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エンタメ 2022.08.22

SixTONES・Snow Man編 第2回 深澤辰哉〔Snow Man〕「俺たちはファンを笑顔にするためにやってる。だから、9人になる以上、絶対にデビューするって決めたんだ。」

今年、創刊70周年を迎えるアイドル誌「MYOJO」。それを記念して本誌での好評企画である、10000字ロングインタビュー『僕がJr.だったころ』のテキストをMYOJO公式ホームページにて、8月22日~9月21日まで期間限定公開する。Kis-My-Ft2、A.B.C-Z、Hey! Say! JUMP、中山優馬、ジャニーズWEST、SixTONES 、Snow Man、King & Prince(MYOJO本誌での掲載順)のインタビューを特別に集英社オンラインでも同時公開。キラ星のような珠玉のインタビューたちをどうぞ。

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俺たちはファンを笑顔にするためにやってる。
だから、9人になる以上、絶対にデビューするって決めたんだ。

10000字ロングインタビュー『僕がJr.だったころ』
SixTONES・Snow Man編

第2回 深澤辰哉〔Snow Man〕

ふかざわ・たつや
1992年5月5日生まれ。東京都出身。B型。身長175cm。
2004年8月12日、ジャニーズ事務所入所。
2020年1月22日、Snow ManとしてCDデビュー。

※このインタビューは、MYOJO2020年6月号に掲載されたものです。

同期や後輩がデビューしていく姿を、ずっと笑顔で見送ってきた。
しかし、ついに彼にもその時が……。
Jr.歴最長記録でのCDデビュー。
キツかった日々も、あの日の涙も、やっと、すべてが報われた。
決してひとりではかなわなかった、夢をつかむまでのストーリー。

将来もまわりの人が助けてくれる

──「デビュー、おめでとう」のお祝いの言葉が、いちばん似合うのは深澤くんかもしれないね。

「ありがとうございます。27才でデビュー、Jr.歴15年、どっちも記録ですからね。ただ、今のJr.のグループって、どこがデビューしても大丈夫なんですよ。Travis Japan、なにわ男子…、名前を挙げたらきりがない。だから、デビューを目指す全Jr.に“待ってるよ”って伝えたい。あっ、チョーテングっぽい? 炎上する!? とにかく、今伝えたいのは“俺でもできたんだから、みんなには、まだまだ可能性もチャンスもあるよ”ってこと。でも約束してほしい。いつデビューしてもいいから、俺の記録だけは抜かないでね(笑)」

──ハハハハ。小さいころから今みたいにお笑いキャラだったの?

「小さいころの記憶、ほとんどないんですけど、基本しゃべらなかったし、目立つのも好きじゃなかったかな。でも、幼稚園の先生が“辰哉くんは将来もまわりの人が助けてくれるだろうから、このままで大丈夫”って言ってたらしい。なんか幼稚園に行くと、お願いしてないのに、かぶってる帽子や背負ってるバッグを脱がして、指定の場所に置いてくれる女子がいたんですよね。ほっとけないというか、助けてあげたくなるタイプだったのかも(笑)」

──ジャニーズに入るきっかけは、小6のとき、バラエティー番組『Ya-Ya-yah』の追加オーディションに母親が応募したことだよね。

「そうです。何すんのかわからないまま会場に連れて行かれて。そのころの夢、サッカー選手かバスケの選手だったんで、芸能界を目指そうと思ったことなんか全然なくて」

──じゃあ、オーディションを勝ち抜くうちに火がついた感じ?

「まったく燃えなかった(笑)。呼ばれたから次も行きますみたいな感じ。気づいたら最後まで残って、同期が山田(涼介)、橋本(良亮)、阿部(亮平)ちゃんたちで」

──Jr.の活動をしながら、少しずつ、目標や憧れができていったんだ。

「はい。当時は明らかにカッコいい路線の先輩に憧れて。それこそ山下(智久)くんや滝沢(秀明)くんを目指してましたね」

──すぐにJ.J.Expressに加入してエリート意識みたいなものはあったの?

