MSワラント(行使価額修正条項付新株予約権)を発行した企業のリスト、およびその特徴分析【保存版】

株式投資は「いかに資産を増やしていくか」が最も大事なポイントですが、同時に「いかに資産を減らさないか」も大事なポイントです。

つまり、負けやすい銘柄を避けて、勝てる確率の高い銘柄に資金を投入することが大事なわけですが、銘柄によっては、思わぬ地雷が埋まっているケースがあります。

行使価額修正条項付の新株予約権(MSワラント)を発行することを決定した企業や、(最近では、ほとんど見ませんが)修正条項付きCB(転換社債)を発行することを決定した会社の株を保有しているケースです。

なかなか事前に予測できない事象なので、もらい事故レベルの話なのですが、MSワラントやMSCBが発行されると、希薄化するケースが多く、ほとんどのケースで株価が下がります。

そのメカニズムや詳細は、別の機会で説明しますが、どんなに夢のある材料や魅力的な業績が出たとしても、行使価額修正条項付MSワラントによって需給が悪くなると、株価は当面上昇しません。

あと補足の解説ですが、

修正条項付きCB(転換社債)> 行使価額修正条項付MSワラント > 普通のMSワラント

という順番で、一番左にあるものほど「悪質」です。

最近、多いのが「第三者割当による第〇回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行に関するお知らせ」というタイトルのIRです。

これが出たら、まずほとんどのケースでアウトだと思ってください(汗)

私も今回、窪なんとかという銘柄で、痛い目に遭いました(汗)

行使価額修正条項付の新株予約権(MSワラント)にヒットしてしまった場合、そのダメージは計り知れません・・・。

一撃で10%、20%以上ダウンはするでしょうし、下手をすると連続ストップ安になり、売るに売れない状況に陥ります。あっという間に自分の資産が半減する可能性もあります。

今回の窪なんとかは一撃で40%を超える下げになりました(汗)。連続ストップ安により精神的に追い込まれた方も多く、多くの人が売却タイミングを間違え、夜間のPTSで安値でパニくりながら、投げ売りしていた人が多数いました。

今回気づきましたが、行使価額修正条項付の新株予約権(以下:「MSワラント」と記載します)を発行した実績のある会社は、麻薬じゃありませんけど、何度も繰り返し実行するケースが散見されます。

とにかくMSワラントを発行した実績のある企業や、その可能性のある会社の株は、基本的に避けるべきだと、この度の経験で感じました・・・。(もし買ったとしても、短期売買を徹底すること!)

以上を踏まえて、今回おそらく史上初!?となる分析と検証を行いました。

過去にMSワラントを発行した会社を徹底的にチェックし、買ってはいけない企業としてブラックリスト化しました。

あと過去4年内にMSワラントの発行を決定した会社を分析し、その特徴を浮き彫りにしました!

本当は、今日から22時30分には寝ようと思ったのですが、一刻も早くこの情報をお届けした方が良いと思い、データ中心にアップロードしておきます。(解説はそんなに詳しく書きません)

MSワラントを発行した企業を調査した結果

今回、2013年〜2022年直近までの約10年間にわたり、データを抽出して分析。

この分析、なかなか骨の折れる作業でした(苦笑)

もしかすると、漏れや間違いがあるかもしれませんけど、とりあえず、98%の精度はあると思っています。

補足説明ですが、この約10年間のデータには、意味のあるものとないものがあります。

企業の財務状況や業績、企業体質は時間と共に経過するので、以下に記載している「MSワラントを発行した企業の特徴分析」では、過去10年分のデータは使用していません。

但し、事実として過去にMSワラントを発行した会社や業種別の傾向を見るという観点では意味があると思い、過去約10年のデータを使用しました。

あと、キトーのように一度発行を決めてから、しばらくして中止した会社もありますが、「発行を決めた」時点で有罪(笑)なので、今回は、「MSワラントを発行した」と見做しています。(例:例えば旅工房みたいに1度中止して、その後実行するケースがあるので、とにかく発行を決めたら企業体質的にアウトだと見なしています)

では、早速、MSワラントを発行したヤバイ会社たちをチェックしていきましょう!

