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フェミに背後を撃たれたフェミ

 察しの良い読者はもう想像がつくはずだ。AV新法をめぐる動きは、AV業界側が実施してきた、人情型の作品取り下げシステムを逆手に取った形なのである。
「出演強要が横行しているAV業界はけしからん、というロジックが崩壊しても、伊藤和子はまったくめげなかった。今度は、18歳や19歳がAVに出演すること自体が将来の被害を生みかねないと、問題をすり替える形でのロビー活動を展開し、それが功を奏したのがAV新法なんです」(AV業界に詳しい記者)
 かくして、冒頭のぱっぷす集会で伊藤和子と同席していた金尻カズナなど、法案成立に向けてロビイングを頑張ってきた人権派の闘士たちが祝杯をあげているだろう頃、しかしここで意外な伏兵が飛び出した。仁藤夢乃(Colabo代表)が「本番の性行為を撮影することを合法化する内容になっている」と異を唱え、「#AV新法に反対します」というハッシュタグが突如拡散されたのだ。
「仁藤夢乃は、繁華街を徘徊する少女たちに声をかけ、食事や居場所を提供している社会活動家です。2020年に伊藤和子がAV制作会社社長から名誉毀損で提訴された際は、『AV出演強要被害にあった方々を支え、問題を表沙汰にし続けてきた伊藤和子弁護士。みんなで応援しましょう!』とエールを送っていましたが、今回は、伊藤和子のやり方では生ぬるいぞということなんでしょう」(フェミニスト業界に詳しいフリーライター)
 伊藤和子よりもさらに左上を突っ走る仁藤夢乃は、5月22日に新宿駅前で「AV業界に有利なAV新法に反対する緊急アクション」なる集会を開催し、気勢を上げた。同志の顔ぶれも多彩で、集会の呼びかけ人には、北原みのり(作家/ぱっぷす副代表理事)や、角田由紀子(弁護士)なども名を連ねた。