河口湖コンベンションセンターホテル。
日本の象徴であり、今ではサクラダイト鉱山によってかつての姿を失いつつある霊峰富士を背景に避暑や観光で賑わうこの地は、発展の限界を迎えつつあるトウキョウ租界の衛星都市としての開発が進みつつあった。
その中で、このコンベンションセンターホテルは世界最大の産出量を誇るサクラダイト鉱山開発に合わせて建てられ、毎年行われる生産国会議の会場として世界的に知られる。
日本の四季の美しさは世界的に知れ渡っており、日本人を差別対象とするブリタニア人達も好んでこの地を訪れる事は多く、元々は両国の友好の場でもあったのだ。
そのため、ホテル周辺は今も開発が進み、労働力としてイレブン――日本人も多く生活、派遣されている。
そして、木を隠すならば森にと言うように、人を隠すには人の中という原則は、戦争というシステムが生まれて以降変わらない。
はじまりはホテルの設備点検と称して入り込んできた業者。元々、設備点検や設置などの汚れ仕事は、名誉にやらせていたため、従業員達は特に気にすること無く彼らを内部へと導く。
システムのダウンと同時に、武装した兵士達が四方向から橋を爆破しながらホテル内に突入。
SP達もシステムダウンに気を取られた状態での奇襲に為す術無く全員が殺害され、会議中であった要人達が異変を感じた時には完全武装の兵士達にホテルそのものが、そして、河口湖周辺そのものが占拠されるに至った。
過去において、ホテルに置いて玉砕する以外の選択肢を持たなかった解放戦線強硬派。
だが、現在においては、レジスタンスを吸収したことで勢力を拡大し、湖周辺を制圧するほどの戦力を持って事に及んでいたのである。
なぜここまで大規模な行動に打って出ることが出来たのか? 皮肉なことに、ジェレミア総督代行による穏健な統治がそれを許していたのである。
彼はナンバーズに仕事を与え、各地のインフラ整備も積極的に行った。
そのため、河口湖での求人は目に見えて増え、“軍人”と言うゼネラリストの代表達は当然その求人の対象たり得る。
武器弾薬も資材に紛れて搬入が可能であり、水面下で動く事に十分な余裕があったのだ。
何より、一部の強硬派が暴走して殲滅されたことも行動を後押しした。
ジェレミア達が事の発生を完全に読み切っていたとしてと、人間の心理として一度鎮圧されたテロを間断無く行おうとする事はなく、同時に他人もそれが発生するとは思わなくなるのである。
そのため、河口湖全体は会議を前に警備の緩みが発生していたのだ。
『事、ここに至って、何か釈明がありますかな? 片瀬少将』
『強硬派に関する忠告は幾度も告げていたはずだが?』
画面に映った三人の人物に、片瀬は脂汗とともに沈黙するしか無かった。
今回の事は、彼らにとっては正に寝耳に水であり、当人達の思いは叶うこと無く日本の立場はさらに悪化する結果にしかならない。
何しろ、サクラダイトは世界全体を支える動力資源であり、その算出会議は世界経済にすら影響を及ぼす。
これはブリタニア本国のみならず、その支配地域であるエリアすらも巻き込む暴挙として受け止められ、侵略による被害と長きに渡る抵抗活動への同情や羨望すらも吹き飛ばしかねない状況なのである。
実際、ジェレミアやキョウトととしては、水面下に協力関係にあるブリタニアの主義者達や各エリアの抵抗勢力からの反発を最も恐れるのである。
片瀬としても、同志である中華連邦の澤崎等との関係に影響する以上、見逃すことは出来ない事態である。
「面目次第もござらぬ。全ては私の」
『その事はどうでも良い。片瀬少将、我々としてはこの暴挙を見過ごすわけにはいかん。だが、我々が鎮圧しては日本はどうなる? 考えたことはあるのか?』
額に浮かぶ汗を拭いながら頭を垂れる片瀬の言をジェレミアは遮りながら声を荒げる。実際の所、ジェレミアとしては事が起きることは想定内であり、すでに軍を動かす準備は完了している。
