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[理工系]2009年入社 環境開発部 安田俊平 たくさんの関係者との協働、そこから得られた学びが、「これから」につながる。

先輩社員に聞きました

ゲームをつくるためのSDKを開発。

写真 私が現在所属する環境開発部は、ゲームなどのソフトウェアをつくるために必要な開発環境を手掛けている部署です。私はその中で、SDK(Software Development Kit)やミドルウェアなどの設計やプログラムをしています。SDKはゲームをつくるのに必要なひと通りのツールが入った開発キットのことで、私はSDKの検討から設計、プログラム、実装、テストまでを幅広く担当しています。開発後、ゲームの開発担当者からの問い合わせに回答したり、フィードバックに対応したりするのも私たちの重要な役割です。

プラットフォームの基盤となるシステム開発も社内で。

 任天堂に入社して驚いたのは、社内でOSやSDK、ミドルウェアといったプラットフォームに関わるシステム開発に携わっている人が多いことでした。ゲームソフトをつくっている会社だという印象があったので、ゲームプログラマーがたくさんいることは想像していたので、この点は意外でした。システム開発は、社内で行っている部分が大きいです。もちろん、プロジェクトの性質やスケジュールによってベストの手段だと判断されれば、協力会社様に委託する場合もあります。その際もすべてお任せするのではなく、任天堂の担当者が事細かにコーディネートしています。プロジェクトを推進するには、高い技術力を持つエキスパートとしての素養と、社内外の関係者と調整や折衝を重ねながらマネージメントする能力が必要です。任天堂にはそれができる人が多いので、他社様の力と、任天堂の力をうまく融合して、実現したい機能を効率的に実現できていると思います。

Bluetoothから始まったWiiリモコンの仕事。

Wiiリモコン 実は、環境開発部へ異動したのは6年目になったときで、それまではハード開発部門にいました。そこで積んだいろいろな経験が、今取り組んでいる「環境づくり」に活きています。入社して間もなく担当したのは、Wiiリモコンに関するサポート業務でした。Wiiリモコンは様々な技術が結集されています。例えば、WiiリモコンはWii本体と無線でつながっています。無線はゲーム機に欠かせない重要な機能ですが、私はこのときまだWiiリモコンに使われているBluetoothの知識が乏しかったので、先輩から紹介された参考図書をひたすら読んだり、Bluetoothの無線ICを提供してくださっている協力会社様から情報を提供していただいたりしながら、ゲーム開発担当者の要望に対応する中で理解を深めていきました。専門知識を短期間で吸収することができたのは、スペシャリストに囲まれた環境だからだと思っています。
 しばらくしてWiiリモコンの内部チップを改定するプロジェクトが立ち上がり、Bluetoothやセンサー類も刷新することになりました。このプロジェクトで私は、Wiiリモコン上で動くソフトウェアのほかにも、Wiiリモコンを評価するためのソフトウェアの開発を担当しました。Wiiリモコンを工場から出荷する際に必要な検査プログラムの検討と実装などを一から見直したことで、幅広い業務を経験しました。初めの頃は先輩がついていたのですが、ほどなくメインの担当者は私一人に。すべてが新しい経験だったのでとまどうこともありましたが、おかげでハードウェアの立ち上がりから販売まで、任天堂のものづくりに関する一連の仕事を理解することができました。以降の仕事に役立つ良い経験になったと思っています。
 Wiiリモコンのプロジェクトで私が学んだのは、目標を達成するためにどこに力を入れればいいか、ベストの方法を見極めることでした。そのためにはエンジニアとしての豊富な知識と高度な技術が不可欠です。Bluetoothのスペシャリストをめざしているわけではありませんが、開発担当者や協力会社様に対応する際、お互いに通用する言葉でコミュニケーションするために専門知識が必要です。開発段階でそのときに考えられるいくつかの方法から、任天堂がめざす目標に合ったベストな方法を選択するといった判断をするためには、エンジニアとしての技術的知見が必須だと痛感しました。

