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最終更新日:2021年11月25日

正しく理解!食物アレルギーの検査

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木 幹啓

正しく理解!食物アレルギーの検査

(画像=Adobe Stock)

食物アレルギーの診断には、様々な検査が行われます。血液検査がよく知られていますが、誤解されやすい検査でもあります。食物アレルギー診断のための代表的な検査と、正しい解釈の仕方を説明します。

1. 血液検査はあくまでも参考に

血液検査では主に食べ物の特異的IgEの値を調べます。値が高いと「その食べ物に敏感になっている」ことを意味します。注意したい点は「感作≠食物アレルギー」ということです。

数値が少し高いだけで「食物アレルギーなので食べ物を除去しましょう」とするケースがみられますが、アレルギーが疑われる食べ物を食べても症状が出なければ除去の必要はありません。数値が高くてもアレルギーの問題のない子どもは多くいます。

2. 「念のため」の血液検査はむしろ悪影響

症状はないが念のため調べたい、というのは食べ物の過剰な除去につながり、子どもの食生活と栄養に悪影響を及ぼすこともあります。食べた後に症状がみられた場合にのみ検査を行うべきです。

また、特異的IgGという項目がアレルギー検査に含まれる場合がありますが、IgGは食物アレルギーでなくても値が上がり、特異的IgEとの関係はありません。特異的IgGは診断の参考にはなりませんし、アレルギー学会でも推奨していません。

3. 皮膚検査もあくまで参考に

皮膚検査では主に「プリックテスト」が行われます。アレルギーが疑われる食べ物の成分を専用の針につけ、皮膚に押しつける検査で、押しつけた部分が赤くなり膨らむかどうかを確認します。食物アレルギーの診断に有効な検査ではなく、参考として行う検査のため、少し反応した場合でも、必ずしもアレルギーがあるとは限りません。

4. 正しく診断できるのは食物負荷試験だけです

食物アレルギーを診断する唯一の検査は食物負荷試験です。血液検査、皮膚検査はあくまで参考であり、アレルギー診断の確定は食物負荷試験で陽性の場合のみです。患児の状況をふまえて主治医が判断し、アレルギーの疑いのある食べ物を食べてもらう検査ですが、症状が出ると陽性で、食物アレルギーの診断が出て、食物アレルギーの除去の指導が行われます。 食物アレルギーの検査が正しく行われて判断されなければ不必要な食べ物の除去につながり、子どもの食生活を制限することになるので、注意しましょう。

こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木 幹啓

【経歴】自治医科大学卒業
三重大学小児科入局
三重県立総合医療センター(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
国立病院機構三重中央医療センター(新生児集中治療室を担当)
国立病院機構三重病院 (小児急性期病棟、アレルギー・糖尿病・腎臓病慢性期病棟、重症心身障害児病棟を担当)
山田赤十字病院(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
紀南病院(小児科医長)
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
2020年10月、株式会社オンラインドクター.comを設立。CEOに就任