「エリート意識じゃなくて、ただの礼儀知らずでした。“当時のふっか、マジ調子に乗ってたよね”ってよく言われるんです。取材のときとか、編集部の人が用意してくださった飲み物なのに、あとから来たJr.に、“あ、そこにジュースあるから好きに飲みな”とか言ってたらしい。何様だよ、俺(笑)」

──ただ、2007年にHey! Say! JUMPがデビューするけど、J.J.Expressのメンバーで深澤くんと橋本くんはメンバーに入らなかった。

「俺は、長く続けるとは思ってなかったんで、そこまで深刻に受け止めなかったけど、はっしーのショックの受け方はすごかった。会場の裏でボロッボロに泣いて。その涙を見てデビューを意識するようになったのかな」

──Jr.BOYSでの活動はどうだった?

「(岩本)照をはじめ、6人時代のSnow Manが全員いるグループで。でも、チョー不思議な気持ちでしたよ。年下や後輩しかいなかったし、“J.J.Expressだったのにデビューできなかった人”って見られてんだろうなってのがあったからね」

──いつかこのメンバーたちとデビューって予感は?

「ない。そんなの何もない」

──高1のときにMis Snow Manが結成されてる。ただ、グループ名がメンバーの頭文字からできてるらしいけど、深澤くんのFがないよね?

「これ、初めて話すんですけど、Mis Snow Manができたとき、俺けっこうなケガをしてJr.の活動を休んでたんです。で、ケガが治ってA.B.C-ZとKis-My-Ft2の合同コンサートを見に行ったときかな。Jr.BOYSで一緒だったメンバーがMis Snow Manって紹介されて。“あ、グループになったんだ…”って。俺、また置いてかれたって焦ってジャニーさんに電話したんです。“ケガ治りました”って。そしたら、“今までどのコたちと一緒にやってたの?”って聞かれたんで、“Mis Snow Manって名前をつけてもらった人たちです”って答えたら、あっさり言うんですよ。“じゃあ、入っちゃえばいいじゃん”って(笑)。あの日、ジャニーさんに電話しなかったら、きっと運命はちがってましたね」

チャンスあんじゃね? まだ可能性あんじゃね?

──その後、Mis Snow Manは、先輩のバックや『DREAM BOYS』『滝沢歌舞伎』『少年たち』といったジャニーズを代表する舞台を次々と経験していく。

「舞台にたくさん出させていただき、うれしかったですね。舞台、大好きですから」

──ただ、関係者の評価は上がっても、一般の知名度がなかなか上がらないジレンマはなかった?

「たしかに何年かして思いました。“このままでいいのかな?”って」

──じゃあ2011年、メンバーのグループ離脱、さらに夏には大学受験のため、阿部くんが活動を一時休止。この年、どんなことを考えてたの?

「戸惑いましたよ。グループ自体が活動休止で、肩書きにグループ名がなく、Jr.だけになりましたからね。俺は19才だったかな。二十才前後って周囲が就職したりするタイミングで、“このまま続けていいのか?”ってメンバーとよく話しました。“ちがう道を目指しても、今からだったら間に合うよな”って」

──この年は、Kis-My-Ft2、Sexy Zoneがデビュー。12月にはA.B.C-ZのDVDデビューが発表された年でもあったね。

「どのグループのデビューもうれしかったです。まあでも俺、(佐藤)勝利が3学年下で同じ中学なんすよ。Sexy Zoneのデビューが決まって、当時の担任から“おまえもがんばれよ”って。そのときは、やっぱ思うことはありましたね」

──悩みを相談できる人はいたの?

「河合(郁人)くんと滝沢くんに、いつも助けてもらってました。最初に関係が深くなったのは河合くんで。17、18才くらいのとき、KAT-TUNのツアーに同行して、A.B.C-Z、特に河合くんに面倒見てもらったんです。トークもうまいしやさしくて。気づけば憧れの人になってた。でも、当時の俺は、まだ二枚目路線を目指してたんで、心の中で“この人は俺が目指すべき人じゃない”って思ってた(笑)」

──ハハハハ。

「そんな俺に、“おまえは、その路線じゃない”って指摘してくれたのが滝沢くんで。二十才の誕生日に、連絡先をいただいて連絡を取り合うようになって。あるとき、“目指す路線、おまえはたぶんちがうぞ”って言われて。“俺、これ言ったことあるの、河合とおまえだけだ”って(笑)。やっぱ言われたときはショックでしたよ。“マジかぁ。俺、ちげーんだ”って」

──路線変更はうまくいった?

