新任教諭自殺、賠償命令 6500万円、父親訴え
福井県若狭町立中学の新任教諭だった嶋田友生さん(当時27)が自殺したのは、長時間勤務や負担の大きい勤務状況を認識しながら校長らが適切な措置を取らなかったのが原因として、父親の富士男さん(59)が県と町に約1億130万円の損害賠償を求めた訴訟で、福井地裁(武宮英子裁判長)は10日、約6500万円の賠償を命じる判決を言い渡した。
訴状などによると、嶋田さんは2014年4月に同中学に着任し、1年生の担任や野球部の副顧問などを担当。恒常的な時間外勤務を余儀なくされ、160時間を超える月もあった。
授業の準備や生徒のトラブル対応などに追われた上、土日も遠征試合のため出勤。さらに上司から厳しい指導を受けるなどし、同年6月末には、うつ病など何らかの精神疾患を発症していたとみられ、10月に自動車内で練炭自殺しているのが見つかった。嶋田さんについて、地方公務員災害補償基金福井県支部が16年9月、長時間労働が自殺の原因だとして公務災害と認定した。
原告側は「校長は勤務時間の軽減や新任であることへの配慮を怠った」と主張。町は「残業は自主的なもので勤務時間には当たらない」、県も「精神疾患を認識するのは不可能だった」と反論していた。〔共同〕