ところが、「狂気」を解放して男系派を論破せよとブログで呼びかけただけで、これほどの動きが起こるとは思ってもみなかった。
みんな常識と節度を保って発言を控えていただけで、本当は男系派の暴論・珍論の数々に反論したくてうずうずしていたようだ。
そしていざ反論を開始してみたら、みんなそれぞれに勉強していたから、たちまち男系派を圧倒し始めてしまったのだ。
男系固執派は数がいるように見えても、誰も自分の頭では考えておらず、同じ紋切り型の言葉を全員で繰り返しているだけなのに対して、女系公認派はそれぞれが自分の頭で考え、それぞれ自分の言葉で論破している。
わしは一夜にして幾万の味方を得たような気分だった。
そしてもうひとつ、「論破祭り」によって男系派の驚くべき実態が次々と晒されるようになったのも、非常に意義のあることだ。
中でも特に重大な問題が「統一教会」との関係で、驚くべきことに、男系派の主な論客はみんな統一教会系の団体で講演をしていたことが明らかにされた。新田均、櫻井よしこ、八木秀次、中西輝政、大原康男、竹内久美子、小川榮太郎、渡部昇一、そしてもちろん、竹田恒泰もだ。そして、保守系と言われる論壇誌も揃って統一協会の広告塔になっていた。
それだったら「保守派」がみんな男尊女卑になっていたのは当然だといえる。統一協会の教義が男尊女卑そのものなのだから。
統一協会の教義では、韓国が「アダム国」、日本が「エバ国」で、エバの日本はひたすらアダム・韓国に仕え、お金を貢がなければならないことになっている。
そして「合同結婚式」では、日本人の女は韓国人の一番劣等な男に嫁がされて、奴隷のような扱いをされているのだ。
保守系とされる連中は全員もともと男尊女卑の願望を持っており、その下地があるから、統一協会がどんなに男尊女卑の言動をしていようと、一切違和感を持たないのだろう。
だが、統一協会の教義においては、日本は「サタン国家」であり、韓国を植民地化した贖罪のために献金をしなければならないということにもなっている。
これは、「自虐史観の克服」を唱えているはずの保守派にとっては決して相容れないはずの歴史観であるのに、保守派がこの教義に対して何らの怒りも持たず、全く反応を示そうともしないのは、完全におかしい。
これは致命的な矛盾であり、一切正当化することが不可能だから、ダンマリを決め込む以外にないのである。
一方、統一協会と戦ってきたジャーナリスト・有田芳生氏と、わしのツーショット写真を、アンチがツイッターで拡散しているという情報も入ってきた。
沖縄の米軍基地に反対している有田氏と並んで写っているということで、「小林は有田と同じ、反基地の左翼だ!」とか言ってるらしい。
ところが、実は「反基地」への攻撃も統一協会の主張なのだ。
統一協会系の政治団体「国際勝共連合」の機関紙「思想新聞」では1996年には、沖縄の反基地運動に「過激派や県外からの左翼運動家が暗躍」しているという、現在のネトウヨの定番となっている主張を書き立てている。
同様に、「脱原発」も「思想新聞」は攻撃の対象としており、1989年の紙面には反原発運動を誹謗する記事が載り、福島第一原発事故以降は原発推進の主張を繰り返しているという。
その他、「夫婦別姓反対」だの「LGBTの権利拡大反対」だの、意味のわからない「伝統的家族観」だの、自民党・ネトウヨが主張していることは、統一協会が言っていることばっかりなのである。
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