熱心なゲームファンの要望に応えるためのコントローラー。

Wii U PRO コントローラー 次に携わったのは、Wii U用のワイヤレス拡張コントローラーであるWii U PROコントローラーの開発です。そもそもWii UにはGamePadというメインのコントローラーがあるのですが、2台目、3台目とコントローラーを増やせるようにしたいというリクエストが、社内のゲーム開発者だけでなく、熱心なゲームファン向けのゲームを開発している海外のソフトメーカー様からもあり、それに応えようと開発することになったんです。プロジェクトが立ち上がった時期はWii U開発が終盤にさしかかった頃でした。まず私たちがWii Uコントローラーを完成させてソフトメーカー様に届けてはじめて、ソフトメーカー様がそれを使ってゲーム開発を進められるようになるので、逆算するとコントローラーを発売よりもかなり早く完成させる必要があります。ですので、限られた期間の中でどんなものにするか、どうやってつくるか、早急に検討しなければなりませんでした。
 ハードウェアの形状が完成する前でしたが、私は必要となるソフトウェアの開発に全力を傾けました。新しい機能を加えると評価する時間が必要になるので、Wii リモコンの仕組みを活用し、できるだけ速いレスポンスを実現させたいと、工夫に工夫を重ねて何とか試作品の開発にこぎつけました。無線の仕様についての検討はもちろん、アナログスティックの採用や電池を長く持たせてほしいといった海外のゲーム開発者からの要望に応えながら、制約の中で開発を進めることができました。最終的に、機能としてもソフトメーカー様の要望に応えることができ、ホッとしたのを覚えています。Wii U PROコントローラーは、Wii U発売と同時にお客様にお届けすることもできました。私にとっては、お客様やゲーム開発者の要望に応えるものをつくろうと取り組んだ思い出深いプロジェクトです。

ゲーム開発者と海外の協力会社をつなぐ役割も。

写真 Wii U PROコントローラーが一段落したあと、Wii UのSDK に関する仕事が増えていきました。OSやWii U PROコントローラーなどを動かすためのドライバなど、さまざまなソフトウェアが含まれていて、すべてが安定した状態であることを確認してからゲーム開発者に提供しなければなりません。Wii UのSDKに関しては海外の協力会社様や子会社に依頼することも多く、私は任天堂のゲーム開発担当者と海外のエンジニアとの間に立ってコーディネートする仕事が多くなりました。もともと私は新しいことに取り組むほうがわくわくするタイプなので、先輩などに教えてもらいながらいろいろなことを吸収することができました。そのおかげで、エンジニアとしての判断軸や手段、選択肢が増えていった気がします。当面の目標は、エキスパートの素養をもちつつ、プロジェクトの性質に応じた選択肢を柔軟に選びながら推進していける能力を身につけることです。

任天堂のプラットフォームを世界中の人に。

写真 私は幼い頃にアメリカで暮らしていて、自分自身が任天堂のゲームを楽しむとともに、ゲームに熱中するアメリカ人を見てきました。これまで以上に任天堂のプラットフォームの魅力を高めていくためには、海外のゲーム開発者様を増やしていくことが重要だと思っています。その方々と任天堂がコラボレーションすることで、また新しい面白さが実現して、さらに多くの人に任天堂の提案する遊びを楽しんでもらえるのではないかと思います。将来そういうことに関われる機会に恵まれたら、仕事の内容を問わず、ぜひ関わりたいです。任天堂をもっと世界中に知ってもらうために、力を尽くしたいと思っています。

ひとことインタビュー

学生時代に学んだことは?
インタラクションデザイン、デザイン思考という分野です。ものづくりに関わる研究の過程でプログラミングに触れる機会がありました。
英語での仕事をどう思いますか?
海外に住んでいて、英語には馴染みがあったので、仕事でも活かしたいと思っていました。海外の協力会社様と直接やりとりする仕事は希望通りです。
自分の強みと言えるのは?
抵抗なく新しいものを吸収できることです。おかげで、エンジニアとしての道具が増えていっている気がします。
任天堂のエンジニアに必要なものは?
一つのプロジェクトに多くの人が関わるので、他職種の人ともいっしょに仕事を楽しむ姿勢が大事かなと思います。
システム開発の魅力を一言で。
ゲームや本体機能というかたちを通じて、お客様に使っていただける姿を想像しやすいシステム開発の仕事というのは、任天堂ならではです。
休日は何をしていますか?
子どもといっしょにイベントなどに出かけます。あとは、平日に撮りためたテレビドラマを観ています。

ある日のスケジュール

AM 7:00
海外の開発チームとの電話会議のため早めの出社
AM 8:00
海外子会社と電話会議
AM 10:00
メールチェック、開発資料の確認
AM 11:00
社内のメニュー開発者と打ち合わせ
AM 12:00
昼食
PM 1:00
ゲーム開発者からの要望や問い合わせに対応
PM 2:00
部内の定例ミーティング
PM 3:00
本体更新に向けた仕様検討、資料作成、
テストプログラムの実装など
PM 7:00
海外子会社と情報共有、新規の要望に対する資料作成
PM 8:00
退社

安田俊平