お笑い芸人・長井秀和が西東京市議選に殴り込み!「宗教=票」からの脱却を目指す理由とは
創価学会は10年前に脱会した
──「宗教2世問題」についてですが、長井さん自身は新宗教のひとつである創価学会の信者であることをオープンにされています。
父親が公明党の市議で母親も学会員でした。私自身は小学校の途中から大学まで創価学会が運営する学校法人に通っていました。参院選で3選した公明党の竹谷とし子議員は高校、大学の同級生です。彼女は高校時代は体操部でピチピチのレオタードでした。
──西東京市議選は公明党の公認候補として立つんですか。
いえ、私は創価学会員であることに違和感があって実は10年前にやめているんですよ。公明党に批判的なことも言っているので声もかかりません。無所属です。
■深刻な「宗教2世」「8050問題」
──SNSでは「宗教2世問題」は、今や宗教の「8050問題」になっているとも発言されています。これはどういう意味でしょう。
一般的な「8050問題」は80歳代の親世代と50歳代の子供世代が直面する引きこもりや介護についてですが、こと宗教2世の「8050問題」は親世代の宗教活動に悩む子供たちという構図です。今の70代や80代の「宗教1世」は若いころに新興宗教などに入信して青春や人生がそのまま信仰と直結している人が多い。もはやライフワークで、近所のコミュニティーや友達も同じ宗教だし、お茶を飲んだりカラオケに行くのも同じ仲間。やめさせてしまうと人間関係の8割くらいがなくなってしまうんです。2世である息子や娘は自分たちが脱会してしまうと、親の教団内での立場が悪くなるため気を使って脱会できないケースも多いと聞きます。80歳を過ぎても選挙活動に駆り出される姿には悲しくなりますが、お金を渡しても全部献金してしまうし、もうこの年まで信じたんだから死ぬまで信じさせた方が幸せじゃないかという諦めの境地なのです。
──親の信仰に左右される宗教2世は抜けるも地獄、残るも地獄ですね。
教団は批判や攻撃にさらされるほど、その宗教の正しさの証明であるというロジックを使います。それでだいたいの信者は納得してしまうんです。山上容疑者の母親も統一教会はやめないと思いますよ。むしろ教団に迷惑をかけて申し訳ないと思っているはず。そうした信仰心を逆に利用するわけです。
──自民党と統一教会のズブズブの関係が明るみに出る中で、組織として関係を完全に断ち切るという動きは見えません。なぜだと思いますか? 政教分離は大原則のはずですが。
それはもうひとえに選挙ですよ。選挙活動と宗教は相性がいいんです。私は国政選挙は“品票会”って言ってまして、つまりは票の出し合い競争。参院選なら3年に1度の集票オリンピックなんですよ。だから猛暑で長丁場の選挙活動は信者同士の連帯感も強まるし、高揚感もある。そして票数という目に見える成果が信仰の実感につながる。勝つことに意義があるから負けそうな選挙区にはあまり候補は立てないんですよ。地方の演説にも駆けつけますし、ポスターも貼る。そうした活動を信者は自腹で行うのですから、政治家にはありがたかったはずです。
──宗教団体のマンパワーと集票力をあてにしているということですね。
たとえば、労働組合とか業界団体とかが応援してくれるケースもあるでしょう。ですが、宗教団体との大きな違いは「信者の数=票数」という“等価交換”が成立するということです。パチンコみたいですけど。信者が2万人いたら2万票。業界団体とかの場合は、メンバー全員が団体が推す候補に投票するわけではありませんから。政治家にしてみれば宗教団体の意向や存在はむげにはできないわけです。でも、私は信教の自由のためにこそ、政治と宗教は厳格に分離しなくてはならないと考えます。本来の宗教活動ではなく、特定候補への投票や集票活動は信仰の抑圧ですよ。そんなことは宗教法人の定款にはまったく書いてありません。私は「宗教=票」と思わない政治を目指します。応援してください。間違いないっ!
(聞き手=米田龍也/日刊ゲンダイ)
▽長井秀和(ながい・ひでかず) 1970年、東京都生まれ。創価大文学部卒業後、92年に芸人デビュー。「間違いないっ!」の決めぜりふで「エンタの神様」などバラエティー番組を席巻して人気芸人に。2021年8月に政治団体を設立し、政治活動をスタート。爆笑問題などが所属する芸能プロダクション「タイタン」所属。