自由にアイデアを出して刺激し合える職場。
企画開発部は主にゲームソフトを開発している部署で、その中で私は『トモダチコレクション』『みんなのリズム天国』『ゲーム & ワリオ』『脳トレ』などのソフトを開発しているグループに所属しています。少人数編成で作ることが多く、プログラマーやデザイナーでも仕様を考えたり、一人が幅広くさまざまな業務をしたりするのが特色といえるかもしれません。私はCGを担当するデザイナーとして、このような環境の中で楽しく仕事をしています。先輩後輩の分け隔てなくフランクに話せる温かい空気感も、みんなの発想を刺激している気がします。
最初に手掛けたのはゲーム内のCGモデル制作。
入社当初は、ゲームのオープニングやエンディングなどの映像を制作するチームで、Wii Uの『New スーパーマリオブラザーズ U』のオープニング映像の制作を担当しました。まだ新入社員だったこともあり、先輩のストーリー作りや絵コンテのお手伝いからはじまりました。ディレクターやデザインリーダー、マップの担当者など、ゲーム本編の開発スタッフと何度もやりとりをしながら、みんなが納得のいく絵コンテを作り上げていきました。
絵コンテが決まったあとは、どんぐりの木やお城のテーブルや背景など映像に出てくるCGモデルの作成に携わりました。私のつくったどんぐりの木は当初はオープニング映像だけに使用する予定でしたが、結局ゲーム本編の背景にも採用されました。ソフトの発売がWii U本体と同時発売だったので、いろいろな広告やCMにもその場面が使われて嬉しかったのを覚えています。
仕事の幅が広がった『トモダチコレクション 新生活』。
いま所属しているグループに異動し、最初に関わったのがニンテンドー3DSの『トモダチコレクション 新生活』です。喫茶店や遊園地のモデルのほか、音楽堂での歌の振り付けや、恋人同士が付き合っていた時の思い出シーンなどのCGを、ディレクターが考えた仕様に合わせてつくる仕事です。まずはラフスケッチをして、デザインリーダーやディレクターとイメージをすり合わせてからCGモデルをつくっていきました。音楽堂のシーンでは絵づくりだけでなく、ダンサーの配置や踊り、ライティング、カメラワークも考えました。それぞれの専門のデザイナーが付くのではなく担当したところはすべて自分で作り、ゲームの世界観を基本にどうすれば面白いものができるか自分で考えて工夫していくプロセスは勉強になりましたし、本当に楽しかったです。
開発用のソフトウェアの中に周囲のスタッフのMii(※)がいたので、それを用いて「先輩がこんなことしたら面白いかな」「ジェットコースターで絶叫したらかわいいんじゃないか」という風に考えネタ出しをすることもありました。仕組みがまだ十分にわかっていなかったこともあり、豪勢につくってしまったのですが、ディレクターから「いいね」の一言をもらってホッとしました。一人で任される仕事の幅が広がる中で、つくっている最中は周りにいるスタッフを笑わせることに夢中になってしまったのですが(笑)、結果的に多くのお客様に楽しんでいただけたようで本当に良かったです。
※Mii:いろいろな顔のパーツなどを選んでつくる似顔絵キャラクターのこと。
ローカライズで世界のプレイヤーにも対応。
『トモダチコレクション 新生活』ではデザインや仕様のローカライズ(※)も担当しました。通常のローカライズでは翻訳やちょっとした差し替えなどの対応が多いのですが、トモダチコレクションでは文化に応じて適した表現になるよう、大幅な変更を施しました。日本版で背景モデルやキャラクターアニメなど、ひと通りのデザインを経験し、開発の空気やゲームのできる過程を学んでいたので、ローカライズの際にはその経験を活かすことができ、また国による文化の違いを知ることができたのは面白かったです。たとえば日本版のトモダチコレクションには演歌が登場するのですが、欧州など海外向けには演歌は伝わりにくいんですよね。そこで現地の文化に合わせて、テクノやミュージカルに差し替えたり追加したりしました。海外の事情についてわからないことは欧米など現地の任天堂の社員と密接に相談しながら、その地に最適な表現にしていきました。最初は「このノリを海外でも理解してもらえるだろうか」と不安があったのですが、やりとりしていた現地の任天堂の担当者から「最高です!」と返ってきたときは「ちゃんと伝わるんだ」と感じて安心しました。