だが、その鎮圧の主役がブリタニアであってはならない。それは、ブリタニアの圧政を正当化する根拠になるのである。
そして、ジェレミアが『総督代行として』彼を問責している以上、彼に委ねられた選択肢は一つしか無かった。
『片瀬、このことは貴様にとっては致命傷になるかも知れんぞ?』
ジェレミアの言に、彼をトップに据え、反抗を指揮させた刑部が眉をひそめながら口を開く。彼の言は、解放戦線の行く末と同時に、トップとしての片瀬の存在価値も致命傷になる事を意味している。
ジェレミアがここに居る以上、鎮圧を委ねられるのは彼ともう一人の仮面の男。そして、後者が事を鎮めた暁には、片瀬の存在意義は正に致命傷となるのだ。
「はっ……」
だが、片瀬は依然、恐縮して頭を下げる以外に無い。実際、事を起こす前の草壁達を一喝し、その進言をはねのけたという後ろめたさが彼にはあり、何も言えなくなっていたのである。
その様子に、三人は表情をしかめるだけであった。
『予定通り、無頼改は送る。夕刻にはナリタに着くであろう。必ず事を鎮めて見せよ』
そして、冷徹さを通り越してもはや侮蔑の色しか浮かんでいない目で片瀬を見下ろす桐原の言に片瀬は土下座のように床に顔を落とす。
だが、その顔は恐れや後悔以上に、怒りと屈辱に歪んでいた。それを知ってか知らずか、三人は何も言わずに通信を閉ざす。
消える間際、桐原が背後に控える藤堂を一瞥したが、無言で口を真一文字に結んでいる藤堂に対する彼の目線も、大いなる失望の色が宿っていた。
「閣下……」
それを察してか、藤堂の口も重く、背後に控える四聖剣や穏健派軍人達の表情も暗い。
「もはや、後には引けぬ。澤崎との約束を果たすことも叶わぬ以上、やるしか無い」
そして、振り返り、その場にある全員に対し、静かに言い放った片瀬に、皆が皆一様に息を呑む。
その表情は、それまでの藤堂を頼り、草壁等に翻弄された凡庸な軍人では無く、決意を定めた指導者のそれであったのである。
◇◆◇◆◇
それは思いがけない事態としか言いようが無かった。
会議室に突入してきた解放戦線のメンバー達。会議の様子は記者や抽選された観覧者に公開されていたため、スザクとユーフェミアは最前列とは言え、観客に紛れることができていた。
そして、秘書として同行していた女性にユーフェミアを託したスザクは、参加閣僚達に乱暴を働こうとしていた兵士達を叩き伏せる。
観覧席からの突然に襲撃に、驚き、混乱する兵士達。一時はその場を制圧したスザク。
だが、プロの軍人達を十数人相手取り、現れた新手の中にはリーダーである草壁が駆け付け、スザクも力尽きて拘束されてしまった。
強硬派をとりまとめるだけのことはあり、草壁は生身の武勇では藤堂と同格の猛将であり、前線にあっては重傷をものともせずブリタニア兵を斬り伏せた猛者であったのだ。
結果としてスザクは厳重に拘束され、一人の監視に銃口を向けられたまま物置とも言える中に閉じ込められている。
しかし……、事が起こってから数時間が経過しスザクの身体にも限界が見え始めた頃。
『枢木少尉、無事かね?』
「ジェレミア閣下っ!? っ!?」
突然、耳元に届いたジェレミアの声。驚きのあまり声を上げてしまったことを後悔したスザクであったが、監視兵は銃の構えを解き、スザクに続けろとあごで合図する。
「貴方は?」
「俺はゼロの部下だ。君には以前世話になったことがあってな」
「以前? それにゼロって」
「シンジュク事変の時の運転手と言えば分かるか?」
そう言うと、兵士―永田はスザクの拘束を解き、スザクが気を失った間に耳元に忍ばせておいた通信機を渡す。
「ジェレミア閣下、いったいどういうことですか?」
『解放戦線が事を起こすという事は以前から予想されていた。それに備え、こちらに内通している名誉ブリタニア人を数名忍ばせておいたのだ』
「俺がその一人というわけだ。おっと、言っておくけど今回だけの協力だ。正しいこととか言い出さないでくれよ? 総督代行の命令だぞ?」