「最初は最悪。“ブサイク”“顔デカイ”とかイジられて笑ってたけど、内心泣いてましたね。しかも、メンバーもイジるのに慣れてないから、お客さんが笑えない空気になるんすよ。俺、ただただ公開で悪口を浴びせ続けられてるだけみたいな感じでしたからね(笑)」

──それでもイジられ続けたのは?

「滝沢くんに“カッコつけるって、やろうと思ったら誰でもできる。でも、笑いを取れる人って、なろうと思ってなれるわけじゃない。おまえは武器をひとつ多く持ってるってことじゃん”って言われて。単純なんで、“なるほど!”って(笑)。滝沢くん、ホント弟みたいに接してくれて。ただ、今まで北山(宏光)くん、河合くん、いろんなJr.やグループの面倒を見てきたけど、“おまえがいちばん手がかかる”とは言われました。まちがいなく怒られた回数は、俺がいちばんだと思う」

──そんな滝沢くんが命名したのがSnow Manだったね。

「突然でしたね。『滝沢歌舞伎2012』のときです。公演前に滝沢くんに“出番楽しみにしててね”って言われて。ステージ上で、お客さんがザワザワしたんで振り返ったら、“Snow Man”ってグループ名が映し出されてて。そのころ、ずっと6人で活動しているのにグループ名がなくて。しかも、Mis Snow Manからグループ名が引き継がれた。うれしかったな。6人で喜び合ったのを覚えてます。もうダメかもしれない。進むか、諦めるか決めなくちゃいけないって思ってたから。名前をもらえたことで、“まだチャンスあんじゃね? 可能性あんじゃね?”って」

──Snow Manになってからも舞台の仕事は増え続け、2016年には年間総ステージ数は200を超えた。でも、デビューはまだまだ遠かったよね。

「24才くらいのときですね。二十才前後はまだメンバーと“このままでいいのか?”ってよく話したんですけど、このころには逆にメンバー同士で暗黙の了解じゃないけど、そういう話は一切しなくなったんですよね。リアルでしょ!? 将来は何も見えない。いつまでに何をして、どうなって……何ひとつ確かなことがない。もしもメンバー同士で“俺、何も光が見えない”“俺もだよ”って言葉を交わしちゃったら、どんな決断をすべきか答えが出ちゃうのがわかってたのかもね。それが怖かったから、現実から目を逸らすように、目の前の舞台にひたすら集中して」

──踏みとどまれた理由は?

「ずっと応援してくれたのが河合くんで。今でも覚えてる。“ごめんな。デビューに関して何もしてあげられない。でも、おまえらのようなJr.にこそ、おまえたちのようなグループにこそ、デビューしてほしいと思ってる”って」

──いい先輩だね。同じように深澤くんも後輩の面倒見がいい印象があるよ。

「うーん、どうだろう。よくメシを食いに行ったのはKing & Princeかな。たまたま最初に声をかけたのが岩橋(玄樹)で、岩橋は神宮寺(勇太)と仲よくて、ふたりをごはんに連れて行くことが多かったな。あー思い出した。King & Princeのデビューが発表されて、そのころ、俺たちは『映画 少年たち』の撮影をしてたんだ。岩橋が“デビューします”って電話してきたから、“知ってるよ、おめでとう”って言ったら、あいつ泣き出しそうな声で謝るんですよ。“本当はもっと早く言いたかったんです。でも、いつもお世話になっているからこそ言えませんでした。ごめんなさい”って。一瞬、言葉に詰まったけど、“Jr.だったら誰もが目指すのがデビューだろ。それがかなうって、いちばんうれしい瞬間だよ。俺なんかに気をつかわないで純粋に喜べ。俺も心からうれしいよ”って。直後に神宮寺からも同じ内容の電話が来てね。何気ない会話だったけど、なんかすごい覚えてる」

