今日はばんえい競馬の開催日ではないのですが、
先日、ばんえいのレース中に起きた、ある出来事のお話を…。
問題のレースは、12月5日月曜のメイン10R、射手座特別です。
地方競馬ライブのサイトなどで過去のレース映像がご覧になれる方は、
レース開始後50秒あたりの、各馬が第2障害に上っていくところに注目しながら見ていただきたいのですが、
ま、それも面倒でしょうから、ひとまず、下の画像の赤丸の部分にご注目願います。
7番の馬の騎手が、ソリから落ちているのがおわかりでしょうか?
このとき、何が起きていたかといいますと…、
この少し前、7番のホクショウメジャーが第2障害を上りきろうとしたそのときに、
隣のコースにいた6号馬キタノサムライが、7番の松田道明騎手にいきなり噛みついたのです。
驚いた松田騎手は、とっさに体をかわしましたが、
そのために、勢い余ってソリから転げ落ちてしまったのでした。
この後、松田騎手は素早くソリに戻り、
コースから逸れそうになっていた馬を巧みに操って、見事に3着でゴールに入線したのですが、
このレース、ホクショウメジャーは失格になってしまいました。
なぜかというと、ばんえい競馬では、騎手がソリを下りても失格にはなりませんが、
下橇(げそり?)した地点から競走を継続しなかった場合は失格となるからです。
騎手を乗せていないソリは、その分だけ軽くなっていますから、
騎手がいない間に馬がソリを引いて前進しても、その分は無効と見なされるわけですね。
そう考えると、この規定は理屈に合っているんですが、
今回のように、騎手が下橇している間に馬が障害を乗り越えてしまった場合などは、
元の地点に馬を戻して(時間切れ失格にもならずに)競走を再開することは事実上不可能でしょう。
ですから、松田騎手は、失格になることを承知の上で、他の馬をじゃましないように無事にレースを終わらせることを選択したのだと思います。
それにしても、落橇(こっちは「らくそり」と読むようです)した原因が原因だけに、このケースでの失格は気の毒といいますか、なんといいますか…。
隣の馬に噛みつかれてソリから落ちたあげくに失格って…。
そのうっぷんを晴らすかのように、
次走、12月12日の最終レースで、ホクショウメジャーは松田騎手とのコンビで快勝しました。
一方、噛みついたほうのキタノサムライは、調教が十分でなかったとの理由で、調教師に2日間の賞典停止、騎手には戒告、馬は30日間の出走停止という制裁を下されました。
http://www.banei-keiba.or.jp/topics/2016125-1.html
もちろん、関係者にとっては笑い事ではないのですが、
なんとなく笑ってしまいたくなるこの出来事。
幸い、松田騎手には大きなけがもなかったようですし、
馬や人の命にかかわる事故とは違いますから、笑っちゃってもいいですよね…?
すでに、ネタ扱い気味に記事にしちゃってますが…。
さすがに、このような出来事はばんえい競馬でも珍事の部類に入るようで、
12日のばんえいのライブ中継では、このときの様子を、さらにわかりやすく、後方からの映像で再現していましたが、
キタノサムライが松田騎手に噛みついている場面がはっきりと映ってました。
誰か、YouTubeにアップしてくれないかなー。
と思って「ばんえい」「噛みつく」で検索したら、こんなのを見つけました。
2011/07/11 ばんえい帯広競馬3R 隣の馬に噛み付き失格
中央競馬にも、噛みつき癖で有名な馬がいたと思いますが、
このように馬が馬に噛みつくならまだしも、騎手に噛みつくとは…。
しかも、巨体のばん馬ですからド迫力です。
松田騎手はとんだ災難でしたが、そのあとのベテランらしい落ち着いた対応がすばらしかったと思います。
そして、ご無事で何よりでした。