スザクの問いに答えるジェレミアと永田。
元々、永田には本人の了解を元にギアスが掛かっており、『ジェレミア』と言う声をキーにしてルルーシュの命令を思い出すようになっていたのだ。
実際、事が起きれば総督代行であるジェレミアは現場に駆け付けるため、誰かしらが彼の名前を口にする事は間違いなく、永田にはスザクの監視を申し出るように言い含められていた。
「しかし、事が分かっていたのならばなぜユーフェミア様を?」
『そればかりは確証が無かったのと、コーネリア殿下の命でな。私としても断るわけには行かなかったのだ』
「そして、人質の中に入れておけば露見したとしても害される恐れは減るからな」
ジェレミアと永田の言に、スザクは引っ掛かりを覚えつつも納得する。
皇室の信奉者であるジェレミアがコーネリアの命を断れるはずも無く、人質の中に紛れ込ませておけば、露見したとしても交渉材料として尊重される。
とは言え、相手は強硬派。用済みとなれば彼女の運命は決まってしまう。救出の算段を立てているからこそ、ここまで大胆に動いていると言うことであろうか。
『加えて、君の格闘能力の高さは一般兵時代から評判だったからな。まさか、殿下と懇意になって居るとは思わなかったが』
「っ!? そ、それは」
『ふ、私は知らない。良いな?』
「そ、それで僕はどう動けば良いのですか?」
緊急事態に似つかわしくないジェレミアの軽口にスザクは一瞬苛立つも、それがどれだけ恐れ多きことかを察すると言葉に詰まる。
だが、ジェレミアのそれはスザクの決意を促すためのものであり、単純な彼は外からそう告げられれば、全力でユーフェミアを守ろうとすることは分かりきっていた。
『まもなく、ユーフェミア様が草壁中佐との会談に臨まれる。永田とともにその場に駆け付け、殿下を救い給え』
「なっ!? それは、あまりにも無謀では?」
『だからこそだ。すでにゼロと彼の配下が侵入している。彼に手柄を立てさせるのは面白くも無いし、君はヒーローになりたまえ』
“ゼロ”と言う言葉に一瞬眉をひそめるスザクであったが、ジェレミアの言によれば事が事だけに共闘関係にあると言う事だろう。
敵対者と手を組むことに対する苛立ちはあるが、それだけの事態であると、スザクは自分を納得させた。
◇◆◇◆◇
河口湖全体を包囲したブリタニア軍の中にあって、一際装いを違える集団があった。
“黒の騎士団”
先日、ノベヤマゲットーにてブリタニア軍、及び解放戦線双方と交戦し、唯一の勝者となったブリタニア曰くテロリスト、日本曰くレジスタンスである。
解放戦線による犯行声明を受け、出動したブリタニア軍。
だが、彼等が戦場に到着した際に目にしたのは、すでに解放戦線と交戦を開始していた黒の騎士団。
白と赤の入り混じった、まさに日本を象徴する塗装が成されたKMFを中心に、同様の塗装が成されたサザーランドと無頼が入り混じった異色の部隊。
だが、その新型機とそれを中心とする数機のKMFは、練度の高さを売りにしていた解放戦線KMF部隊を圧倒し、極めつけは先日鹵獲された雷光による一撃で勝利を収めてしまっていたのである。
キョウトが解放戦線に事の解決を求めてから数時間も経たぬうちに、黒の騎士団は名実ともに解放戦線を鎮圧する立場に立ってしまっていたのである。
そして、その姿を見ていきり立つブリタニア軍であったが、総督代行のジェレミアとナイトオブトゥエルブのモニカの二人がさっさとゼロに対して共闘を申し出てしまったことで気勢を削がれる。
元々、穏健派で知られていたジェレミアがあっさり折れてしまうだろう事は予見されていたが、ナイトオブラウンズであるモニカまでがあっさりと彼との共闘を受け入れたことにはブリタニア軍には驚きを持って迎えられる。
秘匿回線で伝えられた、「共闘に値する者と手を結ぶことに何の恥があるか?」と言う静かな恫喝を前に、皆が皆沈黙するしか無かった。