──そんなことがあったんだ。

「いろいろ考えたな。デビューを目指すって、かなわなくても傷つくのは自分たちだけだと思ってた。でも、知らないうちに後輩の負担にもなってたのかなって。区切りをつけなきゃいけないときがいよいよ来たのかなって。どうモチベーションを維持していいかわからない時期だったけど、救ってくれたのは、やっぱり滝沢くんで。『滝沢歌舞伎2018』の上演中、俺、誕生日があったんです。滝沢くん、誕生日プレゼントに桜の盆栽をステージ上でプレゼントしてくれて、“Snow Manも花を咲かせろよ”って。さすがっすよね、大勢の証人がいる前でそんなこと言われて、がんばらないわけにはいかないじゃないですか」

俺たちに必要なのは、劇的な変化じゃないか

──そして2019年1月、ラウール、向井康二、目黒蓮の3人が加入するグループ史上最大の転機が訪れる。改めて9人になった経緯って?

「自分たち6人に決断を委ねてもらったんです。事務所から“この3人を加えて9人でやっていくか、このまま6人でやっていくか決めてくれ。3人は、6人が受け入れてくれるのであれば加入したいと意志は固まってる”って。当然悩みましたし、6人でとことん話し合って」

──その話し合いで、9人で行こうと決めた最大の理由は何だったの?

「最優先しなければいけないこと、いちばん大切なことは何か。それはデビューすることだと思ったんです。最初にも言いましたけど、デビューしておかしくないグループはたくさんあった。Snow Manが、そこから頭ひとつ抜け出てデビューを勝ちとるにはどうしたらいいか。俺たちは年令的にも、残された時間はどのグループよりも短い。だから“ここで勝負しなければ、きっと後悔する”って思ったんです。6人で続ける道もある。でも、現状を一変させるチャンスが目の前にある。今、俺たちに必要なのは劇的な変化じゃないか。“3人の加入、俺はありだと思う”って」

──なるほど。

「6人の意見を確認すると満場一致で、3人の加入に賛成だった。ただ、俺ら以上に悩んで結論を出したのが3人だったと思うんです。ひとりは10代。ひとりは関西から来る。ひとりは加入の段階ではグループの掛け持ちになる。もし9人体制になれば、風当たりが強いのは6人よりも3人のほうだしね。それを承知で3人は腹をくくってくれた。しかも3人は、これまでSnow Manの武器だったアクロバットがスケールダウンするのは絶対にイヤだから死ぬ気で練習するとも言ってくれた。3人が6人体制のSnow Manをリスペクトしてくれたから、今の9人の形があるんです」

──そうだね。

「9人になったらどうなるか。いちばん気になったのはファンのことで。僕らをこれまで応援してくれたファンの気持ちは、誰よりも僕らがわかってる。9人を受け入れてくれるファンはいるはず。ただ6人で続けてほしかったファンもまちがいなくいる。だから、9人でいくってなったとき、俺は決めたんです。“絶対にデビューする”って。だって、デビューできなかったら増員を誰が納得できるんですか? 6人だったらデビューできたかもしれなかったのになんて、そんな悲しい思いをファンに絶対させたくない。俺たちはファンを笑顔にさせるためにやってるんだから。だから9人になる以上、何が何でもデビューするって決めたんです」

──それでも9人になることに不安もあったんじゃない?

「もちろん。人数が多いメリットとデメリットがあるはずで。パフォーマンスの迫力は確実に増すけど、トークになったら人数の多さが枷になって誰かのキャラが死ぬかもしれないって不安はありました。9人体制になった直後、康二も何がグループにとってベストなのか、すげー悩んでて。ふたりで話してたら、“関西の笑いと東京の笑いってちがうだろうし、最初はみんなのキャラを立たせたほうがいいから、俺はできるだけ控えめにしたほうが……”って、溜め込んでた思いをバーッて話し始めたんで、“マジ、チョーキショイ!”って言ったんです。“康二は康二だろ!!”って。俺は一緒になるずっと前から康二を知ってる。“どこにいたって康二は康二だよ。そのままでいてよ”って。誰かが遠慮して成立する9人なら、そんなグループに意味ないって。あいつ驚いた顔一瞬して、うーんって考え込んで。そうだよな、そんな簡単なことじゃないよなって思ったら、次の日から完全に関西の向井康二でした(笑)。それがあいつの強さであり、いいところっすよ」

──いい話だね。

「同じことが、ラウールにも、めめ(目黒)にも言える。6人と3人、どちらかがムリして寄り添ったんじゃない。3人は6人を6人は3人をリスペクトしたから9人のSnow Manになれたんです」

初めて言えた本音と弱音

──3月には横アリで単独コンサートをやってるね。

「単独をやって9人がすげーいいバランスだなって実感した。MC中も、誰の個性も死なない。あそこから、“いける!”って実感したかな。しかも、滝沢くんからもらった桜が、この単独の最中に咲いたんすよ。俺たちもひと花咲かせられるって確信に変わったよね」

──ラウールくんがセンターというのは、驚いた人も多いと思うけど、6人には悔しさもあったんじゃない?

