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最終更新日:2021年11月25日

どうして離乳食を食べないの?(後編)赤ちゃんの食べたい意欲の発達のためにできること

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木 幹啓

どうして離乳食を食べないの?(前編)子どもが食べない理由

(画像=Adobe stock)

前編では、赤ちゃんが離乳食を食べない理由は2つあり、食べるための能力の発達に個人差があり、食べる能力が身についていないと食べる意欲もわかないことをご説明しました。

後編では、食べる楽しみやる意欲を高める「楽しい食事」についてお話しします。

早めに手づかみ食べをさせましょう

生後6ヶ月ごろから手づかみ食べをさせましょう。離乳食の最大の目的は「自分自身で何をどうやって食べるか」です。発達が順調であれば6ヶ月には身の回りの興味のあるものに手を伸ばしてなんでも口に持っていきます。手に触れ、握りしめ、口に入れることでおもちゃと食べ物の区別をつけるのは、お子さんにとっては楽しい学びの体験です。

親と子で異なる「楽しい食事」

お子さんが好き嫌いなく離乳食を食べ、親がおいしいね、と語りかける、それが「楽しい食事」のイメージではないでしょうか。

離乳食を始めたばかりの赤ちゃんにとっては、まず食べ物に触り、遊び、ぐちゃぐちゃにすることが「楽しい食事」です。離乳食は食べられるものか遊ぶものかはまだ理解できていないからです。それを知らないと、ここでも親子間で意識のズレが生じてしまいます。

子どもは親の真似をしながら学びます。最初は握ってぐちゃぐちゃにして遊んでいても、親を見るうちに食事をすることが理解できるようになります。特に最初のうちは後片付けが大変ですが、お子さんの食べ物に触れる楽しみや学びを大切にしてもよいと思います。

食べる意欲を高める「楽しい食事」について

食べる意欲を高めるため、以下のものを食卓に用意しましょう。

①スプーン

②成長に合わせた離乳食(初期はお粥、ペースト。手づかみ食べできるものが望ましい)

③赤ちゃん煎餅

食卓まわりや食べこぼし用のウェットティッシュ、塗れタオルなども必要です。

①から③のうち、どれかに興味を持って触り、口に運んだら最初の目標はほぼ達成です。ペーストに触れ、感触を楽しんだだけで十分ですが、指についたペーストを舐めて味を感じられればさらに完璧です。

お子さんの離乳食と一緒に大人が食事をする場合、大人の食事が終わればお子さんの食事もおしまいにします。くれぐれも最初からスプーンに載せた離乳食を口に運んだり、舌に載せないように。無理にやると拒絶されることがあります。まずは、自分で離乳食に触れて学ぶ期間を大切にしましょう。

離乳食に興味のない時期は長ければ半年続くことがあり、食べられるのが数種類のみであることもあります。その間は母乳栄養やミルクなどの栄養補給が必要ですが、食事以外の発達が順調であれば様子を見て大丈夫です。体重増加を気にするよりも半年先に食べられるものが増えていることに期待しましょう。なお、体重が減少し続け著しい発達の遅れがある場合は重度の栄養不足のおそれがありますので、医師の診察を受けてください。 私自身、娘が離乳食を拒否していた頃は毎日悩み、いろいろと試して勉強する日々でとても大変でしたが、いつかきっと大人と子どもが一緒に食事を楽しむ日は訪れますよ。

こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木 幹啓

 【経歴】自治医科大学卒業
三重大学小児科入局
三重県立総合医療センター(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
国立病院機構三重中央医療センター(新生児集中治療室を担当)
国立病院機構三重病院 (小児急性期病棟、アレルギー・糖尿病・腎臓病慢性期病棟、重症心身障害児病棟を担当)
山田赤十字病院(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
紀南病院(小児科医長)
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
2020年10月、株式会社オンラインドクター.comを設立。CEOに就任