とは言え、ルルーシュとしても全てが全て想定通りに事が進んだわけでは無い。
当初は巻き込むつもりの無かったニーナが、家族で会議見学に当選してしまい、万一に備えてミレイとルーベンをそこに同行させる必要が出てしまったのだ。
その場の状況をミレイとルーベンが持ち込んだ盗聴器にて聞いていたルルーシュの耳に、やはりと言うべきか、兵士と揉めるニーナの声が響く。
とは言え、今回の彼女は玉城との口喧嘩で悪い方向に日本人に慣れてしまっていたため、兵士に対してキツい中傷をお見舞いしてしまったのである。
当然、激昂する兵士。止めに入るミレイという構図であり、咲世子からその場を鎮めるぐらいの護身具を借りていたミレイだったが、それを使う機会もユーフェミアの一言で静まる形になった。
当初、ニーナの参加は予想外だったルルーシュだったが、状況を把握した後になってからは、止めに入るであろうユーフェミアを利用する形を取ることを選ぶ。
潜入させていた永田からスザクを解放したという情報を得、ユーフェミアが草壁の元へと向かった事を確認したルルーシュはジェレミアへと決行を促したのである。
『承知いたしました。枢木少尉、準備は良いな?』
そう告げたジェレミアは、ゆっくりと彼の専用機、『サザーランド・ローヤル』の試作型を湖の畔へと進める。
本来の登場にはまだ数年の余地があるそれ。
だが、ルルーシュは目覚めとともにアッシュフォードにその特殊兵器「盾形多連装ハドロン砲」を研究させており、ハドロン砲自体は完成していないが、荷粒子の作用で対象の電子妨害を可能としている。
この場合、ホテルに対して撃てばホテルの電力を一時的に妨害出来るのである。
『見るが良い、これが忠義の一撃っ!!』
そんな声とともに、まばゆい光が両の盾から放たれ、闇の夜中で灯台のように光を放っていたホテルは、ゆっくりとその光を失っていく。
G1ベースの外面に立ち、その光景に目を向けていたルルーシュは、ミレイと咲世子からの報告に耳を傾けながら、静かに口を開く。
「さて、策がなるかどうかはスザク次第か……」
かつて親友と呼んだ男と初恋であった女性。過去において彼等が為した事は、自分の進む道を大きく阻んできた。
だが、ルルーシュとしてはそれを邪魔するつもりも、助けるつもりも無い。ただ、自分は二度と彼等の前に姿を見せない。
それだけはルルーシュ自身が誓ったことでもある。
スザクの力も、ユーフェミアの思いも、ロイドとセシルの人柄や力も非常に頼りになるもの。
だが、自分と関わったばかりに彼等の未来は閉ざされたと言っても過言では無かったのだ。
であるならば、敵対したとしても彼等には彼等の道を歩んでもらいたい。そんな思いがルルーシュの中には渦巻いていた。
とは言え、端から見たらそれが特別扱いなのだと言える。
ルルーシュの思いに気付いているナナリーやシャーリーはその事を告げるべきか、G1ベースから見守るしかなかった。
◇◆◇◆◇
突然の停電はホテル内部を混乱に陥れていた。
何しろ、本来役目を果たすべき非常用電源も停止し、完全な闇に包まれている状況なのである。
だが、それは闇に生きる者達にとっては本来あるべき場に戻ったに過ぎない。
警備を続ける解放戦線兵士達は、そんな闇から放たれるクナイを額に受けて静かに崩れ落ち、また闇から沸き出してきた小太刀によって首を切り裂かれて鮮血を舞わせる。
それらの状況を冷厳な目で見つめているのは、忍び装束に異色とも言えるメイドキャップを被った女性であった。
「ルルーシュ様、下層部は制圧いたしました。上層部の者達を」
『了解した。咲世子は電源を回復させた後、脱出車両を爆破してくれ』
「はっ。あの厄介な兵器はいかがいたしますか?」
『あれは良い。……っふ、ブリタニアにも派手な戦果をくれてやるとしよう』
奇襲部隊を指揮する篠崎咲世子は下層部の解放戦線兵士達を音も無く殲滅すると、主君のどこか戦いを楽しむ声に苦笑しつつもそれを受領する。