「ないないない。俺、昔からグループを俯瞰して見るのが好きで。ラウールって、すげー華がある。端のほうにいたら変に目立っちゃう。だからラウールには、正しい目立ち方をする場所にいてほしい。それがセンターっていうだけだよ。それにリーダーとエースはちがう。照がリーダーで、エースはラウールでいいじゃん」

──じゃあ、深澤くんの役割は?

「俺!? 俺は何もしないくらいがちょうどいい(笑)」

──ハハハハ。5月には新橋演舞場で『滝沢歌舞伎ZERO』を開催。5月5日の誕生日のMCで深澤くん泣いたでしょ?

「最初は目薬を仕込んで、泣いたふりして笑いを取るつもりだったんですけどね。でも目薬を仕込む前に、お客さんに泣かされた。だって、すすり泣く声が聞こえてくるんだもん。照が読んでた手紙に、お客さんだけじゃなく、俺自身の心が動いたってのもあるかな。“あ、このタイミングだ。ずっと言えなかった本音を話すのは今だ”って」

──ずっと言えなかった本音?

「1月に9人になってから、いろいろなことが起こって。9人になったことに対する誤解やまちがった情報がひとり歩きしたりもした。誰も悪くないのに、誰かが責められる。この時期、マジでキツかったな。“何でわかってくれないんだよ! 俺たちの意志で9人になることを選んだんだよ!!”って叫びたかった。俺、Jr.歴長いけど、弱音って人前で一切吐いたことなくて。なんか恥ずかしいんですけど、最年長ということもあって、俺がSnow Manというグループを守らなければいけないってずっと思ってた。俺が先頭に立って守らなきゃって。でもムリなんです、俺ひとりじゃ。あの日、あの会場のお客さんの雰囲気で素直になれたというか、抑え込んでた感情が決壊しちゃって、気づいたらボロボロ泣いてたんですけど、初めて本音と弱音を素直に言えて。“僕ひとりでは守りきれないから、みんなでこのグループを守ってください”って」

──そして6月28日、ジャニーさんの病室でデビューを伝えられる。

「突然すぎて言葉が出なかったな。“えっ!?”って。もちろん病室という状況もあったけど、なんかねえ、なんだろう、あの感情は二度と湧き上がることないだろうし、言葉じゃ言い表せない。ただ“ありがとう”って言葉をジャニーさんに言えたのはよかったな。ジャニーさん、俺たちの舞台のリハとかでよくダメ出ししてくれて。もうダメ出ししてもらえないのは寂しいけど、今でもきっと見てくれてると思うから。ジャニーさんイズムは忘れずに続けなきゃね。俺らジャニーズだから」

──そして、『ジャニーズJr.8・8祭り』でデビューが発表された。

「あの場で発表できてよかったと思いました。いろんなグループのファンがいる中で発表できたから。もちろん喜んでくださるファンも、涙する人もいて、ドームがいろんな感情であふれてた。この笑顔も涙も背負ってデビューしようって、改めて気が引き締まったよ」

──初の同時デビューはどう思う?

「SixTONESというライバルがいることは幸せ。ただ、ライバルはあいつらだけじゃない。世界を目指す以上、無限にライバルはいるから」

──そして、ついに今年1月22日にデビュー。デビューをいちばん実感したのは、どの瞬間だった?

