ファッションも社会もデザインした三宅一生さん 横尾忠則さんが語る

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構成 編集委員・大西若人
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 「一枚の布」といった思想を備えた衣服で、世界的に評価されたデザイナーの三宅一生さんが5日、84歳で亡くなった。その訃報(ふほう)を、美術家横尾忠則さん(86)は、9日に知った。その夜、長年親交があり、仕事もともに手がけた横尾さんが、三宅さんについて語った。

 一昨日、次のパリ・コレクションの招待状の校正刷りもできて、一生さんはなんて言ってくれるかなと思っていました。それが今日、絵を描いているときに突然連絡を受け、急に時間が断ち切られたような、何か大きなものが壊れたような気がしました。

 誰もが、一生さんがデザインを芸術の域に高めたと評価するのでしょうが、今は冷静なことは言えません。日本の文化、芸術がここでぶった切られたんだと思う。

 初めて会ったのは1971年、ニューヨークのジャパン・ソサエティー。一生さんがショーをやり、その楽屋で会いました。

 一歩先にニューヨークで評価され、親近感とあこがれが混じったような思いでした。その後しばらくして連絡があり、パリ・コレの招待状のデザインを頼まれました。1回きりと思っていたのに、今も続いています。

 当時、ファッションはヒッピーカルチャーなどの社会現象と手を結び、思想を持ち始めていた。そこに向けて発表した名のあるデザイナーが一生さんで、最初の一人に近かったのではないでしょうか。川久保玲さんや山本耀司さんも、そこに続いたんだと思う。

 一生さんの場合、まず、造形…

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    常見陽平
    (千葉商科大学准教授・働き方評論家)
    2022年8月11日9時6分 投稿
    【視点】

    ■追悼・三宅一生さん ISSEY MIYAKE MEN沼にハマって見えたこと  そういえば、朝日新聞コメントプラスの集いに参加した際、私は全身ISSEY MIYAKE MENだった。シルバーの、化学繊維でできたメカゴジラのようなジャケット

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    前田直人
    (朝日新聞コンテンツ戦略ディレクター)
    2022年8月11日4時11分 投稿
    【視点】

    三宅一生を横尾忠則が語る。戦後のデザイン・アート界に感化されてきた私としては、このタイミングでこのインタビューが出てくることに感動を覚えます。三宅さんは84歳、横尾さんは86歳。歳月がたつのはあっという間だなという思いがあり、時代の変化にさ

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