昨日のぞろ目はなし
ラスレス
>無題Nameとしあき 22/08/25(木)01:30:02No.17219525+
>ラスレスならフーカの衣装が軌跡シリーズのアルティナのコスプレになる

　《――赤コーナー！今年デビューした新星キャッシュ・ラグナック選手！
　　これまで多くの相手選手に打ち勝ってきた実力は本物！
　　殆どの試合をノーダメージで勝ち進んできております！》
ヴィヴィオに勝利したキャッシュは悠々とリングへと姿を現す
この時一部の観客から歓声が上がった
どうやらこれまでのキャッシュの試合を観て魅了された者もいるらしい
性格に問題はあっても一方的に勝ち続ける強さには人を魅了する力があるのだろう
しかしその歓声も次の瞬間かき消される事になる
　《青コーナー！仮面騎士選手ー！》
その名前が呼ばれた直後会場全体に歓声が響き渡った
　《本名・不明、流派・不明、過去の経歴も去年デビューした事以外不明！
　　去年の地区予選でチャンピオンのアツェレイ選手と戦ったファイナリストです！》
歓声の数では仮面騎士の方が圧倒的なのはその人の在り方故だろうか

エリオと煽りと戦いと＜仮面の騎士は許さない＞

キャッシュはこの歓声の差に苛立っていた
自分よりも人気のあるという事実がそうさせている
　《仮面騎士選手今リングイン！
　　リングサイドには仮面を付けたセコンドがついております》
そして仮面騎士であるエリオのセコンドには今年もセッテがついていた
顔の前面全て隠すタイプの仮面を付け正体を隠しているので素顔はバレていない
（もっとも、本来仮面騎士にセコンドは不要なのではあるが）
　「素顔も晒せねぇ臆病者がこんな場所になんか来るんじゃねぇよ
　　さっさと負けてここから出ていけ目障りだカスが！」
　「…………（ｽｯ...）」
すると何を思ったのか仮面騎士は背中に装備していた剣型デバイスを外しリング外へ投げた
　（ﾋｭﾝﾋｭﾝﾋｭﾝﾋｭﾝ!....ﾊﾟｼｯ!）
回転しながらリング外へ飛んでいくデバイスをセッテがキャッチする
　「てめぇ何のつもりだ？」
　「拳だけであなたに勝ちます」

その宣言はキャッシュにとって逆鱗に触れたのと同意だった
明らかに目つきが変わり仮面騎士に向かって今にも襲い掛かりそうな雰囲気を出している
　《試合開始です！（ｶｰﾝ!）》
ゴングが鳴った瞬間キャッシュは仮面騎士に向かって特攻を仕掛けた
作戦なんてものはない
ただ力の限り殴る事しか考えないその特攻はとても速かった
　「おらぁぁぁぁぁぁぁ！！！（ﾄﾞｶﾞｧｧｧｧｧｧﾝ!）」
単純に速い、そして一撃の威力が高い
シンプルが故に強力な攻撃を仮面騎士は避ける素振りを見せていなかったのである
次の瞬間信じられない様な表情をする事になるのはキャッシュと観客達だった
　（ｼｭｩｩｩｩ......）
驚いた事に仮面騎士は今の一撃を片手で防いでいた
特に痛がっている様子もなく平然と防ぐその光景は異様に映っていただろう
　「舐めんなぁ！！！（ｽﾞｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞ!）」
今度は両腕を使った凄まじいラッシュが繰り出される

