは、甲板に備え付けられているスピーカーからだ。
ゴーン、ゴーンと厳かに、終末の音を夜闇に響かせる。

「時間よ」と、彼女は告げる。そうして儀式の最後の一節が唱えられた。

天に輝く星振が、一際眩しく光を放つ。
海が荒れる、高波が、渦潮が、豪雨が、突風が、甲板を激しく揺らす。
貴方達は物にしがみつきながら、それを目撃した。

陸地だ。海中からゆっくりと浮上してきたそこには、幾何学的な外形をもつ多数の建造物が建てられていた。
建物な中でも、一番大きな扉がゆっくりと開かれる。
そこには一つの化け物……いや、全身が緑色の皮膚で覆われた……神が深淵から顔を覗かせた。

それが、貴方達が見た最後の光景だ。
大いなる神は目覚めた。神はその力をもって世界を蹂躙するだろう。
ちっぽけな貴方達にできることはもう何もない。
ただ……蹂躙される世界を目撃することなく、海の藻屑となれることだけが……貴方達の救いだった。


END7
貴方達は、クイーンを殺しきれなかった。
それが情だったのか、ただ手元が狂っただけなのかはわからない。
わかるのはただ一つ、貴方達が失敗したという事実だけだ。
クイーンは笑みを浮かべる。嘲笑うかのように、真っ赤なルージュが弧を描く。

「ふふっ。意外だわ、始末屋にも始末出来ない人物がいたのね。」

そう彼女が口にした直後、鐘の音が鳴り響いた。
それは、甲板に備え付けられているスピーカーからだ。
ゴーン、ゴーンと厳かに、終末の音を夜闇に響かせる。

「時間よ」と、彼女は告げる。そうして儀式の最後の一節が唱えられた。

天に輝く星振が、一際眩しく光を放つ。
海が荒れる、高波が、渦潮が、豪雨が、突風が、甲板を激しく揺らす。
貴方達は物にしがみつきながら、それを目撃した。

陸地だ。海中からゆっくりと浮上してきたそこには、幾何学的な外形をもつ多数の建造物が建てられていた。
建物な中でも、一番大きな扉がゆっくりと開かれる。
そこには一つの化け物……いや、全身が緑色の皮膚で覆われた……神が深淵から顔を覗かせた。

それが、貴方達が見た最後の光景だ。
大いなる神は目覚めた。神はその力をもって世界を蹂躙するだろう。
ちっぽけな貴方達にできることはもう何もない。
ただ……蹂躙される世界を目撃することなく、海の藻屑となれることだけが……貴方達の救いだった。


シナリオエンド後の処理など
エンドについて
シナリオにはある程度想定出来る範囲のエンド描写を載せているが、いくらでもシナリオに齟齬が生じない範囲であれば改変して構わない。
これはエンドに限らず、このシナリオの全てでいえる。
繰り返しになるが、参加者全員がセッションをよりよく楽しむことが一番だ。
特に、キングやクイーンの扱いについては探索者の意思を出来る限り尊重して貰いたい。

エンド名について
このシナリオには具体的なエンド名は存在しない。好きにつけても構わないし、勿論なくても構わない。
得たモノも失ったモノもあるだろうが、たどり着いた先がどんなエンドだったとしてもそこに優劣は存在しない。
探索者達が足掻いた先にあるものは全て尊いものだ。ハッピーもアンハッピーも作者が口を出す場所にはない。
貴方達だけの唯一無二のエンドにたどり着いてほしい。
ただ、作者としては、ぜひ自分達なりのエンド名をつけて別世界の次なる始末屋候補を翻弄して欲しいと思っている。
SNSなどに書き込む場合はエンドの内容(キングが死んだ、クイーンを殺した等)は勿論、「エンド4のケース1」などの表記も禁止とするが、自分達でつけたエンド名は堂々と書いてほしい。

後遺症について
File3.終了時点で探索者達には、(特徴表:暗黒の祖先)がつくことになる。
これは新しくついたものではなく、彼らがそれを知ったにすぎない。
探索者作成時に不利な特徴の技能値加算処理は済んでいるため、新たに必要な処理はない。
探索者自身の変化も、HO2は地下室の薬を飲めば問題なく生活が出来、その他のHOについても本人の認識以外で変化する部分はない。
ただ、そもそも特徴表の存在自体がこのシナリオの根幹に関わるネタバレになるため、PCの取り扱いには注意してほしい。

生還報酬について
どんなエンドにたどり着いたとしてもシナリオで指定する生還報酬は「(1d20+10)のSAN値回復」のみである。
ただ、KPの裁量で報酬は増やしても構わない。
また、自身の価値観として惨い結末を迎えた為などの理由でSAN値回復を拒否することを禁止するがそれ以外のシナリオ側からの指定はない。

継続について
探索者達の今後についてシナリオ側から指定することはない。
敢えて言うのであれば、継続についてはその時のセッションの参加者と相談して行い、シナリオ未通過者へのネタバレに配慮してほしい。