一番苦労したのは、海外の人にもわかるようにMiiの感情や性格のアニメーションを表現することです。日本だとささやかな動きで伝わっても、海外ではより大きな動きや反応の方が好まれるので、手足の短いMiiでそれを表現するのに苦労しました。また、文字でのやりとりだったので、言葉で説明しにくい動きのイメージをすり合わせるのにも苦労しました。欧米など現地の任天堂の担当者にイメージ動画を送ってもらったり、いろいろなリアクションの動画をたくさん見てヒントを得たりして、それをMiiに合った動きに落とし込んで相手に見てもらうというやりとりを続け、徐々に相手が求めているようなポイントを掴んでいきました。結果、海外の方にも伝わる、Miiらしい動きになったのではないかなと思います。
※ローカライズ:ゲーム内や取扱説明書、パッケージのテキストやデザインを、現地の文化などを考慮しながら翻訳・変更すること。
ハードな仕事にも楽しさを見つけて。
忙しいプロジェクトをサポートすることもあります。『ゲーム & ワリオ』のアイランドの背景をつくる仕事は、デザイン案を渡されてCGに起こしていく作業でした。複雑なデザインが求められるWii Uのタイトルを扱うのは初めてで、多少とまどいはありましたが、高解像度のCGを短期間で勉強できたことは私にとって大きかったと思います。また、関わった範囲は限られていましたが、自分の色を出したいとこだわる部分はこだわるようにしました。私はもともと何事も楽しめないと損だと思うところがあって、どんなにハードな仕事でも、どこかしら楽しい部分を見つけて取り組むようにしています。そうすれば、お客様にも面白さが伝わるんじゃないかという気がします。このときも、そんな思いで取り組んでいました。
面白い遊びを実現するためのデザインであること。
『トモダチコレクション 新生活』でも感じたことですが、任天堂のものづくりは、ゲームの世界観が先にあって遊びが生まれるのではなく、「こういう遊び方が面白いんじゃないか」というところから始まって「じゃあ、どんなグラフィックがいいのか」というプロセスで考えていくことが多いです。入社するまでは、絵作りや設定やストーリーを決めてからゲームを作っていくのかと思っていたのですが、まず遊びがあり、それを探りつつ仕様が変わると臨機応変に絵やストーリーを変更していきます。そういったゲーム作りは意外でしたが、そのような柔軟な姿勢や、仕様に沿った上でより良いデザインを目指していく工程はとても面白いです。
CG作成に役立つプログラミングも勉強。
入社2年目くらいまでは、より良いグラフィックを作るということだけで手いっぱいでした。さまざまな経験を積むうちに、グラフィック作りだけではなく、テクニカルな知識を持って作った方が良いグラフィックがつくれると実感するようになりました。たとえばキャラクターを作る時にも、キャラクターの外見を決めたりCGモデルにするだけではなく、より良い動きにするための仕組みを考えたり、皆がアニメーションを付けやすい構造を考えたりします。最近ではそのためにちょっとしたプログラムを組む場面もあります。一見デザイナーの仕事と関係ないように思えますが、そういった工夫によってアニメーションが豊かになり、キャラクターが魅力的になっていきます。プログラムを学ぶなんて、学生時代には考えていなかったことです。
ゆくゆくは自分の絵でゲームを構成したい。
これまで関わってきたのは、シリーズ化されてある程度絵柄が決まっているゲームのデザインや、ほぼデザインができ上がっていたゲームのCGモデルの作成が多かったので、一からデザインを考えて、自分の絵柄で構成されたゲームをつくってみたいという気持ちがあります。様々な経験や知識を持つ人たちが周りにいるこの環境があれば、きっといいものが仕上がるだろうな、きっと面白いだろうなとわくわくします。デザイナーとしてだけでなく、アートディレクターとしても動いてみたい。やりたいことは、私の中でどんどん広がっています。