本コラムでは、予備試験の受験を検討している方向けに、①予備試験の制度概要、②難易度、③合格のポイントなどについて現役の予備校講師が説明していきます。
まずは本コラムでざっくり予備試験のイメージを掴んでみましょう。
目次
【富川純樹講師が動画で解説!】
アガルートアカデミー司法試験の富川純樹講師が、司法試験予備試験の難易度について解説します。
講師からみた難易度が高い理由、そして予備試験に合格するためのポイントを紹介していますので、ぜひご覧ください。
予備試験とは?
1 予備試験って何?
予備試験とは、簡単に説明すると司法試験の受験資格を取得するための試験です。正式名称は司法試験予備試験ですが、「予備試験」と略称で呼ばれることも多くなっています。
現在司法試験を受験するためには、法科大学院を卒業するor予備試験に合格するしかありません。
予備試験はそのうちの一つということになります。
2 予備試験に受験資格や受験回数制限はある?
予備試験には、受験資格や受験回数制限がありません。
そのため、誰でも何回でも受験することができます。
3 予備試験にはどんな種類の試験があるの?
予備試験は、短答式試験、論文式試験、口述試験の3つの試験があり、順番に1つずつ合格しないと次の試験に進むことができません。
なお、予備試験には免除の制度がないため、論文式試験、口述試験で不合格となった場合でも、来年は短答式試験から受験しなければなりません。
予備試験の難易度は?
予備試験の合格者数は、
年度 | 合格者数 |
令和3年度 | 467人 |
令和2年度 | 442人 |
平成31年度(令和元年度) | 476人 |
平成30年度 | 433人 |
平成29年度 | 444人 |
平成28年度 | 405人 |
と概ね400人台で推移しています。
合格率は、
年度 | 合格率 |
令和3年度 | 4.0% |
令和2年度 | 4.2% |
平成31年度(令和元年度) | 3.9% |
平成30年度 | 4.1% |
平成29年度 | 3.9% |
平成28年度 | 4.0% |
と概ね4%前後で推移しています。
予備試験開始以来、合格率に大きな変化はないため今後も4%前後で推移するのではないかと予想されます。
まとめると、予備試験の合格者は400人台、合格率は4%前後ということになり、予備試験は非常に難易度の高い試験と言えます。
ここまでは数字の観点から予備試験の難易度が高い理由を見てきました。
ここからは、実際に指導をしていて感じた、予備試験の難易度が高い理由について説明したいと思います。
講師からみた予備試験の難易度が高い理由
1 科目数が多い
予備試験はとにかく科目数が多いです。
短答式試験は、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、一般教養科目の8科目、論文式試験は、法律基本科目の7科目に加えて、法律実務基礎科目(民事)、法律実務基礎科目(刑事)、選択科目があり、合計10科目になります。
2 論文式試験がある
予備試験最大の難関は論文式試験です。
論文式試験は、問題文を読んで、貸与される六法だけを手掛かりに自らの手で論文答案を書かないといけません。
ここでは、法律の知識だけでなく、文章を構成する能力や、時間内に答案を書きあげるための時間管理能力など様々な能力が求められるため、なかなか自学自習だけで実力を向上させることが困難です。
以上のように予備試験はただでさえ科目数が多いため、沢山法律の勉強をする必要があるのに、それ以外の能力も求められるという点で、非常に難しい試験だといえるでしょう。
予備試験に合格するためのポイント
1 進捗管理 長期間継続して勉強できる環境を整える
先のとおり、予備試験は大変科目数が多いため、一人で勉強していると、
「本当にこの勉強方法でいいのか」
「やってもやっても終わらない…」
などと思うようになり、次第にモチベーションが低下し、そのうち勉強自体をやめてしまうという人が多いと思います。
そのため、予備校に進捗管理をしてもらう、友達同士で勉強するなどモチベーションを維持する仕組みを作っておくなどの手段を講じることによって、ある程度長期間継続して勉強できる環境を整えましょう。
2 わかる人に論文を見てもらう
論文式試験の形式は多くの人にとって初めての試験形式になると思います。
そのため、答案を書いたとしても、その答案ができているのか、できていないのであればどこが悪いのかが判断できないことが多いです。
この点は、合格者に答案を見てもらい具体的にアドバイスをもらうしかありません。
ここでも予備校の先生や、身近な合格者で自分の答案を見てくれる人を確保することが大切です。
予備試験に短い期間で合格するには、本当に効率的に勉強する必要があります。
そのため、独学で短期合格を目指すことは得策ではありません。
本コラムを読んでも予備試験について分からない点があると思いますので、少しでも疑問点がある人は予備校の受講相談などで不安を解消して勉強をはじめることをお勧めします。