ムーンショット計画とAIとの関係性 数あるムーンショット計画の目標ですが、そのほとんどはテクノロジーの発展と関連しています。 これまでは夢物語のように想像されていたものもテクノロジーの進化により現実化し、さらなる利便性や豊かな生活の実現を目指して日々研究されています。
ここでは、内閣府が掲げたムーンショット計画がITやAIとどのような関連性があるのか解説していきます。
①誰もが多様な社会活動に参画できるサイバネティック・アバター 基盤 ムーンショット計画の第一の目標として掲げられているのが「誰もが多様な社会活動に参画できるサイバネティック・アバター 基盤」です。
サイバネティック・アバターとは、自身の代わりにロボットや3D映像を映し出すモニター等を組み合わせることで、自身がそこにいなくても同等のパフォーマンスを発揮させるようにするというものです。
遠隔操作できるロボットなどの開発は進んでいますが、次に出てくる願望として「一度に多くのロボットを同時に操ることができる」というものがあります。 現在では機械学習により、AIは自身で試行し、一定の動作を高精度でおこなうことが可能になりました。 次の課題として、「1人で一度に多くのロボットを高精度で操れるようにする」というものです。
また、アバターの開発により、オンライン上や遠隔操作での投影技術も向上しています。
従来は外見はロボットのままで無機質なものでしたが、人間は表情から多くの情報を読み取る生き物ですので、モニターやディスプレイを通して本人の顔を投影させることで、より親密なコミュニケーションが可能になります。 人間以上のパワーを発揮する介護ロボットを介してコミュニケーションをしたり、これまで以上の臨場感が味わえるVRゲームといった用途に使われます。
ムーンショット計画の第一目標「誰もが多様な社会活動に参画できるサイバネティック・アバター 基盤」では、まず第一段階として、2030年までに1つの工程に対して1人で10体以上のロボットを同等の速度・精度で操れる技術の開発を目指しています。 そして第二段階として、大規模で複雑な工程をこなすことができるAIを2050年までに技術の開発と必要な基盤の構築を目標にしています。
②サイバネティック・アバター生活 ムーンショット計画の第二の目標として掲げられているのが「サイバネティック・アバター生活」です。
内閣府は、2050年までにはサイバネティック・アバターを応用することで、望む人は誰でも身体的能力・認知能力及び知覚能力をトップレベルまで拡張できる技術を開発し、社会通念を踏まえた新しい生活様式を普及させることを目指します。
特に次の3つをコンセプトに掲げ、サイバネティック・アバターを使用したこれまでは全く違う働き方、暮らし方が可能にするために取り組みます。
(1)空間・時間からの制約の解放 (2)身体の制約からの解放 (3)脳の制約からの解放
それぞれ詳細を説明します。
(1)空間・時間からの制約の解放 (1)の空間・時間からの制約の解放は、遠隔操作でロボットを操作すれば、どこからでも働いたり、サービスを受けることが可能になります。
また、ロボットは24時間稼働することができますので、出勤する必要がなくなり自分のライフスタイルに合わせた時間に縛られない生活が可能になります。
こうしたテクノロジーやAIを用いて、空間や時間からの制約を解き放つことを、ムーンショット計画の軸の1つめにあげられています。
(2)身体の制約の解放 (2)の身体の制約の解放では、ロボットを活用することで自身の身体能力以上のパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。
ロボットのパワーを使えば物流の概念が変わり、災害救助などの現場での活躍が期待できます。 身体能力が人と比べて劣っていたとしても、AIを活用することでその能力を補完することができ、誰でも同じような能力を有することができます。
また、身体の不自由を抱えている方も、ロボットの助けがあれば一般の方と同等のパフォーマンスを発揮することが可能になります。 これまでは叶わなかった職業の選択やスポーツへの挑戦することができ、身体の制限から解放されます。
他にも、体感型ゲームなどはより臨場感が増し、自身の体を実際に動かしているものと遜色ない体験が可能になります。
このように、ムーンショット計画の(2)身体の製薬の開放により、自宅にいながら様々な体験ができ、現実では不可能なことも仮想空間で体験することができるようになることを目指します。
(3)脳の制約からの解放 (3)の脳の制約からの解放は いずれはコンピュータの性能は人間の脳を超えると言われています。
人間の脳に足りない部分をAIで補うことでより高度な研究開発が可能になりますし、自身に足りない能力もAIがサポートすることが出来れば能力差による格差がなくなり、職業選択の幅や暮らし方が広がるでしょう。
また、AIを使って知識を共有することで、より効率の良い強化学習が可能になります。 AIに得意分野を任せ、人間はクリエイティブな発想に注力することで、より良い成果を期待することができます。
これら3つのコンセプトにより、働き方や暮らし方、人間らしい豊かな生活を誰でも選ぶことができるようになり、これから変化していく生活様式にも対応できるようにすると内閣府は考えています。