「CDを買いに行ったとき(笑)。俺と(渡辺)翔太とめめで買いに行って。めちゃめちゃバレて恥ずかしかった。デビューを両親もめっちゃ喜んでくれて。つらい時期のこと、母ちゃんは知ってますから。だから言ったんすよ。“おい、息子がデビューすんぞ! CDたくさん買え!!”って(笑)。でも、マジでCDっていいなって思いました。ジャニーズにとってCDってデビューの証であり、触れることができるファンとの絆じゃないですか。CDを手にしたとき、“俺たちデビューしたんだ”って心から思えた」

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──デビューは新たなスタートだね。ともに走り続けるメンバーに伝えたいことはある? まずはラウールくん。

「ラウール、おまえはスポンジだ。なんでも、あっという間に吸収する。ダンスも歌も。その成長を誰よりも近くで見られることがうれしいよ。この前、“俺はあと少ししたらアクロバットできなくなる”って言ったら、“わかりました。ふっかさんができなくなったところは全部、僕がやるんで教えてください”ってキラキラした目で言ったよな。心強いよ、ありがとう。勝手に決めてんだけど、4年後のラウールの成人式、メンバー8人でスーツを着て保護者として参加するから。ラウールをお祝いしつつ、俺らも気持ちはハタチだ!」

──次に向井くん。

「康二にメッセージはない(笑)。だって最近も5日連続でメシ食いに行ったくらい、ずっと一緒にいるから。まあ改めて伝えるなら、康二のおかげでMCすごい助かってる、ありがとう。今までのSnow Manにはなかった笑いの引き出しを、康二が開けてくれた。あ、でもひとつだけ文句がある。メシを食べに行ったとき、食べるスピードをもう少し速くしろ!」

──目黒くん。

「めめ、おまえはすげー熱くてマジメ。ずっと、そのままでいてね。ストイックで負けず嫌いなのは、入ってきてすぐわかったよ。誰よりもアクロバットの練習がんばってること、俺は知ってる。うまくできなくて、俺ならとっくに諦めてそうなときも、めめはできるまで諦めない。年下だけど学ぶことがたくさんあるよ、ありがとう」

──宮舘(涼太)くん。

「舘さまも、そのままでお願いします。気づいてると思うけど、俺、MCで困ったら、舘さんに話を振るようにしてる。Jr.時代からずっと変わらずね。どんだけひっどいムチャぶりでも、奇跡のオチをつけてくれて、ありがとう。最近ラジオにたくさん出てるからか、めちゃくちゃトークがうまくなってるよね。それに時代劇や歌舞伎、なんでもできて頼もしいよ。これからもムチャぶりするけど、よろしく」

──佐久間(大介)くん。

「佐久間、おまえは俺と同じで、昔はカッコつけて二枚目を目指して一切しゃべんなかったよな(笑)。それが、今ではいちばんうるさくなった。佐久間がいるのといないのじゃ、グループの雰囲気がちがう。おまえはムードメーカーというか、Snow Manのムードそのもの。いつも助かってるよ、ありがとう。でも、ひとつだけ言わせてくれ。二度と遅刻はするな!」

──渡辺くん。

「なべの最近の頼もしさには驚かされることが多いよ。みんなで話し合うとき、俺は好き勝手発言するけど、なべの“俺はこう思うけど、どう?”って意見、すごいグループのためになってる、ありがとう。的確すぎて、“あ、そっちのほうがいい!”って俺は恥ずかしいくらい自分の意見をコロコロ変えちゃってごめんね。でも、なべは昔、そんなコじゃなかったよね。9人になるって覚悟を決めた日から、別人のようだよ。もちろん、それまでだってちゃんとやってた。だけど、あの日からの変化は、なべがいちばんかもな」

──阿部くん。

「今さらだけど、受験か何か知らねーけど休みやがって! 寂しかっただろうがバカ野郎!! 同期の山ちゃんやはっしーのデビューだけじゃない。何人もの後輩が追い抜いてデビューしていくのを、俺ら一緒に見てきた。ツラかった経験を同じ数だけしてる。一緒にデビューできたことがうれしいよ、ありがとう。デビュー発表後、ハッシーに報告したら“これで同期全員デビューだね”って言われたよ。去年、『Mステ』で俺と阿部ちゃんとハッシー、3人が並んだ瞬間があったよね。やっと追いついたって、ちょっとシビレた。これからも、あんな瞬間を一緒に重ねていこう」

