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『ガンダム』なぜ、あんなに種類必要? 水陸両用MSのナゾ

廉価版や特務作戦、求められるさらなる水陸両用の機体

廉価版の水陸両用モビルスーツとして改初されたアッガイ。この機体の存在がさらなる特務作戦型の機体を生むことになる。画像は「MG 1/100 MSM-04アッガイ」(BANDAI SPIRITS)
廉価版の水陸両用モビルスーツとして改初されたアッガイ。この機体の存在がさらなる特務作戦型の機体を生むことになる。画像は「MG 1/100 MSM-04アッガイ」(BANDAI SPIRITS)

 一方、大型のジェネレーターを積載した重モビルスーツ扱いの水陸両用モビルスーツは、生産や運用コストが高くなってしまうため、従来のモビルスーツで使用していたジェネレーター出力を抑えた廉価版とも言える機体の開発も同様に求められました。

 ジオニック社は、ザクIIからパーツを流用する形で、MSM-04アッガイを開発。こちらは、ズゴックよりも先に完成したために、若い形式番号が与えられています。アッガイはジェネレーター出力の問題でメガ粒子砲は片腕にのみ装備されました、複座式コックピットを採用することで人員を多く運ぶことができ、偵察用として採用されることになりました。

 ゴッグは上陸作戦でハイパワーと重装甲、大きな火力で港湾部などの上陸作戦で先陣を切る機体、アッガイは攻撃力こそ低いものの高い運動性と低視認性を活かした偵察用、そしてバランスを重視した高い戦闘能力を持つズゴックが主力の機体として戦うという、目的別に運用されることになります。流線形の外観と耐圧性を上げた装甲によって、水陸両用モビルスーツは潜水艦との連動運用をすることが可能となり、地球連邦軍の海上戦力や補給網に大きな打撃を与えることになりました。

●さらに増え続ける水陸両用MSの種類

 この他にMSM-10ゾックが開発されます。水中の単独移動が可能ことから、分類こそ水陸両用モビルスーツですが、大型の機体サイズと多数のメガ粒子砲を装備し、歩行不可能な形状は移動砲台とも言えるものとなっています。拠点攻略のための特殊な設計がなされた機体は、その後に登場するモビルアーマーの先駆けとも言えるでしょう。

 さらに、水陸両用モビルスーツは、地球連邦軍の本部であり、巨大な軍需工場を擁するジャブローを攻略するために、さらなるバリエーションが生まれることになります。
 敵の重要拠点であるジャブローを攻略するには、さらに運用目的ごとに機能を特化させた特務型水陸両用モビルスーツが開発されました。通称「アッグシリーズ」と言われる水陸両用MSたちは、3種存在します。

 MSN-04Gジュアッグは中距離での攻撃性能に特化。MSN-04Nアッグガイは接近戦用にヒートロッドを装備し、運動性を向上。この機体はどちらも型式番号からわかる通り、アッガイをベースに開発が行われました。そして、アッグガイ、ジュアッグと共にジャブロー内部への進入路を切り拓くための機体としてMSM-05アッグも加えられています。さらに、ズゴックと同時期に開発されながらも、特務型として分類されることになるMSM-08ゾゴックなども存在しています。

 しかし、ジャブロー攻略戦に関しては、アッグシリーズを中心とした特務型水陸両用モビルスーツが使用されることはありませんでした。その後の『機動戦士ガンダムZZ』や『機動戦士ガンダムUC』で特務型水陸両用モビルスーツが登場しているので、実際に生産されており、ジャブロー攻略戦はそれほどに重要であり、水陸両用モビルスーツに対する期待度は高かったと言えるでしょう。

 大きなツメとずんぐりとした巨体を持つ水陸両用モビルスーツたちは、汎用型のモビルスーツに比べると特異な姿をしているためになんとなくユーモアを感じさせる存在ではあります。しかし、ジオン公国軍が地球で戦うためには、欠かすことのない兵器だったことは間違いないでしょう。

(石井誠)

【画像】見た目可愛い? いろんなデザインの水陸両用MSを見る(5枚)

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