どこか甘く抜けている面はあるが、それが主君の長所であり、甘さであると彼女は理解していた。甘さは戦いには禁物かも知れなかったが、それを含めてもなお、敵を屠る事に抜け目が無いのがルルーシュであるのだ。
そして、咲世子達が音も無く制圧した下位層に潜んでいた玉城達は、電源の回復とともに混乱していた解放戦線兵士達を叩きのめし、人質の元へと駆け付ける。
「そこまでだぜっ!! 俺様は黒の騎士団、ゼロ親衛隊長玉城真一郎っ!! 神妙にしやがれっ!! って、危ねえっ!! 何しやがんだてめえ等っ!!」
「大声出して突撃するからだろ……。お前達の仲間はすでに死んだぞっ!! 残るのはお前等だけだっ!! 武器を捨てて投降しろっ!!」
一方的に敵を倒して調子に乗った玉城は勢いそのままに人質が集まる会議室へと突撃する。だが、待っていたのはマシンガンの射線。
本来だったら蜂の巣になって居るところだったが、どうやったのか無傷で後方へと逃れた玉城に、呆れ目の吉田がそうツッコミを入れると、内部の解放戦線兵士へと声を上げる。
実際、草壁達が居る貴賓室と会議室以外は制圧され、地下の搬入路後方に隠してあった脱出車両も爆破されている。
電源が回復したことでもたらされる通信が余計に兵士達を混乱させていたのだ。
しかし、窮鼠猫を噛むの言葉通り、袋のネズミとなった兵士達が選択したのは徹底抗戦だった。
「ふざけるなっ!! 我らは貴様等のようなブリタニアに屈した名誉とは違うっ!! ここで、日本人の誇りを、ごはっっ!?」
「今よっ!!」
吉田の降伏勧告に、室内の兵士が声を上げ、持ち込んでいた手榴弾に手を掛ける。
だが、玉城達の騒ぎに気を取られて彼等は、人質が拘束されていないことを失念していたのである。
ミレイの号令の元、ともに潜入していたソフィー達、アッシュフォード家の者達が油断した兵士達に飛び掛かり、老人や学生達が振り絞った勇気に、他の人質達も感化されて兵士達へと襲いかかったのである。
狭い室内であり、同士討ちを気にした兵士達は、銃を使うことも出来ずに彼等ともみ合いになるが、すぐに玉城や吉田達が突入し、一人一人を拘束していく。
しかし、完璧と言うモノの語源が示すように、それを為すには困難が付き物であると言える。この場にあっては、窮鼠猫を噛む鼠が、実際に猫に噛みついてきたのである。
「もはやこれまでぇっ!!」
「きゃあっ!?」
次々と武装解除され、拘束される部下達の姿に、ルーベン達をふりほどいた指揮官が手榴弾のピンを抜き、側に居たニーナの腕を掴んだのである。
「止めやがれぇっ!!」
それに気付いた玉城が指揮官に飛び掛かり、難を逃れたニーナ。だが、手榴弾がどこに転がったか分からない状況にありながら、二人はもみ合ったままであった。
「くっ!? 離せ売国奴がっ!!」
「民間人に手を出すクズに言われたくねえっ!!」
だが、お互いの主張をぶつけ合うことに気が向いている二人はそれに気付かず、もみ合ったままであり、他の者達もそばに行くわけにも行かぬ状況。
「玉城、そんなヤツは放っておけっ!!」
そんな状況にあって、吉田も解放戦線兵士も机を倒して身を守るしか無い。だが、殴り合っている二人には届かぬまま時だけが過ぎ去っていく。
そして……、閃光と爆発音が室内を支配した。
鹵獲した雷光ですが、運用しているのは原作の二人です。あの堅物そうなやり取りが気に入ったので、鹵獲された際に投降していると言う設定です。
今回は動きはあまりありませんでしたし、オルガン砲の描写にもツッコミはあると思いますが、この辺は作者の力量不足です。
それと、次回はかなりキツい描写を少し書く予定のため、事前に予告させて頂きます。
一応、ギアスとは関係ないノンフィクション映画をモチーフにした場面を書いてみたので精神的にキツいかなと思われますので、苦手な方はご注意ください。