宇都宮ゆかりの著名人からの応援メッセージ
【プロ野球】今井 達也投手【プロフィール】
【プロフィール】今井 達也(いまい たつや)
1998年5月9日 鹿沼市生まれ
鹿沼市立西中学校ー作新学院高等学校
プロ野球・埼玉西武ライオンズ所属
【実績】
2016年 第98回全国高校野球選手権大会で優勝
岩手国体 高等学校野球硬式出場
ドラフト1位で埼玉西武ライオンズに入団
2021年 自己最多の8勝をマーク、オールスターゲーム初選出
飛躍遂げた一年 若き獅子、野球道まい進 「壁にぶつかったら初心に戻る」
野球エリートが集まるプロ野球界にあっても、甲子園での優勝経験者というのはほんの一握りの存在です。その一人である埼玉西武ライオンズの今井 達也投手にとって、プロ5年目の昨シーズンはまさに飛躍の一年でした。不調に苦しんだ一昨年のシーズンの3勝から一転、昨季は1完封を含む自己最多の8勝をマークし、初出場したオールスターゲームでも2回を3安打無失点に抑える力投でファンの拍手を浴びました。その力強く、堂々たるマウンドさばきは、作新学院高のエースとして臨んだ甲子園で一戦ごとにたくましさを増し、ついには頂点に立ったあの夏の雄姿をほうふつとさせるものでした。飛躍の一年にも「もう少し勝ち数を増やせたはず」と課題を見つめることを忘れず、「常に初心を忘れずに」と野球道をまい進する若き獅子に話をうかがいました。
もう少し勝ち数増やせたと反省
ー昨シーズンは自己最多勝利、オールスター初出場と一年を通して目覚ましい活躍でした。ご自身ではどのように受け止めていますか。
プロ入り後初めて一年間、最後までローテーションの一角を務められたこともそうですし、規定投球回数に達したことにも満足感はあります。ただ、せっかく自己最多の勝ち星を挙げても負け数も増えてしまって(8敗)自分の力で貯金を作ることができませんでした。昨シーズンを振り返ってみると、もう少し勝ち数を増やすことができたのではないかという率直な思いがありますね。
ー一昨年のシーズンは不調に苦しみ3勝に終わっています。昨シーズンの飛躍の要因についてはどのようにお考えですか。
無理な走り込みをやめたことが大きかったと思います。昨シーズンは自分の体のことや筋力トレーニングについて勉強し始め、あまり走り込んでしまうと筋力トレーニングの成果が無駄になってしまうと考えました。ですから筋力トレーニングを中心とした練習を一年間続けてきました。その結果、これまでにない感覚で練習や試合に臨めましたし、シーズンを通して安定したコンディションを維持できたかなと思っています
今井投手の高校時代の活躍は甲子園での全国制覇だけではありません。甲子園優勝のわずか2週間後には高校日本代表の一員として台湾で開催されたU-18(18歳以下)アジア選手権で2大会ぶり5度目の優勝を飾っています。決勝の台湾戦に先発した今井投手は5回無失点の力投を披露しました。その約1カ月後には作新学院高のメンバーで岩手県を舞台とした「希望郷 いわて国体」の高校野球硬式の部に出場、初戦で鳴門高(徳島)と大接戦を演じました。結果は11-12と1点差の惜敗となりましたが、甲子園優勝チームを一目見ようと、平日にもかかわらず会場のバックネット裏と内野席の一部が満席となり、注目度の高さをうかがわせていました。
第98回全国高校野球/作新-北海(南北海道)/チームを日本一へ導いた作新のエース今井投手=甲子園 2016年8月撮影
甲子園凱旋の大歓迎忘れられない
ーこれまでの野球人生を振り返って一番つらかった時期はいつですか。それを乗り越えられた要因も教えてください。
やはり作新学院高に入学した直後ですかね。小学校、中学校の時はそれほど練習が厳しいわけではなく、緩い感じのチームでしたから。それが甲子園の常連校に入学したわけですから最初は本当に練習がつらくて(笑)。その厳しさに慣れるまでは本当に大変でした。そうした中でも何とか続けられたのは、家族の存在が大きかったですね。いつも母親や兄弟が「しんどいだろうけど頑張れ」と励ましてくれたので、それに応えたいと頑張った感じです。
ー宇都宮で過ごした高校3年間で最も印象深いエピソードは。
一番はやはり甲子園で優勝して帰ってきてJR宇都宮駅に着いた時、驚くほど大勢の方々に歓迎してもらったことです。初めての経験でしたから印象深く、あの時の光景は今でも忘れられません。
第98回全国高校野球での全国制覇を祝福する大勢の県民の出迎えを受ける当時の今井投手(写真手前)=JR宇都宮駅前 2016年8月撮影
ー宇都宮の名物や場所などで印象に残っているものはありますか。
うーん。高校3年間で学校の敷地の外に出たことはほとんどありません。宇都宮の街中を出歩くこともなかったもので…(笑)。
ー今年は栃木県で「いちご一会とちぎ国体」が開催されます。今井投手も岩手の国体に出場されています。その経験も踏まえ、国体にはどのようなイメージをお持ちですか。
U-18アジア選手権が終わった直後でもあったので、日本代表を通じて仲良くなった他校の友だちと国体で再会し、交流することができました。国体には、競技を通じて全国の選手たちと交流を深められるという一面があると思っています。
投手陣の力で日本一をつかみたい
ー今井投手が目指している理想の選手像があれば教えてください。
優先順位で真っ先に野球のことを考えられる。そんな選手であり続けたいと思っています。
ー今シーズンの目標、意気込みをお聞かせください。
とにかくチームの優勝が第一です。僕がプロ2年目、3年目の時のリーグ優勝は野手の方が打ってくれての優勝だったので、今季は僕たち投手陣の力で日本一をつかみたいという強い思いがあります。
ー最後に、地元国体を目指している選手たち、全てのスポーツで日々頑張っているアスリートたちに向けたアドバイス、エールをお願いします。
スポーツや習い事というのは自分が楽しいと思って始めるものだと思います。ですから、もし続けていて何か壁にぶつかったり、きついことがあった時には自分がそれを始めた時の気持ちに立ち戻ってみてください。僕自身も常に初心を忘れず、自分が今やっていることを楽しめるようにと心掛けています。
インタビューの最後に「野球を離れてリラックスするために何をしていますか」と質問すると、「洋服を買ったりはしますけど…」と答えた後しばらくして「でも結局、自宅に帰ったら野球の動画ばかり見ちゃっていますね」とさわやかに笑いました。甲子園優勝やアジア選手権優勝に続く、プロでのビッグタイトル奪取に向け、若き獅子の成長ドラマはこれからがクライマックスです。
埼玉西武ライオンズの真新しいユニホームに袖を通し背番号を披露する今井投手=埼玉県内 2016年12月撮影