愛知県犬山市などで母子3人の遺体が見つかった殺人事件で、行方不明になっていた父親が8月13日に逮捕された。父親が発見された現場を取材すると、犯行後の足取りに迫る新たな事実がわかった。
近所からは「子煩悩」と評判だった父親に何が
カメラに向かって笑顔で寄り添う姉弟。小学4年の田中千結(ちゆ)さんと、弟で小学1年の十楽(とら)くん。

母親は、この写真をSNSのトップ画面に使っていたという。しかし…。
記者:
姉弟2人の遺体が発見された車が今引き上げられて、搬出されていきます

千結さん(9)と十楽くん(6)は8月9日、犬山市の山林の中に放置された車から、変わり果てた姿で発見された。
捜査関係者によると、2人は車の後部座席に折り重なるように横たわっていて、解剖の結果、千結さんは胸を刺され、十楽くんは首を絞められて殺害されたとみられている。

そして遺体発見の約5時間半後、扶桑町の自宅から2人の母・智子さん(42)も首を絞められて殺害されているのが見つかった。

その後、姉弟の父親で智子さんの夫である男の行方がわからなくなっていたが、13日に夫の田中大介容疑者(42)を逮捕。8月8日から9日にかけ、自宅で智子さんの首を絞め殺害した疑いが持たれている。

行方不明から4日後に急展開で逮捕に至った田中容疑者。その犯行後の足取りが明らかになってきた。
田中大介容疑者:
入鹿池の赤い橋のところにいる

13日午前8時ごろ、田中容疑者は犬山市の入鹿池付近から親族に電話。そのまま親族に付き添われ、愛知県警犬山署に出頭した。
電話をかけた橋の上は、姉弟の遺体が見つかった場所から直線距離で2.5キロほど。警察が重点的に捜索をしていた範囲からは外れていた。

その現場付近を取材すると、たき火の痕跡が。

さらにそこには異様な光景が広がっていた。
記者:
こちらには黒い人の髪の毛でしょうか、まだ切られてからあまり時間が経っていない毛が散乱しています

真新しい、人の髪の毛のようなものが散乱していた。いずれも田中容疑者によるものかわかっていないが、逮捕後の田中容疑者の髪の毛はところどころ無造作になっていて、切ったようにも見える。

さらに首にはガーゼのようなものもあり、首や腕に複数の深い切り傷があったという。
田中大介容疑者:
自分で傷つけた
犯行後に自殺を図ろうとした可能性もあるとみられている。
数年前、扶桑町の自宅に家族4人で引っ越してきたという田中容疑者。自ら営む電気工事の仕事に熱心に取り組み、休みの日には子どもたちと遊ぶ「良い父親」だったという。

自宅の近所の人A:
(田中容疑者は)子煩悩でね。朝早くから夜遅くまで働いて、日曜日しか休みがないみたいな感じで
近所の人B:
(田中容疑者は)腰の低い方でね。私から見たら理想的な家族だったでね
記者:
田中容疑者は母親を殺害した後に、車で子供たちを自宅から連れ出したとみられています
解剖結果や遺体の状況などから、田中容疑者は自宅で妻の智子さんを殺害後、千結さんと十楽くんを山林へ車で連れ出した可能性があるという。
「理想の家族」と評判だった一家に何があったのか…。調べに対し、田中容疑者はこう話している。
田中大介容疑者:
妻と口論になり、カッとなって殺した

智子さんの殺害を認めた上で、子供も2人の殺害についても犯行をほのめかしているという。警察は3人が殺害された経緯を慎重に調べるとともに、田中容疑者の動機を追及する方針だ。
(東海テレビ)