MSワラント新規発行を決定した企業

以下の表は、MSワラント発行を決定した企業を、実施回数の多い順にソートしておきました。

上のほうにある会社ほど、手を出してはいけない会社です。
(注:上場廃止企業も含まれています)

7777は、ヤバイです💦
株価がずっと低迷中なのも、納得できますよね。

 

MSワラント新規発行を決定した企業の業種

業種別で見ると、圧倒的に医薬品が多くその割合は36%でした。

創薬系は、超危険だと思いますから、触っても短期でやるべきだと思います。

次にやばいのが精密機器、情報通信業です。

全くMSワラント発行していない業種が、9つありました。

さすがに銀行業は絶対ないと思います(笑)

 

MSワラント発行企業チェック用(ブラック)リスト

過去にMSワラントで痛い目にあっている方は、このページをブックマークしていただき、投資する前にこのブラックリストを常に見るようにしてください。(注:上場廃止企業も含まれています)

上記の発行回数表では見にくいと思い、今回は銘柄コード順にソートしています。

発行回数の多い会社は、発行年度も記載しましたので、ヤバさがすぐわかると思います。

あと最近、つまり2020年以降MSワラントをやっているような会社は、また引き続きやる可能性があるので、その辺は充分注意してください。

2020年以前に1度だけMSワラントを発行して、その後、業績や財務体質が良くなり、配当金を出すようになった会社は、「刑期を終えた」として、普通に扱って良いと考えます。

MSワラント新規発行を決定した企業の特徴について

今回、過去にMSワラントを発行した企業の特徴を分析することによって、危ない会社を見分ける材料とをしていただきたいと思い、四季報のデータベースと合体させて、特徴を分析してみたところ、興味深いことが判明しました。

まずそもそも論ですけど、「MSワラントを発行する企業はお金が欲しい」のです。

「資金が足りていない」「財務体質が弱い」、そのような仮説が考えられますので、それに基づき、「営業利益」「配当金」「営業キャッシュフロー」「現金比率」「利益剰余金」「自己資本比率」、主にそれらに注目をして分析を行ってみました。

それから、ある論文によると時価総額の小さい会社は、MSワラントを発行しやすいという分析があったので、「時価総額別の割合」も分析してみました。

それらの結果は以下の通りです。

営業利益 プラス・マイナスの割合

全部で178社で、そのうち何社が該当しているかという表です。

利益剰余金 プラス・マイナスの割合

営業キャッシュフロー プラス・マイナスの割合

今回、営業利益、利益剰余金、営業キャッシュフロー、自己資本比率では、意外なことにあまり特徴的な結果が出ませんでした。
※自己資本比率、現金比率の集計は、一覧表をパッと見て、あまり意味のない数字でしたので、やっていません。
逆に言うと、自己資本比率が70%とか80%とかあるから「MSワラントはしないだろう」と思い込まないでください。
窪なんとかなんて、自己資本比率85%でしたからね。

興味ある方は、おまけで添付したPDFの一覧表をご覧ください。(一番下にあります)

株主にオーナーや経営者がいる比率

時価総額別の比率

株主にオーナーや経営者がいる企業では66%の割合でしたし、時価総額500億円以下の企業では、86%の割合でしたので、いわゆる小型株レベルの会社は、要注意だと感じました。

それから、顕著な結果が出たのが、配当金を出していない会社です。

配当金を出している企業の比率

MSワラント発行企業で、配当金を出していない(配当金ゼロ)会社は85%でした!

これは最も顕著な数値でした。

外国人持ち株比率

あと面白かったのが外国人持ち株比率。


外人比率10%以下の割合が71%、外人比率10%20%以下まで含めると、該当割合は84%になります。
逆に言うと、外国人比率が40%以上の会社であれば、MSワラントにヒットする可能性は低いのではないかと感じました。

まとめ:MSワラント新規発行の直撃を避けるためには

1.配当金の有無

上記で、「お金が欲しいからMSワラント発行する」という仮説を立てましたけど、配当金を出さない会社って、キャッシュアウトする余裕がないから配当金を出せないわけです。

つまり、MSワラント新規発行可能性のある会社を回避するには、「配当の有無」が一番分かりやすい判断基準だと思います。

(一概には言えませんが、私見として)配当金ゼロの会社は、長期投資をするべきではなく、短期でキャピタルゲインを狙うだけに留めておいた方が良いと感じます。長く持っていても、配当金ゼロですと楽しみが1つ減りますもんね💦

配当を出せる余裕のある会社に投資するのが、株式投資の王道だと思います。

 

2.無配当&外人比率が40%未満、時価総額が500億円未満の銘柄の株価が急騰時した場合は要注意

上記データの通りです。

 

3.自分が投資した銘柄について、MSワラント発行実績の有無とその発行タイミングは必ず確認する

テクニカルなところで特徴的だと感じたのは
「材料や好業績により、株価が上昇したタイミングで新規MSワラント発行を行うケースが多い」ことです。

特に、医療・創薬系で好材料が出た場合で、且つ、前回のMSワラント発行から1~2年程度経過している状況では、新規MSワラント発行に注意してください。

 

4.MSワラントを発行実績のある企業は、決算跨ぎをしない

決算発表時に爆弾を落としてくることが多いようですので、MSワラントを発行実績のある企業の場合、決算発表前には一度手仕舞いすること。

以上、気づいた点をまとめてみましたが、皆さんはどのように感じたでしょうか。

全データは以下にPDFとして掲載しておきます。

MSワラント+四季報202206データ

 

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