──最後に岩本くん。

「照、マジ振りつけ、ありがとう。『Crazy F-R-E-S-H Beat』の振りつけ、ヤバイくらい最高だよ。でも初対面の印象は最悪だったよ。年下なのに、むっちゃこえーんだもん。Jr.BOYSに入ったときからシンメで、ビビりながら話しかけたの覚えてる。シンメって、めっちゃ仲いいか、めっちゃバチバチか両極端だけど、俺たちは仲がいいほうでよかったよ。ただ、高校の文化祭の打ち上げ、“みんな集まってるから行こうぜ”って誘っても、“いいよ、俺は”っておまえが断って、行く行かないで大ゲンカになったの覚えてる? あれ、今でもおまえが悪いと思ってるから(笑)。俺たちまったくちがう面を持ってる。だからこそ、いいシンメなんだと思う。照はよく、俺らふたりの関係を“一心同体”って言ってるよね。俺も取材で聞かれたら、しょうがないから同じように答えてること知ってる?」

──9人のSnow Man、ホントにいいグループだと思うよ。

「みんながそれぞれのいいところを知ってる。もちろん悪い部分も。フツー、男が9人もいたら、イヤだなってなるときもあると思うんだよね。ひとりになりたいって。でも、俺はメンバーに会えないと寂しい。みんながとなりにいてくれたらうれしい。ヤッベー、めっちゃいいこと言っちゃってない!? 今のカットしといて」

──そう言うならしかたないね。

「ちょっと、なんでですか! 冗談でしょ! 使ってくださいよ!! 今日いち使ってほしいとこですから(笑)」

すべてのファンに伝えたいこと

──デビュー前、年令のことを意識してたよね。今も気にしてる?

「アイドルに年令制限はないですよ。ラウールに“アクロバットできなくなる”って冗談で言ったけど、本音は、いくつになってもやり続ける自信がある。求められるなら、いつまでもアクロバットもアイドルも続けます」

──改めてJr.時代の15年を振り返るには、10000字じゃ足りないね。

「僕だけ10万字にしてください(笑)。まあ、たしかに振り返ると、大変なことめっちゃありましたからね。でも、デビューできた瞬間、そんなの全部ふっ飛びました。それくらいうれしかった。9人、それぞれが歩いて来た道がある。デビューまでの道のりは長かったし険しかった。そもそも道なんてなかった(笑)。どっちに進んでいいかわかんないし、迷ったり、立ち止まったり、諦めそうになったり。それでもその先に待つ未来を信じて進み続けたら、気づけばとなりに大切で大好きな8人のメンバーがいた。今、振り返って自分たちの歩いてきた足跡を見つめたら、この道で全部正解だったんだって思う。うん」

──やっぱり、「デビュー、おめでとう」の言葉が、いちばん似合うのは深澤くんかもしれないね。

「でもデビューって、俺ひとりでかなえるには大きすぎた。6人でも届かなかった。9人で信じたからかなったんだよ……ちがうな。9人とたくさんのファンが信じてくれたからかなった夢だね。だから、すべてのファンに“ありがとう”って言いたい。9人を受け入れてくれたファン、9人になってからのファンはもちろん。まだどこかで6人時代を引きずるファンにも。いつか“9人のSnow Manもいいね”ってもう一度振り向いてもらおうって、俺たちの力になってる。だから、すべてのファンにありがとうって伝えたい。Snow Manを守ってくれてありがとう。俺たち9人はこれからも突き進むから、みんなずっとついてきてね」

取材・文/水野光博

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SixTONES・Snow Man編 第2回 深澤辰哉〔Snow Man〕「俺たちはファンを笑顔にするためにやってる。だから、9人になる以上、絶対にデビューするって決めたんだ。」

SixTONES・Snow Man編 第9回 目黒 蓮〔Snow Man〕「“目黒はいらない”と言われたあのころの自分へ。上を向け。“目黒ならいける”って言われる日が来るから。」

SixTONES・Snow Man編 第10回 佐久間大介〔Snow Man〕「壁だらけの時代を乗り越えてきたから、9人でめざす遥か先のテッペンが、ハッキリ見えている。」

SixTONES・Snow Man編 第7回 宮舘涼太〔Snow Man〕「“26才でデビューできなかったら辞めよう”退路を断ってたどり着いた、武者震いするほどの激しい戦い。」

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