あとがき
この度はこのシナリオを手にとってくださり、誠にありがとうございます。拙いシナリオですが、楽しんでいただければ幸いです。
このシナリオは(当たり前ですが)基本的に作者が文章を書いておりますが、作者の描写力が著しく欠如しているため、描写協力をedyさんにしていただきました。素敵な描写を本当にありがとうございます。
edyさんをはじめ、このシナリオを制作するに当たり、多くの方にご協力いただきました。
執筆を応援してくださった皆様には頭が上がりません。
この場を借りて改めてお礼を言わせてください。本当にありがとうございました。

また、このシナリオはとある企画及び映画にインスピレーションを受けています。
トレーラーなどで察していた作品のファンの方もいましたが、元は関西出身のアイドルグループが2010年に発表したプロジェクトです。
調べたら多分すぐにわかるのではないかと思います。作者はその方たちのファンの為、KPをされる方は是非そちらの映画を観たり、楽曲を聴いたり、あわよくば彼らのLIVEを観てもらえたらと嬉しいと思っています。オタクの布教活動ですみません。
また、上記の情報をこのあとがきと注意書き以外で殆ど明記していないのは、このシナリオがあくまでクトゥルフの世界観の作品であり元の作品とは全くの別物であるからだという点に配慮してくださると嬉しいです。

シナリオについてのお問い合わせは作者のツイッターにて受け付けています。
なにかありましたら、そちらにご連絡ください。

このシナリオを作者自体はワクドキハリウッドシナリオだと思って書いております。回し方や、その時のセッションの雰囲気によってシナリオは変わっていくものですが、悪意を持って故意に人を傷つけるためにこのシナリオを使うことはどうかしないでください。

何度もしつこくて申し訳ないのですが、作者はTRPGにおいて「参加した全員にとってセッションが楽しいこと」が他の何をおいても大切だと思っております。KPさんはこのシナリオを回すだけでも大変だとは思いますが、どうか全員が満足できる結果を手に入れられるように尽力していただければ幸いです。

長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。


2021年06月 26日  レルティ(Twitter:@ReLU753)


立ち絵制作:おふで*
描写協力:edy
NPC提供:ポテトサラダ(紫雲紫)、いいじま(京橋那月)
※敬称略



▼ 引用箇所/参考箇所 タイトル その他 作者/権利者 URL 備考
1 東洋医学における精神機能の概念 「こころと東洋医学」 バイオメカニズム学会誌 Vol,20,No,3(1996) 成田洋夫 https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/20/3/20_KJ00000972151/_pdf 参考
2 古い伝承 「パンの大神」 アーサー・マッケン 創作伝承のモデル(参考)
3 ターゲットの銃 クトゥルフTRPGやろうずWiki 装備品案 https://seesaawiki.jp/trpgyarouzu/d/%C1%F5%C8%F7%C9%CA%B0%C6 引用
4 ルーレットの賭け方 世界中のカジノを、100倍楽しむ カジノ ルーレットのルール遊び方、勝ち方・攻略法! http://www.worldenjoycasino.com/?page_id=255 引用




どうでもいい報告やお願い、作者の自我

作者のTwitterにて、このシナリオについての話をふせったーで不定期に書いたりしています。シナリオに必要な情報自体は全てシナリオ内に書いてありますが、裏設定や作者がぼんやり考えていたことなどを知りたい場合は見てみてください。誰でも言ってもらえれば(いいねでも大丈夫です)ふせったーのリストに入れます。

基本的に受け手が受け取ったものが全てだと考えているので、作者の自我をこれでもシナリオ内では抑えたつもりですが読み返すと五月蠅いですね……すみません。本当にシナリオに縛られず好きにやって欲しいと作者は思っています。

また、作者は始末屋に飢えています。お気軽にDMでの壁打ちや相談、感想をお待ちしております。
あわよくば通過ログが欲しい……(本音)

おまけセットについている、キャラクターシートやプロフィールシートも是非使って呟いてください。
どうか、どうか作者の目の届く場所に……。そしてタグもつけてほしい。

あと、このシナリオの略称は「ダフロワ」です。
ダフロア、ダブロワ、ダンフロ、どれも違います。良ければ広めてほしい……し、#ダフロワで呟いてほしい。

ここまで大体、欲しかないですね……。ここからも欲ですが。
ふせったーは作者をいれてください。泣きます。

本当に他所様の卓に文句とか一切言わないし言及もしないので見せるだけ見せてほしい。作者ぞ?我、作者ぞ?

こんなシナリオを回してくださる、遊んでくださる方がいるっていうだけで本当に感謝しかないので上記は全て忘れてください。


どうでもいい報告としては、ずっとこの間までBoothの名前が「なごみ亭」になってたんですよね。正しくは「なごみ卓」です。
ほんとどうでもいいですね。

どうぞ、今後とも「なごみ卓」をよろしくお願いいたします。


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