>　（ﾋｭﾝﾋｭﾝﾋｭﾝﾋｭﾝ!....ｻﾞｸｯ!）
>回転しながらリング外へ飛んでいくデバイスをアツェレイが頭でキャッチする

観客達には仮面騎士が立ち尽くして攻撃を食らい続けている様に見えていた
だがそれは誤りであり実際は最初の一撃同様両手を使いその攻撃を防いでいる
ラッシュの速度はかなりのものなのにその一手一手に完璧に対応していたのだ
　「おらぁぁぁぁぁ！！！（ﾌﾞﾜｧ!....ﾄﾞｶﾞｧｧｧｧﾝ!）」
今度は右足を振り被った蹴りを放つがそれも腕を盾に防いでいた
　「はぁ！はぁ！はぁ！はぁ！何なんだためぇ！」
　「…………」
仮面騎士は答えない、答える必要が無いと感じているから
　「てめぇらみてぇな才能がねぇ連中はさっさとやられちまえ！
　　俺の前に立つ事自体不愉快なんだよ！」
　「…………」
仮面騎士は尚も答えない、ただじっとキャッシュを見ている
　「何とか言えよてめぇ！」
　「…………」
仮面騎士は更に答えない、その行為がキャッシュを尚も怒らせる結果となった

　「あぁぁぁぁぁぁぁ！！！（ﾄﾞｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞ!ｶﾞｧﾝ!ｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞ!）」
今度は拳と足を使ったラッシュを仕掛けるが仮面騎士には一発も通っていない
　「――――やはり、あれは私と戦った時の」
試合を観戦していた者の中で1人ミカヤは呟いていた
今日は妹のコトリの試合がない為シナイとコトリと3人で観戦に来ていたのだが
仮面騎士が今している防御に見覚えがあったのだ
　「そうか、彼は魔力を一点に集中させているのか
　　一点集中なら防御力は桁外れに上がる…しかし」
隣でシナイも驚きの声を上げているのはこのラッシュを全て捌いているという事
　「僅かでも魔力を集中する箇所を間違えたり…タイミングがずれたら…
　　それこそ一撃でライフが0になってもおかしくない
　　それだけの威力がある攻撃を相手はしている」
　「もの凄い集中力だよ…今戦ったら私は彼にダメージを通せないだろうね」
その高い集中力はある意味今回の試合に限ったものと言えるだろう
仮面騎士はキャッシュ相手に絶対に負けられない強い思いを抱いている

　「何なんだよ…何なんだよてめぇ！ふざけてんのか！」
繰り返しキャッシュは攻撃を繰り出すが未だに一度も攻撃を通せていない
既に息は上がり肩で大きく呼吸する程になっている
　「…………この程度で息が上がっているのですか？」
と、仮面騎士はようやく口を開く
　「この程度の攻撃をしただけで呼吸が乱れてしまう
　　その理由は分かっているのですか？」
　「知るかぁぁぁぁ！！！」
今度こそ、と意気込んで仮面騎士に何度目か分からない攻撃を繰り出したが
　「…………ハッ！！（ｽﾞﾄﾞｫﾝ!）」
　「ぐほぉ！？」
仮面騎士が繰り出した一発の拳がキャッシュのボディに突き刺さった
キャッシュの攻撃も速かったが仮面騎士の今の一撃はもっと速い
繰り出した拳が見えない程の速さで気付いたらキャッシュのボディに直撃していたのだ
　「な……なん……だと」

仮面騎士のたった一発の攻撃でキャッシュのライフは大きく削られた
今の攻撃は直撃する瞬間に魔力を集中させた一撃
通常のバリアジャケットでは威力を防ぎきれない強力な攻撃だった
　「才能が無いと見下していた相手に一発貰っただけでよろけるとは
　　つまりあなたの方が私より才能が無いという事になりますね」
　「クソガァァァァァァァァァァァ！！！！！（ﾄﾞﾝｯ!）」
今の一撃は掠ったのではなく確実に命中した一撃
大きくライフを減らされたキャッシュは怒りながら仮面騎士へと仕掛けていく
　「私は許さない、多くの選手の心を踏み躙ったあなたを許さない
　　私は認めない、あなたの事を格闘家として認めない（ｽｯ...）」
仮面騎士は大きく息を吸いこみ、そして構える
　「これは今まであなたに負けた選手達の……思いだ」
次の瞬間誰もが驚く事になる

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